2013.03.06

名作の~左利きマンガ『クロスドミナンス』~左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii352号

ご無沙汰しています。
まずは近況を―。

何年ぶりかのインフルエンザで、完全にペースが狂ってしまいました。

当初ただの風邪かと養生していたのですが、よくなる気配もなく、医者に行くとインフルエンザと判明。
帰りに5日分の薬を薬局で出していただき、リレンザの吸入の仕方など教えていただき、帰宅。
静養に努めていました。

熱のせいか何か、おなかが悪く、上体を起しておけないので、横になって、本を読むか、テレビを見るか、ラジオや音楽を聞く程度。

ところが、昔は熱があっても本は読めたものですが、今回はまったくダメで、軽い読みものでも10ページがやっと。
というわけで、友人から届いた新刊も読めず、何も手に付かない状況。

メルマガもブログもお休みしていました。

 
そんなわけで遅れていますが、
先月第三土曜日発行の無料左利きメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第352号のお知らせです。

(因みに、第4週はお休み。3月一週目も、2月10日<左利きグッズの日>を記念したイヴェント【第7回<LYグランプリ>2013】のアンケートの現状報告のみ。)

 ・・・

第352号(No.352) 2013/2/16「名作の中の左利き ~マンガ『クロスドミナンス』小橋ちず」は、
≪左利き学入門≫ ■名作の中の左利き■「~番外~ マンガ『クロスドミナンス』小橋ちず」をお送りしました。

今回は、<推理小説編>をお休みして、久しぶりに<マンガ>を取り上げました。

『クロスドミナンス』小橋ちず(幻冬舎コミックス バーズコミックス・スピカコレクション2012.5.24)


左利きが優遇される社会における青春物語。
全6話+1掌編。

あとがきにもありますように、元々超能力者ものを描きたかったのが、担当者との話し合いでもっとなじみやすいものを、ということで著者自身左利きということで、左利きネタになったということのようです。

そういう成り立ち上の理由もあってか、「左利き=超能力者」的なお話になっています。
その辺が、「左利きライフ研究家」としてみますと、今一つ納得できない結果になっているのが残念です。

詳細は本誌をお読みください。↑

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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2011.05.26

週刊ヒッキイhikkii261名作の中の左利き・番外編3マンガ(前)

Mto20115

(画像:まんがタイムオリジナル2011年5月号表紙)

無料メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第261号(No.261) 2011/5/21「名作の中の左利き-番外編-3-(左利きのマンガ)『ラディカル・ホスピタル』ひらのあゆ(前編)」

5月5日の記事「左利きマンガ『ラディカル・ホスピタル』ひらのあゆ(まんがタイムオリジナル2011年5月号)」(ココログ「お茶でっせ」版)(goo「新生活」版)で紹介しました、左利きをテーマにした4コマ・マンガの内容を左利きに関する部分について取り上げています。
今回は前編。

4コマ・マンガ11本のうち前半の7本から、左利きに関連した部分を抜き書きし、私の感想を述べています。

特に右手と左手の使い分けに関して。

一般に、右利きの人による社会の仕組みとして、

 <右手側:意思的決定権、左手側:従属的な役割>

という関係になっています。

この辺が、左利きの人には「違和感」となり、問題があるように感じます。

《左右それぞれ得意な側に合わせた選択ができるように、機会は均等に与えられる》社会になって欲しいものです。


※ 本誌で取り上げたマンガ
『まんがタイムオリジナル』2011年5月号 芳文社 2011.3.26
【ひらのあゆ/著 芳文社 まんがタイムコミックス】
・『ラディカル・ホスピタル 1』 2000.11

・『ラディカル・ホスピタル 20』2011.1.7
・『ラディカル・ホスピタルよりぬきキャラクターズファイル』2006.8.7

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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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2011.05.05

左利きマンガ『ラディカル・ホスピタル』ひらのあゆ(まんがタイムオリジナル2011年5月号)

Mto20115


画像:まんがタイムオリジナル2011年5月号表紙

『まんがタイムオリジナル』2011年5月号連載の『ラディカル・ホスピタル』(ひらのあゆ)が、「左利き」をテーマにしています。

巻頭カラー4ページを含む6ページ。
病院を舞台にした4コマ・マンガです。

「ラディカル・ホスピタル」(ひらのあゆ)スポーツでは有利とされる左利きだけど、普段の生活ではお悩みがいっぱいで!?
こちらのブログによりますと、 まんがタイムオリジナル感想
ラディカル・ホスピタル (ひらのあゆ 先生)  今回は「左利き」のお話。 患者の伊勢さんが「左利き」を非常に気にしているお方。  泣き泣き矯正されたトラウマが原因で過剰反応してしまうのだけど、右腕マヒの梶さんとの  交流で色んな事がふっきれた!な展開が、素晴らしく面白かったー!! ラストの笑顔、イイ。

早くから情報をもらっていたのですが、忘れていて既に6月号が出ていました。
そこで、連休に古本屋さんをのぞいて来ました。

病院らしいエピソードとしては、
「利き手交換」(というのか? 簡単に言うと、利き手がマヒしたとき、代わりに非利き手を使うようにする訓練)、
ベッドの上り下りの方向や点滴の腕をどちらにするかといった患者側の話のほか、
左利きの外科医はいるか、助手やナースは困る、といった医者、看護士側のエピソードもあり、
いかにもありそうなお話を11本にまとめています。


この患者の伊勢さんの「矯正」トラウマのお話は、
私自身、心にこたえるので最初は飛ばし読みしました!
ラストの表情も確認していませんでした。

幼少時左利きを「右手変換」させられた経験がトラウマに…というお話は、
アカデミー賞を受賞した映画『英国王のスピーチ』でも登場しました。

世界共通の昔の嫌な「風習」です。

「昔」と書きましたが、一部では未だに続いている(特に、字を書くことに関しては!)
悲しい「風習」です。

このマンガの登場人物も
「何がコンプレックスかなんて他人にはわからないよ」
と語っているように、
コンプレックスって人により色々様々です。

でも、こういう被害がなくなるように願っています。

先週の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第258号(No.258) 2010/4/30
「<左利きプチ・アンケート>第68回 小1書写教科書に左手書き(左利き)例を入れるべきか?」
でもアンケートに取り上げましたが、
学校教科書から改めていかないとダメなように思います。
(アンケートもよろしく!)


ちなみに、伊勢さんは、右手マヒの患者・梶さんと出会い、
自分は常に被害者気分だったかも…、と反省します。
最後は、すっきりした表情になって、THE END。 

でも、マンガですし…。
現実は、そう簡単にはいかない気もしますけど…。

このマンガの詳細は、5月第三土曜日発行予定のメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
「名作で読む左利き(特別編・左利きのマンガ)」で紹介する予定です。
お楽しみに。

【追記】7.25
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第261号(No.261) 2011/5/21「名作の中の左利き-番外編-3-(左利きのマンガ)『ラディカル・ホスピタル』ひらのあゆ(前編)」
第265号(No.265) 2011/6/18「名作の中の左利き-番外編-3-(左利きのマンガ)『ラディカル・ホスピタル』ひらのあゆ(後編)」

『まんがタイムオリジナル』2011年5月号 芳文社 2011.3.26
【ひらのあゆ/著 芳文社 まんがタイムコミックス】
・『ラディカル・ホスピタル 1』 2000.11

・『ラディカル・ホスピタル 20』2011.1.7
・『ラディカル・ホスピタルよりぬきキャラクターズファイル』2006.8.7

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2011.02.07

知ってました?タラちゃんは左利き!

110205


そうだったんですね。
あの長谷川町子の漫画「サザエさん」ちのタラちゃんです。

2月5日の朝日新聞の別刷り「Be on Saturday」の「サザエさんをさがして」
で紹介されていました。

1966年10月19日朝日新聞掲載分での話―

 お客さんの忘れものをタラちゃんが走って届けようとします。
 左手を伸ばして品物を受け取ろうとするタラちゃん。
 「かどを右にまがっていったよ」とカツオ。
 「おハシもつほうにまがるのよー、わかった?」とワカメ。
 「わかった」とタラちゃん、品物を右手に持ち替えて走ってゆきます。
 しかしその後、
 「あのこ左ききだったわ!せわがやけるて」とワカメが気付いて駆け出してゆく…。


昔、テレビのアニメは見ていたものですが、
タラちゃんが左利きだったとは、気付きませんでした。
それともテレビのタラちゃんは右利き設定だったのでしょうか?

因みに、
フジテレビ「サザエさん」のホームページ「キャラクターの紹介」には、利き手の記載はありません。

--
フグ田タラオ
年齢…3歳。サザエとマスオの子ども。
性格…ものわかりの良い素直で優しい子。好奇心旺盛。イクラのお兄ちゃん的存在。
友達…イクラちゃん、リカちゃん(5歳くらいの女の子、ガールフレンド)
--

4コマのマンガ本もいくつかは見た記憶がありますが、
ピンとこないお話が多く、おもしろいと思った記憶がありません。
それで、あんまり熱心に読んでいないので、まったく気付きませんでした。

改めて情報を集めてみるべきかもしれません。

「架空の左利き人物」の一人に登録しておこうと思います。

左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第227号(No.227) 2010/9/4「<LHM>宣言!“左利き紳士・淑女録”(4)」


*この記事で扱われている「左利き/矯正した方がいいのか」については、
また後日、じっくり考察する予定です。

一言で極言すれば、
こういう発想自体が旧態依然の「長いものには巻かれろ」式のバカげた意見です。

左利き・右利き・中間的な人における利き手・利き側というものは、
個人固有の身体的特性の一つです。
言ってみれば、「才能」です。
それをどう人生に活かすか、が問われるのです。

「社会が○○だから○○に従う方が得」といった安直な処世術的な考え方とは、
まったく次元の異なる問題です。

現代は、多様性を容認し、尊重する時代に向かっているというのに、
まったく議論の方向をまちがっています。

要は、
いかにして一人一人の固有の特性(才能)を活かした人生を送れるように導いてやるか
が問題なのです。

右利きは右利きとして、左利きは左利きとして、
そして、その中間的な利きの混じり合った人は、中間的な人としての生き方を!


※「サザエさんをさがして」最新単行本:
原っぱで夕焼けを見ていた頃 サザエさんをさがして その5

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2010.04.08

アニメ「けいおん!!」第二期放送開始

4月6日TBSで始まりました。
「けいおん!!第二期」

他の地区でも順次放送開始とのこと。
大阪・MBSは、10日深夜2時から。

というわけで、6日あたりから、うちのブログの入りも少し良くなっています。
「けいおん!!」さまさま、というところか。

第1話「高3!」の内容は、
《平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬の軽音部4人は高校3年生として、始業式をむかえる。/新入生がクラブを決めるこの時期に、去年新歓ライブで入部を決めた2年生の中野梓とともに、今年も新入生勧誘に励む軽音部のメンバーだが…》

第一期のDVDはもちろんフィギュアやゲームなど様々なグッズも販売されているようで、なかなかの人気アニメのようです。

左利きの啓蒙活動をするうえでも、アニメ「けいおん!!」は、恥ずかしがり屋の左弾きベーシスト秋山澪の存在によって、それなりの注目を集めることができるので、うれしく思います。

音楽は心で楽しむもの、だから心につながっている利き手で弾きたいものです。
そう思いませんか?

カッコじゃなくて、心で弾く。
だから利き手で弾く。

そういう左弾きの人が増えてほしいものです。

※参照
2009.5.21 アニメ「けいおん」による左利き用ベース人気から思ったこと
お茶でっせ版新生活版

(原作コミックス)

(主題歌)

(その他)

(「澪」使用の左用ベース、同ベースアンプ)

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2009.05.21

アニメ「けいおん」による左利き用ベース人気から思ったこと

4人の女子高生が軽音楽部で活躍するという、深夜アニメ「けいおん」(2009年4月よりTBS系)(*1)が人気で、その影響で左利き用ベースまでが人気! といいます。(*2)

このアニメの登場人物の一人が左利きの設定で、左利きでベースを弾いていて、その使用している楽器の注文が殺到しているといいます。

「私も左利きだから左で弾きたい」という人が増えているのなら、うれしいことです。

また、そうではなく、本当は右利きだけど、左で弾いている澪(その人物の名前です)がカッコイイから私も左で弾きたい、というのなら、それもまたうれしいことです。(どうなんや?)


このようなマンガやアニメを通して、左利きが注目されるというか、左利きを理解してもらえるというのは、いいことだと思います。

「左利きのベーシストがいてもいいじゃないか」、「私もやっぱり左で弾きたい」という人が出てくるといった現象が生まれ、それが報道されることで、さらに「左利きは左でいいのだ」と目覚める人が出て来るのだとしたら、素晴らしいことだと言えるでしょう。


八田武志先生の左利き・利き手のついての科学の本『左対右 きき手大研究』(化学同人 2008)は、この手の本では、易しい分かりやすい読みやすい本だと思うのですが、それでも、読むのがしんどい、難しいと感じる人が少なくないようです。
それ以前に、科学書というだけで、読むことすらなんとなくパスしてしまうという人もいるようです。

今度出た、左利きの子供の教育や保育の方法を書いた『左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために』(ローレン・ミルソム/著 笹山裕子/訳 東京書籍 2009)でも同じです。

なんとなく難しいんだろうと敬遠してしまう…。


そういう人でも、小説やマンガ、アニメ、映画やドラマなどで表現されれば、とっつきやすく、理解しやすいように思います。

私が今メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で「名作の中の左利き」というコーナーを始めたのも、そういう左利きを少しでも身近に感じる機会が持てれば、という思いからです。(*3)

 ・・・

とにかくこれまでは、左利きの人が左で楽器を弾くことに対しても色々言う人がいました。


特にもの知らずだと思うのは、器楽演奏では両手を使うから利き手や利き腕は関係ない、という意見。

本当にその通りなら、どうしてこの世の中には右で弾く人ばかりこんなに多いのでしょうか。
また楽器も右利き仕様のものが大半なのでしょうか。

右で弾く人と左で弾く人が半々でもよさそうなもの。
楽器も右仕様と左仕様の楽器が半々でもよさそうなもの。

なるほど教える人や、大量生産の影響というものはあるでしょう。

それでも、実際に弾く人が半々なら、教える人も左右半々いてもおかしくないし、楽器会社も、左仕様の楽器を作るところと右仕様の楽器を作るところが半々あってもおかしくないはず。

ところが全くといっていいほど、左利き仕様の楽器はないに等しい。
かろうじてギターだけは昔から左利き用の製品が売られていたぐらい。
(最近でこそ、左利き用のバイオリン等が登場してきましたが。)(*4)

その理由は、やはり利き手/腕で弾きたいというのが、人間のごく自然な欲求だからでしょう。


世の中、右利き仕様の楽器が多かったのは、多くの人が弦を弾くのは利き手/腕がいい、と感じているからでしょう。
というよりも、「つい利き手が動いてしまう、頭より先に」というのが本音ではないでしょうか。

要するに、利き手というものは「自然な」手、「本能的な」手だということでしょう。

即ち、(これは私の持論ですが)「利き手は心につながっている」から、でしょう。

そして、この世の中は右利きの人が半数以上いるという事実でしょう。


誰だって、利き手で弾きたいのです。

私は楽器はできません。
でも(高校生時代にギターを少し習ったことはありますが)、エアギターは左です。

ピアノだって、利き手でメロディを弾きたいのです。

ピアノは、右手で主旋律(メロディ)左手で伴奏だと聞いています。

それで、右利き仕様のピアノは、左端から右端へとだんだん音が高くなる配置になっていて、右手が高音部側で左手が低音部側になっているのだそうです。

ところが、ある有名な左利きのピアニストは、やはり利き手で弾きたいと思い、左利き用のピアノを作ってもらったということです。

そして、左右両タイプを引き比べてみると、左利き用のピアノの方がやっぱり「しっくりくる」のだそうです。
(どっかで読んだのですが、今調べがつきません。ご存知の方お知らせください。)

この「しっくりくる」という感じが利き手/側というものの性質の重要なポイントを言い表していると思います。


もし、それでもなお、訓練の賜物であって利き手/腕は関係ないという人には、実際に左仕様の楽器と弾き比べたのか、と反論したいですね。

そういう楽器がなくて比べようもないのに、ああだこうだというのは、根本的におかしな発言です。

実際に演奏し、比較した上で発言すべきです。
頭の中で想像するだけでは何もわかりません


これはカメラに関してもいえることです。(*5)

一眼レフ・カメラの場合、レンズの調整に左手を使えるから左利きも不利とはいえない、右利きも左利きも関係ない、という人がいます。
しかし、そう発言する人のなかで実際に左手用のカメラを使った経験のある人はどれだけいるでしょうか。

私は、左手用カメラを持っていて、普通の右手用と実際に使い比べた経験があるので、わかるのです。

「心に響く」いい写真を撮りたければ、カメラも利き手でシャッターを切るべきであり、カメラは利き手で使う道具だということです。


「道具は実際に使ってみなければ、本当のところはよくわからない」という意味で、もう一つ例を挙げましょう。

それはハサミ。(*6)
私の子供の頃には、左手用のハサミなどはなく、右手用を左手で使っていました。

私はハサミは(紙等を)「挟む」ものだと思っていました。
「バカとハサミは使いよう」などというように、「ハサミは使い方が難しい道具だ」と信じ込んでいました

自分は紙を挟むばかりでうまく切れずにいるのに、まわりの子供たちがみな上手に使っているのを見て、自分はなんと不器用なドンくさい人間か、と落ち込んだものでした。

「切り取り線」の意味もよく理解できていませんでした。
上の刃で隠れて切る位置を確認できない私は、もっぱらこの辺だろうと「勘」で切っていたからです。

約三十年後、左手用のハサミを手に入れて初めて、ハサミの道具としての素晴らしさに気づきました

そういうものです。

 ・・・

話を戻して、
この「けいおん」の左利きのベーシスト澪は、恥ずかしがりやなので、目立つギターでなく、ベースを始めたという設定です。

こういうところも、左利きの人の性格をうまく使っているような気がします。

左利きの人には、こういう目立つのが嫌いで恥ずかしがりやの人が多いように感じます。

それは、どうしても小さい頃から目立ちやすく、しかも大人から色々と口出しされることが多い
(「あなた、左利き?」とか「左利きは○○したほうがいいんじゃないの?」とか「左利きは××だっていうからねえ?」とかetc.)
からではないか、と思うのです。

そこでなるべく目立たないように生きるクセがついてしまう。

でも、反面、左利きという少数派であることに誇りを持っていて、目立ちたがりやな部分もないではない、というちょっと複雑な一面も持っている

そういう気がするのです。
(なんか、自分のことを告白しているみたいで、ちょっと恥ずかしいですが。)


まあ、とにかく、左利きであることを自覚する人や左利きに興味を持つ人が増えてくることは、大いに歓迎です。

こういう左利きの存在をごく普通に扱うお話は、本来、どこにでもある日常茶飯事だと思うのです。
ところが、意外にそういう利き手をきっちり描いたものは今までなかったように思います。

これからは、そういう点にも気を配ったものが出て欲しいものです。

そして、利き手の性質を広く一般の人々に知らせる意味でも、こういう誰もが目にする媒体でもっと左利きを取り上げてくれるとうれしいんですが…。

(*1)
TBSアニメーション・けいおん!公式ホームページ
原作:かきふらい(芳文社「まんがタイムきらら」連載)
『けいおん! (1)』まんがタイムKRコミックス 芳文社 (2008/4/26)
『けいおん! (2)』同 (2009/2/26)


(*2)
けいおん!人気で業界騒然、左利き用ベース2年分を追加発注
(「澪」使用の左用ベース:フェンダージャパン「JB62/LH/3TS」、同ベースアンプ「BMC20CE」)


(*3)
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』■名作の中の左利き■
第180(No.180) 2009/5/16「名作の中の左利き(2)『黄金虫』ポー」
第176号(No.176) 2009/4/18「名作の中の左利き(1)『カラマーゾフの兄弟』」
・『左組通信』左利きphoto gallery〈HPG2〉左利きの本だなぁ「小説で読む左利き」


『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』▼左利きと音楽▼
第84号(No.84) 2007/6/2「<左利きQ&A>(8)左利きと音楽」
第89号(No.89) 2007/7/7「<左利きQ&A>(9)鍵盤ハーモニカ」
第97号(No.97) 2007/9/1「<左利きQ&A>(11)左利きに有利な楽器」

(*4)
2007.9.7左利き用バイオリン--お茶でっせ版新生活版

(*5)
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』▼カメラと左利き▼
第144号(No.144) 2008/8/2「<左利きQ&A>(21)カメラと左利き」
・『左組通信』世界初 左手用カメラ/京セラKYOCERA サムライSAMURAI Z2-L

(*6)
・『左組通信』左利きphoto gallery〈HPG3〉左手用(左利き/左きき用)はさみ・ハサミ・鋏 コレクション

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* 渡瀬けん/著『左利きの人々』中経の文庫(2008.12)「参考サイトその他」欄に掲載されました!(『レフティやすおの本屋』)
* 親野智可等・発行「親力で決まる子供の将来」No913 2007/12/26号で紹介されました! 
*『R25』2007.12.06(No.170)"ランキンレビュー"「右利きが左利きより多いのはなぜ?」で紹介されました! 
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2004.02.12

チャーリー・ブラウンの思いやり

「ピーナッツ」といえば、あのチャーリー・ブラウンとスヌーピー以下、こどもたちしか登場しないアメリカの今は亡きチャールズ・M・シュルツ氏の描く新聞連載マンガだ。このマンガに関する本、1993年新潮社刊、広淵升彦著『スヌーピーたちのアメリカ』のなかで興味を引いた部分がある。

地元のフットボール・チームが時間切れ寸前に逆転勝利をあげる。興奮したライナスがチャーリーに話すと、彼は「相手のチームはどう感じたかな?」と答える。
明らかに、ライナスのように勝ったチームのことを興奮して話すのが、「マジョリティー/多数派」。チャーリーのように負けたチームのことを思うのは、「マイノリティー/少数派」だ。

ここで著者は言う。
「チャーリー・ブラウンの敗者への思いやりは、…これこそ人間としての基本的なやさしさであり、いたわりの気持ちである。…屈折を味わったことのない人、弱者への想像力のない人は、ともに人生を語るに値しない相手ではないか。彼らは弱者への想像力が自分に欠けていることが、人間としての自分の重大な欠陥、時に致命的な欠陥だということに気づいてもいないのだ。」

今の世の中ではマイノリティーに属する「左利き」である私は、さまざまな場面で悲哀を味わわされることになる。しかし、このマイノリティーの悲哀を知っていることで、人よりも傲慢でなくなったり、少しは人の気持ちを考えてみようという気になったりする。通り一遍に考えるのではなく違う角度から物事を見ることができる、広い視野を持つ人間いなれた、と思っている。
十数年前から「左利き問題」に取り組んでいるが、世間一般ではまだまだ相手にしてもらえない。自らは「マジョリティーである」ということに安心してしまっている人がいる。マイノリティーというだけで、お荷物や邪魔者扱いする人がいる。
しかしこれからの世の中において、「マイノリティー」の問題は避けて通れない。あらゆる紛争の種がここにある。「マイノリティー」を一方的に封じ込めたり、蹴散らしたりできた時代は終わった。これからはいかに共存していくかが問われている。

ひとりでも多くのチャーリー・ブラウンが現れることを望んでならない。

スヌーピーたちのアメリカ (新潮文庫)
広淵 升彦

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