2025.01.31

レフティやすおの楽しい読書381号-告知-私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編『ホビットの冒険』

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 【最新号・告知】

2025(令和6)年1月31日号(vol.18 no.1/No.381)
「私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編
『ホビットの冒険』」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2025(令和6)年1月31日号(vol.18 no.1/No.381)
「私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編
『ホビットの冒険』」
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 遅ればせながら、昨年2024年の私の年間ベスト3を紹介する
 〈フィクション系〉です。

 〈フィクション系〉は、小説や詩などの創作ものです。

 昨年読んだ本は、全部で60冊まで届かず、
 フィクション系も、再読を含めてなんとか40冊程度。
 以前は、再読を含めても50冊以上は読んでいました。

 その点ではちょっと不本意なところもありますが、
 その中からのベスト3ですので、あしからず。

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 - 今年も、昔の感覚に間違いはなかった!? -

  ~ 私の年間ベスト3・2024フィクション系(前編) ~

  2024年フィクション系ほぼ全書名紹介&<再読編ベスト3>

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 ●2024年の傾向と分類

2024年は、40冊程度。
うち再読が、凡そ半分18冊程度。

再読といいましても、新訳版・他社版・新装版等もあって、
限定しにくい面があります。

そこで今年も、<再読編ベスト3>と<初読編ベスト3>とに分けて
紹介してみましょう。

 ・・・

例年のように簡単に分類してみます。

(1)メルマガ用の本
(2)それ以外の古典の名作
(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

*(再):自分の蔵書の再読本、[再]:作品そのものは再読、本は新本

 

 ●(1)メルマガ用の本

・『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎』」
創元推理文庫 1984/12/22
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・『お人好しの放課後 御出学園帰宅部の冒険』阿藤玲
創元推理文庫 2017/8/31
(Amazonで見る)

――以上、<左利きミステリ>

 

・『陶淵明 全詩文集』林田慎之助/訳注 ちくま学芸文庫 2022/1/8
『陶淵明 全詩文集』(Amazonで見る)

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和6)年10月31日号(vol.17 no.19/No.376)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(31)陶淵明(8)村人たちと
「飲酒二十首」其の十四、其の九」

【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.10.31
レフティやすおの楽しい読書376号-告知-中国の古典編―
漢詩を読んでみよう(31)陶淵明(8)村人たちと「飲酒二十首」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/10/post-dd55d8.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/28a764aef4d8bdd85e7c3f0bbf475ac5

 

・(再)『ホビットの冒険――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 1997.11.10/2002.3.20
(『新版 ホビット――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 2012/11/12)
(Amazonで見る)

・[再]『最新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

・[再]『最新版 指輪物語2 旅の仲間 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」

【別冊 編集後記】2024.4.15
私の読書論183-トールキン『指輪物語』70周年-楽しい読書364号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/04/post-f5aa70.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ec7e37f6a896cbc7db84584c1518634b

 

・『神を見た犬』ディーノ・ブッツァーティ 関口 英子/訳
光文社古典新訳文庫 2007/4/12
(Amazonで見る)

・『タタール人の砂漠』ブッツァーティ/作 脇 功/訳
岩波文庫 2013/4/17
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年6月30日号(vol.17 no.12/No.369)
「私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』」

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.30
私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』
-楽しい読書369号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-833bdb.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/1a2dfc9f51edb19c7b68c715e2fefd78

 

・『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾 角川文庫 2014/11/22
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年7月15日号(vol.17 no.13/No.370)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2024から(1)角川文庫・
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾」

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.15
[新潮・角川・集英社]<夏の文庫>フェア2024から(1)
角川文庫『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾-楽しい読書370号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-297be6.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/dec18f6edd8ec927530af1a28ba45de1

 

・『鉄道員(ぽっぽや)』浅田 次郎/著 集英社文庫 2000.3
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年7月31日号(vol.17 no.14/No.371)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2024から(2)集英社文庫・
浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』から「ラブ・レター」」

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.31
[新潮・角川・集英社]<夏の文庫>フェア2024から(2)
集英社文庫『鉄道員(ぽっぽや)』浅田次郎-楽しい読書371号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-001c65.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/f4ce521f8ecee71271203e74823b460f

 

・『博士の愛した数式』小川洋子 新潮文庫 2005/11/26
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年8月31日号(vol.17 no.15/No.372)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2024から(3)新潮文庫・
小川洋子『博士の愛した数式』」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.8.31
[新潮・角川・集英社]<夏の文庫>フェア2024から(3)新潮文庫・
小川洋子『博士の愛した数式』-楽しい読書372号
23:40 2024/08/25
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/08/post-d9f901.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/219efd8040d39871150fdab98bf44954

 

・[再]完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』ヴェルヌ/著
鈴木雅生/訳 光文社古典新訳文庫 2024/7/10 
『十五少年漂流記 二年間の休暇』(Amazonで見る)

・『少年船長の冒険』ジュール・ヴェルヌ 土居寛之・荒川浩充/訳
角川文庫 昭和56(1981)/10/1
『少年船長の冒険』(Amazonで見る)

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和6)年10月15日号(vol.17 no.18/No.375)
「私の読書論189-完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』
(ジュール・ヴェルヌ 光文社古典新訳文庫)を読む」

【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.10.15
レフティやすおの楽しい読書375号-完訳版ヴェルヌ
『十五少年漂流記 二年間の休暇』を読む【別冊 編集後記】
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/10/post-ce97b4.html

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.28
光文社古典新訳文庫から完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』
ヴェルヌ/鈴木雅生訳 が発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-579d65.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8655ac0ebc9b20c696b589d7d66e1b24

 

 ●(2)それ以外の古典の名作

・『ガイズ&ドールズ』デイモン・ラニアン/著、田口俊樹/訳
新潮文庫 2024.5.29
『ガイズ&ドールズ』(Amazonで見る)

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.21
新潮文庫にデイモン・ラニアン(『ガイズ&ドールズ』)が帰ってきた!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-957440.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/342752af4485ba7edf05148c30f1b7e6

 

【ジュール・ヴェルヌ】

・(再)『緑の光線』中村三郎、小高美保/訳 文遊社 2014/7/30
・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(上)』
三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(下)』
三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
・『エクトール・セルヴァダック』石橋正孝/訳 インスクリプト
ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション 2023/4/21
・『ハテラス船長の航海と冒険』荒原邦博/訳 インスクリプト
ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション 2021/6/30
――完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』を読んだことで、
「未読の作品があったなあ」と思い出し、図書館へ。

 

 ●(3)小説や左利き本等著作のための勉強本

・『クイーンの定員I 傑作短編で読むミステリー史』
エラリー・クイーン/著 各務 三郎/編 光文社 1984/5/1
・『クイーンの定員II 傑作短編で読むミステリー史』
エラリー・クイーン/著 各務 三郎/編 光文社 1984/6/1
・『クイーンの定員III 傑作短編で読むミステリー史』
エラリー・クイーン/著 各務 三郎/編 光文社 1984/9/1
――エラリー・クイーンの編んだ、ポー以降の傑作、あるいは歴史的に
希少価値のあるミステリ短編集を集めた評論『クイーンの定員』から、
代表的な短編を集めたアンソロジーで、海外の短編ミステリ史を改めて
お勉強。

 

 ●(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

【ディック・フランシス】

・(再)『障害』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1982/7/1
・(再)『配当』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1987/7/1
・(再)『奪回』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1989/11/1
・(再)『証拠』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1990/8/1
・(再)『侵入』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1991/8/1
・(再)『連闘』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1992/10/1
・(再)『直線』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1995/8/1
・(再)『標的』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1996/9/1
――フランシスの<競馬>シリーズの本を整理しようかと思い、
手持ちの文庫本を再読中。

 

【ジョー・R・ランズデール】

・(再)『ボトムズ』北野 寿美枝/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2005/3/24
・(再)『ダークライン』匝瑳 玲子/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2006/7/1
――ともに、南部の人種差別に関する歴史ミステリ+少年時代の思い出、
といった内容の読み応えがあるミステリです。

 

【エドワード・D・ホック】

・『怪盗ニック全仕事2』木村 二郎/訳 創元推理文庫 2015/8/29
・『怪盗ニック全仕事3』木村 二郎/訳 創元推理文庫 2016/6/22
――依頼によって2万ドルの料金で価値のないものを専門に盗む、
短編ミステリの巨匠ホックが産み出したユニークな<怪盗ニック>が、
今までに手がけたすべての仕事を順に収録する短編集、全6巻中の2冊。

 

【梶尾真治】

・『おもいでエマノン』梶尾 真治/著 鶴田 謙二/イラスト
徳間デュアル文庫 2000/9/1
・『かりそめエマノン』梶尾 真治/著 鶴田 謙二/イラスト
徳間デュアル文庫 2001/10/1

――地球に現れた最初の動物から現在の動物までの全記憶を持つという、
女の子<エマノン>のシリーズ。第一作からの短編集と初の中編。

 

・『九人の偽聖者の密室』H・H・ホームズ/著 白須清美/訳
山口雅也/監修, 企画・原案 国書刊行会 奇想天外の本棚 2022/9/24
――海外の密室ミステリのベスト10に選ばれている、歴史的な一編。

・『ガラスの橋 ロバート・アーサー自選傑作集』
ロバート・アーサー/著 小林 晋/訳 扶桑社 海外文庫 2023/7/2
――「51番目の密室」等で知られるエドガー賞を2度受賞した短編作家
の日本初のミステリ短編集。アンソロジーで読んだ作品も多く収録されている。

・『地上最後の刑事』ベン・H・ウィンタース/著 上野 元美/訳
ハヤカワ・ミステリ 2013/12/6
――半年後、小惑星の衝突で世界が終わる、という極限の状況の中でも
職務に励む新人刑事の真摯な姿を描く。

・『受験生は謎解きに向かない』ホリー・ジャクソン/著 服部 京子/訳
創元推理文庫 2024/1/11
――高校生ピップの『自由研究には向かない殺人』以下の三部作の前日譚!
架空の殺人事件の犯人当てゲーム。

・『歌うダイアモンド マクロイ傑作選』ヘレン・マクロイ/著
好野 理恵ほか/訳 創元推理文庫 2015/2/27
――別れた夫ブレッド・ハリデーによる序文、SF短編、後に長編
「暗い鏡の中に」となった原型短編「鏡もて見るごとく」も含む、
ヴァラエティ豊かなミステリ短編集。

・『黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル』 パスカル・
エングマン/著 清水 由貴子/訳 ハヤカワ・ミステリ 2023/11/7
――警察の捜査と謎の人々の行動を交互に描く警察小説。

・[再]『ポアロ登場』アガサ・クリスティー/著 真崎 義博/訳
 ハヤカワ文庫・クリスティー文庫 2004/7/15
――作家としての最初期の雑誌掲載のポアロもの短編集。

 

 ●<再読ベスト3>候補

・(再)『ホビットの冒険――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 1997.11.10/2002.3.20
(『新版 ホビット――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 2012/11/12)
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・[再]『最新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
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・[再]『最新版 指輪物語2 旅の仲間 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
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――改めて『ホビット』を読んでみて、やはり面白かったなあ、と。
この本は作品だけでなく、注釈版とあるように、その辺の情報が、
中でも各国語版のイラストが、収録されていて楽しめます。

この『指輪物語』の文庫版は、偶然、本屋さんで見つけたものでした。
従来の文庫版は、活字が小さくて、読みづらかったものでした。
これは、最近の文庫本とおなじで、大きめの活字になっていて、
老眼にもやさしいものになっています。

まだ第一部を読んだだけです。
おもしろいとは思うのですが、もう一つ次から次へと読もう、
と思うほどではないと感じました。
なぜでしょうか?

この作品は、もう50年近く前に、
私が『詩とメルヘン』という雑誌の読者欄に投書した文章を読んだ
女子大生からお手紙をもらい、そこにオススメとして紹介されていて、
読んだものでした。
その時は楽しく読んだような記憶がありました。
あれだけの長さの本を次々読んでいたのですから。

しかし今回は、全体に暗く、かつ少し冗長な印象を受けました。
ある程度ストーリーを知っているということもあるのかもしれません。

 

・[再]完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』ヴェルヌ/著
鈴木雅生/訳 光文社古典新訳文庫 2024/7/10 
『十五少年漂流記 二年間の休暇』(Amazonで見る)

――過去に縮約版と完訳版を読んでいますが、
今回は違う出版社の新訳・完訳版での再読です。
けっこう忘れているのと、挿絵が全点収録されているので、
思った以上に楽しめました。

・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(上)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
(Amazonで見る)

・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(下)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
(Amazonで見る)

――これは、昔、高校生時代に、集英社から出ていた
コンパクト・ブックス版の<ヴェルヌ全集>で読んだものでした。
その後、集英社文庫で復刊されています。
(旧訳版・集英社文庫<ジュール・ヴェルヌ・コレクション>
『アドリア海の復讐(上)(下)』)
大デュマの『モンテクリスト伯』のヴェルヌ版といわれる冒険小説です。
今回新訳版の新本で読み直しても、おもしろいものでした。
この本は、ヴェルヌ作品ではお楽しみの一つである、
挿絵もすべて収録されていて、楽しめるものでした。
ただし、問題がひとつあり、新書版のハードカヴァーなのですが、
活字が小さく、老眼にはキツいものがありました。

 

・(再)『ダークライン』ジョー・R・ランズデール/著 匝瑳 玲子/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2006/7/1
(Amazonで見る)

――この作品は、アメリカ南部の黒人問題を取り上げている、
ミステリです。
前作『ボトムズ』もそうなのですが、ミステリ的にはそっちの方が上で、
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞も受賞しています。
でも、少年と黒人のおじいさんとの交流を描くこちらの方が、
小説として興味深く読めました。

 

・(再)『証拠』ディック・フランシス 菊池光/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 1990/8/1
(Amazonで見る)

・(再)『標的』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1996/9/1
(Amazonで見る)

――フランシスの本の中では、『証拠』が一番いい感じでした。
最愛の妻を亡くした主人公が、偶然遭遇した事件に立ち向かいます。
『標的』は、定職を捨てて小説に挑んでいる新進作家が主人公で、
その辺のところを興味深く読みました。

 

 ●2024年フィクション系<再読編べスト3>

 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡

   【2024年フィクション系<再読編べスト3>】

  (1)『ホビットの冒険――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 1997.11.10/2002.3.20

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  (2)『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(上)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
   『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(下)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18

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  (3)『ダークライン』ジョー・R・ランズデール/著 匝瑳 玲子/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2006/7/1

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 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡

 

どれも、名作です。
ランズデールの作品がネームバリューで落ちるかもしれませんが、
私の心に残したものは、A級です。

機会があれば、ぜひ御一読を!

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本誌では、「私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編『ホビットの冒険』」と題して、今回は全文転載紹介です。

私の昨年一年の<フィクション系>の読書の記録です。

こんな本を読んでるのか、とちょっと恥ずかしい部分もありますが、毎年続けてきましたので、今年も恥を忍んで。

なにかの足しになれば、と思います。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.12.31

レフティやすおの楽しい読書380号-告知-私の読書論192-私の年間ベスト3-2024年〈リアル系〉『都筑道夫の小説指南』

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 【最新号・告知】

2024(令和6)年12月31日号(vol.17 no.23/No.380)
「私の読書論192-私の年間ベスト3-2024年〈リアル系〉」
『都筑道夫の小説指南―増補完全版』中央公論新社」

 

--
今年も一年お世話になりました。

コロナ禍以降、心身共に体調不良もありました。
それでも、コロナ禍も一応収まり、
その後少しずつですが、体調も戻りつつある気がします。

来年もなんとか続けていけそうです。

左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』ともども
これからもおつき合いの程、よろしくお願いいたします。

レフティやすお <(_ _)>

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年12月31日号(vol.17 no.23/No.380)
「私の読書論192-私の年間ベスト3-2024年〈リアル系〉」
『都筑道夫の小説指南―増補完全版』中央公論新社」
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 今年も早一年の最終日を迎えました。
 年末年始恒例の「私の年間ベスト3」を。

 その年、もしくは前年に私が読んだ本から
 オススメの「私の年間ベスト3」を選ぶという企画です。

 まずは、「リアル系」から。

 ・・・

 「リアル系」とは、いわゆる論文やエッセイ系の著作、
 実用書のような解説系のものも含めて、を言います。

 それに対して、小説や詩等の文芸作品は「フィクション系」。

 「フィクション」に対しては
 「ノン・フィクション」という言葉があります。

 でも「ノン・フィクション」というと、
 またそれで一つのジャンルのようになってしまうので、
 あえて、どなたかが使っていた
 「リアル系」という言葉を使っています。

 エッセイの中には、フィクションと見まがうような、
 ホラ話的な内容の境界線上の作品もありますけれど。

 まあ、ここでは、論文に準ずるような著作とお考えください。
 言わんとすることは分かりますよね。

 ――と、これは毎度の台詞でした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - メルマガの為に読んだ本ばかり?(今年も?) -

  ~ 私の年間ベスト3・2024年〈リアル系〉~

 『都筑道夫の小説指南―増補完全版』都筑 道夫/著 中央公論新社

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●2024年の傾向

ここ数年コロナ禍の影響で読書量が減り、少しずつ回復してきましたが、
2020年以降、特にリアル系の読書が減ってしまっています。

今年の読書総数は、60冊どまり――。

リアル系は15冊程度。

今年もまたそのほとんどは、私の二つのメルマガ用に読んだものでした。

ということで、例年通り簡単に分類していきましょう。

 

 ●(1)メルマガ用のお勉強本―中国漢詩、読書、左利き関連

◆メルマガ『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』向け――

(以下、略)

241109matikara-shoten_20241211162001

(画像:『2028年 街から書店が消える日 ~本屋再生!識者30人からのメッセージ~』小島俊一/著 プレジデント社 2024/5/22

――<元本屋の兄ちゃん>の<町の本屋>論の参考書の一つ。)

◆メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』向け――

(以下、略)

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(画像:『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27

――タイトル通り、左利きのフランス人によるヨーロッパ(主にフランス)における左利き迫害の歴史と、その後の少しずつの解放についての著書。訳者も左利き。原著は2008年の第二版。)

 

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(画像:『すみれのスミレの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅/著  未來社 1992/1/1

――左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの、初エッセイ集。自身の左利きにまつわる話、左利きとヴァイオリンの話などにふれた「涙のひだりきき」という文章を含む。)

 

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(画像:『すみれのスミレの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅/著  未來社 1992/1/1

――左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの、初エッセイ集。自身の左利きにまつわる話、左利きとヴァイオリンの話などにふれた「涙のひだりきき」という文章を含む。

 ●(2)その他の古典系のお勉強本
 ●(3)小説や左利き本等の著作のためのお勉強本

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(画像:『都筑道夫の小説指南―増補完全版』都筑 道夫/著 中央公論新社 2023/10/23

――こちらはズバリエンタメ小説の書き方を実地に、多面的に指南する、都筑流創作術の完全増補版。没後20年記念刊行。評論やエッセイ、推理小説を十代から読んできた作家さんだけに生の創作論で楽しい。)


 ●(4)個人的な趣味、仏教や空海・弘法大師に関する本
 ●私の2023年〈リアル系〉ベスト3候補
 ●私の年間ベスト―2024年〈リアル系〉
 ●小説について思うこと

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今回も冒頭のみの転載です。
冒頭以下は、見出しのみで本文は省略させていただきました。

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.07.28

光文社古典新訳文庫から完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』ヴェルヌ/鈴木雅生訳 が発売

7月10日に、光文社古典新訳文庫から完訳版のジュール・ヴェルヌの名作『十五少年漂流記 二年間の休暇』が鈴木雅生さんの訳で発売されました。

『十五少年漂流記 二年間の休暇』ヴェルヌ/鈴木雅生訳 光文社古典新訳文庫(K-Aウ 2-4) 2024/7/10
『十五少年漂流記 二年間の休暇』(Amazonで見る)

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完訳版で、全712ページという分厚い本です。
なかなか読みでのある本になっています。

しかし内容を見ますと、光文社古典新訳文庫は、作品本文だけでなく、解説が豊富で、著者の年譜も付いています。
また、ヴェルヌの本にとってはもう一つの魅力でもある挿絵が、《原書初版に収録された図版約90点も収録》ということで、より大部の本となっているわけです。

1888年の作品で、時代は経っているものの、『ロビンソン・クルーソー』ものの一つで、少年たちが主人公の冒険ものということで、とっつきやすいのでは、と思います。
夏休みの中高生のみなさんにぜひ読んでいただきたいものです。

 ・・・

従来はこの季節、新潮文庫の<夏の文庫100冊>フェアで、新潮文庫の縮約版の『十五少年漂流記』が書店に並んだものでした。

もちろんこの本にはすでに完訳版があります。
一般向けの文庫では、集英社文庫<ジュール・ヴェルヌ・コレクション>の一冊『二年間のバカンス 十五少年漂流記』(横塚光雄訳) や、創元SF文庫『十五少年漂流記』(荒川浩充訳)があります。
しかしもうかなり昔の翻訳です。
私が持っている集英社文庫は1993年の出版ですが、元本は1967年に出版された集英社コンパクトブック版<ヴェルヌ全集>全24巻中の一冊です。
50年以上前の翻訳となりますね。

『十五少年漂流記』ジュール・ヴェルヌ/著 横塚 光雄/訳 2009/4/3
544ページ
『十五少年漂流記』(Amazonで見る) ISBN-10 ‏ : ‎ 4087605728

↑こちらは、2009年<桂 正和描き下ろしカバー>版。

 

お子様向けの文庫版でも何点か出ています。
光文社古典新訳文庫版『十五少年漂流記 二年間の休暇』の巻末の「訳者あとがき」に、『二年間の休暇』の書名で岩波少年文庫(私市保彦訳)、偕成社文庫(大友徳明訳)、福音館文庫(浅倉剛訳)からそれぞれ出ているとあります。
詳細は確認していませんが、こちらもみなそれなりに日が経っているように思います。

比較的新しい完訳ものでは、新潮社の<新潮モダン・クラシックス>の椎名誠と渡辺葉による父娘共訳という『十五少年漂流記』(2015/8/31)でしょうか。

『十五少年漂流記』ジュール ヴェルヌ/著 椎名 誠、渡辺 葉/訳
『十五少年漂流記』(Amazonで見る)

 

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2015.8.10
ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』椎名誠、渡辺葉・父娘共訳31日発売

 ・・・

現代では、翻訳物はみな、原語からの完訳が常識となっています。
冗長な部分をそぎ取り、ダイジェストした翻訳(日本の古典に関しても)は、今ではあまり評価されされなくなりました。
そういうものも必要だという人もいます。
作品をよく理解した訳者によるダイジェストは有用だ、というのです。
どちらとも言えないですね。

確かに入門書的に、そういうダイジェストから入るというやり方もあります。

私も若い頃にデュマの『モンテクリスト伯』のダイジェストものを読み、感動したことがあります。
『南総里見八犬伝』もそうですね。

子供の頃に読んだ少年少女ものの文学全集的なものはみな、そういうものでした。
ですから、一概には否定できないのも事実です。

 ・・・

私の今持っている『十五少年漂流記』の文庫本は、他に旺文社文庫版が2点あります。
ともに古本屋さんで購入したものです。
これは、訳者の「あとがき」によりますと、この当時まだ日本にこの本の完訳版はないとのこと。
で、《フランスで現在もっとも広く行われている縮約本をそのまま使うことにした》というものです。

旺文社文庫は、基本学参の出版社ということもあり、主に中高生向けに古典の名作名著をわかりやすく読みやすく紹介する、という使命の下、著者の人と作品についての解説や年譜など詳細な資料を付加した入門書的な構成になっています。
そういう性格からか、ここではストーリーを追うことを重点にした読みやすい抄訳版になったのかも知れません。

1.『十五少年漂流記』ジュール ヴェルヌ/著 金子 博/訳 旺文社文庫<特製版> 昭和44(1967)年7月
↑こちらは、ハードカバー版。

2.『十五少年漂流記』ジュール ヴェルヌ/著 金子 博/訳 旺文社文庫 昭和44(1967)年4月初版/1980年重版
↑イラストのカバー付き。

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(画像:私の蔵書から、ジュール ヴェルヌの『十五少年漂流記』文庫版の翻訳書4点――旺文社文庫<特製版>、旺文社文庫カバー付、集英社文庫<ジュール・ヴェルヌ・コレクション>版、新刊の光文社古典新訳文庫版)

 ・・・

まあ、いちばんいいのは、抄訳版と完訳版をどっちも読み、自分でどちらが良いか読み比べてみることでしょう。

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(画像:抄訳版と完訳版の厚さの違い――左から『十五少年漂流記 二年間の休暇』光文社古典新訳文庫 712ページ、集英社文庫<ジュール・ヴェルヌ・コレクション>版『二年間のバカンス 十五少年漂流記』544ページ、旺文社文庫/抄訳版版『十五少年漂流記』248ページ)

 

もう一つ、『十五少年漂流記』と同様の設定で書かれた小説に、ノーベル文学賞を受賞したウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』(1954)があります。
健全さを保ち、善への道を歩んだ前者とは異なり、悪にとらわれてしまった後者の違いは、ちょっとショッキングでしたね。
こういう読み比べもできます。

『蠅の王〔新訳版〕』ウィリアム・ゴールディング/著 黒原 敏行/訳 ハヤカワepi文庫(コ 1-1) 2017/4/20
『蠅の王〔新訳版〕』(Amazonで見る) 

 ・・・

最後に翻訳者の鈴木雅生さんは、光文社古典新訳文庫では、

『ポールとヴィルジニー』ベルナルダン・ド・サン=ピエール/著 鈴木 雅生/訳 (光文社古典新訳文庫 Aヘ 4-1) 2014/7/10
『ポールとヴィルジニー』(Amazonで見る) 

『戦う操縦士』サン=テグジュペリ/著 鈴木 雅生/訳 (光文社古典新訳文庫 Aサ 1-4) 2018/3/7
『戦う操縦士』(Amazonで見る)

を担当されています。

私の好きな二大作家ヴェルヌとサン=テグジュペリを翻訳されているのは嬉しいものです。
『ポールとヴィルジニー』も古くさいといえば古くさい小説ですが、色々な背景のある小説で、かつては広く読まれた古典で、読む価値ありだと考えています。
この本も原著挿絵付です。

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(画像:私の蔵書から、鈴木雅生さん訳の光文社古典新訳文庫版の『ポールとヴィルジニー』『戦う操縦士』。)

 

*【ヴェルヌの参考書】:

『ジュール・ヴェルヌ伝』フォルカー・デース 石橋正孝訳 水声社 2014/5/1
―本邦初のヴェルヌの評伝。力作です。ヴェルヌの伝記のなかで最も信頼に足ると言われるものです。
 当時の社会状況を知っていれば、また彼の作品をより多く読んでいれば、楽しさも増します。
『ジュール・ヴェルヌ伝』(Amazonで見る)

『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル』石橋正孝 左右社 2013/3/25)
―これも力作。元は学術論文ということで、ちょっと読みづらく感じたり、ヴェルヌの原稿をまな板に載せているため、それらを(邦訳がない、もしくは手に入りにくいため)未読の人には分かりにくかったりします。
 小説家ヴェルヌと編集者エッツェル、二人のジュールのあいだを巡る出版の秘密をめぐる“冒険”です。
『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル』(Amazonで見る)

『ジュール・ヴェルヌの世紀―科学・冒険・《驚異の旅》』東洋書林 2009/3/1
―これは見て楽しい本です。図版で見るヴェルヌの世界といってもいいかもしれません。
『ジュール・ヴェルヌの世紀―科学・冒険・《驚異の旅》』(Amazonで見る)

『文明の帝国 ジュール・ヴェルヌとフランス帝国主義文化』杉本淑彦 山川出版社 1995/8/1
―ヴェルヌの小説の表現を通して当時のフランス帝国主義を考えるという論文。原書からの挿絵も多数収録。
 巻末100ページを費やし、ヴェルヌの〈驚異の旅〉シリーズ全作品及び初期作品のあらすじを紹介。
 本書『名を捨てた家族』の解説でも触れられています。
『文明の帝国 ジュール・ヴェルヌとフランス帝国主義文化』(Amazonで見る)

『水声通信 no.27(2008年11/12月号) 特集 ジュール・ヴェルヌ』水声社 2009/1/6
―1977年『ユリイカ』以来の雑誌特集。本邦初訳短編「ごごおっ・ざざあっ」、ル・クレジオ他エッセイ、年譜、《驚異の旅》書誌、主要研究書誌。
『水声通信 no.27(2008年11/12月号) 特集 ジュール・ヴェルヌ』(Amazonで見る)

『ユリイカ 1977年5月号 特集=ジュール・ヴェルヌ 空想冒険小説の系譜』青土社 1977/5/1
―本邦初訳短編、フーコー、ビュトール、私市保彦他各氏エッセイ。
『ユリイカ 1977年5月号 特集=ジュール・ヴェルヌ 空想冒険小説の系譜』(Amazonで見る)

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(画像:蔵書から――『ジュール・ヴェルヌの世紀―科学・冒険・《驚異の旅》』東洋書林 2009/3/1 『文明の帝国 ジュール・ヴェルヌとフランス帝国主義文化』杉本淑彦 山川出版社 1995/8/1 『水声通信 no.27(2008年11/12月号) 特集 ジュール・ヴェルヌ』水声社 2009/1/6 『ユリイカ 1977年5月号 特集=ジュール・ヴェルヌ 空想冒険小説の系譜』青土社 1977/5/1)

 

*『お茶でっせ』ジュール・ヴェルヌの記事:

【ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション】
・2019.1.10 ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションV(カルパチア)と(シュトーリッツ)を読む

・2018.10.29 おまたせ!ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションV 第三回配本10月31日発売

・2017.11.21 ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション第2回配本『蒸気で動く家』を読む

・2017.4.7 『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』を読む

・2017.1.23 『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』1月20日発売

【文遊社<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・2014.7.19 文遊社ジュール・ヴェルヌ復刊第四弾『緑の光線』7月30日発売

・2014.1.13 文遊社ヴェルヌ復刊シリーズ第3弾『黒いダイヤモンド』年末に発売 
・2013.10.17 ジュール・ヴェルヌ『ジャンガダ』を読む

・2013.8.6 ジュール・ヴェルヌ『永遠のアダム』を読む&『ジャンガダ』出版

【その他の<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・2017.1.22 ヴェルヌ『名を捨てた家族 1837-38年ケベックの叛乱』を読む

・2016.7.25 角川文庫から新訳ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』(上下)7月23日発売

・2015.8.10 ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』椎名誠、渡辺葉・父娘共訳31日発売

・2013.6.2 ジュール・ヴェルヌの本2点『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』『永遠のアダム』

・2012.10.25 テレビの威力か?HPジュール・ヴェルヌ・コレクションにアクセス急増!

・2007.8.24 ジュール・ヴェルヌ『海底二万里(上)』岩波文庫

・2004.10.18 偕成社文庫版ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』と映画『80デイズ』
・2004.7.2 復刊された『グラント船長の子供たち』

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.06.15

[コラボ]私の読書論186-<左利きミステリ>第5回海外編(後)ホームズ以後--楽しい読書368号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 【別冊 編集後記】

2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」
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 × × × × × × × × × × × × × × × ×
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」
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*「前編」も見てね! 「前編」はこちらで↓
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(9:40 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000171874.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/

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 今回は、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その5回目です。

 

【過去のコラボ】

■1回目――

ツイッターで紹介した【左利きミステリ入門】のまとめでした。
そこでは、海外編として、19世紀以前の作品をツイッターで
 年代・国名・著者名・作品名・左利きの登場人物・
 左利きに関する記述の該当箇所
などの情報を紹介した、まとめ編でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第577号(No.577) 2020/8/15
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)
×レフティやすおの楽しい読書(No.276)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2020(令和2)年8月15日号(No.276)
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)
×左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(No.577)
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2020.8.15
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)-週刊ヒッキイ第577号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ed8cea.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/612cd4bd3edfdbeb612069497aef79fa
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)-「楽しい読書」第276号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ec0ad2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/245bddeded4348e10aaa4a027a6fab18

■2回目――

「<左利きミステリ>その後」と題して、
過去の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』の
「小説の中の左利き・推理小説編」やブログ等で紹介したもの以外に、
それ以降に見つけた<左利きミステリ>(広義のミステリ)のあれこれを
 年代・作品名・著者名(短編の場合は、収録書籍名)
をリスト化して紹介しました。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2021(令和3)年5月15日号(No.294)
「週刊ヒッキイコラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2021.5.15
・私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a

■3回目――

【第一回】のツイッター版【左利きミステリ入門】の続きの
海外編「20世紀以降」版から
<ホームズのライヴァルたち>の作品の紹介でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第628号(No.628) 2022/10/15
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2022(令和3)年10月15日号(No.328)
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.10.15
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
左利きミステリ~-週刊ヒッキイ第628号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-39e67a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ad9796a23bf53cf6eb0e80182a9d7b6a
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
私の自作左利きミステリ-「楽しい読書」第328号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-1a4b2b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/03236262a34a6ee2e03b42bff06e3267

■4回目――

<左利きミステリ>の国内編――国内ミステリのリスト紹介でした。

前半=『週刊ヒッキイ』版は、1948年「アンゴウ」坂口安吾 から、
(1997年)『三月は深き紅の淵を』「第二章 出雲夜想曲」恩田陸 まで。
後半=『楽しい読書』版は、2003年「書肆に潜むもの」井上雅彦 から、
(2019年3月)『レフトハンド・ブラザーフッド』知念実希人 までを紹介。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2023(令和5)年4月15日号(No.340)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後編)」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.4.15
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-5b4e1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d0e3f19af79760633cbcc87cac454f96

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<海外編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等のミステリの総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』

 

------------------------------------------------------------------
 1843:雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [番外編]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [ホラー]:ホラー [SF]:SF
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

(探)◆:左利きの探偵/探偵役
(被)▲:左利きの被害者
(犯)●:左利きの犯人
(容)▼:左利きの容疑者
(他)■:左利きのその他の事件関係者
(脇)╋:脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。

 

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<海外編>リスト
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降

Hidarikikimkaigai1

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>【海外ミステリ】編

 

(12)・1891年(イギリス)「ボスコム谷の謎」アーサー・コナン・ドイル (犯)●
『シャーロック・ホームズの冒険』収録
――左利きの犯人 外科医の傷跡証言から。
『シャーロック・ホームズの冒険【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/1/1
『シャーロック・ホームズの冒険【新訳シャーロック・ホームズ全集】』(Amazonで見る)
《「外科医の検死報告にあった傷の状態は...
 真後ろから殴っているのに、傷は頭の左側にあった。
 ...これはどうみたって左ききの人物の犯行としか考えられない。」》p.175

 

(13)・1893年(イギリス)「黄色い顔」 アーサー・コナン・ドイル (他)■
『シャーロック・ホームズの回想』収録
――ホームズの留守中に来た依頼人の忘れ物から、左利きだ、と推理。
『シャーロック・ホームズの回想【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/4/12
『シャーロック・ホームズの回想【新訳シャーロック・ホームズ全集】』(Amazonで見る)
《「しかも焦げているのはパイプの右側だから、左ききだ。
きみのパイプをランプにかざしてごらんよ。
右ききだから、左側を火にさらすことになるだろう。」》

(参考) ジュリアン・シモンズ『コナン・ドイル』深町真理子/訳
創元推理文庫 1991/5/1
『コナン・ドイル』(Amazonで見る)
――彼はエディンバラ大学医学生時代、外来診療実習生として、
 エディンバラ病院の外科医でもあった恩師ジョーゼフ・ベル博士の
診療室での“講義”で推理法を身につけた。
新しい患者がはいってくると、ベル博士はずばりと言う。―
 「この人は左利きで、靴直し職人だ」それから、それを説明して...
「ズボンのひざ...右側のほうが、左側よりもはるかにすりきれかたが
激しい...底革を打つのに、左手を使っている証拠だよ」

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』
2005.9.17
依頼人は左利き―ホームズの名推理「黄いろい顔」より
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2005/09/post_4893.html
2011.9.24
推理小説と左利き:週刊ヒッキイhikkii278名作の中の左利き
~推理小説編1
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/09/hikkii2781-f03e.html

 

(14)・1899年クリスマスデイ[1999(アメリカ)]「クリスマスの陰謀」
 エドワード・D・ホック (犯)●
(原題) The Christmas Conspiracy
――ホームズ・パスティーシュ。
 1999年 "More Holmes for the Holidays" 収録
『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』
日暮雅通/他訳 原書房 2012/6/1 (原書)2008
『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』(Amazonで見る)
《「でも、執事があの人だということが、どうやってわかったんですか?」
 「左利きだという明らかな事実が...首攻めをしたときも、
  左手を使って...写真でも...左手に銃を持って」》p.204 (日暮雅通/訳)

 

(15)・1896年(イギリス)「プラットナー先生綺談」H・G・ウェルズ [SF]
――SFファンタジー。四次元世界に飛ばされたのち戻ってきたら、
 右利きから左利きへ肉体の左右が逆転した男の話。
『バベルの図書館8白壁の緑の扉』ボルヘス/編 小野寺健/訳
国書刊行会 1988/9/24 収録
『バベルの図書館8白壁の緑の扉』(Amazonで見る)
《ゴットフリート・プラットナーの体が解剖学的に左右逆転している
 というくらい厳然たる事実も例がないのだが》p.51
《さいきん右手が左手になってしまったらしい。》p.52

*参照:2020年2月15日
 『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』565号
 『レフティやすおの楽しい読書』264号
左右反転小説-左利きになった男(楽しい読書/週刊ヒッキイ・コラボ編)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-386af3.html

 

(16)・1904年(アメリカ)「ミス・ペブマーシュ殺人事件」バロネス・オルツィ
 (被)▲
――右手にペンを持った被害者のダイイング・メッセージは……。
(初出)『ロイヤル・マガジン』1904年8月号
(単行本)1905年『ミス・エリオット事件』The Cace of Miss Elliott 収録
『隅の老人[完全版]』バロネス・オルツィ 平山雄一/訳 作品社 2014/1/31 収録
『隅の老人[完全版]』(Amazonで見る)
《(召使いの証言)「『奥様の字はいつも読みにくいんですよ。
 左手で書くとこうなってしまうんですねえ』」/
 「『左手だって!!!』と、検視官は息を呑んだ。...
 『だってそうなんですよ!』...『奥様は子供のころに右手に
 ひどい怪我をされて、何もつかめないのを知らなかったんですか?
 指が麻痺してしまったんですよ。インク壺はいつも書き物机の左側に
 置いてあるじゃありませんか。ええ! 奥様は右手では一文字も
 書けないんですよ』」》p.262

 

(17)・1906年(アメリカ)「余分な指」ジャック・フットレル (犯)●
――左手の人差し指を切り落としてくれと云う依頼を受けた外科医……。
(初出)『サタデー・マガジン』1906年11月25日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一/訳
作品社 2019/7/30
『思考機械 [完全版]第二巻』(Amazonで見る)
《「この人差し指を」...「第一関節で切断していただきたいのです。...」
 「どうして切り落としたいのですか?」...
 「それは申しあげられませんわ」...
 「先生がお知りになる必要はありません。あなたは外科医、
  私は手術をしてもらいたい。それで十分でしょう」》

 

(18)・1907年(アメリカ)「壊れたブレスレット」ジャック・フットレル
 (犯)●
――思考機械対賢い娘。住所を書いてといっても、
 左手に鉛筆を持ったまま躊躇する女。
(初出)『サタデー・マガジン』1907年9月8日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一訳
作品社 2019/7/30
『思考機械 [完全版]第二巻』(Amazonで見る)
《...娘はちょっと手を止め、左手で持った鉛筆の尻で白い歯を叩き
 ながら考えていた。...》《「私、字が下手なんですもの。それに、
 手袋をしているから」...》p.382
《「...彼女は左利きか?」/「いいえ、違います。右利きです。...」》
p.383

 

(19)・(1909年)(イギリス)「アルミニウムの短剣」オースチン・フリーマン (容)▼
(原題) John Thorndyke's Case
――科学捜査を取り入れたソーンダイク博士探偵譚。左利きの容疑者。
 左後方からの短剣による刺し傷から推理。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
『ソーンダイク博士の事件簿I』(Amazonで見る)
《「...背中の左側という短剣の位置からみて、
  犯人は左利きにちがいありません。...」》p.279

 

(20)・1911年(フランス) 「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン (犯)●
(原題) L'ECHARPE DE SOIE ROUGE
――怪盗紳士ルパン(リュパン)もの。ガニマール警部はルパンから
 「犯人は左利きだ」と教えてもらったことで命拾いする。
(初出)『ジュ・セ・トゥ JE SAIS TOUT』誌 79号(1911/08/15)
(単行本)『リュパンの告白』(原著1913)井上勇/訳 創元推理文庫 1966/3/24
『リュパンの告白』(Amazonで見る)
(『世界短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫 1961/1/13)
『世界推理短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫・新版改題2018.9.14
「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン 井上勇/訳
『世界推理短編傑作集2』(Amazonで見る)
《...リュパンが与えた警告を思い出した。プレヴァイユは左ききなのだ。
 左手で捜しているのは、ピストルだ。》p.144

 

(21)・(1913年)(アメリカ)『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム
 <ファンタジー・童話> (他)■
(原題)Patchwork Girl of Oz
――マンチキンの少年「不運なオジョ」は、13日の金曜日生まれの左利き
『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム 佐藤高子/訳
 ハヤカワ文庫NV 1977(昭和52)/12/15
『オズのつぎはぎ娘』(Amazonで見る)
《「偉大なる人物の多くは左ききだ」》
《「左ききは、ふつう、両方が使える。右ききはだいたいにおいて
 右しか使えない」》p.309

 

(22)・(1914年)(イギリス)「ディオニュシオスの銀貨」アーネスト・ブラマ
 (他)■
(原題) The Coin of Dionysius (第一短編集 "Max Carrados" 収録)
――盲人探偵初登場作品、脇役の私立探偵カーライルが左利き。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
 創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
『マックス・カラドスの事件簿』(Amazonで見る)
《カーライル氏の右の袖口にハンカチがはさんであるということは、...
 カーライル氏が左利きである証拠だなどと推論することはしなかった。》p.25

 

(23)・1917(1918)年(アメリカ)「藁人形」メルヴィル・デヴィッスン・
 ポースト (犯)●
(原題) The Straw Man (Uncle Abner, Maser of Mystery)
――アメリカ開拓時代のウェスト・ヴァージニアを舞台に、敬虔な
 キリスト教徒(プロテスタント)のアブナー伯父の探偵譚。左利きの犯人
 を、左という言葉を使うことなく(読者に伏せて)追い詰める。
初出不明、『イラストレイテッド・サンディ・マガジン』1917年6月10日号
再録、<EQMM>1959年12月号掲載
【邦訳】『ミステリマガジン』1975年4月号(No.228)掲載 山田辰夫/訳
『アンクル・アブナーの叡知』メルヴィル D.ポースト/著 吉田誠一/訳
ハヤカワ・ミステリ文庫 1976/1/1
――1918年出版の<アブナー>もの短編集(18編収録)の完訳。
『アンクル・アブナーの叡知』(Amazonで見る)
『アブナー伯父の事件簿』メルヴィル・デイヴィスン・ポースト 菊池光
/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/1/20
《作者生前の短編集に未収録の作品を全編収めた待望の一巻!全14編収録》
『アブナー伯父の事件簿』(Amazonで見る)
《...人間の体は、奇妙な構造になっている。二つの同じような機構が
中央の胴体に結びつき合っているかのように、二つの面をそなえている
 のだ。右側、つまり、朝日に向かった時に南にある側と、左側、つまり
 北にある側だ。この二つの側面は同等ではない。一方が主導権をもって
 いてその人間を支配しており、困難な仕事に直面すると、人は、主導権
 を有するそのより能率的な側でその仕事に対処する。》 p.177
《「彼はつねに左側の壁を伝って歩いていたのだ。...」
 「なぜなら、主導権をもっているのが左側―つまり、犯人は左利き
 だからだ!》p.178

 

*参照:
第287号(No.287) 2011/11/19「名作の中の左利き~推理小説編
 -2-「藁人形」M.D.ポースト」
2011.11.24
<アブナー伯父>「藁人形」:週刊ヒッキイhikkii287
名作の中の左利き~推理小説編2
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/11/hikkii2872-da28

 

(24)・(1918年)(イギリス)「消えた金融業者」オースチン・フリーマン [未](被)▲
(単行本)第3短編集"The Great Portrait Mystery"収録
――左利きの被害者。左手の指を死体入れ替わりトリックを破る証拠に
 仕立てようとしているが、今一歩で「左利きミステリ」の未熟児?
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
『ソーンダイク博士の事件簿II』(Amazonで見る)
《「死者の左手の第三指に印章付きの指輪をはめていたとマーボットの
 医者は証言しているじゃないか。関節が膠着症の指に指輪をはめる
 わけはないだろう」》p.66

 

(25)・1924年(イギリス)「夜鶯荘」アガサ・クリスティ [準]左手首のほくろ
 /傷
(原題) Philomel Cottage
(初出)『グランド・マガジン』1924年11月号
――知り合ったばかりの男性と結婚した主人公は、二重結婚で妻を殺した
 男の古い新聞記事を夫の引き出しに見つける。その顔は夫にそっくり、
 左手首にほくろがあるというが、夫の左手首には傷が……。
『世界推理短編傑作集3』江戸川乱歩/編 創元推理文庫 新版改題 2018/12/2
『世界推理短編傑作集3』(Amazonで見る)
《...その男には、左の手首、手のひらのすぐ下のところにほくろがある
 という事実.../...夫の左の手首、手のひらのすぐ下のところに、
 小さな傷あとがあるのだ。》p.173-174
『リスタデール卿の謎』アガサ・クリスティー 田村 隆一/訳
 ハヤカワ文庫 クリスティー文庫56 2003/12/15
『リスタデール卿の謎』(Amazonで見る)

 

(26)・(1925年)(イギリス)「砂丘の秘密」オースチン・フリーマン (被)▲
(原題) The Puzzle Look
(初出)『ピアスン』誌 単行本(1925年)"The Pazzle Lock"収録
――左利きの被害者。浜辺に残されていた服(左の袖口に油絵の具)と
  道具(パレットナイフの磨り減り方から)から。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
『ソーンダイク博士の事件簿I』(Amazonで見る)
《「どうして左利き用とわかったんだ?」.../
 「刃のすりへった角度からだよ」》p.340

 

(27)・(1927)(イギリス)「ポンティング氏のアリバイ」オースチン・
 フリーマン (犯)●
(原題) The Magic Casket  第6短編集
――左利きの犯人。自殺に偽装した首のナイフの傷跡の方向(被害者自身
 の左から右へ)と左利きの犯人の手の動き(相手に向かって右から左へ)
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
『ソーンダイク博士の事件簿II』(Amazonで見る)
《...ハンカチを巻きつけた右手にパイプをもって、左手でタバコを
 つめた。不自由なくやってのけるところを見ると左ききらしい。
 マッチも左手でするし、腕時計も右の手首にはめているから、
 この推理はまちがいないようだ。》p.104

 

(28)・(1927年)(イギリス)「フラットの惨劇」アーネスト・ブラマ [準](被)▲
(原題) The Holloway Flat Tragedy
(1927年)第三短編集"Max Carrados Mystery"収録
――盲人探偵マックス・カラドスもの、「顔のない死体」もの、死体
 入れ替えの証拠作りのため手袋で隠す。被害者の左手指が欠損。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
 創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
『マックス・カラドスの事件簿』(Amazonで見る)
《...彼は手袋をはめたままの左手を上げて、「指が一本ないので、
 こうしていつも手袋をはめているのですよ。...」》p.212

 

(29)・(1927年)(イギリス)『ビッグ4』The Big Four「11 チェスの問題」
 アガサ・クリスティー (被)▲
――名探偵エルキュール・ポアロものの短編連作風の長編の一章。
 世界的なチェス・プレイヤーの対戦で、3手目に相手が急死する。
 毒物は発見されず、左手に火傷の跡があるだけ。被害者は左利き。
『ビッグ4』アガサ・クリスティー 中村 妙子/訳 ハヤカワ文庫
 クリスティー文庫 2004/3/16
『ビッグ4』(Amazonで見る)
《「彼が左利きだということはどうですか?」/
 「あなたには驚かされます。まるで魔法使いのようですね、ムッシュ・
 ポアロ。どうしてわかったんですか? ええ、ウィルソンは左利き
 でした。事件とはべつに何の関係もありませんがね」》p.175

 

(30)・(1928)(フランス)「金歯の男」モーリス・ルブラン [準][番外編]
――ルパンがバーネットと称し、探偵社をやっていたときの事件。夜中に
 神父が目撃した、司祭館聖器室の宝物を盗んだ犯人は、左側に金歯。
 しかし、容疑者の金歯は右……。左右の問題。
『バーネット探偵社―ルパン傑作集VII―』モーリス・ルブラン
 堀口大學/訳 新潮文庫 1960/7/1
『バーネット探偵社―ルパン傑作集VII―』(Amazonで見る)
《「実は金歯ですよ。...二本あるんですが、ただ……。」/...
 「右側にあるんですよ……ところがわしが見たのは、左側なんです。」》p.97

 

 ――以上、<ホームズ以後>19世紀末から20世紀初頭まで

 いずれ機会を見て、この続きの「1930年代<探偵小説黄金時代>以降」
 を紹介します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」と題して、今回も全文転載紹介です。

『週刊ヒッキイ』の「編集後記」にも書きましたように、現代編までかければベストでしたが、分量的に無理で、今回はここまでです。

<シャーロック・ホームズのらいヴァルたち>まではなんとか到達しました。
結構な冊数の<ライヴァルもの>を調べたつもりですが、すべてを網羅というのは難しいかと思います。

いよいよ次回は、<1930年代・探偵小説の黄金時代>以降現代まで、に突入です。
いつになるかはわかりませんが、お楽しみに。

今、20点ぐらいは判明しているものがあると思います。
もちろんきちんとした<左利きミステリ>ではないもの――登場人物の妄想であるとか、ラストの一場で登場したり、といったほんの一エピソードだけのものも含めての数字です。

そういう作品も含めても、楽しんでいただける内容になると信じています。
では。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.04.15

私の読書論183-トールキン『指輪物語』70周年-楽しい読書364号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」
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 今年1954年から70年となります。
 この年には、偉大なる人々や偉大なる創作物が生まれています。

 最初に、1月生まれの
 “ユーミン”の愛称で知られる荒井由実、現・松任谷由実さん。

 かつてオリンピックの野球の「長嶋ジャパン」で、
 長嶋さんが倒れて代役の監督を務めた、
 現役時代は「絶好調男」と呼ばれた、元プロ野球巨人軍の中畑清さん。

 歴代最長の任期を記録した元首相、故・安倍晋三さん。

 (もう一人、一部の人々――主に左利きの、
  そのまた一部の人たちの間では、
  左利き界の“第一人者”とか“大師匠”とか呼ばれる、
  「レフティやすお」さんも1月生まれです)

 創作物でいいますと、最新作がアカデミー賞を受賞したことで
 改めて話題となっている<ゴジラ>シリーズの第一作「ゴジラ」。

 海外では、そう、今回取り上げます『指輪物語』です。

 『指輪物語』は全三巻(普及している邦訳版では全六巻)ですが、
 その第一巻(邦訳版「旅の仲間」上下)、
 第二巻(同「二つの塔」上下)が、本国イギリスで出版されたのが、
 この年でした。ちなみに、第三巻(同「王の帰還」上下)は翌1955年。

 ということで今回は、
 J・R・R・トールキンの『指輪物語』について――。

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◆ 1954年の奇跡!? ◆

  ~ 『指輪物語』『ホビットの冒険』の作家トールキン ~

 『指輪物語』第一巻・第二巻出版(1954年)から70周年
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 ●『最新版 指輪物語』文庫版・全六巻(評論社)

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2022年に、『指輪物語』の邦訳版の出版元・評論社から、
『最新版 指輪物語』の文庫版・全六巻が出ました。

2022年9月、AmazonのPrime Videoプライム・ビデオ
『ロード・オブ・ザ・リング――力の指輪 第1シーズン』
の配信に合わせたもののようで、その広告の帯が付いています。

出版社の紹介文にも、

《ファンタジー文学の最高峰『指輪物語』が
 日本で初刊行された1972年から奇しくも50年目の2022年、
 訳文と固有名詞を全面的に見直した日本語訳の完成形として、
 本最新版をお届けします。》

 

この文庫のことは知らなかったのですが、
これという気になる本がないなあ、と近所の本屋さんをのぞいていて、
見つけました。

従来あった文庫版は、活字が小さくて、文庫派の私でしたが、
買う気になれずにいたものでした。

本屋さんにあったのは、この全六巻だけでしたが、
第七巻「資料編」も2023年に出ています。


『最新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《遠い昔、魔王サウロンが、悪しき力の限りを注ぎ込んで作った、
 指輪をめぐる物語。全世界に、一億人を超えるファンを持つ
 不滅のファンタジーが、ここに幕を開ける。》
631ページ

『最新版 指輪物語2 旅の仲間 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 黒の乗手の追跡から、辛くも逃れたフロドが目を覚ましたところは、
 「裂け谷」のエルロンドの館。翌朝、モルドールに抵抗する種族――
 魔法使い、エルフ、人間、ドワーフ、ホビット――の代表が参加する
 会議がエルロンドの主催で開かれ、指輪をどのように扱うかについて
 話し合われた。さて、その決定は……》
547ページ

『最新版 指輪物語3 二つの塔 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 ガンダルフを失った悲しみを、ロスローリエンで癒した一行は、
 大河アンドゥインを漕ぎ下り、とうとう別れ道へ差し掛かる。
 フロドの指輪棄却の決意を知ったボロミルは、それを奪おうとする。
 逃げ出すフロド。悔悟したボロミルは、オークとの戦いに倒れ、
 メリーとピピンはさらわれる。ここに旅の仲間は離散した……》
545ページ

『最新版 指輪物語4 二つの塔 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 ボロミルから逃れて一人モルドールに向かおうとするフロド。
 しかし、忠実なサムは、出し抜かれずに後を追う。
 大河アンドゥインの東側に連なる急峻エミュン・ムイルの荒涼たる
 山中を、やっとのことで抜け出した二人だったが、
 その後ろに忍び寄る一つの影が……》
418ページ

『最新版 指輪物語5 王の帰還 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 堕落した魔法使いサルマンが所持していたパランティールを、
 好奇心に勝てずに覗き込んだピピンは、魔王サウロンの見出すところ
 となる。ガンダルフは、パランティールをアラゴルンに預け、
 ピピンを連れてミナス・ティリスへ。
 一方ローハン軍召集のためにエドラスに向かう騎士たち。
 空にはナズグールが飛び交い、風雲急を告げる中、
 物語は佳境へと近づく。》
436ページ

『最新版 指輪物語6 王の帰還 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 フロドをオークの手から奪い返した忠実なサム。
 二人は、助け合いながら最後の使命を果たすべく滅びの罅裂を目指す。
 一方、冥王の目をフロドたちから逸らすべく、黒門前に兵を進めた
 ガンダルフやアラゴルンをはじめとする西国の勇士たちは、
 圧倒的な兵力の差のため暗黒の渦に吞み込まれようとしていた……
 ここに「一つの指輪」をめぐる物語の大団円を迎える。》
403ページ

『最新版 指輪物語7 追補編』J・R・R・トールキン/著 瀬田貞二,
田中明子/訳 評論社文庫 2023/5/30
(Amazonで見る)

《瀬田、田中訳の完成形として、日本初刊行以来50年の
 2022年に刊行を始めた『最新版指輪物語』の最終巻。
 固有名詞と訳文の見直しを行った。本編では語られていない
 歴史の記述、固有名詞便覧など、『指輪物語』世界の案内書。》

 

 ●著者J・R・R・トールキンについて

――出版社より(著者について)
1892~1973年。南アフリカのブルームフォンテンに生まれ、3歳のとき、
イギリスに移住。オックスフォード大学卒業。第一次世界大戦に従軍後、
1925年からオックスフォード大学教授。中世の英語学と文学を中心に
講じた。『指輪物語』は、20世紀最高のファンタジーとされる。
これに先立つ物語として『ホビットの冒険』『シルマリルの物語』
『ベレンとルーシエン』があるほか、児童向けの作品に
『トールキン小品集』『サンタ・クロースからの手紙』などがある。

というわけで、2023年に没後50年として出版されたのが、

『ユリイカ 2023年11月臨時増刊号』総特集◎J・R・R・トールキン
 ―没後50年――異世界ファンタジーの帰還― 青土社 2023/10/5
(Eureka 2023 no.811 vol.55-14)
(Amazonで見る)

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《『指輪物語』や『ホビットの冒険』といった作品において壮大かつ
 緻密な世界を構築し、様々な”読み直し”の旋風を巻き起こしてきた
 J・R・R・トールキン。後続世代による模倣と継承から、映像や
 ゲームがもたらしたビジュアライズの時代を経て、没後から半世紀が
 経つ本年、終わらざりしトールキン論に臨みたい。》

目次
❖異世界は何度でも /上橋菜穂子 /小谷真理 /井辻朱美
 /パトリック・カリー(訳=鏡リュウジ)
❖汲み尽くしがたい源流 /鶴岡真弓 /一條麻美子 /石野裕子
❖座談会 /大久保ゆう+川野芽生+逆卷しとね
❖遠く聞ゆるは懐かしき調べ /伊藤尽 /清水知子 /宮本裕子
 /木澤佐登志 /森瀬繚
❖テーブルを囲んで /上田明
❖創造のカレイドスコープ /辺見葉子 /髙橋勇
 /アラリック・ホール(訳=岡本広毅)
❖エルフ語入門 /伊藤尽
❖言葉は輪廻する /山本史郎 /小野文 /小澤実
❖叙述から始めよ /桑木野幸司 /勝田悠紀 /岡田進之介
 /石倉敏明 /渡邉裕子
❖資料 /髙橋勇 編

 

 ●『指輪物語』の思い出

私がこの作品を読んでのは、1979年6月から7月の初めについて。
この作品を読もうと思ったのは、山口の女子大生からお便りをもらい、
その中にオススメ本としてこの本のことが書かれていたからでした。

これではよく事情がおわかりにならないでしょうから、
もう少し説明します。

当時の私の愛読雑誌のひとつだった、
故やなせたかしさん編集の『詩とメルヘン』の読者投書欄に、
私の投書が掲載され、それを読んだ人が手紙をくれたわけです。

以前このメルマガでも紹介しました、ハヤカワSF文庫から出た、
ゼナ・ヘンダースン『果てしなき旅路』のような作品を書いてみたい、
というのが私の投書でした。

疎外された立場の人たちが仲間を得て、彼らの手助けもあり、
自分を肯定できるようになり自立して行く、といった内容の作品で、
私のお気に入りの作品でした。

*参照:
【ゼナ・ヘンダースン <ピープル>シリーズ
  『果てしなき旅路』『血は異ならず』ハヤカワ文庫SF】

220812people

『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン/著 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF ピープル・シリーズ 1978/7/1(1959)
(Amazonで見る)

・2023(令和5)年1月15日号(No.334)「私の読書論165-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(前編)総リスト&再読編」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2023.1.15
私の読書論165-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(前)総リスト&再読編
-楽しい読書334号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/01/post-ce3d4b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/963db458297d62363a53bf4aaefe9930

・2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2023.1.31
私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編
-楽しい読書335号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/01/post-059ad0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3d8f4210a27677ac55d433cea1778596

 

それに対して、お返しにご自分のお気に入りの作品として、
この『指輪物語』が紹介されていました。

さっそく図書館で借りて読み始めました。
長い作品でしたが、面白く読んだ記憶があります。

その後、この作品の前作というべき児童向けの『ホビットの冒険』も
楽しみました。

45年前の思い出話です。


『ホビットの冒険 上』J・R・R・トールキン/著 瀬田 貞二/訳
岩波少年文庫58 2000/8/18
(Amazonで見る)
《ひっこみじあんで、気のいいホビット小人のビルボ・バギンズは、
 ある日、魔法使いガンダルフと13人のドワーフ小人に誘いだされて、
 竜に奪われた宝をとり返しに旅立つ。79年刊の新版。》
336ページ
『ホビットの冒険 下』J・R・R・トールキン/著 瀬田 貞二/訳
岩波少年文庫59 2000/8/18
(Amazonで見る)
《魔法の指輪を手に入れたビルボとその一行は、やみの森をぬけ、
 囚われた岩屋からもなんとか脱出に成功。ビルボたちは、
 いよいよ恐ろしい竜スマウグに命がけの戦いを挑む。79年刊の新版。》
282ページ

『新版 ホビット――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 2012/11/12
(Amazonで見る)
《映画「ロード・オブ・ザ・リング」で世界中にブームをまきおこした
 J.R.R.トールキンの『指輪物語』。 その前章の物語『ホビット』の
 定本(第四版)の新訳決定版! 著者自筆の挿絵および各国語版の挿絵を
 収録。 時代を越えて読み継がれる“名作"の理解を助ける詳細な
 注釈付の愛蔵保存版。 2012年12月、3部作の第1弾
 「ホビット 思いがけない冒険」がついにロードショー!》
470ページ

(文庫)
『ホビット〈上〉―ゆきてかえりし物語』J・R・R・トールキン/著
山本史郎/訳 原書房 2012/11/1
(Amazonで見る)
《時代を越えて読み継がれる不朽の名作『ホビット』を、
 さまざまな角度から詳細な注釈をつけた新訳決定版。
 トールキン自筆の挿絵つき。持ち歩きしやすい文庫判。》
362ページ

『ホビット〈下〉―ゆきてかえりし物語』J・R・R・トールキン/著
山本史郎/訳 原書房 2012/11/1
(Amazonで見る)
422ページ

 

 ●『指輪物語』の内容について

『指輪物語』は1960年代に欧米の若者たちのあいだで大いに読まれた、
といわれています。
1960年台後半、ベトナム戦争に嫌気したアメリカの若者たちのあいだで、
カンターカルチャーとしてファンタジーが流行し、
『指輪物語』のペーパーバックが300万部も売れたといわれています。

日本では、1972年に翻訳刊行されました。

『ゴジラ』が水爆実験の影響で出現した、とされているのに対して、
この作品は「指輪」が核兵器を表している、という読み方もあります。

実際には、戦時中から書かれた物語ということなので、
その時代背景が著者に影響している、
というのが本当のところではないか、といわれています。

 

さて、なにしろ45年ほど前に読んだっきりですので、
詳しいストーリーも今は忘れてしまい、
あらためて『ホビット』から読み直している状況で、
まだ第一巻「旅の仲間」(上)巻を読んでいるところですので、
具体的な感想などはまだ書けません。

『ホビット』も昔読んだ、岩波少年文庫版『ホビットの冒険』ではなく、
20年ほど前に手に入れたまま放置してあった旧版、
『ホビット―ゆきて帰りし物語― 第四版注釈版』のほうです。

240415-hobbit-harashobou2002

図書館で岩波少年文庫版の方ものぞいてみましたが、
Amazonのレヴューにもあるように、
ひらがなが多くおとなにはちょっと読みづらく感じました。
おとなが読むなら、
原書房版のおとな向けの翻訳の方が適しているかもしれません。

 

 ●おとな向けファンタジー『指輪物語』

『ホビット』と『指輪物語』の違いについて書いておきましょう。

一言でいえば、「子供向け」と「おとな向け」ということになります。
その分、ストーリーがより複雑になり、
背景となるムードもより深刻になっています。

『ホビット』は、ホビット族のビルボ・バギンズが主人公で、
ドワーフの王様とその一行がドラゴンに奪われたお宝を奪回にゆく旅に、
魔法使いガンダルフの推薦を受けて「忍び」役として同行し、
お宝を奪い返したご褒美と、偶然手に入れた指にはめると姿を消せる、
魔法の「指輪」を持って帰って来るという、副題にあるように、
文字通り<ゆきてかえりし物語>で、
その途中で出会う冒険の数々を語るものです。

『指輪物語』は、このときの「指輪」が実は、
魔王サウロンが探している魔法の指輪で、
この世界を統べることができるというしろもので、
これを奪われないようにどうにかしよう、とビルボから指輪を預かった
養子のフロド・バギンズが仲間たちと旅に出る、というものです。

「黒の乗手」という悪の一味たちから追われる旅です。

――私は、今はまだその辺までですね。

今どきの小説と違って、会話の応酬で進め、
ジョットコースターのようなストーリー展開で読者を離さない、
といったものとは異なり、
詩というか歌も交えて、ゆったりとした地の文で読ませるお話、
というイメージです。

『ホビット』も子供向けにしては長いお話でしたが、
『指輪物語』もまた長大な作品です。

残り5巻とちょっと。
何ヶ月後になるかわかりませんが、読み終えたら
具体的なストーリーの紹介や感想など書いてみたい、と思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」と題して、今回も全文転載紹介です。

『指輪物語』の映画化作品三部作もありました。
そちらで知っているよ、という人も多いかと思います。
あるいはゲームも出ているそうで、そちらで知ってるという人もいるのかもしれません。

映画にしろゲームにしろどちらにしろ、それはそれでいいのですけれど、やはり本の方を読んでいただきたいと思っています。
それがそもそもの始まりだから。
小説というのは、言葉の芸術なのです。
歌なども言葉の芸術の一つですけれど、これには音、あるいは声が伴います。
しかし、小説のほうは、言葉のみ、それも文字のみの世界です。

それは、人間だけが楽しめる世界といっても過言ではありません。

そういう頭の中だけの空想の世界で遊ぶのも楽しいものなんですよ。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.02.15

私の読書論181-私の年間ベスト3・2023年〈フィクション系〉(後)初読編-楽しい読書360号

(まぐまぐ!)古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2024(令和5)年2月15日号(No.360)「私の読書論181-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(後編)初読編ベスト3 」

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2024(令和5)年2月15日号(No.360)「私の読書論181-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(後編)初読編ベスト3 」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

 「私の年間ベスト3・2023年フィクション系(後編)」です。

 <フィクション系>は、文字通りフィクション、
 小説等の創作ものを指します。

 今回はいよいよ「初読編ベスト3」を。

「再読編」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和5)年1月31日号(No.359)「私の読書論180-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(前編)総リスト&再読編 」
『レフティやすおのお茶でっせ』2024.1.15
私の読書論180-私の年間ベスト3・2023年〈フィクション系〉(前)総リスト&再読編-楽しい読書359号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/01/post-244657.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/24ab2ce38b836145b195398a2c4197f6

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 - 青春ミステリか? 老人探偵団か? -

  ~ 私の年間ベスト3・2023フィクション系(後編) ~

  2023年フィクション系ほぼ全書名紹介&初読編ベスト3

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 ●<初読編ベスト3>候補

<初読編ベスト3>の候補となる、
初読のフィクションの全書名を紹介してみましょう。

例年のように簡単に分類してみましょう。

(1)メルマガ用のお勉強の本
(2)それ以外の古典の名作
(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

 ・・・

(1)メルマガ用のお勉強の本

・『曹操・曹丕・曹植詩文選』川合 康三/編訳 岩波文庫 2022/2/17
(Amazonで見る)

――読書メルマガ『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』の
参考資料。

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2023(令和5)年3月31日号(No.339)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(21) ―曹丕(そうひ)」
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.3.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(21) ―曹丕(そうひ) -楽しい読書339号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/03/post-849fb1.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e03d798d0eb5364d8cd88d8d0fc20004

 

(2)それ以外の古典の名作

・『八犬伝(上・下)』山田風太郎 山田風太郎傑作選・江戸篇 河出文庫
2021/2/5
(Amazonで見る)

(Amazonで見る)

――江戸時代の戯作本、滝沢馬琴『南総里見八犬伝』の「虚の世界」と、
それを書く馬琴が画家・葛飾北斎等を相手に、日常の作家として、一人の
世帯主としての葛藤を語る姿を描く「実の世界」を交互に綴る、風太郎版
『八犬伝』。

・『世界推理短編傑作集6』戸川安宜編 創元推理文庫 2022/2/19
(Amazonで見る)

――2018年にリニューアルされた江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』
全5巻を補完する第6巻。未収録作家13人の古典的名作を収録。冒頭、
1870年発表のエミール・ガボリオ「バティニョールの老人」は、左手に
よるダイイング・メッセージという<左利きミステリ>。既刊の短編集や
アンソロジーに収録されているものも多いが、まとめて読めるのは便利。

(3)小説や左利き本等著作のための勉強本

特になし。

(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

【新井素子】
・『二分割幽霊綺談』講談社 1983
――パラレルワールドにつながる?トンネルの向こうとこちらで
繰り広げる奇想冒険談。
『二分割幽霊綺談』講談社文庫 1986/3/1
(Amazonで見る)

・『・・・・・・絶句(上下)』早川書房 新鋭書下ろしSFノヴェルズ
1983/12/15, 1984/1/15
――異星人の起こした事故で、新井素子の創作したインナー・スペースが
現実化して大混乱……という奇想SF。
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・『あなたにここにいて欲しい』文化出版局 1984/7/1
――自分一人ではなにもできない女性と、彼女の世話をすることに自己の
存在意義を認めてきた女性。小学校以来の二人の友人同士の交流に、
新たな人物が現れ、互いの相互依存があらわになる……。
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――80年代、本屋さん時代に買ってそのままになっていた本たち。
当時の人気作家でしたが、今では現行本がほとんどないようです。

【リチャード・オスマン】
・『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』羽田詩津子訳 ハヤカワ・ミステリ
2022/11/2
(Amazonで見る)

――第一作では謎の人物だった、老人探偵グループ〈木曜殺人クラブ〉の
中心メンバーのエリザベスと、死んだはずのかつての同僚英国諜報員の
事件。彼はダイヤを持ち逃げし、諜報組織とマフィアから追われていた。
メンバーは、この国際的陰謀との戦いに乗り出す。
一方で、メンバーの一人元精神科医のイヴラヒムが一人で町に出たとき、
若者に襲われスマホを奪われる、という事件が起きる。このとき、肉体の
負傷以上に、精神的にまいってしまう。それを老人仲間たちが支え、
励ます姿の美しさ。さらに精神科医の彼が女性警官の相談を受けたときの
回答も読ませます。

・『木曜殺人クラブ 逸れた銃弾』リチャード・オスマン 2023/7/4
(Amazonで見る)

――第三作では、かつて大規模詐欺事件を追求するうちに事故死した
女性キャスターの事件を、有名キャスターと捜査を始める。
一方エリザベスは、マネーロンダリングにまつわる事件に巻き込まれる。

以上、イギリスの高級高齢者施設に住む老人たちの探偵クラブ
〈木曜殺人クラブ〉の面々による探偵冒険譚のそれぞれ第二作と第三作。
老人たちの会話が読ませます。著者は第一作を書く前に、高齢者施設で
取材もしたというのですが、老人の仲間入りをした現在の私が読んでも、
迫るものがあって、単なる娯楽小説に終わらず、読む価値ありの作品に
なっているように感じます。

【ホリー・ジャクソン】
・『自由研究には向かない殺人』服部京子訳 創元推理文庫 2021/8/24
(Amazonで見る)

出版社の紹介文《イギリスの小さな町に住むピップは、大学受験の勉強と
 並行して“自由研究で得られる資格(EPQ)"に取り組んでいた。題材は
 5年前の少女失踪事件。交際相手の少年が遺体で発見され、警察は彼が
 少女を殺害して自殺したと発表した。少年と親交があったピップは彼の
 無実を証明するため、自由研究を隠れ蓑に真相を探る。調査と推理で
 次々に判明する新事実、二転三転する展開、そして驚きの結末。
 ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、イギリスで大ベストセラーとなった
 謎解き青春ミステリ!》

・『優等生は探偵に向かない』服部京子訳 創元推理文庫 2022/7/20
(Amazonで見る)

出版社の紹介文《人の兄ジェイミーが失踪し、高校生のピップは調査を
 依頼される。警察は事件性がないとして取り合ってくれず、ピップは
 仕方なく関係者にインタビューをはじめる。SNSのメッセージや写真
 などを追っていくことで明らかになっていく、失踪当日のジェイミーの
 行動。ピップの類い稀な推理で、単純に思えた事件の恐るべき真相が
 明らかに……。『自由研究には向かない殺人』待望の続編。この衝撃の
 結末を、どうか見逃さないでください!》

・『卒業生には向かない真実』服部京子訳 創元推理文庫 2023/7/18
(Amazonで見る)

出版社の紹介文《わたしはこの真実から、決して目を背けない。『自由
 研究には向かない殺人』から始まったミステリ史上最も衝撃的な3部作
 完結編!
 大学入学直前のピップに、不審な出来事がいくつも起きていた。無言
 電話に匿名のメール。首を切られたハトが敷地内で見つかり、私道には
 チョークで首のない棒人間を書かれた。調べた結果、6年前の連続殺人
 事件との類似点に気づく。犯人は服役中だが無実を訴えていた。ピップ
 のストーカーの行為が、この連続殺人の被害者に起きたことと似ている
 のはなぜなのか。ミステリ史上最も衝撃的な『自由研究には向かない
 殺人』三部作の完結編!》

――数々のミステリベスト10で上位にランクインした、女子高校生ピップの
探偵譚三部作。さわやかな青春ミステリとして、謎解きミステリのように
開幕したシリーズでしたが、第三作では、意外な展開になります。
ストーカー行為を受けたピップが反撃に転じるのですね。真実とは何か?
非常に重たい問いかけです。彼女の選択を肯定できるかどうかが、
その人の人間としての一つの試金石ともいえます。
その時その時で人は意外な行動を取ることもあります。最終的に、人は、
起きてしまったこと、済んでしまったことを変えることはできません。
その時点で、人は自分の信じる道をただ前へ、前へと向かって進むしか
ないのです。

・『マジック・ミラー』有栖川有栖 講談社文庫 1993
新装版 マジックミラー (講談社文庫) 文庫 – 2008/4/15
(Amazonで見る)

――双子の兄弟による兄嫁殺しのアリバイ・トリックもの。
被害者の妹が推理作家とともに謎に迫る。

・『不吉なことは何も』フレドリック・ブラウン 越前 敏弥 訳
創元推理文庫 2021/9/21
(Amazonで見る)

――《『真っ白な噓』に続く巨匠の代表的ミステリ作品集》という
【名作ミステリ新訳プロジェクト】の一冊。アリバイ・トリックものの
中編「踊るサンドイッチ」がお目当てで読んだ一冊だったが。

・『スペースマン―宇宙SFコレクション(1)―』伊藤典夫、浅倉久志編
 新潮文庫 1985/10/1
(Amazonで見る)

・『スターシップ―宇宙SFコレクション(2)―』伊藤典夫、浅倉久志編
 新潮文庫 1985/12/1
(Amazonで見る)

――この二冊は本屋さん時代に買ってそのままだった、宇宙ものSFの
アンソロジー。ハインライン「地球の緑の丘」やアシモフ「夜来たる」等
名作も多く散りばめられた好アンソロジー。

・『ラブ・フリーク 異形コレクション(1)』井上雅彦監修
広済堂文庫―異形コレクション 1 1997/12/1
(Amazonで見る)

――書き下ろしの恐怖小説・怪奇小説・幻想小説のアンソロジー第一弾。
異常な状況下の恋愛を描いたもの。集中一番のオススメは、岡崎弘明
「太陽に恋する布団たち」。明るく優しい気持ちになれる名作だろう。

・『下町ロケット ヤタガラス』池井戸潤 小学館文庫 2021/9/7
――『下町ロケット ゴースト』に続く、帝国重工・財前との共同事業、
準天頂衛星「ヤタガラス」を利用した無人農業ロボット開発での、
下町中小企業との競争物語。
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以上17点ほどでした。

思いのほか少なく、ベスト3を選ぶのも結構大変と思われます。

といいつつ、勝負は決まっている感じです。

 ●2023年フィクション系<初読編べスト3>

今回の<初読編ベスト3>は、以下の作品となります。

 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡

   【2023年フィクション系<初読編べスト3>】

  (1)【ホリー・ジャクソン】
・『自由研究には向かない殺人』服部京子訳 創元推理文庫 2021/8/24
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・『優等生は探偵に向かない』服部京子訳 創元推理文庫 2022/7/20
(Amazonで見る)

・『卒業生には向かない真実』服部京子訳 創元推理文庫 2023/7/18
(Amazonで見る)

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(画像:【ホリー・ジャクソン】女子高校生ピップ三部作
『自由研究には向かない殺人』『優等生は探偵に向かない』
『卒業生には向かない真実』創元推理文庫―創元推理文庫のサイトから)

 

  (2)『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』リチャード・オスマン
羽田詩津子訳 ハヤカワ・ミステリ 2022/11/2
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  (3)『八犬伝(上・下)』山田風太郎 山田風太郎傑作選・江戸篇
 河出文庫 2021/2/5
(Amazonで見る)

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(画像: 図書館本『八犬伝(上・下)』山田風太郎 山田風太郎傑作選・江戸篇 河出文庫 2021/2/5) 

 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡

 

(1)と(2)は、真逆の主人公たちを描いています。
方や高校生、方や70歳を越えた老人たち。
(3)の<実の世界>の馬琴たちももう老人です。

ハツラツとした高校生たちの探偵冒険の世界と、同じ現代を舞台にして、
SNS等を活用する探偵物語でも、主人公がこれほど異なれば、
読む側の私も高齢者であり、感情移入的には、後者に軍配が上がっても
おかしくありません。

ただ一種の憧れに似た何かがあり、こういう青春ものには
肩入れしたくなるのも事実です。

老人への親近感と青春へのあこがれといった、個人的な読者として
感情的な評価は別にして、作品本来の評価として、
三部作込みの評価というのも、ちょっと卑怯な気もしますが、
あえて<ベスト1>に、この<ピップ三部作>を上げてみたいものです。

真実はいずれ明らかになるだろうし、正義は必ずまっとうされるもの、
と私は信じています。
ピップにもそう信じて生きていってほしいと思います。

 

2位には、老人の心理といったものをたっぷり書き込んだ探偵物語の、
『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』の方を上げたいと思います。

第三作も面白いのですが、ここでは、個人的な感情移入的な評価で。

元精神科医で80歳のイヴラヒムと女性警官のドナとの対話の一部を
引用しておきましょう。

 《「時間は戻ってこないことは知っているね?
  友人、自由、可能性も?」
  (略)
  「時間を取り戻すことはあきらめよう。過去は幸せだった時間として
  記憶するんだ。きみは山の頂上にいた。今は谷間にいる。今後も
  数えきれないほど、そういうことは起きるだろう」/
  「じゃあ、今は何をすればいいんですか」/
  「もちろん、次の山を登るんだ」/
  「ああ、そうか、そうですよね」シンプルだ。
  「そして次の山を登ったら?」/
  「うーん、それはわからないよ、そうだろう? きみの山だ。
   他の誰も今まで登ったことはないんだから」
   (略)
  「きみは好きなようにすればいいんだ。だが、前を見ろ、
   後ろを振り返るんじゃない。そして、きみが登るあいだ、
   わたしはここにいるよ。その肘掛け椅子は、
   必要とあらばいつでもきみのものだ」
   (略)
  「孤独はつらいものだ。大きな苦しみのひとつだ」
   (略)
  「きみはちょっと迷子になっただけだよ、ドナ。
   そして、人生で一度も迷わなかったら、まちがいなく、
   おもしろい場所には一度も旅をしなかったということだ」》pp.358-360

そして、若者の襲撃によるケガの後、一人では町に出られなくなり、
落ち込んでいるイヴラヒムに、今度はドナがいいます。

 《「あなたは悲しそうに見えます」/
  「ちょっと悲しいんだ、たしかに」イヴラヒムは白状する。
  「怯えているし、そこから抜け出す方法が見つからずにいる」/
  「次の山に登る、というのが、あたしからのアドバイスです」/
  「それだけのエネルギーがあるのか、自信がない」
  (略)
  「肋骨は痛むし、そのせいで胸まで痛い気がするんだ」/
  「あなたが登るあいだ、あたしはここにいますよ」》p.360

 

3位には、『八犬伝』を。馬琴の『八犬伝』のダイジェストに当たる、
<虚の世界>と、それを語る<実の世界>での、作家として、
世帯主として家庭第一を心掛けながら執筆に励む馬琴と、
家庭を顧みることのない北斎。
さらに、鶴屋南北らとの会話の中に出て来る、芸術論や人生論の
おもしろさ。
『八犬伝』のおもしろさはもちろんですが、この芸術論や人生論に
著者・山田風太郎の思いも重なっているようで、
読むほどに迫ってくるものがありました。

以上、<ベスト3>でした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論181-私の年間ベスト3・2023年〈フィクション系〉(後編)初読編ベスト3 」と題して、今回も全文転載紹介です。

前回に引き続き、<フィクション系>の後編、初読編のベスト3発表でした。

改めて、三部作をひっくるめるのはどうか、という気もします。
しかし、この作品に関しては、一冊ずつもいいですし、しかも、三作で到達するところというものもある、という意味で、これは致し方ないという気もします。
<木曜殺人クラブ>も二作上げています。
こちらの方は、昨年二作読んだということで、ついでに上げているだけで、正味は第二作による結果です。

『八犬伝』も二巻本でしたし、今年は、冊数的には<ベスト3>が3冊ではなくなったというのは、ちょっとした事件だったかもしれませんね。

 ・・・

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2023.12.16

『左組通信』復活計画(26)左利き自分史年表(3)1980-1990―左利き用品に目覚めるまで-週刊ヒッキイ第655号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』【別冊 編集後記】

(『まぐまぐ!』登録・解除)

第655号(No.655) 2023/12/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [26]
レフティやすおの左利き自分史年表(3)1980-1990―
左利き用品に目覚めるまで」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第655号(No.655) 2023/12/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [26]
レフティやすおの左利き自分史年表(3)1980-1990―
左利き用品に目覚めるまで」
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 前回は、
 「1972(昭和47)18歳-1979(昭和54)25歳 ――世界が間違っている」
 をお送りしました。

 高校卒業後、社会人となってから、「左利き友の会」を主宰していた
 精神科医・箱崎総一先生の著書『左利きの秘密』を読み、
 左利きの自分が間違っているのではなく、左利きを受け入れない
 この社会、この世界自体が間違っているのだ、と気付かされるまで、
 でした。

 

(第一回)
第651号(No.651) 2023/10/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [24]
レフティやすおの左利き自分史年表(1)1954-1971―高校卒業まで」

2023.10.21
『左組通信』復活計画(24)左利き自分史年表(1)1954-1971―高校卒業まで
-週刊ヒッキイ第651号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-ed7f5f.html

(第二回)
第653号(No.653) 2023/11/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [25]
レフティやすおの左利き自分史年表(2)1972-1979―世界が間違っている」

2023.11.18
『左組通信』復活計画(25)左利き自分史年表(2)1972-1979―
世界が間違っている-週刊ヒッキイ第653号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/11/post-3f10f1.html

 

 今回は、それ以後、生まれて初めての左利き用品である、
 左手用カメラ「京セラSAMURAI Z-2L」を手に入れ、
 左利きは自分の身体に合った左利き用品を使うべきだ、
 と気付くまで。

 <左利きミステリ>を含む「左利き年表」になっています。

*(参照)
第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
2021.5.15
私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」1900年代
2023.4.15
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e

 

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [26]

  <レフティやすおの左利き自分史年表>(3)
 
  1980-1990―左利き用品に目覚めるまで
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

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(画像:本編の元となった、今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き自分史年表」のページ冒頭)

 ●「1980-1990―左利き用品に目覚めるまで
  【左利きライフ研究家】レフティやすおの左利き自分史年表-3」

*(注)科学書――特に脳・神経科学に関する本につきましては、
 最も発達が著しく、発行年代の古い本の場合、情報として
 古くなってしまっているものがありますので、ご注意ください。

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(太文字=西暦(元号)年齢) レフティやすおの出来事 (茶文字=社会の出来事)(青文字=左利き・利き手関連文献
====================================================================

1980(昭和55)26歳 4/5(映画)『ミスターどん兵衛』山城新吾企画・製作・脚本・監督・主演、共演川谷拓三、他 ――山城新吾と川谷拓三の日清どん兵衛のCMがヒットし、映画に。

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(画像:映画『ミスターどん兵衛』ポスター、チラシ)

(参照)『レフティやすおのお茶でっせ』2009.8.16
8月14日「どん兵衛」CM等で活躍の山城新伍さん(70歳)死去
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2009/08/814cm70-86f5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/08876f2f71e930b97c821bbd6a163650

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(画像:産経新聞2009年8月14日 訃報欄より)

⇒1977(昭和52) (TV CM)日清食品「どん兵衛」 テレビCM始まる  「きつねうどんから おあげとったら何になると思う」…
 「ただの素うどん」出演:山城新吾、川谷拓三
――左利きコンビが左手にお箸を持って「どん兵衛」を食べるCMは
とても好ましく、左手箸の左利きの人に大いに勇気を与えた。
日清食品「どん兵衛きつね」――

「どん兵衛」はヒットした。最大の要因はテレビCMだった。山城新伍と川谷拓三のひょうきんコンビのCMが人気を呼び、売り上げが急上昇したのである。小品を擬人化したどん兵衛というネーミングがあったからこそ、あのかけ合い漫才のCM世界が生まれたのだと思う。山城新伍の突っ込みと川谷拓三のぼけ具合が絶妙だった。
 / 発売二年目の一九七七(昭和五十二)年に売り上げ数量が一億食を超えた。きつねうどんの発祥の地は大阪である。根強いうどん人気もあってか、その年の二月の調査で、西日本ではカップヌードルを抜き第一位になってしまった。もちろんしばらくして巻き返しにあったが、一瞬でもカップヌードルの牙城を崩したのはすごいことだった。...
》p.78

――『カップヌードルをぶっつぶせ!――創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀』安藤宏基(あんどう・こうき) 中央公論新社 2009.10.7
「第2章 創業者とうまく付き合う方法/パッケージ戦力第二弾。ドンブリ型容器の「どん兵衛きつね」がヒット。「どんくさくてもいい」。社内の猛反対を押し切って商品名に。」より

 

『右手の優越』R・エルツ 吉田禎吾、内藤莞爾訳 垣内出版 (2001/6/1 右手の優越―宗教的両極性の研究 ちくま学芸文庫 ロベール エルツ (著), Robert Hertz (原著), 吉田 禎吾, 板橋 作美, 内藤 莞爾 訳)

(左利きミステリ、ショートショート)「最期のメッセージ」阿刀田高 『瑠伯』1980(昭和55)年夏季号 ――左利きの被害者の残したダイイング・メッセージの謎解き。
(収録短編集)『新装版 最期のメッセージ』講談社文庫 2009.1.15

12/20『左利きの本―右利き社会への挑戦状』ジェームス・ブリス/ジョセフ・モレラ 草壁焔太訳 講談社 The Left-Handers’ Handbook ――前半が、私が手に取った初めての翻訳ものの左利きの本。
後半は、翻訳を担当された草壁氏による日本編でした。

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第503号(No.503) 2017/10/7
「創刊500号突破!“13年目に向けて”特別号(3)」
 ●勇気を与えられた本
《この本で、“右利き社会と「闘う」”
 という行き方(方法)のあることを学んだ気がします。》
『レフティやすおのお茶でっせ』2017.10.19
創刊500号突破!13年目に向けて(3)-
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第503号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2017/10/500133--hikkii5.html

 

1981(昭和56)27歳
5/31(左利きミステリ、ショートショート)「兄弟」阿刀田高  東京新聞等に掲載
――えこひいきされる兄弟のお話。
ネタバレになりますが「ぼく左手・兄右手」という設定。
ベンジャミン・フランクリンの左手からの手紙という
<教育監督者への請願書>を連想させる作品です。
(のちに『新装版・最期のメッセージ』講談社文庫 収録、

同書には、1980年『琥珀』夏季号初出の左利きネタの
ミステリ・ショートショート「最期のメッセージ」も併録。
*「兄弟」は『イソップを知っていますか』新潮文庫(2012/6/27)、
 『アイデアを捜せ』文春文庫(1999/2/1) でも紹介されています。

(左利きミステリ・番外SF)「ブルー・シャンペン」
Blue Chmpagne ジョン・ヴァーリイ 浅倉久志/訳
原著初出オリジナル・アンソロジー『ニュー・ヴォイスIV』(1981)
→(1985)邦訳収録短編集『スター・シップ―宇宙SFコレクション(2)―』
伊藤典夫、浅倉久志/編 新潮文庫 1985(昭和50)12/1
――脳の言語中枢に働きかけて言葉の混乱を起こす幻覚剤と
左利きの人の場合の反応の違い。

 

1982(昭和57)28歳 4/30(参考書)『手と脳―脳の働きを高める手』久保田競  紀伊国屋書店
――利き手(作用の手)と非利き手(感覚の手)の役割の違いなど。

『手と脳 増補新装版』2010/12/24
――《【旧版との違い】脳科学の新たな成果をアップデートするとともに、
読みやすいレイアウトに。/第2章、9章は全面的に書き下ろし》

6/『春夏秋冬殺人事件』「冬の部 団地警察殺人事件」齋藤栄

――右使いの左利きの被害者、自殺偽装殺人事件。連作短編集のラスト。
 左利きならではの場面はなく、<左利きミステリ>としては名目だけ。
『春夏秋冬殺人事件』齋藤栄 双葉社 1982/6 

『春夏秋冬殺人事件』 祥伝社 ノン・ポシェット 1995/4

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第420号(No.420) 2014/6/21 「名作の中の左利き~推理小説編27~
齋藤栄『春夏秋冬殺人事件』」
『レフティやすおのお茶でっせ』2014.6.25
左利きミステリ『春夏秋冬殺人事件』齋藤栄~
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii420号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2014/06/hikkii420-a208.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/2479f287f13c41d921ee64bb97abd4db

 

10/(左利きミステリ)「停電にご注意」鮎川哲也 『小説推理』昭和57年10月掲載
――安楽椅子探偵<三番館>シリーズ。
 アリバイの時刻を示す証拠の写真の人物がみな左利きという謎。
(収録短編集)
『クライン氏の肖像―三番館の全事件III』<鮎川哲也名探偵全集>出版芸術社(平成15年4月)収録。

『材木座の殺人』鮎川哲也 創元推理文庫 2003/8/1

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第364号(No.364) 2013/5/18「名作の中の左利き
~推理小説編16~全員が左利きの謎「停電にご注意」鮎川哲也」
『レフティやすおのお茶でっせ』2013.5.22
名作~推理編16~全員が左利きの謎・鮎川哲也~
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii364号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2013/05/16-hikkii364-3b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/cf81d782cad9508f380fe8b154670cb5

 

12/1『かくれた左利きと右脳』坂野登 青木書店

――指組み、腕組みでどちらの手が上側に来るかの違いが「利き脳」に関係しているという。

(文庫化・再刊)『鏡の国のアリス』広瀬正 集英社文庫

 

 

1983(昭和58)29歳 6/1『左きき学―その脳と心のメカニズム』ジーニー・ヘロン編 近藤喜代太郎、杉下守弘訳 西村書店  NEUROPSYCHOLOGY OF LEFT-HANDEDNESS(1980)
――近年の脳・神経科学の発達は著しく、情報としては古いが、第一章の左利き研究の歴史は目を通す価値はある。
「まえがき」近藤喜代太郎

ⅰp《利き手も脳の左右分化のひとつの表現であり、その研究を通して脳の神秘に迫るひとつの手掛かりでもあります。/左利きは古くから人々の注意を引き、それぞれの国や時代の水準を反映して種々の憶測が加えられ、また、少数者への寛容度を反映してさまざまに処遇されてきました。その意味で、左利きの問題は文化史の一側面ですし、それが脳機能の左右分化という立場から理解されるようになったのは、決してそう古いことではありません。》
〈近藤は自身が左利きで、それぞれ深い関心と同感をこめて本書の翻訳に当たりました。》

「序」J・へロン

ⅳp《嘲笑され、叱られ、物差しで打たれ、後ろ手に縛られもした悪い手。左利き者は辱められ、非難され、悪意に満ちた攻撃を受けた。こうした歴史にもかかわらず、左利き者は静かに朽ち果てるどころか、生き残っている。ではなぜか? それは、本書が示すように、彼らが好んでではなく、“神経学的命令”によって左手を用いているからである。》
ⅴp《原理の解明は例外を通じて行われることが多いので、左利き者の研究はこれら脳研究で重大な役割を果たしている。左利き者の仲には脳の非対称性の様相の異なる集団があり、様々の左利きの類型を調べ、個々の検討を加えて脳の機構について多くを学ぶことができる。/これらの研究の対象が左利き者であっても、真の設問は左利きそれ自体ではなく、ヒトの脳がどのように機能するかに向けられている。/本書を左利き者にささげる。ヒトの脳の神秘への疑問に回答をもたらす、最も重要な手掛かりになる近代的研究によって、ついには左利き者のユニークな特性が見出されるだろう。》

「第1章 左利き:初期の学説、事実、空想」ローレン・ユリウス・ハリス

(参照)『レフティやすおのお茶でっせ』2004.8.27
左利きの本だなぁ『左きき学 その脳と心のメカニズム』ジーニー・ヘロン編
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2004/08/post_3.html

 

1985(昭和60)31歳 4/11(TVドラマ)『スケバン刑事』主演斉藤由貴 フジテレビ系~85/10/31(全25話)

『スケバン刑事 VOL.1』 [DVD] 斉藤由貴, 林美穂 (出演)

11/7(TVドラマ)『スケバン刑事Ⅱ少女鉄仮面伝説』主演南野陽子 フジテレビ系~86/10/23(全42話) ――初代二代目と左利きの女優によるドラマ、武器の左投げのヨーヨーが決まってました。
『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説 VOL.1』 [DVD] 南野陽子 (出演), 相楽ハル子 (出演)

 

1/15(参考書)『左の脳と右の脳』サリー・P・スプリンガー、ゲオルク・ドイチュ(Springer, Deutsch) 監訳・福井圀彦、河内十郎 訳・宮森孝史、松嵜英士 医学書院
――第1章で「利き手と大脳半球」について、第5章「左利きのなぞ」で「左利きについての考え方の歴史」「利き手を決定することの難しさ」「利き手は遺伝により決まるのか」「なぜ双生児には左利きが多いのか」「利き手と機能的非対称性」「利き手と高次精神機能」など左利きに関する研究結果が示されている。

第2版 (1997/10/1)

 

12/1(左利きミステリ・番外SF)「ブルー・シャンペン」Blue Chmpagne ジョン・ヴァーリイ 浅倉久志/訳

邦訳収録短編集『スター・シップ―宇宙SFコレクション(2)―』伊藤典夫、浅倉久志/編 新潮文庫 1985(昭和50)12/1
→(1981)原著初出オリジナル・アンソロジー『ニュー・ヴォイスIV』(1981)
――脳の言語中枢に働きかけて言葉の混乱を起こす幻覚剤と
左利きの人の場合の反応の違い。

 

 

1986(昭和61)32歳 12/1『勝利投手』梅田香子 河出書房新社

――日本のプロ野球に左腕女性投手が入団。星野中日ドラゴンズがドラフト会議で指名した新人投手は、甲子園を沸かせたあのピッチャーだったが……。

 

1987(昭和62)33歳 『右利き・左利きの科学』前原勝矢 講談社/ブルーバックス

――手軽に手に取れる新書で、本格的な左利き・利き手の科学解説書。

 

9/ 『左ききの人の本 右にでるモノがない!』斎藤茂太 エムジー
――精神科医で性格の本などの当時の人気著述家<モタ先生>の左利き応援本。今では右利きから転換の左投手と知られる江夏豊さんを左利きの人の代表として、その性格を左利きの性格として解説している。

 

 

1988(昭和63)34歳 7/何度目かの就職先、電子機器製造の会社でハンダ付けの仕事を覚える。最初は見よう見まねで右手で始めるが、ある程度慣れたところで左手を使う。基本的にはどちらでもほとんど変わりなくできるようになる。みんなと流れ作業などするときは右手で、ひとり作業のときは左手で行うようになる。
――左手の方が細かい作業には向いている様子、スピードも若干速いか?
道具はペン型、ピストル型ともに右手でも左手でも使える対象形。 

 

9/ (SF、左右)『白壁の緑の扉』H・G・ウェルズ ボルヘス編バベルの図書館8 小野寺健訳国書刊行会
――「プラットナー先生綺譚」収録
「プラトナー物語」The Plattner Story (The New Review 1896/4)

 

(家電)シャープ、業界初、左右両開き冷蔵庫発売。

――<どっちもドア>、本来は置き場に困らない、出し入れ自由などキッチンでの使い勝手の向上という発想で作られたものだが、左利きにも便利で、家族で使う商品だけに、共用性のあるこの製品は好都合。
(参照)
SHARP > 冷蔵庫 > どっちもドア 選ばれ続けて35年
https://jp.sharp/reizo/door/

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1989(昭和64/平成元)35歳 4/(左利きミステリ)『8の殺人』我孫子武丸 講談社
――“8の字屋敷”で起きた連続殺人。左肩にボウガンを構えた犯人…?
『新装版 8の殺人』我孫子武丸/著 講談社文庫(2008/4/15)

『8の殺人』我孫子武丸/著 講談社文庫(1992.3.15)

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第382号(No.382) 2013/9/21「名作の中の左利き
~推理小説編20~左利きの容疑者『8の殺人』我孫子武丸」
『レフティやすおのお茶でっせ』2013.9.26
左利きの容疑者『8の殺人』我孫子武丸~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii382号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2013/09/hikkii382-d77d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/56e12e92f4f6e9b32b29cf54de39238a

 

7/(カメラ)世界初左手用カメラ「京セラSAMURAI Z-L」発売。片手保持による縦型フォルムのニューコンセプト・カメラ、SAMURAI Zの左利き用。

 

9/(カメラ)「京セラSAMURAI Z」の一部機能を省略した廉価版「Z2」、左手用「Z2-L」発売。

(画像)1990のカタログから、左が左手用Z-L

 

4/1(プロ野球小説、文庫化再刊)『勝利投手』梅田香子 河出書房新社/河出文庫

 

 

1990(平成2)36歳 12/30左手用カメラ京セラ サムライSAMURAI Z2-L を買う。

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(画像:今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』の「左利きphoto gallery〈HPG4〉世界初 左手用カメラ/京セラKYOUCERA サムライSAMURAI Z2-L」のページから――hg.hph4(ページ冒頭)、hg.hph4 1(京セラSAMURAIZ製品カタログ)、2(雑誌の紹介記事より―『週刊プレイボーイ』1990年12月頃?、『モノ・マガジン』1991年4月2日号no.188)、3(添付の取扱説明書 専用アクセサリー 価格票) )

――生れて初めての左利き用品。当時各社からいろいろ出ていたニューコンセプト・カメラのひとつ。どれを買うか迷ったが最終的にはやはり左利きの私が買うならこれでしょう、ということで。まさにベスト・パートナーと呼ぶにふさわしい、フィット感。このときから、私は真に左利きに目覚めました! 左利きは左利き用のものを使わなきゃ、って。
ちなみに、これを買ったお店(大阪で一番有名なカメラ屋さんの日本橋店)の人に聞いてみたところ、左手用を売るのは3台目、引渡し前に動作チェックをするのだが右利きには扱いにくい、という話だった。

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第566号(No.566) 2020/3/7
「2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年
(その2)その後の30年―左利きライフ研究の30年(1)」
 ●運命の時――
1990(平成2)36歳の年末12月30日
 ●『週刊プレイボーイ』の記事
「ぐぁんばれカメラ」
《ニューコンセプトカメラの元祖、サムライの第2世代。
 すっごくコンパクトになったボディは、
 とても持ちやすいカタチだ。(略)
 (左利き用のZ2-Lも同価格であるぞ)》
 ●生まれて初めての左手・左利き用品との出会い
今は消滅したホームページに掲載した文章を再録しましょう。
(この文章は、元々は、
弊誌『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第144号(No.144) 2008/8/2
「<左利きQ&A>(21)カメラと左利き」
「左利き講座<左利きQ&A>(21)カメラと左利き」
より転載したものです。)
 ◆左手用カメラの使用感
<左手用「京セラKYOCERA サムライSAMURAI Z2-L」
 を使ってみて思うこと>
 ●<利き手は心につながっている>
脳科学者・久保田競先生の著書『脳を探検する』によりますと、
利き手と非利き手の役割分担というものを考えますと、
利き手は「作用する手」、非利き手は「感覚の手」だそうです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4062085801/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
 ◆利き手では、反復練習で身につく作業より、心の作業を!
 ●自分が自分らしくなる
『レフティやすおのお茶でっせ』2020.3.7
2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(2)その後の30年(1)左手用カメラ-週刊ヒッキイ第566号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/03/post-fe5897.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/88bb26fc85ae82e9284a377bbcdbeaf3
 

 

  6/『左手のことば』秋山孝 日貿出版社

1952年生まれ(2022年没)のデザイナーでイラストレーターで元・多摩美術大学教授。擬人化された「左手」がペンを持っているイラストが表紙。
巻末に英語対訳の著者インタヴューで、「矯正」指導を受け苦しんだ話がある。

ぼくが小学校1年生のころに、ぼくは昭和27年生まれだから……昭和33年前後かな?。
 まあ昭和30年代のはじめにいろいろな人に左ききというのは、一般人のモラルに反していて、いやしいものであるというふうに教えを受けて、直すように強要されたというのがあって。
 でもぼくは左手のほうが使いやすいしね、細かい仕事をする、つまり字を書くのも絵を描くのも左手のほうが非常にうまくいくと。
 でもぼくの先生たちは直させるのに何と言ったかというと、文字は右利きの人にしか描けない図形であると。
 そうすると草書体が書けないだとか、英語は左から右へ行くものだから直しなさいだとかいわれたんだけれども、ぼくはそれに対して納得ができなかった。
 使いやすい手を替えて不自由な手を持つということにものすごく抵抗を感じたし、本当に納得がいかなかった。
 そこでぼくは左手を使っているのがそんなにみっともないのかと思って鏡に映しながら手を書いてみたら非常にスムーズにね、自然な感じで鏡に映っているわけ。
 で、また学校に行くと先生がのぞき込んで「左手を使うのをやめなさい!」と怒鳴る。
 「右利きに変えなさい、それは片輪なんだよ」ってね。
 その片輪ということもぼくには理解できなかった。
 心の底からの理解や納得がないことはやってはいけないよね、子供でも。
 悪くいうと頑固なんだけれども理解して納得できれば頑固は直るわけ、でも納得できなくてぼくは使ってる。
 先生の考えの中での「左手は悪」という既成概念に対する抵抗だね。


 

(1990・原著発行)(左利きミステリ、番外編)「呪われたティピー」エドワード・D・ホック 
収録短編集『革服の男―英米短編ミステリー名人選集〈5〉』光文社文庫 1999/11/1
――<左利きの探偵>西部探偵ベン・スノウ

 

-- 1980-1990 ――左利き用品に目覚めるまで --

 

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [26]レフティやすおの左利き自分史年表(3)1980-1990―左利き用品に目覚めるまで」と題して、今回も全紹介です。

今回は、私にとって生まれて初めての左利き用品である、左手用カメラを手にしたときの感動から、左利きは自分の身体に合った左利き用の道具や機械を使うべきだと、目覚めたときまでの年表です。

また長くなっていますが、そのまま全文転載です。

これらの年表は、いずれさらに手を入れて個別にアップしてゆく予定です。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2023.11.30

クリスマス・ストーリーをあなたに~(13)-2023-「道」もうひとつのサンタ物語-楽しい読書355号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】


2023(令和5)年11月30日号(No.355)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(13)-2023-
 シーベリン・クィン「道」もうひとつのサンタ物語」


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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2023(令和5)年11月30日号(No.355)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(13)-2023-
 シーベリン・クィン「道」もうひとつのサンタ物語」
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 今年もはやクリスマス・ストーリーの紹介の季節となりました。


 昨年は古典編でしたので、今回は現代編です。
 といいましても、必ずしもつい最近の作品というのではなく、
 過去の現代編でもそうでしたが、二十世紀の後半や
 前半の作品も含まれていました。
 今回もそういう一つと思われる作品で、正確な発表年代は不明です。


 


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-クリスマス・ストーリーをあなたに (13)- 2023


  ~ もうひとつのサンタ物語 ~


  シーベリン・クィン「道」


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 ●過去の ~クリスマス・ストーリーをあなたに~


一回毎、一年ごとに【古典編】と【現代編】を交互に紹介してきました。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


【古典編】
 チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』『鐘の音』
 ワシントン・アーヴィング『昔なつかしいクリスマス』
 ライマン・フランク・ボーム『サンタクロースの冒険』
メアリー・E・ペン「ファンダーハーフェン老人の遺言状」
 クリストファー・モーリー「飾られなかったクリスマス・ツリー」


【現代編】
 トルーマン・カポーティ「あるクリスマス」「クリスマスの思い出」
 アガサ・クリスティー「水上バス」
 コニー・ウィリス「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」「まれびとこぞりて」
 梶尾真治「クリスマス・プレゼント」、ジョー・ネスボ『その雪と血を』
 ドナルド・E・ウェストレイク「パーティー族」


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 


参照:
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.11.27
クリスマス・ストーリーをあなたに~全リスト:
『レフティやすおの楽しい読書』BNから
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/11/post-1995dd.html


 


 ●サンタクロース誕生物語


今回は、角川文庫の昭和53(1978)年発行の
クリスマス・ストーリーのアンソロジー全二巻のうち、
『贈り物 クリスマス・ストーリー集1』に収録されている作品
シーベリン・クィン「道」を紹介します。


実は、もうひとつの「サンタ物語」です。


サンタクロースの誕生物語というのが、結構色々あります。


以前紹介しました、『オズの魔法使い』の作者
ライマン・フランク・ボームの『サンタクロースの冒険』も、
そういうものの一つです。


*参照
2013(平成25)年11月30日号(No.117)-131130-  
クリスマス・ストーリーをあなたに~
 『サンタクロースの冒険』ライマン・フランク・ボーム


『サンタクロースの冒険』
The Life and Adventures of Santa Claus (1902)
ライマン・フランク・ボーム/著 田村隆一/訳 和田誠/イラスト
扶桑社エンターテイメント(1994.10.30) [文庫本]


 


新訳版で――
『サンタクロース少年の冒険』矢部 太郎/イラスト 畔柳 和代/訳
新潮文庫 2019/11/28


 


 ●シーベリン・クィン「道」荒俣宏訳


『贈り物 クリスマス・ストーリー集1』長島良三/編 角川文庫
 1978(昭和53)/11/30


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(画像:角川文庫版のクリスマス・ストーリーのアンソロジー全二巻『贈り物 クリスマス・ストーリー集1』、『クリスマスの悲劇 クリスマス・ストーリー集2』)


 


ボームのサンタ物語は、オズの作者らしく、
童話っぽいファンタジーでした。


一方こちらのシーベリン・クィンの作品は、
パルプ・マガジンの作家だけあって、
おとな向けのリアル系のファンタジーです。


パルプ・マガジンといいますのは、
アメリカの1920年代あたりから始まった、安っぽい紙に印刷され、
ドラッグストアなどで売られていた、お手頃値段の、
主に労働者や子供向けのミステリやSF、怪奇・幻想小説などを掲載した
娯楽読み物雑誌の総称です。
今では文学史にも登場するダシール・ハメットにしろ、
新潮文庫にも収録されたH・P・ラヴクラフトなども、
ここを舞台に活躍していた作家でした。


そういう雑誌に長短いくつもの作品を発表していたのがクィンです。
本編収録アンソロジーの巻末の編者・長島良三さんの
「解説・作者紹介」によりますと、1925~1952年にかけて、
怪奇・幻想小説、冒険小説、探偵小説など145篇を書きまくった
といいます。
本編もそういう一つです。


私は、本編をこの作品集以前にどこかで読んだ記憶があります。
たぶん雑誌、『SFマガジン』だったかと思います。
1970年代だったでしょう。
その時もこういうサンタクロースの誕生までを描く物語という、
クリスマス・ストーリーもあるんだなあ、と思ったものでした。


 


 ●ストーリー「一 ベツレヘムへの道」


主人公はヘロデ王に仕え、闘技場で多くの剣闘士たちと戦い、
勝ち抜いてきた剣闘士だった男。
ノルウェー式の単純なクラウスという名を
クラウディウスと呼ばれる北方人。
奉仕の期間を終え、故郷に帰る途中、ヘロデ王の私兵が、
ユダヤ人の女から抱いている赤子を奪い殺すところを見る。
その後、エジプトへ逃げる赤子をつれた夫婦を襲う私兵を殺し助ける。


そのとき、赤子の声が心に聞こえる――


 《「クラウス、クラウス」やさしくその声は響くのだった。
  「なんじが余に慈悲を与えたゆえに、なんじの生命を
  幼児の自由のために投げ捨てたゆえに……余はなんじに告げる。
  なんじが余のためになすべき仕事を果たし終えるまで、
  なんじは決して死の暗き翼に包まれることなきを……」》p.199


 《なんじは汝の生命と引きかえに幼子の生命を守った。
  それはなんじの両親の賜物。(略)笑い合う幸福な子供たちが、
  永久になんじの良心と愛の美しさを称えることだろう。
  そして人々が、余の生誕日を祝うかぎり、なんじは永遠にすべての
  幼な子の心に生きるのだ」》p.200


 《「なんじの名を子供たちが口にするかぎり……」/
  「わしは万能の英雄になるのだろうか」/
  「幼い時代のなつかしい思い出を胸にいだくすべての人類によって
  称えられる愛の英雄……」》pp.200-201


 


 ●「二 カルバリへの道」


その結果、彼は追われる身となり、避難所としてローマ軍の兵士となり、
ヘロデ王の後継者の追っ手に捕まることなく、
いつしか、ローマのユダヤ提督ピラトとともに
イェルサレムの胸壁に立つ百人隊長となる。


ユダヤの僧侶たちは、総督を意のままにしようとするが、ピラトは
一個の軍隊しか持たず、彼らを屈服させることができないことを歎く。


今、ガリラヤから来た説教師がユダヤの王を名乗っているという話が、
ピラトの悩みだという。
しかし、クラウディウスは、彼は我々はみな兄弟、神を畏れ、王を敬い、
ローマ皇帝のものはローマ皇帝に返すのだ、という。


ところが大祭司カヤパは、彼は謀反を企てているので、
帝国への反逆を説いた人物として、十字架刑にかけよ、
と圧力をかけているという。


街の人々からイエスは救世主だと言われているなかで、
ゴルゴタの丘で三人の十字架刑が行われる。


ピラトは、「こはイエス、ユダヤの王なり」と書いたものを
受刑者の頭の上に掲げるように、クラウディウスに持たせる。


クラウディウスは、茨の冠をかぶせられた血まみれの男に
施しの水を与え、足を砕けというカヤパの言葉に逆らい、
人間らしい死に方を与えてやれと、槍を心臓に打ち込む。


その時、彼は声を聞く。
この預言者こそ、そのむかし、
エジプトへ逃げる夫婦を助けたときの赤子だったと知る。


その後、地震に襲われ足を痛めた女を助けるが、
その女は、その朝、処刑された預言者のあとを追うため
卑しい職業を捨てた売春婦だった。


彼女は恐ろしい病に犯されていたが、
十字架を背負って丘を上る途中の彼に声をかけ、
主の治療を受け、治った、元の汚れのない乙女のように清らかとなった、
という。


しかし、彼女を蔑むクラウディウスに、また声が聞こえる。


 《「女をさげすむのではない。余は彼女に慈悲を垂れた。
  そしてなんじも――余も――彼女を必要とするのだ。
  クラウス、彼女をなんじのものとするのだ》pp.222-223


こうしてクラウスは、彼女をウナと名付け、妻とする。


 《「いとしい妻よ、主はいわれたぞ。わしにはおまえが必要だとな」
  (略)「主ご自身もおまえが必要だと、そういわれたぞ。
  わしたちは主のお声を聞き、主に召されるときはいつでも、
  喜んで応えるのだ。(略)」》p.227


 


 ●「三 長い長い道」


ピラトと共に過ごしたクラウディウスは、ピラトの死後、
武勇の誉れ高い強者を必要とするローマへ。


今や、かの預言者は広くヨーロッパで信仰されていた。
しかし、クラウスは言う。


 《「この世に生きる人間のうちでも、僧侶ぐらい
  性質を変えん人種はおらんな。あの薄汚い奸計を弄して
  主を十字架にかけたのは、カヤパとその一党だったし、近ごろでは
  主が生命とひき替えにされた真実を偽りに変え、
  秘に付してしまっているのは、なんと主の神官であり奴隷であると
  自称する僧侶たちなのだからな!」》p.233


ときは移り変わり、ある年のクリスマス、
二人はライン川沿いの小さな町に仮の小屋を設け暮らしていた。
その年の収穫は少なく、農家はその日の飢えをしのぐのがやっとで、
クリスマスの宴を祝う気力さえなかった。


貧しい家の子供たちを喜ばせるためにクラウスは、
小さな橇を削り出した。
それを見たウナは、もっと作るようにいい、
自分は倉にある蓄えでお菓子を作るという。


冷たいクリスマス・イヴ、クラウスは赤いマントをまとい、
ささやかな贈り物を積んだ小さな橇を子供たちの家に届けてまわった。
寒さに眠れなかった一人の子供だけがその姿を見かけた。


子供はその体験を語った。
だれもが口をそろえて、聖(サンタ)クラウスと呼んだ。


しかし、聖職者たちは、町の統治者に堕天使の汚れた企みに違いない
と非難し、取り押さえるように進言する。


町の人の知らせに、二人は脱出に成功し、北の国へと逃避行を続ける。


こうして二人は北欧のラップランドをこえ、土地の人が寄りつかない、
九つの小さな丘が環状に取り囲む谷間に辿り着く。


そこには、古い言い伝えにより人々が恐れる小人たちが住んでいた。
しかし彼らは隣人のために奉仕することを願っていた。 


すると、クラウスに再び、あのなつかしい声がこう告げた。


 《「クラウス、なんじにはこの小さき者たちの手助けが要る。
  なんじの足もとに開ける道を、彼らとともに歩め」》


クラウスは、彼らの職工としての腕を活かし、
おもちゃと作るように提案する。
できた贈り物は自分が、
お前たちの名を呼んで歓んでくれる子供たちのもとに届ける、と。


小人たちをのせて魔法の橇でさらなる北方の地に赴き、一軒の家を建て、
そこでウナの指導もあって、彼らはおもちゃ作りに精を出す。


そして、ふたたびクリスマスの季節が来る。
クラウスは、できあがったおもちゃを魔法の橇に乗せ、
八頭のトナカイを呼び寄せて、おもちゃを配ってゆく。
配り終えたクラウスは家に帰り、妻のウナや小人たちと宴を催し、
子供たちの幸福を祈りながら、杯を重ねるのだった。


 《今日でもクラウスは現に生きている。
  毎年十億人もの幸福な子供たちが彼の訪れを待っている。
  彼はもう百人隊長クラウディウスでもなければ、
  北方の戦士クラウスでもない。幼な子を守護する慈愛ぶかい聖者、
  サンタクロースなのだ。彼の職務は、二千年前のあの夜、
  主が選びたもうたもの。彼の道は、救世主の生誕日が人々に
  祝われるかぎりもどることを知らない、長いながい道――》p.242


―終わり―


 


 ●リアルでホットな物語


サンタクロースのモデルになったといわれるのが
「聖(セント)ニコラス」または「聖(セント)ニコラウス」。


小アジア(現在のトルコ)のミラという町の司教で、
町の貧しい人たち、特に小さな子供たちを大事にして、
死後、聖人としてあがめられ、亡くなった12月6日は、
「聖ニコラウスの祭日」とされた、とか。


クリスマスやサンタクロースに関しては、色々なお話があります。


だれもがこういう起源についてのお話を書いてみたい、
と思うものでしょう。


クィンもそういう一人だったようです。
彼のお話は、リアルなファンタジーと言えるのではないでしょうか。


「講釈師、見てきたようなウソをつき」とかいいますが、
エジプトへ逃げようとする赤ちゃん連れの夫婦を襲う兵士との戦闘、
ゴルゴタの丘でのイエスの磔の場面など、リアルに描きつつ、
だんだんとイエスの声を通して、
ファンタジーの世界へと導いてゆきます。


リアルでホットな物語という気がします。
機会があれば、一度読んでみても損はないでしょう。


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本誌では、「クリスマス・ストーリーをあなたに~(13)-2023-シーベリン・クィン「道」もうひとつのサンタ物語」と題して、今回も全文転載紹介です。


本文中でも紹介していますが、過去の「~クリスマス・ストーリーをあなたに~」で紹介した作品をリストアップしてみました。


『レフティやすおのお茶でっせ』2023.11.27
クリスマス・ストーリーをあなたに~全リスト:『レフティやすおの楽しい読書』BNから


クリスマス・シーズンの読書ガイドの足しにでもしていただけると嬉しく思います。


 ・・・


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『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2023.11.27

クリスマス・ストーリーをあなたに~全リスト:『レフティやすおの楽しい読書』BNから

今年もはやクリスマス・ストーリーの紹介の季節となりました。
例年、11月末発行の読書メルマガ『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』では、<クリスマス・ストーリーをあなたに>と題して、古今東西の“クリスマス・ストーリー”――ディケンズの『クリスマス・キャロル』に始まるとされるクリスマスにまつわる、幽霊が登場したり、奇跡が起きたりといった愛と善意とにくるまれたハート・ウォーミングな物語が展開される――の中から、私の心に響いたお話を、海外・国内・新旧の作家による長短の作品を取り混ぜて紹介しています。

ここでは過去のそれらの作品をリストアップしておきましょう。

 

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 ●過去の ~クリスマス・ストーリーをあなたに~

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(読書メルマガ)『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
(「まぐまぐ」版)

 

201127xmas1
(画像:(上段左から)(2017年紹介)梶尾真治「クリスマス・プレゼント」収録の『有機戦士バイオム』ハヤカワ文庫JA、(2019年)ジョー・ネスボ『その雪と血を』ハヤカワミステリ文庫、(2012年)アガサ・クリスティー「水上バス」収録のクリスティーのクリスマス・ブック『ベツレヘムの星』、
(下段左から)(2008年)チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』(2016年)『鐘の音』収録の『クリスマス・ブックス』ちくま文庫、(2013年)ライマン・フランク・ボーム『サンタクロースの冒険』)

 

0◆2008(平成20)年12月クリスマス号(No.11)-081206-
『クリスマス・キャロル』善意の季節

『クリスマス・キャロル』ディケンズ/著 中川敏/訳 集英社文庫 1991/11/20
―訳者の解説と木村治美の鑑賞など、資料も豊富。

 

 

1◆2011(平成23)年11月30日号(No.70)-111130-善意の季節
『あるクリスマス』カポーティ

別冊 編集後記:『レフティやすおのお茶でっせ』
善意の季節『あるクリスマス』カポーティ

『誕生日の子供たち』トルーマン・カポーティ/著 村上春樹/訳 文春文庫 2009.6.10
―クリスマス短編「あるクリスマス」「クリスマスの思い出」収録
 「―思い出」はクリスマスの懐かしい、でもちょっと切ない思い出を振り返る愛情あふれる物語で、少年に与えられたクリスマスの贈り物、
 「ある―」は逆に、少年が与えたクリスマスの贈り物の思い出話といえる抒情的名編

 

 

2◆2012(平成24)年11月30日号(No.94)-121130-  
クリスマス・ストーリーをあなたに~
 アガサ・クリスティー『ベツレヘムの星』から

クリスマス・ストーリーをあなたに ―第94号

(「作文工房」版)

『ベツレヘムの星』アガサ・クリスティー/著 中村能三/訳 ハヤカワ文庫―クリスティー文庫(2003/11/11)
―おススメ短篇「水上バス」を含む、クリスマスにまつわる小説と詩を集めた、クリスティーが読者に贈るクリスマス・ブック

 

 

3◆2013(平成25)年11月30日号(No.117)-131130-  
クリスマス・ストーリーをあなたに~
 『サンタクロースの冒険』ライマン・フランク・ボーム

クリスマス・ストーリーをあなたに~『サンタクロースの冒険』ボーム

(「作文工房」版)

 

『サンタクロースの冒険』ライマン・フランク・ボーム/著 田村隆一/訳 扶桑社エンターテイメント(1994.10.30) [文庫本]
―『オズの魔法使い』の作者ライマン・フランク・ボームの描くサンタ・クロースの生涯を描く、サンタさん誕生物語

(新訳版)『サンタクロース少年の冒険』ライマン・フランク・ボーム/著 矢部太郎/イラスト 畔柳和代/訳 新潮文庫 2019/11/28

 

 

4◆2014(平成26)年11月30日号(No.140)-141130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~
『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』コニー・ウィリス」

クリスマス・ストーリーをあなたに~『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』コニー・ウィリス ―第140号 「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
(「作文工房」版)

「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」収録短編集:
・『マーブル・アーチの風』コニー・ウィリス/著 大森望/編訳 早川書房・プラチナ・ファンタジイ(2008.9.25)
―もう一つのクリスマス・ストーリー「ニュースレター」も収録

 

 

5◆2015(平成27)年11月30日号(No.164)-151130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~
『まれびとこぞりて』コニー・ウィリス」

クリスマス・ストーリーをあなたに―「まれびとこぞりて」コニー・ウィリス ―第164号 「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
(「作文工房」版)

「まれびとこぞりて」収録短編集:
・『混沌【カオス】ホテル (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)』コニー・ウィリス/著 大森望/訳 ハヤカワ文庫SF1938 2014.1.25

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6◆2016(平成28)年11月30日号(No.188)-161130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~
ディケンズ『クリスマス・ブックス』から『鐘の音』」

クリスマス・ストーリーをあなたに~ディケンズ『クリスマス・ブックス』から『鐘の音』 ―第188号 「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
(「作文工房」版)

・『クリスマス・ブックス』ディケンズ/著 ちくま文庫 1991/12
―落語調訳「クリスマス・キャロル」小池滋/訳、「鐘の音」松村昌家/訳

・『クリスマス・ブックス』田辺洋子/訳 渓水社 2012
―前期(1843-48)のクリスマス中編5編を収録。「クリスマス・キャロル」「鐘の音」「炉端のこおろぎ」「人生の戦い」「憑かれた男」

 

 

7◆2017(平成29)年11月30日号(No.212)-171130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(7)
「クリスマス・プレゼント」梶尾真治」

クリスマス・ストーリーをあなたに~(7)「クリスマス・プレゼント」梶尾真治 ―第212号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
(「作文工房」版)

「クリスマス・プレゼント」収録短編集:
・『有機戦士バイオム』梶尾真治/著 ハヤカワ文庫JA 1989.10

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8◆2018(平成30)年11月30日号(No.236)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(8)
『昔なつかしいクリスマス』ワシントン・アーヴィング」

クリスマス・ストーリーをあなたに~(8)『昔なつかしいクリスマス』ワシントン・アーヴィング ―第236号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
(「新生活」版)

・『昔なつかしいクリスマス』ワシントン・アーヴィング/著 ランドルフ・コールデコット/挿絵 齊藤昇/訳 三元社 2016.12.1
―1920年刊『スケッチ・ブック』第5分冊(クリスマス編)を基に、コールデコットの挿絵をつけて1876年に刊行された。

Mukasinatukasii (画像:『昔なつかしいクリスマス』ワシントン・アーヴィング/著 ランドルフ・コールデコット/挿絵 齊藤昇/訳 三元社 2016.12.1 と同作収録の『スケッチ・ブック(下)』ワシントン・アーヴィング/著 齊藤 昇/訳 岩波文庫 2015/1/17) 

 

9◆2019(令和元)年11月30日号(No.260)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(9)
『その雪と血を』ジョー・ネスボ」

クリスマス・ストーリーをあなたに(9)『その雪と血を』ジョー・ネスボ ―第260号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
(「新生活」版)

・『その雪と血を』ジョー・ネスボ/著 鈴木恵/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2018/11/20
―ノルウェーを代表するサスペンス作家が描くパルプ・ノワール。
 第8回翻訳ミステリー大賞および第5回読者賞をダブル受賞した。

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10◆2020(令和2)年11月30日号(No.283)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(10)
「ファンダーハーフェン老人の遺言状」メアリー・E・ペン」

クリスマス・ストーリーをあなたに~(10)「ファンダーハーフェン老人の遺言状」ペン-楽しい読書283号

(「新生活」版)

・メアリー・E・ペン「ファンダーハーフェン老人の遺言状」Old Vanderhaven's Will(1880)小林晋/訳 (The Argosy誌1880年12月号掲載)
『ミステリマガジン』2020年1月号(738) 2019/11/25 掲載

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(画像:メアリー・E・ペン「ファンダーハーフェン老人の遺言状」を掲載した『ミステリマガジン』2020年1月号(738) )

 

11◆2021(令和3)年11月30日号(No.307)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(11)-2021-
「パーティー族」ドナルド・E・ウェストレイク」

クリスマス・ストーリーをあなたに~(11)-2021-「パーティー族」-楽しい読書307号

(「新生活」版)

・「パーティー族」ドナルド・E・ウェストレイク Party Animal(Playboy 1993-12) 初出『ミステリ・マガジン』2009年6月号
・ドナルド・E・ウェストレイク『<現代短篇の名手たち3> 泥棒が1ダース』木村二郎/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2009/8/21 収録

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(画像:ドナルド・E・ウェストレイク「パーティー族」収録の『<現代短篇の名手たち3> 泥棒が1ダース』ドナルド・E・ウェストレイク 木村二郎/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2009/8/21)

 

12◆2022(令和4)年11月30日号(No.331)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-
「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー」

クリスマス・ストーリーをあなたに~(12)-2022-「飾られなかったクリスマス・ツリー」-楽しい読書331号

(「新生活」版)

・「飾られなかったクリスマス・ツリー」クリストファー・モーリー 浅倉久志/訳
 『ミステリ・マガジン』1997年12月号(no.501)<クリスマス・ストーリイ集>より

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一回毎、一年ごとに【古典編】と【現代編】を交互に紹介してきました。

【古典編】  チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』『鐘の音』
 ワシントン・アーヴィング『昔なつかしいクリスマス』
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メアリー・E・ペン「ファンダーハーフェン老人の遺言状」
 クリストファー・モーリー「飾られなかったクリスマス・ツリー」

【現代編】  トルーマン・カポーティ「あるクリスマス」「クリスマスの思い出」
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 ドナルド・E・ウェストレイク「パーティー族」

 

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2023.01.31

私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編-楽しい読書335号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」
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 今年も「私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)」です。

 <フィクション系>は、文字通りフィクション、
 小説等の創作物を指します。

 まずは、<再読編ベスト3>、次に<初読編ベスト3>を。

 

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 - 懐かしの冒険サスペンスと懐かしの人生?ミステリ -

  ~ 私の年間ベスト3・2022フィクション系(後編) ~

  <再読編ベスト3>&<初読編ベスト3>

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 ●<再読ベスト3>

再読24冊から、前号で<再読ベスト3>の候補をあげています。

『果てしなき旅路』『血は異ならず』ゼナ・ヘンダースン
『マンハンター』ジョー・ゴアズ
『縮みゆく人間』『地獄の家』リチャード・マシスン
『きみの血を』シオドア・スタージョン
『鳥』ダフネ・デュ・モーリア
『怪奇幻想の文学 I 深紅の法悦』紀田順一郎、荒俣宏/編
『ドラキュラのライヴァルたち』マイケル・パリー編
『闇の展覧会1・2』カービー・マッコーリー/編

 

ここから<再読ベスト3>を発表します。

(3)『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン

前号でも紹介しましたように、左利きの問題との関連で、
私にとって忘れられない作品です。
地球に不時着した異星人が、地球人のなかでの生活になじむべく、
超能力を封じて暮らす、というお話。
詳しくは、↓

第625号(No.625) 2022/9/3
「2022年8月13日国際左利きの日合併号(続)
左利きとアイデンティティ ~《ピープル》シリーズから考える」
2022.9.3
2022年8月13日国際左利きの日合併号(続)左利きとアイデンティティ
-週刊ヒッキイ第625号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/09/post-bbbde2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/4db1239925b49f49fc58073cbe1d5f73

 

(2)『縮みゆく人間』リチャード・マシスン

ある事情で身体が縮んでしまうようになった男性の物語。
冒険サスペンスものでありながら、人間とは何か、夫婦とか家族とか、
人間関係とは? といった問題を考えさせる。
ラスト、いよいよ命の終わりかと思うと、実は……、という傑作。
生きるってことは大変なことなのです。

(1)『マンハンター』ジョー・ゴアズ

アクションたっぷりのハードボイルド・ミステリながら、
いや、それだからか、学生時代の女の子との思いを胸に、
汚れた世界で一人奮闘し、悪と戦う男の姿が、美しい物語です。

 

★☆★☆ <再読ベスト3> ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

・『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン/著 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF ピープル・シリーズ 1978/7/1(1959)

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・『縮みゆく人間』リチャード・マシスン 吉田誠一/訳
 ハヤカワ文庫NV 1977

 

・『マンハンター』ジョー・ゴアズ 山中誠人/訳 角川文庫 1978

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 ●<初読ベスト3>候補

次に初読21冊から<初読ベスト3>候補を挙げてみましょう。

『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック
『ハメット』ジョー・ゴアズ
『探偵コナン・ドイル』ブラッドリー・ハーパー
『オクトーバー・リスト』ジェフリー・ディーヴァー
『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン
『祖父の祈り』『父親たちにまつわる疑問』マイクル・Z・リューイン
『硝子のハンマー』貴志祐介
『下町ロケット ガウディ計画』池井戸潤
『ある日どこかで』リチャード・マシスン

まあ、こんなところでしょうか。

『バーニーよ銃を取れ』は、
ひょんことからギャングの親分を敵に回すことになった
一般人の男三人の戦い。
プロの軍人を教官に訓練に励み、決戦を迎えるが……。

次の二つは、作家ハメットとコナン・ドイルが探偵役となるミステリ。
それぞれ事実と虚構が相まっておもしろいものになっていました。

ラストのどんでん返しが魅力のディーヴァーの意欲作、
『オクトーバー・リスト』は、逆進行のミステリ、スゴイの一語。

『硝子のハンマー』は、テレビ・ドラマで見た作品の原作。
密室殺人の謎解きと、犯人側のドラマと二倍楽しめ、かつ意外なラスト。

『下町ロケット ガウディ計画』は、『下町ロケット』の続編で、
私は、工業高校の機械科卒で、級友にも町工場の社長の息子などいて、
そういう部分での興味もあり、物作りにかける思いといった内容も、
楽しめるものでした。
(そういう意味では、朝ドラの『舞いあがれ』も、
 わが故郷、中小企業の町、東大阪が舞台の一つであり、
 町工場を継いだ父親の夢を実現しようと奮闘する主人公、
 という面も含めて、興味深く毎朝視聴しています。)

 

『ある日どこかで』は、時間の壁を超えて出会う男女の恋物語。
映画化もされ、宝塚歌劇でも上演されたという作品の原作です。
しかし、これは死を宣告された青年の狂喜が生み出した妄想なのか、
実際に起きた奇跡なのか、どちらにも解釈される仕掛けが、
この作家らしいといいますか……。

『木曜殺人クラブ』『祖父の祈り』のふたつは、
老人が主人公となるお話で、今や老人の一人となった私にとっても、
興味深い内容でした。

前者は、高級老人ホームで起きた殺人事件をミステリ好きのメンバーが
探偵に乗り出すというストーリー。過去の事件の影が長い尾を引く物語。
各人の過去の人生の秘密が暴かれて行き、それぞれに興味深い内容で、
人生の重さといったものを改めて実感させられます。

後者は、コロナ禍を思わせるパンデミック下の近未来のアメリカを
思わせる町が舞台とする作品。
感染して亡くなった妻との約束を守るため、
同じく亡くなった娘の夫に代わり、
祖父が娘とその息子(孫の少年)を守り抜くという決意を貫く物語。
男の役割といったものを全うしようとする老人の戦い。

再読したダフネ・デュ・モーリア『鳥』中の表題作「鳥」も、
妻と子供たちを守る夫のお話で、
カービー・マッコーリー/編のホラー・アンソロジー『闇の展覧会1』
巻末の短い長編ともいうべきキングの「霧」も、
息子を守る父親の戦う姿が描かれている作品でした。
こういう物語には、グッとくるものがあります。

『父親たちにまつわる疑問』は、
異星人を名乗る心優しい青年にまつわる事件を、“心優しき私立探偵”
アルバート・サムスンが解決する、心優しいお話。

 

 ●<初読ベスト3>

では、<初読ベスト3>の発表。

(3)『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック
他人の講座から預金を盗み取ったものの、相手はギャングの親分。
追い込まれたバーニーたちは銃を取るが……。
鬼軍曹を教官に特訓を受け、作戦を練り、対決する!
この過程と実際の決戦がおもしろい冒険サスペンス。

 

(2)『ある日どこかで』リチャード・マシスン

私は、ジャック・フィニイのノルタルジック・ファンタジーとでも
呼ぶのでしょうか、一連の短編が好きで、大切にしています。
彼には時間を超えるファンタジーの長編もあります。
この『ある日どこかで』も
そういうフィニイの長編をリスペクトした作品になっています。
実はフィニイの作品も未読で、ずっと将来の楽しみに取ってあるのです。
この長編も実は、そういう一冊だったのですが、
このたび、他のマシスンの本を整理するので、これも読んでみました。

ラストの仕掛けをどう評価するのか、というところが分かれ目か?

 

(1)『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

偶然ですが、こちらもリチャードさんですね。
それはさておき、上にも書きましたように、この長編は、
老人の探偵クラブの謎解きゴッコなのですが、
それぞれの登場人物の過去が暴かれるなかで、人生の重さといいますか、
人の世の浮き沈みと生き方、その心情の動きなど、
なかなか読ませるものがありました。

p.29(羽田詩津子訳)
《人はある年齢を超えたら、やりたいことはほとんどできる。
 医者や子どもたちを除けば、やめろと言う人もいない。》

p.59(羽田詩津子訳)
《トニーは運を信じていない。彼が信じているのは努力だ。
 準備がおろそかになれば、失敗は目に見えている。
 トニーが教わった年老いた英語教師はかつてそう言った。
 それを忘れたことは一度もない。》

p.118(羽田詩津子訳)
《人生では、よい日を数えるようにしなくてはならない。
 そういう日をポケットにしまって、
 いつも持ち歩かなくてはいけない。》

p.200(羽田詩津子訳)
《おれたち全員が弱ってきている、(略)ちょろいもんだ。
 ひとひねりだ。そうだろ? 造作もないにちがいない。
 だが、いいか、ここには人生で何事かを成し遂げた人もいるんだ。
 ちがうか?》

p.283 (羽田詩津子訳)
《よく時が傷を癒やすと言うが、人生にはいったん壊れたら、
 決して治せないものがある。》

p.436(羽田詩津子訳)
《自分は一人でやりたいことをして、満足している人間なのか? 
 それとも、手に入れたものだけでどうにか納得しようとしている、
 孤独な人間なのか? 一人なのか孤独なのか?》

等々、気になる文章が出てきます。

次の作品も出版され好評のようです。また読んでみたいものです。

 

☆★☆★ <初読ベスト3> ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

・『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック 上田公子/訳
 角川文庫 1982

・『ある日どこかで』リチャード・マシスン 尾之上浩司/訳
 創元推理文庫 2002

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・『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン 羽田詩津子/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2021

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 ●選外――マイクル・Z・リューイン

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選外として、やはり特筆したいのが、マイクル・Z・リューインの作品
『祖父の祈り』と『父親たちにまつわる疑問』です。

・『祖父の祈り』マイクル・Z・リューイン 田口俊樹/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2022

・『父親たちにまつわる疑問』マイクル・Z・リューイン 武藤陽生/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2022

・『ミステリマガジン』2022年9月号(No.754)
特集:マイケル・Z・リューイン生誕80周年(早川書房 2022.7.25)

《リーロイ・パウダー警部補ものの本邦初訳の短篇と
 私立探偵アルバート・サムスンものの書籍未収録短篇の再録、
 リューインからの特別メッセージと近況、
 リューイン・ファンの作家たちによるエッセイなどで、
 巨匠の魅力を再確認していく》――という特集号も。

 

『祖父の祈り』は、上にも書きましたように、老人が家族を守るお話。
まだまだ俺にもやれる、といった独白もあり、
年老いた男の生き方の一つの在り方を描きます。
今や老人となってしまった私の心に響くものがありました。

p.70(田口俊樹訳)
《生きていくことこそなにより重要なことだ。それが妻との約束だった。
 息を引き取る直前に(略)「あの子たちをお願いね」/
 「任せておけ」老人はそう約束したのだった。》

p.66(同)
《あの男はおれを欲しがってたんだ。このおれを! 
 まだまだおれは現役だということだ。》

p.76(同)
《自分の仕事をきちんとやってのけたのだ。おれは役に立った。》

p.151(同)
《老人の望みはここから出ることだった。
 家族みんなでここを逃れることだ。それができないなら、
 せめて今いる場所でより安全に暮らせるよう努力するしかない。
 壁を強化して、ドアも補強して……
 そういうことこそおれの“役割”だ。》

p.198(同)
《任務はまだ完了していない。今はまだ。
 それでも老人には証明できた
 ――家族のために脱出のチャンスをつくるだけの力は
 おれにはまだ残されている。》

 

『父親たちにまつわる疑問』は、かつて私が大好きだった
“心優しき私立探偵”アルバート・サムスンの最新作。
久しぶりの新作の翻訳の登場で、おおいに期待しました。
短編集なので、そういう意味ではちょっと物足りないともいえますが、
事件の依頼者の性格といいますか、人間性がまたサムスンと合っていて、
この二人の絡みがおもしろいものでした。

初めての人もぜひ読んでいただきたい、
心優しい気持ちになることでしょう。

 

【追記】――<左利きミステリ>

前回、「●(3)小説や左利き本等著作のための勉強本」
の段で、<左利きミステリ>を二点紹介しました。

もう一つ忘れていたものがあるので、追加しておきます。
<初読ベスト3>にも選んだ

『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

です。

事件の捜査に当たる地方警察の女性警官ドナーの妄想として、
<左利きネタ>が登場します。
手柄をたてて刑事になりたい彼女は、
実は、老人探偵クラブの警察側の情報源として、
クラブの面々の企みによって捜査にくわえてもらえたのでした。

p.125(羽田詩津子訳)
《「鑑識に筆跡を調べてもらったら、何がわかったと思いますか?」
 クリスは興味がなさそうなふりをするだろうが、
 実はそうではないことはわかっている。
 「トニー・カランは実は左利きだったんです」》

よくある<左利きネタ>です。

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 ★創刊300号への道のり はお休みです
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本誌では、「「私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」」と題して、今回も全文転載紹介です。

再読編と初読編のベスト3の紹介でした。
初読編は選外として、マイクル・Z・リューインの新作を紹介しました。
これもオススメです。
『祖父の祈り』は、コロナ禍に関する本は読んでこなかったので、初めての作品でした。
そういう意味でも家族を守る男/老人(祖父)の本としても、心に残る作品でした。

家族を守る男(父親)の物語としましては、再読本の中に、キングの「壁」や、デュ・モーリアの「鳥」などがありました。
これらは、作品のストーリー的にも優れたものでした。
機会があれば、ぜひお読みください。

 ・・・

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