週刊ヒッキイ第688号-『左組通信』復活計画[38]『LL』復刻(11)LL11 1996年秋号(後)
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】
第688号(Vol.21 no.11/No.688) 2025/6/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」
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【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン
右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第688号(Vol.21 no.11/No.688) 2025/6/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」
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今回も、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻の新規入力分で
「ネット初公開!」――で、これが『LL』最終号となります。
この号は前号(LL10 1996(平成8)年 秋号)の発行から
半年以上(3シーズン)あいており、
「終刊号」と銘打っていますように、これが最後の一号となりました。
ペラペラ一枚、見開き2ページで、いかにもな、
「最後の一号」という出来になっていました。
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ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (11)
(内容紹介)LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号
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*(参照)――
・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次
・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03
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●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL11 概要
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号 A4 2ページ
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<新聞から――>What the newspaper says,...
朝日新聞 1969(平成8)年9月12日 朝刊「生活」面
右ページ(見出し)危険・不便…あきらめず 「画一社会」を変える力に
左ページ(見出し)左利きにもっと愛を 世の便利は「しゃくの種」
「個性…」増える専用品
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左利きの本だなぁ(9)夏目漱石『坊ちゃん』
――<坊ちゃん>は左利き!
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LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号
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<新聞から――>What the newspaper says,...
朝日新聞 1969(平成8)年9月12日 朝刊「生活」面
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今回ご紹介するのは、すでに「旧聞」に属する記事ですが、
「朝日新聞」1969(平成8)年9月12日朝刊「生活」面に
掲載されたものです。
“大新聞”が「左利き」について記事にするというので、大いに期待
したのですが、内容的にいうと、「左利き問題」が存在するという、
まずは無難な紹介に終わっており、もう一段突っ込んで、真剣に
「左利き問題」をうんぬんする、というレベルまでは達していない点が
残念でした。
特に、昨今話題に上がることが多い、「バリアフリー」(障壁なき
社会)の観点からのアプローチが見られなかったのが、ものたりなく
感じられた。/「次回」に期待したい。
実は、筆者もこの記事を書かれた大村美香記者から、電話で取材を
受けたのだが、もう少し派手に宣伝しておけばよかったかな、
と反省している。(やすお)
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――以下、見開き2ページにわたる新聞の記事をコピーしたものを、
特にコメントも付けないで、そのまま掲載していました。
今回は、一部原文を交えて内容の要約を紹介しておきましょう。
●左側ページ【見出し】改札機 ビデオ 世の便利は「しゃくの種」
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[朝日新聞 1969(平成8)年9月12日 朝刊「生活」面]
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まずは左側ページ、こちらがメインの記事に当たり、
【大見出し】<左利きにもっと愛を>
の下に記事が展開されます。
まず冒頭に、記者氏による前説が入ります。
全文を紹介しましょう。
《首都圏や京阪神で急速に普及してきた駅の自動改札機。
すばやく多人数の人が通れる効率的な機械だが、
左利きの人たちにはどうも使い勝手が悪い。
「便利」や「楽しみ」をうたい文句に、新たに生活に入ってきた
自販機やビデオカメラなども、左利きに冷たい。
長年使われてきた道具類には専用のものが作られ始めたものの、
人口の一割を占めるといわれる「少数派」の不便は
簡単には解消しそうにない。(大村 美香)》
【見出し】改札機・ビデオ 世の便利は「しゃくの種」
横に「自動改札機を通りぬける人々」の写真
(ぐきっ!!=体をひねるときの擬音)が入っています。
真ん中の一人が、左腕を身体の前にクロスするように出して、
自分の向かって右側にある改札機の切符投入口に伸ばしています。
記事は、自動改札機の不便についての証言と共に始まっています。
・・・
日本民間鉄道協会によりますと、
自動改札機は1990年代に急速に普及し始め、
1995年には千駅以上、53%に達している。
しかもそのすべてが、投入口が右側にあるものだといいます。
左利きの人の証言(1)
《「大きな荷物がある時は、さらにバランスを崩しやすい。
こんな不便を毎日味わっているんです」》
左利きの人の証言(2)
《「左右両方に投入口をつけるとか、たくさん自動改札機があるなら、
一台の投入口を左側にしてもらえれば、楽なのですが」》
という要望に関して――
《「両方作ってしまうと利用者が混乱する」(名古屋鉄道)
「設置台数は限られているので……」(小田急鉄道)。
鉄道会社は消極的。
「現在の機械が右利き専用というわけではないが、お客様は右利きが
多数。左利きの方には慣れていただくしかない」(営団地下鉄)
と左利きの努力を求める。》
次に家庭用ビデオカメラについて――
片手で持つタイプはほとんど右手用で、ソニーは国内で発売している
17種類はすべて右手で支えて操作する形。
《「左利きの方に使いづらいのは承知しているが、慣れの問題。
ボタンを押すだけだし、さほど支障はないのでは」と同社広報室。》
左手用の開発予定はない。
一方、日本ビクターが開発した新方式デジタルビデオカメラは、
テープが小さくなった利点を生かして、
縦長で両手で持つことができ、利き目も選ばない。
左利きばかりではなく、右手を失った人からも注文が来ている、という。
自動改札機も、多少の工夫が出てきた。
阪急電鉄は、左手でも入れやすいように、
投入口を左に5度傾けた機種をすべての駅に置いている。
(写真=ぼちぼち 阪急電鉄梅田駅)
東急電鉄でもこの形式を。
JR東日本も1995年3月から設置を始め、
今後は新規導入や機械の取り換え時に改善してゆく予定。
●左側ページ【見出し】はさみ・調理具「個性…」増える専用品
(写真=逆も真ナリ 岐阜県関市川嶋工業、左利き用調理用具シリーズ)
《はさみや包丁など、左利きが不便を耐えて長く使ってきた道具に、
専用品が多くなってきた。》
として、らせんが逆のコルク抜き、刃の向きが逆の缶切り、
といった調理用具を販売している、川嶋工業(岐阜県関市)を紹介。
バブル崩壊後、特徴のある製品が求められるようになったこと。
左用に向きを変えるだけなので、設計は難しくなかった。
市場が狭い分、採算は取りにくいが、価格は右と同じにしている。
遠藤民雄課長さん――「正直言って、売れ行きはよくない」
しかし、百貨店などには、個性がある商品として人気が高いという。
《「最近は左利きを苦にしないし、右に直される人も少ないですから、
これから育つ子供たちに使ってもらえるのでは……。
将来への布石です」》
東京中央区の刃物専門店「木屋」は、左利き用の刃物約50点を
取り扱っており、その数は徐々に増えつつあるという。
企画課・石田克由課長さん――
《「左利きを隠さなくなって需要が増えたことと、
不便だというお客様の声が大手小売店を通じて伝えられて、
対応せざるを得なくなっている。最近は発売しなくてはならない
という意識がメーカーに広がっているようです」》
●右側ページ【見出し】危険・不便…あきらめず
(写真=ナイスショップ 東京都内のゴルフショップの左利きコーナー)
《左利きは古くて新しい問題だ。二年前、左利きの人にとっては、
衝撃的な本が出た。》
スタンレー・コリン著『左利きは危険がいっぱい』を紹介している。
世の中のテクノロジーやデザインが右手に便利にできているので、
左利きの人は日常生活で、不快な思いをするだけでなく、
事故を起こしやすく、寿命を縮める原因になっている――
左利きには危険がいっぱいだ。
【見出し】「画一社会」を変える力に
工業デザイナー・秋岡芳夫さん――
《「左利きのような少数派が冷遇されるのは今の工業製品の宿命」》
金型を起こす作る現在の製法は、
生産性は高いが画一的な製品しかできない。
それゆえ、少数派の人には対応しづらい、という。
《「技術的に未熟なんです。多種類を生産できるような技術を
開発する時代に来ているのですが」》
現状は、「あきらめ使いのあきらめ暮らし」と秋岡さん。
《「出来の悪いものに自分を合わせて暮らすと生活が貧しくなる、
ということです。不便なら、使う側も、文句を伝えた方がいい」》
東京都中野区立区立中野昭和小学校・草場純教諭さん――
麺類の給食配膳用に、左利き児童に特製のおたまを用意している。
右手ですくいやすいように、片側がフォーク状になっているおたまは、
左利きの児童には使いづらい。
そこで逆向きのおたまを注文して作ってもらった。
草場純教諭さん――
《「文字の学習や習字など、児童が苦労し、親もどうしたらよいか
迷っているケースが多い。教師が少しでも手助けする方法を知って
いる方がいいのでは」》
おたまを作ったのも、使いやすい道具を児童に渡すべきだと考えたから。
《「ただ、いずれ子供は社会へ出ていく。教育現場だけの努力でなく、
社会全体が変わらないと」》
誰もが使いやすい商品やサービスについて、研究調査、普及活動をして
いる、メーカーの企画開発担当者やデザイナーが参加する
「E&Cプロジェクト」会長、工業デザイナー・鴨志田厚子さん――
《「公共で使うもの、日用品だからこそ、左右を選ばない形がいい」》
自動改札機の場合、左右に投入口があれば、荷物を持っているときや、
杖をついているときなど、右利きの人でも使いやすくなる。
《「左利きの人への配慮は、左利きの人のためばかりでなく、
誰もが便利になることだと思います」》
●右ページ【見出し】人口の1割 なぞだらけ
右ページの端一列は「左利き」についての専門家の科学的説明。
・・・
京都大学名誉教授(神経生理学)久保田競さん――
《「利き手についてはまだ分からないことが多い」》
手を動かすとき、手と反対の側の脳が働く。
右手を動かすのは左脳、左手は右脳というように。
脳のどの領域が関連して手が動くのか、大まかな仕組みは分かっている。
しかし、脳の仕組みと利き手の関係については、まだ手つかずの状態。
左利きの人の割合は人口全体の一割程度。
《日本人は直す習慣があるためか結果として少ないが、
発現率は時代や民族で変わることはないと考えられている。》
両親が左利きの場合、その子供が左利きになる割合が高く、
片方の親が左利きの場合も平均よりは高いので、
左利きの原因は遺伝による、という説もある。
《しかし、「左利きを決める遺伝子が発見されているわけではなく、
類推の域を出ない」と久保田教授。左利きにはまだなぞが多い。》
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左利きの本だなぁ(9)夏目漱石『坊ちゃん』
――<坊ちゃん>は左利き!
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千円札の肖像にもなっている明治時代の文豪・国民作家、夏目漱石の
代表作であり、また日本を代表する青春文学のひとつでもある
『坊っちゃん』。その主人公“坊っちゃん”が実は左利きだった、
ということはあまり知られていない。
“坊っちゃん”の性格を紹介する冒頭のエピソードのなかに、
親戚からもらった西洋製のナイフで、「右手」の親指を切ってみせる
というのがある。
右手にナイフを持って、右手を切ることはできないので、
ナイフは左手に持っていたと考えられる。
ゆえに彼は左利きだったのだ!
何度も映画やテレビドラマになった作品だが、「左利き」の
“坊っちゃん”を演じた人はいなかったのではないでしょうか。
だれでも一度は読んだことのある小説でありながら、
案外知られていない事実です。(やすお)
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*参照:
『坊っちゃん』夏目 漱石/著 新潮文庫 改版 2003/4/1
(Amazonで見る)
(冒頭の“坊っちゃん”の無鉄砲ぶりを示す第二エピソード)
親類のものから西洋製のナイフを貰って奇麗な刃を日に翳かざして、
友達に見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。
切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合った。
そんなら君の指を切ってみろと注文したから、
何だ指ぐらいこの通りだと右の手の親指の甲をはすに切り込んだ。
幸ナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、
今だに親指は手に付いている。然し創痕は死ぬまで消えぬ。
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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」と題して、今回は全紹介です。
今回、改めてこの新聞記事を読み、色々と思うところがありました。
当時は、前号からかなり日を置いた最終号ということで、私自身、ちょっと疲れていたのか、旧聞ということで遠慮もあったのか、記事内容に関してのコメントを残していません。
今回のこの機会に少しだけ書いておこうかとも思いましたが、書けばどうも単なる愚痴になるような気もします。
遅れてきた意見はない方がいいのでしょう。
この終刊号発行まで約半年のブランクがありました。
当時私は、仕事が忙しくなり、ちょっと病気をしたこともあり、疲れてしまったのでしょう。
やりたいことと望みが大きかった反面、当時の自分には荷の重い仕事だったのかも知れません。
まあ、今でも荷の重い仕事をしているのかも知れませんけれど。
この左利きメルマガも長くやっている割りには、購読者も増えず、特に世間的にも話題にならず、何かしらオファーがなかったとは言いませんが。
まあ、自分が有名にはなりたくない、目立ちたくはない、という気持ちがあるので、どうしても突っ込んでいけないのですね。
まあ、それでもいいかと思っています。
ただ、後に続く人が出てきて欲しいということだけは、言っておきます。
第一土曜日発行分で左利き用の楽器のことを書いていますように、現実の問題としてやはり左利きは冷遇されています。
左利きゆえに楽器の演奏をあきらめた人も多いと思うのです。
左利きの問題は、まだまだ未解決の部分が大半です。
突き詰めて頑張ってくださる後継者がどんどん現われることを期待して止みません。
では。
・・・
弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。
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