週刊ヒッキイ第687号-楽器における左利きの世界(32)松野迅さんから
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【最新号】
第687号(Vol.21 no.10/No.687) 2025/6/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(32)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
ご意見から考える」
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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
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第687号(Vol.21 no.10/No.687) 2025/6/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(32)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
ご意見から考える」
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前回までは、左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
左利きに関するサイト、エッセイ集の左利きに関する文章を紹介して
きました。
今回は、それらの文章をヒントにして、
私なりに左利きにおける楽器の演奏について考えようと思います。
■1回目――まつのじんさんのサイトから
「まつのじん」さんについて知る意味で、
<まつのじんWebsite> 平和ねがいて 弦なりやまず
http://mjin.m1001.coreserver.jp/
「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日
第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.11.02
週刊ヒッキイ第674号-告知-楽器における左利きの世界(26)まつのじん(1)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/11/post-9afc9f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c61c87eab970c035e076d6c9e5e0876d
●左利きのヴァイオリニスト「まつのじん」さんについて
●「左(手)利き」=「強度の左利き」
●「不便益」という考え方
●日本は漢字文化の影響で書き方が二通りある
●左利きの「矯正」(=右使いへの転換)行為について
●「ヴァイオリン弾きのゴーシュ」として
■2回目――まつのじん(松野迅)さんのエッセイ集から
『すみれの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅 未來社 1992/1/1
「II マイ・プライベート・ライフ」<涙のひだりきき>
第676号(Vol.20 no.21/No.676) 2024/12/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(27)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(2)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.12.07
週刊ヒッキイ第676号-告知-楽器における左利きの世界(27)まつのじん(2)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/12/post-55f0a7.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3b193894c6d7a3499fa16569f8282e7a
●<左利き者の証言>――ヴァイオリニスト松野迅さんの場合
●子供時代から、僕は左利きだ
●『左利きの歴史』の記述
●左利きのままで育つ
●右利き社会と左利き用品について
●鏡文字の話、食事の話など
●左利きとヴァイオリン演奏について――音を出すのが右手
●左手の動きと右手の動き
●左利き特有の演奏上の苦労について
●余談――左利きの人への共感、等
●左利きのヴァイオリン演奏についての結論に満足、満足
■3回目――まつのじんのサイトの左利きページから
「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
(2019年8月13日)
http://mjin.m1001.coreserver.jp/ [ヒダリスト/]
%e3%83%92%e3%83%80%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/
第679号(Vol.21 no.2/No.679) 2025/2/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(28)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(3)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.1
週刊ヒッキイ第679号-告知-楽器における左利きの世界(28)まつのじん(3)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-5db9f0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9d54a490b52746a60f5212b9afc3b88a
●「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
●「ひだりきき 異世界の民たち」
●「鏡の世界へ ようこそ」
●「左利き演奏者の おもい」=右利き社会に生きる左利き者の悩み
●「左利き演奏者の おもい」続き
●左利きは
■4回目――まつのじんのサイトの左利きページから
第681号(Vol.21 no.4/No.681) 2025/3/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(29)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」
【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.3.1
週刊ヒッキイ第681号-告知-楽器における左利きの世界(29)まつのじん(4)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-4c221d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ec35e4d1f81a0ac9153e695fbaaef719
●「左利き用の楽器 あるの?」
●ヴァイオリンの構造
●Amazonの「左利き用ヴァイオリンセット」
●「左利きの個性 おしえます^^」【松脂編】
●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】右手と左手の動き
●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】脳の違い?
■5回目――まつのじんのサイトの左利きページから
第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(30)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(5)」
【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.4.5
週刊ヒッキイ第683号-告知-楽器における左利きの世界(30)まつのじん(5)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/04/post-99dd44.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9c05f485df40b156b80fc269468ffb6e
●「演奏家の登場です」(1)左弾きヴァイオリニスト
●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト
●通常の「右用」鍵盤楽器について
●「左(手)利き用」の鍵盤楽器
●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い
●クリストファー・シードの左利き演奏の感想
●左利きの人は左利き用の道具を!
■6回目――まつのじんのサイトの左利きページから
第685号(Vol.21 no.8/No.685) 2025/5/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(31)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(6)」
【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.5.3
週刊ヒッキイ第685号-楽器における左利きの世界(31)まつのじん(6)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/05/post-144cd2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/eeb3d80c9a6227df747486f64257adf9
●「LEFTY-INFO-BOX」
●「HOW TO PLAY for LEFTY VIOLINIST」冒頭解説
●突撃する弓
●ウォーミングアップ<左(手)利き編>
●自分の指なのに…
●右手は今どこにいるのだろう…
●いつも曲線を意識してみませんか。
●「【ひだり図書館】です」
今回は、過去6回に渡ってご紹介しました、
左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの
ご意見から、色々と考えてみようという試みです。
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◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆
{左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}
- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -
左利きと楽器演奏について考える
左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの
ご意見から考える(1)うれしかった情報
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●まちがいじゃなかった私の「鍵盤楽器は右利き用」という意見
一番うれしかった?情報は、やはり現行のピアノが右利き用だ、
というご指摘でした。
*参照:
■5回目――まつのじんのサイトの左利きページから
・第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5
●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト
●通常の「右用」鍵盤楽器について
●「左(手)利き用」の鍵盤楽器
●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い
●クリストファー・シードの左利き演奏の感想
↑このへんのお話です。
<●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト> のくだりで、
この連載でもたびたび取り上げてきた、
左利き用ピアノを使って演奏される
クリストファー・シードChristopher Seedさんのお話が出てきます。
まつのさんは、
《私はこの動画に接した時、生まれて初めて、鍵盤楽器の演奏を
緊張しないで観る&聴くことができました。楽しめました。それまで、
なんらかのストレスを伴っていたことに気づかされました。》
と、書いておられます。
《登場する楽器は、フォルテピアノです。
現代のピアノ(ピアノフォルテ)の前身です。
そして調律は現代社会でよく用いられている「平均律」ではなく、
古典調律のようです。
ロベルト・シューマン(1810-1856)作曲の「蝶々」作品2(1829-1831)
が演奏されています。》
だそうです。
そして、<●通常の「右用」鍵盤楽器について> のなかで、
《一般的にチェンバロ(ハープシコード)、オルガン、ピアノなどの
鍵盤楽器は、左側の鍵盤から右側の鍵盤へと音程が順に高くなって
ゆきます。》
《右(手)利きの人にとっては、音楽・音程の高揚が
右側へと拡がるので、そのように創られたと推察されます。》
《人それぞれによって異なりますが、
左(手)利き人間は、
音楽・音程の高揚が利き手側=左側に向かう方が、
自然に感じられます。》
と、まつのさんの言葉を紹介しています。
<●「左(手)利き用」の鍵盤楽器> では、
《↓この動画で使用されている鍵盤楽器のキーボードは、
音程の並び方向が真逆にできています。「左(手)利き用」です。》
《下図の上は、私たちが日ごろ目にしているキーボードの並び順です。
白鍵(前鍵)は、左側から右側へ〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・
ド〕と並び、音程が上昇します。
この動画で使用されているキーボードの白鍵(前鍵)は、
下図の下のように、右側から左側へ
〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド〕と配置されています。
それに添って黒鍵(後鍵)の並び方も逆仕様となっています。
左側に向かって音程が上昇します。》
と、この左弾き用のピアノの鍵盤の並び方が説明されています。
この鍵盤の並び方は、私も以前に書いています。
左から右(⇒)の動きが右利き用であれば、
左利き用は右から左(←)への動きなのです。
音楽素人の私の考えであった、
(1)現行のピアノや鍵盤楽器が右利き用であること、
(2)左利きの人用の左弾きピアノの鍵盤の並び方の例
とが、
まつのさんの言うところのものと同じだったのが、うれしかったのです。
*参照:
【右用ピアノの鍵盤】
(音階が上がる)⇒⇒⇒
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(左)ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド(右)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(音階が下がる)←←←
(左腕を押す)⇒┃ ┃⇒(右腕を引く)
(左腕を引く)←┗(身体)┛←(右腕を押す)
第616号(No.616) 2022/4/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界(2)演奏時の腕の移動方向」
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.4.2
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)楽器における左利きの世界(2)-週刊ヒッキイ第616号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/04/post-7b0072.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/90951982e3ad1c1498e325ea8915cd0f
●右利き用であることに無自覚な右利きの人たち
次の<●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い> で紹介しているのは、
《演奏する手も入れ替わります。
私たちが日ごろ目にしていますがる「右(手)利き用」鍵盤楽器では、
(原則として)楽譜(大譜表)の上段〔高音域〕を右手、
下段〔低音域〕を左手が演奏します。
ところが「左(手)利き用」鍵盤楽器では、
その逆手で演奏することになります。》
《下図の中央ように、(原則として)上段〔高音域〕の音符を左手が
担当し、下段〔低音域〕の音符を右手が演奏することになります。
こうなりますと、
【音程の方向性と楽譜の地図(ながれ)が一致しない】
と感じられませんか?
楽器のつくりと同様、楽譜のしつらえも「右(手)利き脳」に即して
発想され、そして発達・発展してきたことがわかります。》
このお言葉の通り、鍵盤の並べ方という楽器の製作の発想も、
演奏にまつわる楽譜の表記の発想もすべて、
「右利きの人のための、右利きの人用」になっているのです。
こういう発想が根底にあるにもかかわらず、
実際に演奏している人たち(要するに右利きの人)は、
その事実をどの程度意識しているのか、
という疑問が強く!強く!湧いてくるのです。
たぶんほとんどの人は、意識していないのでしょう。
そういう「右利き優先、右利き偏重」の利き手に関する実態に
無自覚な態度が、また腹が立つのです。
●私も強調したい部分
<●クリストファー・シードの左利き演奏の感想> では、
彼の演奏の動画に関して、
《この動画をごらんになって、「右(手)利き」の方の中には
⚡️違和感を感じる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
違和感を通り越して、気持ちが?不安定になる方がいらっしゃる
かもしれません。あるいは、しばらく時を経てから
不快感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
私は、その心の衝動を充分に理解できます。
なぜならその不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が
日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならないからです。
それは、生涯にわたり切り離せないものでしょう。》
と書いておられます。
後半の 《不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が
日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならない》
の部分こそ、私も強調したい部分です。
●現実を知らしめる努力を!
結局、右利きの人たちは、
この現実の社会において多数派だというだけの理由で、
多大な恩恵を受けているのだという事実を、
しっかり受け止めて欲しいのです。
その事実に気付けば、少数派への配慮もおのずから生まれてくる、
はずです。
こういう現実社会における実態をもっと声高に発言して知ってもらう
という努力を、われわれは続けていかなければいけないのです。
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本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(32)左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんのご意見から考える」と題して、今回は全紹介です。
ピアノのような鍵盤楽器はみな右利き用だ、という事実をもっと多くの人に知っていただきたいものです。
「左利きは左利き用の道具を!」という時代に逆行しているという現実を、考え直していただきたいのです。
音楽は器楽演奏も含めて、幼児から親しむことが多いので、特に幼児向けの音楽教室では、当然のごとく右利き演奏を教えています。
しかし、先ほども言いましたように、「左利きは左利きのままで!」という時代にこれはやはり逆行している、というのが私の考えです。
幼児はまだ利き手が十分発達していないので、どちらでもいいじゃないか、と考える人もいるかもしれません。
しかしよく観察していれば、「強度の左利きの子」はすぐに分かります。
「中間的な子」の場合は、右使いでもいいじゃないか、となり得ますが、それ以外は絶対に左利き対応がふさわしいと考えます。
余談が長くなりました。
今日はこのへんで。
*注:
利き手には、“「右利き」と「左利き」の2種類がある”のではありません。
各人の利き手を調べる「利き手テスト」というものがあります。
最もよく知られたスタンダードな「エディンバラ(EDINBURGH)利き手テスト」、日本人向けに考えられた「H.N.きき手テスト」、比較的新しい「チャップマン(CHAPMAN)利き手テスト」、もっとも新しい「フランダース(FLANDERS)利き手テスト」などがあります。
それぞれの調査結果を右端に「強い右利き」、左端にその逆のほとんど動作で左手を使う「強い左利き」を置いたグラフに描きますと、それぞれに該当する人たちが「J」字型に分布するといいます。
右端に、ほとんどの動作で右手を使う「強い右利き」の人が最も多く(「J」字の長い部分に相当する)、左端に「強い左利き」の人がちいさな山(「J」字の左端のはねた部分に相当する)を作ります。
この間の「J」字の鍋底の部分に当たるのが、主に右手を使うが時に左手を使える「弱い右利き」からその逆の主に左利きだけれど右手も使える「弱い左利き」の人たちです。
この、「弱い右利き」や「弱い左利き」の人たちを「強い右利き」と「強い左利き」のあいだに存在するという意味で「中間の人(子)」と私は呼んでいます。
人は、それぞれに利き手の偏りの度合いが異なり、一言で「○○利き」と決め付けられるものではないということです。
・・・
弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。
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(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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