2024.05.15

私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん-楽しい読書366号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 【別冊 編集後記】

2024(令和6)年5月15日号(vol.17 no.9/No.366)
「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年5月15日号(vol.17 no.9/No.366)
「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」
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 昨年9月から10月、11月、12月と、
 読書習慣を持つ人の減少、および町の本屋さんの減少に関しての文章を
 書いてきました。

 今回また、私の“町の本屋”論を書いてみたいと思います。

 私は、今からおよそ40年ぐらい前になりますが、
 20代後半から30代の初めまで6年近く“町の本屋”さんで、
 「本屋の兄(にい)ちゃん」(近所の小学生からそう呼ばれていました!)
 として働いていました。

 そういう書店員経験と小学生時代からの書店客としての経験を基に
 語ってみたいと思います。

 

【過去の本屋論】

2023(令和5)年9月15日号(No.350)
「私の読書論174-消えゆく書店と紙の本」
2023.9.15
私の読書論174-消えゆく書店と紙の本-楽しい読書350号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-f7ab5e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a65f07da56cc868147fbd49d01c3c4bf

 ●朝日新聞の記事「本屋ない市町村、全国で26%~」
 ●再販制度――定価販売による価格保証
 ●書店経営が厳しい背景の要因―雑誌の売り上げの急減
 ●ネット書店で本を買う人の増加
 ●リアル書店での「偶然の出会い」
 ●リアル書店の生き残りについて――「コンビニ+本屋」
 ●ベストセラーではなく、ロングセラーを!
 ●本屋はそのまちの文化のバロメーター

一番大事なことは、本屋さんというのは、
その町の文化を代表する存在の一つだ、ということです。

もちろん文化施設としては、
公立や私立の図書館とか美術館とか博物館などもあります。
あるいは学校――小・中・高校、大学、専門学校などの教育施設などが
あります。

しかし、最も身近な文化施設として、私が思うところは、
やはり町の本屋さんなのです。
これは私の経験からの意見です。

本屋さんに出入りするようになり、私の世界が広がったのです。
今の私につながるような変化を生みました。

それが文化というものでしょう。

本の世界には、文字通り世界のすべてが包含されています。
未知なる世界への入口になるのです。

日常的な生活だけでは、絶対ふれ得ないような世界の広さです。

それが本屋さんというものだと私は思っています。

もちろん、昔でいえば映画やラジオやテレビもそういうものでした。
しかし、それらは自分の手元に置いておくことができにくいものでした。

紙の本なら、それが可能でした。

広い世界へつながる入口――それが本屋さんであり、
文化へ続く道だったのです。
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2023(令和5)年10月15日号(No.352)
「私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと」
2023.10.15
私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと-楽しい読書352号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-d8d8ec.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7b9a38985fcfd574650e4c54eba355c1

 前回に引き続き、本と本屋の世界といいますか、業界について、
 「元本屋の兄ちゃん」として、本好き・読書好きの人間として、
 私なりに考えていることを書いてみようと思います。

 前回は、朝日新聞の記事「本屋ない市町村、全国で26%~」を基に、
 書店が生き残る方法など、私なりの考えを書きました。
 再販制度をやめよとか、雑誌販売についてとか、
 書店の選書について等々。

 今回はその続きで、出版業界における改革について、
 私なりの案を書いてみましょう。

 ●日本の本は安い!?
 ●本の値段を上げてみれば?
 ●本の価格を1.5倍に
 ●より良い本作りが可能に
 ●「軽い」本は電子版で
 ●「良い本」を作れる環境を!

まとめ的にいいますと、
現状ではまず本の値段を上げてそれぞれの取り分を増やす。

そうして、著者・出版社の「良い本」を作れる環境を整え、
書店がそれらの「良い本」をじっくり時間をかけて売れる状況にする。

――というところでしょうか。
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2023(令和5)年11月15日号(No.354)
「私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと」
2023.11.15
私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと-楽しい読書354号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/11/post-7462e0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d498bde194e54d8e97a5d018d683f607
 ●月0冊が半数
 ●系統だった情報を入手する方法としては本が上では?
 ●「読書週間」と読書習慣
 ●「本を読むから偉い」のでなく「本を読んだから偉くなれた」
 ●「読む時間が確保できない」
 ●「読みたい本がない」について
 ●書店の新形態――無人の店舗、コンビニ併設
 ●本屋さんの生き残りに期待

とにかく、本屋さんがなくなるというのが一番の悲劇だと思っています。
何らかの形で残って欲しい、という強い願望があります。

ふらりと入った本屋さんであれこれ見ることで、
「あっ、こんな本が出てる!」という偶然の出会いがあります。

それが本好きにとっての一番の至福の時間かもしれません。

私は、本屋さんにいるときが一番楽しい時です。
図書館も楽しみですが、本屋さんの方が、より新しい顔を見られる、
という点で楽しみが大です。

今の私があるのは、ひとえに本屋さんあればこそ、と思っています。
私の人生の一番の友、それが本で、その友との出会いの場が本屋さん、
なんです。

(略)

私は、書店・本屋さんは、地域の文化の担い手だと考えています。
がんばれ本屋さん!
--

 

2023(令和5)年12月15日号(No.356)
「私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ
―『美しい本屋さんの間取り』から」
2023.12.15
私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ―『美しい本屋さんの間取り』-楽しい読書356号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/12/post-bf19e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/79bec3e02805048065d5ea41387e2c55

 (今回の参考書)
『美しい本屋さんの間取り』エクスナレッジ X-Knowledge 2022/12/29
http://www.amazon.co.jp/dp/4767830958/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
 ●現物の魅力

本屋さんの魅力といいますと、なによりも、
<思いがけない本との出会いがある>という点でしょう。

欲しい本を買うだけなら、ネットで十分です。
在庫があれば、Amazonなどではホントにすぐに送ってきてくれます。

でも、自分が欲しい本が必ずしも、選んだ本だった、とは限りません。
色々な情報を手にしたうえで吟味して選んだつもりでも、
ホントに自分に合ったものかどうかは、
実際に手に取って読んでみなければ分からないものです。

その点、本屋さんではある程度立ち読みで現物を確認する事もできます。
内容だけではなく、実際の“もの”としての魅力という側面もあり、
自分で納得のいくものに出会えるという点では、
リアルの世界の持つ力は、捨てがたいものがあります。

本屋さんで本を探していると、予定していた本以外にも、
もっと適切な本が見つかることがあります。

さらに、考えてもいなかった本と出会うこともあります。
自分の中にそんな欲望があったのか、と思うような、
異なるジャンルの本との出会いも。

 ●本屋さん開業の夢
 ●『美しい本屋さんの間取り』主な目次
 ●間取りの図版が楽しい
 ●1章 設え方 来店者を増やす
 ●2章 見せ方 美しく本を見せる
 ●3章 基本 知っておきたい基礎知識
 ●本書が見せてくれる自分の本屋さんの夢
--

 以上、過去4回の概要とまとめというところです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 - 私の読書論184 -
  ~ がんばれ!町の本屋さん ~

  産経新聞の記事「一筆多論/多様な本屋があればこそ
          書店減少と読書文化を考える」より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●「多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」

産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの
「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」
https://www.sankei.com/article/20240430-3WZGEHWNPVPEHJSDN4I2J4ITXU/

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(画像:産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」全文)


240430sannkei-news-honya

(画像:産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」のネット・ニュース版冒頭)

 

を紹介しましょう。

私も書いていますが、
本屋さんをのぞく楽しみは、他の商品と同じかも知れません。

「出会い」です。

 《思わぬ本に出会って人生が変わることもある。
  これまで、その舞台となってきたのが「街の本屋さん」だった。》

今その書店が次々と消えつつある。
この20年で半減し、

 《全国の市区町村のうち、4分の1以上で書店が一つもない
  という調査もある。》

そんななかで頑張っている地方の本屋さんを描いた本を紹介しています。

『本屋で待つ』(佐藤友則・島田潤一郎著、夏葉社 2022/12/25)
(Amazonで見る)

 《広島県庄原市の山間部の書店「ウィー東城店」を経営する佐藤さんの
  物語だ。試行錯誤するうちに本屋が印刷代行を手掛けるようになり、
  美容院や化粧品販売、コインランドリーにベーカリーまで…。》

 《いわゆる〝多角化〟で、
  街の「よろずや」となっていく過程がおもしろい。》

低い利益率による収益の少なさをカバーするためだけでなく、

 《各サービスが地域の人に必要とされていたからだ。》

といいます。

そして、ここが肝心の部分ですが、

 《書店を主軸にした多角化が地域の人たちに受け入れられたのは、
  「本という商品が社会から信頼されているから」というのである。》

 《本が信頼されているから本屋も信頼され、そこでパンを売ろうが
  化粧品を売ろうが、客は信頼してくれるのだと。》

人口減少と過疎化が進んでいる状況下で、
このような「よろず屋」が求められているわけです。

私も以前から書いていますように、

 《ただ、出版業界の構造が今のままでは、つまり、
  新刊や雑誌を売るだけではこの先、本屋を維持するのは難しいと、
  佐藤さんは同書で指摘している。》

利益率を上げる、顧客を確保する等の理由から、複合店が増えています。
それができないお店では、2割の粗利しかない現状で、
上質な文化の担い手を人材として確保するのは難しく、
それどころか学生アルバイトすら雇えず、
志を持つ店主たち(あるいはパパママ)で対応しているのが現状です。

書店を文化創造基盤として、その振興策を検討するための
「書店振興プロジェクトチーム」が経済産業省に発足した、といいます。

 《近年、個性的な書店が増えている。
  規模も取り組みもさまざまだが、従来の経営モデルでは
  もう通用しないという裏返しでもあるだろう。》

と、記事にあります。
一つは専門店化であり、他方は副業を合わせた多角化です。
その辺のところは、以前の記事でも紹介しました。

 《本や書店への信頼は読書文化の一端だ。
  大規模書店も街の本屋さんも、
  地域のニーズに根差した多様な書店が
  生き残る術(すべ)を考えてもらいたい。
  時間的な猶予はあまりない。(論説委員)》

と締めくくっています。

 

 ●私の“町の本屋さん”の生き残り法

私の考えた“町の本屋さん”の生き残り法の一つは、
現状の出版販売制度を維持したままでならば、本の価格を引き上げ、
その値上げ分を著者を含めた出版社、取次、書店で分配する方法。
これにより利益率を改善する。

もう一つは、根本的に販売制度を変え、再版制度をやめて、
書店の自由販売に変える。
他の商品などと同じように、自主的に仕入れて、自由に価格を設定、
販売する。

――という二つの方法を書いてみました。

私は、最終的には、後の根本的に販売法を変える方を取ります。
それぞれの経営者が努力する方向が一番だ、と思うからです。

再販制度はかつては、全国一律に価格競争を避けて、
経営規模の大小にかかわらず、全国の読者に本を提供するという役割を、
無事にこなしてきたと思います。

しかし、現状のような変化が生まれてきますと、
十分に対応できない面が出てきました。
Amazonのようにポイント制で、
実質的に再販価格制度を破っているところもあります。

電子本のように三次元空間でものを動かさない流通制度も、
現物主義の書店に不利になっています。

電子本によって、印刷・製本会社も儲けが減り、リアル書店も減益。

そういう現実の中で、生き残るためには、
書店や出版流通の構造を根本的に変える必要がある、
と私は考えています。

 

 ●文化の発信地としての書店の役割

書店の役割として、地域の文化の創造基盤としての存在、
というものがあると思います。

読書系の文化基地としては、書店だけでなく、図書館があります。
図書館の役割は大きいものがありますが、
図書館だけではカバーしきれない部分もあります。

公共の施設としての限界もあります。

図書館では扱いにくい本もあります。
図書館で借りて帰るのは、ちょっと……と思う本もあります。

また、図書館で借りて読むだけでは満足できず、ぜひ、自分の本として、
手元に置いておきたい本というものもあります。

そういった本はやはり本屋さんで買うのが一番です。

かつての私のように、引きこもりで外に出られなかった少年でも、
本の力によって、本の世界で社会とのつながりを得て、
現実に本屋さんに出かけることで、外の世界とつながっていた、
という現実がありました。

本屋さんは、外の世界への扉を開いてくれる場所でもあったのです。

そして、私が左利きの活動を始めるとき、
役に立つ情報を与えてくれたのも、本屋さんと図書館の本でした。

 

 ●がんばれ! 町の本屋さん

どんなに電子本が普及しようと、
それでもなお、紙の本を欲しいという人もいます。

紙の本による、
三次元で肉体と精神の両方を駆使して行う知的活動こそが読書だ、
と考える人もいます。

特に子供さんなどは、手に取って触って見て、五感で理解するのです。
ものとしての本の役割は、非常に大きなものがあります。

これからも、このメルマガでは、
本と本屋さんについてあれやこれやと書いてゆく予定です。
お楽しみに!

 ・・・

実は、後半の部分、当初の書いたものと異なる内容になりました。
パソコンのエラー?で、書いた部分百行分ぐらい消えてしまったのです。

要点の記憶はあるのですが、いざ書き直そうとすると、
まったく異なるものになりました。
あ~あ。

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本誌では、「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」と題して、今回も全文転載紹介です。

かつて「町の本屋」さんで「本屋の兄ちゃん」をやっていた私にとって、こんなに早く本屋さんという業種が「絶滅危惧種」になるとは思ってもいませんでした。

少なくとも私の生きているあいだは大丈夫と、勝手に決め込んでいました。
まあ、それほど、この文化に大きな変化があるとは思っていなかった、ということですね。

ネットを含めた電子化、デジタル化の変化が大きかったということでしょう。

「紙の本から電子本」だけでなく、ネット書店の存在がここまでウエートを高めるとは思いませんでした。

Amazonで当初言われていたのが、ロングテールの本が売れるということでした。
これはネット書店の利点だと思いました。
店舗の立地に左右されず、店舗の賃貸料などを考慮しますと、本屋さんのような利益率の低い商品を扱う時、非常に有利になります。

私自身、後年、本屋時代の上司と話をしたときに、本屋さんは売れる本だけなどという在庫の置き方をするとダメになる、もっと売れない本も置いておかなければ、と。
滅多に売れないけれど、その本を置いておくことで、本屋さんとしての格といいますか、存在価値といいますか、お客さんに選択肢を与えるといいますか、そういう本屋としての価値があるかどうか、ですね。

さて、雑談はそれぐらいにして、これらのお話はまた来月にでもしたいものです。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.04.30

中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)「居を移す二首」他-楽しい読書365号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 【別冊 編集後記】

 

2024(令和6)年4月30日号(vol.17 no.8/No.365)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)
「居を移す二首 其の二」
「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」」

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年4月30日号(vol.17 no.8/No.365)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)
「居を移す二首 其の二」
「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」」
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 今月の「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」は引き続き、
 陶淵明の詩から「居を移す二首」と
 「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」を。 

 

(陶淵明 第1回)
2023(令和5)年9月30日号(No.351)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)「五柳先生伝」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)
「五柳先生伝」-楽しい読書351号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-b68999.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d371c2c2141932565db7fac1a67c1150

(第2回)
2023(令和5)年10月31日号(No.352)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首」から「序」と代表作「其の五」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首 其の五」-楽しい読書353号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-7e3a1c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/fb0ed419e609fae5ca4d419eb039fc2a

(第3回)
2024(令和6)年2月29日号(No.361)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.2.29
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首(其一・二)」-楽しい読書361号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/02/post-40f92c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/554a8f921e059526fa614aeb7885735b

(第4回)
2024(令和6)年3月31日号(vol.17 no.6/No.363)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.3.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首(其三・四)」-楽しい読書363号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/03/post-23dc09.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/983a4bfc7e91c974e60c7924b461f563

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆ 農事にいそしむ ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)

  ~ 陶淵明(5) ~
 「居を移す二首 其の二」
 「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「九、達観を目指して――陶淵明の世界」より
(Amazonで見る)

 

 

 

230930touennmei

 

 ●陶淵明、農事にいそしむ

今回は、隠居後二年で火事にあい、引っ越すこととなり、
その直後に使った詩「居を移す二首」から「其の二」と
「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」を紹介しましょう。

「居を移す二首」は、
 《引っ越し直後に新しい隣近所の人たちと宴会を開き、
  その場で挨拶がわりに“どうぞこれからよろしくお願いします”
  と詠んだもののようです。》p.349

 

 ●「居を移す二首 其の二」

移居二首   居を移す二首  陶淵明

 其二     其の二

春秋多佳日  春秋(しゆんじゆう) 佳日(かじつ)多(おほ)く
登高賦新詩  高(たか)きに登(のぼ)つて新詩(しんし)賦(ふ)す
過門更相呼  門(もん)を過(よぎ)りて更(こも)ごも相(あい)呼(よ)び
有酒斟酌之  酒(さけ)有(あ)らば之(これ)を斟酌(しんしやく)す

 春と秋には天気のよい日が多く
 小高い所に登って新しい詩を作りたくなる
 近所の人々の戸口を訪ねてお互いを呼び合い
 そこに酒があれば酌み交わす

《コミュニケーションを円滑にする、
“これからそういうおつき合いをしましょう”と呼びかけている雰囲気》
p.349 だといいます。

 

農務各自帰  農務(のうむ)には各自(かくじ)帰(かへ)り
閒暇輒相思  閒暇(かんか)には輒(すなは)ち相(あひ)思(おも)ふ
相思則披衣  相(あひ)思(おも)へば
        則(すなは)ち衣(ころも)を披(ひら)き
言笑無厭時  言笑(げんしよう) 厭(あ)く時(とき)無(な)し

 とはいえ、畑のおつとめがあればそれぞれ自分の畑に戻り
 手が空けばその都度、お互いのことを思い出す
 思い出せば、着物をはおって出かけ
 近所の人同士で談笑し、飽きることがない

 

此理将不勝  此(こ)の理(り) 将(は)た勝(まさ)らざらんや
無為忽去茲  忽(たちま)ち茲(ここ)を去(さ)るを為(な)す無(なか)らん
衣食当須紀  衣食(いしょく)
        当(まさ)に須(すべから)く紀(をさ)むべし
力耕不吾欺  力耕(りよくこう) 吾(われ)を欺(あざむ)かず

 こういう生き方の道筋は、さて優れていないか、どうでしょうか
 ふいに深い考えもなしに、この村を立ち去るようなことはしません
 自分が着るものや食べるものは当然、自分で調えるもの
 一心に骨折って農作業する生活は、私たちを欺いたりしませんよね

農作業にいそしみ、《この村でみなさんとずっと一緒に暮らしますよ》
ですから《どうぞよろしく、仲間に入れてください》と、
《彼の社交的な面、公の面》が見られる詩だ、といいます。

 

 ●「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」

次は、陶淵明46歳の秋頃の作品。
火事で焼け出され、貧窮し、
いよいよ農作業に力を入れなければならない状況。

儒教は世直しの思想で、この孔子の教えに従い、官吏となりながらも、
乱れた世に志も遂げられず、職をなげうった陶淵明。

この決断も孔子の教え、『論語』に依拠したもので、そこを押さえれば、
この詩はわかりやすい、と宇野さんは言います。

『論語』「泰伯第八」に「天下道有れば則(すなわ)ち見(あらわ)れ、
道無ければ則ち隠る」とあり、

 《世の中が治まっている時はどんどん出て行って世直しをすべきだが、
  凡人は隠居して農耕生活でもするがよい――
  陶淵明はどうやらこの説に従って隠居したのではないか。
  ところが実際にそうしてみるとうまくゆかない、
  “これはどういうことだ”
  と孔子さまに食って掛かっている感じです》p.350

 

庚戌歳九月中於西田穫早稲  庚戌(こうじゆつ)の年(とし)
              九月中(くがつちゆう)
              西田(せいでん)に於(お)いて
              早稲(そうとう)を穫(か)る  陶淵明

人生帰有道  人生(じんせい) 有道(ゆうどう)に帰(き)す
衣食固其端  衣食(いしょく) 固(もと)より其(そ)の端(たん)なり
孰是都不営  孰(たれ)か是(こ)れ都(すべ)て営(いとな)まずして
而以求自安  而(しか)も以(もつ)て
        自(みづか)ら安(やす)んずるを求(もと)めんや

 “人は道徳を修めることが肝心だ”と孔子さまは言われた
 それはもっともだが、衣食が安定していることがその前提になる筈だ
 衣食のことにまったく関わらず、
 しかも自分を安心させようとするのは誰か、いやそんな人は誰もいない

 

冒頭、『論語』への疑問から始まる。
「人生 有道に帰す」は引用。
『論語』「学而第一」で、
 《学ぼうとする者は、飽食や美食を求めず、安楽な住まいをも求めず、
  やるべき物事はてきぱきと迅速に行い、言葉遣いに気をつけ、
  お手本となる立派な人について正す。そうであればこそ、
  学ぶのが好きな人と言える》p.352
と、
 《学ぶ者は、衣食住にこだわるな、
  物質的満足より精神的充実を目指しなさい》p.352
という。

陶淵明はそれに共感していたけれど、実際に暮らしてみると、
どうもそれだけではすまないぞ、と考えるようになった……。

 

開春理常業  開春(かいしゆん) 常業(じようぎよう)を理(をさ)め
歳功聊可観  歳功(さいこう) 聊(いささ)か観(み)る可(べ)し
晨出肆微勤  晨(あした)に出(い)でて微勤(びきん)を肆(つく)し
日入負耒還  日(ひ)入(い)りて耒(すき)を負(お)うて還(かへ)る

 春のはじめから普段の農作業をきちんとすれば、
 その年の収穫はまずまず見るべきものになる筈だ
 だから私は朝早くから畑に出てささやかな努力を傾け、
 日没とともに農具を背負って帰って来る

 

山中饒霜露  山中(さんちゆう) 霜露(そうろ)饒(おほ)く
風気亦先寒  風気(ふうき)も亦(また) 先(ま)づ寒(さむ)し
田家豈不苦  田家(でんか) 豈(あに) 苦(くる)しからざらんや
弗獲辞此難  此(こ)の難(なん)を辞(じ)するを獲(え)ず

 私の家があるのは山の中で、霜や露がことのほか多い
 風も空気も平地に先立ってどんどん冷えてしまう
 そういう農耕生活がどうして苦しくない筈があろうか、たいへん苦しい
 しかしこの難儀を避けることはできない

 

日々の農作業のつらさを告白します。

 

四体誠乃疲  四体(したい) 誠(まこと)に乃(すなは)ち疲(つか)る
庶無異患干  庶(こひねが)はくは
        異患(いかん)の干(をか)す無(なか)らんことを
盥濯息簷下  盥濯(かんたく)して簷下(えんか)に息(いこ)ひ
斗酒散襟顏  斗酒(としゆ)もて襟顏(きんがん)を散(さん)ず

 両手両足がまったくもうくたくたである
 どうかこの上は、よきせぬ災いが襲うことのないよう願いたい
 一日の終わりに手や足を洗いすすぎ、家の軒下で休み、
 お酒を飲んで心と表情をくつろがせる

 

「斗酒」=少量の酒、これが唯一の楽しみだ、と。

 

遥遥沮溺心  遥遥(ようよう)たる沮溺(そでき)の心(こころ)
千載乃相関  千載(せんざい) 乃(すなは)ち相関(あひかか)はる
但願常如此  但だ願ふ 常に此の如きを
躬耕非所歎  躬耕は歎ずる所に非ず

 こういう生活を続ける中で、遙か昔、孔子に批判的であった隠者、
 長沮(ちょうそ)・桀溺(けつでき)の気持ちが
 千年の隔たりを超えてなんとまあ、今ごろ私と通い合った
 いつまでもこういう生活が続くことをひとえに願う
 私は農作業については、歎くべきこととは思っていない

 

孔子に批判的であった隠者、長沮と桀溺とは、『論語』「微子第十八」に
道に迷った孔子一行が、農作業中の二人に道を尋ねると、
 《「孔子なら中国全体をわたり歩いているから、
  道は知っている筈だろう」と道を教えてくれませんでした。》p.354
という二人で、彼らは孔子の生き方に賛成せず、
 《「世の中は悪い方に流れていて、もう正すことはできない。
  無理して世直しするのではなく、わしらのように宮仕えせず、
  農作業をして生きる方がいい」》p.354
それに対して孔子は、
 《「われわれは人である限り、完全に世の中を避けることはできない。
  鳥や獣と一緒に暮らすのは無理だ。私はあくまで人間たちとともに
  いきてゆきたい。だから世直しを志しているんだ」》p.354

で、陶淵明は千年を隔てて、この長沮と桀溺の気持ちが分かった、
というのです。

とはいえ陶淵明は、元は孔子の教えに従い隠居生活に入った身、
隠者にはなりきれず、新しい村の人たちとやって行こう、
という気持ちでいます。
新しい生活に馴染んでいこうという思いでいます。

 

前回紹介しました「園田の居に帰る五首」では、

 《観念的な理想や、隠居後の折々の感慨を述べた》p.355

陶淵明でしたが、

 《方向性が出ていない印象がありました。
  それがこの辺から農作業の実体験を通じて、
  本当の生き方を探る方向性がとりあえず見えて来たのか。
  なんとなく生き方の糸口がつかめましたよ、
  と孔子さまに報告しているのかな。それを借り物でなく、
  自分の言葉で述懐しはじめたのかもしれません。》pp.355-356

というのが、解説の宇野さんの言葉です。

 ・・・

生きるというのは、志を貫くにこしたことはないのでしょうけれど、
いざ、実際に生活を続けていくことは大変で、様々な問題もあり、
初志貫徹がなるものでもない、志は大切ですが、
一方で現実の中で生きていくためには、お金も必要ですし、
志だけでは生きていけません。
ある程度あきらめながら、どこかで現実とのあいだで、
折り合いを付けていかなければならない。

その辺の迷いなども徐々にその詩の中に出て来るようです。

次回は、その辺の心境を歌っているような作品を見て行ければ、
と思います。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)「居を移す二首 其の二」「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」 」と題して、今回も全文転載紹介です。

今回も田舎に帰った陶淵明さんの詩です。

田舎で農作業に日々を過ごす隠居さん、といえば今もあこがれる人が結構いそうな気がします。
しかし、これも作物が順調に育ってのことで、ひとたび天候不順や病虫害に見舞われれば、一年の苦労があっという間に水の泡ともなりかねず、なかなか大変な毎日が続きます。

孔子の教えに従いながらの日々の中で、そんな苦労も垣間見れる状況を描いています。

スローライフとか、田舎暮らしについて、色々と言われる時代ではありますが、いつの時代であっても、どこに行っても、人生とは苦労の種が尽きないもの。
強いて言えば、健康でさえあればなんとか我慢できるのかなあ、という感じですね。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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2024.04.15

私の読書論183-トールキン『指輪物語』70周年-楽しい読書364号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」
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 今年1954年から70年となります。
 この年には、偉大なる人々や偉大なる創作物が生まれています。

 最初に、1月生まれの
 “ユーミン”の愛称で知られる荒井由実、現・松任谷由実さん。

 かつてオリンピックの野球の「長嶋ジャパン」で、
 長嶋さんが倒れて代役の監督を務めた、
 現役時代は「絶好調男」と呼ばれた、元プロ野球巨人軍の中畑清さん。

 歴代最長の任期を記録した元首相、故・安倍晋三さん。

 (もう一人、一部の人々――主に左利きの、
  そのまた一部の人たちの間では、
  左利き界の“第一人者”とか“大師匠”とか呼ばれる、
  「レフティやすお」さんも1月生まれです)

 創作物でいいますと、最新作がアカデミー賞を受賞したことで
 改めて話題となっている<ゴジラ>シリーズの第一作「ゴジラ」。

 海外では、そう、今回取り上げます『指輪物語』です。

 『指輪物語』は全三巻(普及している邦訳版では全六巻)ですが、
 その第一巻(邦訳版「旅の仲間」上下)、
 第二巻(同「二つの塔」上下)が、本国イギリスで出版されたのが、
 この年でした。ちなみに、第三巻(同「王の帰還」上下)は翌1955年。

 ということで今回は、
 J・R・R・トールキンの『指輪物語』について――。

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◆ 1954年の奇跡!? ◆

  ~ 『指輪物語』『ホビットの冒険』の作家トールキン ~

 『指輪物語』第一巻・第二巻出版(1954年)から70周年
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 ●『最新版 指輪物語』文庫版・全六巻(評論社)

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2022年に、『指輪物語』の邦訳版の出版元・評論社から、
『最新版 指輪物語』の文庫版・全六巻が出ました。

2022年9月、AmazonのPrime Videoプライム・ビデオ
『ロード・オブ・ザ・リング――力の指輪 第1シーズン』
の配信に合わせたもののようで、その広告の帯が付いています。

出版社の紹介文にも、

《ファンタジー文学の最高峰『指輪物語』が
 日本で初刊行された1972年から奇しくも50年目の2022年、
 訳文と固有名詞を全面的に見直した日本語訳の完成形として、
 本最新版をお届けします。》

 

この文庫のことは知らなかったのですが、
これという気になる本がないなあ、と近所の本屋さんをのぞいていて、
見つけました。

従来あった文庫版は、活字が小さくて、文庫派の私でしたが、
買う気になれずにいたものでした。

本屋さんにあったのは、この全六巻だけでしたが、
第七巻「資料編」も2023年に出ています。


『最新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《遠い昔、魔王サウロンが、悪しき力の限りを注ぎ込んで作った、
 指輪をめぐる物語。全世界に、一億人を超えるファンを持つ
 不滅のファンタジーが、ここに幕を開ける。》
631ページ

『最新版 指輪物語2 旅の仲間 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 黒の乗手の追跡から、辛くも逃れたフロドが目を覚ましたところは、
 「裂け谷」のエルロンドの館。翌朝、モルドールに抵抗する種族――
 魔法使い、エルフ、人間、ドワーフ、ホビット――の代表が参加する
 会議がエルロンドの主催で開かれ、指輪をどのように扱うかについて
 話し合われた。さて、その決定は……》
547ページ

『最新版 指輪物語3 二つの塔 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 ガンダルフを失った悲しみを、ロスローリエンで癒した一行は、
 大河アンドゥインを漕ぎ下り、とうとう別れ道へ差し掛かる。
 フロドの指輪棄却の決意を知ったボロミルは、それを奪おうとする。
 逃げ出すフロド。悔悟したボロミルは、オークとの戦いに倒れ、
 メリーとピピンはさらわれる。ここに旅の仲間は離散した……》
545ページ

『最新版 指輪物語4 二つの塔 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 ボロミルから逃れて一人モルドールに向かおうとするフロド。
 しかし、忠実なサムは、出し抜かれずに後を追う。
 大河アンドゥインの東側に連なる急峻エミュン・ムイルの荒涼たる
 山中を、やっとのことで抜け出した二人だったが、
 その後ろに忍び寄る一つの影が……》
418ページ

『最新版 指輪物語5 王の帰還 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 堕落した魔法使いサルマンが所持していたパランティールを、
 好奇心に勝てずに覗き込んだピピンは、魔王サウロンの見出すところ
 となる。ガンダルフは、パランティールをアラゴルンに預け、
 ピピンを連れてミナス・ティリスへ。
 一方ローハン軍召集のためにエドラスに向かう騎士たち。
 空にはナズグールが飛び交い、風雲急を告げる中、
 物語は佳境へと近づく。》
436ページ

『最新版 指輪物語6 王の帰還 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

《瀬田・田中訳の集大成
 フロドをオークの手から奪い返した忠実なサム。
 二人は、助け合いながら最後の使命を果たすべく滅びの罅裂を目指す。
 一方、冥王の目をフロドたちから逸らすべく、黒門前に兵を進めた
 ガンダルフやアラゴルンをはじめとする西国の勇士たちは、
 圧倒的な兵力の差のため暗黒の渦に吞み込まれようとしていた……
 ここに「一つの指輪」をめぐる物語の大団円を迎える。》
403ページ

『最新版 指輪物語7 追補編』J・R・R・トールキン/著 瀬田貞二,
田中明子/訳 評論社文庫 2023/5/30
(Amazonで見る)

《瀬田、田中訳の完成形として、日本初刊行以来50年の
 2022年に刊行を始めた『最新版指輪物語』の最終巻。
 固有名詞と訳文の見直しを行った。本編では語られていない
 歴史の記述、固有名詞便覧など、『指輪物語』世界の案内書。》

 

 ●著者J・R・R・トールキンについて

――出版社より(著者について)
1892~1973年。南アフリカのブルームフォンテンに生まれ、3歳のとき、
イギリスに移住。オックスフォード大学卒業。第一次世界大戦に従軍後、
1925年からオックスフォード大学教授。中世の英語学と文学を中心に
講じた。『指輪物語』は、20世紀最高のファンタジーとされる。
これに先立つ物語として『ホビットの冒険』『シルマリルの物語』
『ベレンとルーシエン』があるほか、児童向けの作品に
『トールキン小品集』『サンタ・クロースからの手紙』などがある。

というわけで、2023年に没後50年として出版されたのが、

『ユリイカ 2023年11月臨時増刊号』総特集◎J・R・R・トールキン
 ―没後50年――異世界ファンタジーの帰還― 青土社 2023/10/5
(Eureka 2023 no.811 vol.55-14)
(Amazonで見る)

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《『指輪物語』や『ホビットの冒険』といった作品において壮大かつ
 緻密な世界を構築し、様々な”読み直し”の旋風を巻き起こしてきた
 J・R・R・トールキン。後続世代による模倣と継承から、映像や
 ゲームがもたらしたビジュアライズの時代を経て、没後から半世紀が
 経つ本年、終わらざりしトールキン論に臨みたい。》

目次
❖異世界は何度でも /上橋菜穂子 /小谷真理 /井辻朱美
 /パトリック・カリー(訳=鏡リュウジ)
❖汲み尽くしがたい源流 /鶴岡真弓 /一條麻美子 /石野裕子
❖座談会 /大久保ゆう+川野芽生+逆卷しとね
❖遠く聞ゆるは懐かしき調べ /伊藤尽 /清水知子 /宮本裕子
 /木澤佐登志 /森瀬繚
❖テーブルを囲んで /上田明
❖創造のカレイドスコープ /辺見葉子 /髙橋勇
 /アラリック・ホール(訳=岡本広毅)
❖エルフ語入門 /伊藤尽
❖言葉は輪廻する /山本史郎 /小野文 /小澤実
❖叙述から始めよ /桑木野幸司 /勝田悠紀 /岡田進之介
 /石倉敏明 /渡邉裕子
❖資料 /髙橋勇 編

 

 ●『指輪物語』の思い出

私がこの作品を読んでのは、1979年6月から7月の初めについて。
この作品を読もうと思ったのは、山口の女子大生からお便りをもらい、
その中にオススメ本としてこの本のことが書かれていたからでした。

これではよく事情がおわかりにならないでしょうから、
もう少し説明します。

当時の私の愛読雑誌のひとつだった、
故やなせたかしさん編集の『詩とメルヘン』の読者投書欄に、
私の投書が掲載され、それを読んだ人が手紙をくれたわけです。

以前このメルマガでも紹介しました、ハヤカワSF文庫から出た、
ゼナ・ヘンダースン『果てしなき旅路』のような作品を書いてみたい、
というのが私の投書でした。

疎外された立場の人たちが仲間を得て、彼らの手助けもあり、
自分を肯定できるようになり自立して行く、といった内容の作品で、
私のお気に入りの作品でした。

*参照:
【ゼナ・ヘンダースン <ピープル>シリーズ
  『果てしなき旅路』『血は異ならず』ハヤカワ文庫SF】

220812people

『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン/著 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF ピープル・シリーズ 1978/7/1(1959)
(Amazonで見る)

・2023(令和5)年1月15日号(No.334)「私の読書論165-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(前編)総リスト&再読編」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2023.1.15
私の読書論165-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(前)総リスト&再読編
-楽しい読書334号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/01/post-ce3d4b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/963db458297d62363a53bf4aaefe9930

・2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2023.1.31
私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編
-楽しい読書335号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/01/post-059ad0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3d8f4210a27677ac55d433cea1778596

 

それに対して、お返しにご自分のお気に入りの作品として、
この『指輪物語』が紹介されていました。

さっそく図書館で借りて読み始めました。
長い作品でしたが、面白く読んだ記憶があります。

その後、この作品の前作というべき児童向けの『ホビットの冒険』も
楽しみました。

45年前の思い出話です。


『ホビットの冒険 上』J・R・R・トールキン/著 瀬田 貞二/訳
岩波少年文庫58 2000/8/18
(Amazonで見る)
《ひっこみじあんで、気のいいホビット小人のビルボ・バギンズは、
 ある日、魔法使いガンダルフと13人のドワーフ小人に誘いだされて、
 竜に奪われた宝をとり返しに旅立つ。79年刊の新版。》
336ページ
『ホビットの冒険 下』J・R・R・トールキン/著 瀬田 貞二/訳
岩波少年文庫59 2000/8/18
(Amazonで見る)
《魔法の指輪を手に入れたビルボとその一行は、やみの森をぬけ、
 囚われた岩屋からもなんとか脱出に成功。ビルボたちは、
 いよいよ恐ろしい竜スマウグに命がけの戦いを挑む。79年刊の新版。》
282ページ

『新版 ホビット――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 2012/11/12
(Amazonで見る)
《映画「ロード・オブ・ザ・リング」で世界中にブームをまきおこした
 J.R.R.トールキンの『指輪物語』。 その前章の物語『ホビット』の
 定本(第四版)の新訳決定版! 著者自筆の挿絵および各国語版の挿絵を
 収録。 時代を越えて読み継がれる“名作"の理解を助ける詳細な
 注釈付の愛蔵保存版。 2012年12月、3部作の第1弾
 「ホビット 思いがけない冒険」がついにロードショー!》
470ページ

(文庫)
『ホビット〈上〉―ゆきてかえりし物語』J・R・R・トールキン/著
山本史郎/訳 原書房 2012/11/1
(Amazonで見る)
《時代を越えて読み継がれる不朽の名作『ホビット』を、
 さまざまな角度から詳細な注釈をつけた新訳決定版。
 トールキン自筆の挿絵つき。持ち歩きしやすい文庫判。》
362ページ

『ホビット〈下〉―ゆきてかえりし物語』J・R・R・トールキン/著
山本史郎/訳 原書房 2012/11/1
(Amazonで見る)
422ページ

 

 ●『指輪物語』の内容について

『指輪物語』は1960年代に欧米の若者たちのあいだで大いに読まれた、
といわれています。
1960年台後半、ベトナム戦争に嫌気したアメリカの若者たちのあいだで、
カンターカルチャーとしてファンタジーが流行し、
『指輪物語』のペーパーバックが300万部も売れたといわれています。

日本では、1972年に翻訳刊行されました。

『ゴジラ』が水爆実験の影響で出現した、とされているのに対して、
この作品は「指輪」が核兵器を表している、という読み方もあります。

実際には、戦時中から書かれた物語ということなので、
その時代背景が著者に影響している、
というのが本当のところではないか、といわれています。

 

さて、なにしろ45年ほど前に読んだっきりですので、
詳しいストーリーも今は忘れてしまい、
あらためて『ホビット』から読み直している状況で、
まだ第一巻「旅の仲間」(上)巻を読んでいるところですので、
具体的な感想などはまだ書けません。

『ホビット』も昔読んだ、岩波少年文庫版『ホビットの冒険』ではなく、
20年ほど前に手に入れたまま放置してあった旧版、
『ホビット―ゆきて帰りし物語― 第四版注釈版』のほうです。

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図書館で岩波少年文庫版の方ものぞいてみましたが、
Amazonのレヴューにもあるように、
ひらがなが多くおとなにはちょっと読みづらく感じました。
おとなが読むなら、
原書房版のおとな向けの翻訳の方が適しているかもしれません。

 

 ●おとな向けファンタジー『指輪物語』

『ホビット』と『指輪物語』の違いについて書いておきましょう。

一言でいえば、「子供向け」と「おとな向け」ということになります。
その分、ストーリーがより複雑になり、
背景となるムードもより深刻になっています。

『ホビット』は、ホビット族のビルボ・バギンズが主人公で、
ドワーフの王様とその一行がドラゴンに奪われたお宝を奪回にゆく旅に、
魔法使いガンダルフの推薦を受けて「忍び」役として同行し、
お宝を奪い返したご褒美と、偶然手に入れた指にはめると姿を消せる、
魔法の「指輪」を持って帰って来るという、副題にあるように、
文字通り<ゆきてかえりし物語>で、
その途中で出会う冒険の数々を語るものです。

『指輪物語』は、このときの「指輪」が実は、
魔王サウロンが探している魔法の指輪で、
この世界を統べることができるというしろもので、
これを奪われないようにどうにかしよう、とビルボから指輪を預かった
養子のフロド・バギンズが仲間たちと旅に出る、というものです。

「黒の乗手」という悪の一味たちから追われる旅です。

――私は、今はまだその辺までですね。

今どきの小説と違って、会話の応酬で進め、
ジョットコースターのようなストーリー展開で読者を離さない、
といったものとは異なり、
詩というか歌も交えて、ゆったりとした地の文で読ませるお話、
というイメージです。

『ホビット』も子供向けにしては長いお話でしたが、
『指輪物語』もまた長大な作品です。

残り5巻とちょっと。
何ヶ月後になるかわかりませんが、読み終えたら
具体的なストーリーの紹介や感想など書いてみたい、と思います。

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本誌では、「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」と題して、今回も全文転載紹介です。

『指輪物語』の映画化作品三部作もありました。
そちらで知っているよ、という人も多いかと思います。
あるいはゲームも出ているそうで、そちらで知ってるという人もいるのかもしれません。

映画にしろゲームにしろどちらにしろ、それはそれでいいのですけれど、やはり本の方を読んでいただきたいと思っています。
それがそもそもの始まりだから。
小説というのは、言葉の芸術なのです。
歌なども言葉の芸術の一つですけれど、これには音、あるいは声が伴います。
しかし、小説のほうは、言葉のみ、それも文字のみの世界です。

それは、人間だけが楽しめる世界といっても過言ではありません。

そういう頭の中だけの空想の世界で遊ぶのも楽しいものなんですよ。

 ・・・

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2024.03.31

中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)「園田の居に帰る五首(其三・四)」-楽しい読書363号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2024(令和6)年3月31日号(vol.17 no.6/No.363)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年3月31日号(vol.17 no.6/No.363)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」」
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月末発行の「楽しい読書」は、古典作品の紹介です。
 現在は、中国の古典から漢詩の名作を読んでいます。

 今月の「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」は、前回に引き続き、
 六朝時代(東晋末~南朝宋初)の詩人・陶淵明(とう えんめい)の
 「園田の居に帰る五首」の後半部分から「其の三・其の四」です。

(陶淵明 第1回)
2023(令和5)年9月30日号(No.351)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)「五柳先生伝」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)
「五柳先生伝」-楽しい読書351号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-b68999.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d371c2c2141932565db7fac1a67c1150

(第2回)
2023(令和5)年10月31日号(No.352)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首」から「序」と代表作「其の五」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首 其の五」-楽しい読書353号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-7e3a1c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/fb0ed419e609fae5ca4d419eb039fc2a

(第3回)
2024(令和6)年2月29日号(No.361)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.2.29
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首(其一・二)」-楽しい読書361号

 

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◆ 隠居生活の思い ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)

  ~ 陶淵明(4) ~

 「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」

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今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「九、達観を目指して――陶淵明の世界」より
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 ●陶淵明「園田の居に帰る五首」

40歳過ぎで官職をなげうって、故郷に帰った陶淵明。
その隠居後の生活をうたった42歳頃の連作「園田の居に帰る五首」。

今回は、窮屈な生活から解放された開放感にあふれた第一首とは違い、
農業生活の悩みを実感するようになった思いがあらわれ始めたころの、
後半の三首から、第三首、第四首を紹介しましょう。

 

 ●「園田の居に帰る五首 其の三」陶淵明

・第三首目は、第一首と並んで有名になった歌だそうです。
そこでは、《「其の二」より少し深刻で、自分の経験不足で農作業が
 うまくゆかない悩みを告白しています。》p.344

 

帰田園居五首(其三)
            園田(えんでん)の居(きよ)に帰(かへ)る
             五首(ごしゆ) 其(そ)の三(さん)

・前半四句は、《農作業の大変さを述べる。》p.344

種豆南山下  豆(まめ)を種(う)う 南山(なんざん)の下(もと)
草盛豆苗稀  草(くさ)盛(さか)んにして
        豆苗(とうびよう)稀(まれ)なり
晨興理荒穢  晨(あした)に興(お)きて荒穢(こうわい)を理(おさ)め
帯月荷鋤帰  月(つき)を帯(お)び 鋤(すき)を荷(にな)うて帰(かへ)る

 山のふもとに豆を植えたが
 その畑には雑草ばかりはびこって、かんじんの豆が育たない
 それで私は毎日、夜明けから畑に出て、
 夜になるまで畑の手入れをしている

 

・後半四句は、《“農作業は大変だが、どうかうまくいきますように”と、
 祈るような気持ちを述べます。五・六句めはたとえを使って、
 計画通りにゆかないむずかしさを述べたもの》p.344
 
道狹草木長  道(みち)狹(せま)くして草木(そうもく)長(ちよう)じ
夕露沾我衣  夕露(ゆうろ) 我(わ)が衣(ころも)を沾(うるほ)す
衣沾不足惜  衣(ころも)の沾(うるほ)ふは惜(をし)むに足(た)らず
但使願無違  但(ただ) 願(ねが)ひをして
        違(たが)ふこと無(なか)ら使(し)めよ

 帰り道は狭く、余計な草や木ばかりが茂って邪魔をする
 その上、夜露が私の服をぬらす
 着物がぬれるのは、いやがるほどのことではない
 ただひとえに、私の願いが背かれることのないようにさせてほしい 

《夜の帰り道の描写であるとともに、農耕に生きる道の大変さのたとえ》
で、
《自分で選んだ農耕生活が今後もうまくゆくよう、それだけが願い》だ、
ということだろうといいます。

 

 ●「園田の居に帰る五首 其の四」陶淵明

帰田園居五首(其四)
           園田(えんでん)の居(きよ)に帰(かへ)る
            五首(ごしゆ) 其(そ)の四(し)

・《最後の二句に重みがあります。或る日、
 子どもたちや甥を連れてピクニックに行った時に廃屋に出くわし、
 そこから人生の無常に思いを巡らす――ちょっと深刻な展開です。》
pp.345-346

・第一段は、《隠居直後の正直な感慨か》。p.346

久去山沢游  久(ひさ)しくる山沢(さんたく)の游(あそ)びを去(さ)り
浪莽林野娯  浪莽(ろうもう)たり 林野(りんや)の娯(たのし)み
試携子姪輩  試(こころ)みに子姪(してつ)の輩(はい)を携(たづさ)へ
披榛歩荒墟  榛(しん)を披(ひら)いて荒墟(こうきよ)を歩(ほ)す

 私はもう、長いこと山水を楽しむ遊覧から遠ざかっていて
 森や野原を歩く楽しみなど、ぼんやりとしか考えていなかった
 今日試みに、子どもや甥たちを連れて
 雑木を掻き分け押し分けて、荒れた村里を歩いてみた

 

・第二段の「丘隴(きゅうろう)」を「墓場」ととる説もあるそうですが、
特別な行事の場合は別として、
《墓場にピクニックに行く、というのはどうかなあ。》p.346

徘徊丘隴間  徘徊(はいかい)す 丘隴(きゆうろう)の間(かん)
依依昔人居  依依(いい)たり 昔人(せきじん)の居(きよ)
井竈有遺処  井竈(せいそう) 遺処(いしよ)有(あ)り
桑竹残朽株  桑竹(そうちく) 朽株(きゆうしゆ)残(ざん)す

 ぶらぶら歩き回る、小高い丘の辺り
 どうやらここらには、昔の人の家があったようだ
 井戸やかまどがその名残りをわずかにとどめている
 農家につきものの桑や竹は、枯れ朽ちた株が崩れてしまっている

 

・第三段は、廃屋について、
《ちょうど通りかかった木こりにようすを尋ねます。》
その答えを聞いて、《一挙に無常観に突き落とされます。》p.346

借問採薪者  借問(しやくもん)す 薪(たきぎ)を採(と)るの者(もの)
此人皆焉如  此(こ)の人(ひと) 皆(みな) 焉(いづ)くにか如(ゆ)くと
薪者向我言  薪者(しんじや) 我(われ)に向(むか)つて言(い)ふ
死没無復余  死没(しぼつ)して復(ま)た余(あま)す無(な)しと

 ちょっと尋ねてみた、通りすがりの薪を取る人に
 ここにいた人たちはみんな、いったいどこに行ってしまったのですか
 すると木こりは答えた
 いや、みんな亡くなって、跡を継ぐ人もいないんですよ

 

・第四段、「一世」は三十年の意味。「当(まさ)に~べし」は、
「必ずや~なるであろう」と、《確実性の強い推量です。》

一世異朝市  一世(いつせい) 朝市(ちようし)を異(こと)にす
此語真不虚  此(こ)の語(ご) 真(まこと)に虚(きよ)ならず
人生似幻化  人生(じんせい)幻化(げんか)に似(に)たり
終当帰空無  終(つひ)に当(まさ)に空無(くうむ)に帰(き)すべし

 三十年のうちに、朝廷も市場も、がらっと様変わりするという
 その言葉はまったく正しい
 人が生きるというのはまぼろしであり、
 実態がないもののように思う、結局は無に帰するのであろう

 

「一世異朝市」という慣用句があったようで、「一世代三十年のうちに、
 宮廷や市場が入れ替わるほどの変化がよくある」と、
世の中の移り変わりやすさと取る説もあるといいます。

 《隠居後一年、“こういう人生を選択したけれどいいのかなあ”と
  壁にぶつかった時にたまたま見た廃屋、
  それが自分のこれからの人生に重なって、
  あまり深い思想からではなしに、
  ついこういうことを書き付けてしまったのか……。》p.347

時の流れというものは、無常なもので、
鴨長明『方丈記』の冒頭にもありますように、
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」と。

仏教の無常観というものの表れですが、
陶淵明の時代には、そこまでのものがあったかどうか、
宇野さんの解説では、
後漢の「古詩十九首」あたりから出ているといいます。

 《“人生は朝露のようにはかないものだから、
  夜じゅうろうそくを灯して遊ぼう、酒を飲もう”という考え方が
  見られ、実はそこにも仏教思想が影を落としている
  と言われています。》p.347

ただ、
 《来世に望みを託するということはなく、
  その当時の中国に人々の仏教の受け止め方なんでしょうか――
  もしかしたら来世を考えない儒教の影響が
  大きいかも知れませんね。》p.347
と。

 

 ●田舎生活の陰影

ここでは紹介しませんが、
「其の五」では、
悲しみを抱えたまま険しい道をたどり、山の水で足を洗い流す。
新たな酒と鶏を潰して近隣の人を呼び、酒宴を開き、朝を迎える。

というふうに、隠居し移住した地で新たな生活を送る、
その生活の起伏を描いています。

政治の世界を離れた寂しさも感じさせる反面、
世相の荒波を超えた日常的な田舎の生活――
新たな農家の生活に、日々の収穫の多寡に一喜一憂するような、
そういう生活の陰影も感じさせる詩編です。

 ・・・

次回は、隠居後二年で火事にあい、引っ越すこととなり、
その直後に使った詩「居を移す二首」を。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」 」と題して、今回も全文転載紹介です。

近年、UターンとかJターンとか、あるいは故郷とは別個に地方への移住をする人も増えていると聞きます。
田舎暮らしのスローライフというのでしょうか。

この陶淵明さんもそういう一人だったようで、都での役人の世界を捨てて故郷に帰って農業に励むという暮らし。
政治や役人の世界も大変でしょうが、農業は農業でそれはそれで楽しみもある反面、自然が相手では思うにならぬむずかしい面もあり、ある種の無常観にとらわれることもあったのでしょう。
酒でも飲まないといられない、ということも……。

まあ、どこで、どのような世界で暮らすにしても仲間がいれば、それで解消される部分もあるでしょうから。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

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2024.03.15

私の読書論182-渡瀬謙『一生使える「雑談」の技術』から-楽しい読書362号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書 (まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2024(令和6)年3月15日号(No.362)
「私の読書論182-渡瀬謙のビジネス書の新刊
『一生使える「雑談」の技術』から」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年3月15日号(No.362)
「私の読書論182-渡瀬謙のビジネス書の新刊
『一生使える「雑談」の技術』から」
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 いつも新刊が出ると本を贈っていただいている、
 友人で左利き仲間の渡瀬謙さんの新刊を取り上げます。

 彼の著作を取り上げるのは、昨年の6月と8月の二度ありました。

 「営業のノウハウを処世術として人生に活かす」という趣向でした。

 今回は「雑談術」を扱ったもので、
 必ずしも「営業のための」、というものではありません。

 近所付き合いでも職場での付き合いでも、またお友達付き合いでも、
 その他色々な場面で応用できるかなあ、ということでご紹介します。

 

・2023(令和5)年6月15日号(No.344)
「私の読書論171-渡瀬謙のビジネス書の新刊
『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』から」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2023.6.15
私の読書論171-渡瀬謙『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』
から-楽しい読書344号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/06/post-929a0f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/59ae185f3daf8eebaec62cad6639e4f4

*渡瀬謙『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』
日本実業出版社 2023/5/26
(Amazonで見る)

 

2023(令和5)年8月15日号(No.348)
「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・
 静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」
2023.8.15
私の読書論173-友人の新刊・静かな人のための『静かな営業』を
読んでみた-楽しい読書348号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/08/post-a3c1f9.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/18d2f67eff14d96378e59e618cd888a3

*渡瀬謙『静かな営業 「穏やかな人」「控えめな人」こそ選ばれる
 30の戦略』PHP研究所 2023/7/20
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◆ 平常心――「常にまわりが見える」観察の力で… ◆

  ~ 営業のノウハウを処世術として人生に活かす(3) ~

 渡瀬謙『一生使える「雑談」の技術』(大和出版)から

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 ●『一生使える「雑談」の技術』全体の概要

『どんな場面でも会話が途切れない 一生使える「雑談」の技術』
渡瀬謙/著 大和出版/2024/2/16
(Amazonで見る)

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目次

 序章 発想さえ変えれば、誰もが“雑談上手”になれる!
 第1章 これだけは押さえておきたい! 雑談の基本&大原則
 第2章 最初が肝心! 話のきっかけづくりと話題の見つけ方
 第3章 ストレスがかからない! 不自然にならない雑談の進め方
 第4章 会話がどんどん弾む! 話の上手な広げ方・掘り下げ方
 第5章 もう、あわてない! 話につまったときの切り抜け方
 第6章 こんなとき、どうする? [シーン別]困った状況での雑談術 
 終章 雑談の技術をマスターできれば、人生が大きく変わる!

 

(出版社の紹介文)
--
ムリに話さなくてもOK!
生来の口下手人間が試行錯誤の末につかんだ
「話のきっかけづくりと見つけ方」「話の広げ方と掘り下げ方」
「困った状況の切り抜け方」etc.を事例とともに初公開。
「雑談が苦手な人」ほど効果がある決定版!
--
カギは「相手ファーストの雑談」にある!
 ◎雑談には5つの目的と効果がある
 ◎「相手ファーストの雑談」の構造は、じつにシンプル
 ◎話題に迷ったときの「新鮮なネタ」の選び方
 ◎オンラインでの雑談にはコツがある
 ◎相手がもち出した話題はこうフォローしよう
 ◎雑談で話が広がらない人の3つの特徴
 ◎自然と距離が縮まる「教えてもらう雑談」
 ◎雑談での沈黙には、この3つで対応しよう 他、全49項
--

 

 ●著者・渡瀬謙さんからの言葉

次に、渡瀬謙さんのメールにあった文章を紹介しましょう。

--
この本の特徴は、読んだ翌日からすぐに使える即効性にあります。

・雑談が苦手な人でも翌日からすぐに使える!
・練習不要!難しいセリフを憶える必要がない!
・相手からの信頼度がグンと上がる!
・人付き合いが一気にラクになる!

そもそも雑談力がゼロだった私がこの方法を実践したとたん、
「雑談が得意」と言えるようになりました。
いまでは、雑談を教える講師もやっています。

もちろん、売れない営業にもおススメです。
--

 

 ●雑談の秘訣は「相手ファースト」

 序章 発想さえ変えれば、誰もが“雑談上手”になれる!
 第1章 これだけは押さえておきたい! 雑談の基本&大原則

ここまでで、「雑談」とは何か、何のために行う行為か、
という大前提について語り、どのような「雑談」が正解かを説きます。

くわしい内容については本書をご覧いただくとして、
正解は「相手ファーストの雑談」。

それは、
 《がんばって自分がしゃべるのではなく、
  いかに相手に気持ちよくしゃべってもらうかに集中する――。》p.56
というもの。

第2章以降が、「相手ファーストの雑談」の具体的な方法の解説です。

第2章以降第6章までの35項目で、それぞれ、
雑談のきっかけや話題作りから、その後の雑談のすすめ方、
話題の広げ方、つまったときの切り抜け方、
困った状況でのシーン別対処法などの具体的な説明が続きます。

ここでも詳しい内容は本書をお読みいただくとして、
その中からいくつか気になった項目を見ておきましょう。

 

 ●「天気」の話題はなぜNGなの?

「第2章 01 雑談で「天気」の話をするのはNG」とあります。

私は雑談の第一歩は「天気」の話題だろうと考えています。

雑談の話題としては、
(1)誰もが知っていること・感じていること・興味があること
(2)相手がよく知っていること・感じていること・興味があること
(3)話者本人がよく知っていること・感じていること・興味があること
(4)本人と相手だけが知っていること・感じていること・興味があること
といったことでしょう。

「天気」の話題は最もポピュラーなもので、
いつでもどこでも可能なもので、一番手っ取り早いものです。
これを利用しない方法はありません。

これは、軽い立ち話で終わる日常的な挨拶の次の雑談の話題として、
最適かつ有効な話題です。

ところが、この本書に於いては、
必ずしもそういう「軽い雑談」について論じているわけではないので、
ここでは「NG」だというわけでしょう。

「天気」の話題が有効なのは「異常気象」の時だ(p.72)というのです。
そういうときこそ、誰もが話したくなるものですからね。

 

 ●「平常心」が良いパフォーマンスを生む

次に大いに気になった項目は、同じ第2章の
「09 まわりを観察するために必要なのは“平常心”」です。

渡瀬流の雑談のポイントは、この「平常心」をいかに保つか、です。

雑談のきっかけとなる話題を見つける上で大切なことで、
それは、広い視野でまわりを見られるかどうか、
そうして、いかに相手にふさわしい内容の話題を見つけられるかどうか、
という面で。
さらに、実際に雑談に入ってからのパフォーマンスにおいても重要です。
雑談が緊張したものでは、何のための雑談か分からず、
そのあとに続く本題の商談への逆効果となり、本末転倒です。

 《「自分が平常心でいられるときに、
  最も高いパフォーマンスを発揮できる」》p.98

からです。

昔読んだ松井秀喜さんの本
(『不動心』新潮新書 2007/2/16)
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の中で、「平常心」について書いておられたと記憶しています。

メジャリーガーとしてワールド・シリーズでMVPとなった、
あの松井秀喜さんの言葉です。

自分がチャンスに強いのではなく、相手の方が負けているだけ。
相手がピンチだと思って、勝手に追い込まれていて、
平常心を保てずにふだんの実力を発揮できないでいる。
一方、自分は平常心で、普段通りの実力を発揮できている、
その差が出るのだろう、と言った内容の言葉でした。

どんなときも動じない、平常心でいられる『不動心』が大事なのだ、
といったお話でした。

 

このお話を渡瀬さんにしますと、
イチローさんも同じような話をしているとのこと。

名選手、天才、偉大な才人等々と呼ばれる人たちはみな、
チャンスに実力を発揮できるように、
どんなときも平常心を心掛けて実践している、ということなのでしょう。

 

 ●「営業に雑談は不要」と考える人もいる

実は、私は「営業に雑談は不要」と考える人間です。
よく「会話が途切れない雑談のコツ」等の文字が並ぶ
『雑談術』の本があります。

あれっ、この本の副題? にも
「どんな場面でも会話が途切れない」とありましたね。

私は「会話が途切れて何が悪い」とも考えています。

が、それはさておき、まずは「雑談不要論」について――。

私は昔、下請けの町工場で「工場長兼雑用係」のような立場でした。
仕事の最中に飛び込みで営業に来る人がいますと、
甚だうっとしいものでした。
こちらは一個組み立てて工賃がいくらといった仕事をしています。
時間=工賃、すなわち「時は金なり」の仕事です。

時間泥棒はお金泥棒です。
営業なら、雑談する閑があるのならさっさと商談を始めなさい、
というわけです。

もちろん、すべての雑談を排除する気はありません。

ルートセールスのような、すでに取引関係がある場合なら、
新商品の紹介とか、偶然近くに来たので挨拶に、とか、
関係を維持するための潤滑剤としての訪問ならば、
相手のようすを伺ったうえで、余裕がありそうなら、
ちょっとした雑談をはさむというのは、有効です。

あくまでも人間関係の潤滑剤が雑談です。

で、大いに感心したのが、
「第3章 06 こんな人には雑談は禁物」p.118 という項目です。

雑談をしていけない場面を説明しています。
忙しい人には雑談をしない、というわけです。

ほかの著者が書いた雑談術の本を読んだことはないのですが、
当たり前と言えば当たり前のことですが、
こういう雑談は禁物発言は、意外と書かれていないような気がします。

 

 ●しゃべりが止まらない人

次にその逆? で、
しゃべりすぎる人を相手にしたときの対処法が次の項目です。

「第3章 07 しゃべりが止まらない人への対処法」p.120
詳しくは本書をご覧ください。

一言言えば、私はこんな言葉を知っています。

 《誰かと会話をはじめる時は、
  まずその相手がこっちの話を聞く性質の人か、
  それともこっちがそのお喋りを聞くほかない人か、
  見きわめることが大切だ。 ――リチャード・スチール――》
    加島祥造『会話を楽しむ』岩波新書 2004/10/20
(Amazonで見る)

(加島さんは、英米文学者で、
 晩年は信州に住み「伊那の老子」と呼ばれた詩人でした。
 現代語の自由詩訳の『老子』で有名です。)

この『会話を楽しむ』では、
会話というものは、二つの基本認識が必要だ、と言います。
対等観と心を開くこと。

この対等観とは、福沢諭吉の有名な『学問のすすめ』の冒頭の、
「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」という時の
「人間としての平等」としての対等な関係という意味です。

目上とか年上とか上役であるとかの形式とは別の意味でのこと。

たかが雑談といえども、本格的な会話と同じことだと思っています。
一人の人間として対応して相手の考えをつかみ、自分の考えを伝える。
それが大事だといいます。

雑談でも、技術的な雑談ではなく、
心のこもった雑談であって欲しいなあ、と私は思いますね。

 

 ●沈黙を恐れるな

次に沈黙について。

「第5章 01 雑談での沈黙には、この3つで対応しよう」

沈黙には、「いい沈黙」と「悪い沈黙」と、
さらには「必要な沈黙」がある、といいます。

私も、沈黙を恐れるな、と言いたいですね。
特に「考えている間」というものは絶対必要です。
お互いに考えなしにダラダラ話し合っても意味はありません。

さきほども言いましたように、会話とは互いの考えを披露し合うもので、
理解し合う手段です。

当然、相手の言葉に対しても、考える時間も必要になります。
考えている間の沈黙は、必要な沈黙となります。

 

 ●自分で動く

「第6章 05 大勢の飲み会で孤立しそうなとき」の中にあった言葉が、
ガーンときています。

それは、
 《孤立するのがイヤだったら、自分で動くこと。》p.191

ここでは、パーティーなどでの対応を述べています。
しかし、人生に置き換えてもいいかもしれません。

私は<左利きライフ研究家>を自称しています。
もう34年ほどになります。
その間、はじめの頃も今も、ほぼ一人で動いてきました。

残念ながら、思うほどには同志は得られませんでしたが、
それは動き方が足りなかったからか、と思われます。

動いた分だけ、何かを得たことは事実です。
もう一度、動いてみたほうがいいのかなあ、という反省はあります。

 

 ●「自信」があれば何でもできる

最後に、「おわりに」にあった言葉「自信」について。

まあ、何事もそうなのですが、人間にとって一番大事なのはこの「自信」。

どんなときも「平常心」でいられるというのも同じで、
これも「自信」にもつながることです。

自分は今までこれだけのことをしてきたのだから――といった意識が、
そのまま自信につながっていて、それがそのまま自分の力になっている。

自信があるので、常に平常心でいられ、何事にも積極的に挑んでいける。

 

雑談に於いても、
本人の精神状態というものが如実に現れてしまうものなのですね。

「平常心」とか「自信」とかは、いきなり身につくものではありません。
色々と経験を積むことで、自然と生まれてくるものなのでしょうけれど、
意識的に極めることはできると思います。

渡瀬さんは、雑談によって人生にこんな変化が生まれた、
といくつかの嬉しい成果を上げています。

しかし、これを見て打算的に雑談の腕を上げようとするのではなく、
人間としてのグレードを一段階上げるのだという、
真摯な気持ちで取り組んでほしいと思います。

この本を読んで各項目の内、一つでも納得のいくことがあれば、
それを実践してゆく。

その結果、何かしら一つでも身につける事ができれば、
それでいいのではないでしょうか。

雑談に関して、その方法論を書いた本でした。

 ・・・

えっと、私から最後に一言――

私は、日々きちんと状況に応じた「挨拶」ができるならば、
その延長として、「雑談」もクリアできるように思いますけれど、ね。

「挨拶から始めよう!」って。

*参照:「コラム4 “あいさつ言葉”はありがたい」p.124

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本誌では、「私の読書論182-渡瀬謙のビジネス書の新刊『一生使える「雑談」の技術』から 」と題して、今回も全文転載紹介です。

本文でも書いていますが、私は基本的に「雑談」というのが嫌いです。
なんとなく「雑な談話」みたいで。

本当の意味は、雑誌の「雑」で、いろんなジャンルのものといった意味なのでしょう。
でもね。

できるなら、意味のある「会話」、もしくは「対話」にしたいものです。

とはいえ、雑談は「挨拶」同様、「人間関係の潤滑剤」なのでしょう。

有効な雑談術を身につけましょう。
おしまい。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

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2024.02.29

中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)「園田の居に帰る五首(其一・二)」-楽しい読書361号

(まぐまぐ!)古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2024(令和6)年2月29日号(No.361)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年2月29日号(No.361)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」」
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 昨年10月以来の「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」です。
 26回目は、前回に引き続き、陶淵明の第3回です。

(陶淵明 第1回)
2023(令和5)年9月30日号(No.351)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)「五柳先生伝」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)「五柳先生伝」-楽しい読書351号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-b68999.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d371c2c2141932565db7fac1a67c1150

(第2回)
2023(令和5)年10月31日号(No.352)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首」から「序」と代表作「其の五」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)「飲酒二十首 其の五」-楽しい読書353号
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◆ 故郷に帰って新しい生活を ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)

  ~ 陶淵明(3) ~
 「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」
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今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「九、達観を目指して――陶淵明の世界」より
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 ●田園に帰る

40歳過ぎで官職をなげうって、故郷に帰った陶淵明。

その隠居後の生活をうたった連作「園田の居に帰る五首」は、
42歳頃の作とされます。

 《隠居直後の開放感、新しい生活に入る覚悟から、
  農作業が思うようにゆかない悩み、本当にこういう生活でいいのか
  という心細さなど、いろいろの感慨が詠まれています。》p.335

題「園田の居に帰る」は、「耕作地がついている実家に帰る」の意。
使用人も大勢いて、ある意味事業を始めるような感覚に近い、
といいます。

「園田」の「園」は果物能義や野菜など、草木が植わっている広い庭で、
「園田」は「耕作地が備わっている実家」の意味で、
「田園」は、素朴に「田畑や庭」の意味に使う、といいます。

 

 ●「園田の居に帰る五首 其の一」陶淵明

第一首は、《窮屈な役人生活を辞め、故郷に帰ってやっと安らぎを
  取り戻したようすを詠んでいます。》p.337

 

★「園田の居に帰る五首」陶淵明 ★

帰園田居五首 其一
  園田(えんでん)の居(きよ)に帰(かへ)る五首(ごしゆ) 其(そ)の一(いち)

・最初の四句は、
 《本心に反して長いこと役人生活を続けてきたことの告白》p.338

少無適俗韻  少(わか)きより適俗(てきぞく)の韻(いん)無(な)く
性本愛丘山  性(せい) 本(もと) 丘山(きゆうざん)を愛(あい)す
誤落塵網中  誤(あやま)つて塵網(じんもう)の中(うち)に落(お)ち
一去十三年  一去(いつきよ) 十三年(じゆうさんねん)

 私は若いときから世俗にかなう気質がなかった
 もともと山や丘などの自然、俗世間を離れた環境が好きだった
 それがなにかのはずみで間違って役人生活に入り込み
 十三年が経過してしまった

 

・次の四句では、《本心に素直になって役人生活を辞めたことを、
  鳥や魚のたとえを使って述べます。》p.338

羈鳥恋旧林  羈鳥(きちよう) 旧林(きゆうりん)を恋(こ)ひ
池魚思故淵  池魚(ちぎよ) 故淵(こえん)を思(おも)ふ
開荒南野際  荒(こう)を南野(なんや)の際(さい)に開(ひら)かんとし
守拙帰園田  拙(せつ)を守(まも)つて園田(えんでん)に帰(かへ)る

 かごの中の鳥は、
  自分がもといた森をいつまでも忘れられずに思い続けるものだ
 池に飼われている魚も、自分がもといた川のふちを思い慕うものだ
 今、自分は南の野原の片隅で荒れ地を開墾しようと拙を守り、
 そういう自分の個性を大事にして、農村に帰って来た 

 

・第三段からは、
 《具体的な描写に入り、自分の家を簡単に紹介します。》p.339

方宅十余畝  方宅(ほうたく) 十余畝(じゆうよほ)
草屋八九間  草屋(そうおく) 八九間(はちきゆうけん)
楡柳蔭後簷  楡柳(ゆりゆう) 後簷(こうえん)を蔭(おほ)ひ
桃李羅堂前  桃李(とうり) 堂前(どうぜん)に羅(つら)る

 田舎の家の四角い敷地は十畝余りである
 茅葺(かやぶき)の屋根の家は八つか九つの部屋しかない
 楡(にれ)や柳の木が裏側の庇(ひさし)に覆いかぶさっている
 桃や李(すもも)が表座敷の前に並べて植えてある

 

・次は、《家からの村里の眺め。まずは遠景。》p.339

曖曖遠人村  曖曖(あいあい)たり 遠人(えんじん)の村(むら)
依依墟里煙  依依(いい)たり 墟里(きより)の煙(けむり)
狗吠深巷中  狗(いぬ)は吠(ほ)ゆ 深巷(しんこう)の中(うち)
鷄鳴桑樹巓  鷄(とり)は鳴(な)く 桑樹(そうじゆ)の巓(いただき)

 我が家からぼんやり見える、遠くの人々が住む村
 かすかにゆらめくかまどの煙
 犬は奥まった路地で吠えており
 鶏は桑の木のこずえで鳴いている

犬や鶏は、戦国時代以後、理想社会の象徴だと言います。

 

・最後の四句は、《新しい生活への満足感を述べます。》p.340

戸庭無塵雜  戸庭(こてい) 塵雜(じんざつ)無(な)く
虚室有余間  虚室(きよしつ) 余間(よかん)有(あ)り
久在樊籠裏  久(ひさ)しく樊籠(はんろう)の裏(うち)に在(あ)りしも
復得返自然  復(ま)た自然(しぜん)に返(かへ)るを得(え)たり

 家の戸口や庭に、煩わしいごちゃごちゃした事は入り込んで来ない
 余分な物のない部屋にはゆとりある空間がある
 私は長いこと、檻やかごのような、
  本性を押さえつける俗世間に居続けたが、
 今やっと再び本来の自分に帰ることができた

樊籠の「樊」とは鳥かご、「籠」は鳥や虫を入れるかご。
束縛されていた役人時代の生活を意味します。

 

 ●「園田の居に帰る五首 其の二」陶淵明

一首目は、《観念的に理想を追う形で官職を辞した》陶淵明の
まだ開放感に溢れた内容でした。

二首目からは、
 《農作業の実体験をつむうちにいろいろなものが見えて来て、
  それとともにさまざまな思いがわき起こるようになりましたが、
  (略)それを素直に吐露している作品》です。

 

帰園田居五首 其二
  園田(えんでん)の居(きよ)に帰(かへ)る五首(ごしゆ) 其(そ)の二(に)

・まずは、《自分自身の今の生活環境から歌い始めます。》p.341

野外罕人事  野外(やがい) 人事(じんじ)罕(まれ)に
窮巷寡輪鞅  窮巷(きゆうこう) 輪鞅(りんおう)寡(すくな)し
白日掩荊扉  白日(はくじつ) 荊扉(けいひ)を掩(とぎ)ひ
虚室絶塵想  虚室(きよしつ) 塵想(じんそう)を絶(た)つ

 町から外れた辺りでは、人の世のいろいろな面倒なことが少ない
 奥まった路地にいるから、車や馬が入って来ることも稀である
 私は昼日中にいばらの粗末な扉を閉めたまま
 余分なもののないがらんとした部屋にいて、
  面倒な雑念も湧き起こらない

《車や馬に乗るのは、貴族や政府高官で、そういう人の訪れもなく、
気楽である》という状況です。
「塵想」は、「ごちゃごちゃつまらない俗念」の意味です。

 

・次の四句は、《村人たちとの関係です。》p.342

時復墟曲中  時(とき)に復(ま)た墟曲(きよきよく)の中(うち)
披草共来往  草(くさ)を披(ひら)いて共(とも)に来往(らいおう)す
相見無雜言  相見(あいみ)て雜言(ざつげん)無(な)く
但道桑麻長  但(ただ) 道(い)ふ 桑麻(そうま)長(ちよう)ずと

 時おり村の片隅にいて
 草を掻き分け、踏み分けるようにして、近所の人々と交流する
 お互いに出会っても余計な話はしない
 ただ桑や麻の具合を語り合うだけである

《農業関係の話しかしない》と、《貴族社会への批判が入っている》。

 

・最後は、《体験から滲み出たのか、新しい視点が入っています。》p.342

桑麻日已長  桑麻(そうま) 日(ひ)に已(すで)に長(ちよう)じ
我土日已広  我(わ)が土(ど) 日(ひ)に已(すで)に広(ひろ)し
常恐霜霰至  常(つね)に恐(おそ)る 霜霰(そうさん)の至(いた)つて
零落同草莽  零落(れいらく)して
        草莽(そうもう)に同(おな)じからんことを

 日に日に桑や麻は成長し
 わが耕作地もだんだん広がってゆく
 いつも心配しているのは、霜や霰に見舞われて作物が枯れ萎み、
 ただ草むらのような意味のない、無駄なものになってしまうことだ

 

陶淵明の生きた東晋の時代はやたら天災の多かったといい、
それが彼の家が没落した理由の一つでもあるのでは、と
宇野直人さんは推測しています。
それだけに気になるというわけですね。

 ・・・

今回はこの辺で。

次回は、引き続き、「園田の居に帰る五首 其の三・四」を。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」 」と題して、今回も全文転載紹介です。

40歳すぎで役人を辞めて故郷に帰り農家をやる、今時でもありそうなUターンのパターンですが、当初の開放感はいつまでも続くことなく、故郷といえども土地の人に馴染めるのか、農作業に馴染めるのか等、その土地にはその土地ならではの色々な悩みがあるものでしょう。

さて次回はこの続きとなります。
その辺のところはどうなんでしょうね。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.02.15

私の読書論181-私の年間ベスト3・2023年〈フィクション系〉(後)初読編-楽しい読書360号

(まぐまぐ!)古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2024(令和5)年2月15日号(No.360)「私の読書論181-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(後編)初読編ベスト3 」

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和5)年2月15日号(No.360)「私の読書論181-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(後編)初読編ベスト3 」
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 「私の年間ベスト3・2023年フィクション系(後編)」です。

 <フィクション系>は、文字通りフィクション、
 小説等の創作ものを指します。

 今回はいよいよ「初読編ベスト3」を。

「再読編」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和5)年1月31日号(No.359)「私の読書論180-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(前編)総リスト&再読編 」
『レフティやすおのお茶でっせ』2024.1.15
私の読書論180-私の年間ベスト3・2023年〈フィクション系〉(前)総リスト&再読編-楽しい読書359号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/01/post-244657.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/24ab2ce38b836145b195398a2c4197f6

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 - 青春ミステリか? 老人探偵団か? -

  ~ 私の年間ベスト3・2023フィクション系(後編) ~

  2023年フィクション系ほぼ全書名紹介&初読編ベスト3

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 ●<初読編ベスト3>候補

<初読編ベスト3>の候補となる、
初読のフィクションの全書名を紹介してみましょう。

例年のように簡単に分類してみましょう。

(1)メルマガ用のお勉強の本
(2)それ以外の古典の名作
(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

 ・・・

(1)メルマガ用のお勉強の本

・『曹操・曹丕・曹植詩文選』川合 康三/編訳 岩波文庫 2022/2/17
(Amazonで見る)

――読書メルマガ『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』の
参考資料。

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2023(令和5)年3月31日号(No.339)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(21) ―曹丕(そうひ)」
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.3.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(21) ―曹丕(そうひ) -楽しい読書339号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/03/post-849fb1.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e03d798d0eb5364d8cd88d8d0fc20004

 

(2)それ以外の古典の名作

・『八犬伝(上・下)』山田風太郎 山田風太郎傑作選・江戸篇 河出文庫
2021/2/5
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――江戸時代の戯作本、滝沢馬琴『南総里見八犬伝』の「虚の世界」と、
それを書く馬琴が画家・葛飾北斎等を相手に、日常の作家として、一人の
世帯主としての葛藤を語る姿を描く「実の世界」を交互に綴る、風太郎版
『八犬伝』。

・『世界推理短編傑作集6』戸川安宜編 創元推理文庫 2022/2/19
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――2018年にリニューアルされた江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』
全5巻を補完する第6巻。未収録作家13人の古典的名作を収録。冒頭、
1870年発表のエミール・ガボリオ「バティニョールの老人」は、左手に
よるダイイング・メッセージという<左利きミステリ>。既刊の短編集や
アンソロジーに収録されているものも多いが、まとめて読めるのは便利。

(3)小説や左利き本等著作のための勉強本

特になし。

(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

【新井素子】
・『二分割幽霊綺談』講談社 1983
――パラレルワールドにつながる?トンネルの向こうとこちらで
繰り広げる奇想冒険談。
『二分割幽霊綺談』講談社文庫 1986/3/1
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・『・・・・・・絶句(上下)』早川書房 新鋭書下ろしSFノヴェルズ
1983/12/15, 1984/1/15
――異星人の起こした事故で、新井素子の創作したインナー・スペースが
現実化して大混乱……という奇想SF。
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・『あなたにここにいて欲しい』文化出版局 1984/7/1
――自分一人ではなにもできない女性と、彼女の世話をすることに自己の
存在意義を認めてきた女性。小学校以来の二人の友人同士の交流に、
新たな人物が現れ、互いの相互依存があらわになる……。
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――80年代、本屋さん時代に買ってそのままになっていた本たち。
当時の人気作家でしたが、今では現行本がほとんどないようです。

【リチャード・オスマン】
・『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』羽田詩津子訳 ハヤカワ・ミステリ
2022/11/2
(Amazonで見る)

――第一作では謎の人物だった、老人探偵グループ〈木曜殺人クラブ〉の
中心メンバーのエリザベスと、死んだはずのかつての同僚英国諜報員の
事件。彼はダイヤを持ち逃げし、諜報組織とマフィアから追われていた。
メンバーは、この国際的陰謀との戦いに乗り出す。
一方で、メンバーの一人元精神科医のイヴラヒムが一人で町に出たとき、
若者に襲われスマホを奪われる、という事件が起きる。このとき、肉体の
負傷以上に、精神的にまいってしまう。それを老人仲間たちが支え、
励ます姿の美しさ。さらに精神科医の彼が女性警官の相談を受けたときの
回答も読ませます。

・『木曜殺人クラブ 逸れた銃弾』リチャード・オスマン 2023/7/4
(Amazonで見る)

――第三作では、かつて大規模詐欺事件を追求するうちに事故死した
女性キャスターの事件を、有名キャスターと捜査を始める。
一方エリザベスは、マネーロンダリングにまつわる事件に巻き込まれる。

以上、イギリスの高級高齢者施設に住む老人たちの探偵クラブ
〈木曜殺人クラブ〉の面々による探偵冒険譚のそれぞれ第二作と第三作。
老人たちの会話が読ませます。著者は第一作を書く前に、高齢者施設で
取材もしたというのですが、老人の仲間入りをした現在の私が読んでも、
迫るものがあって、単なる娯楽小説に終わらず、読む価値ありの作品に
なっているように感じます。

【ホリー・ジャクソン】
・『自由研究には向かない殺人』服部京子訳 創元推理文庫 2021/8/24
(Amazonで見る)

出版社の紹介文《イギリスの小さな町に住むピップは、大学受験の勉強と
 並行して“自由研究で得られる資格(EPQ)"に取り組んでいた。題材は
 5年前の少女失踪事件。交際相手の少年が遺体で発見され、警察は彼が
 少女を殺害して自殺したと発表した。少年と親交があったピップは彼の
 無実を証明するため、自由研究を隠れ蓑に真相を探る。調査と推理で
 次々に判明する新事実、二転三転する展開、そして驚きの結末。
 ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、イギリスで大ベストセラーとなった
 謎解き青春ミステリ!》

・『優等生は探偵に向かない』服部京子訳 創元推理文庫 2022/7/20
(Amazonで見る)

出版社の紹介文《人の兄ジェイミーが失踪し、高校生のピップは調査を
 依頼される。警察は事件性がないとして取り合ってくれず、ピップは
 仕方なく関係者にインタビューをはじめる。SNSのメッセージや写真
 などを追っていくことで明らかになっていく、失踪当日のジェイミーの
 行動。ピップの類い稀な推理で、単純に思えた事件の恐るべき真相が
 明らかに……。『自由研究には向かない殺人』待望の続編。この衝撃の
 結末を、どうか見逃さないでください!》

・『卒業生には向かない真実』服部京子訳 創元推理文庫 2023/7/18
(Amazonで見る)

出版社の紹介文《わたしはこの真実から、決して目を背けない。『自由
 研究には向かない殺人』から始まったミステリ史上最も衝撃的な3部作
 完結編!
 大学入学直前のピップに、不審な出来事がいくつも起きていた。無言
 電話に匿名のメール。首を切られたハトが敷地内で見つかり、私道には
 チョークで首のない棒人間を書かれた。調べた結果、6年前の連続殺人
 事件との類似点に気づく。犯人は服役中だが無実を訴えていた。ピップ
 のストーカーの行為が、この連続殺人の被害者に起きたことと似ている
 のはなぜなのか。ミステリ史上最も衝撃的な『自由研究には向かない
 殺人』三部作の完結編!》

――数々のミステリベスト10で上位にランクインした、女子高校生ピップの
探偵譚三部作。さわやかな青春ミステリとして、謎解きミステリのように
開幕したシリーズでしたが、第三作では、意外な展開になります。
ストーカー行為を受けたピップが反撃に転じるのですね。真実とは何か?
非常に重たい問いかけです。彼女の選択を肯定できるかどうかが、
その人の人間としての一つの試金石ともいえます。
その時その時で人は意外な行動を取ることもあります。最終的に、人は、
起きてしまったこと、済んでしまったことを変えることはできません。
その時点で、人は自分の信じる道をただ前へ、前へと向かって進むしか
ないのです。

・『マジック・ミラー』有栖川有栖 講談社文庫 1993
新装版 マジックミラー (講談社文庫) 文庫 – 2008/4/15
(Amazonで見る)

――双子の兄弟による兄嫁殺しのアリバイ・トリックもの。
被害者の妹が推理作家とともに謎に迫る。

・『不吉なことは何も』フレドリック・ブラウン 越前 敏弥 訳
創元推理文庫 2021/9/21
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――《『真っ白な噓』に続く巨匠の代表的ミステリ作品集》という
【名作ミステリ新訳プロジェクト】の一冊。アリバイ・トリックものの
中編「踊るサンドイッチ」がお目当てで読んだ一冊だったが。

・『スペースマン―宇宙SFコレクション(1)―』伊藤典夫、浅倉久志編
 新潮文庫 1985/10/1
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・『スターシップ―宇宙SFコレクション(2)―』伊藤典夫、浅倉久志編
 新潮文庫 1985/12/1
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――この二冊は本屋さん時代に買ってそのままだった、宇宙ものSFの
アンソロジー。ハインライン「地球の緑の丘」やアシモフ「夜来たる」等
名作も多く散りばめられた好アンソロジー。

・『ラブ・フリーク 異形コレクション(1)』井上雅彦監修
広済堂文庫―異形コレクション 1 1997/12/1
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――書き下ろしの恐怖小説・怪奇小説・幻想小説のアンソロジー第一弾。
異常な状況下の恋愛を描いたもの。集中一番のオススメは、岡崎弘明
「太陽に恋する布団たち」。明るく優しい気持ちになれる名作だろう。

・『下町ロケット ヤタガラス』池井戸潤 小学館文庫 2021/9/7
――『下町ロケット ゴースト』に続く、帝国重工・財前との共同事業、
準天頂衛星「ヤタガラス」を利用した無人農業ロボット開発での、
下町中小企業との競争物語。
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以上17点ほどでした。

思いのほか少なく、ベスト3を選ぶのも結構大変と思われます。

といいつつ、勝負は決まっている感じです。

 ●2023年フィクション系<初読編べスト3>

今回の<初読編ベスト3>は、以下の作品となります。

 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡

   【2023年フィクション系<初読編べスト3>】

  (1)【ホリー・ジャクソン】
・『自由研究には向かない殺人』服部京子訳 創元推理文庫 2021/8/24
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・『優等生は探偵に向かない』服部京子訳 創元推理文庫 2022/7/20
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・『卒業生には向かない真実』服部京子訳 創元推理文庫 2023/7/18
(Amazonで見る)

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(画像:【ホリー・ジャクソン】女子高校生ピップ三部作
『自由研究には向かない殺人』『優等生は探偵に向かない』
『卒業生には向かない真実』創元推理文庫―創元推理文庫のサイトから)

 

  (2)『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』リチャード・オスマン
羽田詩津子訳 ハヤカワ・ミステリ 2022/11/2
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  (3)『八犬伝(上・下)』山田風太郎 山田風太郎傑作選・江戸篇
 河出文庫 2021/2/5
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(画像: 図書館本『八犬伝(上・下)』山田風太郎 山田風太郎傑作選・江戸篇 河出文庫 2021/2/5) 

 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡

 

(1)と(2)は、真逆の主人公たちを描いています。
方や高校生、方や70歳を越えた老人たち。
(3)の<実の世界>の馬琴たちももう老人です。

ハツラツとした高校生たちの探偵冒険の世界と、同じ現代を舞台にして、
SNS等を活用する探偵物語でも、主人公がこれほど異なれば、
読む側の私も高齢者であり、感情移入的には、後者に軍配が上がっても
おかしくありません。

ただ一種の憧れに似た何かがあり、こういう青春ものには
肩入れしたくなるのも事実です。

老人への親近感と青春へのあこがれといった、個人的な読者として
感情的な評価は別にして、作品本来の評価として、
三部作込みの評価というのも、ちょっと卑怯な気もしますが、
あえて<ベスト1>に、この<ピップ三部作>を上げてみたいものです。

真実はいずれ明らかになるだろうし、正義は必ずまっとうされるもの、
と私は信じています。
ピップにもそう信じて生きていってほしいと思います。

 

2位には、老人の心理といったものをたっぷり書き込んだ探偵物語の、
『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』の方を上げたいと思います。

第三作も面白いのですが、ここでは、個人的な感情移入的な評価で。

元精神科医で80歳のイヴラヒムと女性警官のドナとの対話の一部を
引用しておきましょう。

 《「時間は戻ってこないことは知っているね?
  友人、自由、可能性も?」
  (略)
  「時間を取り戻すことはあきらめよう。過去は幸せだった時間として
  記憶するんだ。きみは山の頂上にいた。今は谷間にいる。今後も
  数えきれないほど、そういうことは起きるだろう」/
  「じゃあ、今は何をすればいいんですか」/
  「もちろん、次の山を登るんだ」/
  「ああ、そうか、そうですよね」シンプルだ。
  「そして次の山を登ったら?」/
  「うーん、それはわからないよ、そうだろう? きみの山だ。
   他の誰も今まで登ったことはないんだから」
   (略)
  「きみは好きなようにすればいいんだ。だが、前を見ろ、
   後ろを振り返るんじゃない。そして、きみが登るあいだ、
   わたしはここにいるよ。その肘掛け椅子は、
   必要とあらばいつでもきみのものだ」
   (略)
  「孤独はつらいものだ。大きな苦しみのひとつだ」
   (略)
  「きみはちょっと迷子になっただけだよ、ドナ。
   そして、人生で一度も迷わなかったら、まちがいなく、
   おもしろい場所には一度も旅をしなかったということだ」》pp.358-360

そして、若者の襲撃によるケガの後、一人では町に出られなくなり、
落ち込んでいるイヴラヒムに、今度はドナがいいます。

 《「あなたは悲しそうに見えます」/
  「ちょっと悲しいんだ、たしかに」イヴラヒムは白状する。
  「怯えているし、そこから抜け出す方法が見つからずにいる」/
  「次の山に登る、というのが、あたしからのアドバイスです」/
  「それだけのエネルギーがあるのか、自信がない」
  (略)
  「肋骨は痛むし、そのせいで胸まで痛い気がするんだ」/
  「あなたが登るあいだ、あたしはここにいますよ」》p.360

 

3位には、『八犬伝』を。馬琴の『八犬伝』のダイジェストに当たる、
<虚の世界>と、それを語る<実の世界>での、作家として、
世帯主として家庭第一を心掛けながら執筆に励む馬琴と、
家庭を顧みることのない北斎。
さらに、鶴屋南北らとの会話の中に出て来る、芸術論や人生論の
おもしろさ。
『八犬伝』のおもしろさはもちろんですが、この芸術論や人生論に
著者・山田風太郎の思いも重なっているようで、
読むほどに迫ってくるものがありました。

以上、<ベスト3>でした。

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本誌では、「私の読書論181-私の年間ベスト3・2023年〈フィクション系〉(後編)初読編ベスト3 」と題して、今回も全文転載紹介です。

前回に引き続き、<フィクション系>の後編、初読編のベスト3発表でした。

改めて、三部作をひっくるめるのはどうか、という気もします。
しかし、この作品に関しては、一冊ずつもいいですし、しかも、三作で到達するところというものもある、という意味で、これは致し方ないという気もします。
<木曜殺人クラブ>も二作上げています。
こちらの方は、昨年二作読んだということで、ついでに上げているだけで、正味は第二作による結果です。

『八犬伝』も二巻本でしたし、今年は、冊数的には<ベスト3>が3冊ではなくなったというのは、ちょっとした事件だったかもしれませんね。

 ・・・

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2024.01.31

私の読書論180-私の年間ベスト3・2023年〈フィクション系〉(前)総リスト&再読編-楽しい読書359号

 古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

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2024(令和5)年1月31日号(No.359)「私の読書論180-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(前編)総リスト&再読編 」

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2024(令和5)年1月31日号(No.359)「私の読書論180-私の年間ベスト3・
2023年〈フィクション系〉(前編)総リスト&再読編 」
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 「私の年間ベスト3・2023年フィクション系(前編)」です。

 <フィクション系>は、文字通りフィクション、
 小説等の創作物を指します。

 まずは、「再読編」から。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 - 昔の感覚に間違いはなかった!? -

  ~ 私の年間ベスト3・2023フィクション系(前編) ~

  2023年フィクション系ほぼ全書名紹介&<再読編ベスト3>候補作
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●傾向と分類

2023年は、冊数が40冊程度でした。
うち約半数の20冊が再読ものでした。
これは昨年と同数となります。

そこで今年も、<再読編ベスト3>と<初読編ベスト3>とに分けて
紹介してみましょう。

 ・・・

例年のように簡単に分類してみましょう。

(1)メルマガ用のお勉強の本
(2)それ以外の古典の名作
(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

*(再):自分の蔵書の再読本、[再]:作品そのものは再読、本は新本

 

 ●(1)メルマガ用のお勉強の本

・[再]『雨月物語』上田秋成/長島弘明 校注 岩波文庫 2018/2/17

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2023(令和5)年6月30日号(No.345)
「私の読書論172- 2023年岩波文庫フェア「名著・名作再発見!
 小さな一冊をたのしもう」から 上田秋成『雨月物語』「蛇性の婬」」
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.6.30
私の読書論172-2023年岩波文庫フェアから上田秋成『雨月物語』
「蛇性の婬」-楽しい読書345号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/06/post-ec8330.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/417d68371321fb4e635a0fa83166e4d2

 

・[再]『時をかける少女』筒井 康隆 角川文庫 新装版 2006/5/25

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・(再)『カドカワ フィルム ストーリー 時をかける少女』筒井康隆原作
大林宣彦監督作品 角川文庫 1984(昭和59年)/11/1

・(再)『タイム・トラベラー』石山透 大和書房 1984/2/1

230722tokikake-2

――1972年、NHKドラマ『タイム・トラベラー』全6話、と
 続編『続・タイム・トラベラー 』全5話のシナリオ集。巻末に
 「NHK少年ドラマシリーズ放送作品リスト」、主題歌楽譜を収録。

2023(令和5)年7月31日号(No.347)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から(2)角川文庫・
筒井康隆『時をかける少女』わが青春の思い出の一冊」
2023.7.31
[新潮・角川・集英社]
<夏の文庫>フェア2023から(2)角川文庫・筒井康隆『時をかける少女』
-楽しい読書347号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/07/post-ea808e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/51993cafbd23c48808fba514944ef122

タイム・トラベラー』復刊ドットコム 新装版 2016/12/13 

 

・(再)東野圭吾『白夜行』集英社文庫 2002/5/25

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2023(令和5)年8月31日号(No.349)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から(3)集英社文庫・
 東野圭吾『白夜行』青春の思い出も背景に散りばめられた一冊」
2023.8.31
[新潮・角川・集英社]
<夏の文庫>フェア2023から(3)集英社文庫・東野圭吾『白夜行』-楽しい読書349号
17:36 2023/08/23
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/08/post-68005b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a591675405b6e87c3e89a1653c2d3316

 

 ●(2)それ以外の古典の名作

・(再)『親友(パル)・ジョーイ』ジョン・オハラ 田中小実昌訳
 講談社文庫 1977
――戦前のアメリカの風俗小説、表題の連作短編とその他の短編集。
表題作はペンフレンドに送る近況報告の手紙の形式で、
昔『ミステリ・マガジン』でそれぞれの短編として紹介されていた。
当時は面白い小説として読んだが、今回読んでみると、昔ほどの魅力は
感じず、まあまあ、というところか。私の主人公に対する見方が変わり、
真実の姿を理解できるようになった、というところでしょうか。

・[再]『少女地獄』夢野久作 角川文庫 1976
――同じく戦前の日本の小説短編集。

(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
特になし。

 

 ●(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

【新井素子】
・(再)『あたしの中の……』集英社コバルトシリーズ 1981
・(再)『グリーンレクイエム』講談社文庫 1983
・(再)『ひとめあなたに……』双葉ノベルズ 1981
・(再)『扉を開けて』CBSソニー出版 1982
・(再)『ラビリンス<迷宮>』トクマ・ノベルズ 1984
・[再]『いつか猫になる日まで グリーン・レクイエム』日下三蔵編
柏書房<新井素子SF・ファンタジー コレクション1> 2019
・[再]『扉を開けて 二分割幽霊綺談』日下三蔵編
柏書房<新井素子SF・ファンタジー コレクション2> 2019
・[再]『ラビリンス<迷宮> ディアナ・ディア・ディアス』日下三蔵編
柏書房<新井素子SF・ファンタジー コレクション3> 2019
――『あたしの中の……』は、記念すべきデビュー作。
『扉を開けて』『ラビリンス<迷宮>』は、異世界ものの女性が主人公の
ヒロイック・ファンタジー。『ひとめあなたに……』は地球最後の日もの。
柏書房版は、今や多くが絶版・品切れとなった初期新井作品の名作を
資料とともに復刊するもの。

<海洋冒険もの>
【セシル・スコット・フォレスター】
・(再)『スペイン要塞を撃滅せよ』ハヤカワ文庫NV 1973
・(再)『トルコ沖の砲煙』ハヤカワ文庫NV 1974
・(再)『パナマの死闘』ハヤカワ文庫NV 1974
――以上、帆船時代の英国海軍の<海の男ホーンブロワー・シリーズ>。

最初に書かれた『パナマの死闘』が好評で海軍士官候補生時代から出世
してゆく過程が順次シリーズ化されたという人気シリーズ。
人間的な弱みを持つスーパー・ヒーローでないところが、海外で人気の
シリーズというのも理解できます。なかなかのエンタメ作品。 

(再)『女王陛下のユリシーズ号』アリステア・マクリーン 村上博基訳
 ハヤカワ文庫NV 1972
――第二次大戦中のドイツ海軍と連合国側の輸送船団の護衛艦、
イギリス海軍ユリシーズ号との激闘。

 

<その他の冒険もの>
(再)『大洞窟』クリストファー・ハイド 田中靖訳 文春文庫 1989
――日本人の地質学者が主要登場人物となる洞窟で発掘中、
地震で閉じ込められ、いかに脱出するか、というサバイバル物語。

【ディック・フランシス】
(再)『重賞』菊池光訳 ハヤカワミステリ文庫 1976
(再)『追込』菊池光訳 ハヤカワミステリ文庫 1982
――元女王陛下のお抱え障害競馬騎手だった著者が書いたことでも有名な、
<競馬スリラー・シリーズ>の中期の作品。
毎回異なるヒーローを主人公に、競馬がらみの犯罪を暴いてゆく展開で、
そのヒーロー像の造形にしびれます。イギリスでは最も有名な探偵役
シッド・ハレーを主人公にテレビドラマも制作されていました。
私の大好きな作家でした。
中期以降の作品の手持ちの文庫本が十冊程度ありますので、
もう一つと思う作品は処分しようと思い、再読を始めました。

 

<その他>
・[再]『刑罰』フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一訳
創元推理文庫 2022
――ドイツの刑事弁護士が実際に経験した事例を元に描く犯罪物語集。
この作家の著作はみな問題意識が高い作品集で、読み応えがある。
ハードカバー本の文庫化で、また読んでしまった。

(再)『怪奇と幻想 第一巻 吸血鬼と魔女』矢野浩三郎編 角川文庫 1975
――怪奇小説・恐怖小説・幻想小説のアンソロジーの第一巻。
このアンソロジー全三巻は、創元推理文庫の『怪奇小説傑作集』全五巻、
近年新版『新編 怪奇幻想の文学』が出ている、その元版のアンソロジー
などと並ぶ、名アンソロジーではなかったか、と思っています。

 

 ●<再読ベスト3>候補

以上がほぼ全再読書です。

この中から<再読ベスト3>を選ぶにあたって、
まずは候補としていくつか上げてみましょう。

新井素子作品では、以下の三作。
1.『グリーンレクイエム』――昔読んだとき同様感動の一作。
以前紹介したゼナ・ヘンダースン『果てしなき旅路』同様、
マイノリティーの悲劇を扱う悲しい作品です。
2.『ひとめあなたに』――地球はあと一週間(だったか?)で滅ぶ
という状況で人はいかに生きるのか、という重いテーマの連作短編。
以前読んだときよりも、重さを感じたという気がしました。
ちょっと気になる一作でした。
3.『ラビリンス<迷宮>』――かつて繁栄していた文明を失った人類が
新たなスタートにつくというストーリーですが、迷宮で待つ<怪物>と
いかに対応するか、生け贄にされた少女たちの戦い。

メルマガで扱った三作は、それぞれに印象に残る作品で候補作です。
4.『雨月物語』――古典中の古典で、今回取り上げた「蛇性の婬」は、
集中最長の中編といったところで、一番の名作かと思います。
5.『時をかける少女』も、表題作の中編は、青春のまぶしさを描いた
永遠にの名作という気がします。
6.『白夜行』は、三編中唯一の長編ですが、長さを感じさせない名作で、
これはゆがんだ青春の物語で興味深いノワールという感じです。

次に<冒険もの>では、
7.『女王陛下のユリシーズ号』――マクリーンの処女作で、
戦争ものの長編ですが、男たちはなんのために戦うのか、という
戦争に対する見方と人間としての生き方を考えさせる反戦文学です。
8.『大洞窟』は日本人が主人公になっている点がポイント高く。

9.『怪奇と幻想 第一巻 吸血鬼と魔女』――<怪奇もの>の
アンソロジーとしては、名作揃いの好アンソロジーです。
珍しいダシール・ハメットの怪奇小説アンソロジーの「序文」を借りて、
作品もモーパッサン「オルラ」、M・R・ジェイムズ「マグナス伯爵」、
F・マリオン・クロフォード「血は命の水だから」等々。

<海の男ホーンブロワー・シリーズ>もなかなかのエンタメで、
スーパー・ヒーローでないところが人間的で、
海外で人気のシリーズだったというのも理解できます。
海軍士官候補生時代から出世するというシリーズ。
『パナマの死闘』が差史書に書かれた作品で、これが好評で、
順次シリーズ化されたという人気シリーズ。

ディック・フランシスも大好きな作家でした。
中期以降の作品の手持ちの文庫本が十冊程度ありますので、
もう一つと思う作品は処分しようと思い、再読を始めました。

 

 ●2023年フィクション系<再読編べスト3>

さて、では、<再読編べスト3>です。
やはりむずかしいですが、メルマガで扱った三作は、
そちらで書いてきましたので、今更選ぶのもどうかと思います。

 

 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡

   【2023年フィクション系<再読編べスト3>】

  (1)新井素子『グリーンレクイエム

 

  (2)アリステア・マクリーン『女王陛下のユリシーズ号
ハヤカワ文庫 NV 7 1972/1/1

 

  (3)矢野浩三郎編『怪奇と幻想 第一巻 吸血鬼と魔女』角川文庫

 

 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡

 

「読む価値あり」という意味で、この辺を上げておきましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論179-私の年間ベスト3-2023年〈フィクション系〉(前編)総リスト&再読編」と題して、今回も全文転載紹介です。

今回は、本文中にもありますように、再読した<フィクション系>の本についてです。

もう何年も前から、蔵書を少しずつ処分しています。
今までもとにかく本箱?本棚? が二本しかないので、押し出し整理法でここからはみ出す分はその都度処分するようにしてきました。
ここんところ古本屋さんも減ってきて、近所の一軒ぐらいしかない状況で、そこがなくなれば、処分もむずかしいということになります。
今は少しずつその近所のお店に持ち込んでいます。

今までは聖域としていた青春初期の本も最近は、処分しています。
そうは言いましても早半世紀という本もあり、赤茶けて、ほとんど値の付かないようなものも多いようです。
でも、売れるうちは売って何かの足しになればと思っています。

処分のために再読をしているというところです。
聖域だった、新井素子さんの本や、冒険小説などもそういう一環の本で、昨年末に処分してしまいました。
ディック・フランシスはこれから再読を続けて選定に入ります。

残念と言えば残念ですが、いずれは処分しなければならないので、今のうちに少しずつ減量を、というところです。

といいつつも、毎年20冊程度は購入していますので、実数はなかなか減ってはいませんね。
まだ、本箱からオーバーしている本の段ボール箱が大小6個ぐらいありますから。

 ・・・

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2024.01.15

私の読書論179-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(後編)田村隆一『ぼくのミステリ・マップ』-楽しい読書358号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

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2024(令和6)年1月15日号(No.358)
「私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(後編)
田村隆一『ぼくのミステリ・マップ』」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年1月15日号(No.358)
「私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(後編)
田村隆一『ぼくのミステリ・マップ』」
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 前回、長くなりすぎてしまい分割した後半です。

(前編)
2023(令和5)年12月31日号(No.357)
「私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(前編)」
2023.12.31
私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(前編)
-楽しい読書357号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/12/post-d85a13.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/b7d1b868920116ee23459ec47dfdd66e

 

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 - メルマガの為に読んだ本ばかり? -

  ~ 私の年間ベスト3・2023年〈リアル系〉 ~

  田村隆一『ぼくのミステリ・マップ』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●(4)個人的な趣味、仏教や空海・弘法大師に関する本

・『『マイ遍路』白川密成 新潮新書 2023/3/17

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四国の八十八カ所の霊場を巡礼するお遍路旅を、
第五十七番札所・栄福寺の住職が、六十八日をかけて歩いた記録。
弘法大師の著作の言葉を引用し、その場その場のようすをたどりながら、
綴る「四国遍路」の実践的な旅日誌。
弘法大師空海のどういう言葉をどういう場面で引用しているのか、
といった興味で買ってみました。

出川哲朗さんのテレビ番組でのお遍路の旅で、
この方が住職をしているお寺をお参りされた際に、
著者が出演されたのを見た記憶があります。
まだ若いお坊様ですが、こういう著作のような活動も、
今の時代には信仰を広げる意味でも大いにありだと感じました。

生きることは悩むことでもあり、
そこに信仰というものが必要となる部分があると思います。

 

『ぼくのミステリ・マップ―推理評論・エッセイ集成』田村隆一 中公文庫 2023/2/2

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私の趣味であるミステリ――
特に海外ミステリ(翻訳ミステリ)についてのエッセイ集。

1923(大正十二)年生まれの著者の生誕100年記念出版としての
増補改編版。

海外ミステリ専門誌だった『(ハヤカワ)ミステリマガジン』
(通称HMM)の愛読者である私には、
『HMM』の前身『(日本語版)EQMM』の創刊前後、
それに先立つミステリ叢書「ハヤカワ・ポケット・ミステリ・シリーズ」
(通称<ポケミス>)の立ち上げに関連した部分が、
興味深く楽しめました。

 《生島 金はなかったけど、ただよかったのは社長以外は、
     編集長もくそもないって感じだったことだね。
  田村 社長だってないよ。あるはずないんだよ。
     もう前に会社つぶしているんだから。》p.342

 《生島 こっちは若いし、もうストレートに企画は通る。
     しかしおもしろいから企画出すと、
     全部てめえのしょいこみになっちゃうんだよな。
  田村 でも、ぼくがやめてから、君らががんばったからね。
     それで、ほんとの意味でいまの早川つくったんだから。》
   pp.343-344

かつては<海外文学の早川書房>として、
今やノーベル賞作家カズオ・イシグロの翻訳本の版元として、
大手に負けない出版社となった、
早川書房の草創期の物語の一つでもあります。

 

また文学について、田村さんは

 《田村 実際文学というのは、ユーモアのセンスなんですよ。
     文学というと、何か、しかめっ面しちゃってるけど、
     そんなものと文学は関係ないんだからね。
     どういうユーモアのセンスで言語表現していくかというのが、
     文学の鉄則ですからね。》    

と言うのです。そして、14,5のときから詩を書いていたが、
そのときから、《ユーモアのセンスで書いてるわけです》と。

田村さんの詩を読んだ学生さんは、
シリアスに詩を書いていると思っているが、
実際の田村さんは詩のイメージと全然違うので驚くという。

《そういうことと言語表現は関係ないんだから。》と。

「文学は、ユーモアのセンス」なんだそうです。

なるほど、私の好きな北杜夫さんなどは、その見本のような気がします。
高級な文学ほどユーモアのセンスに優れているのではないか、
という気がしますね。
海外の優れたミステリなどでも、しゃれた会話があったり、
ユーモアのセンス溢れる会話が魅力だったりします。

そういうところでセンスを磨くのも一法かもしれません。

以上、引用は本書「Ⅲエッセイ・対談
(×生島治郎「諸君、ユーモア精神に心せよ」)」より。

 

 ●私の2023年〈リアル系〉ベスト3候補

今年は「ベスト3」といいましても、
以上上げてきたような本の冊数ですので、数的にも選びにくく、
またそのほとんどをメルマガに利用していますので、
「この本を!」と改めてオススメするのは、むずかしく感じます。

候補としてあげておく程度にしておきましょう。

<2023年〈リアル系〉ベスト3候補>

『文学のレッスン』丸谷才一 聞き手・湯川豊 新潮文庫 2013/9/28

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『美しい本屋さんの間取り』エクスナレッジ X-Knowledge 2022/12/29

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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ 新潮文庫 2021/6/24

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『鍵盤ハーモニカの本』南川朱生(ピアノニマス)春秋社 2023/4/19

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『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著 PHP新書 2023/9/16

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・『ぼくのミステリ・マップ―推理評論・エッセイ集成』田村隆一
中公文庫 2023/2/21

 

『文学のレッスン』は、丸谷才一さんの文学論です。
とにかくメルマガ誌上でも紹介しましたように、
歴史的な視点からそれぞれの文学ジャンルの特徴などを
説いてくれていて、文学論などまともに学んだことのない私には、
とても役に立つといいますか、ヒントになるといいますか、
文学の理解に役立つ知識を得られた、という気がします。

『美しい本屋さんの間取り』は、<本屋さんになりたい>は、
<元本屋の兄ちゃん>として夢見たことでもあり、
妄想本屋さんは、今でも楽しめる遊びになりそうです。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』では、
以前から気になっていた本で、こういう機会に読めてホントに良かった、
という一冊でしたね。
人種や文化の違いをどう乗り越えるか、あるいはどう受け入れるか、
じゃあ、最終的に実際にはどうするか、
という問題で色々考えるヒントをもらった感じです。

『鍵盤ハーモニカの本』は、とにかく力作です。
一つのことをここまで突き詰めていることがスゴいと思います。
この辺でまとめておかないと失われる情報も多かったろうと思います。

『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』は、前作同様、
丹念に調べた結果を基に、将来への展望などを語っています。
<左利きライフ研究家>として、色々参考になる部分も多く、
反面、「言い分」という表現にちょこっと引っかかる部分があったり、
本としての評価の面ではちょっとむずかしいところがありました。

『ぼくのミステリ・マップ―推理評論・エッセイ集成』は、
先にも書きましたように、私の中高生時代からの趣味である、
海外ミステリに関する教科書的なエッセイを含む本で、
楽しく読みました。
昔話など若い人には、あまり心惹かないものでもあるかもしれませんが、
歴史というものは、そういう部分があるものではないか、と思われます。

若い人には、常に、昨日があって今日があるのだということを、
忘れないようにしてほしいものです。

『鍵盤ハーモニカの本』や『左利きの言い分』にしても、
そういう歴史というものを語りながら、
その先に現状と未来を捉えているように思います。

こういう読み方をできるようになったのも、
自分が年を重ねた結果かも知れません。

 

 ●私の年間ベスト―2023年〈リアル系〉

2022年も〈リアル系〉は、以下の一作のみでした。

『生きがい―世界が驚く日本の幸せの秘訣―』茂木健一郎 恩蔵 絢子/訳 新潮文庫 2022.5.1
―脳科学者が英語で世界に向けて出した日本人の生き方をめぐる小著。

2022-ikigai

今年も、同様に一作のみをオススメとしておきましょう。

 

 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡

   私の年間ベスト―2023年〈リアル系〉

 (1)『ぼくのミステリ・マップ―推理評論・エッセイ集成』
    田村隆一 中公文庫 2023/2/21

 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡

 

出版社紹介文より――

《『荒地』同人として鮎川信夫らとともに日本の戦後詩をリードした
 国際的詩人にして、早川書房の初期編集長兼翻訳者として
 海外ミステリ隆盛の基礎を築いた田村隆一(1923-1998)。
 アガサ・クリスティの翻訳に始まり、
 「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の出発、
 「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の創刊……
 その比類なき体験による、
 彼にしか語りえない数々の貴重なエピソードとユーモアは、
 詩(ポエジー)と戦慄(スリル)の本源的考察を通して、
 やがて21世紀の我々をも刺し貫く巨大な文学論・文明論へと至る――
 人類にとって推理小説(ミステリ)とは何か?

 聞き書き形式でポーからロス・マクドナルドまでの
 クラシック・ミステリをガイドするロング・インタビュー
 (旧版『ミステリーの料理事典』『殺人は面白い』所収)を中心に、
 クロフツ『樽』やクイーンの四大『悲劇』といった翻訳を手がけた
 名作の各種解説、クリスティとの架空対談、江戸川乱歩や植草甚一に
 まつわる回想、生島治郎・都筑道夫ら元早川出身者との対談など、
 推理小説に関する著者の文章を単著初収録作含め精選し大幅増補した、
 まさに田村流ミステリ論の決定版。生誕100年記念刊行。》

【目次】
Ⅰ クラシック・ミステリ・ガイド(インタビュー)
Ⅱ 訳者解説(F・W・クロフツ/アガサ・クリスティ/
 ジョルジュ・シムノン/エラリイ・クイーン)
Ⅲ エッセイ・対談(×生島治郎「諸君、ユーモア精神に心せよ」/
 ×都筑道夫「EQMMの初期の頃」)
Ⅳ 資料編
〈解説〉押野武志

田村隆一
一九二三(大正十二)年東京生まれ。詩人。明治大学文芸科卒業。
第二次大戦後、鮎川信夫らと「荒地」を創刊。戦後詩の旗手として活躍。
詩集『言葉のない世界』で高村光太郎賞、『詩集1946~1976』で無限賞、
『奴隷の歓び』で読売文学賞、『ハミングバード』で現代詩人賞を受賞。
ほかに『四千の日と夜』など。推理小説の紹介・翻訳でも知られる。
一九九八(平成十)年没。

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本誌では、「私の読書論179-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(後編)田村隆一『ぼくのミステリ・マップ』」と題して、今回も全文転載紹介です。

前回も書きましたように、「メルマガの為に読んだ本ばかり?」で、そのため改めて<ベスト3>に上げるのはどうかと思いつつ選んでいます。

読んだ十数冊のなかでは「ベスト3候補」として上げた6冊が一段上というところでしょう。

今年のベスト1はそういう中では、一番自分の趣味に合った本ということで、勉強の本とか、自己啓発といった意味合いもなく、単純に「楽しめた本」といえるかと思います。

最後に、本文中に書き忘れましたが、昨年が生誕百年だった田村隆一さんの訳書として私が持っているのは、弊誌<クリスマス・ストーリーをあなたに>の
2013(平成25)年11月30日号(No.117)-131130-  
クリスマス・ストーリーをあなたに~
 『サンタクロースの冒険』ライマン・フランク・ボーム
クリスマス・ストーリーをあなたに~『サンタクロースの冒険』ボーム
(「作文工房」版)

でも紹介しました

『サンタクロースの冒険』ライマン・フランク・ボーム/著 田村隆一/訳 扶桑社エンターテイメント(1994.10.30) [文庫本]
―『オズの魔法使い』の作者ライマン・フランク・ボームの描くサンタ・クロースの生涯を描く、サンタさん誕生物語

があります。

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他に<左利きミステリ>の一冊でもある、エラリー・クイーン『Zの悲劇』(角川文庫)、
ロアルド・ダールのポケミス版『あなたに似た人』(Hayakawa Pocket Mystery 371 1957/10/15)もそうでした。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2023.12.31

私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(前編)-楽しい読書357号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

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2023(令和5)年12月31日号(No.357)
「私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(前編)」

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2023年もおしまいです。
今年も一年本当にご愛顧ありがとうございました。

コロナ禍以降、色々とあちこち体調不良が出ていますが、
終わってみると、思いのほか頑張れているので、
来年も精一杯頑張って続けてゆく所存です。
よろしくお願いいたします。

レフティやすお <(_ _)>

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2023(令和5)年12月31日号(No.357)
「私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(前編)」
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 今年も早一年の最終日となりました。
 年末年始恒例の「私の年間ベスト3」を。

 その年、もしくは前年に私が読んだ本から
 オススメの「私の年間ベスト3」を選ぶという企画です。

 まずは、「リアル系」から。

   ・・・

 長くなりすぎましたので、途中で半分に分けることになりました。
 というわけで、今回は「前編」です。

  ・・・

 「リアル系」とは、いわゆる論文やエッセイ系の著作、
 実用書のような解説系のものも含めて、を言います。

 それに対して、小説や詩等の文芸作品は「フィクション系」。

 「フィクション」に対しては
 「ノン・フィクション」という言葉があります。

 でも「ノン・フィクション」というと、
 またそれで一つのジャンルのようになってしまうので、
 あえて、どなたかが使っていた
 「リアル系」という言葉を使っています。

 エッセイの中には、フィクションと見まがうような、
 ホラ話的な内容の境界線上の作品もありますけれど。

 まあ、ここでは、論文に準ずるような著作とお考えください。
 言わんとすることは分かりますよね。

 ――と、これは毎度の台詞でした。

 

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 - メルマガの為に読んだ本ばかり? -

  ~ 私の年間ベスト3・2023年〈リアル系〉(前編) ~

  ニーチェ「血でもって書く」→ 私「汗をかく」
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 ●2023年の傾向

ここ数年コロナ禍の影響で読書量が減り、少しずつ回復してきましたが、
2020年同様で、特にリアル系の読書が減ってしまっています。

そこで、例年なら二回に分けて発表してきましたこのリアル系でしたが、
今回は一回で終了です。(予定では……。ウソ書きました。二回になってしまいました!)

15冊程度しか読んでいないうえ、
そのほとんどを私の二つのメルマガ用に読んできたものでした。

例年通り内訳をみておきましょう。

 

 ●(1)メルマガ用のお勉強本―中国漢詩、読書、左利き関連

◆メルマガ『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』向け――

・『中国の隠遁思想 陶淵明の心の軌跡』小尾郊一 中公新書902 1988/12/1

198812chuugoku

2023(令和5)年10月31日号(No.353 xNo.352)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首」から「序」と代表作「其の五」」
2023.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)「飲酒二十首 其の五」-楽しい読書353号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-7e3a1c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/fb0ed419e609fae5ca4d419eb039fc2a

 

・『文学のレッスン』丸谷才一 聞き手・湯川豊 新潮文庫 2013/9/28

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2023(令和5)年3月15日号(No.338)
「私の読書論168-丸谷才一『文学のレッスン』から(1)」
2023.3.15
私の読書論168-丸谷才一『文学のレッスン』から(1)-楽しい読書338号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/03/post-a5ffed.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/aeb4fbdcc4586cd16650027aa268dc7a

2023(令和5)年5月15日号(No.342)
「私の読書論170-丸谷才一『文学のレッスン』から(2)」
2023.5.15
私の読書論170-丸谷才一『文学のレッスン』から(2)-楽しい読書342号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/05/post-484913.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/73a80988fd042284cb712d8a510cdc80

 

・『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』渡瀬謙 日本実業出版社 2023/5/26

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2023(令和5)年6月15日号(No.344)
「私の読書論171-渡瀬謙のビジネス書の新刊
『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』から」
2023.6.15
私の読書論171-渡瀬謙『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』から-楽しい読書344号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/06/post-929a0f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/59ae185f3daf8eebaec62cad6639e4f4

 

・『静かな営業 「穏やかな人」「控えめな人」こそ選ばれる30の戦略』渡瀬謙 PHP研究所 2023/7/20

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2023(令和5)年8月15日号(No.348)
「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・
 静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」
2023.8.15
私の読書論173-友人の新刊・
静かな人のための『静かな営業』を読んでみた-楽しい読書348号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/08/post-a3c1f9.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/18d2f67eff14d96378e59e618cd888a3

 

・『図説 本の歴史(新装版)』樺山紘一/編 河出書房新社 ふくろうの本/世界の文化 2022/4/23

・『世界の美しい本屋さん』清水玲奈 エクスナレッジ 2015/4/18

・『美しい本屋さんの間取り』エクスナレッジ X-Knowledge 2022/12/29

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2023(令和5)年12月15日号(No.356)
「私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ
―『美しい本屋さんの間取り』から」
2023.12.15
私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ―
『美しい本屋さんの間取り』-楽しい読書356号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/12/post-bf19e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/79bec3e02805048065d5ea41387e2c55

2023(令和5)年11月15日号(No.354)
「私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと」
2023.11.15
私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと
-楽しい読書354号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/11/post-7462e0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d498bde194e54d8e97a5d018d683f607

2023(令和5)年10月15日号(No.352)
「私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと」
2023.10.15
私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと-楽しい読書352号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-d8d8ec.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7b9a38985fcfd574650e4c54eba355c1

 

◆メルマガ『週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書』コラボ企画――

・『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ 新潮文庫 2021/6/24

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2023(令和5)年7月15日号(No.346)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
 新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から(1)新潮文庫
 左利きライフ研究家が読む――ブレイディみかこ
 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』」
2023.7.15
[新潮・角川・集英社]<夏の文庫>フェア2022から(1)新潮文庫
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』-楽しい読書346号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/07/post-e456f6.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/0b8a7ee570ee5e37305515ff046faddc

 

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第646号(No.646) 2023/7/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
 新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から(1)新潮文庫
 左利きライフ研究家が読む――ブレイディみかこ
 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』」
2023.7.15
左利きライフ研究家が読む――ブレイディみかこ『ぼくはイエローで…』
-週刊ヒッキイ第646号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/07/post-e456f6.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/bef4ad5a52cfa242388eb430fbc39b3f

 

◆メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』向け――

・『初心者のためのキーボード講座 ゼロから始められるあんしん入門書』自由現代社 2022.8.30 

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第643号(No.643) 2023/6/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(13)キーボード演奏での指使い」
2023.6.3
[左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)]
楽器における左利きの世界(13)キーボード演奏での指使い
-週刊ヒッキイ第643号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/06/post-5691ca.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/12dd668304395546320d2e53f4c38893

 

・『鍵盤ハーモニカの本』南川朱生(ピアノニマス)春秋社 2023/4/19

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第648号(No.648) 2023/9/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(15)
 左利きの知らない 鍵盤ハーモニカの世界」
2023.9.2
[左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)]
楽器における左利きの世界(15)鍵盤ハーモニカの世界(1)
-週刊ヒッキイ第648号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-e4540c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/b48069538edf0c84d684ff6fd4aa2b8a

 

・『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著
PHP新書 2023/9/16

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第654号(No.654) 2023/12/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(17)
 大路直哉著『左利きの言い分』の音楽家たちについて」
2023.12.2
[左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)]
楽器における左利きの世界(17)『左利きの言い分』の音楽家
-週刊ヒッキイ第654号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/12/post-ae5d74.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/be026931242af6380336a9c53468744f

 

 

 ●(2)その他の古典系のお勉強本

・『ツァラトゥストラはこう言った』フリードリヒ・ニーチェ
森 一郎/訳 講談社学術文庫 2023/6/12

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以前、光文社古典新訳文庫版の丘沢 静也さんの訳本
『ツァラトゥストラ〈上〉〈下〉』の二巻本で読み、大いに読みやすく、
哲学書というよりは文学書という感じで、楽しめた作品でした。
ただ、二巻本というのは、やはり扱いにくく感じます。
通しで読むだけなら問題はないのですが、何か調べたり、
ペラペラ読みするときは、一巻本の方が便利で扱いやすく思います。

で、改めて新訳本が出たので買いました。
通しではまだ読んでいませんが、ペラペラめくりながら、その都度、
気になるところを読んでいます。
一冊手元にあると、何かと楽しめる良い作品です。

私も以前、『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』で
一部を引用しています。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第649号(No.649) 2023/9/16
「創刊18周年記念号――明日のために」
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.16
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii創刊18周年記念号-第649号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-11afb6.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c423b47b3f2aa28f44fd87f1e3193b92
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 ●最後に――明日のために、今書くこと

 《およそ書かれたもののなかで、私が愛するのは、
  血をもって書かれたものだけだ。血をもって書け。
  そうすれば君は、
  血こそ精神だということが身に沁みて分かるだろう。》
  『ツァラトゥストラはこう言った』フリードリヒ・ニーチェ
    森一郎訳 講談社学術文庫 2023/6/12
   「第一部 ツァラトゥストラは語る」<読むことと書くこと>p.66

「血でもって書く」とまでは行かないかもしれませんが、
「汗で書く」―「汗をかく」ぐらいなら私にもできそうです。

それぐらいの意気込みで無理せず続けていきたいと思っています。
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(3)小説や左利き本等の著作のためのお勉強本

特になし。

 ・・・

以上、(前編)でした。
(後編)は、来年第一発になります。ご了承ください。 

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本誌では、「私の読書論178-私の年間ベスト3-2023年〈リアル系〉(前編)」と題して、今回も全文転載紹介です。

長くなりすぎましたので、途中で半分に分けることになりました。
というわけで、今回は「前編」です。

今回は、まだ読んだ本を全部紹介し切れていないのですが、本文でも「メルマガの為に読んだ本ばかり?」と書きましたように、今年の場合は、本自体数を読んでいないため、メルマガを書くために読んだ本が大半になっています。
そのため、改めて<ベスト3>に上げるのはどうかと思い、ちょっと気が引けるという感じで、選びにくい状況でした。

次号の(後編)では、「●(4)個人的な趣味、仏教や空海・弘法大師に関する本」を紹介し、その後、いよいよ
「●私の2023年〈リアル系〉ベスト3候補」、「●私の年間ベスト―2023年〈リアル系〉」を紹介します。

お楽しみに!

 ・・・

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