2026.07.15

【編集後記】<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫『坊っちゃん』夏目漱石-楽しい読書415号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

 

2026(令和8)年7月15日号(vol.19 no.13/No.415)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫
『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年7月15日号(vol.19 no.13/No.415)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫
『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」
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 今年も毎夏恒例の新潮・角川・集英社の
 <夏の文庫>フェア2025から――。

 今年も、一号ごと三回続けて、一社に一冊を選んで紹介します。

 今年のテーマは、“やわらかい古典”ということで、
 古典だけれど、読みやすい感じのソフトな、エンタメ系の古典を
 取り上げてみましょう。

 一本目は、集英社文庫から発表から120年となるという古典、
 夏目漱石さんの痛快青春小説といわれる、『坊っちゃん』を。

 

ナツイチ2026 きみの意外な1ページ。 - 集英社文庫

角川文庫夏フェア2026 | カドブン

新潮文庫の100冊 2026

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(画像:新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026の小冊子)

 

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 ◆ 2026年テーマ:“やわらかい古典” ◆

  新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2025から(1)

  集英社文庫『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」
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●ナツイチ2026 きみの意外な1ページ。 - 集英社文庫

サイトより――

--
この夏、乃木坂46の遠藤さくらさん・井上和さんと見つける
とびきりの一冊。

「きみの意外な1ページ。」
好きな人の好きな本。
そこにはきっと、
いつもは見せない一面がある。
驚きの趣味。隠れたセンス。秘密の本音。
ページをめくるたび、
相手のことをもっと詳しく
もっと好きになっていく。
さあ、よまにゃ。

ナツイチ対象ラインナップ
名作から話題作まで、夏にぴったりの本を厳選。
気になる一冊を見つけて、今だけもらえる限定グッズと一緒に、
夏の読書を楽しもう!
--

 

今年の「ナツイチ」メインキャラクターは、
乃木坂46の遠藤さくらさん・井上和さんのおふたり、

お二人の読書シーンが印象的なコンセプトムービーや、
読書について語る対談動画が公開中です。

 ・・・

今年のナツイチ対象ラインナップは、82点。

話題の本 よまにゃ (6)
・鈍色幻視行 上下(恩田陸)
・難問の多い料理店(結城真一郎)
・ハヤブサ消防団(池井戸潤)
・チンギス紀 一 火眼(北方謙三)
・どこよりも遠い場所に(阿部暁子)

心揺さぶる本 よまにゃ (21)
・二人キリ 上下(村山由佳)
・デグリネゾン(金原ひとみ)
・いい子のあくび(高瀬隼子)
・みどりいせき(大田ステファニー歓人)
・裸の華(桜木紫乃)
・あのこは貴族(山内マリコ)
■・白夜行(東野圭吾)
・N(道尾秀介)
・事故物件、いかがですか?(原田ひ香)
・桐島、やめるってよ(朝井リョウ)
・少女は卒業しない(朝井リョウ)
・二十億光年の孤独(谷川俊太郎)
・地図と拳 上下(小川哲)
・獅子吼(浅田次郎)
・何もかも憂鬱な夜に(中村文則)
・塞王の楯 上下(今村翔吾)
・地獄変(芥川龍之介)
◆・人間失格(太宰治)

ハラハラする本 よまにゃ (18)
・リバー 上下(奥田英朗)
・サラリーマンよ悪意を抱け(赤川次郎)
・マスカレード・ゲーム(東野圭吾)
・プレデター(あさのあつこ)
・白ゆき姫殺人事件(湊かなえ)
・栞と嘘の季節(米澤穂信)
・早朝始発の殺風景(青崎有吾)
・地面師たち(新庄耕)
・真夜中のマリオネット(知念実希人)
・フェイクフィクション(誉田哲也)
・朽ちゆく庭(伊岡瞬)
・医療Gメン(氷見亜佐子)
・流警(松嶋智左)
・赤い密約(今野敏)
・隣はシリアルキラー(中山七里)
・地下街の雨(宮部みゆき)
・夏の花火と私の死体(乙一)

ときめく本 よまにゃ (11)
・いつか君が運命の人 I II(宇山佳祐)
・君の地球が平らになりますように(斜線堂有紀)
・ペーパー・リリイ(佐原ひかり)
・空をこえて七星のかなた(加納朋子)
・棘公爵の花嫁 賭けをしましょう、旦那様(白川紺子)
・おしまいのデート(瀬尾まいこ)
・まだいない君に星の舟を(阿部暁子)
・京橋骨董かげろう堂(辻村七子)
・さるのこしかけ(さくらももこ)
◆・星の王子さま(サンテグジュペリ)

そっと寄り添う本 よまにゃ (13)
・よき時を思う(宮本輝)
・赤い月の香り(千早茜)
・掌に眠る舞台(小川洋子)
・ラブカは静かに弓を持つ(安壇美緒)
・銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に(ほしおさなえ)
■・光の帝国 常野物語(恩田陸)
・猫君(畠中恵)
・モノガタリは終わらない
・とりあえずウミガメのスープを仕込もう(宮下奈都)
・大人は泣かないと思っていた(寺地はるな)
・旅屋おかえり(原田マハ)
・金の角持つ子どもたち(藤岡陽子)
・2.43 清陰高校男子バレー部 next 4 years(1) (壁井ユカコ)

世界が広がる本 よまにゃ (13)
・パッキパキ北京(綿矢りさ)
・令和反逆六法(新川帆立)
・妻が口をきいてくれません(野原広子)
・デモクラシー(堂場瞬一)
・逆ソクラテス(伊坂幸太郎)
・芭蕉はがまんできない おくのほそ道随行紀(関口尚)
・父ではありませんが 第三者として考える(武田砂鉄)
・名画の中で働く人々 「仕事」で学ぶ西洋史(中野京子)
・マナーはいらない 小説の書きかた講座(三浦しをん)
・鈍感力(渡辺淳一)
・今日もごきげんよう(松浦弥太郎)
・ジジイの片づけ(沢野ひとし)
▼・坊っちゃん(夏目漱石)

 

前号、岩波文庫フェアの時にもやりました印付けをしておきましょう。

■:以前弊誌、もしくはブログで取り上げた作品
◆:同、他社の本による
▼:既読、本文庫・他社本等による
・:部分読み、本文庫・他社本等による

 

*参照:
2023(令和5)年8月31日号(No.349)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から(3)集英社文庫・
 東野圭吾『白夜行』青春の思い出も背景に散りばめられた一冊」
『お茶でっせ』2023.8.31
[新潮・角川・集英社]
<夏の文庫>フェア2023から(3)集英社文庫・東野圭吾『白夜行』-楽しい読書349号

・東野圭吾『白夜行』集英社文庫 2002/5/25
(Amazonで見る)

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2022(令和3)年8月31日号(No.325)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から
(3)集英社文庫『光の帝国 常野物語』恩田陸」
『お茶でっせ』2022.8.31
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(3)

・集英社文庫『光の帝国 常野物語』恩田陸 2000/9/20
(Amazonで見る)

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 ●夏目漱石『坊っちゃん』

(以下、略)

『坊っちゃん』夏目漱石 集英社文庫 1991/2/20
(Amazonで見る)

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(画像:右から集英社文庫2026年フェア小冊子と『坊っちゃん』と本屋さんでもらったフェア限定のよまにゃクリアしおり)

(目次)
口絵 4ページ/[本文]坊っちゃん 5-174/語注 175/
解説――不滅の国民作家 渡辺直己 185/
鑑賞――正義と愛 ねじめ正一 205/年譜 小田切進 212

 

 ●坊っちゃんは左利き

*参照:
第688号(Vol.21 no.11/No.688) 2025/6/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」
『お茶でっせ』2025.6.21
週刊ヒッキイ第688号-『左組通信』復活計画[38]『LL』復刻(11)LL11 1996年秋号(後)

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 ●“痛快”青春小説

 ●ストーリー

 ●三度目? の『坊っちゃん』

 ●何かにはなれる?

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本誌では、「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」と題して、集英社文庫『坊っちゃん』(夏目漱石)の紹介です。
今回も冒頭のみの転載です。
冒頭以下は、見出しのみで本文は省略させていただきました。

本文中にも書いていますように、たぶん3度目の『坊っちゃん』です。
ひょっとしたら30代でも一度読んでいるかも知れません。
読書記録を見れば良いのですけれど、記録に残すような完読式の読み方ではなく、ペラペラッと読んでいる可能性があります。

本屋さん時代、1985年に講談社から<少年少女日本文学館>という叢書の一冊として刊行されています。
この叢書の第一回配本だったのでは、と記憶しています。
これを本屋さんで定期購読してもらおう、ということで従業員一同で営業していたものでした。
その際に読んでみた可能性もありますので。

*参照:
『坊っちゃん 少年少女日本文学館 (2)』夏目 漱石/著 講談社‎ 1985/10/1
(Amazonで見る)

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そんなシリーズにも選ばれている、人生で一度は読んでおきたい<名作>です。
少年時代、青年時代、中高年時代と各世代ごとにそれぞれの立場で読んでみるのも一興でしょう。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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2026.07.07

【最新号】私の読書論-2026年岩波文庫フェア『英国古典推理小説集』-楽しい読書414号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

2026(令和8)年6月30日号(vol.19 no.12/No.414)
「私の読書論-2026年岩波文庫フェアから『英国古典推理小説集』
作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年6月30日号(vol.19 no.12/No.414)
「私の読書論-2026年岩波文庫フェアから『英国古典推理小説集』
作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史」
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 今月は、6月の恒例となりました岩波文庫のフェアから、
 一点を選んで紹介します。

 

 *来月以降も、例年通り<夏の文庫フェア>が実施されましたら、
  そちらを取り上げますので、
  <漢詩を読んでみよう>は、しばらくお休みとなります。

 

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 - 私の読書論 -

  ~ 作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史 ~

 2026年岩波文庫フェアから
 「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」から

  『英国古典推理小説集』佐々木 徹 編訳

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 ●2026年岩波文庫フェア
「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」

岩波文庫サイトから――

--
2026年岩波文庫フェア「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」(5/26発売)

2026.05.07 岩波文庫

 毎年ご好評をいただいている岩波文庫のフェア「名著・名作再発見!
  小さな一冊を楽しもう!」を今年もご案内いたします。
 岩波文庫は古今東西の典籍を手軽に読むことができる、古典を中心と
 したシリーズです。できるだけ多くの皆さまに名著・名作に親しんで
 いただけるよう、本文の組み方を見直し、より読みやすい文庫をと
 心がけてまいりました。
 いつか読もうと思っていた一冊、誰もが知っている名著、意外と
 知られていない名作──岩波文庫のエッセンスが詰まった当フェアで、
 読書という人生の大きな楽しみの一つを存分にご堪能いただけましたら
 と存じます。

※2026年5月26日発売(小社出庫日)

--

<対象書目> 60点

1 「いき」の構造 他二篇【青146-1】 九鬼周造
2 君たちはどう生きるか【青158-1】 吉野源三郎
・3 忘れられた日本人【青164-1】 宮本常一
◆4 老子【青205-1】 蜂屋邦夫 訳注
◆5 新訂 孫子【青207-1】 金谷 治 訳注
■6 ブッダのことば――スッタニパータ【青301-1】 中村 元 訳
7 史的システムとしての資本主義【青N401-1】
 ウォーラーステイン/川北 稔 訳
◆8 ソクラテスの弁明・クリトン【青601-1】 プラトン/久保 勉 訳
◆9 饗宴【青601-3】 プラトン/久保 勉 訳
■10 マルクス・アウレーリウス 自省録【青610-1】 神谷美恵子 訳
▼11 方法序説【青613-1】 デカルト/谷川多佳子 訳
12 永遠平和のために【青625-9】 カント/宇都宮芳明 訳
■13 読書について 他二篇【青632-2】
ショウペンハウエル/斎藤忍随 訳
・14 死に至る病【青635-3】 キェルケゴール/斎藤信治 訳
▼15 ツァラトゥストラはこう言った (上)【青639-2】
 ニーチェ/氷上英廣 訳
▼16 ツァラトゥストラはこう言った (下)【青639-3】
 ニーチェ/氷上英廣 訳
17 精神と自然――生きた世界の認識論【青N604-1】
 グレゴリー・ベイトソン/佐藤良明 訳
▼18 ロウソクの科学【青909-1】 ファラデー/竹内敬人 訳
19 生物から見た世界【青943-1】
 ユクスキュル,クリサート/日高 敏隆 訳,羽田 節子 訳
▼20 古事記【黄1-1】 倉野憲司 校注
▼21 源氏物語 (一) 桐壺―末摘花【黄15-10】 柳井 滋,室伏信助,
大朝雄二,鈴木日出男,藤井貞和,今西祐一郎 校注
22 西行全歌集【黄23-2】 久保田 淳,吉野朋美 校注
▼23 新訂 方丈記【黄100-1】 市古貞次 校注
24 芭蕉 おくのほそ道――付 曾良旅日記 奥細道菅菰抄【黄206-2】
 松尾芭蕉/萩原恭男 校注
■25 雨月物語【黄220-3】 長島弘明 校注
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▼26 こころ【緑11-1】 夏目漱石
27 柿の種【緑37-7】 寺田寅彦
▼28 濹東綺譚【緑41-5】 永井荷風
▼29 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇【緑70-7】 芥川竜之介
▼30 童話集 銀河鉄道の夜 他十四篇【緑76-3】 宮沢賢治/谷川徹三 編
■31 山月記・李陵 他九篇【緑145-1】 中島 敦
32 桜の森の満開の下・白痴 他十二篇【緑182-2】 坂口安吾
33 茨木のり子詩集【緑195-1】 谷川俊太郎 選
34 大江健三郎自選短篇【緑197-1】 大江健三郎
35 折々のうた 三六五日――日本短詩型詞華集【緑202-5】 大岡 信
36 まっくら――女坑夫からの聞き書き【緑226-1】 森崎和江
37 詩集 いのちの芽【緑235-1】 大江満雄 編
38 危機の二十年――理想と現実【白22-1】 E.H.カー/原 彬久 訳
39 政治的なものの概念【白30-2】
 カール・シュミット/権左 武志 訳
▼40 日本国憲法【白33-1】 長谷部恭男 解説
41 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神【白209-3】
 マックス・ヴェーバー/大塚久雄 訳
42 大衆の反逆【白231-1】 オルテガ・イ・ガセット/佐々木 孝 訳
43 女らしさの神話 (上)【白234-1】
ベティ・フリーダン/荻野美穂 訳
44 女らしさの神話 (下)【白234-1】
 ベティ・フリーダン/荻野美穂 訳
・45 阿Q正伝・狂人日記 他十二篇――吶喊【赤25-2】
 魯迅/竹内 好 訳
▼46 ホメロス オデュッセイア (上)【赤102-4】 松平千秋 訳
▼47 ホメロス オデュッセイア (下)【赤102-5】 松平千秋 訳
■48 イソップ寓話集【赤103-1】 中務哲郎 訳
▼49 ギリシア・ローマ神話――付 インド・北欧神話【赤225-1】
 ブルフィンチ/野上弥生子 訳
50 サロメ【赤245-2】 オスカー・ワイルド/福田恆存 訳
51 新編 イギリス名詩選【赤273-2】 川本皓嗣 編
52 英国古典推理小説集【赤N207-1】 佐々木 徹 編訳
▼53 白鯨 (上)【赤308-1】 メルヴィル/八木敏雄 訳
▼54 白鯨 (中)【赤308-2】 メルヴィル/八木敏雄 訳
▼55 白鯨 (下)【赤308-3】 メルヴィル/八木敏雄 訳
56 チャーリーとの旅――アメリカを探して【赤327-4】
 ジョン・スタインベック/青山 南 訳
■57 星の王子さま【赤N516-1】 サン=テグジュペリ/内藤 濯 訳
■58 タタール人の砂漠【赤719-1】 ブッツァーティ/脇 功 訳
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59 伝奇集【赤792-1】 J.L.ボルヘス/鼓 直 訳
60 やし酒飲み【赤801-1】 エイモス・チュツオーラ/土屋 哲 訳

 

■:以前弊誌、もしくはブログで取り上げた作品
◆:同、他社の本による
▼:既読、本文庫・他社本等による
・:部分読み、本文庫・他社本等による

こんな感じでしょうか、既読は半数弱。
一昨年の『タタール人の砂漠』その前年の『雨月物語』とか、
弊誌で取り上げた作品もかなりあります。
『星の王子さま』は、当時文庫版はまだ出ていなく、少年文庫版でした。

 

*参照:
2023(令和5)年6月30日号(No.345)
「私の読書論172- 2023年岩波文庫フェア「名著・名作再発見!
 小さな一冊をたのしもう」から 上田秋成『雨月物語』「蛇性の婬」」
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.6.30
私の読書論172-2023年岩波文庫フェアから上田秋成『雨月物語』「蛇性の婬」-楽しい読書345号

2024(令和6)年6月30日号(vol.17 no.12/No.369)
「私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』」
『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.30
私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』-楽しい読書369号

 

 

 ●『英国古典推理小説集』佐々木 徹 編訳

『英国古典推理小説集』佐々木 徹 編訳

赤N207-1 (刊行日)2023/04/14

・『英国古典推理小説集』佐々木徹/編訳 岩波文庫 2023/4/14
(Amazonで見る)

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《「殺人があったのは二十二年前の今日――」。
 ディケンズ『バーナビー・ラッジ』とポーによるその書評、英国最初の
 長篇推理小説と言える「ノッティング・ヒルの謎」を含む、古典的傑作
 八篇を収録(本邦初訳を含む)。読み進むにつれて、推理小説という
 形式の洗練されていく過程がおのずと浮かび上がる、画期的な選集。》

(目次)
 はじめに
『バーナビー・ラッジ』第一章より(チャールズ・ディケンズ)
 (付)エドガー・アラン・ポーによる書評
有罪か無罪か(ウォーターズ)
七番の謎(ヘンリー・ウッド夫人)
誰がゼビディーを殺したか(ウィルキー・コリンズ)
引き抜かれた短剣(キャサリン・ルイーザ・パーキス)
イズリアル・ガウの名誉(G・K・チェスタトン)
オターモゥル氏の手(トマス・バーク)
ノッティング・ヒルの謎(チャールズ・フィーリクス)
 訳者あとがき

 

推理小説の歴史を、本場英国の古典推理小説を辿りながら紹介する、
というコンセプトの作品集。

「はじめに」や「訳者あとがき」の中で、
訳者による「推理小説」の定義が紹介されています。

《犯罪(あるいは何らかの事件)が発生し、それを探偵役の人物(素人
 もしくは玄人)が論理的な推理を働かせて解決するプロセスを主眼と
 した物語》「はじめに」p.3

で、「犯罪」「探偵」「推理」の三条件を満たす最初の作品が、
ポーの「モルグ街の殺人」だと。

確かに一般的に、推理小説は、アメリカの作家エドガー・アラン・ポーの
「モルグ街の殺人」に始まる、とされています。

 

*参照:
原題“THE MURDERS IN THE RUE MORGUE”
『グレアムズ・マガジン』1841年4月号掲載
--
世界初の推理小説「モルグ街の殺人」! 既訳では訳されてこなかったデュパンと主人公の二人の関係【ポーの謎に迫る解説 連載第4回】

文庫解説より 2022年03月28日 河合 祥一郎

『ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人』
エドガー・アラン・ポー/著 河合 祥一郎/訳 角川文庫 2022/3/23
(Amazonで見る) --

それ以前には、殺人事件や犯罪にまつわるお話や、
さまざまな事件にまつわる恐怖を描く一連の小説はありましたが、
知的な探偵役が論理的な推理によって事件を解決する、
その過程を描いた小説はありませんでした。

その後、このジャンルはイギリスに渡って、
<名探偵シャーロック・ホームズ>の生みの親として知られる、
サー・アーサー・コナン・ドイルによって、一連の<ホームズもの>と
して一つの頂点を極めることになります。
それを契機に、他の作家が追随し、後に英国のF・W・クロフツや
アガサ・クリスティーやドロシー・セイヤーズ、米国のヴァン・ダインや
エラリイ・クイーン、ジョン・ディクスン・カーといった作家たちが
活躍する1920年代から30年代の黄金時代と呼ばれる時代が来るのでした。

そこに至る過程のなかに、この小説集に収録されているディケンズや
コリンズなどの作家たちによる作品があった、ということでしょう。

 

発表年代順に並べてみましょう。

・1841年:『バーナビー・ラッジ』第一章より(チャールズ・ディケンズ)
・1841年5月1日「サタデイ・イヴニング・ポスト」フィラデルフィア:
(付)エドガー・アラン・ポーによる書評(一)
 『バーナビー・ラッジ』月刊第一~三分冊
・1842年2月「グレアムズ・マガジン」:〃(二)『バーナビー・ラッジ』
★1849年8月25日号「チェインバーズ・エディンバラ・ジャーナル」:
有罪か無罪か(ウォーターズ)
★1862年11月-63年1月「ワンス・ア・ウィーク」週刊誌、8回連載
ノッティング・ヒルの謎(チャールズ・フィーリクス)
★1877年1月「アーゴシー」誌: 七番の謎(ヘンリー・ウッド夫人)
・1880年12月25日号「スプリット・オブ・ザ・タイムズ」ニューヨーク:
誰がゼビディーを殺したか(ウィルキー・コリンズ)
―シャーロックホームズのライヴァルたち―
★1893年6月号「ラドゲイト・マンスリー」:
引き抜かれた短剣(キャサリン・ルイーザ・パーキス)――女探偵
・1911年3月15日号「サタデイ・イヴニング・ポスト」フィラデルフィア:
イズリアル・ガウの名誉(G・K・チェスタトン)――<ブラウン神父>
もの第一短編集『ブラウン神父の童心』創元推理文庫ほか収録の名編。
―創元推理文庫『世界推理短編傑作集〈4〉【新版】』収録の名編―
・1929年:オターモゥル氏の手(トマス・バーク)

(★:本邦初訳)

《順番に読んでいくと、段々「推理」の要素が強くなって、推理小説と
 いう形式が洗練されていく過程がおのずと浮かび上がるはずである。》

 

 ●本書の言う「古典」とは――

《十九世紀を中心に、黎明期から黄金時代に至るまでの間を漠然と指して
 いる。「オターモゥル氏の手」(1931)は黄金時代に入ってからの作品
 だが、かねてから評価の高い名品であるので、出版年代にこだわらずに
 採択した。》(「はじめに」p.4)

冒頭に『バーナビー・ラッジ』の一部を配した理由は、

《これが推理小説の原始的な一形態を示しているとともに、まさにこの
 部分が「モルグ街」の時期のポーの目にとまり、付録として収めた
 書評の呼び水となったからである。この書評は、「訳者あとがき」で
 詳しく述べるように、ポーが早くもこの時点で、やがて推理小説という
 名で呼ばれる文学形式についてどれほど明確な理解を持っていたかを
 はっきり示す貴重な資料になっている。》

「ノッティング・ヒルの謎」は、

《もしこれを長篇と認めるならば、コリンズの『月長石』(1868)を押し
 のけて、英国最初の長篇推理小説という栄に浴する可能性を持つ特別な
 作品だから》(同上)。

《「古典」というと、干からびたものが想像されるかもしれないが、
 こと推理小説の場合はむしろ人間味が濃く、そのあたりもたっぷり
 楽しんでいただきたい。》(同上)

本格的な推理小説は理知的な論理が行き過ぎますと、
人間的な情の部分が欠落して、極端な表現でいえば、
単なる謎解きパズル的なものになりかねない場合があります。

その点まだ推理小説になりきっていない頃の小説は、
情の部分が表に出た小説になっている、と言えそうです。

 

 ●なぜ「英国」なのか

では、なぜ英国で推理小説が発展したのでしょうか。

田村隆一さんによりますと(「第二章 ミステリは特別料理」)――

『ぼくのミステリ・マップ―推理評論・エッセイ集成』田村隆一/著 
中公文庫 ‎ 2023/2/21
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260630-m-map

《探偵小説は、もともとアングロ・サクソンの特産物で、一種の科学的な
 知的ゲームです。》p.56
《根底には裁判の仕組み、警察組織が大きく影響していると言っていい
 でしょう。こうしたものが、アングロ・サクソン独特のスタイルなん
 です。拷問・自白で犯人を追いつめず、理づめで証拠第一主義にのっと
 って行なうという点です。》p.56
《裁判のやり方も、被告側と検察側が、証人と物証によって進めていき、
 最後には事件と無関係な十二人の陪審員の評決によって、有罪か無罪か
 が決まる。つまり、一般市民が直接、裁判に関わって、被告のシロ、
 クロについて真剣に機会考えるという機会が与えられる――だから、
 いやでも、一般市民は刑事事件に関心をもつようになるわけです。こう
 いう点が、探偵小説を生む土壌となったと考えられますね。》pp.56-57

本書「有罪か無罪か」の解説にもありますように、イギリスで警察組織が
誕生し、刑事課が設置され、プロの“探偵”が生まれ、プロに対して
素人の私立探偵が登場する余地が生まれます。

田村さんの文章には「探偵小説」とありますが、「推理小説」と同じもの
を指しています(戦後の国語改革による「当用漢字」に、探偵の「偵」の
字がなく、新たに作られたのが「推理小説」という言葉でした)。

 

 ●『バーナビー・ラッジ』について

『バーナビー・ラッジ』の翻訳は、集英社ギャラリー世界の文学版(1960)
の文庫版が、今年2026年に中公文庫から上下二巻本で出ています。

1780年の「ゴードン騒乱」と呼ばれる事件を描く歴史小説です。
バーナビー・ラッジは、物語の主人公の名です。

中公文庫:バーナビー・ラッジ(上)

――イギリスのある村で二十二年前に起こった殺人事件と、
 心優しき青年バーナビー出生の謎。
〈世界初の長篇推理小説〉とも称される、文豪の代表作を初文庫化。
バーナビー・ラッジ(下)――青年バーナビーをめぐり再び動き始めた
 物語は、人々を「ゴードン騒乱」へと巻き込んでゆく。
 巻末に、E・A・ポーの長文書評を付す。〈解説〉廣野由美子

 

『バーナビー・ラッジ(上)』ディケンズ/著 小池 滋/訳 中公文庫
テ 8-1 2026/3/24
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『バーナビー・ラッジ(下)』ディケンズ/著 小池 滋/訳 中公文庫
テ 8-2 2026/3/24
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ちなみに弊誌前号で、紹介しました『ミステリマガジン』2026年7月号
の書評欄で、新保博久さんが取り上げていました。
260630hmm70-br

本書「訳者あとがき」の『バーナビー・ラッジ』の項で、
ポーの「推理小説」関連著作の年表が示されています。
訳者のお考えでは、全体の六分の一程度しか出版されていない連載中の
小説を取り上げ、その内容を詳しく紹介しながら殺人事件の解決まで
予想してしまうのは、自己顕示欲の強さであり、推理小説的技巧に関して
ディケンズを遙か凌ぐものを持っていることを示した、と。
この時期、ディケンズはアメリカを訪問し、ポーとも会って話している
といいます。その結果、ディケンズは、ポーのものとは異なる結末へと
書き換えたのかも知れません。

「推理小説」の発明者としてのポーの自負が、このような行動に駆り立て
たのでしょうか。

 

 ●<左利きミステリ>「ノッティング・ヒルの謎」

『英国古典推理小説集』の最後に収録されている短い長編
「ノッティング・ヒルの謎」は、<左利きミステリ>として、
弊誌で紹介しています。

2025(令和7)年11月15日号(vol.18 no.19/No.399)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:第8回(後編)
<左利きミステリ>新規発見作<海外編><国内編>紹介」
『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフやすおのお茶でっせ』
2025.11.15
【編集後記】ヒッキイ楽読[コラボ]第8回(後)<左利きミステリ>新規発見作-楽しい読書第399号

2025.11.22
【最新号】ヒッキイ楽読[コラボ]第8回(後)<左利きミステリ>新規発見作-楽しい読書第399号
[hatena版]

 

<左利きミステリ>
--
 ●「ノッティング・ヒルの謎」チャールズ・フィーリンクス

 

(1863) (イギリス)「ノッティング・ヒルの謎」チャールズ・
フィーリクス (容)
<左利きの容疑者・証拠品の落ちていた場所>
――ウィルキー・コリンズ『月長石』に先立つ、最初の英国推理小説だ
 (ジュリアン・シモンズ『ブラッディ・マーダー』1972)とされる、
 短い長編。
The Notting Hill Mystery 『ワンス・ア・ウィーク』(週刊誌)1862年
11月~1863年8月(8回連載)
・『英国古典推理小説集』佐々木徹/編訳 岩波文庫 2023/4/14
(Amazonで見る)

《看護婦も召使も、氏は左利きなので、夫人にスプーンで食べ物を与える
 ためにいつもベッドの左側に行った、と口を揃えて言いました。右手は
 不器用だったそうです。右利きの人間が左手ではスプーンをうまく扱え
 ないのと同じです。》p.451

--

他の作品についても書いておこうと思いましたが、
そろそろスペースも尽きたようです。

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本誌では、「私の読書論-2026年岩波文庫フェアから『英国古典推理小説集』作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史」と題して、今回も全文転載紹介です。

【最新号】編は、メルマガ本文の全文転載です。

【別冊 編集後記】は、【編集後記】編↓ で、

2026.6.15
【編集後記】私の読書論-2026年岩波文庫フェア『英国古典推理小説集』-楽しい読書414号

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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2026.06.30

【編集後記】私の読書論-2026年岩波文庫フェア『英国古典推理小説集』-楽しい読書414号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2026(令和8)年6月30日号(vol.19 no.12/No.414)
「私の読書論-2026年岩波文庫フェアから『英国古典推理小説集』
作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2026(令和8)年6月30日号(vol.19 no.12/No.414)
「私の読書論-2026年岩波文庫フェアから『英国古典推理小説集』
作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

 今月は、6月の恒例となりました岩波文庫のフェアから、
 一点を選んで紹介します。

 *来月以降も、例年通り<夏の文庫フェア>が実施されましたら、
  そちらを取り上げますので、
  <漢詩を読んでみよう>は、しばらくお休みとなります。

 

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 - 私の読書論 -

  ~ 作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史 ~

 2026年岩波文庫フェアから
 「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」から

  『英国古典推理小説集』佐々木 徹 編訳

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●2026年岩波文庫フェア
「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」

岩波文庫サイトから――

--
2026年岩波文庫フェア「名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう」(5/26発売)

2026.05.07 岩波文庫

 毎年ご好評をいただいている岩波文庫のフェア「名著・名作再発見!
  小さな一冊を楽しもう!」を今年もご案内いたします。
 岩波文庫は古今東西の典籍を手軽に読むことができる、古典を中心と
 したシリーズです。できるだけ多くの皆さまに名著・名作に親しんで
 いただけるよう、本文の組み方を見直し、より読みやすい文庫をと
 心がけてまいりました。
 いつか読もうと思っていた一冊、誰もが知っている名著、意外と
 知られていない名作──岩波文庫のエッセンスが詰まった当フェアで、
 読書という人生の大きな楽しみの一つを存分にご堪能いただけましたら
 と存じます。

※2026年5月26日発売(小社出庫日)

--

 

<対象書目> 60点

1 「いき」の構造 他二篇【青146-1】 九鬼周造
2 君たちはどう生きるか【青158-1】 吉野源三郎
・3 忘れられた日本人【青164-1】 宮本常一
◆4 老子【青205-1】 蜂屋邦夫 訳注
◆5 新訂 孫子【青207-1】 金谷 治 訳注
■6 ブッダのことば――スッタニパータ【青301-1】 中村 元 訳
7 史的システムとしての資本主義【青N401-1】
 ウォーラーステイン/川北 稔 訳
◆8 ソクラテスの弁明・クリトン【青601-1】 プラトン/久保 勉 訳
◆9 饗宴【青601-3】 プラトン/久保 勉 訳
■10 マルクス・アウレーリウス 自省録【青610-1】 神谷美恵子 訳
▼11 方法序説【青613-1】 デカルト/谷川多佳子 訳
12 永遠平和のために【青625-9】 カント/宇都宮芳明 訳
■13 読書について 他二篇【青632-2】
ショウペンハウエル/斎藤忍随 訳
・14 死に至る病【青635-3】 キェルケゴール/斎藤信治 訳
▼15 ツァラトゥストラはこう言った (上)【青639-2】
 ニーチェ/氷上英廣 訳
▼16 ツァラトゥストラはこう言った (下)【青639-3】
 ニーチェ/氷上英廣 訳
17 精神と自然――生きた世界の認識論【青N604-1】
 グレゴリー・ベイトソン/佐藤良明 訳
▼18 ロウソクの科学【青909-1】 ファラデー/竹内敬人 訳
19 生物から見た世界【青943-1】
 ユクスキュル,クリサート/日高 敏隆 訳,羽田 節子 訳
▼20 古事記【黄1-1】 倉野憲司 校注
▼21 源氏物語 (一) 桐壺―末摘花【黄15-10】 柳井 滋,室伏信助,
大朝雄二,鈴木日出男,藤井貞和,今西祐一郎 校注
22 西行全歌集【黄23-2】 久保田 淳,吉野朋美 校注
▼23 新訂 方丈記【黄100-1】 市古貞次 校注
24 芭蕉 おくのほそ道――付 曾良旅日記 奥細道菅菰抄【黄206-2】
 松尾芭蕉/萩原恭男 校注
■25 雨月物語【黄220-3】 長島弘明 校注
230621ugetu-monogatari-nagasimahiroaki-2

▼26 こころ【緑11-1】 夏目漱石
27 柿の種【緑37-7】 寺田寅彦
▼28 濹東綺譚【緑41-5】 永井荷風
▼29 蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇【緑70-7】 芥川竜之介
▼30 童話集 銀河鉄道の夜 他十四篇【緑76-3】 宮沢賢治/谷川徹三 編
■31 山月記・李陵 他九篇【緑145-1】 中島 敦
32 桜の森の満開の下・白痴 他十二篇【緑182-2】 坂口安吾
33 茨木のり子詩集【緑195-1】 谷川俊太郎 選
34 大江健三郎自選短篇【緑197-1】 大江健三郎
35 折々のうた 三六五日――日本短詩型詞華集【緑202-5】 大岡 信
36 まっくら――女坑夫からの聞き書き【緑226-1】 森崎和江
37 詩集 いのちの芽【緑235-1】 大江満雄 編
38 危機の二十年――理想と現実【白22-1】 E.H.カー/原 彬久 訳
39 政治的なものの概念【白30-2】
 カール・シュミット/権左 武志 訳
▼40 日本国憲法【白33-1】 長谷部恭男 解説
41 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神【白209-3】
 マックス・ヴェーバー/大塚久雄 訳
42 大衆の反逆【白231-1】 オルテガ・イ・ガセット/佐々木 孝 訳
43 女らしさの神話 (上)【白234-1】
ベティ・フリーダン/荻野美穂 訳
44 女らしさの神話 (下)【白234-1】
 ベティ・フリーダン/荻野美穂 訳
・45 阿Q正伝・狂人日記 他十二篇――吶喊【赤25-2】
 魯迅/竹内 好 訳
▼46 ホメロス オデュッセイア (上)【赤102-4】 松平千秋 訳
▼47 ホメロス オデュッセイア (下)【赤102-5】 松平千秋 訳
■48 イソップ寓話集【赤103-1】 中務哲郎 訳
▼49 ギリシア・ローマ神話――付 インド・北欧神話【赤225-1】
 ブルフィンチ/野上弥生子 訳
50 サロメ【赤245-2】 オスカー・ワイルド/福田恆存 訳
51 新編 イギリス名詩選【赤273-2】 川本皓嗣 編
52 英国古典推理小説集【赤N207-1】 佐々木 徹 編訳
▼53 白鯨 (上)【赤308-1】 メルヴィル/八木敏雄 訳
▼54 白鯨 (中)【赤308-2】 メルヴィル/八木敏雄 訳
▼55 白鯨 (下)【赤308-3】 メルヴィル/八木敏雄 訳
56 チャーリーとの旅――アメリカを探して【赤327-4】
 ジョン・スタインベック/青山 南 訳
■57 星の王子さま【赤N516-1】 サン=テグジュペリ/内藤 濯 訳
■58 タタール人の砂漠【赤719-1】 ブッツァーティ/脇 功 訳
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59 伝奇集【赤792-1】 J.L.ボルヘス/鼓 直 訳
60 やし酒飲み【赤801-1】 エイモス・チュツオーラ/土屋 哲 訳

 

■:以前弊誌、もしくはブログで取り上げた作品
◆:同、他社の本による
▼:既読、本文庫・他社本等による
・:部分読み、本文庫・他社本等による

こんな感じでしょうか、既読は半数弱。
一昨年の『タタール人の砂漠』その前年の『雨月物語』とか、
弊誌で取り上げた作品もかなりあります。
『星の王子さま』は、当時文庫版はまだ出ていなく、少年文庫版でした。

 

*参照:
2023(令和5)年6月30日号(No.345)
「私の読書論172- 2023年岩波文庫フェア「名著・名作再発見!
 小さな一冊をたのしもう」から 上田秋成『雨月物語』「蛇性の婬」」
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.6.30
私の読書論172-2023年岩波文庫フェアから上田秋成『雨月物語』「蛇性の婬」-楽しい読書345号

2024(令和6)年6月30日号(vol.17 no.12/No.369)
「私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』」
『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.30
私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』-楽しい読書369号  

 

 ●『英国古典推理小説集』佐々木 徹 編訳

『英国古典推理小説集』佐々木 徹 編訳

赤N207-1 (刊行日)2023/04/14
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・『英国古典推理小説集』佐々木徹/編訳 岩波文庫 2023/4/14
(Amazonで見る)

(以下、略)

 

 ●本書の言う「古典」とは――

 ●なぜ「英国」なのか

『ぼくのミステリ・マップ―推理評論・エッセイ集成』田村隆一/著 
中公文庫 ‎ 2023/2/21
(Amazonで見る)

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 ●『バーナビー・ラッジ』について

『バーナビー・ラッジ(上)』ディケンズ/著 小池 滋/訳 中公文庫
テ 8-1 2026/3/24
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(画像:『ミステリマガジン』2026年7月号書評欄の新保博久さん『バーナビー・ラッジ』評)

 

 ●<左利きミステリ>「ノッティング・ヒルの謎」

2025(令和7)年11月15日号(vol.18 no.19/No.399)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:第8回(後編)
<左利きミステリ>新規発見作<海外編><国内編>紹介」
『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフやすおのお茶でっせ』
2025.11.15
【編集後記】ヒッキイ楽読[コラボ]第8回(後)<左利きミステリ>新規発見作-楽しい読書第399号

2025.11.22
【最新号】ヒッキイ楽読[コラボ]第8回(後)<左利きミステリ>新規発見作-楽しい読書第399号

[hatena版]

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本誌では、「私の読書論-2026年岩波文庫フェアから『英国古典推理小説集』作品でたどるイギリスにおける推理小説の発展史」と題して、2026年岩波文庫フェアから『英国古典推理小説集』の紹介です。
今回も冒頭のみの転載です。
冒頭以下は、見出しのみで本文は省略させていただきました。

前号でも書きましたように、ミステリ好きの筆者ゆえに今年はこういう作品を選びました。
<左利きライフ研究家>として、<左利きミステリ>の研究家でもありまして、本書は英国推理小説の古典を扱っているということで、<左利きミステリ>の歴史を調べる上で役に立つのではと思い、出版されて間もない頃に読んでいました。
幸運にも本書の中にも英国最初の長篇小説かも? という作品で、早くも左利きを扱って作品を成立させていました。
思えば、ポーも純粋な推理小説ではないのですが「黄金虫」で、暗号解読を論理的に描き、一編の小説に仕上げています。
そしてここでも、助手役に右と左を判別できない人物を配して、ストーリーを盛り上げていました。

思えば結構、推理小説の初期から「左利き」をトリックといいますかネタに使った作品があるということが、判明したように思います。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

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2026.06.22

【最新号】私の読書論-愛読誌HMM創刊70周年-楽しい読書413号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

2026(令和8)年6月15日号(vol.19 no.11/No.413)
「私の読書論-16歳(高2)からの愛読誌
『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年6月15日号(vol.19 no.11/No.413)
「私の読書論-16歳(高2)からの愛読誌
『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年」
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 5月25日、待ちに待った『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年
 記念特大号が発売されました。
 いつも通り夕方の散歩の途中にいつもゆく駅向こうの本屋さんへ。
 さっそく買って帰りました。

 かつての愛読誌とは言え、今では定期購読はしていません。
 いつも行く近所の図書館に置いているのを知ってからは、
 そこで一号遅れのものを借りて読むという状況が続いていました。

 引っ越してからもそこの図書館を利用していたのですが、
 コロナ禍以来、今はそこまで遠征できず、近所の図書館には置いて
 いないので、取り寄せてもらって読む状況です。

 そんな状況でも、懐かしい愛読誌でもあり、このような記念特大号と
 なりますとまた別です。

 というわけで、今回は愛読誌の思い出とともに、
 この記念特大号について少し語ってみようと思います。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 - 私の読書論 -

  ~ 『ミステリマガジン』が友だちだった ~

  『ハヤカワ ミステリ マガジン』創刊70周年記念特大号
   (2026年7月号)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●記念特大号について

記念特大号となると別ですと書きましたように、
普段は購読していなくても、記念特大号だけは買うようにしています。
あくまでも記念ですから。

前回はもう3年前の、『ミステリマガジン』2023年11月号
特集:ポケミス創刊70周年記念特大号 でした。

これは、『ミステリマガジン』の発行元である早川書房の看板商品とも
いうべき、<ポケミス>の愛称で親しまれる叢書<ハヤカワミステリ>、
または<ハヤカワポケットミステリ>の創刊70周年を記念したもので、
今までに発行された全作品のリストが巻末についているものでした。

まちがいを一つ指摘してついでに感想なども書いて送ったところ、
読者欄“響きと怒り”に筆者の文章が紹介されました
(まちがいの訂正も「編集後記」に掲載されました)。

過去に買った記念特大号は、「創刊400号」1989年8月号、
「創刊500号」1997年11月号、「創刊700号」2014年6月号 です。
「60周年記念号」2016年7月号 は通常ページ数でした。

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(画像:『ミステリマガジン』記念特大号6冊=創刊400号、500号、700号、60周年、ポケミス創刊70周年、『ミステリマガジン』創刊70周年)

 

 

 ●『ハヤカワ ミステリ マガジン』創刊70周年記念特大号

ミステリマガジン 2026年7月号 No.774
特集 創刊70周年特別記念号

(Amazonで見る)

早川書房 2026/5/25発売 2,800円

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まずは早川書房のサイトから[目次]を紹介しましょう。
スペース的に、特集の部分だけですが。

 

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ミステリマガジン2026年7月号 No.774

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特集 創刊70周年特別記念号

 

海外の優れたミステリを日本へ紹介するという決意を元に
1956年に創刊された雑誌《エラリィ・クイーンズ・ミステリ・マガジン》
は、
その後《ハヤカワミステリマガジン》に名前を変え、
今年で70周年を迎えました。
70年の間にミステリを取り巻く状況は大きく変わり、
いまやミステリは、小説のみならず、映画・ドラマ・コミック・アニメ
など、
さまざまなメディアに広がっている
エンターテインメント・ジャンルとなっています。

これからも《ミステリマガジン》は、創刊の決意を受け継ぎ、
ミステリの最新情報を余すことなく読者の皆さまにお伝えし、
そしてすぐれたミステリ作品を紹介していき続けます。

また、今号では今野真二氏による新連載がスクート。
そして、権田萬治氏の「戦後ミステリーに愛をこめて」、
月村了衛氏の『機龍警察 漆黒社会』が最終回を迎えます。お見逃しなく。

※「ニューエイジ海外作家最前線」は都合により休載いたします。

 

●特集
ミステリマガジン創刊70周年
短篇再録
009 70周年記念傑作短篇再録
010 魔の森の家 ジョン・ディクスン・カー 江戸川乱歩[訳]
 創刊号に掲載された記念すべき傑作
030 世界最小の密室 クレイトン・ロースン 青田勝[訳]
 マジシャン探偵グレート・マーリニ登場!
044 幸福なるかな、柔和なるもの ジョルジュ・シムノン 長島良三
[訳] エラリイ・クイーン主宰による世界短編コンテストの第一位作品
070 クェイド、馬券を買う フランク・グルーバー 片岡義男[訳]
 ユーモアミステリ作家による洒落た短篇
098 アニマル・レスキュー デニス・ルへイン 加賀山卓朗[訳]
 巨匠による映画化もされた傑作
傑作短篇
116 少年探偵と一九七四年の夏 アート・テイラー 吉野弘人[訳]
 これからの短篇ミステリ界を担う作家の代表作!
●資料と研究
006 〈年表〉ミステリマガジン70年史
148 ミステリマガジンと翻訳ミステリの70年 編集部

●特別付録
520 ミステリマガジン1~773号 掲載短篇総目録
347 作家名索引

●連載
150 ミステリ・ディスク道を往く 番外篇 
「ミステリマガジン 音楽読みもの総まくり」 糸田屯

137 ミステリ漫画 梅田英俊
-----------------------------------

 

 ●『ハヤカワ ミステリ マガジン』の歴史(1)

<創刊70周年記念特大号>の「年表ミステリマガジン70年史」を
参考に、筆者の購読歴を絡めて、その歴史を辿ってみましょう。

・1956年7月号、創刊号。
当時は、『エラリィ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』という名で、
アメリカのミステリ専門誌の日本版として始まりました。

もちろん内容は日本で独自に編集したものですが、
掲載する作品や一部のエッセイは、本国版からの翻訳ものでした。

創刊号の冒頭を飾ったのは、
今回<創刊70周年記念特大号>でも冒頭を飾っている短編、
ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン名義)の
「魔の森の家」(江戸川乱歩訳)でした。
初代編集長は、都筑道夫さん。

・1966年1月号、『ハヤカワ・ミステリマガジン』と改称
(略称HMM)。
最長連載「ミステリ漫画」(梅田英俊)が開始。

 

 ●1970年高2の夏休み半ば過ぎ――HMM定期購読開始

筆者が高校2年生の夏休みの後半頃に、いつも『週刊少年マガジン』を
買いに行く家の近所の本屋さんで見つけたのが、
HMM<1970年9月E・S・ガードナー追悼特大号>でした。

当時の愛読書の一つが創元推理文庫から出ていた『怪奇小説傑作集』と
いう全5巻の海外の怪奇小説、恐怖小説のアンソロジーでした。
この手の小説が好きで、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『怪談』
などもお気に入りの一つでした。
そもそもの始まりは小学生の時に読んだお子様版『雨月物語』でした。

『怪奇小説傑作集』英米編3巻の中にラブクラフトの作品もあり、
お気に入りの一人になっていたのでした(当時日本ではまだクトゥールー
神話ものはさほど知られていない時代でした)。
そのラブクラフトが書いたガイド的な評論である、「恐怖小説の系譜」?
の3回分載の第2回が掲載されていました。
これは「買い」という感じでしたね。
で、掲載作など読んでみますと楽しく、意外なものも多く、
引き続き読んでみようという気になりました。

当時は、まだ一般向けの本を読むようになって2年目ですので、
何を読んでもおもしろい時期でもあったのでしょうか。
というよりも、まだ小説にはいろんなジャンルのものがあるのだという
ことを知らなかった、というのが正直なところかも知れません。

 

 ●『ハヤカワ ミステリ マガジン』の歴史(2)

・1980年2月号、アンケート企画「私のベスト3」開始。
その年のミステリ小説のベスト3を選ぶ企画。
現在年末恒例の「私のベスト10」の原型。

・1989年8月号、創刊400号記念特大号短篇ミステリベスト40
いかにもこの雑誌ならではの多彩なジャンルの短編小説の掲載作から
選び抜いた名作を網羅した特大号企画でした。

これを一冊読むだけでの、HMMがどういう雑誌だったかという
掲載作品の傾向が分かります。

・1990年8月号、第1回ハヤカワ・ミステリコンテスト決定発表。
アガサ・クリスティー賞の前身のミステリ小説新人賞が始まる。

・2008年1月号、21世紀の来たるべき作家たち、リニューアル号。
従来の海外ミステリ専門誌から、ミステリ総合誌へ。
インタヴュー企画「迷宮解体新書」もスタート、第一回は有栖川有栖。

海外作品だけでなく日本人作家の作品も本格的に扱うという変化で、
海外の翻訳作品が売れにくいといわれる状況になっている、
という現状認識があったのでしょう。
また、クリスティー賞受賞者へのバックアップの場を確保するという
意味合いもあったかもしれません。

ただ、日本人作家の短編作品を読む機会は、
他社の文芸誌でも読めるのに対して、
海外作家の短編作品を読む機会は、本誌をのぞいてまずありません。

個人短編集がやアンソロジーが各社から各種出ているのは事実ですが、
そういう機会のある作品ばかりとは限りません。
過去のバックナンバーを確認しましても、単行本に収録されるまでに
時間がかかったり、まったく未収録のものもないわけではありません。

掲載がゼロになるわけではないにしても、名短編などと呼ばれるものを
読む機会は格段に減ると考えられます。
その点は残念です。

・2012年9月号、シャーロック再誕。
現代を舞台にした名探偵シャーロック・ホームズものである、
BBCドラマ「シャーロック」特集で、
2010年代はこの特集企画が名物になった、とあります。

オリジナルに基づくホームズもののテレビドラマは結構見ましたが、
こちらはもうひとつよくわからないという感じで見たことがありません。

・2016年7月号、創刊60周年記念号。
年度毎に一冊を選ぶという「60年60冊」や海外短編競作6作など、
「6」にちなんだ企画が目白押し。

320ページの普通サイズ号でした。

・2018年1月号、ミステリが読みたい!2018年版。
この号から、デザインの担当が変わり、装幀が赤に。

・2023年11月号、ポケミス創刊70周年記念特大号。
歴代ポケミス全1995作品の総目録を巻末に収録。

上記「●記念特大号について」でも触れていますように、
これが生涯最後の記念特大号になるか、とも思っていたのでした。
さいわい、実現しなくて良かったのですが、次こそ、むずかしいのでは?
と思っています。

・2026年4月号、私の愛する名探偵。
豪華作家陣によるエッセイ「私の愛する名探偵」など、
古今東西の名探偵が一堂に会す、という企画だそうです。

実はまだ読んでいません。本屋さんでチラッと見ましたが。

・2026年7月号、創刊70周年記念。
名作短編再録と、巻末に創刊号以来の全号に掲載された、
全700編以上の短編小説の総目録。

筆者は最初の15年ほどは、まったくといっていいほど未見です
(極々一部のバックナンバーを持っているので既読もあります)。
また定期購読をやめた80年代の後半ぐらいから90年代の初めぐらいの
10年ほどは仕事の繁忙やなにかで、あまり読んだ記憶がありません。
この時期は連載コラムやブック・レヴューなどの情報系のものを中心に
読んでいたもので、小説作品はよほどの作家のもののみ読むという感じ
でした。
それ以後は現在まで、結構記憶に残っているのですけれど、ね。

 

 ●1970年9月号から定期購読初期の年間ベスト短編5

定期購読時代、1970年代の初期に、毎月の全掲載作品から
ベスト作品を選ぶ、という遊びをやっていました。
基本は各号一作ずつ選ぶのですが、年間を通じて12冊なので12作を
選ぶというもので、同じ号から二作選ぶということもありました。

ここに再現しておきましょう。

なにしろまだ一般向けの本を読み始めて2年目ですので、
作品の内容評価というより、目新しさが大きな比重になっていました。
目新しい設定や、奇抜な発想の小説に高い評価を付けているように
思います。

 

・1970年(この年は9月号からの購読ですので4冊中4作です)――
1.そこは空気も澄んで(ロバート・トウイ) 9月号(173)
2.大尉のいのしし狩り(デイヴィット・イーリイ) 12月号(176)
3.スタインウェイ氏(ロバート・ブロック) 10月号(174)
4.北イタリア物語(トマス・フラナガン) 12月号(176)

・1971年(12冊中ベスト5)
1.画商の女(スタンリイ・エリン) 2月号(178)
2.恐るべき子供たち(R・A・ラファティ) 9月号(185)
3.プリンセス・オハラ(デイモン・ラニアン) 2月号(178)
4.ゲイルズバーグの春を愛す(ジャック・フィニイ) 3月号(179)
5.家じゅうが流感にかかった夜(シャーリイ・ジャクスン)6月号(182)

・1972年(同上)
1.殺人者(ジョーエル・T・ロジャーズ) 3月号(191)
2.幻の乗合馬車(E・M・フォースター) 8月号(196)
3.ストラング先生の熊退治(ウィリアム・ブルテン) 3月号(191)
4.ランドルフ・カーターの証言(H・P・ラヴクラフト) 6月号(194)
5.クルエット夫妻の家(ジャック・フィニイ) 2月号(190)

・1973年(同上)
1.ジェリコと死の手がかり(ヒュー・ペンティコースト) 9月号(209)
2.ヒューマニスト(ロマン・ギャリ) 4月号(204)
3.無料の土(ロバート・ブロック) 7月号(207)
4.ハエトリ草(ルース・レンデル) 4月号(204)
5.猫の子(ヘンリイ・スレッサー) 8月号(208)

・1974年(6月号までの6冊から)
1.ゼム島の囚人(ジョーン・リッチャー) 1月号(213)
2.流れ星(ジョン・コリア) 1月号(213)
3.隣人たち(デイヴィット・イーリイ) 5月号(217)
4.ジャングル(チャールズ・ボーモント) 4月号(216)
5.階段に警官がいる(トーマ・ナルスジャック) 3月号(215)

 

というように見ていきますと、傾向としていえるのは、
いわゆる狭義のミステリ(推理小説――本格謎解き、ハードボイルド、
スリラー、サスペンス)といった種類の作品ではなく、
異色作家系(*注)のファンタジー、ホラー、<奇妙な味>風の広義の
ミステリ、<都会小説>と銘打たれた一般的な小説や、<幻想と怪奇>、
<剣と魔法の国>といったSFとも重なるようなジャンルの作品、
といった広い範囲の小説の方を好んでいた、ように思われます。

これは特に、太田博(各務三郎)編集長の時代の『ミステリマガジン』の
掲載短編選びの傾向でもあります。
<剣と魔法>ものなどは『SFマガジン』と取り合いになったとか……。

ほかに、ショートショートの特集やブラック・ユーモア特集や、
ユーモア・スケッチの連載もありました。
とにかく広いジャンルの小説を読ませていただきました。
今の筆者の素地を作っているのは、
こういう多方面の小説との出会いが大きかったという気がします。

8月号は<幻想と怪奇>特集、12月号には<クリスマス・ストーリー>
特集、というのが結構続いていました。
筆者のクリスマス・ストーリー好きはこのころに醸成されたものです。

元々筆者は怪奇小説や<幻想と怪奇>系の小説が好きでした。
当時もそういう傾向の作品に高い点数を与えているようです。

最近では怪奇・恐怖ものはあまり好んで読むということは少なくなりま
したが、「三つ子の魂百まで」ではありませんが、好みに大きな変化は
ないようです。

弊誌で年末の恒例になっている<クリスマス・ストーリー>もこの頃に
親しんだものが影響しています。

70年に渡って700編ほどの短編小説が掲載されたそうですが、
大半は作家の個人短編集や各種名作アンソロジーなどに収録されている
のですけれど、早川書房で出せばいいのに、と思ったこともありました。
<異色作家短篇集>の新シリーズとして、あるいは<幻想と怪奇>や
<名探偵登場>的なアンソロジーとして、もしくは
『ミステリマガジン・ベスト』のようなアンソロジーとして。

*注:当時の早川書房には人気叢書として<異色作家短篇集>という
一連の小説集がありました。フィニイや上記に上げた作家で言えば、
ロバート・ブロック、スタンリイ・エリン、シャーリイ・ジャクスン、
ジョン・コリア、チャールズ・ボーモントなどがそれらの作家です。

 

 ●思い出に残る作品あれこれ

最近では、“華文ミステリ招待席”の作品には<左利きミステリ>が
多く楽しみでした。

シリーズものというのも、色々とありました。
主に、本国版EQMMの常連作家の手になるものですね。
エドワード・D・ホックのレオポルド警部、怪盗ニック、オカルト探偵
サイモン・アークとか、ヒュー・ペンティコーストのシャーロック伯父、
ジェリコとか、ウィリアム・ブルテンの~を読んだ男、ストラング先生、
ジョー・ゴアズのDKAファイルシリーズとか、ジェイムズ・ヤッフェの
ブロンクスのママとか……。

長編ミステリの探偵でも、ジョイス・ポーターのドーヴァー警部の中編、
SFミステリのランドル・ギャレットのダーシー卿とか、
スティーヴ・ホッケンスミスの荒野のホームズものなどなど。

ほかにも、クラシック・ミステリの企画<シャーロック・ホームズの
ライヴァルたち>や、非ミステリの文学系の作家も登場しています。

思い出を語り始めますと、尽きることがありません。
HMM70年のうちの55年ほどの記憶がありますから。
青春の何ページかが走馬灯のごとく、というところでしょうか。

「編集後記」のほうで、弊誌との関わりについても書いておこう
と思います。

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本誌では、「私の読書論-16歳(高2)からの愛読誌『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年」と題して、今回も全文転載紹介です。

【最新号】編は、メルマガ本文の全文転載です。

【別冊 編集後記】は、【別冊 編集後記】編↓ で、

2026.6.15
【編集後記】私の読書論-愛読誌HMM創刊70周年-楽しい読書413号

 

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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2026.06.15

【編集後記】私の読書論-愛読誌HMM創刊70周年-楽しい読書413号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】


2026(令和8)年6月15日号(vol.19 no.11/No.413)
「私の読書論-16歳(高2)からの愛読誌
『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年6月15日号(vol.19 no.11/No.413)
「私の読書論-16歳(高2)からの愛読誌
『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年」
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 5月25日、待ちに待った『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年
 記念特大号が発売されました。
 いつも通り夕方の散歩の途中にいつもゆく駅向こうの本屋さんへ。
 さっそく買って帰りました。

 かつての愛読誌とは言え、今では定期購読はしていません。
 いつも行く近所の図書館に置いているのを知ってからは、
 そこで一号遅れのものを借りて読むという状況が続いていました。

 引っ越してからもそこの図書館を利用していたのですが、
 コロナ禍以来、今はそこまで遠征できず、近所の図書館には置いて
 いないので、取り寄せてもらって読む状況です。

 そんな状況でも、懐かしい愛読誌でもあり、このような記念特大号と
 なりますとまた別です。

 というわけで、今回は愛読誌の思い出とともに、
 この記念特大号について少し語ってみようと思います。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 私の読書論 -

  ~ 『ミステリマガジン』が友だちだった ~

  『ハヤカワ ミステリ マガジン』創刊70周年記念特大号
   (2026年7月号)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●記念特大号について

記念特大号となると別ですと書きましたように、
普段は購読していなくても、記念特大号だけは買うようにしています。
あくまでも記念ですから。

前回はもう3年前の、『ミステリマガジン』2023年11月号
 特集:ポケミス創刊70周年記念特大号 でした。

これは、『ミステリマガジン』の発行元である早川書房の看板商品とも
いうべき、<ポケミス>の愛称で親しまれる叢書<ハヤカワミステリ>、
または<ハヤカワポケットミステリ>の創刊70周年を記念したもので、
今までに発行された全作品のリストが巻末についているものでした。

まちがいを一つ指摘してついでに感想なども書いて送ったところ、
読者欄“響きと怒り”に筆者の文章が紹介されました
(まちがいの訂正も「編集後記」に掲載されました)。

過去に買った記念特大号は、「創刊400号」、「創刊500号」、
「創刊700号」2014年6月号 です。
「60周年記念号」は通常ページ数でした。

 

 ●『ハヤカワ ミステリ マガジン』創刊70周年記念特大号

ミステリマガジン 2026年7月号 No.774
特集 創刊70周年特別記念号

(Amazonで見る)

早川書房 2026/5/25発売 2,800円

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(画像:『ミステリマガジン』記念特大号6冊=創刊400号、500号、700号、60周年、ポケミス創刊70周年、『ミステリマガジン』創刊70周年)
 

(以下、略)

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本誌では、「私の読書論-16歳(高2)からの愛読誌『ハヤカワミステリマガジン』創刊70周年」と題して、愛読誌「HMM」70周年記念特大号、とその思い出について紹介する号の告知紹介です。
今回も冒頭のみの転載です。
冒頭以下は、見出しのみで本文は省略させていただきました。

 ・・・

『ミステリマガジン』掲載の短編小説で、弊誌『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』で取り上げた短編を紹介しましょう。

・クリスマスの教え(トマス・H・クック)2011.12(670)

2012(平成24)年2月15日号(No.75)-120215-
私の読書論-27-初心者のための読書の仕方を考える(12)
最初の一冊の選び方(9) 本選び(選書)の方法 IV ~
『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
2012.2.15
読書の意義を考えさせる短編小説:「クリスマスの教え」トマス・H・クック

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・ファンダーハーフェン老人の遺言状(メアリー・E・ペン)2020.1(738)

2020(令和2)年11月30日号(No.283)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(10)
「ファンダーハーフェン老人の遺言状」メアリー・E・ペン」
2020.11.30
クリスマス・ストーリーをあなたに~(10)「ファンダーハーフェン老人の遺言状」ペン-楽しい読書283号 201127xmas-hmm

 

・飾られなかったクリスマスツリー(クリストファー・モーリー)1997.12(501)

2022(令和4)年11月30日号(No.331)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-
「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー」
2022.11.30
クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-「飾られなかったクリスマス・ツリー」-楽しい読書331号 221128cs12-hmm199712501

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ほかに<左利きミステリ>として紹介したものがいくつかあります。

 ・・・

次に、ブログ『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』での『ミステリマガジン』関連記事を上げておきましょう。

2014.5.7
『ミステリマガジン』2014年6月号創刊700号と思い出のコラム

 

2014.5.26
私の投書が『ミステリ・マガジン』読者欄に掲載されました

 

2016.6.6
『ミステリマガジン』2016年7月号創刊60周年記念号を買う

 

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(画像:2014.6<創刊700号記念特大号>と2016.7<創刊60周年記念号>)

 

2016.6.7
『ミステリマガジン』2016年7月号創刊60周年記念号を読む

 

2018.5.26
『ミステリ・マガジン』7月号読者欄「読者の書評」に掲載される

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――といったところでしょうか。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

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2026.06.07

【最新号】中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)鮑照-楽しい読書412号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

2026(令和8)年5月31日号(vol.19 no.10/No.412)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)
鮑照「代東門行」「擬行路難十八首」「梅花落」」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年5月31日号(vol.19 no.10/No.412)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)
鮑照「代東門行」「擬行路難十八首」「梅花落」」
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 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」39回目は、元嘉期の詩人の
を取り上げます。

 平凡社の江原正士、宇野直人/著『漢詩を読む』のシリーズ第二巻
 『漢詩を読む 2 謝霊運から李白、杜甫へ』を参考にすすめています。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆ 唐代歌行詩の先駆者 ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)

  ~ 元嘉の三大家・三人目 ~ 
 
  鮑照「代東門行」「擬行路難十八首」「梅花落」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今回の参考文献――

『漢詩を読む 2 謝霊運から李白、杜甫へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/11/26
「一、元嘉期の詩人たち」より
(Amazonで見る)

260228-kansi2

 

 ●鮑照(ほうしょう 412?-466)

鮑照は、先に紹介しました謝霊運さんや顔延之さんと並び、
「元嘉の三大家」と称される詩人です。

鮑照は、晩年になって高い官職に就いた人で、
当時は軍閥が幅をきかす時代ではありましたが、
まだ社会的地位の高い貴族に対する価値観が残っていたのでした。

鮑照は、歌行詩という、
 《目で読むより耳で聴くことをとおして内容やメッセージを伝える
  ことが主になります。前もって曲があって、そのメロディに合う
  ように文字を並べてゆく――鮑照はそれが得意な詩人でした。》

今回はそんな歌謡体の詩三首を。

 

 ●「代東門行」東門行に代ふ

「代東門行」は、「東門行に代(か)ふ」で、
「~に代(か)ふ」は「~になぞらえる」「~にあてはめる」の意味で、
この題名から“これは替え歌ですよ”と宣言していることになり、
「東門行」という後漢の頃からある歌の変化した形を、
改めて替え歌にしたのだろう、と解説の宇野さん。

替え歌というか、日本の和歌における「本歌取り」のようなもの。

中国の文化では、ゼロから新しいものを作るより、

《すでにある物に手を加えて一層輝かせる、新しい価値を見いだす
  行為の方が高く評価されるふしがあります。》p.46

別れの宴会で作られたものですが、
旅立つのが知人なのか鮑照自身なのかは不明。

 ・・・

代東門行 東門行に代ふ 鮑照

 

傷禽悪弦驚 傷禽(しようきん)は弦(げん)の驚(おどろ)くを悪(にく)み
倦客悪離声 倦客(けんかく)は離声(りせい)を悪(にく)む
離声断客情 離声(りせい) 客情(かくじよう)を断(た)ち
賓御皆涕零 賓御(ひんぎよ) 皆(みな) 涕(なんだ)零(お)つ

 猟師の矢で射られて傷ついた鳥は、
  以後弓の弦がはじける音を聞いただけでも嫌がる
 同じように、長旅に疲れた旅人は、
  別れの曲を聞くだけでもうとましくなる
 それは旅人の心を断ち切るようにつらい思いをさせ…
 旅立つ者を見送る人、馬車を操る御者も、
  みんなもらい泣きをしてしまう

 

第一段は、“人と別れるのは悲しい”という一般論から。
「傷禽」は“傷ついた鳥”、「離声」は“離別の音声”つまり別れの曲。

 

涕零心断絶 涕(なんだ)零(お)ちて 心(こころ) 断絶(だんぜつ)し
将去復還訣 将(まさ)に去(さ)らんとして復(ま)た還(かえ)り訣(わか)る
一息不相知 一息(いつそく)にして相(あひ)知(し)らず
何况異郷別 何(なん)ぞ况(いわ)んや異郷(いきよう)に別(わか)るるをや

 涙はこぼれ、心は引き裂かれ、
 いざ出発という時になって、
  もう一度振り返って別れの挨拶をせずにいられない
 人間というのは、ほんの短い別れでも、
  互いのようすがわからなくなってしまう
 まして異郷に旅立つとなればなおさら、
  将来がどうなるかわからないじゃないか

 

第二段は、説明を加えて、別れの悲しさを強調。

《「何ぞ况んや」は“まして~はなおさらだ”、
 文法用語で“累加(るいか)”の句形とされます。》p.48

別れといっても現代の私たちの別れとは違うんだ、と宇野さん。
「今生の別れ」と思ってもいい、と江原さん。
私たちはこの詩をずいぶん大げさと感じますが、
当時は、まさに実感だった、と宇野さん。

 

遙遙征駕遠 遙遙(ようよう)として征駕(せいが)遠(とほ)く
杳杳白日晩 杳杳(ようよう)として白日(はくじつ)晩(く)る
居人掩閨臥 居人(きよじん)は閨(ねや)を掩(おほ)つて臥(ふ)し
行子夜中飯 行子(こうし)は夜中(やちゆう)に飯(はん)す

 やがてはるか彼方へ馬車は遠ざかってゆく
 暗く深く太陽が沈んでゆく
 夜になれば、自分の家にいる人は寝室の戸を閉めて眠りにつくが
 旅人は夜中になって、やっと食事にありつくことができる

 

この二句は対句で、夕方から夜にかけての旅人のようす。
「遙遙」ははるかに遠いこと、「杳杳」はぼんやり薄暗いようす。
“旅は大変だ”と。

 

野風吹草木 野風(やふう) 草木(そうもく)を吹(ふ)き
行子心腸断 行子(こうし)心腸(しんちよう)断(た)つ
食梅常苦酸 梅(うめ)を食(くら)えば常(つね)に酸(さん)に苦(くる)しみ
衣葛常苦寒 葛(かつ)を衣(き)れば常(つね)に寒(かん)に苦(くる)しむ

 野原をわたる風が、草や木を吹いて音をたてる
 旅人は心を切り刻まれる思いをする
 梅の実を食べるといつもその酸っぱさがつらく、
 葛で作った薄い夏服ばかり着ていると寒い季節には悩まされてしまう

 

“特に秋の旅はつらい”。
旅では食べるものや着るものに苦労する、といいたいようです。

 

糸竹徒満座 糸竹(しちく) 徒(いたづ)らに座(ざ)に満(み)つれども
憂人不解顏 憂人(ゆうじん) 顏(かんばせ)を解(と)かず
長歌欲自慰 長歌(ちようか)して
       自(みづか)ら慰(なぐさ)めんと欲(ほつ)すれば
弥起長恨端 弥〃(いよいよ)長恨(ちようこん)の端(たん)を起(おこ)す

 琴や笛の音がむなしく部屋に満ち満ちているが
 悩んでいる人は表情をほころばすことはない
 声を長く引いて歌い、自らをなぐさめようとしても、
 それはますます深い長きのきっかけとなってしまうだけだ
 

ふと我に返るとここは宴会の場。
「顏を解く」とは笑う意味。
《“美しい音楽を聴いても、全くなぐさめられない”》と、
これは旅する当事者のこと。

《――これまでの別れの歌と言えば、故事が盛り込まれたりして、
   多岐にわたっていて華やかな印象もありましたが、これはちょっと
   違う感じがしますね。/
  言葉もそう難しくなく、故事もなくてさらさら進みます。鮑照の
  作風の特色でしょうか。》
 《ふつうは、詩の中に知識教養を織りこんでゆくのが腕の見せ所だった
  のですが、鮑照はそういうことと決別したんでしょう、そこに何か
  彼の主張があるのかもしれません。》

 

 ●「擬行路難十八首」より「その六」

次の詩は、「行路難」という歌になぞらえたもので、
この歌は後に李白も作っている。

鮑照自身役人でありながら、役人生活を否定するという、過激な内容。
それを宴会で披露したと考えられ、ということは、共感する不満の多い
官僚がたくさんいたと……。

《思い起こせば屈原以来、詩を作る人はたいてい、天下社会に貢献する
  という理想、抱負をもちながら、それがうまくゆかない、才能がある
  のに自分が抜擢されないのは周りが悪い、と不平不満をうたったもの
  が多かったのですが、役人生活そのものを否定して別の世界へ行こう
  とまで歌ったものは珍しいですね。やはり時代精神なのか……。》p.52

 《「行路難」は、旅路がつらいことに託して人生行路の険しさ、
  難しさを歌うもので、この作品もその基本線を守っています。》p.52

 ・・・

擬行路難 其六  行路難(こうろなん)に擬(ぎ)す  鮑照

 

 其六   その六
 
対案不能食 案(あん)に対(たい)して食(くら)ふ能(あた)はず
抜剣撃柱長嘆息 剣(けん)を抜(ぬ)き
         柱(はしら)を撃(う)つて長嘆息(ちようたんそく)す
丈夫生世會幾時 丈夫(じようふ)
         世(よ)に生(い)くること能(よ)く幾時(いくとき)ぞ
安能畳燮垂羽翼 安(いづく)んぞ能(よ)く畳燮(じようしよう)して
          羽翼(うよく)を垂(た)れん

 食膳に向かっても、どうも食べられない
 そこで私は剣を抜き、立ち上がって柱に斬りつけ、
  深いため息をついてしまう
 一人前の男がこの世にどれほどの間、生きられるものか
 どうしてこせこせ歩いて、意気の揚がらないままでいられようか

 

《「畳燮」はちょこちょこ小股で歩くことで、気遣いながら生きること
  のたとえです。“短い人生、何か大きなことをしなきゃだめだ”と
  いうストレスです。でもうまくゆかない、そこで発想を転換するのが
  第二段、役人社会よりも家庭生活を重視しようと……すごい価値観の
  転換です。》p.53

 

棄檄罷官去 檄(げき)を棄(す)てて官(かん)を罷(や)め去(さ)り
還家自休息 家(いえ)に還(かへ)つて
         自(みづか)ら休息(きゆうそく)せん
朝出与親辞 朝(あした)に出(い)でて親(しん)と辞(じ)し
暮還在親側 暮(くれ)に還(かえ)つて
         親(しん)の側(かたはら)に在(あ)り

 いっそのこと役人としての身分を捨て
 家に帰って自分なりにくつろぐとしよう
 朝に家を出て家族と別れても
 夕方には家族の側に戻るのだ

 

「檄」は身分証明書、辞令のこと。「親」は家族のこと。
役人は残業もあり、地方に赴任するとなると単身赴任で、
役人を辞めれば家族と友にいられる、のだそうです。

 

弄児牀前戯 児(じ)を弄(ろう)して牀前(しようぜん)に戯(たはむ)れ
看婦機中織 婦(つま)を看(み)れば機中(きちゆう)に織(お)る
自古聖賢尽貧賤 古(いにしへ)より聖賢(せいけん)
         尽(ことごと)く貧賤(ひんせん)
何況我輩孤且直 何(なん)ぞ況(いは)んや我(が)輩(はい)の
         孤(こ)にして且(か)つ直(ちよく)るをやな

 家では我が子の相手をして寝台の前で遊び
 妻の方を見れば甲斐甲斐しく機織り機の中で布を織っている
 歴史を顧みれば、昔から立派な人たちは誰もが貧しく、
  志が叶えられなかった
 まして私のように有力な保護者もなく、
  かつ融通がきかない頑固一徹な者は、恵まれないに違いない

 

 《家庭生活の楽しみを具体的に想像して結びます。》

「聖賢」で思い浮かべるのは孔子と孟子、でも二人の人生は不遇のまま
終わってしまったので、

 《“孔子や孟子でさえも”のニュアンスがある。》
「弧」は援護者や後ろ盾のないこと。
 《“役人生活で成功しないと予想されるなら、もう辞めてしまおう”
  という宣言です。》
 《ずいぶん過激で、ふつうの人が言えないことを言ってしまって 
  います。拍手喝采を受けたんじゃないでしょうか。》

という解説の宇野さんでした。

 

 ●「梅花落」

「梅花落」という笛の曲があり、それに歌詞が付いて歌い継がれてきた。
それに新しい詩を作ったもの。
メロディに合わせるからでしょう、変則的な構成に。

 ・・・

梅花落 梅花落(ばいからく)  鮑照

 

中庭雜樹多 中庭(ちゆうてい) 雜樹(ざつじゆ)多(おほ)く
偏為梅咨嗟 偏(ひとへ)に梅(うめ)の為(ため)に咨嗟(しさ)す
問君何獨然 君(きみ)に問(と)ふ
         何(なん)ぞ独(ひと)り然(しか)るやと

 私の家の庭にはさまざまな木がたくさんある
 しかし私は、ただひたすら梅に対して感歎のため息をつく
 或る人が尋ねた、あなたはどうして梅だけを好むのか

 

念其霜中能作花 念(おも)ふ 其(そ)の霜中(そうちゆう)
         能(よ)く花(はな)を作(な)し
露中能作実 露中(ろちゆう) 能(よ)く実(み)を作(な)すを
揺蕩春風媚春日 春風(しゆんぷう)に揺蕩(ようとう)して
         春日(しゆんじつ)に媚(みめよ)し
念爾零落逐寒風 念(おも)ふ 爾(なんぢ)が零落(れいらく)して
         寒風(かんぷう)を逐(お)ひ
徒有霜華無霜質 徒(いたづ)らに霜華(そうか)有(あ)るのみにして 
         霜質(そうしつ)無(な)きを

 私はしみじみ思う、梅は冷たい霜の中で花を咲かせることができ
 冷たい露の中で実を結ぶこともできる
 ふつうの木々は春になると春風に揺られ、陽射しの中で美しさを競う
 しかし私はこう考える、お前たち一般の木々は秋に萎んで枯れ、
  寒い風の後を追ってちりぢりに散ってしまう
 そういうお前たちは、寒い冬の季節には、ただ白く輝く霜に覆われる
  だけで、霜に耐える強い性質がないんだね
 

「念う」は“ずっと考え続ける意味”
 

《梅はそうではない、霜や雪に耐えて立派な花を咲かせる。
  “私もそのように生きたい”と。》p.56

 《――うーん、官職でストレスのたまった人たちには、心に深く染み
   入る歌なんでしょうね。/
  古今東西、役人生活は大変なのでしょうが、その一点を捉えて巧みに
  表現したのが鮑照だったのでしょう。》p.56

 

 ●鮑照さんの詩の力

旅立つ人を歌う「代東門行」での、別れのつらさ――
今と違って連絡の手段が限られている時代ゆえの、
そういうもの悲しさというものが出ているようです。

二つ目の「擬行路難 其六」と三つ目の「梅花落」では、
役人生活の大変さを思わせます。
その立場に人たちにとっては、後ろ盾のある人とない人の差などは特に、
痛切に感じられるのではないでしょうか。

いつの時代にあっても勤め人の大変さは変わらないもののでしょう。

でも、それをストレートに表現する、そして後世まで残るというのは、
まさに詩の力の偉大さを感じさせます。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(36)山水詩の祖・謝霊運」と題して、今回も全文転載紹介です。

【最新号】編は、メルマガ本文の全文転載です。

【別冊 編集後記】は、【別冊 編集後記】編↓ で、

2026.5.31
【編集後記】中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)鮑照-楽しい読書412号

 

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弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

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2026.05.31

【編集後記】中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)鮑照-楽しい読書412号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2026(令和8)年5月31日号(vol.19 no.10/No.412)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)
鮑照「代東門行」「擬行路難十八首」「梅花落」」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年5月31日号(vol.19 no.10/No.412)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)
鮑照「代東門行」「擬行路難十八首」「梅花落」」
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 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」39回目は、元嘉期の詩人の
鮑照を取り上げます。

 平凡社の江原正士、宇野直人/著『漢詩を読む』のシリーズ第二巻
 『漢詩を読む 2 謝霊運から李白、杜甫へ』を参考にすすめています。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆ 唐代歌行詩の先駆者 ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)

  ~ 元嘉の三大家・三人目 ~ 
 
  鮑照「代東門行」「擬行路難十八首」「梅花落」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今回の参考文献――

『漢詩を読む 2 謝霊運から李白、杜甫へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/11/26
「一、元嘉期の詩人たち」より
(Amazonで見る)

260228-kansi2

 

 ●鮑照(ほうしょう 412?-466)

鮑照は、先に紹介しました謝霊運さんや顔延之さんと並び、
「元嘉の三大家」と称される詩人です。

鮑照は、晩年になって高い官職に就いた人で、
当時は軍閥が幅をきかす時代ではありましたが、
まだ社会的地位の高い貴族に対する価値観が残っていたのでした。

鮑照は、歌行詩という、
 《目で読むより耳で聴くことをとおして内容やメッセージを伝える
  ことが主になります。前もって曲があって、そのメロディに合う
  ように文字を並べてゆく――鮑照はそれが得意な詩人でした。》

今回はそんな歌謡体の詩三首を。

 

 ●「代東門行」東門行に代ふ

(以下、略)

 ●「擬行路難十八首」より「その六」

 ●「梅花落」

 ●鮑照さんの詩の力

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(39)鮑照「代東門行」「擬行路難十八首」「梅花落」」と題して、元嘉の三大家の最後の一人、鮑照さんの漢詩の紹介です。
今回も冒頭のみの転載です。
冒頭以下は、見出しのみで本文は省略させていただきました。

今回は替え歌ということですが、元歌を知らない筆者ではありますが、内容的にはわかりやすかったように感じました。
難しい言葉が比較的少なかったのか、それがこの方の持ち味の一つのようで、わかりやすい簡単な言葉を使い、知識や教養が必要な表現はあまり使わないという作風のようです。

文学に限らず、物事というものは、歴史の積み重ねの中に作られてゆくものだと思います。
そうとは言え、誰もが皆そのような知識や教養を持っているわけではないのです。
初心者にも理解できる作品というのも、一つの力の発揮の仕方だと思います。
そういうものを作れるというのも、作者の大事な力量でしょう。

 ・・・

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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2026.05.22

【最新号】私の読書論-長編小説について『アリバイ・アイク』解説-楽しい読書411号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

2026(令和8)年5月15日号(vol.19 no.9/No.411)
「私の読書論-長編小説について―
リング・ラードナー『アリバイ・アイク』
巻末【解説セッション】村上春樹×柴田元幸―より」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年5月15日号(vol.19 no.9/No.411)
「私の読書論-長編小説について―
リング・ラードナー『アリバイ・アイク』
巻末【解説セッション】村上春樹×柴田元幸―より」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今年のゴールデンウイークは後半が連休で、
 まとめて休みを取れた人も多かったようです。
 当方は、「毎日が日曜」族ですので、通常どうりというところ。

 とはいえ、天候が今ひとつ、気温はある程度高いにもかかわらず、
 何となくひんやりした感じが残り、結局は、冬ものの整理等で、
 時間を潰してしまいました。

 そんななかで手に取った本から、今回は書いてみましょう。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 私の読書論 -

  ~ 長編小説について ~

  リング・ラードナー『アリバイ・アイク』巻末
  【解説セッション】村上春樹×柴田元幸― より

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●リング・ラードナー『アリバイ・アイク』《村上柴田翻訳堂》

リング・ラードナーは、あまり日本では知られた作家ではないようです。
筆者は、青春時代、高校生の頃に購読を始めた『ミステリマガジン』と
いう、海外ミステリ専門誌(現在は、国内外のミステリを扱う雑誌)の
70年代の初めごろ、時折掲載されている短編を読んだことがあります。

バックナンバーでは、長編の連載もあったようです。
当時、新潮社から短編集が3冊ほど出ていました。

本書『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』加島祥造/訳、新潮文庫
<村上柴田翻訳堂>は、1978(昭和53)年9月新潮社刊の復刊。

 

『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』リング・ラードナー/著
加島 祥造/訳 新潮文庫<村上柴田翻訳堂> 2016/8/27
(Amazonで見る)

260515-aribai-aiku

 

《ヘミングウェイやフィッツジェラルドにも愛された、短編の名手にして
 名物コラムニストの傑作13編。息を吐くように言い訳する野球選手。
 スピード違反の女性に恋してしまった警察官。冷酷無情な行状を繰り
 返すボクサー。患者を放っておけないおしゃべり看護婦。夫の自慢が
 止まらない妻――。アメリカを虜にした饒舌すぎる語り口とユーモアが
 炸裂する! 《村上柴田翻訳堂》シリーズ。》

本書収録13編中では何度か読んでいる「微笑がいっぱい」がお気に入り。
《スピード違反の女性に恋してしまった警察官》のお話で、
甘くて酸っぱいといいますか、ほろ苦いお話です。

まあ、そういう話は置いておいて、今回のテーマは、
巻末の「村上春樹×柴田元幸」の解説セッション(2016年6月22日、
新潮社クラブにて)にあります。

ここで、村上さんが長編小説について語っています。
<長編小説という新しいシステム>(pp.462-465)の項がそれです。

2026515-murakami-sibata

 

 ●長編小説を書くための基本

リング・ラードナー(1885-1933)は、マーク・トウェイン(1835-1910)と
よく似た経歴の持ち主で、新聞のコラムで名を上げ、雑誌に短編小説を
書いて人気者となります。
マーク・トウェインは、のちに『トム・ソーヤーの冒険』や
『ハックルベリー・フィンの冒険』を初め、数々の長編を発表しました。
一方、ラードナーは、名編集者のパーキンズがコラムや短編のみならず、
長編を書かせようとしますが、うまくいかなかった。

その理由として村上さんは、

 《ラードナーは基本的に語りだけで持っていくスタイルだから、
  その文体だけで長いものを書くというのは簡単じゃない。語りって
  やっぱり息切れしちゃうんです。息が続くかぎりしか書けない。
  長編は一息で書くことはできません。》

それに対して、柴田さんは、 

《トウェインは一息で書ける短い語りから出発して、少しずつスパンを
  伸ばしていきます。(略)短いエピソードを連ねれば書けそうな
  テーマを選んで。そして長編のほうに向かっていきます。》

ラードナーもそれに向かいかけたができなかった、と。

村上《彼のヴォイスというのは饒舌なものだと思うんですが、
 その文体のみで長いものを書くのはむずかしいと思う。》

ここで、『素晴らしいアメリカ野球』のフィリップ・ロスの例をあげて、

 《ロスのヴォイスも饒舌ですが、彼の作品の場合には大きな仕掛けが
  ひとつあるわけです。ヴォイスの芸だけじゃない。そういう仕掛け
  なしで物語の息を続かせることはできないと思う。》

柴田《ラードナーは、物語の大きい枠になるような仕掛けを発想
 できる人ではなかったですね。》

 

ここで、長編小説を書くための基本的な発想が明らかになりましたね。
それは、物語の大きな枠となる仕掛けが一つ必要だ、ということ。

 

 

 ●普通のことを普通に書く

村上さんは、ラードナーは普通のことを普通に書くことができなかった、
つい面白おかしく書いてしまう、と。

村上《長いものを書くためには、普通の部分というものが必要なんです、
   絶対に。》
柴田《野球選手やボクサーといった、語り手のお面をかぶって書くことは
   できるんだけれど、そのお面をとって何かを語るということが
   できなかったんでしょうね。》
村上《フィクションを書くというのはアーティフィシャルな作業では
   あるけれども、といってアーティフィシャルな部分だけでは成り
   立たないんです。素の部分というものをはさまないといけない。
   野球でいえばカウントをとるためのカウント球みたいに。それを
   彼はできなかった。》
柴田《二イニングしか投げられないピッチャーみたいなものですね。
   二イニングは見事に抑えるけど、完投はできない。》

 

長編小説を書くうえでのもう一つのポイントがこれでしょうか。
長いものを書くために必要な普通の部分。

見事な“語り”は読ませるけれど、それだけでは、息継ぎのできない
水泳選手のようなもので、長距離は泳げません。

 

 

 ●「近代小説」という、長編小説の時代

19世紀になり、ヨーロッパだけではなく、
アメリカにも「近代小説」の波がやって来ます。

村上《資本主義というシステムに長編小説という枠組みが乗っかってきた
   といってもいい。短編は生活するため、長編は大きな流れを作り
   出すためという風に、それぞれの役割分担もできあがる。》

それが、フィッツジェラルドやヘミングウェイの時代。

一方、ラードナーは、

村上《長編小説で勝負して、短編小説で稼ぐという作家の生き方が登場
   するんですが、そこには対応できなかったということでしょうね。
   長編文化に行く前の世代というか。》

それ以前にも長編で勝負する作家はいたが、それはお金に困らないような
上流階級に属する特殊な人たちだった。

 

 ●声を聞くこと

柴田《ラードナーの作品は、ページから声がぱっと立ち上がってきます。》
村上《僕も小説を書くわけだけれど、スタイルはまったくちがうにも
   かかわらず、彼のヴォイスの力強さには感心するんですよね。
   小説というのは[耳で書く](傍点)んですよ。目で書いちゃいけない
   んです。(略)黙読しながら耳で立ち上げていくんです。そして
   どれだけヴォイスが立ち上がってくるかということを確認する。》

耳のない人もいるが自分は悪くない方だと。

村上《目で見た時に声が聞こえてこないと物語は書けない。ラードナーと
   いう人は声が聞きとれるし、立ち上げることができる人なんです。
   間違いなく、カズオ・イシグロもそうですね。みんなすぐに
   ヴォイスが立ち上がってくる。ロスなんかはもう、立ち上がり過ぎ
   という感じだけれど(笑)。》

柴田《翻訳でも同じことかもしれません。推敲というのはそういうこと
   なんでしょうね。目で確認しているんですが、じつは耳で聞いて
   いる。訳文から聞こえてくる声が原文と同じトーンで聞こえるか
   どうかチェックしている。》

 

村上さんも、人の書いた本を読むときも、本当は声を聞いているのだ、
と答えます。

柴田さんは、ヘミングウェイもフィッツジェラルドも、
ラードナーの文章を一時期手本にしたんでしょう、といい、

 《でもその後彼らは違う方向に進んでいって、ラードナーには
  ラードナーの立ち上がり方があり、ヘミングウェイにはヘミング
  ウェイの立ち上がり方があるということになって、二十世紀の文学は
  ヘミングウェイの立ち上がり方を選んだということなんでしょうね。》

と。

 

 

 ●短編の名手にして名コラムニスト――リング・ラードナー

村上春樹さんと柴田元幸さんのこの「解説セッション」は、
ラードナーという、
マーク・トウェインのようなアメリカのほら話的な伝統に基づく、
ジャーナリズム発の短編小説作家を俎上に上げて、
その後の「近代小説」という長編小説の時代に生き延び、
アメリカ文学の新しい流れを作った作家たちについて語っています。

長編小説を書くための、基本的なポイントも
いくつか理解できたように思います。

筆者もその昔楽しんだ作家である、
ラードナーをこの機会にまた読み直してみるのも、一興でしょう。

《登場人物全員おしゃべり! 全米を魅了した短編の名手にして
 名コラムニストによる13の傑作短編。》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論-長編小説について―リング・ラードナー『アリバイ・アイク』巻末【解説セッション】村上春樹×柴田元幸―より」と題して、今回も全文転載紹介です。

【最新号】編は、メルマガ本文の全文転載です。

【別冊 編集後記】は、【別冊 編集後記】編↓ で、

2026.5.31
【編集後記】私の読書論-長編小説について『アリバイ・アイク』解説-楽しい読書411号

 

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

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2026.05.15

【編集後記】私の読書論-長編小説について『アリバイ・アイク』解説-楽しい読書411号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2026(令和8)年5月15日号(vol.19 no.9/No.411)
「私の読書論-長編小説について―
リング・ラードナー『アリバイ・アイク』
巻末【解説セッション】村上春樹×柴田元幸―より」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年5月15日号(vol.19 no.9/No.411)
「私の読書論-長編小説について―
リング・ラードナー『アリバイ・アイク』
巻末【解説セッション】村上春樹×柴田元幸―より」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

 今年のゴールデンウイークは後半が連休で、
 まとめて休みを取れた人も多かったようです。
 当方は、「毎日が日曜」族ですので、通常どうりというところ。

 とはいえ、天候が今ひとつ、気温はある程度高いにもかかわらず、
 何となくひんやりした感じが残り、結局は、冬ものの整理等で、
 時間を潰してしまいました。

 そんななかで手に取った本から、今回は書いてみましょう。

 

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 - 私の読書論 -

  ~ 長編小説について ~

  リング・ラードナー『アリバイ・アイク』巻末
  【解説セッション】村上春樹×柴田元幸― より
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 ●リング・ラードナー『アリバイ・アイク』《村上柴田翻訳堂》

リング・ラードナーは、あまり日本では知られた作家ではないようです。
筆者は、青春時代、高校生の頃に購読を始めた『ミステリマガジン』と
いう、海外ミステリ専門誌(現在は、国内外のミステリを扱う雑誌)の
70年代の初めごろ、時折掲載されている短編を読んだことがあります。

バックナンバーでは、長編の連載もあったようです。
当時、新潮社から短編集が3冊ほど出ていました。

本書『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』加島祥造/訳、新潮文庫
<村上柴田翻訳堂>は、1978(昭和53)年9月新潮社刊の復刊。

 

『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』リング・ラードナー/著
加島 祥造/訳 新潮文庫<村上柴田翻訳堂> 2016/8/27
(Amazonで見る)

260515-aribai-aiku

 

《ヘミングウェイやフィッツジェラルドにも愛された、短編の名手にして
 名物コラムニストの傑作13編。息を吐くように言い訳する野球選手。
 スピード違反の女性に恋してしまった警察官。冷酷無情な行状を繰り
 返すボクサー。患者を放っておけないおしゃべり看護婦。夫の自慢が
 止まらない妻――。アメリカを虜にした饒舌すぎる語り口とユーモアが
 炸裂する! 《村上柴田翻訳堂》シリーズ。》

本書収録13編中では何度か読んでいる「微笑がいっぱい」がお気に入り。
《スピード違反の女性に恋してしまった警察官》のお話で、
甘くて酸っぱいといいますか、ほろ苦いお話です。

まあ、そういう話は置いておいて、今回のテーマは、
巻末の「村上春樹×柴田元幸」の解説セッション(2016年6月22日、
新潮社クラブにて)にあります。

ここで、村上さんが長編小説について語っています。
<長編小説という新しいシステム>(pp.462-465)の項がそれです。

2026515-murakami-sibata

 

 ●長編小説を書くための基本

(以下、省略)

 ●普通のことを普通に書く

 ●「近代小説」という、長編小説の時代

 ●声を聞くこと

 ●短編の名手にして名コラムニスト――リング・ラードナー

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本誌では、「私の読書論-長編小説について―リング・ラードナー『アリバイ・アイク』巻末【解説セッション】村上春樹×柴田元幸―より」と題して、村上春樹×柴田元幸の「解説セッション」からの長編小説についての発言の紹介です。

今回も冒頭のみの転載です。
冒頭以下は、見出しのみで本文は省略させていただきました。

 ・・・

リング・ラードナーといってもご存じない方のほうが多いでしょう。
筆者は、高校二年生の夏休みに出会った一冊の雑誌『ミステリマガジン』で、<都会小説>と銘打たれて時折掲載されていた、と記憶しています。

『アリバイ・アイク ラードナー傑作選』に掲載されている作品のうちのいくつかは読んでいます。
一番のお気に入りは、「微笑がいっぱい」ですかね。

以前、弊誌で取り上げた作家デイモン・ラニアンも、この雑誌で<都会小説>と銘打たれて同じ加島祥造さんの翻訳で紹介されていました。
ラードナーはこのラニアンの前によく紹介されていました。

ラードナーは、ラニアンに比べると数は読んでいません。
また、好みという点でも、ラニアンほどではありません。

ついでにいいますと、翻訳者の加島祥造(かじま しょうぞう 1923年1月12日-2015年12月25日)さんも、好みの作家です。
翻訳者で英米文学者で詩人で、伊那谷のタオイスト(『老子』の現代詩訳『タオ 老子』ちくま文庫など)としても有名で、筆者の敬愛する人物の一人でありました。

 

*参照:【リング・ラードナーRing Lardner】<加島祥造>翻訳書
『微笑がいっぱい』新潮社 1970/8/1
(Amazonで見る)

『息がつまりそう』新潮社 1971
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『大都会』新書館 1974
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『ラードナー傑作短篇集』福武文庫 1989/1/1
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『メジャー・リーグのうぬぼれルーキー』ちくま文庫 ら 4-1 2003/4/1
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【デイモン・ラニアン】
2024(令和6)年11月30日号(No.378)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(14)-2024-
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2024.11.30
レフティやすおの楽しい読書378号-告知-クリスマス・ストーリーをあなたに~(14)-2024-デイモン・ラニアン「三人の賢者」

 

▼デイモン・ラニアンと第一短編集『ガイズ&ドールズ』について
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新潮文庫にデイモン・ラニアン(『ガイズ&ドールズ』)が帰ってきた! 『ガイズ&ドールズ』デイモン・ラニアン/著、田口俊樹/訳 2024.5.29
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2026.05.07

【最新号】中国の古典編―漢詩を読んでみよう(38)顔延之-楽しい読書410号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

2026(令和8)年4月30日号(vol.19 no.8/No.410)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(38)
顔延之「還至梁城作」「夏夜呈従兄散騎車長沙」」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年4月30日号(vol.19 no.8/No.410)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(38)
顔延之「還至梁城作」「夏夜呈従兄散騎車長沙」」
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 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」38回目は、元嘉期の詩人の
 顔延之を取り上げます。

 平凡社の江原正士、宇野直人/著『漢詩を読む』のシリーズ第二巻
 『漢詩を読む 2 謝霊運から李白、杜甫へ』を参考にすすめています。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆ 見識も才能もある、ぼろ家に住む貴族 ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(38)

  ~ 生前は大詩人 ~ 
 
  顔延之「還至梁城作」「夏夜呈従兄散騎車長沙」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今回の参考文献――

『漢詩を読む 2 謝霊運から李白、杜甫へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/11/26
「一、元嘉期の詩人たち」より
(Amazonで見る)『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』

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 ●顔延之という人

顔延之(がん えんし 384-456)という人は、

《生前は大詩人の定評があったのですが、今日ではすっかり埋もれて
  しまいました。ただ読めばわかりますように、たいへん立派な詩を
  作った人ですので、ぜひここで再評価したいと思っています。》p.34

だということで、今回取り上げて見ようと思います。

謝霊運さんより一つ年上で、ほぼ同時代、東晋から宋王朝に移る頃に
青春時代を過ごした人で、謝霊運さんと同じ貴族で親しく、詩のやり取り
もしていたといいながら、謝霊運さんとは正反対で、ぼろ家に住み、
馬車ではなく、牛の引く車で動くという、財産や物質面に執着がない、
名誉など精神面に重きを置く人だったのでしょう、と。

見識も才能もあり、政府から重用された高官だった。
昔の「竹林の七賢」の阮籍(げんせき)のような生き方をした人で、
彼をまねて大酒を喰らい、政敵ばかりでなく自分の理解者や上司にも
暴言を吐く、という人柄。

 

 ●「還至梁城作」

東晋末期、三十歳で官職についた二年後に大抜擢を受けた顔延之さん。
のちに南朝の宋王朝を建てる将軍の劉裕(りゅうゆう)が、功績を挙げて
東晋から高い称号を授けられたとき、その使節となった顔延之が、
その行き帰りに作った詩が評判となり、以後栄転してゆくことに――。

題名にある河南省の梁城(りょうじょう 魏の都だった古都)についたとき
の大宴会で一座の人に詠んだ、社交的な色彩の強い詩。

歴史上の場所や人物が登場する、いわゆる「詠史詩」の性格もある。
戦国時代ゆかりの場所で、周辺を見て、それにちなんだ事件や人物を
思い出しながら作った詩。

 ・・・

 還至梁城作  還(かえ)りて梁城(りようじよう)に至(いた)るの作(さく)
顔延之

 

眇黙軌路長 眇黙(びようもく)として軌路(きろ)長(なが)く
憔悴征戍勤 憔悴(しようすい)して征戍(せいじゆ)に勤(つと)む
昔邁先徂師 昔(むかし) 邁(ゆ)きしとき
          徂師(そし)に先(さき)だち
今来後帰軍 今(いま) 来(きた)るとき 帰軍(きぐん)に後(おく)る

 どこまでも静かに馬車の道は続いている
 私は疲れてやつれながらも、遠征して守りにつく務めに励んでいる
 以前、都から北へ向かった時には
 朝廷の北伐の軍に先立って意気揚々と進んだものだが
 南に戻る今は、帰る軍隊に遅れをとってしまっている

 

振策睠東路 策(むち)を振(ふる)つて東路(とうろ)を睠(かへり)み
傾側不及群 傾側(けいそく)すれども群(ぐん)に及(およ)ばず
息徒顧将夕 徒(と)を息(やす)ましめて
          顧(かへり)みるに将(まさ)に夕(ゆふべ)ならず
極望梁陳分 望(のぞ)みを極(きは)むれば
          梁(りょう)・陳(ちん)分(わか)る

 馬にむちを振るって東への帰り道を見つめ
 身を乗り出すようにして先へと急ぐが
  行ってしまった兵士たちに追いつけない
 従う者たちを休ませて見回すと
  いつしか日が暮れようとしていて
 視線の届くかぎり見渡すと、梁と陳の国境が目に入る

 

故国多喬木 故国(ここく)に喬木(きようぼく)多(おお)く
空城凝寒雲 空城(くうじよう)には寒雲(かんうん)凝(こ)る
丘壟塡郛郭 丘壟(きゆうろう)に郛郭(ふかく)塡(み)ち
銘志滅文無 銘志(めいし)は滅(めつ)して文(ぶん)無(な)し
木石扃■幽闥 木石(ぼくせき)は幽闥(ゆうたつ)を扃■(とぎ)し
黍苗延高墳 黍苗(しよびよう)は高墳(こうふん)に延(の)ぶ

 古い都のここ梁城には高い木が多い
 人けのない町の上空には、冬の寒々とした雲が垂れ込めている
 盛り土をした墓が、城壁の外に連なっている
 墓の銘文は時代を経てすり減り、文字の形をなしていない
 木や石が墓の入口を覆い隠してしまっている
 黍やその他、雑草の茎が高い墓の上にはびこっているではないか

 

惟彼雍門子 惟(おも)ふ 彼(か)の雍門子(ようもんし)の
吁嗟孟嘗君 孟嘗君(もうしようくん)を吁嗟(うさ)せしむるを
愚賎同堙滅 愚賎(ぐせん) 同(おな)じく堙滅(いんめつ)す
尊貴誰独聞 尊貴(そんき) 誰(たれ)か独(ひと)り聞(きこ)えん
曷為久遊客 曷(なん)為(す)れぞ 久遊(きゆうゆう)の客(かく)
憂念坐自殷 憂念(ゆうねん) 
          坐(そぞ)ろ自(おのづか)ら殷(さかん)なる

 そこで私は思う。昔、戦国時代の雍門周が、
  人の命の短さやはかなさを述べて、孟嘗君を悲嘆に暮れさせたことを
 愚かな者、身分の低い者は皆消えてゆく
 そして身分の高い尊い人、立派な人も例外ではなく
 その中で誰が語り継がれるというのか、そんな人はいない
 さていったいどういうわけで、長旅を続けるこの私は、
 悩み事や心配が止めようもなく盛んに湧き起こり、
  深まってゆくんだろう

 

《――「愚賎(ぐせん) 同(おな)じく堙滅(いんめつ)す/尊貴(そんき)
   誰(たれ)か独(ひと)り聞(きこ)えん」のあたりなどちょっと引っ
   かかりますよね。
 そうですね。表面的には“身分の高下に拘わらず、人はみんな、やがて
 人生を終える”というのですが、仕官して二年、抜擢されて名誉の旅、
 そんな中で感性の鋭い人ですから、朝廷の内部事情への嫌悪感とか、
 やがて軍閥が天下を取る予感とか、いろいろ感じ取ったんでしょうか。
 「愚賎」は深読みすれば、朝廷で時代の流れを読み取れない人への
 風刺かもしれませんね。》pp.39-40

まあ誰も皆、「死すべき人間」で、いかに高名な偉人といえども、
時の移り変わりとともに、権力の座も移行してゆくわけで、
王様や皇帝のような絶対的な権力者といえども、死ねば元も子もない。
どんなに立派な墓を建ててはみても、時とともに荒廃してゆくわけで、
こういう詩にもつながってゆくのでしょう。

 

 ●「夏夜呈従兄散騎車長沙」

題名にもある二人の知人宛の個人的なメッセージなれど、
二重の意味があるといいます。

「還至梁城作」よりもずっと後の作で、ある程度朝廷での生活を経て、
暴言により一時左遷された時期に作られたもの。

《或る夏の夕暮れ時から夜にかけてさまざまな風物を見たり聞いたりし
 て、季節の変化に心を打たれ、親しい友人に会いたくなった心境を綴っ
 ています。》p.41

二人への手紙に付録として同封したものではないか、そのため、表面的に
読んだのでは分からない暗号がいくつかある、といいますが……。

「従兄散騎」の「散騎」は官職名で従兄の顔敬宗(がんけいそう)、
「車長沙」は車が名字。

 ・・・

 夏夜呈従兄散騎車長沙
 夏夜(かや) 従兄(じゆうけい)散騎(さんき)と(しやちようさ)
     とに呈(てい)す
顔延之

 

炎天方埃鬱 炎天(えんてん) 方(まさ)に埃鬱(あいうつ)
暑晏闋■塵紛 暑(しよ) 晏(く)るれば塵紛(じんふん)闋■(や)む
独静闕偶座 独(ひと)り静(しづ)かにして偶座(ぐうざ)を闕(か)き
臨堂対星分  堂(どう)に臨(のぞ)んで星分(せいぶん)に対(たい)す

 燃え立つように暑い日、
  まったく埃が立ちこめるように煩わしく鬱陶しい
 ところがその暑さも日が暮れると、土ぼこりもすっかりおさまった
 今は一人静かにここにいて、共に座る相手もなく
 広間の前に出て、夜空に広がる星を見つめている

 

側聴風薄木 側(ほの)かに聴(き)く
         風(かぜ)の 木(き)に薄(せま)るを
遙睇月開雲  遙(はる)かに睇(み)る
         月(つき)の 雲(くも)を開(ひら)くを
夜蝉当夏急  夜蝉(やせん)は夏(なつ)に当(あた)つて急(きゆう)に
陰虫先秋聞  陰虫(いんちゆう)は
         秋(あき)に先(さきだ)つて聞(きこ)ゆ

 私はじっと耳を澄ます 夜風の木々にあたってたてたかすかな音に
 はるか遠くに眺められる、月が雲を開いて現れるようすが
 夜の蝉は夏の季節にあたってせわしく鳴き続け、
 こおろぎは秋にならないのに声が聞こえる

 

歳候初過半 歳候(さいこう) 初(はじ)めて半(なか)ばを過(す)ぐ
荃■蕙豈久芬 荃■蕙(せんけい) 
         豈(あに) 久(ひさ)しく芬(かを)らんや
屛居惻物変  屛居(へいきよ)して物(もの)の変(へん)ずるを惻(いた)み
慕類抱情殷  類(るい)を慕(した)うて情殷(じよういん)を抱(いだ)く

 季節は今や、春夏と、一年の半ばをすぎたところである
 そうなると春以来の香り草も、
  これからずっと香っているというわけにはゆくまい
 引きこもって暮らしていると、
  万物が移り変わってゆくことにひときわ心が痛む
 親しい友のあなたたちを懐かしみ、会えない悩みを抱くのだ

 

九逝非空思  九逝(きゆうせい)
         空(むな)しく思(おも)ふに非(あら)ざれども
七襄無成文 七襄(しちじよう) 文(ぶん)を成(な)す無(な)し

 何度もあなた方を思い出して心を向けるが、
  ただ何となく思っているわけではない
 何度も推敲して作り直しても、あなた方に送るに値する
  立派な作品を完成させることが出来ないままだ
 

初めの二句に暗号が――「埃鬱」「塵紛」の埃や塵が気になるといい、
「塵埃」は俗世間、政治の社会や役人の社会のたとえ。
左遷中も顔延之は式典や宴会に引っぱり出されていて、この日も暑い中
引っぱり出され、夕方にやっと落ち着いたところ、と。

夜蝉~以下にも暗号が――

《つまり高潔な人格である私が暑い夏に焦りを
 感じている一方、次の季節の虫も出て来ている、これは“時代の変化に
 先立って小者たちが騒いでいる”といったところでしょうか。》p.42

「荃■蕙(せんけい)」も暗号で、『楚辞』以来、高邁な理想、固い節操の
たとえで屈原がよく使っていた、といいます。

《“私の人生ももう半ばを過ぎ、高邁な理想ももう長くはないかなあ”
 ということ、もしくは“王朝がもう全盛期を過ぎ、その立派なあり方も
 長くはなさそうだ”という予感を友人たちに伝えたのでしょうか。》p.43

屛居~以下も、

《“隠居しているからこそ、政治状況を敏感に感じ取って
 しまう”という意味にも取れます。》p.43

最後の二句は、二人へのメッセージ。

「九逝」「七襄」には出典があり、
「九逝」は『楚辞』(九章―抽思)の

《旅人の魂がひと晩のうちに九回
故郷に飛んで行く、つまり望郷の強さを表わします。》p.43

「七襄」は『詩経』(小雅―大東)の

《織女星が丹念に織物を織ること、
それが転じて、何度も推敲して詩文を作ることを言います。》p.43

 

 ●宇野直人さんの顔延之の詩への解説

《これらの二首は、顔延之の作品では比較的、彼本来の美質、感受性や
 才能の良い部分が出ているものだと思います。こういう詩をずっと作り
 続けていれば彼の名声は今日まで不滅だったと思いますが、朝廷で重用
 されて、本来と少し違う公の顔で生きることを強いられたのかなあ。》p.44

一方、宴会などで詠んだ詩は、見識の高さゆえにテクニックに走った
というか、朝廷の環境を軽く見てルーティンワークに安住してしまった、
という見方をされています。

友人に贈る詩に関しては、

《或る程度、自分の思いを込め、心情が吐露できた》(江原正士)p.44
《二十歳年上の陶淵明とも親しく、朝から晩まで酒を酌み交わして、
 別れ際にぽんと大金を渡して去った、という故事もあります。》p.44

 ・・・

今回、ネットで顔延之さんとその詩について調べようとしたのですが、
あまりこれといった情報を集められなかった、
というのが本当のところです。

まあ、その辺が宇野さんの言うところの、
今日では忘れられた詩人というところなのでしょう。

この二首は詩としてはなかなかなものだという気はしますが、
いまひとつと言えば、いまひとつなのかも、という思いもあります。

――というところ、今回はこのへんで。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(38)顔延之「還至梁城作」「夏夜呈従兄散騎車長沙」」と題して、今回も全文転載紹介です。

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2026.4.30
【編集後記】中国の古典編―漢詩を読んでみよう(38)顔延之-楽しい読書410号

 

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