2025.06.21

週刊ヒッキイ第688号-『左組通信』復活計画[38]『LL』復刻(11)LL11 1996年秋号(後)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

 

第688号(Vol.21 no.11/No.688) 2025/6/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第688号(Vol.21 no.11/No.688) 2025/6/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」
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 今回も、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻の新規入力分で
「ネット初公開!」――で、これが『LL』最終号となります。

 この号は前号(LL10 1996(平成8)年 秋号)の発行から
 半年以上(3シーズン)あいており、
 「終刊号」と銘打っていますように、これが最後の一号となりました。
 
 ペラペラ一枚、見開き2ページで、いかにもな、
 「最後の一号」という出来になっていました。

 

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ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (11)
 
   (内容紹介)LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

 

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL11 概要

 

 LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号 A4 2ページ

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<新聞から――>What the newspaper says,...
 朝日新聞 1969(平成8)年9月12日 朝刊「生活」面
右ページ(見出し)危険・不便…あきらめず 「画一社会」を変える力に
左ページ(見出し)左利きにもっと愛を 世の便利は「しゃくの種」
 「個性…」増える専用品
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左利きの本だなぁ(9)夏目漱石『坊ちゃん』
――<坊ちゃん>は左利き!
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 LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号
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<新聞から――>What the newspaper says,...

 朝日新聞 1969(平成8)年9月12日 朝刊「生活」面
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 今回ご紹介するのは、すでに「旧聞」に属する記事ですが、
「朝日新聞」1969(平成8)年9月12日朝刊「生活」面に
掲載されたものです。
 “大新聞”が「左利き」について記事にするというので、大いに期待
したのですが、内容的にいうと、「左利き問題」が存在するという、
まずは無難な紹介に終わっており、もう一段突っ込んで、真剣に
「左利き問題」をうんぬんする、というレベルまでは達していない点が
残念でした。

 特に、昨今話題に上がることが多い、「バリアフリー」(障壁なき
社会)の観点からのアプローチが見られなかったのが、ものたりなく
感じられた。/「次回」に期待したい。

 実は、筆者もこの記事を書かれた大村美香記者から、電話で取材を
受けたのだが、もう少し派手に宣伝しておけばよかったかな、
と反省している。(やすお)

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 ――以下、見開き2ページにわたる新聞の記事をコピーしたものを、
 特にコメントも付けないで、そのまま掲載していました。

 今回は、一部原文を交えて内容の要約を紹介しておきましょう。

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 ●左側ページ【見出し】改札機 ビデオ 世の便利は「しゃくの種」

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[朝日新聞 1969(平成8)年9月12日 朝刊「生活」面]
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 まずは左側ページ、こちらがメインの記事に当たり、

【大見出し】<左利きにもっと愛を>

 の下に記事が展開されます。
 まず冒頭に、記者氏による前説が入ります。
 全文を紹介しましょう。

 

 《首都圏や京阪神で急速に普及してきた駅の自動改札機。
  すばやく多人数の人が通れる効率的な機械だが、
  左利きの人たちにはどうも使い勝手が悪い。
  「便利」や「楽しみ」をうたい文句に、新たに生活に入ってきた
  自販機やビデオカメラなども、左利きに冷たい。
  長年使われてきた道具類には専用のものが作られ始めたものの、
  人口の一割を占めるといわれる「少数派」の不便は
  簡単には解消しそうにない。(大村 美香)》

 

【見出し】改札機・ビデオ 世の便利は「しゃくの種」

 横に「自動改札機を通りぬける人々」の写真
 (ぐきっ!!=体をひねるときの擬音)が入っています。
 真ん中の一人が、左腕を身体の前にクロスするように出して、
 自分の向かって右側にある改札機の切符投入口に伸ばしています。

 記事は、自動改札機の不便についての証言と共に始まっています。

 ・・・

日本民間鉄道協会によりますと、
自動改札機は1990年代に急速に普及し始め、
1995年には千駅以上、53%に達している。
しかもそのすべてが、投入口が右側にあるものだといいます。

左利きの人の証言(1)
 《「大きな荷物がある時は、さらにバランスを崩しやすい。
  こんな不便を毎日味わっているんです」》

左利きの人の証言(2)
 《「左右両方に投入口をつけるとか、たくさん自動改札機があるなら、
  一台の投入口を左側にしてもらえれば、楽なのですが」》

という要望に関して――

 《「両方作ってしまうと利用者が混乱する」(名古屋鉄道)
  「設置台数は限られているので……」(小田急鉄道)。
  鉄道会社は消極的。
  「現在の機械が右利き専用というわけではないが、お客様は右利きが
   多数。左利きの方には慣れていただくしかない」(営団地下鉄)
  と左利きの努力を求める。》
 
次に家庭用ビデオカメラについて――
片手で持つタイプはほとんど右手用で、ソニーは国内で発売している
17種類はすべて右手で支えて操作する形。

 《「左利きの方に使いづらいのは承知しているが、慣れの問題。
  ボタンを押すだけだし、さほど支障はないのでは」と同社広報室。》
  
左手用の開発予定はない。

一方、日本ビクターが開発した新方式デジタルビデオカメラは、
テープが小さくなった利点を生かして、
縦長で両手で持つことができ、利き目も選ばない。
左利きばかりではなく、右手を失った人からも注文が来ている、という。

自動改札機も、多少の工夫が出てきた。
阪急電鉄は、左手でも入れやすいように、
投入口を左に5度傾けた機種をすべての駅に置いている。
(写真=ぼちぼち 阪急電鉄梅田駅)

東急電鉄でもこの形式を。
JR東日本も1995年3月から設置を始め、
今後は新規導入や機械の取り換え時に改善してゆく予定。

 

 

 ●左側ページ【見出し】はさみ・調理具「個性…」増える専用品

(写真=逆も真ナリ 岐阜県関市川嶋工業、左利き用調理用具シリーズ)

 《はさみや包丁など、左利きが不便を耐えて長く使ってきた道具に、
  専用品が多くなってきた。》

として、らせんが逆のコルク抜き、刃の向きが逆の缶切り、
といった調理用具を販売している、川嶋工業(岐阜県関市)を紹介。

バブル崩壊後、特徴のある製品が求められるようになったこと。
左用に向きを変えるだけなので、設計は難しくなかった。
市場が狭い分、採算は取りにくいが、価格は右と同じにしている。

遠藤民雄課長さん――「正直言って、売れ行きはよくない」
しかし、百貨店などには、個性がある商品として人気が高いという。

 《「最近は左利きを苦にしないし、右に直される人も少ないですから、
  これから育つ子供たちに使ってもらえるのでは……。
  将来への布石です」》

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東京中央区の刃物専門店「木屋」は、左利き用の刃物約50点を
取り扱っており、その数は徐々に増えつつあるという。

企画課・石田克由課長さん――
 《「左利きを隠さなくなって需要が増えたことと、
  不便だというお客様の声が大手小売店を通じて伝えられて、
  対応せざるを得なくなっている。最近は発売しなくてはならない
  という意識がメーカーに広がっているようです」》

 

 

 ●右側ページ【見出し】危険・不便…あきらめず

(写真=ナイスショップ 東京都内のゴルフショップの左利きコーナー)

 《左利きは古くて新しい問題だ。二年前、左利きの人にとっては、
  衝撃的な本が出た。》

スタンレー・コリン著『左利きは危険がいっぱい』を紹介している。

世の中のテクノロジーやデザインが右手に便利にできているので、
左利きの人は日常生活で、不快な思いをするだけでなく、
事故を起こしやすく、寿命を縮める原因になっている――
左利きには危険がいっぱいだ。

 

【見出し】「画一社会」を変える力に

工業デザイナー・秋岡芳夫さん――
 《「左利きのような少数派が冷遇されるのは今の工業製品の宿命」》

金型を起こす作る現在の製法は、
生産性は高いが画一的な製品しかできない。
それゆえ、少数派の人には対応しづらい、という。

 《「技術的に未熟なんです。多種類を生産できるような技術を
  開発する時代に来ているのですが」》

現状は、「あきらめ使いのあきらめ暮らし」と秋岡さん。

 《「出来の悪いものに自分を合わせて暮らすと生活が貧しくなる、
  ということです。不便なら、使う側も、文句を伝えた方がいい」》

 

東京都中野区立区立中野昭和小学校・草場純教諭さん――
麺類の給食配膳用に、左利き児童に特製のおたまを用意している。

右手ですくいやすいように、片側がフォーク状になっているおたまは、
左利きの児童には使いづらい。
そこで逆向きのおたまを注文して作ってもらった。

草場純教諭さん――
 《「文字の学習や習字など、児童が苦労し、親もどうしたらよいか
  迷っているケースが多い。教師が少しでも手助けする方法を知って
  いる方がいいのでは」》

おたまを作ったのも、使いやすい道具を児童に渡すべきだと考えたから。

 《「ただ、いずれ子供は社会へ出ていく。教育現場だけの努力でなく、
  社会全体が変わらないと」》

 

誰もが使いやすい商品やサービスについて、研究調査、普及活動をして
いる、メーカーの企画開発担当者やデザイナーが参加する
「E&Cプロジェクト」会長、工業デザイナー・鴨志田厚子さん――
 《「公共で使うもの、日用品だからこそ、左右を選ばない形がいい」》

自動改札機の場合、左右に投入口があれば、荷物を持っているときや、
杖をついているときなど、右利きの人でも使いやすくなる。

 《「左利きの人への配慮は、左利きの人のためばかりでなく、
  誰もが便利になることだと思います」》

 

 

 ●右ページ【見出し】人口の1割 なぞだらけ

 右ページの端一列は「左利き」についての専門家の科学的説明。

 ・・・

京都大学名誉教授(神経生理学)久保田競さん――
 《「利き手についてはまだ分からないことが多い」》

手を動かすとき、手と反対の側の脳が働く。
右手を動かすのは左脳、左手は右脳というように。
脳のどの領域が関連して手が動くのか、大まかな仕組みは分かっている。
しかし、脳の仕組みと利き手の関係については、まだ手つかずの状態。

左利きの人の割合は人口全体の一割程度。
 
 《日本人は直す習慣があるためか結果として少ないが、
  発現率は時代や民族で変わることはないと考えられている。》

両親が左利きの場合、その子供が左利きになる割合が高く、
片方の親が左利きの場合も平均よりは高いので、
左利きの原因は遺伝による、という説もある。

 《しかし、「左利きを決める遺伝子が発見されているわけではなく、
  類推の域を出ない」と久保田教授。左利きにはまだなぞが多い。》

 

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左利きの本だなぁ(9)夏目漱石『坊ちゃん』

――<坊ちゃん>は左利き!
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 千円札の肖像にもなっている明治時代の文豪・国民作家、夏目漱石の
代表作であり、また日本を代表する青春文学のひとつでもある
『坊っちゃん』。その主人公“坊っちゃん”が実は左利きだった、
ということはあまり知られていない。

 “坊っちゃん”の性格を紹介する冒頭のエピソードのなかに、
親戚からもらった西洋製のナイフで、「右手」の親指を切ってみせる
というのがある。
 右手にナイフを持って、右手を切ることはできないので、
ナイフは左手に持っていたと考えられる。
ゆえに彼は左利きだったのだ!

 何度も映画やテレビドラマになった作品だが、「左利き」の
“坊っちゃん”を演じた人はいなかったのではないでしょうか。

 だれでも一度は読んだことのある小説でありながら、
案外知られていない事実です。(やすお)

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*参照:
『坊っちゃん』夏目 漱石/著 新潮文庫 改版 2003/4/1
(Amazonで見る)

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(冒頭の“坊っちゃん”の無鉄砲ぶりを示す第二エピソード)

 親類のものから西洋製のナイフを貰って奇麗な刃を日に翳かざして、
友達に見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。
切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合った。
そんなら君の指を切ってみろと注文したから、
何だ指ぐらいこの通りだと右の手の親指の甲をはすに切り込んだ。
幸ナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、
今だに親指は手に付いている。然し創痕は死ぬまで消えぬ。

 

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」と題して、今回は全紹介です。

今回、改めてこの新聞記事を読み、色々と思うところがありました。
当時は、前号からかなり日を置いた最終号ということで、私自身、ちょっと疲れていたのか、旧聞ということで遠慮もあったのか、記事内容に関してのコメントを残していません。

今回のこの機会に少しだけ書いておこうかとも思いましたが、書けばどうも単なる愚痴になるような気もします。
遅れてきた意見はない方がいいのでしょう。

この終刊号発行まで約半年のブランクがありました。
当時私は、仕事が忙しくなり、ちょっと病気をしたこともあり、疲れてしまったのでしょう。

やりたいことと望みが大きかった反面、当時の自分には荷の重い仕事だったのかも知れません。
まあ、今でも荷の重い仕事をしているのかも知れませんけれど。

この左利きメルマガも長くやっている割りには、購読者も増えず、特に世間的にも話題にならず、何かしらオファーがなかったとは言いませんが。

まあ、自分が有名にはなりたくない、目立ちたくはない、という気持ちがあるので、どうしても突っ込んでいけないのですね。
まあ、それでもいいかと思っています。

ただ、後に続く人が出てきて欲しいということだけは、言っておきます。

第一土曜日発行分で左利き用の楽器のことを書いていますように、現実の問題としてやはり左利きは冷遇されています。
左利きゆえに楽器の演奏をあきらめた人も多いと思うのです。

左利きの問題は、まだまだ未解決の部分が大半です。
突き詰めて頑張ってくださる後継者がどんどん現われることを期待して止みません。

では。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2025.06.07

週刊ヒッキイ第687号-楽器における左利きの世界(32)松野迅さんから

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

 

第687号(Vol.21 no.10/No.687) 2025/6/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(32)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
ご意見から考える」

 

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  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
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第687号(Vol.21 no.10/No.687) 2025/6/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(32)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
ご意見から考える」
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 前回までは、左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
 左利きに関するサイト、エッセイ集の左利きに関する文章を紹介して
 きました。
 今回は、それらの文章をヒントにして、
 私なりに左利きにおける楽器の演奏について考えようと思います。

 

■1回目――まつのじんさんのサイトから

 「まつのじん」さんについて知る意味で、
 <まつのじんWebsite> 平和ねがいて 弦なりやまず
 http://mjin.m1001.coreserver.jp/
 「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日

241102-matunojin-1s

第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.11.02
週刊ヒッキイ第674号-告知-楽器における左利きの世界(26)まつのじん(1)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/11/post-9afc9f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c61c87eab970c035e076d6c9e5e0876d

 ●左利きのヴァイオリニスト「まつのじん」さんについて
 ●「左(手)利き」=「強度の左利き」
 ●「不便益」という考え方
 ●日本は漢字文化の影響で書き方が二通りある
 ●左利きの「矯正」(=右使いへの転換)行為について
 ●「ヴァイオリン弾きのゴーシュ」として

 

■2回目――まつのじん(松野迅)さんのエッセイ集から

『すみれの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅 未來社 1992/1/1
241207sumire-no-hankago

(Amazonで見る)

 「II マイ・プライベート・ライフ」<涙のひだりきき>

第676号(Vol.20 no.21/No.676) 2024/12/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(27)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(2)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.12.07
週刊ヒッキイ第676号-告知-楽器における左利きの世界(27)まつのじん(2)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/12/post-55f0a7.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3b193894c6d7a3499fa16569f8282e7a

 ●<左利き者の証言>――ヴァイオリニスト松野迅さんの場合
 ●子供時代から、僕は左利きだ
 ●『左利きの歴史』の記述
 ●左利きのままで育つ
 ●右利き社会と左利き用品について
 ●鏡文字の話、食事の話など
 ●左利きとヴァイオリン演奏について――音を出すのが右手
 ●左手の動きと右手の動き
 ●左利き特有の演奏上の苦労について
 ●余談――左利きの人への共感、等
 ●左利きのヴァイオリン演奏についての結論に満足、満足

 

■3回目――まつのじんのサイトの左利きページから

 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
(2019年8月13日)
http://mjin.m1001.coreserver.jp/ [ヒダリスト/]
%e3%83%92%e3%83%80%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/

2019813-matunojin-lefty

第679号(Vol.21 no.2/No.679) 2025/2/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(28)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(3)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.1
週刊ヒッキイ第679号-告知-楽器における左利きの世界(28)まつのじん(3)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-5db9f0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9d54a490b52746a60f5212b9afc3b88a

 ●「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
 ●「ひだりきき 異世界の民たち」
 ●「鏡の世界へ ようこそ」
 ●「左利き演奏者の おもい」=右利き社会に生きる左利き者の悩み
 ●「左利き演奏者の おもい」続き
 ●左利きは

 

■4回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第681号(Vol.21 no.4/No.681) 2025/3/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(29)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」
【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.3.1
週刊ヒッキイ第681号-告知-楽器における左利きの世界(29)まつのじん(4)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-4c221d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ec35e4d1f81a0ac9153e695fbaaef719

 ●「左利き用の楽器 あるの?」
 ●ヴァイオリンの構造
 ●Amazonの「左利き用ヴァイオリンセット」
 ●「左利きの個性 おしえます^^」【松脂編】
 ●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】右手と左手の動き
 ●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】脳の違い?

 

■5回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(30)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(5)」

【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.4.5
週刊ヒッキイ第683号-告知-楽器における左利きの世界(30)まつのじん(5)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/04/post-99dd44.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9c05f485df40b156b80fc269468ffb6e

 ●「演奏家の登場です」(1)左弾きヴァイオリニスト
 ●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト
 ●通常の「右用」鍵盤楽器について
 ●「左(手)利き用」の鍵盤楽器
 ●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い
 ●クリストファー・シードの左利き演奏の感想
 ●左利きの人は左利き用の道具を!

 

■6回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第685号(Vol.21 no.8/No.685) 2025/5/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(31)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(6)」

【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.5.3
週刊ヒッキイ第685号-楽器における左利きの世界(31)まつのじん(6)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/05/post-144cd2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/eeb3d80c9a6227df747486f64257adf9

 ●「LEFTY-INFO-BOX」
 ●「HOW TO PLAY for LEFTY VIOLINIST」冒頭解説
 ●突撃する弓
 ●ウォーミングアップ<左(手)利き編>
 ●自分の指なのに…
 ●右手は今どこにいるのだろう…
 ●いつも曲線を意識してみませんか。
 ●「【ひだり図書館】です」

 

 今回は、過去6回に渡ってご紹介しました、
 左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの
 ご意見から、色々と考えてみようという試みです。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きと楽器演奏について考える

  左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの
   ご意見から考える(1)うれしかった情報

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●まちがいじゃなかった私の「鍵盤楽器は右利き用」という意見

一番うれしかった?情報は、やはり現行のピアノが右利き用だ、
というご指摘でした。

*参照:
■5回目――まつのじんのサイトの左利きページから
・第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5

 ●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト
 ●通常の「右用」鍵盤楽器について
 ●「左(手)利き用」の鍵盤楽器
 ●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い
 ●クリストファー・シードの左利き演奏の感想

↑このへんのお話です。

 

<●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト> のくだりで、
この連載でもたびたび取り上げてきた、
左利き用ピアノを使って演奏される
クリストファー・シードChristopher Seedさんのお話が出てきます。

Lefthandpiano

まつのさんは、

 《私はこの動画に接した時、生まれて初めて、鍵盤楽器の演奏を
  緊張しないで観る&聴くことができました。楽しめました。それまで、
  なんらかのストレスを伴っていたことに気づかされました。》

と、書いておられます。

 《登場する楽器は、フォルテピアノです。
  現代のピアノ(ピアノフォルテ)の前身です。
  そして調律は現代社会でよく用いられている「平均律」ではなく、
  古典調律のようです。
  ロベルト・シューマン(1810-1856)作曲の「蝶々」作品2(1829-1831)
  が演奏されています。》

だそうです。

そして、<●通常の「右用」鍵盤楽器について> のなかで、

 《一般的にチェンバロ(ハープシコード)、オルガン、ピアノなどの
  鍵盤楽器は、左側の鍵盤から右側の鍵盤へと音程が順に高くなって
  ゆきます。》

 《右(手)利きの人にとっては、音楽・音程の高揚が
  右側へと拡がるので、そのように創られたと推察されます。》

 《人それぞれによって異なりますが、
  左(手)利き人間は、
  音楽・音程の高揚が利き手側=左側に向かう方が、
  自然に感じられます。》

と、まつのさんの言葉を紹介しています。

<●「左(手)利き用」の鍵盤楽器> では、

 《↓この動画で使用されている鍵盤楽器のキーボードは、
  音程の並び方向が真逆にできています。「左(手)利き用」です。》

 《下図の上は、私たちが日ごろ目にしているキーボードの並び順です。
  白鍵(前鍵)は、左側から右側へ〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・
  ド〕と並び、音程が上昇します。
  この動画で使用されているキーボードの白鍵(前鍵)は、
  下図の下のように、右側から左側へ
  〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド〕と配置されています。
  それに添って黒鍵(後鍵)の並び方も逆仕様となっています。
  左側に向かって音程が上昇します。》

と、この左弾き用のピアノの鍵盤の並び方が説明されています。

250405-2019813-matunojin-hidarikiki-14

この鍵盤の並び方は、私も以前に書いています。

左から右(⇒)の動きが右利き用であれば、
左利き用は右から左(←)への動きなのです。

音楽素人の私の考えであった、
(1)現行のピアノや鍵盤楽器が右利き用であること、
(2)左利きの人用の左弾きピアノの鍵盤の並び方の例
とが、
まつのさんの言うところのものと同じだったのが、うれしかったのです。

 

*参照:

【右用ピアノの鍵盤】

(音階が上がる)⇒⇒⇒
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(左)ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド(右)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(音階が下がる)←←←
   
(左腕を押す)⇒┃    ┃⇒(右腕を引く)
(左腕を引く)←┗(身体)┛←(右腕を押す)

 

第616号(No.616) 2022/4/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(2)演奏時の腕の移動方向」
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.4.2
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)楽器における左利きの世界(2)-週刊ヒッキイ第616号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/04/post-7b0072.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/90951982e3ad1c1498e325ea8915cd0f

 

 ●右利き用であることに無自覚な右利きの人たち

次の<●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い> で紹介しているのは、

 《演奏する手も入れ替わります。
  私たちが日ごろ目にしていますがる「右(手)利き用」鍵盤楽器では、
  (原則として)楽譜(大譜表)の上段〔高音域〕を右手、
  下段〔低音域〕を左手が演奏します。
  ところが「左(手)利き用」鍵盤楽器では、
  その逆手で演奏することになります。》

 《下図の中央ように、(原則として)上段〔高音域〕の音符を左手が
  担当し、下段〔低音域〕の音符を右手が演奏することになります。
  こうなりますと、
  【音程の方向性と楽譜の地図(ながれ)が一致しない】
  と感じられませんか? 
  楽器のつくりと同様、楽譜のしつらえも「右(手)利き脳」に即して
  発想され、そして発達・発展してきたことがわかります。》

このお言葉の通り、鍵盤の並べ方という楽器の製作の発想も、
演奏にまつわる楽譜の表記の発想もすべて、
「右利きの人のための、右利きの人用」になっているのです。

こういう発想が根底にあるにもかかわらず、
実際に演奏している人たち(要するに右利きの人)は、
その事実をどの程度意識しているのか、
という疑問が強く!強く!湧いてくるのです。

たぶんほとんどの人は、意識していないのでしょう。

そういう「右利き優先、右利き偏重」の利き手に関する実態に
無自覚な態度が、また腹が立つのです。

 

 ●私も強調したい部分

<●クリストファー・シードの左利き演奏の感想> では、
彼の演奏の動画に関して、

 《この動画をごらんになって、「右(手)利き」の方の中には
  ⚡️違和感を感じる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
  違和感を通り越して、気持ちが?不安定になる方がいらっしゃる
  かもしれません。あるいは、しばらく時を経てから
  不快感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

  私は、その心の衝動を充分に理解できます。
  なぜならその不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が
  日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならないからです。
  それは、生涯にわたり切り離せないものでしょう。》

と書いておられます。

後半の 《不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が
  日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならない》
の部分こそ、私も強調したい部分です。

 

 

 ●現実を知らしめる努力を!

結局、右利きの人たちは、
この現実の社会において多数派だというだけの理由で、
多大な恩恵を受けているのだという事実を、
しっかり受け止めて欲しいのです。

その事実に気付けば、少数派への配慮もおのずから生まれてくる、
はずです。

こういう現実社会における実態をもっと声高に発言して知ってもらう
という努力を、われわれは続けていかなければいけないのです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(32)左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんのご意見から考える」と題して、今回は全紹介です。

ピアノのような鍵盤楽器はみな右利き用だ、という事実をもっと多くの人に知っていただきたいものです。
「左利きは左利き用の道具を!」という時代に逆行しているという現実を、考え直していただきたいのです。

音楽は器楽演奏も含めて、幼児から親しむことが多いので、特に幼児向けの音楽教室では、当然のごとく右利き演奏を教えています。
しかし、先ほども言いましたように、「左利きは左利きのままで!」という時代にこれはやはり逆行している、というのが私の考えです。

幼児はまだ利き手が十分発達していないので、どちらでもいいじゃないか、と考える人もいるかもしれません。
しかしよく観察していれば、「強度の左利きの子」はすぐに分かります。
「中間的な子」の場合は、右使いでもいいじゃないか、となり得ますが、それ以外は絶対に左利き対応がふさわしいと考えます。

余談が長くなりました。
今日はこのへんで。

 

*注:
利き手には、“「右利き」と「左利き」の2種類がある”のではありません。
各人の利き手を調べる「利き手テスト」というものがあります。
最もよく知られたスタンダードな「エディンバラ(EDINBURGH)利き手テスト」、日本人向けに考えられた「H.N.きき手テスト」、比較的新しい「チャップマン(CHAPMAN)利き手テスト」、もっとも新しい「フランダース(FLANDERS)利き手テスト」などがあります。
それぞれの調査結果を右端に「強い右利き」、左端にその逆のほとんど動作で左手を使う「強い左利き」を置いたグラフに描きますと、それぞれに該当する人たちが「J」字型に分布するといいます。

右端に、ほとんどの動作で右手を使う「強い右利き」の人が最も多く(「J」字の長い部分に相当する)、左端に「強い左利き」の人がちいさな山(「J」字の左端のはねた部分に相当する)を作ります。
この間の「J」字の鍋底の部分に当たるのが、主に右手を使うが時に左手を使える「弱い右利き」からその逆の主に左利きだけれど右手も使える「弱い左利き」の人たちです。

この、「弱い右利き」や「弱い左利き」の人たちを「強い右利き」と「強い左利き」のあいだに存在するという意味で「中間の人(子)」と私は呼んでいます。
人は、それぞれに利き手の偏りの度合いが異なり、一言で「○○利き」と決め付けられるものではないということです。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2025.05.17

週刊ヒッキイ第686号-『左組通信』復活計画[37]『LL』復刻(10)LL10 1996年秋号(後)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

第686号(Vol.21 no.9/No.686) 2025/5/17
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)
LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第686号(Vol.21 no.9/No.686) 2025/5/17
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)
LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」
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 久しぶりに今回は、
 季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻です。

 今回も新規入力分で、
 すなわち「ネット初公開!」――ということになります。

 今回は、前回に引き続き、LL第10号の後半をお送りします。

 

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (10)
 
   (内容紹介)LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

 

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL10 概要

 

LL10 1996(平成8)年 秋号 A5版 8ページ

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前説 The Compliments of the FALL Issue
―特集“左利きを科学する”(1)
------------------------------------------------------------------
左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!
------------------------------------------------------------------
■その1■…………………………………………………………………………
 スタンレー・コリン著 石山鈴子訳『左利きは危険がいっぱい』
    ((c)1992) 文藝春秋 刊より

 

(1) 利き手調査――あなたの利き手を調べてみましょう。
(2) 利き足調査――あなたの利き足はどちらでしょうか。
(3) 利き目調査――あなたの利き目はどちらでしょうか。
(4) 利き耳調査――あなたの利き耳はどちらでしょうか。
------------------------------------------------------------------
■その2■…………………………………………………………………………
 前原勝矢著 『右利き・左利きの科学』((c)1989)
  講談社ブルーバックス 刊 より
側性係数(LQ)を用いて利き手の程度を数値で確認してみよう
------------------------------------------------------------------
左利きの本だなぁ その8 お勉強編
 前原勝矢著『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・
  利き耳…』講談社ブルーバックス (c)1989
―<あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用した本。
------------------------------------------------------------------
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その9 Left-handed tools & goods
いつもポケットにウェンガー WENGER
―ウェンガー・スイス・アーミーナイフ レフトハンダー・シリーズ
------------------------------------------------------------------
右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
Letters from the right/left side seats
―右側の席から/左利き用品メーカーより/左側の席から
------------------------------------------------------------------
左利きのテキスト本紹介
―全巻左利きに関するもの/左利きに関する章を含むもの
------------------------------------------------------------------

 

250419-ll10

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 LL10 1996(平成8)年 秋号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

(後半)5ページから8ページまで

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左利きの本だなぁ その8 お勉強編

 前原勝矢著『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・
  利き耳…』講談社ブルーバックス (c)1989

―<あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用した本。
------------------------------------------------------------------

 <あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用したのが、
この本。
 日本人の著者による、「左利き」について書かれた科学的な本の中で
いちばん手に入れやすく、わかりやすい本。

 私がおもしろいと思ったのは、人間の身体は一見左右対称形ではある
が、実は微妙に左右で異なっており、それぞれの役割分担が決められて
いて、その結果、人間が人間として他の動物たちと分かたれることになる
能力を得た、という考え。
 左右の役割分担が人間に言語と道具を作ることを可能にした、という。
そして、この左右の違いを生んだのは、ふたつに分かれた脳―左脳と右脳
―の存在であろう。

 気になるのは、矯正について、「右手利きは多数であり、社会は右手
利きを前提としているのが現状」だから、「さほどの努力を必要としない
程度のことであれば」、郷に入れば郷に従えの「柔軟な姿勢」で「使い手
を変えることは、悪いことでも、恐ろしいことでも」ない、と述べている
点。
 一見まっとうな意見だが、実は「長いものには巻かれろ」の強者の
論理。7年前の著作という時代背景の違いはあるものの、こういう考えの
持ち主が学者と呼ばれる人たちのあいだにも当時まだ存在していたという
状況は、まさに社会がさまざまな差別や偏見を容認していたという事実を
示している。
 前提がまちがっているのだ! 正しくは、右利き左利きにかかわらず
「だれでも…」、「どちらの手でも…」の考え方である。

*『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・利き耳…』
前原勝矢/著 講談社ブルーバック782 1989/6/1
250419-migikiki-hidarikiki-no-kagaku

(Amazonで見る)

 

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左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その9 Left-handed tools & goods

いつもポケットにウェンガー WENGER

―ウェンガー・スイス・アーミーナイフ レフトハンダー・シリーズ
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 私は数年前からこのシリーズのポケットナイフのひとつ<キャンパー・
レフト>を愛用している。特に便利なのがハサミ。小さいけれど切れ味
バツグンで、ちょっとしたときに非常に重宝している。

 ハイカー・レフト、キャンパー・レフト、トラベラー・レフト、
サイクリスト・レフトの4種類。左利き用となると割高になるのが普通
だが、右利き用と同一価格で提供されているのがうれしい。

(*注:以下に、ウェンガーのレフトハンダー・シリーズのカタログから
 写真と説明を転載している。)

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(画像:ウェンガーの日本での発売元だった日本シイベルヘグナーのSさんからいただいた資料を基に作成した、当時並行して出していた新聞『左組通信』第10号(平成8(1996)年5月)「ウェンガー/レフトハンダー・ポケット・ナイフ 紹介号」)

 

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右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
Letters from the right/left side seats

―右側の席から/左利き用品メーカーより/左側の席から
------------------------------------------------------------------

<左側の席から>⇒⇒⇒

【わたしたちはひとりではない】(やすお)

 この夏私の元に一枚の往復はがきが舞い込んだ。
「私は左利きで左利き用に作られた商品を探して各社色々と問い合わせて
いたところミズノKK(お客様商品相談センター)より、やすお様が
新聞を発行されておられるので一度連絡をされたらどうかと住所を教えて
いただきました。」
 と、同じ市内に在住のTさん。
 さっそくお会いして大いに盛り上がり、語り合いました。久々の快感!
溜飲が下がる思いでした。同志とめぐり合えた気分。幕末の志士たちも
きっとこんな気持ちでいたのでしょう!
 Tさんは、非常に熱心に左利き用品を探し、あるいは左利きの人に
とって不便に思われることに関して企業にアピールしてこられた方で、
いろいろと新しい情報を教えていただきました。大いに触発され、新たな
力が湧いてきました。やったるでェー!

 

<左利き用品メーカーより>⇒

▼川嶋工業株式会社・商品企画開発部・Oさん

 先のTさんから教えていただいた左利き調理用品 <サンクラフト>
“愛妻専科”シリーズ・左きき用11品目の製造販売元――

「当社は、家庭用の刃物を中心に、調理用品、卓上用品、製菓用品などを
企画からデザイン、開発、製造販売をさせていただいているメーカーで
ございます。」
「左利きの方々にとって、生活の中で、自分の片腕としてご使用頂ける
ものを提供させて頂けるよう、研究をしております。
 1、幼児専用のはさみは17年前に香川県の幼稚園の先生と一緒に研究
しできあがりましたものです。このとき幼稚園児の中には25%ぐらいの
左利きの子があったかとおもいます。そこで、左利きも同時に製品化し
使用して頂けるようになりました。この時点で価格も右も左も同じで
提供させてもらいました。現在も販売をさせて頂いております。
 2、その後、調理用品につきましても検討をしておりましてようやく
94年、製品化をいたしました。」
「まだまだ、研究を重ねなければ本当に満足していただける物には
なりません。左利きの皆さんにご使用頂きまして、これからもさらに良い
ものに、また新しい物をご提供させていただければと考えております。
左利きの方々が本当に必要とされているものはなにか、共に考え、具体的
に企画し商品開発できればと思います。」

● ていねいな手紙と“愛妻専科”のカタログ、この左利きシリーズを
 紹介した産経新聞の記事と百貨店の広告、そして幼児専用はさみ
 <ちょっきんな>のパンフレット、並びにその開発に当たった大学の
 研究報告の資料を送っていただきました。とても熱心に左利き用品に
 取り組んでおられる、会社の姿勢がうかがえて、たいへんうれしく
 思いました。ぜひとも、この熱意に水をささぬよう、広く左利きの人達
 に使っていただけるように、わが“LL”でも積極的に応援します。
 (やすお)

19968-hidarigumituusin-no11-aisaisenka

(画像1:川嶋工業株式会社・商品企画開発部・Oさんから頂いた資料を基に作成した、当時並行して出していた新聞『左組通信』第11号(平成8(1996)年8月)「サンクラフト愛妻専科 左きき調理用品 紹介号」)

19968-aisaisenka-siryou

(画像2:川嶋工業株式会社・商品企画開発部・Oさんから頂いた資料――産経新聞の記事と百貨店の広告)

 

←←←<右側の席から>

▼両手利きの――――<静岡県のNさん>

「『おっ、来たぞ』内心そんな呟きで、読んでいます。多忙な日々を
送っていると、“LL”のことも忘れがちになってしまうのですが、郵便
受けの中に見つけたりすると何やら心待ちにしていたような気がするので
不思議です。…現在私が一番関心のあるのは、左利きと右脳との関係です
が、もしこれに関する情報等お持ちでしたら、次次次…回でけっこうです
ので特集を組んでください。」

● 今回から、「左利き」について科学する、という特集を始めました。
 とこまで実態に迫れるかわかりませんが、いろんな本をテキストに
 「左利き」の謎にチャレンジしてみます。(やすお)

 

------------------------------------------------------------------
左利きのテキスト本紹介
―全巻左利きに関するもの/左利きに関する章を含むもの
------------------------------------------------------------------

 ここで、私が読んだ範囲で、これはという「左利き」のテキスト本を
紹介しましょう。

 

 ・・・「左利き」について知るための本・・・

◆全巻左利きに関するもの

・『左利きは危険がいっぱい』スタンレー・コレン著 文藝春秋
(原著1992 日本語版1994)刊――“LL”3号/左利きの本だなぁ 参照
・『右利き・左利きの科学』前原勝矢著 講談社ブルーバックス(1989)刊
――“LL”10号/左利きの本だなぁ 参照
・『左ききの人の本』斎藤茂太著 MG出版(1987)刊
 (文庫版)『左利きの人はなぜ才能があるのか』KKベストセラーズ/
 ワニ文庫――“LL”5号/左利きの本だなぁ 参照
・『かくれた左利きと右脳』坂野登著 青木書店(1982)刊

 

◆左利きに関する章を含むもの

・『新版 自然界における左と右』マーティン・ガードナー著
 紀伊國屋書店 刊
・『手と脳―脳の働きを高める手』久保田競著 紀伊國屋書店 刊
・『右脳革命』大前研一編訳/T・R・ブレークスリー 新潮文庫 刊
・『左の脳と右の脳』医学書院 刊

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」と題して、今回は全紹介です。

『LL(レフティーズ・ライフ)』第10号 1996(平成8)年 秋号 の(後半)部分です。

第10号にして、
「特集“左利きを科学する”(1)―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!」
と意気込んで始めたのですが、その後あれこれあって、日を置いた次号で紙の時代は終わってしまいます。

今思いますと、気負い込みすぎだったのかも知れません。
仕事がだんだん忙しくなり、一方で、こちらの仕事量も自分の能力を超えるような、難しいチャレンジを始めてしまい、過負荷になってしまったようです。

今みたいな、だましだましやるのが私の実力にあったやり方だったのかも知れません。

それでも、結果的にここまでこれたのだから、それはそれで良かったのでしょう。

済んだことを今になってにあれこれいってみても詮無いこと。
とにもかくにも、3年11号(LL1-1994(平成6)年 夏号 ~ LL11 1997(平成9)年 夏号終刊号)がんばったのですから。
その前のはがき大の“新聞”からですと、1991年からですので、6年以上。

まったくの素人が情熱だけでやり遂げたのですから、それなりに、褒めてあげたい気持ちです。
よう、やらはりましたなあ!

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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2025.05.15

私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!-楽しい読書388号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

 

2025(令和7)年5月15日号(vol.18 no.8/No.388)
「私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2025(令和7)年5月15日号(vol.18 no.8/No.388)
「私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!」
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 ここんところ、この「私の読書論」では、もっぱら<町の本屋論>を
 新聞や書籍の情報を紹介しながら、私なりの本屋論を語ってきました。

 今回は、そちらはいったんお休みして、私個人について書いておこう、
 と思います。

 実はこの4月はけっこう色々なことがありました。

 70歳を超えたぐらいの年齢になりますと、何かがあったと言えば、
 思い浮かぶのは、四苦八苦のうちの「病死」ということになりますが、
 まあ、それに似たもので、「別れ」ですね。
 いくつかの別れの時が来てしまったのです。

 で、その時に思ったことがありました。

 今回はそれについて書いて見よう、と思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 私の読書論196 -

  ~ <後世への最大遺物>としての紙の本を! ~

  内村鑑三『後世への最大遺物』を紹介しながら……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●「四苦八苦」

仏教では、人は生まれながらに八つの「苦」を背負っている、
と教えます。
人生において避けては通れない、人間の根源的な苦しみですね。

何かがうまく行かずに苦労するときに、「四苦八苦」する、
といった言い方をします。

この「四苦八苦」とは、仏教の言葉です。

「四苦」とは、生老病死。

生苦(しょうく):人は「生まれ」を選ぶことができません。
老苦(ろうく):日々年老いてゆくことを止められません。
病苦(びょうく):いつどんな病気にかかるかわかりません。
死苦(しく):人は必ず訪れる死をまぬがれることはできません。

さらに次の四つの句を合わせて、「八苦」といいます。

愛別離苦(あいべつりく):愛する人との別れの苦しみ
求不得苦(ぐふとくく):欲しいもの、求めるものを得られない苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく):嫌なことや嫌いな人と出会う苦しみ
五陰盛苦(ごおんじょうく):
 自分の体や心が思いのままにならない苦しみ

今回私はいくつかの別れ、失うことがありました。

人はそういう喪失感に陥るとき、色々と考えるものではないでしょうか。

 

 ●生きてきた証として遺すもの

人として生きてきた証をほしい、と強く思うようになりました。

以前からそういう思いはありました。
誰でもそうでしょう。
何かしら自分がこの世に生きてきた証を遺しておきたい、と思うことが。

 ・・・

内村鑑三さんの名著(だと思っている!)に
『後世への最大遺物』という講演録があります。

ご存知のように、内村鑑三さんは、クラーク博士の
「ボーイズ・ビー・アンビシャス」“Boys, be ambitious!”
で有名な札幌農学校の第二期生で、
『武士道』や昔の五千円札で有名な新渡戸稲造さんらと同級生です。

新渡戸さんがどちらかといいますと、表舞台で活躍したのに比べますと、
内村さんのほうは、少し裏道といいますか、
ちょっと日陰の存在のような印象があります。

不敬事件が影響しているせいもあるか、と思います。

内村さんの著作では、『代表的日本人』が有名です。
この本を、弊誌

*参照:
2009(平成21)年12月31号(No.29)-091231-
『代表的日本人』内村鑑三―I for Japan

で紹介する際に、評伝とともに、
『余は如何にして基督信徒となりし乎』と本書を読みました。
50代半ばぐらいでしたか。
それ以来、私の人生の一つの目標のようになっているのです。

『後世への最大遺物』は、青空文庫でも読めます。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000034/files/519_43561.html

これは、明治二十七年七月の夏季学校での講演録ということで、
非常に読みやすく、難しいところのない、短い作品です。

私の持っているのは、岩波文庫版の二本立ての
『後世への最大遺物 デンマルク国の話』という本です。

・『後世への最大遺物 デンマルク国の話』内村鑑三 岩波文庫 改版
(解説=鈴木範久) 2011/9/17

250515-kouseihenosaidaiibutu

(Amazonで見る)

 

 ●『後世への最大遺物』

前半が『後世への最大遺物』です。
その本の巻末の鈴木範久さんの「解説」に、
大まかな内容紹介の文章がありますので、それを引用しておきましょう。

《内村鑑三の話はくだけた調子で語られ、随所に笑い声も生じている。
 この美しい地球に生まれたからには
 何か記念となる物を遺して逝かなくてはならない。
 では、その仕事は何か。内村鑑三は、自分の過去の経験も織り交ぜて、
 金銭、事業、思想、文学、教育をあげる。
 しかし、いずれも一定の才能がなくてはできるものではない。
 では何の才能もないものにできるものとは何か。
 それは「勇ましい高尚なる生涯」であると結んでいる。》

内村鑑三さんはキリスト教徒ですので、
そういう宗教的な背景からのお話となっています。

しかし、そういう部分を抜きにしても、人と生まれて来た私たちが、
己の人生の記録として、後世のために何かしら遺しておきたい、
とすれば、何がふさわしいのか?
――という疑問は、どなたにもあるのではないか、と思います。

才能はなくても、運よくパートナーに恵まれ、
子を遺すことの出来た人は、それはそれで結構な人生だった、
と言えるのはないか、と私には思えます。

しかし、私のように、自分の力のなさから、
そのようなチャンスを得られなかった者にも、
何かしら遺せるものがあるとすれば――
それは、まさにこの内村鑑三さんの言葉にあるものぐらいではないか、
と思うのです。

 

 ●内村鑑三さんの結論――「真面目なる生涯を送った人」

「青空文庫」本文より――「勇ましい高尚なる生涯」

《それならば最大遺物とはなんであるか。
 私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、
 ソウしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、
 利益ばかりあって害のない遺物がある。
 それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。
 これが本当の遺物ではないかと思う。
 他の遺物は誰にも遺すことのできる遺物ではないと思います。
 しかして高尚なる勇ましい生涯とは何であるかというと、
 私がここで申すまでもなく、
 諸君もわれわれも前から承知している生涯であります。
 すなわちこの世の中は
 これはけっして悪魔が支配する世の中にあらずして、
 神が支配する世の中であるということを信ずることである。
 失望の世の中にあらずして、
 希望の世の中であることを信ずることである。
 この世の中は悲嘆の世の中でなくして、
 歓喜の世の中であるという考えをわれわれの生涯に実行して、
 その生涯を世の中への贈物としてこの世を去るということであります。
 その遺物は誰にも遺すことのできる遺物ではないかと思う。(略)》

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同――「己の信ずることを実行するものが真面目なる信者」

《(略)来年またふたたびどこかでお目にかかるときまでには少くとも
 幾何いくばくの遺物を貯えておきたい。この一年の後にわれわれが
 ふたたび会しますときには、われわれが何か遺しておって、
 今年は後世のためにこれだけの金を溜めたというのも結構、
 今年は後世のためにこれだけの事業をなしたというのも結構、
 また私の思想を雑誌の一論文に書いて遺したというのも結構、
 しかしそれよりもいっそう良いのは
 後世のために私は弱いものを助けてやった、
 後世のために私はこれだけの艱難に打ち勝ってみた、
 後世のために私はこれだけの品性を修練してみた、
 後世のために私はこれだけの義侠心を実行してみた、
 後世のために私はこれだけの情実に勝ってみた、
 という話を持ってふたたびここに集まりたいと考えます。
 この心掛けをもってわれわれが毎年毎日進みましたならば、
 われわれの生涯は決して五十年や六十年の生涯にはあらずして、
 実に水の辺ほとりに植えたる樹のようなもので、
 だんだんと芽を萌ふき枝を生じてゆくものであると思います。
 けっして竹に木を接つぎ、木に竹を接ぐような少しも成長しない
 価値のない生涯ではないと思います。
 こういう生涯を送らんことは実に私の最大希望でございまして、
 私の心を毎日慰め、かついろいろのことをなすに当って
 私を励ますことであります。(略)》

 

同――講演の最後の締めの言葉――「真面目なる生涯を送った人」

《われわれに後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人に
 これぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、
 アノ人はこの世の中に活きているあいだは
 真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを
 後世の人に遺したいと思います。》

Dsc08113-majimenarushougai

私自身、「真面目なる生涯を送った人」とまでは言われないまでも、
「真面目な、いい人だった」ぐらいの評判は遺したいなあ、
という気持ちです。
今までも、「真面目な人」とか「いい人」とかいわれてきましたけれど、
「ただ真面目なだけ(で、これといって才能も能力もない)」だったり、
「いい人(だけど、これといって魅力のない)」だったり……。

 

 ●ネット情報では……

このような、それなりの評判は遺せるかも知れないけれど、
できるならば、もう少し何かを遺したい、という気持ちがあります。

今、一部ではありますが、「左利き」に関してはそれなりの評価
(といいますか、それに近いもの)をいただいています。

自分でも「<左利きライフ研究家>30年超」と自称しています。

ネットでは左利きメルマガを680号超、21年続けています。
ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』での左利き関連記事の発信も、
2003.12.24から21年半近くになります。

『日本左利き協会』のサイトでもご紹介頂いています。

*参照:『日本左利き協会』サイト―左利き便利帳
レフティやすおさんのメルマガとブログ
https://lefthandedlife.net/leftyyasuo.html

2023lhaj-hidarikiki-benrichou

今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』もありました。

「左利き」に関しては、現時点では少しは知られた存在となっている、
ようです。

しかし、これらのネットの成果は、
現状ではいずれ消えてしまうものです。

現に、先ほども上げた、ホームページ『レフティやすおの左組通信』は、
消えてしまいました。
場を提供していた会社のサービス変更に伴い、
移行すれば残せたのですが、すでに更新を止めていたので、
消滅させることにしました。

別の形で復活させたいと思い、現在メルマガで一部紹介しています。

 

 ●私の「後世への最大遺物」

内村鑑三さんは、《この美しい地球に生まれたからには
 何か記念となる物を遺して逝かなくてはならない》(上記「解説」)
として、思想や文学、教育を上げています。

確かにこういうものも誰にでもできることではありません。

しかし、今のところ、「左利きの情報」に関しては、
さらに「左利きへの思い」に関しては、
私は私なりに、色々と集め、書いて来ました。
その情報は、十分遺すに足るものではないか、という自負もあります。

で、今私が考えているのは、やはりネットの情報は消えてしまうので、
なんとか紙の本、それも商業出版で遺したい、ということです。

商業出版の紙の本なら、少なくとも国立国会図書館には保存されます。

個人的に保存する人もいらっしゃるでしょう。
また、ある程度の部数が出れば、古本として残る率が高くなります。

自分の仕事が、そういう目に見える形で残せれば、それは結果的に
私の「後世への最大遺物」といえるでしょう。

 

 ●「左利きの本」を遺したい

今、過去に書き散らした文章をテーマ毎にまとめ始めています。
月に4本のメルマガ(左利きメルマガ2本と読書メルマガ2本)で
手一杯になってはいますが、閑をみて、原稿作りに励んでいます。

紙の本について、まったく努力していなかったわけではありませんが、
基本人任せでした。

実際に「左利きの本」といいますと、
なかなか出版社の人から相手にしてもらえない傾向にあります。

「左利き」関係の本でベストセラーになった本
というのも限られていますし、それらの多くは名のある人であったり、
社会的地位のある人だったり、です。

私のように、何の権威でもなく、過去に本を出した実績もなく、
有名でもない人の場合、非常にハードルが高い、と考えられます。

それでも熱意があれば、なんとかなるのではないか、
という気持ちでいます。

 ・・・

「左利きの問題」があるのだ、という事実をもっと広く世に知らせ、
後に続くであろう、左利きの子供たちのために、今の社会を
もう少し左利きの人にとって生きてゆきやすいものに変えていきたい、
という気持ちでいます。

そのために、「左利き」について語り、本に遺したいものです。

 ・・・

左利きの本について書きましたが、
弊誌に書き散らしてきた、私の読書論やオススメの本
(例えば、<クリスマス・ストーリーをあなたに>など)
についても書いてみたいものです。

実はこちらも一部ですが、一つのテーマで文章をまとめ始めています。

いつになるかわかりませんが、死を考える機会が多くなっている昨今、
早急になんとかしなければ、という気持ちにはなっています。
頑張りますので、応援よろしくお願いいたします!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!」と題して、今回も全文転載紹介です。

春という季節は、出会いと別れの季節とも言われます。
もう5月になってしまいましたが、この春は私にとってけっこう色々なことがありました。
別れもありました。
別に嫌いになったとか何かではなく、年齢的なもの、加齢に伴うものといってもいいでしょう。
仕方のないことです。
出会いがあれば、いつか別れが来るのは、人生の必然でもあります。

死すべき人間である限り、これはどうしようもないものなのですから。

まあ、そんなこんな色々ありまして考えてしまったのが、今回のテーマになっています。

生きてきた証として何か遺したい、これは人間として誰もが考えることだと思うのです。
特にもう終わりが近づいてきた人にとっては、重大なことといえましょう。

ま、そういうわけで、今回はこうなりました。

願いはかなえられるのでしょうか?
努力しだいですよね。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2025.05.03

週刊ヒッキイ第685号-楽器における左利きの世界(31)まつのじん(6)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

第685号(Vol.21 no.8/No.685) 2025/5/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(31)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(6)」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第685号(Vol.21 no.8/No.685) 2025/5/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(31)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(6)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
 左利きに関するサイト、エッセイ集の左利きに関する文章を紹介し、
 左利きにおける楽器の演奏について考えよう、という試みの6回目。

 

■1回目――まつのじんさんのサイトから

241102-matunojin-1s

 

 「まつのじん」さんについて知る意味で、
 <まつのじんWebsite> 平和ねがいて 弦なりやまず
 http://mjin.m1001.coreserver.jp/
 「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日

第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.11.02
週刊ヒッキイ第674号-告知-楽器における左利きの世界(26)まつのじん(1)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/11/post-9afc9f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c61c87eab970c035e076d6c9e5e0876d

 

■2回目――まつのじん(松野迅)さんのエッセイ集から

『すみれの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅 未來社 1992/1/1
241207sumire-no-hankago

(Amazonで見る)

 「II マイ・プライベート・ライフ」<涙のひだりきき>

第676号(Vol.20 no.21/No.676) 2024/12/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(27)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(2)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.12.07
週刊ヒッキイ第676号-告知-楽器における左利きの世界(27)まつのじん(2)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/12/post-55f0a7.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3b193894c6d7a3499fa16569f8282e7a

 

■3回目――まつのじんのサイトの左利きページから

 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
(2019年8月13日)
http://mjin.m1001.coreserver.jp/ [ヒダリスト/]
%e3%83%92%e3%83%80%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/

第679号(Vol.21 no.2/No.679) 2025/2/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(28)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(3)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.1
週刊ヒッキイ第679号-告知-楽器における左利きの世界(28)まつのじん(3)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-5db9f0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9d54a490b52746a60f5212b9afc3b88a

 

■4回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第681号(Vol.21 no.4/No.681) 2025/3/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(29)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」
【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.3.1
週刊ヒッキイ第681号-告知-楽器における左利きの世界(29)まつのじん(4)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-4c221d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ec35e4d1f81a0ac9153e695fbaaef719

 

■5回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(30)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(5)」

【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.4.5
週刊ヒッキイ第683号-告知-楽器における左利きの世界(30)まつのじん(5)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/04/post-99dd44.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9c05f485df40b156b80fc269468ffb6e

 

 さて第6回目は、前回同様、まつのさんの左利きサイト
 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
 (2019年8月13日)
 から、その後半に当たる部分を分けたその3回目を紹介します。

 以前も書いていると思いますが、私は音楽のまったくの素人ですので、
 色々とトンチンカンなことを書いている場合もあるかと思いますが、
 その辺は、想像力を働かせて、お読みください。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きと楽器演奏について考える

   左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さん(6)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●「LEFTY-INFO-BOX」

「LEFTY-INFO-BOX」の段落では、アメリカのカレッジにおける
「左利き学生向けの奨学金」について紹介されています。

 《学校や医療機関に自己負担を伴わない、
  欧米の発想が生きています。》

アメリカの大学では、左利きの人向けのテーブル付折りたたみ椅子が、
人数の10%分置くのが決められている、と聞いたことがあります。

トランプ大統領になって、逆平等になっているといった理由からか、
様々な多様性への対応が取り消されているようですが、
左利きへの配慮はどうなっているのでしょうか。
ちょっと気になるところです。

 

 

 ●「HOW TO PLAY for LEFTY VIOLINIST」冒頭解説

250503matunojinhow-to-play-for-lefty-vio

 

次のメインの段落「HOW TO PLAY for LEFTY VIOLINIST」では、
まつのさん自身の演奏に関する解説で、読み方として【じっくりコース】
【斜め読みコース】【飛ばし読みコース】の三通り提案されています。

「左(手)利き演奏家 アルアル」の専門家向け解説、
というところでしょうか。

 《〈左(手)利き 弓弦楽器奏者の アルアル〉コーナーで、
  さまざまな「個性」を紹介しました。左(手)利きの方でも、
  当てはまる項目とそうでない項目があるでしょう。また
  右(手)利きの方で、当てはまる項目に遭遇することもあるでしょう。
  〈アルアル〉で取り上げた現象はわかりやすい例のみで、
  各々のケースが複合的に結合した時には、思いもよらない現象と
  対峙することもあります。
  そのような場合は、絡み合った毛糸をほぐすように、
  エクササイズを用いて「原因探求」をしてゆきます。
  自身に対してもそうです。根気と直感力のいる作業です。》

といいます。

 

左利きの人が、右利き・右手用のハサミを左手で使う場合を
想定してみるとわかりやすいかも知れません。

ふつうのハサミは、「右手用ハサミ」と呼ぶように、
「右手で使うことを想定した作り」になっています。

「右手用ハサミ」は、右手に持ったときの力の入れ方が、
二枚の刃をかみ合わせる方向に働きます。

それを左手で持つと、逆に刃を離す方向に働くことになり、
切ろうとする対象をはさむだけになります。

また、ふつうに構えますと、上の刃が左側にあるので、
切るところを直接見ることが出来ません。

ちょっと横から首を傾げてのぞき見るようにしなければなりません。
あるいは、最初の個所だけ切るところにあてがい、
あとは勘で切っていくことになります。

このように、左手で右手用を使うには、
それなりの工夫が必要になります。

ヴァイオリンの演奏もそれと同じことなのだろうと思います。
独特のやり方をマスターする必要がある、ということです。

*注:
昨今のハサミは二枚の刃のかみ合わせがしっかりしているので、
昔のガタガタのハサミとは違い、
逆の手で持って使ってもある程度は切れるようになっています。
ただし、切る位置を自然な角度で見ることができません。

 

 ●突撃する弓

 《右(手)利きの方にとっては、どうして雑音が発生したり、
  演奏途中に右手の持つ位置が変わったりするのだろう…
  と思われるでしょう。
  私たちは、
  「着地点がわからないままジャンプしてしまったような感覚」
  で弦の上に弓が当たります。(略)想定外の「接触音」に、
  コントロールできない自身が驚いているのです。》

また、弓は「右(手)利きの(西洋)人」にちょうどよい長さになっている、
といいます。

 《左(手)利きにとっては、現実の弓の長さの倍くらいの長さを
  操っているような感覚に近いように思います。
  演奏中に弓の先を認識しようとして、弓の持つ手が真ん中方向に
  移動するのは、この長さの認識が先まで至っていないことが
  影響していると思われます。》

日本人向きになっていないだけでなく、左利きを想定していないので、
微妙な違いが出るのかも知れません。

以前、左利きの人の利き手と軸足の関係に基づいて
「ヴァイオリンの演奏と軸足の関係」について書きました。

第669号(Vol.20 no.14/No.669) 2024/8/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)」

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.8.3
楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)-週刊ヒッキイ第669号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/08/post-531140.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/46057327d09383dd6cd5a1447ab5da30

--
左利きの人では通常、多くの人が右足が軸足となり、体重を支えます。

このとき、右手に弓を持ち大きく動かそうとしますと、
重心の位置がぶれ、その身体を支えるのは非常に不安定になります。

弓を右に大きく弾こうと腕を大きく引くと、身体も同じように振れます。
逆に弓を左に押していけば、右足の重心も左に傾き、
左手に持つヴァイオリン本体も不安定になります。

身体が不安定ですと、安定した演奏も難しいでしょう。
--
 <●ヴァイオリンの演奏と軸足の関係>より引用

 

左手利きの人は、たいてい左足利きで、
体重を支える支持足(軸足)は右足になる傾向があります。

身体の右側に重心を置いているのです。
そのため、右手・右腕を大きく動かすと重心がぶれ、不安定になります。
逆に左手側は、自由に動かすことが可能になります。

右手利きの人は、左手利きの人とは逆で、
左足が体重を支える支持足(軸足)で、重心は左側になります。
そのため右手・右腕を大きく動かしても、重心はぶれにくいのです。

左手利きの右弾き演奏家の場合、支持足(軸足)の関係で、
右手に持つ弓を大きく動かすのに不向きになっている、と考えられます。

無意識につい右足に重心を置いてしまい、いざ演奏というときに、
右手に持つ弓の動きが不自然になってしまう……。

弓の動きに関しては、
こういうことも影響しているのではないでしょうか。

 

 ●ウォーミングアップ<左(手)利き編>

 《「左(手)利きの人が右手に弓を持つ場合、右(手)利きの人には
  必要ない(と思われる)ウォーミングアップが必須✌️でしょう。
  しかも、段階的に慣らしてゆくウォーミングアップです。
  日常的に意思疎通のできていない「非利き手」に、
  意思伝達を促してゆきます。ここに時間と知恵を用いましょう。》

《日常的に意思疎通のできていない「非利き手」》
という表現がありますが、
これは、
「利き手は心につながっている」という私の持論に同じでしょう。

以下の部分は、専門的になりますので、割愛します。

「ウォーミングアップ」の4番目に、<左(手)利き編>があります。

 《最終的に弓と弦が接触する瞬間が「勝負どころ」です。
  その接触する直前に、左手に構えた楽器を弓の方向へ接近させます。
  弓がバウンドする前に、左の動きで弓を「とらえる」のです。》

と、左手側から動け、という左手側は単に「受ける」のではなく、
積極的に動け、ということのようです。

先ほどの、支持足と重心の関係で、左手利きは左手側が動かしやすい、
と書いたのと同じ発想でしょう。

 《うまくゆくと、音の出発点から〈左(手)利きコントロール〉の
  「見せ場」&「聴かせどころ」となるでしょう。》

と。

 

 ●自分の指なのに…

 《そうですね。右手の指を動かして弓を操るのは、
  なかなか思い通りにはゆきません。右(手)利きの人たちにとっても、
  指の動作になるとすべての人ができるとは限りません。》

 《あきらめてはなりません。利き手は違っても、
  同じ形状の指があるのですから、半歩ずつでも乗り越えましょう。》

この辺は、利き手の違いによる困難さ、というところでしょう。

「指の自主独立…」「中指と薬指の分離」
この辺のところは流し読む感じです。

 

 ●右手は今どこにいるのだろう…

目を閉じて、両手の指先をそれぞれ近づけてみると――

 《どちらかというと利き手の指先の意識が高く、非利き手の指先を
  そこに近づけてゆくスタイルが多いのではないでしょうか。
  非利き手が空間をさまようことがよくあります。》

それぞれの指の感覚を研ぎ澄まそうというところでしょう。
眼で見て確認するようでは演奏してられませんから。

パソコンのキーボードのタイピングなどと同じですね。

 

 ●いつも曲線を意識してみませんか。

 《利き手に限らず、多くの演奏者の弓の角度が直線的です。》

というのですが、音楽の演奏はもっと自由で、

 《弓の角度は、(略)常に曲線を描くことが可能です。
  その曲線の動きが次に移動する弦へのアプローチとなり、
  音色づくりに結びつきます。音楽的な表現は、弓が放物線のように
  動く姿と切り結んでゆきます。》

で、このとき有効なのが、〈左(手)利きコントロール〉だといいます。

 《楽器の角度に変化を持たせて、弓の角度をサポートすることです。
  弓の右手の角度と、左手で持つ楽器の角度の両方を(反対方向に
  曲面で)動かしてあげると、最小限の角度で収まります。
  その左手側の動作の自由を保障するためには、ヴァイオリンや
  ヴィオラの「肩当て」は動きが制限することがあります。》

左(手)利きだからこそできる、左手でリードする演奏、
とでもいうのでしょうか。
先ほども言いましたように、支持足(軸足)の関係で左利きの場合、
右手の動きは制限されかねませんが、
逆に、左手側の自由度は高くなります。

そこに、
左利き右弾き演奏家特有の円満な演奏の鍵があるかも知れません。

 《自然界に、直線は存在しません。曲線や曲面から成り立っています。
  「曲」を意識することは、自然と融合することです。
  そして日本語の「曲」は音楽を示します。》

なるほど、左利き右弾き演奏家の活路がそこにある、
という、自信の発露のような締めの言葉でしょう。

 

 ●「【ひだり図書館】です」

末尾に「【ひだり図書館】です」というコーナーがあります。
「脳科学」や「左利き」や「左右」に関連する図書のリストです。

《「おすすめ」や「おきにいり」ではございません。》とあるように、
特にこれを読んで欲しい、というまつのさんのオススメ本のリストでも、
左利き演奏に関連する書目でもありません。
あくまでも、「左利き」を理解する上で役に立ちそうな本のリストで、
1964年から2019年までの65点が紹介されています。

私のお気に入りやオススメの本は、
今までにもいろんな機会に書いていますので、そちらをご参考に!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(31)左利きのヴァイオリニストまつのじん(6)」と題して、今回は全紹介です。

この「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」のサイトは、左手利き右弾きヴァイオリン演奏家のまつのじんさんの左利きへの思いの強さ・熱さが伝わってくるような内容でした。

音楽のこと、ヴァイオリンのことはまったくわかりませんが、左利きの動作としては、何かしら理解できるような気がしました。
後に続くであろう左利きの演奏家にとって、右弾きであろうと左弾きに挑戦する人であろうと、おおいに役に立つものだろうと思います。

さらなる続編が生まれることを楽しみにしています。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2025.04.19

週刊ヒッキイ第684号-告知-『左組通信』復活計画[36]『LL』復刻(9)LL10 1996年秋号(前)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!) 
【最新号の告知】

第684号(Vol.21 no.7/No.684) 2025/4/19
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(9)
LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第684号(Vol.21 no.7/No.684) 2025/4/19
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(9)
LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)」
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 久しぶりに今回は、
 季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻です。

 今回も新規入力分で、
 すなわち「ネット初公開!」――ということになります。

 ここまで8ページ一挙公開してきましたが、
 今回はスペース的にむずかしく、前・後半二回に分けてお送りします。

 

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (9)
 
   (内容紹介)LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL10 概要

LL10 1996(平成8)年 秋号 A5版 8ページ

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前説 The Compliments of the FALL Issue
―特集“左利きを科学する”(1)
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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!
------------------------------------------------------------------
■その1■…………………………………………………………………………
 スタンレー・コリン著 石山鈴子訳『左利きは危険がいっぱい』
    ((c)1992) 文藝春秋 刊より

(1) 利き手調査――あなたの利き手を調べてみましょう。
(2) 利き足調査――あなたの利き足はどちらでしょうか。
(3) 利き目調査――あなたの利き目はどちらでしょうか。
(4) 利き耳調査――あなたの利き耳はどちらでしょうか。
------------------------------------------------------------------
■その2■…………………………………………………………………………
 前原勝矢著 『右利き・左利きの科学』((c)1989)
  講談社ブルーバックス 刊 より
側性係数(LQ)を用いて利き手の程度を数値で確認してみよう
------------------------------------------------------------------
左利きの本だなぁ その8 お勉強編
 前原勝矢著『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・
  利き耳…』講談社ブルーバックス (c)1989
―<あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用した本。
------------------------------------------------------------------
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その9 Left-handed tools & goods
いつもポケットにウェンガー WENGER
―ウェンガー・スイス・アーミーナイフ レフトハンダー・シリーズ
------------------------------------------------------------------
右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
Letters from the right/left side seats
―右側の席から/左利き用品メーカーより/左側の席から
------------------------------------------------------------------
左利きのテキスト本紹介
―全巻左利きに関するもの/左利きに関する章を含むもの
------------------------------------------------------------------

250419-ll10

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 LL10 1996(平成8)年 秋号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

------------------------------------------------------------------
前説 The Compliments of the FALL Issue

―特集“左利きを科学する”(1)
------------------------------------------------------------------
 左利きに関するいちばんの疑問は、
「なぜ人間には右利きと左利きがあるのか?」ということでしょう。
それは「利き手はいかにしてつくられるのか?」と言い換えることも
できるかもしれません。
 人が左利きになる理由・原因とはなにか?
 今回からしばらくこの問題に挑戦してみましょう!

 第一回は、アンケート編です。
「左利き」についてより深く知るために、まずあなたの利き手を調べて
みましょう。
科学啓蒙書から、利き手調査のための質問をひろってみました。

 本題に入る前に、ちょっとした質問をします。

(『左利きは危険がいっぱい』スタンレー・コリン著 石山鈴子訳
 文藝春秋 より)

250419-kiken-ga-ippai-h

 

 次の○○○に「左利き」という言葉を当てはめたときに、Bさんの
いわんとする意味をどう解釈しますか?

 Aさん「どんな具合でしたか?」
 Bさん「彼の振るまいは、まるで○○○のようでしたよ」

 これは、あなたの「左利き」に対するイメージに関する調査――
ハンディズム(利き手差別)について――でした。
 例えば、「天才」とか「英雄」という言葉を当てはめると、万事うまく
行ったことになる。逆に、「大バカ者」とか「まぬけ」といった言葉を
入れると、ことがはかばかしくなかったことになる。
 調査によると、「不器用だ」「まぬけだ」とか「場違いだ」「無礼だ」
など、91%の人がマイナスのイメージに解釈したという。
 意識する、しないに関わらず、「左利き」に対して否定的な固定的観念
を持っている人が大部分なのだそうです。そして、残りの人はたぶん
左利きの人なのでしょう。
 さて、あなたの場合はどうでしたか?

――From the Publisher やすお

 

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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World

―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!
------------------------------------------------------------------

■その1■…………………………………………………………………………
 スタンレー・コリン著 石山鈴子訳『左利きは危険がいっぱい』
 ((c)1992) 文藝春秋 1994 刊より

250419-kiken 

(Amazonで見る)

………………………………………………………………………………………

 

 あなたの左利き度を、利き手・利き足・利き目・利き耳について
それぞれ調べてみましょう。

(1) 利き手調査――あなたの利き手を調べてみましょう。

 下記の質問に答えてください。それぞれの動作にどちらの手を使うか、
 もっとも良く当てはまるもの――「右」「左」「両方」――に○を
 付けてください。
 自信がないときは実際にやってみて、どちらの手を使っているか
 確かめてください。

1 普段、字を書くとき―――――――――――― 右 左 両方
2 絵を描くとき――――――――――――――― 右 左 両方
3 ボールを投げたり、的に当てたりするとき―― 右 左 両方
4 テニスなどでラケットを握るとき―――――― 右 左 両方
5 歯ブラシを持つとき―――――――――――― 右 左 両方
6 ナイフでものを切るとき―――――――――― 右 左 両方
7 釘を打つとき、ハンマーを持つのは――――― 右 左 両方
8 マッチをするとき、マッチを持つのは―――― 右 左 両方
9 消しゴムで消すとき―――――――――――― 右 左 両方
10 トランプなど、カードを配るとき――――― 右 左 両方
11 針に糸を通すとき、糸を持つのは――――― 右 左 両方
12 ハエたたきを持つのは―――――――――― 右 左 両方

 それぞれの答えのうち、「右」の答えに3、「両方」の答えには2を
掛け、その数に「左」の数を足したものが、あなたの得点です。

「右」 ×3=〔 〕
「両方」×2=〔 〕
「左」   =〔 〕
――――――――――
あなたの得点 〔 〕

得点33~36: 強度の右手利き
  29~32:中程度の右手利き
  25~28: 軽度の右手利き
     24:    両手利き
  20~23: 軽度の左手利き
  16~19:中程度の左手利き
  12~15: 強度の左手利き

 

(2) 利き足調査――あなたの利き足はどちらでしょうか。
 利き手の場合と同じ要領で行ってください。

1 ボールを蹴ったり、的に当てたりするとき――― 右 左 両方
2 足の爪先で小石を拾い上げたいと思ったとき―― 右 左 両方
3 虫を踏みつぶすとき―――――――――――― 右 左 両方
4 椅子の上に足をのせなければならないとき、
  どちらから先にのせますか―――――――――― 右 左 両方

 

(3) 利き目調査――あなたの利き目はどちらでしょうか。
 利き手の場合と同じ要領で行ってください。

1 望遠鏡をのぞくとき―――――――― 右 左 両方
2 瓶の中をのぞくとき―――――――― 右 左 両方
3 鍵穴からのぞくとき―――――――― 右 左 両方
4 ライフルの照準を合わせるとき――― 右 左 両方

 

(4) 利き耳調査――あなたの利き耳はどちらでしょうか。
 利き手の場合と同じ要領で行ってください。

1 締め切ったドアの向こうに会話を聞くとき、
  どちらの耳をドアにあてますか――――― 右 左 両方
2 ラジオのイアホンは―――――――――― 右 左 両方
3 人の心臓の鼓動を聞くとき――――――― 右 左 両方
4 時計のコチコチという音を聞くとき――― 右 左 両方

 

(2)(3)(4)それぞれの利き側の得点

11~12: 強度の右側利き
 9~10:混合型の右側利き
    8:    両側利き
  6~7:混合型の左側利き
  4~5: 強度の左側利き

調査によると、

 強度の右手利きは、72%
 強度の左手利きは、 5%
 両手もしくは混合型は、22%
 
それにひきかえ、利き足では、

 強度の右足利きは、46%
 強度の左足利きは、 4%
 混合型は、    50%

利き目でも、

 強度の右目利きは、54%
 強度の左目利きは、 5%
 混合型は、    41%

にものぼるという。

利き耳は、もっと希薄で、

 強度の右耳利きは、35%
 強度の左目利きは、 5%
 混合型は、    60%

と、右耳利きはわずか35%で、大半は混合型を示すという。

さて、あなたの場合は? 

 

■その2■…………………………………………………………………………
 前原勝矢著 『右利き・左利きの科学』((c)1989)
  講談社ブルーバックス 刊 より

250419-migikiki-hidarikiki-no-kagaku

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………………………………………………………………………………………

 利き手は、右または左と二分されるものではなく、右に近い両手利きや
左に近い両手利きなど、様々な程度の両手利きが存在する。
 側性係数(LQ)を用いて、利き手の程度を数値で確認してみよう。

1 文字を書く―――――― 右手 左手 両手
2 ハシをつかう――――― 右手 左手 両手
3 絵をかく――――――― 右手 左手 両手
4 ハサミをつかう―――― 右手 左手 両手
5 ボールを投げる―――― 右手 左手 両手
6 歯ブラシをつかう――― 右手 左手 両手
7 スプーンをつかう――― 右手 左手 両手
8 短いホーキを持つ――― 右手 左手 両手
9 マッチをする――――― 右手 左手 両手
10 ビンのフタをひねる― 右手 左手 両手

〔計算式〕LQ=100×(右-左)÷(右+左+両手)

すべての動作を右手で行う人は、LQ=プラス100。
逆にすべての動作を左手で使う人は、マイナス100。
右手利きから左手利きまで20段階に評価することができる。
結果は以下のとおり。あなたはどうでしたか?

(*注:以下に『右利き・左利きの科学』から写した、
    手書きのグラフを図示。今回は数値で表現してみました。)

250419-1415kikite

【14~15歳の男性の利き手分布】

100~91 :50%弱 ―――――↑右手利き傾向
 90~81 :20%弱 
 80~71 :15%ぐらい
 70~61 :7~8%ぐらい
 60~51 :5%ぐらい
 50~41 :3%ぐらい
 40~31 :2~3%
 20~11 :2%ぐらい
  0~-9 :2%ぐらい
-20~-29:1~2%
-40~-49:2~3%
-60~-69:2~3%
-80~-89:3%ぐらい
-90~-100:5%ぐらい ―――↓左手利き傾向

LQの値が高い(プラス)ほど、右手利き傾向が強く、
低い(マイナス)ほど、左手利き傾向が強い。

 

250419-migihidari-dousa

【動作の難易度による右手利き頻度の違い】

 びんのふた:80%弱
ほうきをもつ:87~88%
  歯ブラシ:90%弱
 さじをもつ:92%ぐらい
 ボール投げ:93%ぐらい
   マッチ:94%ぐらい
    ハシ:95%ぐらい
   ハサミ:96%ぐらい
    絵画:97%ぐらい
    書字:98%ぐらい

難しい動作ほど利き手がハッキリする。

 ・・・

以上、ここまでで前半4ページ分が終了です。

紙版の誌面では、余白を利用して、うまく詰めて紹介していました。
こちらでは、その辺がむずかしく、長くなってしまいました。

次回、後半の5~8ページ分を紹介します。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(9)LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)」と題して、今回は全紹介です。

紙版の復刻版の10号まで来ましたが、いよいよゴール間近となりました。

このあと、本格的に活動が進むのかと思っていたのですが、仕事が忙しくなったり、ちょっとした病気になったり、で頓挫してしまいます。
やはり無理は良くないということだったのですね。
背伸びしていたようです。
何事もほどほどにしておくべきでした。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

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2025.04.05

週刊ヒッキイ第683号-楽器における左利きの世界(30)まつのじん(5)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(30)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(5)」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(30)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(5)」
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 左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
 左利きに関するサイト、エッセイ集の左利きに関する文章を紹介し、
 左利きにおける楽器の演奏について考えよう、という試みの5回目。

 

■1回目――まつのじんさんのサイトから

 「まつのじん」さんについて知る意味で、
 <まつのじんWebsite> 平和ねがいて 弦なりやまず
 http://mjin.m1001.coreserver.jp/
 「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日

第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.11.02
週刊ヒッキイ第674号-告知-楽器における左利きの世界(26)まつのじん(1)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/11/post-9afc9f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c61c87eab970c035e076d6c9e5e0876d

 

■2回目――まつのじん(松野迅)さんのエッセイ集から

『すみれの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅 未來社 1992/1/1

241207sumire-no-hankago

(Amazonで見る)

 「II マイ・プライベート・ライフ」<涙のひだりきき>

241207sumire-no-hankagohidarikiki

241207sumire-no-hankagov

第676号(Vol.20 no.21/No.676) 2024/12/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(27)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(2)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.12.07
週刊ヒッキイ第676号-告知-楽器における左利きの世界(27)まつのじん(2)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/12/post-55f0a7.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3b193894c6d7a3499fa16569f8282e7a

 

■3回目――まつのじんのサイトの左利きページから

 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
(2019年8月13日)
http://mjin.m1001.coreserver.jp/ [ヒダリスト/]
%e3%83%92%e3%83%80%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/

第679号(Vol.21 no.2/No.679) 2025/2/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(28)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(3)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.1
週刊ヒッキイ第679号-告知-楽器における左利きの世界(28)まつのじん(3)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-5db9f0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9d54a490b52746a60f5212b9afc3b88a

 

■4回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第681号(Vol.21 no.4/No.681) 2025/3/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(29)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」
【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.3.1
週刊ヒッキイ第681号-告知-楽器における左利きの世界(29)まつのじん(4)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-4c221d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ec35e4d1f81a0ac9153e695fbaaef719

 

 さて第5回目は、前回同様、まつのさんの左利きサイト
 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
 (2019年8月13日)
 から、その後半に当たる部分の2回目を紹介します。
 意外に長くなってしまい、次回3回目をお送りします。

 以前も書いていると思いますが、私は音楽のまったくの素人ですので、
 色々とトンチンカンなことを書いている場合もあるかと思いますが、
 その辺は、想像力を働かせて、お読みください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆
 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}
- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きと楽器演奏について考える

   左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さん(5)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●「演奏家の登場です」(1)左弾きヴァイオリニスト

「左利き左弾き」の二人の演奏家の動画2本による紹介です。

まず一人目は、ヴァイオリニストから。

なんと、(ふつうの)右利き用を「左弾き」する(!)
ヴァイオリン演奏家が紹介されています!

 

ヴァイオリニストのカトリーナ・ニコライエフKatrina Nicolayeffさん

 《彼女は左手に弓を持ち、
  右手にヴァイオリンを構えて演奏をしています。
  彼女は私と同じく、
  「右(手)利き用」のヴァイオリンを使用しています。
  「左(手)利き用」の楽器ではなく、
  弦の並び順も変更せずに演奏しています。
  弓を持つ左手を上げると高音、下げると低音が鳴ってきます。
  演奏はおみごとです。
  彼女の演奏するジャンルは〈フュージョンFusion〉と呼ばれる
  音楽分野です。》

「右利き用を左弾きする」というスタイルです。
「これぞ、超絶技巧!」というものでしょう。

ギターでは、松崎しげるさんが「右用をそのまま左弾きしている」
と聞いたことがありますけれど、こういう例もあるのですね。

ただしこれは、「〈フュージョンFusion〉と呼ばれる音楽分野」での話、
だそうです。

 《私も採用したいところです……が、音域上の理由でこのスタイルは
  クラシック音楽の演奏には適さないのです。(≧∀≦)》

というのです。

 《クラシック音楽は、
  ヴァイオリンに高音域のきらめくような音質を要求》

されるからだそうです。

以下、技術的なお話が出てきます。
演奏者でなければわからないと思われますので、カットしますが――。

 《「右(手)利き用」の楽器を右手で持つと、
  細い弦(E線)のハイポジションにまでは指が届きづらく、
  クラシック音楽で必要な音域へ指が到達しないでしょう。》

といいます。一方、

 《フュージョンは、限られた音域から豊かなニュアンスを紡ぎだす
  魅力あふれる音楽です。カトリーナ ・ニコライエフ さんのような
  卓越した「左利き奏者」を生み出したことは、すばらしいことです。
  動画で拝見・拝聴してから、私は彼女の大ファンとなりました。》

彼女の演奏する動画――

カトリーナ ・ニコライエフさんの右利きヴァイオリンの左弾き演奏

音楽のジャンルによっては、右用の左弾きも可能、という実例ですね。

要は、

(1)「右用」を「右弾き」――
 不自由でも非利き手の右手で演奏することを重視して、
 右弾きに慣れるように必死で練習するか

(2)「右用」でも「左弾き」――
 あくまでも利き手である左手による演奏を重視して、
 難しい左弾きに慣れるように必死で練習するか

という二つの選択が、
左利き用の楽器が少ない現状における、「現実的な選択」となります。

 

 ●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト

ついに、以前からこの企画で紹介してきました、
クリストファー・シードChristopher Seedさんが登場します。

  《1998年に製作された左利き用フォルテピアノを演奏しています。》
  このあたりは必読でしょうね!

 

二つ目の動画がそれ、鍵盤楽器の演奏です。

 《私はこの動画に接した時、生まれて初めて、鍵盤楽器の演奏を
  緊張しないで観る&聴くことができました。楽しめました。それまで、
  なんらかのストレスを伴っていたことに気づかされました。》

これって、どういうことなのでしょうか。

右利きの人が感じるという、
左利きの人が左手で字を書いているのを見たときの「違和感」、
と同じようなものなのでしょうか。

 

 《登場する楽器は、フォルテピアノです。
  現代のピアノ(ピアノフォルテ)の前身です。
  そして調律は現代社会でよく用いられている「平均律」ではなく、
  古典調律のようです。
  ロベルト・シューマン(1810-1856)作曲の「蝶々」作品2(1829-1831)
  が演奏されています。》

このへんの楽器についてのお話はよくわかりません。

 

 ●通常の「右用」鍵盤楽器について

「動画に登場する楽器について」です。

 《一般的にチェンバロ(ハープシコード)、オルガン、ピアノなどの
  鍵盤楽器は、左側の鍵盤から右側の鍵盤へと音程が順に高くなって
  ゆきます。》

これは以前も書きましたように、

 →ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド→

と左端の低音部から右端の高音部へと展開しています。
そしてこの並びは、

 《右(手)利きの人にとっては、音楽・音程の高揚が
  右側へと拡がるので、そのように創られたと推察されます。》

と私の考えと同じ考えが示されています。

漢字の「一」を書くときや、横線を引くとき、右利き・右手書きの人は、
右手・右腕を左から右へ「引く」ように動かします。
この方向の動きが、右手・右腕の「自然な動き」になるからです。

鍵盤の演奏も同じです。
右手・右腕の「身体の自然な動き」と、
低音から高音への展開による「心の高揚」との一致が、
まさにこの鍵盤の並びに反映しています。

 

 《人それぞれによって異なりますが、
  左(手)利き人間は、
  音楽・音程の高揚が利き手側=左側に向かう方が、
  自然に感じられます。》

この「利き手側=左側へ向かう動き」こそが、
左利きの人の自然な「身体の動き」と「心の高揚」の一致した方向
となります。
横線を引くときの右から左へ(←)の動きと同じです。

 

 ●「左(手)利き用」の鍵盤楽器

 《↓この動画で使用されている鍵盤楽器のキーボードは、
  音程の並び方向が真逆にできています。「左(手)利き用」です。》

220401christopher-seed-the-left-handed-p

Lefthandpiano

クリストファー・シードChristopher Seedさんの演奏

 

 《下図の上は、私たちが日ごろ目にしているキーボードの並び順です。
  白鍵(前鍵)は、左側から右側へ〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・
  ド〕と並び、音程が上昇します。
  この動画で使用されているキーボードの白鍵(前鍵)は、
  下図の下のように、右側から左側へ
  〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド〕と配置されています。
  それに添って黒鍵(後鍵)の並び方も逆仕様となっています。
  左側に向かって音程が上昇します。》

図は、サイトを御覧下さい。
白鍵と黒鍵の位置が示されています。

250405-2019813-matunojin-hidarikiki-14

 

 ●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い

次に、演奏の仕方について書かれています。

 《演奏する手も入れ替わります。
  私たちが日ごろ目にしていますがる「右(手)利き用」鍵盤楽器では、
  (原則として)楽譜(大譜表)の上段〔高音域〕を右手、
  下段〔低音域〕を左手が演奏します。
  ところが「左(手)利き用」鍵盤楽器では、
  その逆手で演奏することになります。》

当然のことですが、左右の手を入れ換えて演奏するわけです。

 《下図の中央ように、(原則として)上段〔高音域〕の音符を左手が
  担当し、下段〔低音域〕の音符を右手が演奏することになります。
  こうなりますと、
  【音程の方向性と楽譜の地図(ながれ)が一致しない】
  と感じられませんか? 
  楽器のつくりと同様、楽譜のしつらえも「右(手)利き脳」に即して
  発想され、そして発達・発展してきたことがわかります。》

250405-2019813-matunojin-hidarikiki-15

そうなんですね。楽器の製作の発想も、
演奏にまつわる楽譜の表記の発想もまた、右利き用になっているのです。

 

ここでも、図はサイトをご参照下さい。

要するに上下を入れ換え、通常、右手演奏部分が上段で、
左手演奏部分が下段に配置されているのを、入れ換えるのですね。

右手が主旋律で左手が伴奏、という通常の演奏を、
左右の手の役割を入れ換えるわけですから。

さらに、

 《そこで、下図の3つめ(黄色)のように元々の楽譜を左右反転させ、
  右側から左側へと音が流れるようにしてみました。
  そうしますと、私は脳内の音のイメージと?内心の音楽が
  ぴったり重なってくるのです。
  そればかりか、左側に進行するにつれ音程の高まりとともに、
  気持ちが自然と高揚してまいります。》

すなわち、「←」へと進行する楽譜にするということです。

 

 《この動画のような楽器が身近にあれば、
  私はもっと鍵盤楽器のお稽古を励んだことでしょう。(o^^o)》

というお言葉が、とても大きいと思います。

「左利きの人は、左利き用の道具を!」
という、私のいつもの言葉に通じるものです。

 

 ●クリストファー・シードの左利き演奏の感想

 《動画で演奏するピアニストは、クリストファー・シード
  Christopher Seedさんです。
  1998年に製作された左利き用フォルテピアノを演奏しています。
  2015年8月15日、スコットランドの首都エディンバラEdinburghの
  グレイフライアーズ教会Greyfriars Kirkでの、ステージです。
  すばらしい演奏が聴こえてまいります。
  Leftt-Handed Piano built in 1998,
  a mirror-image copy of a Graf fortepiano
   built by Poletti and Tuinman Fortepiano Makers.》

 

クリストファー・シードさんのことは、(ブログでは写真とともに)
この連載で何度か紹介してきました。

 

 《この動画をごらんになって、「右(手)利き」の方の中には
  ⚡️違和感を感じる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
  違和感を通り越して、気持ちが?不安定になる方がいらっしゃる
  かもしれません。あるいは、しばらく時を経てから
  不快感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

  私は、その心の衝動を充分に理解できます。
  なぜならその不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が
  日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならないからです。
  それは、生涯にわたり切り離せないものでしょう。》

 

先ほども書きましたように、
左利きの人が字を書くのを見たときの違和感と同じようなものでしょう。

これは、一つは慣れの問題です。

実際に、私たち左利きの人間でも、
以前は左利きの人が左手を使っているのを見たときに、
何かしら不自然なものを感じることがあったからです。

なぜなら、私たち左利きの人も、普段身近に目にしているのは、
右利きの人たちの姿ばかりだからです。
自分の姿も、鏡の反転したものしか見ていないのです。

自分のまわりに左利きの人がいないかぎり、
左利きの姿を目にすることがないからです。

見慣れないものは、やはり違和感の素になるのですね。

 

 ●左利きの人は左利き用の道具を!

それでもやはり言わなければいけないのですが――

左利きの人はやはり左利き用の道具を使わなければいけないのです。

なぜなら、
右利きの人が右利き用の道具を使って幸せになっているのですから。

それと同じ事なのです。

みんながそういう風に振る舞ってゆけば、
自ずとそれが自然に見えてくるのです。

そう信じています。

 ・・・

 この後、「LEFTY-INFO-BOX」をはさんで、
 次のメインの段落「HOW TO PLAY for LEFTY VIOLINIST」では、
 左利きの右弾きのヴァイオリニストの演奏についてのあれこれ――
 左利きの演奏家の陥るあれこれが書かれています。

 こちらは次回改めて私に理解できる範囲で紹介してみようと思います。

 私にも理解できそうな一般的な事例に置き換えて読む、
 という方向になりますが、取り上げておきたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(30)左利きのヴァイオリニストまつのじん(5)」と題して、今回は全紹介です。

一人でも多くの人に、この手の左利き情報をお届けしたい、という気持ちで、今回も全文転載します。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2025.03.15

[コラボ]<左利きミステリ>第7回国内編(後)再発掘作-楽しい読書384号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 
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2025(令和6)年3月15日号(vol.18 no.4/No.384)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介」

 

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2025(令和6)年3月15日号(vol.18 no.4/No.384)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介」
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第682号(Vol.21 no.5/No.682) 2025/3/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介」
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*「前編」も見てね! 「前編」はこちらで↓
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 今回も先月に引き続き、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画、
 <左利きミステリ>の第7回目。

 過去5回は、第6回の(前編)をご参照下さい。

第680号(Vol.21 no.3/No.680) 2025/2/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(前編)新規発見作紹介」

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  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第7回 国内編
(前編)新規発見作紹介

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 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第7回 国内編
(後編)再発掘作紹介

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<国内編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等の広義の「ミステリ」の総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』

------------------------------------------------------------------
*(新たに表示記号の追加・変更があります)

 1843:新聞・雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 (フランス/中国):出版国/作品の舞台となる国―出版国と異なる場合
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編 
 エミール・ガボリオ:作者名 
 [シャーロック・ホームズ]:登場する「名探偵」(シリーズ探偵)の名
 ・特記事項
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [外]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [H]:ホラー [SF]:SF [F]ファンタジー
 [傍]:メインのストーリーとは無縁の傍系の話
 [参]:参考作品(一般小説・児童書、小説以外のノンフィクション等)
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

 (探):左利きの探偵/探偵役
 (被):左利きの被害者
 (犯):左利きの犯人
 (容):左利きの容疑者
 (他):左利きのその他の事件関係者
 (脇):脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物
    ([傍]メインのストーリーとは無縁の傍系の話に登場する人物)

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<国内編> 再発掘作紹介

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
(再発掘/リスト漏れ<左利きミステリ>)
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

 

今回は、<左利きミステリ>の国内編の再発掘編。
再発掘もしくは、忘れ物ですね。

ただ、内容を御覧いただければ分かりますように、
純粋に「ミステリ」と呼べそうなものは、山本周五郎の作品ぐらいです。
ほとんどが「非ミステリ」という感じです。
広義のミステリとしても、ホラー系です。

参考作品として「左利き」の性質といいますか、「左利き」の本質、
あるいは、発表当時の社会の平均的な「左利き」感、もしくは
「左利き」に対する見方というものを知っていただくための情報として、
その価値があるかと思います。

 

 ●「一粒の真珠」山本周五郎

1947「一粒の真珠」山本周五郎 (容)
<左利きの容疑者、「ぎっちょの文治」>
初出『新青年』1947年2月号
――窃盗容疑者の許嫁者の元不良の徒「ぎっちょの文治」。
 お嬢様の首飾りの真珠を盗んだ罪をかぶせられた小間使いの許婚者の
 文治は、元不良ということで、容疑者の共犯と疑われる。

・『山本周五郎長篇小説全集 23 寝ぼけ署長』新潮社 2014/11/27
(Amazonで見る)

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・『寝ぼけ署長』山本 周五郎/著 新潮文庫 第二版 2019/3/28
(Amazonで見る)

 

*参照:『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第214号(No.214) 2010/6/5
<左利きムーヴメントLHM>宣言!“左利き紳士・淑女録”

【新企画】“左利き紳士・淑女録”
(2)架空の人物編
■か行-き・ぎ■
【ぎっちょの文次】ぎっちょ・の・ぶんじ
・山本周五郎/著「一粒の真珠」の登場人物
  新潮文庫『寝ぼけ署長』(1981)収録
・本名 西山文次
・建具屋職人
 《十歳前後で孤児になり、
  富屋町の表通りに店のある建具屋の家で育てられ、
  親方は鈴木秀吉といい、
  文次にずいぶん目をかけて仕込んだし、
  当人も左利きが難だったけれど手の性が良く、
  十六七になると一人前の仕事をするようになった。》p.77
・若くして金を稼ぐようになり、一度ぐれて、
 「ぎっちょの文次」と呼ばれる不良の徒となる
 その後立ち直り、結婚を機に建具屋として独立する

 

 ●「眠れる美女」川端康成

1960.1-1961.11「眠れる美女」川端康成 [H]
『新潮』1960(昭和35)1月~1961(昭和36)11月
<怪しい宿の左利きの女(女性管理人?)>
――変態老人男性の女体偏愛小説? 老人の性を扱った佳編。1999年の
 新潮文庫「人は誰でも年を取る」フェアの一冊にも選ばれています。
 怪しい性風俗店の女主人を「左利き」らしく設定し「怪しさ」を演出
 していると、巻末の三島由紀夫の解説でもそのように解釈しています。
・『眠れる美女』川端 康成/著 新潮文庫(新版) 2024/8/13
(Amazonで見る)

250315-nemurerumbijo

《(略)女は立って、隣室へ行く戸の鍵をあけた。左利きであるのか
 左手を使った。(略)なんでもないうしろ姿なのだが、江口にはあやし
 いものに見えた。帯の太鼓の模様にあやしい鳥が大きかった。(略)》

 

 ●[参考]「片腕」川端康成

1963.8-1964.1「片腕」川端康成 [参][H]
<男と片腕を交換した若い女性の「右腕」>
『新潮』1963(昭和38)8月~1964(昭和39)1月
――右腕を外して男に貸す娘。男は腕を取り換えて眠り、起きると元に
 戻すが、女の腕は冷たくなって……。『眠れる美女』に併録されている
 ように、こちらは孤独な男の性欲を描いている奇妙な味の一編。
・『眠れる美女』川端 康成/著 新潮文庫 2024/8/13
(著者没後50年、浅田次郎氏の新解説を追加した増補版)
(Amazonで見る)

 

《「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。/そして右腕を
 肩からはずすと、それを左手に持って私の膝の上においた。/
 「ありがとう。」と私は膝を見た。娘の右腕のあたたかさが膝に
 伝わった。》p.135

 

 ●[参考]『流しのしたの骨』江國香織

(1996.7) 『流しのしたの骨』江國香織 [参]
<「左利き」の恋人は便利?>
――三女の「こと子」を語り手に奇妙な家族を描く小説。こと子は、
 ダブル・デートの相手の恋人たちが手を繋ぎながらフォークを使うのを
 見て便利だと思い、以後、食事の際右手を釣って左手を使い始めます。
・『流しのしたの骨』江國香織/著 新潮文庫 1999/9/29
(Amazonで見る)

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《「あなたのお友達は左利きなの?」(略)
 「ほら、あの二人ずっと手をつないでいたでしょう? 
 もともと左利きなのか、それとも彼女と手をつないでいるために
 左手を使っていたのかしらって……」(略)
 「左利きだよ」/私は感心した。恋人が左利きだとすごく便利だ。
 そう感想を述べると、深町直人はわらっていた。》p.10
《「利き腕のことだけど、ことちゃんが練習してみれば? 真面目に
 やれば、フォークくらいきっとすぐ左手で使えるようになるよ」/
 「……そう思う?」/小さな弟は力強くうなずいた。》p.14
《ごはんを食べるときに右手を使ってしまわないように、
 右腕をスカーフで吊ってるの」/
 父は私の右腕をじっとみつめた。母も食べるのをやめている。
 弟だけがお行儀良く食べ続けながら、/「魚、むしってあげるよ」/
 と言った。/「ありがとう」》p.18
《「……なぜ右手を使っちゃまずいんだ?」(略)
 「だって便利でしょう? 両方使えると」/「……」/
 父は少し黙ってそうか、と言うと再び自分の食事にもどる。/
 「かまわないのよ。こと子。私はおもしろいと思うわ、右手を使わずに
 ごはんを食べるのも」/母が言い、そのあとはもう誰もなにも
 言わなかった。》p.19

 

 ●「左きき」伊集院静

(1996.10) 「左きき」伊集院静 (犯?/失踪人)
<姿を消した女の特徴は「左利き」>
――左利きの女性を探してほしいという依頼を受けた「探偵」(?)。

『昨日スケッチ』伊集院 静/著 講談社 1996/10/1
(Amazonで見る)

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・『昨日スケッチ』伊集院 静/著 講談社文庫 1999/11/1
(Amazonで見る)

 

「左きき」 p165-170
《「この女を探してる」(略)「ハワイで知り合った。日本へ一緒に
 戻ってきたら突然、いなくなった」/「名前は?」/「ミチコ……。
 それしかわからん」/「一緒にいて、姓も聞かなかったのか」/「そう
 いう関係だった」/国谷が少し悔むように言った。/私は渡された
 写真の女の顔をじっと見た。Tシャツに短パンツというラフな恰好で、
 ベッドサイドに腰かけて女は笑っていた。特別美人というわけではない
 し、どこかに特徴がある女でもなかった。》

 

 ●『左利きの剣法 本所剣客長屋』押川國秋

(2009.3) 『左利きの剣法 本所剣客長屋』押川國秋 [時代小説](脇)
<左腕一本の剣士>
――敵討ちを果たすべく江戸に出てきた古井虎之助を主人公とする
 時代小説シリーズ第二作、虎之助に右腕を切り落とされて左腕一本で
 剣を振るう剣士二人が登場する。 (ホームページ『左利きを考える 
 レフティやすおの左組通信』「小説で読む左利き」2009.9.13 より)
・『左利きの剣法 本所剣客長屋』押川國秋/著 講談社文庫 2009/3/13
(Amazonで見る)

 

 ●『闇彦』阿刀田 高

(2010.7)『闇彦』阿刀田 高 [H]
『闇彦』新潮社刊
<ホラー/ファンタジー、左利きのお話し上手の血を継ぐ少女>
――海彦、山彦、闇彦という、海の神、山の神、そして夜の神。
 夜の神は、語り部の血を引く一族で、語り手の小学生時代の同級生稲子
 も、語り手もまた、同じストーリーを紡ぐ血筋の仲間だったのか……。
・『闇彦』阿刀田 高/著 新潮文庫 2013/12/24
(Amazonで見る)

250315-yamihiko 

《「ぎっちょでした。だーすけ字が書きにくくて、なんでも覚えてしまう
 んです。お話をたくさん聞かせてくれました」》p.18
《――稲子はどこへ行ったのか――/海の向こうに闇彦の島がある。
 死んだ人が行くらしい。/(略)人知を超えたあやかしの……闇彦の
 しわざかもかもしれない(略)――稲子はそこから来て、そこへ帰って
 行ったのかな――/お話がうまいのは、そのせいかもしれない。
 しばらくは心に残った。》p.24

 

 ●『ドリームバスター』宮部みゆき

(2011.11)『ドリームバスター』宮部みゆき [SF](ヒーロー)
<SFファンタジーの少年ヒーロー、左利きのD.Bシェン>
――悪夢から人をすくいだす、主人公の少年シェンと師匠のマエストロの
 二人のドリームバスター(D.B)の冒険物語。
・『ドリームバスター』宮部みゆき/著 山田 章博/イラスト 徳間書店
2001/11/1
(Amazonで見る)

《(略)話しながら彼が背中を向けたとき、細長くて少し反りのかかった
 刀を、斜めに背負っているのが見えた。(略)
 このタイプの長い刀は、鞘を払うときも、真っ直ぐには抜けない。
 自分の身体を中心に、ちょうど背負い投げをするように、
 斜めに半円を描くようにして抜くのだ。
 だから、右利きなら左肩の後ろに柄が来るように背負う。
 左利きなら右肩に背負う。少年の刀の柄は右肩に来ていた。/
 「君は左利きなんだね」/
 伸吾に問われて、腕組みして歩き回っていた少年は足を止めた。/
 「へえ……最初にそういうことを訊くD・Pは初めてだぜ」》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:<左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介」と題して、今回も全文転載紹介です。

2月、3月と月の半ばの号では、こういう<左利きミステリ>について書いてきました。
関心のない方には、無意味な企画かもしれません。
「左利き」のみならず、ミステリや推理小説のトリックやストーリーの一つのテーマと言いますか、モチーフとして使われる小道具の一つとして、関心を持つ方もいるのではないか、と思っています。

そういう面からだけではなく、ひいては「左利き」そのものにも関心を持っていただければ、という気持ちで続けています。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

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左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(まぐまぐ!)

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 今回も先月に引き続き、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その7回目です。

 

【過去のコラボ】1回目から5回目までの詳細は、
↓ の第6回(前編)からご覧下さい。

■6回目――

(前編)
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
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(後編)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2025(令和6)年2月15日号(vol.18 no.2/No.382)
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[コラボ]<左利きミステリ>第6回海外編(後)再発掘作-楽しい読書382号
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https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ebac165aacd639b4e357741dc40953b6

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  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介

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<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<国内編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等の広義の「ミステリ」の総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』

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*(新たに表示記号の追加・変更があります)

 1843:新聞・雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 (フランス/中国):出版国/作品の舞台となる国―出版国と異なる場合
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編 
 エミール・ガボリオ:作者名 
 [シャーロック・ホームズ]:登場する「名探偵」(シリーズ探偵)の名
 ・特記事項
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [外]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [H]:ホラー [SF]:SF [F]ファンタジー
 [傍]:メインのストーリーとは無縁の傍系の話
 [参]:参考作品(一般小説・児童書、小説以外のノンフィクション等)
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<左利きミステリ>の登場人物・分類表

 (探):左利きの探偵/探偵役
 (被):左利きの被害者
 (犯):左利きの犯人
 (容):左利きの容疑者
 (他):左利きのその他の事件関係者
 (脇):脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物
    ([傍]メインのストーリーとは無縁の傍系の話に登場する人物)

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。

 

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<左利きミステリ>:<国内編> 新規発見作紹介

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(新たに見つけた<左利きミステリ>)
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 ●「血の文字」黒岩涙香

(1892)「血の文字」黒岩涙香 (被)
<左利きの被害者による左手のダイイングメッセージ>
――エミール・ガボリオ「バティニョールの老人」の翻案小説。
1892(明治25)年8月刊、小説集『綾にしき』収録
・『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』
 創元推理文庫 1984/12/22
(Amazonで見る)

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《「...あの老人が左得手(えて)で、筆を持つのは左手だと云う事を
 御存じないと見えますな」》p.107

(参考) 1870 (フランス)(被)
「バティニョールの老人」エミール・ガボリオ
<左利きの被害者、左手のダイイング・メッセージ>
「ル・プチ・ジュルナル」(フランス四大日刊紙)1870年7月8日~19日連載
――自分の血で書いた犯人の名と思われるダイイング・メッセージ。
 左手の指に血が付いていたので、予審判事も警察署長も、犯人が誤って
 左手に血を付けて偽装したと判断し、犯人逮捕に辿り着くが……。
・『世界推理短編傑作集6』戸川安宣/編 太田浩一/訳 2022/2/19
(Amazonで見る)

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《右手は汚れていない……べっとりと血にまみれていたのは、
 左手の人差指だった。/では、老人は左手で血の文字をかいたのか……
 そんなばかな……》p.36(太田浩一/訳)
《「...おまえが血に浸したのは、死体の左手だったんだよ……」》
《「ビゴローの親父はもともと左利きだったんだよ!」》p.99

 

 ●「琥珀のパイプ」甲賀三郎

1924「琥珀のパイプ」甲賀三郎 (犯)(被)
<左利きの犯人、左利きの被害者>
『新青年』1924(大正13)年6月
――3つの事件の錯綜を解くと、左利きと右利きの犯人がいたとが判明。
・『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』
 創元推理文庫 1984/12/22
(Amazonで見る)

 

《二人を殺した奴は別だと云うのです。二人とも同じ凶器でやられて
 います。そうして二人とも確かに左肺をやられています。然し一人は
 前からで、一人は後(うしろ)からです。(略)どれも一文字に引いて
 あるのは、左から右に通っています。(略)」》
《「林檎の皮を御覧でしたか、皮は可成りつながっていましたが、左巻き
 ですよ。林檎を剥いたのが左利き、襖を突いたのが右利き、女を刺した
 のが左利き、然し男を殺したのは右利きです」》

 

 ●[参考]「左ぎっちょの正(まさ)ちゃん」小川未明

(1935)「左ぎっちょの正(まさ)ちゃん」小川未明 [参]児童文学
<“左ぎっちょ”の正ちゃんは、不器用!?な左利き>
昭和10年5月『小豚の旅』四条書房 収録
――箸は左、まり投げも左、でも字は右手。最初は左だったけれど、
 お母さんの言葉で右に。でもお父さんは「しぜんのままに」で、
 学校で字を書くときは右、お弁当や家でご飯を食べるときは左。
 まりを投げるのは左で、左ピッチャー。でも“不器用”な正ちゃん。
 “不器用”な例として作者は、近所の小さい子をあつめて“大将”に
 なった彼が、小さい子に頼まれ、じゅず玉を作りますが、思うように
 できず、待ちきれぬ子供たちは紙芝居を見に行ってしまいます。でも、
 頑張って一つ作りあげた彼は、次はもっとうまく作れると思いました。
 挿絵を見ますと、右手で針を持ち、じゅず玉に糸を通そうとしている
 のですが、これでは“不器用”なのも仕方ない気がします。
 昔のお話ですので、現代の眼で見ますと、色々と問題があると思われ
 ますが、その時代の風潮、左利きへの理解度、容認度というものを知る
 資料としてお読み頂きたいものです。
・『定本 小川未明童話全集10』小川 未明 講談社 1977/8/1
(Amazonで見る)

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 《正ちゃんは、左ぎっちょで、はしを持つにも左手です。まりを投げる
 のにも、右手でなくて左手です。/「正ちゃんは、左ピッチャーだね。
 」と、みんなにいわれました。けれど、学校のお習字は、どうしても
 右手でなくてはいけませんので、お習字のときは妙な手つきをして、
 筆を持ちました。最初、鉛筆も左手でしたが、字の形が変になって
 しまうので、これも右手に持つ癖をつけたのです。/お母さんは、
 困ってしまいました。/「はやく、右手で持つ癖をつけなければ。」
 と、ご飯のときに、とりわけやかましくいわれました。すると、
 お父さんが、/「左ききを無理に右ききに直すと、盲(めくら)になる
 とか、頭が悪くなるとか、新聞に書いてあったよ。だから、自然のまま
 にしたおいたほうがいいのじゃないか。」と、おっしゃいました。》

 

 ●「虚像」大下 宇陀児

1955(1956年)「虚像」大下 宇陀児 (容)
<左利きの犯人/左利きの容疑者/鏡のなかの動き>
『サンデー毎日』昭和30年8月7日~12月17日号連載
『虚像』大下 宇陀児/著‎ 毎日新聞社 1956/1/1
――主人公が鏡のなかに見た、ぶきっちょな動きの犯人像の正体は……。
・『日本探偵小説全集3 大下 宇陀児 角田 喜久雄集』創元推理文庫
1985/7/26
(Amazonで見る)

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《(略)鏡の中で見ていたのである。(略)その短刀を握る手つきが、
 どうしてだか、ぶきっちょな、不自然な形に見えた。これはまことに
 重大なことである。》p.198
《問題は、手だった。/釘をうつのに右の手で釘をおさえている。
 だから、金槌のほうは、左の手へ握っているのであった。》p.286
《「うん、どうもね、子供の時分から、癖がついちまったのだ。生爪を
 はがしたことがあって、それから左ギッチョになったのさ」(略)
 「なおせって言われた。みっともないってね。だから、字を書くの
 なんか右手になった。でも、ピンポンしたり、力仕事するとなると、
 やっぱり左手のほうがいいんだな。(略)」》

 

 ●[参考]「左利きの独裁者――東条英機の悲劇」有馬頼義

(1971/昭和46)「左利きの独裁者――東条英機の悲劇」有馬頼義 (犯)
――<左利きゆえに、左手で持った拳銃では心臓を撃てず、右手で失敗>
(初出)『小説昭和事件史3』有馬頼義/著 三笠書房 1971/1/1
・『時代小説大全集6 小説人物日本史 昭和』新潮社/編 新潮文庫
1991/9/1
(Amazonで見る)

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《(略)胸をあけた。そこに、墨の丸があった。東條は左利きであった。
 左手に拳銃を持ち、これを自分の左の胸に向けて、ひきがねを引くこと
 の困難さに、気付いたのだ。しかし、時間がなかった。東條は、思い
 きって拳銃を右手に持ちかえ、ひきがねを引いた。あとのことは、
 覚えていない。東條は、失敗した。その失敗は、軍人としての東條が、
 過去においておかしたあやまちにくらべて、大きすぎただろうか。
 問題にならないほど小さな失敗だっただろうか。》p.107

 

 ●「左利きの月」阿藤玲

(2017)「左利きの月」阿藤玲 (容)?
<恋愛ミステリ? 双子のミラー・ツインズ(兄右利きと弟左利き)の
 兄弟の謎>
――去年のクリスマス・イブに告白した相手はどっちだったのか、
 恋人同士風の写真の人はどっちだったのか、といった謎?を解く。
 登場人物が多く、一度読んだだけでは分かりづらいところがあり、
 ネタが面白いだけに、ちょっと残念な気がします。
・『お人好しの放課後 御出学園帰宅部の冒険』阿藤 玲/著
創元推理文庫 2017/8/31
(Amazonで見る)

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《「こうして見ると、本当に鏡に映っているみたいだ。ミラーツインズ
 だっけ」/朔さんは右利き、望さんは左利き、一卵性でも利き手が
 異なる双子をミラーツインズという。二人は鉛筆を持つ手も、さよなら
 と振る手も、左右対称にシンクロしていた。だからおれたちは、二人が
 一緒に居るとき、わざと名字で呼びかけたものだ。同じタイミングで
 手を振るのが見たくて。》p.111

 

 ●[参考]『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸

(2020)『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸 [参]書き方本
「第一章 そもそも「ミステリ」ってそんなもの?」
<「伏線を張るとは?」の例―「左利き」の場合>
――編集者の手になる、本格謎解きミステリ系のミステリ創作の入門書。
・『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸 新潮新書 2020/12/17
(Amazonで見る)

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《例えば、犯人を限定する要素が「左利き」であったとする。
 だとしたら、解決までの過程で、その人物が左利きである、と分かる
 記述がどこかになければならない。なにも、「○×は左利きだった」と
 書く必要はなく、左手で箸を使うとか、右利き用の道具を使いにくそう
 にしているとか、そういったことでいい。それらは複数用意しておく。
 毎回違った見え方――スプーン、筆記用具、ハサミの使い方――
 にして、出現頻度に偏りが出ないよう、物語全体にバランス良く配置す
 る。伏線すべてをちゃんと覚えていてくれるほど読者は親切ではない
 し、そこまで記憶力も期待してはいけない。》p.19

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本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:<左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介」と題して、今回は全紹介です。

前回のこの記事でも書きましたが、興味の無い人には、ただのゴミ情報かもしれませんね。
しかし、左利きという性質を知っていただくために、役に立つものでもあると考えています。
その時その時の小説家の持っている、持っていた「左利き像」というものが垣間見れるのではないか、と考えています。
それが正しい情報であるかどうかは、それぞれの読者のみなさまがご判断していただければ、と思います。

これらの情報を一人でも楽しんで下さる方がいればいいかな、と思っています。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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2025.03.01

週刊ヒッキイ第681号-告知-楽器における左利きの世界(29)まつのじん(4)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

第681号(Vol.21 no.4/No.681) 2025/3/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(29)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
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第681号(Vol.21 no.4/No.681) 2025/3/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(29)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」
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 左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
 左利きに関するサイト、エッセイ集の左利きに関する文章を紹介し、
 左利きにおける楽器の演奏について考えよう、という試みの4回目。

 

■1回目――まつのじんさんのサイトから

 「まつのじん」さんについて知る意味で、
 <まつのじんWebsite> 平和ねがいて 弦なりやまず
 http://mjin.m1001.coreserver.jp/
 「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日

第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.11.02
週刊ヒッキイ第674号-告知-楽器における左利きの世界(26)まつのじん(1)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/11/post-9afc9f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c61c87eab970c035e076d6c9e5e0876d

 

■2回目――まつのじん(松野迅)さんのエッセイ集から

『すみれの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅 未來社 1992/1/1
‎ 4624700716
(Amazonで見る)  

「II マイ・プライベート・ライフ」<涙のひだりきき>

第676号(Vol.20 no.21/No.676) 2024/12/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(27)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(2)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.12.07
週刊ヒッキイ第676号-告知-楽器における左利きの世界(27)まつのじん(2)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/12/post-55f0a7.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3b193894c6d7a3499fa16569f8282e7a

 

■3回目――まつのじんのサイトの左利きページから

 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
(2019年8月13日)
http://mjin.m1001.coreserver.jp/ [ヒダリスト/]
%e3%83%92%e3%83%80%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/

第679号(Vol.21 no.2/No.679) 2025/2/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(28)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(3)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.1
週刊ヒッキイ第679号-告知-楽器における左利きの世界(28)まつのじん(3)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-5db9f0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9d54a490b52746a60f5212b9afc3b88a

 

 さて第4回目は、前回同様、まつのさんの左利きサイト

 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
 (2019年8月13日)

 から、その後半に当たる部分を二回に分けて紹介します。

 以前も書いていると思いますが、私は音楽のまったくの素人ですので、
 色々とトンチンカンなことを書いている場合もあるかと思いますが、
 その辺は、想像力を働かせて、お読みください。

 

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 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きと楽器演奏について考える

   左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さん(4)
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 ●「左利き用の楽器 あるの?」

ここでは、《そんなのあるの?》として、
<左利き用の弓弦楽器>が紹介されています。

2019813-matunojin-hidarikiki-67

「●楽器と<左右対称>」では――

まずは、楽器の定義ですね。

 《音程、音色、音質などの要素を駆使し、メロディ、ハーモニー、
  リズムを紡ぎだす器が楽器です。いにしへから存在し、
  変遷をたどってきました。》(原文のまま)

イタリアでは、弦楽器制作者のことを「Liutaioリウタイオ」
(リュートづくり)と呼び、
原型(ルーツ)が撥弦楽器のリュートだったことが分かると言い、

 《弓で音を発生させる「弓弦楽器」はルネサンス期に開花し、
  弓の形状が変化し今日に至っています。》

 《「弓弦楽器」「撥弦楽器」の形状(フォルム)は、
  左右対称に見える楽器がほとんどです。》

例として、ヴァイオリン、チェロ、ギター、マンドリン、お琴、馬頭琴、
二胡などを上げています。

しかしこれは外形だけで、内部構造を条件に加えると変わってきます。

 《左右対称楽器の代表格は「ギター」です。内部構造も<左右対称>
  なので、弦の並び順を変更することが可能です。
  「左利き用ギター」を見かけるのは、楽器が完成したのちに
  行われるセットアップ段階で、弦の並び順を選択することが
  可能だからです。》

 《ビートルズのポール・マッカートニーは、彼の右手がフレットを
  押さえ音程をつくり、左手で音を発音させています。》

ギター類の左利き用は、一般的に知られています。
それでも、実際に手に入れる際にけっこう苦労があるようです。

谷口楽器さんがレフティ・ギターの専門店で知られていますように、
一般のお店では、左利き用は選択肢が限られることも多いようです。

松崎しげるさんのように、右利き用をそのまま逆弾きするような、
器用な方もいるようですが……。

 

 ●ヴァイオリンの構造

「●ヴァイオリン属の「事情」」

次にいよいよヴァイオリンに関しての知識が披露されます。

丸写しするしかないような部分です。(ご容赦ください、まつのさん)

「ヴァイオリン属」と呼ばれる楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
コントラバス)では、

 《弓で弦(絃)を振動させるので、弓が4弦もしくは5弦に当たる
  ように、駒に弧を描くように角度を設けセットアップされます。
  駒は楽器一挺ごとのオーダーメードです。》

「魂柱(こんちゅう)」という柱が楽器の内部にあり、
弦から駒に伝わった振動を楽器全体に伝えるものだそうです。
これがあるので、ホール全体に音を響かせることができるのだそうです。
これも一挺ずつ楽器に合わせたものが必要で、高音弦側に設置されます。
一方、低音は太い弦で奏で、それを支えるために「バスバー/力木
(りきぼく)」というものが楽器の裏側に添えられているそうです。

「魂柱」も「力木」も交換可能な部品ですが、
当然職人さんの手が必要です。
そして、「魂柱」はf字孔から取り外しができますが、
「力木」は楽器の表板を外す必要があり、簡単ではありません。

 《ヴァイオリン属の楽器を左右反転させるためには、「駒」「魂柱」、
  そして楽器を開帳しないと取り替えられない「力木」を
  変えねばなりません。製作段階から「左右反転」で取り組まれた
  楽器、完成された後に取り換えられた楽器は稀少で、
  選択の余地はないといえます。》

要は、途中から左用に切り替えるというのは難しい、ということです。

ではどうすればいいのか、といいますと、当然ここは
「初めから左利き用として製作する」という方法になります。

そうです、「初めから左利き用として製作する」という選択です。

では、どうすればそれが実現するのでしょうか。

簡単に言えば、「通常の楽器よりもお金を出して作ってもらう」。

もしくは、
「職人さんに作らなきゃという気になってもらう」ということです。

そのためには、必要とする人が大勢いるのだ、
という事実を知ってもらう必要があります。

要するに、「リクエスト」ですね。

「左利き用のヴァイオリンを作って下さい」というリクエストです。

次の「LEFTY-INFO-BOX」に、思いがけない情報が記されていました。

 

 ●Amazonの「左利き用ヴァイオリンセット」

次の「LEFTY-INFO-BOX」で、
なんと日本のAmazonで販売されているという
「左利き用ヴァイオリンセット」が紹介されています。

《2019年1月6日(日)。私の想像以上に早く、Amazon(日本)は
 「左利き用ヴァイオリンセット」の販売をはじめました。
 ヴァイオリン本体(4/4大人用)1挺、弓2本、ケース、松脂、肩当て、
 チューナー、教則本(内容は不明)、海外からの送料のすべてが
 セットされて30,239円です。(画像参照)/そして2019年4月25日には、
 ヴァイオリン本体1/2サイズのセットが31,072円で登場しました。
 1/2は分数楽器で、身長130センチメートル前後の学習者に適して
 います。/
 ヴァイオリンは幼少から始めますから、さらに1/8,1/4,3/4サイズなど
 の分数楽器が調うと良いですね。バスバー(力木)などの詳細は
 画像からは確認できませんが、画期的なことに違いありません。/
 英語の口コミに2012年のものがありますから、他国では以前から
 販売を開始していたようです。購入者の投稿(英文)には
 「楽器は届いたが、左利きの人を教えられる人を探すのが、
 容易ではないだろう」と記されていました。的を得たコメントです。》

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画像は、まつのさんのサイトを参照。私のブログの方でも紹介します。

私自身、Amazonで探してみるという選択肢はありませんでした。
まさかと思っていたのですね。

今回探してみると、上の表記のものはなさそうでしたが、
別のものがありました。

--
左利き用 バイオリンセットGRAZIOSO FINEST-20L 44
 アンティーク調タイプ セット価格27万5千円が特別価格にて
¥390,000 税込 または¥195,000/月(2か月)。
商品の詳細
トップハイライト
ブランド ノーブランド品
トップの素材タイプ アルダー
--

250225amazon-lh-v-s-grazioso-finest20l-4

他にも色々と出てきます。

--
バイオリンセット 左利きのバイオリン手作り自然空気乾燥スプルース
プロフェッショナルベストトーン
価格¥91,646
--

とか、詳しいことは理解できてませんが、
とにかく「左利き用」と銘打ったものがある、
ということだけでも心強いものがあります。

まったくのゼロから始めるのは大変ですが、
とっかかりとなるものがありそうだ、となりますと、
戦ってみる価値ありではないでしょうか。

 

 ●「左利きの個性 おしえます^^」【松脂編】

さて、まつのさんのサイトの紹介に戻ります。
次のコーナーでは、

 「左利きの個性 おしえます^^」

として、

 <左(手)利き 弓弦楽器奏者のアルアル>

が紹介されています。

2019813-matunojin-hidarikiki-910

正直、私は演奏はもちろん、
ヴァイオリンすら身近に見たことさえないのですから、
こういうお話の内容はまったくといっていいほど理解できません。

このアルアルは、基本的にはヴァイオリン演奏家、
もしくは少しでもヴァイオリン演奏の経験がある人でないと、
分からないのではないでしょうか。

 

【松脂編】
●弓に松脂をぬる時の アルアル

右利きの人はやり方が一様なのに対して、左利きの右弾き演奏家では、
やり方が3つに分かれるといい、

 《これらの動きから、左(手)利きの強さや弱さ、
  両手利き度の強弱がわかることがあります。》

と。

次の項目「●松脂のぬり方?」はよくわかりません。
右手でやるようです。

その次の「●ウォーミングアップとして」には、

 《私たち左(手)利きは、松脂をつける所作が苦手です。》

とあり、これは右手でやる作業だからのようです。

 《繊細でむつかしい動きが求められる弓の動きへの
  〔ウォーミングアップ〕と位置づけて》

その作業を頑張ってみましょう、ということのようです。
右手で弓を使うことへの〔ウォーミングアップ〕ということなのですね。

 

 ●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】右手と左手の動き

次からはいよいよ【演奏編】に入ります。
しかし、先も書きましたように、演奏家ではないので、
よくわかりません。想像力を最大限に駆使してみても……。

 

【演奏編】
 《●左(手)利き弓弦楽器演奏者の「このような体験ありませんか?
 弓を右手にもつ「苦労」も満載ですが、左(手)利きならでは!!の
 動作もあります。》

(1)から(31)まであります。

 ・・・

思うに、左利きゆえに、
利き手ではない右手に持った弓を繊細・微妙に動かすことは難しい、
ということでしょうか。

例えば、弓の動きに関する項目――

《17■弓を当てるとき、あるいは弦から弦に移る移弦をする時、
 目で確認することがある。》

《19■曲を演奏するとき、右手の動かせるタイミングに合わせてしまう
 ので、なかなか早い速度で演奏できない。》

等々。

一方左手のほうは、音楽を弾くとき、「弾くぞ!」と、
利き手ゆえに、左手/腕の動きが心を反映してくる、ということ。

《20■音楽に情感を込めようとすると、楽器が自然に動いてくる。》

《23■音を弾き始めるとき、弓の動きより左手のヴィブラートが先に
 動き始める。》

 

あるいは、右利きの人の左手と違って、指の動きが自由で巧みである、
ということで、右利きの人とは違った動きができる。

(21)や(22)はそういうところででしょう。

《(21)■楽譜に記載されたフィンガリング(指づかい=番号)が
 弾きにくい時、自分で工夫すると弾きやすくなる。》

 

 ●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】脳の違い?

次の部分は、「左利きの脳」と「右利きの脳」との違い、
といったものを感じさせます。

《(24)■楽譜のフレーズの最後や、曲の最後の音から、
 逆方向に(スラスラと)弾ける。》

《(29)■気が付くと、音符を数字に置き換えて読んでいる。》

《(30)■他の人と異なったリズムの感じ方をしている自分に気が付く
 ことがある。》

《(31)■左(手)利きの演奏者と出あうと、
 無言のうちにわかることがある。》

 

――というように、左利き右弾きの演奏家の場合、
右利き右弾きの人とは異なるものがある、ということでしょう。

当たり前と言えば、当たり前のことなのですが、
やはり、右利きの人と同じように、
「利き手で弓を持って演奏する」方が自然だ、ということでしょう。

すなわち、左利きは左弾きで、となります。

演奏に「心」を反映できるのは、その方法が一番いいように思います。
なぜなら「利き手は心につながっているから」です。

 

適切な言葉を知らないので、いつも困ってしまうのですが、
「できる(可能)」ということと、
「できてしまう/(そう)なってしまう」というのは、違います。

「右手が動く(右手を動かすことができる)」ということと
「右手が動いてしまう」ということは、違うのです。

意志/意思の力で動かすのと、無意識のうちに動くのとは。

利き手というのは、そういうものなのです。

利き手は「動かそうとすれば動く」というものではなく、

 「動かそうと思わなくても、“つい”動いてしまう」
 「無意識に動いてしまう」

――というようなものなのです。

演奏しようと思えば、利き手が先に動いてしまうのです、きっと。

それが「利き手」というものの性質だ、と思うのです。

 ・・・

次回は、いよいよ「演奏家の登場です」のコーナーを!

右利き用を左弾きするヴァイオリン演奏家や、
以前にも再三取り上げてきた、
《1998年に製作された左利き用フォルテピアノを演奏する》
クリストファー・シードChristopher Seedさんが登場します。

お楽しみに!

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本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(29)左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」と題して、今回は全紹介です。

今回は、サービスの全転載です!

左利き用楽器の普及のためです。

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