2025.06.07

週刊ヒッキイ第687号-楽器における左利きの世界(32)松野迅さんから

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

 

第687号(Vol.21 no.10/No.687) 2025/6/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(32)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
ご意見から考える」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第687号(Vol.21 no.10/No.687) 2025/6/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(32)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
ご意見から考える」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前回までは、左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんの
 左利きに関するサイト、エッセイ集の左利きに関する文章を紹介して
 きました。
 今回は、それらの文章をヒントにして、
 私なりに左利きにおける楽器の演奏について考えようと思います。

 

■1回目――まつのじんさんのサイトから

 「まつのじん」さんについて知る意味で、
 <まつのじんWebsite> 平和ねがいて 弦なりやまず
 http://mjin.m1001.coreserver.jp/
 「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日

241102-matunojin-1s

第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.11.02
週刊ヒッキイ第674号-告知-楽器における左利きの世界(26)まつのじん(1)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/11/post-9afc9f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c61c87eab970c035e076d6c9e5e0876d

 ●左利きのヴァイオリニスト「まつのじん」さんについて
 ●「左(手)利き」=「強度の左利き」
 ●「不便益」という考え方
 ●日本は漢字文化の影響で書き方が二通りある
 ●左利きの「矯正」(=右使いへの転換)行為について
 ●「ヴァイオリン弾きのゴーシュ」として

 

■2回目――まつのじん(松野迅)さんのエッセイ集から

『すみれの花かご ヴァイオリンのある喫茶室』松野迅 未來社 1992/1/1
241207sumire-no-hankago

(Amazonで見る)

 「II マイ・プライベート・ライフ」<涙のひだりきき>

第676号(Vol.20 no.21/No.676) 2024/12/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(27)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(2)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.12.07
週刊ヒッキイ第676号-告知-楽器における左利きの世界(27)まつのじん(2)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/12/post-55f0a7.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3b193894c6d7a3499fa16569f8282e7a

 ●<左利き者の証言>――ヴァイオリニスト松野迅さんの場合
 ●子供時代から、僕は左利きだ
 ●『左利きの歴史』の記述
 ●左利きのままで育つ
 ●右利き社会と左利き用品について
 ●鏡文字の話、食事の話など
 ●左利きとヴァイオリン演奏について――音を出すのが右手
 ●左手の動きと右手の動き
 ●左利き特有の演奏上の苦労について
 ●余談――左利きの人への共感、等
 ●左利きのヴァイオリン演奏についての結論に満足、満足

 

■3回目――まつのじんのサイトの左利きページから

 「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
(2019年8月13日)
http://mjin.m1001.coreserver.jp/ [ヒダリスト/]
%e3%83%92%e3%83%80%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/

2019813-matunojin-lefty

第679号(Vol.21 no.2/No.679) 2025/2/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(28)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(3)」
【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.1
週刊ヒッキイ第679号-告知-楽器における左利きの世界(28)まつのじん(3)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-5db9f0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9d54a490b52746a60f5212b9afc3b88a

 ●「左ききは、アカン!? WHO is LEFTY■(?の倒立像)」
 ●「ひだりきき 異世界の民たち」
 ●「鏡の世界へ ようこそ」
 ●「左利き演奏者の おもい」=右利き社会に生きる左利き者の悩み
 ●「左利き演奏者の おもい」続き
 ●左利きは

 

■4回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第681号(Vol.21 no.4/No.681) 2025/3/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(29)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(4)」
【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.3.1
週刊ヒッキイ第681号-告知-楽器における左利きの世界(29)まつのじん(4)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-4c221d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ec35e4d1f81a0ac9153e695fbaaef719

 ●「左利き用の楽器 あるの?」
 ●ヴァイオリンの構造
 ●Amazonの「左利き用ヴァイオリンセット」
 ●「左利きの個性 おしえます^^」【松脂編】
 ●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】右手と左手の動き
 ●「左利きの個性 おしえます^^」【演奏編】脳の違い?

 

■5回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(30)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(5)」

【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.4.5
週刊ヒッキイ第683号-告知-楽器における左利きの世界(30)まつのじん(5)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/04/post-99dd44.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9c05f485df40b156b80fc269468ffb6e

 ●「演奏家の登場です」(1)左弾きヴァイオリニスト
 ●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト
 ●通常の「右用」鍵盤楽器について
 ●「左(手)利き用」の鍵盤楽器
 ●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い
 ●クリストファー・シードの左利き演奏の感想
 ●左利きの人は左利き用の道具を!

 

■6回目――まつのじんのサイトの左利きページから

第685号(Vol.21 no.8/No.685) 2025/5/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(31)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(6)」

【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.5.3
週刊ヒッキイ第685号-楽器における左利きの世界(31)まつのじん(6)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/05/post-144cd2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/eeb3d80c9a6227df747486f64257adf9

 ●「LEFTY-INFO-BOX」
 ●「HOW TO PLAY for LEFTY VIOLINIST」冒頭解説
 ●突撃する弓
 ●ウォーミングアップ<左(手)利き編>
 ●自分の指なのに…
 ●右手は今どこにいるのだろう…
 ●いつも曲線を意識してみませんか。
 ●「【ひだり図書館】です」

 

 今回は、過去6回に渡ってご紹介しました、
 左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの
 ご意見から、色々と考えてみようという試みです。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きと楽器演奏について考える

  左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さんの
   ご意見から考える(1)うれしかった情報

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●まちがいじゃなかった私の「鍵盤楽器は右利き用」という意見

一番うれしかった?情報は、やはり現行のピアノが右利き用だ、
というご指摘でした。

*参照:
■5回目――まつのじんのサイトの左利きページから
・第683号(Vol.21 no.6/No.683) 2025/4/5

 ●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト
 ●通常の「右用」鍵盤楽器について
 ●「左(手)利き用」の鍵盤楽器
 ●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い
 ●クリストファー・シードの左利き演奏の感想

↑このへんのお話です。

 

<●「演奏家の登場です」(2)左弾きピアニスト> のくだりで、
この連載でもたびたび取り上げてきた、
左利き用ピアノを使って演奏される
クリストファー・シードChristopher Seedさんのお話が出てきます。

Lefthandpiano

まつのさんは、

 《私はこの動画に接した時、生まれて初めて、鍵盤楽器の演奏を
  緊張しないで観る&聴くことができました。楽しめました。それまで、
  なんらかのストレスを伴っていたことに気づかされました。》

と、書いておられます。

 《登場する楽器は、フォルテピアノです。
  現代のピアノ(ピアノフォルテ)の前身です。
  そして調律は現代社会でよく用いられている「平均律」ではなく、
  古典調律のようです。
  ロベルト・シューマン(1810-1856)作曲の「蝶々」作品2(1829-1831)
  が演奏されています。》

だそうです。

そして、<●通常の「右用」鍵盤楽器について> のなかで、

 《一般的にチェンバロ(ハープシコード)、オルガン、ピアノなどの
  鍵盤楽器は、左側の鍵盤から右側の鍵盤へと音程が順に高くなって
  ゆきます。》

 《右(手)利きの人にとっては、音楽・音程の高揚が
  右側へと拡がるので、そのように創られたと推察されます。》

 《人それぞれによって異なりますが、
  左(手)利き人間は、
  音楽・音程の高揚が利き手側=左側に向かう方が、
  自然に感じられます。》

と、まつのさんの言葉を紹介しています。

<●「左(手)利き用」の鍵盤楽器> では、

 《↓この動画で使用されている鍵盤楽器のキーボードは、
  音程の並び方向が真逆にできています。「左(手)利き用」です。》

 《下図の上は、私たちが日ごろ目にしているキーボードの並び順です。
  白鍵(前鍵)は、左側から右側へ〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・
  ド〕と並び、音程が上昇します。
  この動画で使用されているキーボードの白鍵(前鍵)は、
  下図の下のように、右側から左側へ
  〔ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド〕と配置されています。
  それに添って黒鍵(後鍵)の並び方も逆仕様となっています。
  左側に向かって音程が上昇します。》

と、この左弾き用のピアノの鍵盤の並び方が説明されています。

250405-2019813-matunojin-hidarikiki-14

この鍵盤の並び方は、私も以前に書いています。

左から右(⇒)の動きが右利き用であれば、
左利き用は右から左(←)への動きなのです。

音楽素人の私の考えであった、
(1)現行のピアノや鍵盤楽器が右利き用であること、
(2)左利きの人用の左弾きピアノの鍵盤の並び方の例
とが、
まつのさんの言うところのものと同じだったのが、うれしかったのです。

 

*参照:

【右用ピアノの鍵盤】

(音階が上がる)⇒⇒⇒
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(左)ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド(右)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(音階が下がる)←←←
   
(左腕を押す)⇒┃    ┃⇒(右腕を引く)
(左腕を引く)←┗(身体)┛←(右腕を押す)

 

第616号(No.616) 2022/4/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(2)演奏時の腕の移動方向」
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.4.2
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)楽器における左利きの世界(2)-週刊ヒッキイ第616号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/04/post-7b0072.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/90951982e3ad1c1498e325ea8915cd0f

 

 ●右利き用であることに無自覚な右利きの人たち

次の<●「右(手)利き用」鍵盤楽器との違い> で紹介しているのは、

 《演奏する手も入れ替わります。
  私たちが日ごろ目にしていますがる「右(手)利き用」鍵盤楽器では、
  (原則として)楽譜(大譜表)の上段〔高音域〕を右手、
  下段〔低音域〕を左手が演奏します。
  ところが「左(手)利き用」鍵盤楽器では、
  その逆手で演奏することになります。》

 《下図の中央ように、(原則として)上段〔高音域〕の音符を左手が
  担当し、下段〔低音域〕の音符を右手が演奏することになります。
  こうなりますと、
  【音程の方向性と楽譜の地図(ながれ)が一致しない】
  と感じられませんか? 
  楽器のつくりと同様、楽譜のしつらえも「右(手)利き脳」に即して
  発想され、そして発達・発展してきたことがわかります。》

このお言葉の通り、鍵盤の並べ方という楽器の製作の発想も、
演奏にまつわる楽譜の表記の発想もすべて、
「右利きの人のための、右利きの人用」になっているのです。

こういう発想が根底にあるにもかかわらず、
実際に演奏している人たち(要するに右利きの人)は、
その事実をどの程度意識しているのか、
という疑問が強く!強く!湧いてくるのです。

たぶんほとんどの人は、意識していないのでしょう。

そういう「右利き優先、右利き偏重」の利き手に関する実態に
無自覚な態度が、また腹が立つのです。

 

 ●私も強調したい部分

<●クリストファー・シードの左利き演奏の感想> では、
彼の演奏の動画に関して、

 《この動画をごらんになって、「右(手)利き」の方の中には
  ⚡️違和感を感じる方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
  違和感を通り越して、気持ちが?不安定になる方がいらっしゃる
  かもしれません。あるいは、しばらく時を経てから
  不快感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

  私は、その心の衝動を充分に理解できます。
  なぜならその不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が
  日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならないからです。
  それは、生涯にわたり切り離せないものでしょう。》

と書いておられます。

後半の 《不安定な心の動きは、私たち「左(手)利き族」が
  日常的に内心と精神で味わっている 〈試練〉に他ならない》
の部分こそ、私も強調したい部分です。

 

 

 ●現実を知らしめる努力を!

結局、右利きの人たちは、
この現実の社会において多数派だというだけの理由で、
多大な恩恵を受けているのだという事実を、
しっかり受け止めて欲しいのです。

その事実に気付けば、少数派への配慮もおのずから生まれてくる、
はずです。

こういう現実社会における実態をもっと声高に発言して知ってもらう
という努力を、われわれは続けていかなければいけないのです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(32)左利きのヴァイオリニストまつのじん(松野迅)さんのご意見から考える」と題して、今回は全紹介です。

ピアノのような鍵盤楽器はみな右利き用だ、という事実をもっと多くの人に知っていただきたいものです。
「左利きは左利き用の道具を!」という時代に逆行しているという現実を、考え直していただきたいのです。

音楽は器楽演奏も含めて、幼児から親しむことが多いので、特に幼児向けの音楽教室では、当然のごとく右利き演奏を教えています。
しかし、先ほども言いましたように、「左利きは左利きのままで!」という時代にこれはやはり逆行している、というのが私の考えです。

幼児はまだ利き手が十分発達していないので、どちらでもいいじゃないか、と考える人もいるかもしれません。
しかしよく観察していれば、「強度の左利きの子」はすぐに分かります。
「中間的な子」の場合は、右使いでもいいじゃないか、となり得ますが、それ以外は絶対に左利き対応がふさわしいと考えます。

余談が長くなりました。
今日はこのへんで。

 

*注:
利き手には、“「右利き」と「左利き」の2種類がある”のではありません。
各人の利き手を調べる「利き手テスト」というものがあります。
最もよく知られたスタンダードな「エディンバラ(EDINBURGH)利き手テスト」、日本人向けに考えられた「H.N.きき手テスト」、比較的新しい「チャップマン(CHAPMAN)利き手テスト」、もっとも新しい「フランダース(FLANDERS)利き手テスト」などがあります。
それぞれの調査結果を右端に「強い右利き」、左端にその逆のほとんど動作で左手を使う「強い左利き」を置いたグラフに描きますと、それぞれに該当する人たちが「J」字型に分布するといいます。

右端に、ほとんどの動作で右手を使う「強い右利き」の人が最も多く(「J」字の長い部分に相当する)、左端に「強い左利き」の人がちいさな山(「J」字の左端のはねた部分に相当する)を作ります。
この間の「J」字の鍋底の部分に当たるのが、主に右手を使うが時に左手を使える「弱い右利き」からその逆の主に左利きだけれど右手も使える「弱い左利き」の人たちです。

この、「弱い右利き」や「弱い左利き」の人たちを「強い右利き」と「強い左利き」のあいだに存在するという意味で「中間の人(子)」と私は呼んでいます。
人は、それぞれに利き手の偏りの度合いが異なり、一言で「○○利き」と決め付けられるものではないということです。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

 

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

 

| | Comments (0)

2025.05.17

週刊ヒッキイ第686号-『左組通信』復活計画[37]『LL』復刻(10)LL10 1996年秋号(後)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

第686号(Vol.21 no.9/No.686) 2025/5/17
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)
LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第686号(Vol.21 no.9/No.686) 2025/5/17
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)
LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 久しぶりに今回は、
 季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻です。

 今回も新規入力分で、
 すなわち「ネット初公開!」――ということになります。

 今回は、前回に引き続き、LL第10号の後半をお送りします。

 

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (10)
 
   (内容紹介)LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

 

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

------------------------------------------------------------------

 

 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL10 概要

 

LL10 1996(平成8)年 秋号 A5版 8ページ

------------------------------------------------------------------
前説 The Compliments of the FALL Issue
―特集“左利きを科学する”(1)
------------------------------------------------------------------
左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!
------------------------------------------------------------------
■その1■…………………………………………………………………………
 スタンレー・コリン著 石山鈴子訳『左利きは危険がいっぱい』
    ((c)1992) 文藝春秋 刊より

 

(1) 利き手調査――あなたの利き手を調べてみましょう。
(2) 利き足調査――あなたの利き足はどちらでしょうか。
(3) 利き目調査――あなたの利き目はどちらでしょうか。
(4) 利き耳調査――あなたの利き耳はどちらでしょうか。
------------------------------------------------------------------
■その2■…………………………………………………………………………
 前原勝矢著 『右利き・左利きの科学』((c)1989)
  講談社ブルーバックス 刊 より
側性係数(LQ)を用いて利き手の程度を数値で確認してみよう
------------------------------------------------------------------
左利きの本だなぁ その8 お勉強編
 前原勝矢著『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・
  利き耳…』講談社ブルーバックス (c)1989
―<あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用した本。
------------------------------------------------------------------
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その9 Left-handed tools & goods
いつもポケットにウェンガー WENGER
―ウェンガー・スイス・アーミーナイフ レフトハンダー・シリーズ
------------------------------------------------------------------
右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
Letters from the right/left side seats
―右側の席から/左利き用品メーカーより/左側の席から
------------------------------------------------------------------
左利きのテキスト本紹介
―全巻左利きに関するもの/左利きに関する章を含むもの
------------------------------------------------------------------

 

250419-ll10

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 LL10 1996(平成8)年 秋号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

(後半)5ページから8ページまで

------------------------------------------------------------------
左利きの本だなぁ その8 お勉強編

 前原勝矢著『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・
  利き耳…』講談社ブルーバックス (c)1989

―<あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用した本。
------------------------------------------------------------------

 <あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用したのが、
この本。
 日本人の著者による、「左利き」について書かれた科学的な本の中で
いちばん手に入れやすく、わかりやすい本。

 私がおもしろいと思ったのは、人間の身体は一見左右対称形ではある
が、実は微妙に左右で異なっており、それぞれの役割分担が決められて
いて、その結果、人間が人間として他の動物たちと分かたれることになる
能力を得た、という考え。
 左右の役割分担が人間に言語と道具を作ることを可能にした、という。
そして、この左右の違いを生んだのは、ふたつに分かれた脳―左脳と右脳
―の存在であろう。

 気になるのは、矯正について、「右手利きは多数であり、社会は右手
利きを前提としているのが現状」だから、「さほどの努力を必要としない
程度のことであれば」、郷に入れば郷に従えの「柔軟な姿勢」で「使い手
を変えることは、悪いことでも、恐ろしいことでも」ない、と述べている
点。
 一見まっとうな意見だが、実は「長いものには巻かれろ」の強者の
論理。7年前の著作という時代背景の違いはあるものの、こういう考えの
持ち主が学者と呼ばれる人たちのあいだにも当時まだ存在していたという
状況は、まさに社会がさまざまな差別や偏見を容認していたという事実を
示している。
 前提がまちがっているのだ! 正しくは、右利き左利きにかかわらず
「だれでも…」、「どちらの手でも…」の考え方である。

*『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・利き耳…』
前原勝矢/著 講談社ブルーバック782 1989/6/1
250419-migikiki-hidarikiki-no-kagaku

(Amazonで見る)

 

------------------------------------------------------------------
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その9 Left-handed tools & goods

いつもポケットにウェンガー WENGER

―ウェンガー・スイス・アーミーナイフ レフトハンダー・シリーズ
------------------------------------------------------------------

 

 私は数年前からこのシリーズのポケットナイフのひとつ<キャンパー・
レフト>を愛用している。特に便利なのがハサミ。小さいけれど切れ味
バツグンで、ちょっとしたときに非常に重宝している。

 ハイカー・レフト、キャンパー・レフト、トラベラー・レフト、
サイクリスト・レフトの4種類。左利き用となると割高になるのが普通
だが、右利き用と同一価格で提供されているのがうれしい。

(*注:以下に、ウェンガーのレフトハンダー・シリーズのカタログから
 写真と説明を転載している。)

250517-wenger

19965-hidarigumituusin-no10-wen_20250516171601

(画像:ウェンガーの日本での発売元だった日本シイベルヘグナーのSさんからいただいた資料を基に作成した、当時並行して出していた新聞『左組通信』第10号(平成8(1996)年5月)「ウェンガー/レフトハンダー・ポケット・ナイフ 紹介号」)

 

------------------------------------------------------------------
右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
Letters from the right/left side seats

―右側の席から/左利き用品メーカーより/左側の席から
------------------------------------------------------------------

<左側の席から>⇒⇒⇒

【わたしたちはひとりではない】(やすお)

 この夏私の元に一枚の往復はがきが舞い込んだ。
「私は左利きで左利き用に作られた商品を探して各社色々と問い合わせて
いたところミズノKK(お客様商品相談センター)より、やすお様が
新聞を発行されておられるので一度連絡をされたらどうかと住所を教えて
いただきました。」
 と、同じ市内に在住のTさん。
 さっそくお会いして大いに盛り上がり、語り合いました。久々の快感!
溜飲が下がる思いでした。同志とめぐり合えた気分。幕末の志士たちも
きっとこんな気持ちでいたのでしょう!
 Tさんは、非常に熱心に左利き用品を探し、あるいは左利きの人に
とって不便に思われることに関して企業にアピールしてこられた方で、
いろいろと新しい情報を教えていただきました。大いに触発され、新たな
力が湧いてきました。やったるでェー!

 

<左利き用品メーカーより>⇒

▼川嶋工業株式会社・商品企画開発部・Oさん

 先のTさんから教えていただいた左利き調理用品 <サンクラフト>
“愛妻専科”シリーズ・左きき用11品目の製造販売元――

「当社は、家庭用の刃物を中心に、調理用品、卓上用品、製菓用品などを
企画からデザイン、開発、製造販売をさせていただいているメーカーで
ございます。」
「左利きの方々にとって、生活の中で、自分の片腕としてご使用頂ける
ものを提供させて頂けるよう、研究をしております。
 1、幼児専用のはさみは17年前に香川県の幼稚園の先生と一緒に研究
しできあがりましたものです。このとき幼稚園児の中には25%ぐらいの
左利きの子があったかとおもいます。そこで、左利きも同時に製品化し
使用して頂けるようになりました。この時点で価格も右も左も同じで
提供させてもらいました。現在も販売をさせて頂いております。
 2、その後、調理用品につきましても検討をしておりましてようやく
94年、製品化をいたしました。」
「まだまだ、研究を重ねなければ本当に満足していただける物には
なりません。左利きの皆さんにご使用頂きまして、これからもさらに良い
ものに、また新しい物をご提供させていただければと考えております。
左利きの方々が本当に必要とされているものはなにか、共に考え、具体的
に企画し商品開発できればと思います。」

● ていねいな手紙と“愛妻専科”のカタログ、この左利きシリーズを
 紹介した産経新聞の記事と百貨店の広告、そして幼児専用はさみ
 <ちょっきんな>のパンフレット、並びにその開発に当たった大学の
 研究報告の資料を送っていただきました。とても熱心に左利き用品に
 取り組んでおられる、会社の姿勢がうかがえて、たいへんうれしく
 思いました。ぜひとも、この熱意に水をささぬよう、広く左利きの人達
 に使っていただけるように、わが“LL”でも積極的に応援します。
 (やすお)

19968-hidarigumituusin-no11-aisaisenka

(画像1:川嶋工業株式会社・商品企画開発部・Oさんから頂いた資料を基に作成した、当時並行して出していた新聞『左組通信』第11号(平成8(1996)年8月)「サンクラフト愛妻専科 左きき調理用品 紹介号」)

19968-aisaisenka-siryou

(画像2:川嶋工業株式会社・商品企画開発部・Oさんから頂いた資料――産経新聞の記事と百貨店の広告)

 

←←←<右側の席から>

▼両手利きの――――<静岡県のNさん>

「『おっ、来たぞ』内心そんな呟きで、読んでいます。多忙な日々を
送っていると、“LL”のことも忘れがちになってしまうのですが、郵便
受けの中に見つけたりすると何やら心待ちにしていたような気がするので
不思議です。…現在私が一番関心のあるのは、左利きと右脳との関係です
が、もしこれに関する情報等お持ちでしたら、次次次…回でけっこうです
ので特集を組んでください。」

● 今回から、「左利き」について科学する、という特集を始めました。
 とこまで実態に迫れるかわかりませんが、いろんな本をテキストに
 「左利き」の謎にチャレンジしてみます。(やすお)

 

------------------------------------------------------------------
左利きのテキスト本紹介
―全巻左利きに関するもの/左利きに関する章を含むもの
------------------------------------------------------------------

 ここで、私が読んだ範囲で、これはという「左利き」のテキスト本を
紹介しましょう。

 

 ・・・「左利き」について知るための本・・・

◆全巻左利きに関するもの

・『左利きは危険がいっぱい』スタンレー・コレン著 文藝春秋
(原著1992 日本語版1994)刊――“LL”3号/左利きの本だなぁ 参照
・『右利き・左利きの科学』前原勝矢著 講談社ブルーバックス(1989)刊
――“LL”10号/左利きの本だなぁ 参照
・『左ききの人の本』斎藤茂太著 MG出版(1987)刊
 (文庫版)『左利きの人はなぜ才能があるのか』KKベストセラーズ/
 ワニ文庫――“LL”5号/左利きの本だなぁ 参照
・『かくれた左利きと右脳』坂野登著 青木書店(1982)刊

 

◆左利きに関する章を含むもの

・『新版 自然界における左と右』マーティン・ガードナー著
 紀伊國屋書店 刊
・『手と脳―脳の働きを高める手』久保田競著 紀伊國屋書店 刊
・『右脳革命』大前研一編訳/T・R・ブレークスリー 新潮文庫 刊
・『左の脳と右の脳』医学書院 刊

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」と題して、今回は全紹介です。

『LL(レフティーズ・ライフ)』第10号 1996(平成8)年 秋号 の(後半)部分です。

第10号にして、
「特集“左利きを科学する”(1)―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!」
と意気込んで始めたのですが、その後あれこれあって、日を置いた次号で紙の時代は終わってしまいます。

今思いますと、気負い込みすぎだったのかも知れません。
仕事がだんだん忙しくなり、一方で、こちらの仕事量も自分の能力を超えるような、難しいチャレンジを始めてしまい、過負荷になってしまったようです。

今みたいな、だましだましやるのが私の実力にあったやり方だったのかも知れません。

それでも、結果的にここまでこれたのだから、それはそれで良かったのでしょう。

済んだことを今になってにあれこれいってみても詮無いこと。
とにもかくにも、3年11号(LL1-1994(平成6)年 夏号 ~ LL11 1997(平成9)年 夏号終刊号)がんばったのですから。
その前のはがき大の“新聞”からですと、1991年からですので、6年以上。

まったくの素人が情熱だけでやり遂げたのですから、それなりに、褒めてあげたい気持ちです。
よう、やらはりましたなあ!

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

 

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

 

| | Comments (0)

2025.05.15

私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!-楽しい読書388号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

 

2025(令和7)年5月15日号(vol.18 no.8/No.388)
「私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!」

 

------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2025(令和7)年5月15日号(vol.18 no.8/No.388)
「私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ここんところ、この「私の読書論」では、もっぱら<町の本屋論>を
 新聞や書籍の情報を紹介しながら、私なりの本屋論を語ってきました。

 今回は、そちらはいったんお休みして、私個人について書いておこう、
 と思います。

 実はこの4月はけっこう色々なことがありました。

 70歳を超えたぐらいの年齢になりますと、何かがあったと言えば、
 思い浮かぶのは、四苦八苦のうちの「病死」ということになりますが、
 まあ、それに似たもので、「別れ」ですね。
 いくつかの別れの時が来てしまったのです。

 で、その時に思ったことがありました。

 今回はそれについて書いて見よう、と思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 私の読書論196 -

  ~ <後世への最大遺物>としての紙の本を! ~

  内村鑑三『後世への最大遺物』を紹介しながら……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●「四苦八苦」

仏教では、人は生まれながらに八つの「苦」を背負っている、
と教えます。
人生において避けては通れない、人間の根源的な苦しみですね。

何かがうまく行かずに苦労するときに、「四苦八苦」する、
といった言い方をします。

この「四苦八苦」とは、仏教の言葉です。

「四苦」とは、生老病死。

生苦(しょうく):人は「生まれ」を選ぶことができません。
老苦(ろうく):日々年老いてゆくことを止められません。
病苦(びょうく):いつどんな病気にかかるかわかりません。
死苦(しく):人は必ず訪れる死をまぬがれることはできません。

さらに次の四つの句を合わせて、「八苦」といいます。

愛別離苦(あいべつりく):愛する人との別れの苦しみ
求不得苦(ぐふとくく):欲しいもの、求めるものを得られない苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく):嫌なことや嫌いな人と出会う苦しみ
五陰盛苦(ごおんじょうく):
 自分の体や心が思いのままにならない苦しみ

今回私はいくつかの別れ、失うことがありました。

人はそういう喪失感に陥るとき、色々と考えるものではないでしょうか。

 

 ●生きてきた証として遺すもの

人として生きてきた証をほしい、と強く思うようになりました。

以前からそういう思いはありました。
誰でもそうでしょう。
何かしら自分がこの世に生きてきた証を遺しておきたい、と思うことが。

 ・・・

内村鑑三さんの名著(だと思っている!)に
『後世への最大遺物』という講演録があります。

ご存知のように、内村鑑三さんは、クラーク博士の
「ボーイズ・ビー・アンビシャス」“Boys, be ambitious!”
で有名な札幌農学校の第二期生で、
『武士道』や昔の五千円札で有名な新渡戸稲造さんらと同級生です。

新渡戸さんがどちらかといいますと、表舞台で活躍したのに比べますと、
内村さんのほうは、少し裏道といいますか、
ちょっと日陰の存在のような印象があります。

不敬事件が影響しているせいもあるか、と思います。

内村さんの著作では、『代表的日本人』が有名です。
この本を、弊誌

*参照:
2009(平成21)年12月31号(No.29)-091231-
『代表的日本人』内村鑑三―I for Japan

で紹介する際に、評伝とともに、
『余は如何にして基督信徒となりし乎』と本書を読みました。
50代半ばぐらいでしたか。
それ以来、私の人生の一つの目標のようになっているのです。

『後世への最大遺物』は、青空文庫でも読めます。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000034/files/519_43561.html

これは、明治二十七年七月の夏季学校での講演録ということで、
非常に読みやすく、難しいところのない、短い作品です。

私の持っているのは、岩波文庫版の二本立ての
『後世への最大遺物 デンマルク国の話』という本です。

・『後世への最大遺物 デンマルク国の話』内村鑑三 岩波文庫 改版
(解説=鈴木範久) 2011/9/17

250515-kouseihenosaidaiibutu

(Amazonで見る)

 

 ●『後世への最大遺物』

前半が『後世への最大遺物』です。
その本の巻末の鈴木範久さんの「解説」に、
大まかな内容紹介の文章がありますので、それを引用しておきましょう。

《内村鑑三の話はくだけた調子で語られ、随所に笑い声も生じている。
 この美しい地球に生まれたからには
 何か記念となる物を遺して逝かなくてはならない。
 では、その仕事は何か。内村鑑三は、自分の過去の経験も織り交ぜて、
 金銭、事業、思想、文学、教育をあげる。
 しかし、いずれも一定の才能がなくてはできるものではない。
 では何の才能もないものにできるものとは何か。
 それは「勇ましい高尚なる生涯」であると結んでいる。》

内村鑑三さんはキリスト教徒ですので、
そういう宗教的な背景からのお話となっています。

しかし、そういう部分を抜きにしても、人と生まれて来た私たちが、
己の人生の記録として、後世のために何かしら遺しておきたい、
とすれば、何がふさわしいのか?
――という疑問は、どなたにもあるのではないか、と思います。

才能はなくても、運よくパートナーに恵まれ、
子を遺すことの出来た人は、それはそれで結構な人生だった、
と言えるのはないか、と私には思えます。

しかし、私のように、自分の力のなさから、
そのようなチャンスを得られなかった者にも、
何かしら遺せるものがあるとすれば――
それは、まさにこの内村鑑三さんの言葉にあるものぐらいではないか、
と思うのです。

 

 ●内村鑑三さんの結論――「真面目なる生涯を送った人」

「青空文庫」本文より――「勇ましい高尚なる生涯」

《それならば最大遺物とはなんであるか。
 私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、
 ソウしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、
 利益ばかりあって害のない遺物がある。
 それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います。
 これが本当の遺物ではないかと思う。
 他の遺物は誰にも遺すことのできる遺物ではないと思います。
 しかして高尚なる勇ましい生涯とは何であるかというと、
 私がここで申すまでもなく、
 諸君もわれわれも前から承知している生涯であります。
 すなわちこの世の中は
 これはけっして悪魔が支配する世の中にあらずして、
 神が支配する世の中であるということを信ずることである。
 失望の世の中にあらずして、
 希望の世の中であることを信ずることである。
 この世の中は悲嘆の世の中でなくして、
 歓喜の世の中であるという考えをわれわれの生涯に実行して、
 その生涯を世の中への贈物としてこの世を去るということであります。
 その遺物は誰にも遺すことのできる遺物ではないかと思う。(略)》

Dsc08289-koushounarushougai

同――「己の信ずることを実行するものが真面目なる信者」

《(略)来年またふたたびどこかでお目にかかるときまでには少くとも
 幾何いくばくの遺物を貯えておきたい。この一年の後にわれわれが
 ふたたび会しますときには、われわれが何か遺しておって、
 今年は後世のためにこれだけの金を溜めたというのも結構、
 今年は後世のためにこれだけの事業をなしたというのも結構、
 また私の思想を雑誌の一論文に書いて遺したというのも結構、
 しかしそれよりもいっそう良いのは
 後世のために私は弱いものを助けてやった、
 後世のために私はこれだけの艱難に打ち勝ってみた、
 後世のために私はこれだけの品性を修練してみた、
 後世のために私はこれだけの義侠心を実行してみた、
 後世のために私はこれだけの情実に勝ってみた、
 という話を持ってふたたびここに集まりたいと考えます。
 この心掛けをもってわれわれが毎年毎日進みましたならば、
 われわれの生涯は決して五十年や六十年の生涯にはあらずして、
 実に水の辺ほとりに植えたる樹のようなもので、
 だんだんと芽を萌ふき枝を生じてゆくものであると思います。
 けっして竹に木を接つぎ、木に竹を接ぐような少しも成長しない
 価値のない生涯ではないと思います。
 こういう生涯を送らんことは実に私の最大希望でございまして、
 私の心を毎日慰め、かついろいろのことをなすに当って
 私を励ますことであります。(略)》

 

同――講演の最後の締めの言葉――「真面目なる生涯を送った人」

《われわれに後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人に
 これぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、
 アノ人はこの世の中に活きているあいだは
 真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを
 後世の人に遺したいと思います。》

Dsc08113-majimenarushougai

私自身、「真面目なる生涯を送った人」とまでは言われないまでも、
「真面目な、いい人だった」ぐらいの評判は遺したいなあ、
という気持ちです。
今までも、「真面目な人」とか「いい人」とかいわれてきましたけれど、
「ただ真面目なだけ(で、これといって才能も能力もない)」だったり、
「いい人(だけど、これといって魅力のない)」だったり……。

 

 ●ネット情報では……

このような、それなりの評判は遺せるかも知れないけれど、
できるならば、もう少し何かを遺したい、という気持ちがあります。

今、一部ではありますが、「左利き」に関してはそれなりの評価
(といいますか、それに近いもの)をいただいています。

自分でも「<左利きライフ研究家>30年超」と自称しています。

ネットでは左利きメルマガを680号超、21年続けています。
ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』での左利き関連記事の発信も、
2003.12.24から21年半近くになります。

『日本左利き協会』のサイトでもご紹介頂いています。

*参照:『日本左利き協会』サイト―左利き便利帳
レフティやすおさんのメルマガとブログ
https://lefthandedlife.net/leftyyasuo.html

2023lhaj-hidarikiki-benrichou

今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』もありました。

「左利き」に関しては、現時点では少しは知られた存在となっている、
ようです。

しかし、これらのネットの成果は、
現状ではいずれ消えてしまうものです。

現に、先ほども上げた、ホームページ『レフティやすおの左組通信』は、
消えてしまいました。
場を提供していた会社のサービス変更に伴い、
移行すれば残せたのですが、すでに更新を止めていたので、
消滅させることにしました。

別の形で復活させたいと思い、現在メルマガで一部紹介しています。

 

 ●私の「後世への最大遺物」

内村鑑三さんは、《この美しい地球に生まれたからには
 何か記念となる物を遺して逝かなくてはならない》(上記「解説」)
として、思想や文学、教育を上げています。

確かにこういうものも誰にでもできることではありません。

しかし、今のところ、「左利きの情報」に関しては、
さらに「左利きへの思い」に関しては、
私は私なりに、色々と集め、書いて来ました。
その情報は、十分遺すに足るものではないか、という自負もあります。

で、今私が考えているのは、やはりネットの情報は消えてしまうので、
なんとか紙の本、それも商業出版で遺したい、ということです。

商業出版の紙の本なら、少なくとも国立国会図書館には保存されます。

個人的に保存する人もいらっしゃるでしょう。
また、ある程度の部数が出れば、古本として残る率が高くなります。

自分の仕事が、そういう目に見える形で残せれば、それは結果的に
私の「後世への最大遺物」といえるでしょう。

 

 ●「左利きの本」を遺したい

今、過去に書き散らした文章をテーマ毎にまとめ始めています。
月に4本のメルマガ(左利きメルマガ2本と読書メルマガ2本)で
手一杯になってはいますが、閑をみて、原稿作りに励んでいます。

紙の本について、まったく努力していなかったわけではありませんが、
基本人任せでした。

実際に「左利きの本」といいますと、
なかなか出版社の人から相手にしてもらえない傾向にあります。

「左利き」関係の本でベストセラーになった本
というのも限られていますし、それらの多くは名のある人であったり、
社会的地位のある人だったり、です。

私のように、何の権威でもなく、過去に本を出した実績もなく、
有名でもない人の場合、非常にハードルが高い、と考えられます。

それでも熱意があれば、なんとかなるのではないか、
という気持ちでいます。

 ・・・

「左利きの問題」があるのだ、という事実をもっと広く世に知らせ、
後に続くであろう、左利きの子供たちのために、今の社会を
もう少し左利きの人にとって生きてゆきやすいものに変えていきたい、
という気持ちでいます。

そのために、「左利き」について語り、本に遺したいものです。

 ・・・

左利きの本について書きましたが、
弊誌に書き散らしてきた、私の読書論やオススメの本
(例えば、<クリスマス・ストーリーをあなたに>など)
についても書いてみたいものです。

実はこちらも一部ですが、一つのテーマで文章をまとめ始めています。

いつになるかわかりませんが、死を考える機会が多くなっている昨今、
早急になんとかしなければ、という気持ちにはなっています。
頑張りますので、応援よろしくお願いいたします!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論196-<後世への最大遺物>としての紙の本を!」と題して、今回も全文転載紹介です。

春という季節は、出会いと別れの季節とも言われます。
もう5月になってしまいましたが、この春は私にとってけっこう色々なことがありました。
別れもありました。
別に嫌いになったとか何かではなく、年齢的なもの、加齢に伴うものといってもいいでしょう。
仕方のないことです。
出会いがあれば、いつか別れが来るのは、人生の必然でもあります。

死すべき人間である限り、これはどうしようもないものなのですから。

まあ、そんなこんな色々ありまして考えてしまったのが、今回のテーマになっています。

生きてきた証として何か遺したい、これは人間として誰もが考えることだと思うのです。
特にもう終わりが近づいてきた人にとっては、重大なことといえましょう。

ま、そういうわけで、今回はこうなりました。

願いはかなえられるのでしょうか?
努力しだいですよね。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

 

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

 

| | Comments (0)

2025.04.19

週刊ヒッキイ第684号-告知-『左組通信』復活計画[36]『LL』復刻(9)LL10 1996年秋号(前)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!) 
【最新号の告知】

第684号(Vol.21 no.7/No.684) 2025/4/19
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(9)
LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第684号(Vol.21 no.7/No.684) 2025/4/19
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(9)
LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 久しぶりに今回は、
 季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻です。

 今回も新規入力分で、
 すなわち「ネット初公開!」――ということになります。

 ここまで8ページ一挙公開してきましたが、
 今回はスペース的にむずかしく、前・後半二回に分けてお送りします。

 

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (9)
 
   (内容紹介)LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

------------------------------------------------------------------

 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL10 概要

LL10 1996(平成8)年 秋号 A5版 8ページ

------------------------------------------------------------------
前説 The Compliments of the FALL Issue
―特集“左利きを科学する”(1)
------------------------------------------------------------------
左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!
------------------------------------------------------------------
■その1■…………………………………………………………………………
 スタンレー・コリン著 石山鈴子訳『左利きは危険がいっぱい』
    ((c)1992) 文藝春秋 刊より

(1) 利き手調査――あなたの利き手を調べてみましょう。
(2) 利き足調査――あなたの利き足はどちらでしょうか。
(3) 利き目調査――あなたの利き目はどちらでしょうか。
(4) 利き耳調査――あなたの利き耳はどちらでしょうか。
------------------------------------------------------------------
■その2■…………………………………………………………………………
 前原勝矢著 『右利き・左利きの科学』((c)1989)
  講談社ブルーバックス 刊 より
側性係数(LQ)を用いて利き手の程度を数値で確認してみよう
------------------------------------------------------------------
左利きの本だなぁ その8 お勉強編
 前原勝矢著『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・
  利き耳…』講談社ブルーバックス (c)1989
―<あなたの左利き度をしらべてみよう>その2で引用した本。
------------------------------------------------------------------
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その9 Left-handed tools & goods
いつもポケットにウェンガー WENGER
―ウェンガー・スイス・アーミーナイフ レフトハンダー・シリーズ
------------------------------------------------------------------
右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
Letters from the right/left side seats
―右側の席から/左利き用品メーカーより/左側の席から
------------------------------------------------------------------
左利きのテキスト本紹介
―全巻左利きに関するもの/左利きに関する章を含むもの
------------------------------------------------------------------

250419-ll10

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 LL10 1996(平成8)年 秋号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

------------------------------------------------------------------
前説 The Compliments of the FALL Issue

―特集“左利きを科学する”(1)
------------------------------------------------------------------
 左利きに関するいちばんの疑問は、
「なぜ人間には右利きと左利きがあるのか?」ということでしょう。
それは「利き手はいかにしてつくられるのか?」と言い換えることも
できるかもしれません。
 人が左利きになる理由・原因とはなにか?
 今回からしばらくこの問題に挑戦してみましょう!

 第一回は、アンケート編です。
「左利き」についてより深く知るために、まずあなたの利き手を調べて
みましょう。
科学啓蒙書から、利き手調査のための質問をひろってみました。

 本題に入る前に、ちょっとした質問をします。

(『左利きは危険がいっぱい』スタンレー・コリン著 石山鈴子訳
 文藝春秋 より)

250419-kiken-ga-ippai-h

 

 次の○○○に「左利き」という言葉を当てはめたときに、Bさんの
いわんとする意味をどう解釈しますか?

 Aさん「どんな具合でしたか?」
 Bさん「彼の振るまいは、まるで○○○のようでしたよ」

 これは、あなたの「左利き」に対するイメージに関する調査――
ハンディズム(利き手差別)について――でした。
 例えば、「天才」とか「英雄」という言葉を当てはめると、万事うまく
行ったことになる。逆に、「大バカ者」とか「まぬけ」といった言葉を
入れると、ことがはかばかしくなかったことになる。
 調査によると、「不器用だ」「まぬけだ」とか「場違いだ」「無礼だ」
など、91%の人がマイナスのイメージに解釈したという。
 意識する、しないに関わらず、「左利き」に対して否定的な固定的観念
を持っている人が大部分なのだそうです。そして、残りの人はたぶん
左利きの人なのでしょう。
 さて、あなたの場合はどうでしたか?

――From the Publisher やすお

 

------------------------------------------------------------------
左利きの生活 To Live In The Right-Handed World

―あなたの<左利き度>をしらべてみよう!
------------------------------------------------------------------

■その1■…………………………………………………………………………
 スタンレー・コリン著 石山鈴子訳『左利きは危険がいっぱい』
 ((c)1992) 文藝春秋 1994 刊より

250419-kiken 

(Amazonで見る)

………………………………………………………………………………………

 

 あなたの左利き度を、利き手・利き足・利き目・利き耳について
それぞれ調べてみましょう。

(1) 利き手調査――あなたの利き手を調べてみましょう。

 下記の質問に答えてください。それぞれの動作にどちらの手を使うか、
 もっとも良く当てはまるもの――「右」「左」「両方」――に○を
 付けてください。
 自信がないときは実際にやってみて、どちらの手を使っているか
 確かめてください。

1 普段、字を書くとき―――――――――――― 右 左 両方
2 絵を描くとき――――――――――――――― 右 左 両方
3 ボールを投げたり、的に当てたりするとき―― 右 左 両方
4 テニスなどでラケットを握るとき―――――― 右 左 両方
5 歯ブラシを持つとき―――――――――――― 右 左 両方
6 ナイフでものを切るとき―――――――――― 右 左 両方
7 釘を打つとき、ハンマーを持つのは――――― 右 左 両方
8 マッチをするとき、マッチを持つのは―――― 右 左 両方
9 消しゴムで消すとき―――――――――――― 右 左 両方
10 トランプなど、カードを配るとき――――― 右 左 両方
11 針に糸を通すとき、糸を持つのは――――― 右 左 両方
12 ハエたたきを持つのは―――――――――― 右 左 両方

 それぞれの答えのうち、「右」の答えに3、「両方」の答えには2を
掛け、その数に「左」の数を足したものが、あなたの得点です。

「右」 ×3=〔 〕
「両方」×2=〔 〕
「左」   =〔 〕
――――――――――
あなたの得点 〔 〕

得点33~36: 強度の右手利き
  29~32:中程度の右手利き
  25~28: 軽度の右手利き
     24:    両手利き
  20~23: 軽度の左手利き
  16~19:中程度の左手利き
  12~15: 強度の左手利き

 

(2) 利き足調査――あなたの利き足はどちらでしょうか。
 利き手の場合と同じ要領で行ってください。

1 ボールを蹴ったり、的に当てたりするとき――― 右 左 両方
2 足の爪先で小石を拾い上げたいと思ったとき―― 右 左 両方
3 虫を踏みつぶすとき―――――――――――― 右 左 両方
4 椅子の上に足をのせなければならないとき、
  どちらから先にのせますか―――――――――― 右 左 両方

 

(3) 利き目調査――あなたの利き目はどちらでしょうか。
 利き手の場合と同じ要領で行ってください。

1 望遠鏡をのぞくとき―――――――― 右 左 両方
2 瓶の中をのぞくとき―――――――― 右 左 両方
3 鍵穴からのぞくとき―――――――― 右 左 両方
4 ライフルの照準を合わせるとき――― 右 左 両方

 

(4) 利き耳調査――あなたの利き耳はどちらでしょうか。
 利き手の場合と同じ要領で行ってください。

1 締め切ったドアの向こうに会話を聞くとき、
  どちらの耳をドアにあてますか――――― 右 左 両方
2 ラジオのイアホンは―――――――――― 右 左 両方
3 人の心臓の鼓動を聞くとき――――――― 右 左 両方
4 時計のコチコチという音を聞くとき――― 右 左 両方

 

(2)(3)(4)それぞれの利き側の得点

11~12: 強度の右側利き
 9~10:混合型の右側利き
    8:    両側利き
  6~7:混合型の左側利き
  4~5: 強度の左側利き

調査によると、

 強度の右手利きは、72%
 強度の左手利きは、 5%
 両手もしくは混合型は、22%
 
それにひきかえ、利き足では、

 強度の右足利きは、46%
 強度の左足利きは、 4%
 混合型は、    50%

利き目でも、

 強度の右目利きは、54%
 強度の左目利きは、 5%
 混合型は、    41%

にものぼるという。

利き耳は、もっと希薄で、

 強度の右耳利きは、35%
 強度の左目利きは、 5%
 混合型は、    60%

と、右耳利きはわずか35%で、大半は混合型を示すという。

さて、あなたの場合は? 

 

■その2■…………………………………………………………………………
 前原勝矢著 『右利き・左利きの科学』((c)1989)
  講談社ブルーバックス 刊 より

250419-migikiki-hidarikiki-no-kagaku

(Amazonで見る)

………………………………………………………………………………………

 利き手は、右または左と二分されるものではなく、右に近い両手利きや
左に近い両手利きなど、様々な程度の両手利きが存在する。
 側性係数(LQ)を用いて、利き手の程度を数値で確認してみよう。

1 文字を書く―――――― 右手 左手 両手
2 ハシをつかう――――― 右手 左手 両手
3 絵をかく――――――― 右手 左手 両手
4 ハサミをつかう―――― 右手 左手 両手
5 ボールを投げる―――― 右手 左手 両手
6 歯ブラシをつかう――― 右手 左手 両手
7 スプーンをつかう――― 右手 左手 両手
8 短いホーキを持つ――― 右手 左手 両手
9 マッチをする――――― 右手 左手 両手
10 ビンのフタをひねる― 右手 左手 両手

〔計算式〕LQ=100×(右-左)÷(右+左+両手)

すべての動作を右手で行う人は、LQ=プラス100。
逆にすべての動作を左手で使う人は、マイナス100。
右手利きから左手利きまで20段階に評価することができる。
結果は以下のとおり。あなたはどうでしたか?

(*注:以下に『右利き・左利きの科学』から写した、
    手書きのグラフを図示。今回は数値で表現してみました。)

250419-1415kikite

【14~15歳の男性の利き手分布】

100~91 :50%弱 ―――――↑右手利き傾向
 90~81 :20%弱 
 80~71 :15%ぐらい
 70~61 :7~8%ぐらい
 60~51 :5%ぐらい
 50~41 :3%ぐらい
 40~31 :2~3%
 20~11 :2%ぐらい
  0~-9 :2%ぐらい
-20~-29:1~2%
-40~-49:2~3%
-60~-69:2~3%
-80~-89:3%ぐらい
-90~-100:5%ぐらい ―――↓左手利き傾向

LQの値が高い(プラス)ほど、右手利き傾向が強く、
低い(マイナス)ほど、左手利き傾向が強い。

 

250419-migihidari-dousa

【動作の難易度による右手利き頻度の違い】

 びんのふた:80%弱
ほうきをもつ:87~88%
  歯ブラシ:90%弱
 さじをもつ:92%ぐらい
 ボール投げ:93%ぐらい
   マッチ:94%ぐらい
    ハシ:95%ぐらい
   ハサミ:96%ぐらい
    絵画:97%ぐらい
    書字:98%ぐらい

難しい動作ほど利き手がハッキリする。

 ・・・

以上、ここまでで前半4ページ分が終了です。

紙版の誌面では、余白を利用して、うまく詰めて紹介していました。
こちらでは、その辺がむずかしく、長くなってしまいました。

次回、後半の5~8ページ分を紹介します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(9)LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)」と題して、今回は全紹介です。

紙版の復刻版の10号まで来ましたが、いよいよゴール間近となりました。

このあと、本格的に活動が進むのかと思っていたのですが、仕事が忙しくなったり、ちょっとした病気になったり、で頓挫してしまいます。
やはり無理は良くないということだったのですね。
背伸びしていたようです。
何事もほどほどにしておくべきでした。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

 

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

 

| | Comments (0)

2025.03.15

[コラボ]<左利きミステリ>第7回国内編(後)再発掘作-楽しい読書384号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 
【最新号】

2025(令和6)年3月15日号(vol.18 no.4/No.384)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介」

 

------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2025(令和6)年3月15日号(vol.18 no.4/No.384)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 × × × × × × × × × × × × × × × ×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第682号(Vol.21 no.5/No.682) 2025/3/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*「前編」も見てね! 「前編」はこちらで↓
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(9:40 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000171874.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回も先月に引き続き、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画、
 <左利きミステリ>の第7回目。

 過去5回は、第6回の(前編)をご参照下さい。

第680号(Vol.21 no.3/No.680) 2025/2/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(前編)新規発見作紹介」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第7回 国内編
(前編)新規発見作紹介

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第7回 国内編
(後編)再発掘作紹介

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<国内編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等の広義の「ミステリ」の総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』

------------------------------------------------------------------
*(新たに表示記号の追加・変更があります)

 1843:新聞・雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 (フランス/中国):出版国/作品の舞台となる国―出版国と異なる場合
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編 
 エミール・ガボリオ:作者名 
 [シャーロック・ホームズ]:登場する「名探偵」(シリーズ探偵)の名
 ・特記事項
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [外]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [H]:ホラー [SF]:SF [F]ファンタジー
 [傍]:メインのストーリーとは無縁の傍系の話
 [参]:参考作品(一般小説・児童書、小説以外のノンフィクション等)
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

 (探):左利きの探偵/探偵役
 (被):左利きの被害者
 (犯):左利きの犯人
 (容):左利きの容疑者
 (他):左利きのその他の事件関係者
 (脇):脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物
    ([傍]メインのストーリーとは無縁の傍系の話に登場する人物)

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<国内編> 再発掘作紹介

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
(再発掘/リスト漏れ<左利きミステリ>)
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

 

今回は、<左利きミステリ>の国内編の再発掘編。
再発掘もしくは、忘れ物ですね。

ただ、内容を御覧いただければ分かりますように、
純粋に「ミステリ」と呼べそうなものは、山本周五郎の作品ぐらいです。
ほとんどが「非ミステリ」という感じです。
広義のミステリとしても、ホラー系です。

参考作品として「左利き」の性質といいますか、「左利き」の本質、
あるいは、発表当時の社会の平均的な「左利き」感、もしくは
「左利き」に対する見方というものを知っていただくための情報として、
その価値があるかと思います。

 

 ●「一粒の真珠」山本周五郎

1947「一粒の真珠」山本周五郎 (容)
<左利きの容疑者、「ぎっちょの文治」>
初出『新青年』1947年2月号
――窃盗容疑者の許嫁者の元不良の徒「ぎっちょの文治」。
 お嬢様の首飾りの真珠を盗んだ罪をかぶせられた小間使いの許婚者の
 文治は、元不良ということで、容疑者の共犯と疑われる。

・『山本周五郎長篇小説全集 23 寝ぼけ署長』新潮社 2014/11/27
(Amazonで見る)

Dsc07145nebokeshochou

・『寝ぼけ署長』山本 周五郎/著 新潮文庫 第二版 2019/3/28
(Amazonで見る)

 

*参照:『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第214号(No.214) 2010/6/5
<左利きムーヴメントLHM>宣言!“左利き紳士・淑女録”

【新企画】“左利き紳士・淑女録”
(2)架空の人物編
■か行-き・ぎ■
【ぎっちょの文次】ぎっちょ・の・ぶんじ
・山本周五郎/著「一粒の真珠」の登場人物
  新潮文庫『寝ぼけ署長』(1981)収録
・本名 西山文次
・建具屋職人
 《十歳前後で孤児になり、
  富屋町の表通りに店のある建具屋の家で育てられ、
  親方は鈴木秀吉といい、
  文次にずいぶん目をかけて仕込んだし、
  当人も左利きが難だったけれど手の性が良く、
  十六七になると一人前の仕事をするようになった。》p.77
・若くして金を稼ぐようになり、一度ぐれて、
 「ぎっちょの文次」と呼ばれる不良の徒となる
 その後立ち直り、結婚を機に建具屋として独立する

 

 ●「眠れる美女」川端康成

1960.1-1961.11「眠れる美女」川端康成 [H]
『新潮』1960(昭和35)1月~1961(昭和36)11月
<怪しい宿の左利きの女(女性管理人?)>
――変態老人男性の女体偏愛小説? 老人の性を扱った佳編。1999年の
 新潮文庫「人は誰でも年を取る」フェアの一冊にも選ばれています。
 怪しい性風俗店の女主人を「左利き」らしく設定し「怪しさ」を演出
 していると、巻末の三島由紀夫の解説でもそのように解釈しています。
・『眠れる美女』川端 康成/著 新潮文庫(新版) 2024/8/13
(Amazonで見る)

250315-nemurerumbijo

《(略)女は立って、隣室へ行く戸の鍵をあけた。左利きであるのか
 左手を使った。(略)なんでもないうしろ姿なのだが、江口にはあやし
 いものに見えた。帯の太鼓の模様にあやしい鳥が大きかった。(略)》

 

 ●[参考]「片腕」川端康成

1963.8-1964.1「片腕」川端康成 [参][H]
<男と片腕を交換した若い女性の「右腕」>
『新潮』1963(昭和38)8月~1964(昭和39)1月
――右腕を外して男に貸す娘。男は腕を取り換えて眠り、起きると元に
 戻すが、女の腕は冷たくなって……。『眠れる美女』に併録されている
 ように、こちらは孤独な男の性欲を描いている奇妙な味の一編。
・『眠れる美女』川端 康成/著 新潮文庫 2024/8/13
(著者没後50年、浅田次郎氏の新解説を追加した増補版)
(Amazonで見る)

 

《「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。/そして右腕を
 肩からはずすと、それを左手に持って私の膝の上においた。/
 「ありがとう。」と私は膝を見た。娘の右腕のあたたかさが膝に
 伝わった。》p.135

 

 ●[参考]『流しのしたの骨』江國香織

(1996.7) 『流しのしたの骨』江國香織 [参]
<「左利き」の恋人は便利?>
――三女の「こと子」を語り手に奇妙な家族を描く小説。こと子は、
 ダブル・デートの相手の恋人たちが手を繋ぎながらフォークを使うのを
 見て便利だと思い、以後、食事の際右手を釣って左手を使い始めます。
・『流しのしたの骨』江國香織/著 新潮文庫 1999/9/29
(Amazonで見る)

250315-nagasi-no-sita-no-hone

《「あなたのお友達は左利きなの?」(略)
 「ほら、あの二人ずっと手をつないでいたでしょう? 
 もともと左利きなのか、それとも彼女と手をつないでいるために
 左手を使っていたのかしらって……」(略)
 「左利きだよ」/私は感心した。恋人が左利きだとすごく便利だ。
 そう感想を述べると、深町直人はわらっていた。》p.10
《「利き腕のことだけど、ことちゃんが練習してみれば? 真面目に
 やれば、フォークくらいきっとすぐ左手で使えるようになるよ」/
 「……そう思う?」/小さな弟は力強くうなずいた。》p.14
《ごはんを食べるときに右手を使ってしまわないように、
 右腕をスカーフで吊ってるの」/
 父は私の右腕をじっとみつめた。母も食べるのをやめている。
 弟だけがお行儀良く食べ続けながら、/「魚、むしってあげるよ」/
 と言った。/「ありがとう」》p.18
《「……なぜ右手を使っちゃまずいんだ?」(略)
 「だって便利でしょう? 両方使えると」/「……」/
 父は少し黙ってそうか、と言うと再び自分の食事にもどる。/
 「かまわないのよ。こと子。私はおもしろいと思うわ、右手を使わずに
 ごはんを食べるのも」/母が言い、そのあとはもう誰もなにも
 言わなかった。》p.19

 

 ●「左きき」伊集院静

(1996.10) 「左きき」伊集院静 (犯?/失踪人)
<姿を消した女の特徴は「左利き」>
――左利きの女性を探してほしいという依頼を受けた「探偵」(?)。

『昨日スケッチ』伊集院 静/著 講談社 1996/10/1
(Amazonで見る)

250315-kinou

・『昨日スケッチ』伊集院 静/著 講談社文庫 1999/11/1
(Amazonで見る)

 

「左きき」 p165-170
《「この女を探してる」(略)「ハワイで知り合った。日本へ一緒に
 戻ってきたら突然、いなくなった」/「名前は?」/「ミチコ……。
 それしかわからん」/「一緒にいて、姓も聞かなかったのか」/「そう
 いう関係だった」/国谷が少し悔むように言った。/私は渡された
 写真の女の顔をじっと見た。Tシャツに短パンツというラフな恰好で、
 ベッドサイドに腰かけて女は笑っていた。特別美人というわけではない
 し、どこかに特徴がある女でもなかった。》

 

 ●『左利きの剣法 本所剣客長屋』押川國秋

(2009.3) 『左利きの剣法 本所剣客長屋』押川國秋 [時代小説](脇)
<左腕一本の剣士>
――敵討ちを果たすべく江戸に出てきた古井虎之助を主人公とする
 時代小説シリーズ第二作、虎之助に右腕を切り落とされて左腕一本で
 剣を振るう剣士二人が登場する。 (ホームページ『左利きを考える 
 レフティやすおの左組通信』「小説で読む左利き」2009.9.13 より)
・『左利きの剣法 本所剣客長屋』押川國秋/著 講談社文庫 2009/3/13
(Amazonで見る)

 

 ●『闇彦』阿刀田 高

(2010.7)『闇彦』阿刀田 高 [H]
『闇彦』新潮社刊
<ホラー/ファンタジー、左利きのお話し上手の血を継ぐ少女>
――海彦、山彦、闇彦という、海の神、山の神、そして夜の神。
 夜の神は、語り部の血を引く一族で、語り手の小学生時代の同級生稲子
 も、語り手もまた、同じストーリーを紡ぐ血筋の仲間だったのか……。
・『闇彦』阿刀田 高/著 新潮文庫 2013/12/24
(Amazonで見る)

250315-yamihiko 

《「ぎっちょでした。だーすけ字が書きにくくて、なんでも覚えてしまう
 んです。お話をたくさん聞かせてくれました」》p.18
《――稲子はどこへ行ったのか――/海の向こうに闇彦の島がある。
 死んだ人が行くらしい。/(略)人知を超えたあやかしの……闇彦の
 しわざかもかもしれない(略)――稲子はそこから来て、そこへ帰って
 行ったのかな――/お話がうまいのは、そのせいかもしれない。
 しばらくは心に残った。》p.24

 

 ●『ドリームバスター』宮部みゆき

(2011.11)『ドリームバスター』宮部みゆき [SF](ヒーロー)
<SFファンタジーの少年ヒーロー、左利きのD.Bシェン>
――悪夢から人をすくいだす、主人公の少年シェンと師匠のマエストロの
 二人のドリームバスター(D.B)の冒険物語。
・『ドリームバスター』宮部みゆき/著 山田 章博/イラスト 徳間書店
2001/11/1
(Amazonで見る)

《(略)話しながら彼が背中を向けたとき、細長くて少し反りのかかった
 刀を、斜めに背負っているのが見えた。(略)
 このタイプの長い刀は、鞘を払うときも、真っ直ぐには抜けない。
 自分の身体を中心に、ちょうど背負い投げをするように、
 斜めに半円を描くようにして抜くのだ。
 だから、右利きなら左肩の後ろに柄が来るように背負う。
 左利きなら右肩に背負う。少年の刀の柄は右肩に来ていた。/
 「君は左利きなんだね」/
 伸吾に問われて、腕組みして歩き回っていた少年は足を止めた。/
 「へえ……最初にそういうことを訊くD・Pは初めてだぜ」》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:<左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介」と題して、今回も全文転載紹介です。

2月、3月と月の半ばの号では、こういう<左利きミステリ>について書いてきました。
関心のない方には、無意味な企画かもしれません。
「左利き」のみならず、ミステリや推理小説のトリックやストーリーの一つのテーマと言いますか、モチーフとして使われる小道具の一つとして、関心を持つ方もいるのではないか、と思っています。

そういう面からだけではなく、ひいては「左利き」そのものにも関心を持っていただければ、という気持ちで続けています。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

 

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

| | Comments (0)

[コラボ]<左利きミステリ>第7回海外編(前)新規発見作-週刊ヒッキイ第682号

左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(まぐまぐ!)

【最新号】

第682号(Vol.21 no.5/No.682) 2025/3/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第682号(Vol.21 no.5/No.682) 2025/3/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 × × × × × × × × × × × × × × × ×
------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2025(令和6)年3月15日号(vol.18 no.4/No.384)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*「後編」も見てね! 「後編」はこちらで↓
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』(12:00 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000257388.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回も先月に引き続き、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その7回目です。

 

【過去のコラボ】1回目から5回目までの詳細は、
↓ の第6回(前編)からご覧下さい。

■6回目――

(前編)
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第680号(Vol.21 no.3/No.680) 2025/2/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(前編)新規発見作紹介」

【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.15
[コラボ]<左利きミステリ>第6回海外編(前)新規発見作
-週刊ヒッキイ第680号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-d8dc24.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/04302ce47c2cbca53937e7490e74f91e

(後編)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2025(令和6)年2月15日号(vol.18 no.2/No.382)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(後編)再発掘作紹介」

【最新号】『レフティやすおのお茶でっせ』2025.2.15
[コラボ]<左利きミステリ>第6回海外編(後)再発掘作-楽しい読書382号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/02/post-4c221d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ebac165aacd639b4e357741dc40953b6

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第7回 国内編(後編)再発掘作紹介

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<国内編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等の広義の「ミステリ」の総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』

------------------------------------------------------------------
*(新たに表示記号の追加・変更があります)

 1843:新聞・雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 (フランス/中国):出版国/作品の舞台となる国―出版国と異なる場合
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編 
 エミール・ガボリオ:作者名 
 [シャーロック・ホームズ]:登場する「名探偵」(シリーズ探偵)の名
 ・特記事項
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [外]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [H]:ホラー [SF]:SF [F]ファンタジー
 [傍]:メインのストーリーとは無縁の傍系の話
 [参]:参考作品(一般小説・児童書、小説以外のノンフィクション等)
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

 (探):左利きの探偵/探偵役
 (被):左利きの被害者
 (犯):左利きの犯人
 (容):左利きの容疑者
 (他):左利きのその他の事件関係者
 (脇):脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物
    ([傍]メインのストーリーとは無縁の傍系の話に登場する人物)

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。

 

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<国内編> 新規発見作紹介

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
(新たに見つけた<左利きミステリ>)
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

 

 ●「血の文字」黒岩涙香

(1892)「血の文字」黒岩涙香 (被)
<左利きの被害者による左手のダイイングメッセージ>
――エミール・ガボリオ「バティニョールの老人」の翻案小説。
1892(明治25)年8月刊、小説集『綾にしき』収録
・『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』
 創元推理文庫 1984/12/22
(Amazonで見る)

Lhm-kuroiwaruikou

《「...あの老人が左得手(えて)で、筆を持つのは左手だと云う事を
 御存じないと見えますな」》p.107

(参考) 1870 (フランス)(被)
「バティニョールの老人」エミール・ガボリオ
<左利きの被害者、左手のダイイング・メッセージ>
「ル・プチ・ジュルナル」(フランス四大日刊紙)1870年7月8日~19日連載
――自分の血で書いた犯人の名と思われるダイイング・メッセージ。
 左手の指に血が付いていたので、予審判事も警察署長も、犯人が誤って
 左手に血を付けて偽装したと判断し、犯人逮捕に辿り着くが……。
・『世界推理短編傑作集6』戸川安宣/編 太田浩一/訳 2022/2/19
(Amazonで見る)

250215-sekaisuiri-6

《右手は汚れていない……べっとりと血にまみれていたのは、
 左手の人差指だった。/では、老人は左手で血の文字をかいたのか……
 そんなばかな……》p.36(太田浩一/訳)
《「...おまえが血に浸したのは、死体の左手だったんだよ……」》
《「ビゴローの親父はもともと左利きだったんだよ!」》p.99

 

 ●「琥珀のパイプ」甲賀三郎

1924「琥珀のパイプ」甲賀三郎 (犯)(被)
<左利きの犯人、左利きの被害者>
『新青年』1924(大正13)年6月
――3つの事件の錯綜を解くと、左利きと右利きの犯人がいたとが判明。
・『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』
 創元推理文庫 1984/12/22
(Amazonで見る)

 

《二人を殺した奴は別だと云うのです。二人とも同じ凶器でやられて
 います。そうして二人とも確かに左肺をやられています。然し一人は
 前からで、一人は後(うしろ)からです。(略)どれも一文字に引いて
 あるのは、左から右に通っています。(略)」》
《「林檎の皮を御覧でしたか、皮は可成りつながっていましたが、左巻き
 ですよ。林檎を剥いたのが左利き、襖を突いたのが右利き、女を刺した
 のが左利き、然し男を殺したのは右利きです」》

 

 ●[参考]「左ぎっちょの正(まさ)ちゃん」小川未明

(1935)「左ぎっちょの正(まさ)ちゃん」小川未明 [参]児童文学
<“左ぎっちょ”の正ちゃんは、不器用!?な左利き>
昭和10年5月『小豚の旅』四条書房 収録
――箸は左、まり投げも左、でも字は右手。最初は左だったけれど、
 お母さんの言葉で右に。でもお父さんは「しぜんのままに」で、
 学校で字を書くときは右、お弁当や家でご飯を食べるときは左。
 まりを投げるのは左で、左ピッチャー。でも“不器用”な正ちゃん。
 “不器用”な例として作者は、近所の小さい子をあつめて“大将”に
 なった彼が、小さい子に頼まれ、じゅず玉を作りますが、思うように
 できず、待ちきれぬ子供たちは紙芝居を見に行ってしまいます。でも、
 頑張って一つ作りあげた彼は、次はもっとうまく作れると思いました。
 挿絵を見ますと、右手で針を持ち、じゅず玉に糸を通そうとしている
 のですが、これでは“不器用”なのも仕方ない気がします。
 昔のお話ですので、現代の眼で見ますと、色々と問題があると思われ
 ますが、その時代の風潮、左利きへの理解度、容認度というものを知る
 資料としてお読み頂きたいものです。
・『定本 小川未明童話全集10』小川 未明 講談社 1977/8/1
(Amazonで見る)

250315-ogawamimei10

250315-hidarigicho-137p

 《正ちゃんは、左ぎっちょで、はしを持つにも左手です。まりを投げる
 のにも、右手でなくて左手です。/「正ちゃんは、左ピッチャーだね。
 」と、みんなにいわれました。けれど、学校のお習字は、どうしても
 右手でなくてはいけませんので、お習字のときは妙な手つきをして、
 筆を持ちました。最初、鉛筆も左手でしたが、字の形が変になって
 しまうので、これも右手に持つ癖をつけたのです。/お母さんは、
 困ってしまいました。/「はやく、右手で持つ癖をつけなければ。」
 と、ご飯のときに、とりわけやかましくいわれました。すると、
 お父さんが、/「左ききを無理に右ききに直すと、盲(めくら)になる
 とか、頭が悪くなるとか、新聞に書いてあったよ。だから、自然のまま
 にしたおいたほうがいいのじゃないか。」と、おっしゃいました。》

 

 ●「虚像」大下 宇陀児

1955(1956年)「虚像」大下 宇陀児 (容)
<左利きの犯人/左利きの容疑者/鏡のなかの動き>
『サンデー毎日』昭和30年8月7日~12月17日号連載
『虚像』大下 宇陀児/著‎ 毎日新聞社 1956/1/1
――主人公が鏡のなかに見た、ぶきっちょな動きの犯人像の正体は……。
・『日本探偵小説全集3 大下 宇陀児 角田 喜久雄集』創元推理文庫
1985/7/26
(Amazonで見る)

250315-n-tantei3-oosita

《(略)鏡の中で見ていたのである。(略)その短刀を握る手つきが、
 どうしてだか、ぶきっちょな、不自然な形に見えた。これはまことに
 重大なことである。》p.198
《問題は、手だった。/釘をうつのに右の手で釘をおさえている。
 だから、金槌のほうは、左の手へ握っているのであった。》p.286
《「うん、どうもね、子供の時分から、癖がついちまったのだ。生爪を
 はがしたことがあって、それから左ギッチョになったのさ」(略)
 「なおせって言われた。みっともないってね。だから、字を書くの
 なんか右手になった。でも、ピンポンしたり、力仕事するとなると、
 やっぱり左手のほうがいいんだな。(略)」》

 

 ●[参考]「左利きの独裁者――東条英機の悲劇」有馬頼義

(1971/昭和46)「左利きの独裁者――東条英機の悲劇」有馬頼義 (犯)
――<左利きゆえに、左手で持った拳銃では心臓を撃てず、右手で失敗>
(初出)『小説昭和事件史3』有馬頼義/著 三笠書房 1971/1/1
・『時代小説大全集6 小説人物日本史 昭和』新潮社/編 新潮文庫
1991/9/1
(Amazonで見る)

250315-jinnbutusi-shouwa

《(略)胸をあけた。そこに、墨の丸があった。東條は左利きであった。
 左手に拳銃を持ち、これを自分の左の胸に向けて、ひきがねを引くこと
 の困難さに、気付いたのだ。しかし、時間がなかった。東條は、思い
 きって拳銃を右手に持ちかえ、ひきがねを引いた。あとのことは、
 覚えていない。東條は、失敗した。その失敗は、軍人としての東條が、
 過去においておかしたあやまちにくらべて、大きすぎただろうか。
 問題にならないほど小さな失敗だっただろうか。》p.107

 

 ●「左利きの月」阿藤玲

(2017)「左利きの月」阿藤玲 (容)?
<恋愛ミステリ? 双子のミラー・ツインズ(兄右利きと弟左利き)の
 兄弟の謎>
――去年のクリスマス・イブに告白した相手はどっちだったのか、
 恋人同士風の写真の人はどっちだったのか、といった謎?を解く。
 登場人物が多く、一度読んだだけでは分かりづらいところがあり、
 ネタが面白いだけに、ちょっと残念な気がします。
・『お人好しの放課後 御出学園帰宅部の冒険』阿藤 玲/著
創元推理文庫 2017/8/31
(Amazonで見る)

250315-hidarikiki-no-tuki

《「こうして見ると、本当に鏡に映っているみたいだ。ミラーツインズ
 だっけ」/朔さんは右利き、望さんは左利き、一卵性でも利き手が
 異なる双子をミラーツインズという。二人は鉛筆を持つ手も、さよなら
 と振る手も、左右対称にシンクロしていた。だからおれたちは、二人が
 一緒に居るとき、わざと名字で呼びかけたものだ。同じタイミングで
 手を振るのが見たくて。》p.111

 

 ●[参考]『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸

(2020)『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸 [参]書き方本
「第一章 そもそも「ミステリ」ってそんなもの?」
<「伏線を張るとは?」の例―「左利き」の場合>
――編集者の手になる、本格謎解きミステリ系のミステリ創作の入門書。
・『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸 新潮新書 2020/12/17
(Amazonで見る)

250315-kakitai

《例えば、犯人を限定する要素が「左利き」であったとする。
 だとしたら、解決までの過程で、その人物が左利きである、と分かる
 記述がどこかになければならない。なにも、「○×は左利きだった」と
 書く必要はなく、左手で箸を使うとか、右利き用の道具を使いにくそう
 にしているとか、そういったことでいい。それらは複数用意しておく。
 毎回違った見え方――スプーン、筆記用具、ハサミの使い方――
 にして、出現頻度に偏りが出ないよう、物語全体にバランス良く配置す
 る。伏線すべてをちゃんと覚えていてくれるほど読者は親切ではない
 し、そこまで記憶力も期待してはいけない。》p.19

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:<左利きミステリ>第7回 国内編(前編)新規発見作紹介」と題して、今回は全紹介です。

前回のこの記事でも書きましたが、興味の無い人には、ただのゴミ情報かもしれませんね。
しかし、左利きという性質を知っていただくために、役に立つものでもあると考えています。
その時その時の小説家の持っている、持っていた「左利き像」というものが垣間見れるのではないか、と考えています。
それが正しい情報であるかどうかは、それぞれの読者のみなさまがご判断していただければ、と思います。

これらの情報を一人でも楽しんで下さる方がいればいいかな、と思っています。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

 

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

| | Comments (0)

2025.02.15

[コラボ]<左利きミステリ>第6回海外編(後)再発掘作-楽しい読書382号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

2025(令和6)年2月15日号(vol.18 no.2/No.382)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(後編)再発掘作」

 

------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2025(令和6)年2月15日号(vol.18 no.2/No.382)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(後編)再発掘作」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 × × × × × × × × × × × × × × × ×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第680号(Vol.21 no.3/No.680) 2025/2/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(前編)新規発見作紹介」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*「前編」も見てね! 「前編」はこちらで↓
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(9:40 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000171874.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回は、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その6回目です。

 過去五回のコラボ内容は、(前編)をご参照下さい。

 

 本来なら6回目は、<海外編>「1930年代<探偵小説黄金時代>以降」
 をお送りするところでしたが、今回は、(前編)で新規発見作を、
(後編)では、再発掘作を紹介します。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第6回 海外編
(前編)新規発見作紹介

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第6回 海外編
(後編)再発掘作紹介

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<海外編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等の広義の「ミステリ」の総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』

------------------------------------------------------------------
*(新たに表示記号の追加・変更があります)

 1843:新聞・雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 (フランス/中国):出版国/作品の舞台となる国―出版国と異なる場合
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編 
 エミール・ガボリオ:作者名 
 [シャーロック・ホームズ]:登場する「名探偵」(シリーズ探偵)の名
 ・特記事項
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [外]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [H]:ホラー [SF]:SF [F]ファンタジー
 [傍]:メインのストーリーとは無縁の傍系の話
 [参]:参考作品(一般小説・児童書、小説以外のノンフィクション等)
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

 (探):左利きの探偵/探偵役
 (被):左利きの被害者
 (犯):左利きの犯人
 (容):左利きの容疑者
 (他):左利きのその他の事件関係者
 (脇):脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物
    ([傍]メインのストーリーとは無縁の傍系の話に登場する人物)

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。

 

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<海外編> 再発掘作紹介

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
(再発掘/リスト漏れ<左利きミステリ>)
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

 

 ●『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー

(1880) (ロシア)[参]
『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー
<左利きの少年の肩掛け鞄の掛け方>
――「左利き」という言葉も、翻訳の時代により変化するのがわかる
初出:『ロシア報知』1879年1月号-12月号、1880年1月号-11月号
・『カラマーゾフの兄弟(上)』ドストエフスキー/著 原卓也/訳
新潮文庫 1978/7/20
(Amazonで見る)

《「僕が君みたいな鞄をさげていたころには、右手ですぐ出せるように、
 鞄を左側にさげていたもんだよ。君は鞄を右側にさげてるけど、
 それじゃ出しにくいだろ」 [...]
 「だって、そいつは左ぎっちょだもの」 [...]
 「石を投げるのも、ぎっちょだよ」...》p.434
   「第二部/第四編 病的な興奮/三 中学生たちとの結びつき」
・『カラマーゾフの兄弟(2)』ドストエフスキー/著 亀井郁夫/訳
光文社古典新訳文庫 2006/11/9
(Amazonで見る)

《「君たちとおんなじようなカバンをぶらさげていたころ、ぼくらは
 左から右にかけていたもんさ。右手ですぐに取り出せるようにね。
 でも、君は右から左にカバンをかけているんだね。
 それって取り出しにくくない?」 [...]
 「だって、こいつ左利きだもん」 [...]
 「石を投げるのも左なんだ」 ...》p.48
   「第2部/第4編 錯乱/3 小学生たちと知り合った」
・『ドストエフスキーII』(前半)ドストエフスキー/著 小沼文彦/訳
筑摩世界文学全集39 1974/1/1
(Amazonで見る)

《「僕が君たちと同じようにカバンをさげてたころには、みんなカバンを
 左側にくるようにかけてたもんだがねえ、右手ですぐに本がだせるから
 ね。ところが君は右側にくるようにかけているけど、それでうまく本が
 だせるかねえ」 [...]
 「だってこいつ左ききなんだよ」 [...]
 「こいつは石を投げるんでも左なんだ」 ...》p.162
   「第二部/第四編 感情の激発/三 小学生と近づきに」

 

*参照:第176号(No.176) 2009/4/18「名作の中の左利き(1)
『カラマーゾフの兄弟』」

 

 

 ●『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J・D・サリンジャー

(1951) (アメリカ)[参]
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J・D・サリンジャー
<赤毛の左利きのキャッチャー(?)、主人公の弟アリー>
――野球のミットといいますと、ファースト・ミットかキャッチャー・
 ミットということになりますが……。野崎孝訳では「ぎっちょ」。
 《弟は正真正銘の赤毛なんだ》という表記もあります。
"The Catcher in the Rye"
・『ライ麦畑でつかまえて』J・D・サリンジャー/著 野崎孝/訳
 白水社 1964 
(白水Uブックス 51 1984/5/20)
(Amazonで見る)

・『キャッチャー・イン・ザ・ライ』J・D・サリンジャー/著
 村上春樹/訳 白水社 2003/4/11
(Amazonで見る)

《... 僕は弟のアリーの野球ミットについて書くことにした。
 そのミットは描写的な文章にまさにうってつけなんだ。
 冗談抜きでさ。弟のアリーは左利き野手用のミットを持っていた。
 つまり弟は左利きだったんだよ。...》p.65-66(5章)

 

*参照:第216号(No.216) 2010/6/19「名作の中の左利き(7)
サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』」

 

 ●『朗読者』ベルンハルト・シュリンク

(1995) (ドイツ)[参][傍]
『朗読者』ベルンハルト・シュリンク
――たとえとして「左利き」を恥じる被告がいたら……
・『朗読者』ベルンハルト・シュリンク/著 松永美穂/訳 新潮文庫
2003/5/28
(Amazonで見る) 《... 考えてごらん、誰かが自分の意志で破滅しようとしている。
 そしてそれを救える手だてがあるとしたら、きみはやってみるかい?
... 裁判の場面を思い浮かべてごらんよ、左利きだということを告白
 しない限り、有罪になってしまう被告がいる。犯行は右手による
 もので、左利きならその犯行はあり得ない。しかし彼は左利きだという
ことを恥じている。君は裁判官に、何がどうなっているかを言うかい?
... 左利きやホモを恥じるべきかどうかという話じゃないんだ。
 被告が恥ずかしがっているということが問題なんだ。》p.159-160

*参照:第192号(No.192) 2009/8/8「名作の中の左利き ―その5―
 『朗読者』ベルンハルト・シュリンク/著」

 

 

 ●『死因』パトリシア・コーンウェル

(1996) (アメリカ)(探)
『死因』パトリシア・コーンウェル [検屍官ケイ・スカーペッタ]
<左利きの探偵>(スカーペッタが左利きと分かるシーンがある作品)
――狭いことで有名だった超音速機コンコルドの機内でのシーン。
 原書名"Cause of Death"
・『死因』パトリシア・コーンウェル 相原真理子/訳 講談社文庫
 1996年12月5日
(Amazonで見る)

《(コンコルド機内で)「それじゃ、その問題は解決したわけだな」
 アスパラをつっついている私のほうへ身を寄せながら、ウェズリーが
 話を再開した。/「その問題って?」私はフォークを置いた。
 左利きなので、彼が邪魔なのだ。/「わかってるだろう。私たちが
 すべきことと、してはいけないことだ」ウェズリーの腕が私の胸に
 ふれた。...》pp.394-395

250215-tantei-kei-siin

(参考)『検屍官研究』和田 奈津子 (編集) ワニブックス (1999/12)
(Amazonで見る)

 

 ●『バルザックと小さな中国のお針子』ダイ・シージエ

(2000) (フランス/中国)[外]
『バルザックと小さな中国のお針子』ダイ・シージエ
<左右逆転世界>映画スクリーンを裏から見ると、誰もが左利きだった
――フランス在住の中国人映画監督がフランス語で書きフランスで出版
・『バルザックと小さな中国のお針子』ダイ・シージエ/著 新島 進/訳
ハヤカワepi文庫 2007/3/8
(Amazonで見る)

《... 町に着いたときには映画の上映はすでにはじまっていて、僕たちは
 スクリーンの裏で立ち見をするしかなかった。その場所ではすべてが
 逆さまで、誰もが左利きだった。それでも彼女は、この珍しい催しもの
 を見逃したくはなかった。...》p.100(第2章)

250215-b-s

*参照:第242号(No.242) 2010/12/18「名作の中の左利き(11)
『バルザックと小さな中国のお針子』他」

 

 ●『埋葬』リンダ・フェアスタイン

(2004) (アメリカ)(参考) 
『埋葬』リンダ・フェアスタイン [女性検事補アレックス・クーパー]
<右利きの犯人の特徴が説明される> 
――“ポーの家”の壁に生きながら塗り込められた白骨死体。
 《主人公、性犯罪訴追課長アレックスもまた生き埋めの恐怖に…。》
・『埋葬』リンダ・フェアスタイン 平井 イサク/訳 
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2006/12/1
(Amazonで見る)

250215-2006121entombed-am


 ●『ヒックとドラゴン<3>天牢の女海賊』クレシッダ・コーウェル

(2005) (イギリス)[参][F]
『ヒックとドラゴン<3>天牢の女海賊』クレシッダ・コーウェル
<左利きのバイキング・ヒーロー>(児童書)
――左利きで赤毛で、12歳にもならない、見た目は平凡な少年だが、
 北欧の海賊、バイキングのモジャモジャ族のカシラの息子
"How to Train Your Dragon"シリーズ3 (Cressida Cowell)
How to Speak Dragonese
(作者/ヒック・ホレンダス・ハドック三世、
 古ノルド語訳/クレシッダ・コーウェル 
 日本語共訳/相良倫子・陶浪亜希 小峰書店(2010.1)
・『ヒックとドラゴン<3>天牢の女海賊』クレシッダ・コーウェル
 相良倫子・陶浪亜希/共訳 小峰書店 2010/1/26
(Amazonで見る)

《ヒックは、昨年、自分が左ききだということに気づいた。それ以来、
 自分には剣術の才能があることがわかった。実際、海賊訓練プログラム
 のなかで、ただひとつ得意な科目が剣術だ。オイキッシュや
 ドッグブレスでさえ、いともかんたんに倒すことができる。
 モジャモジャ族一の剣士、ゴームレスから特別に手ほどきを受けている
 ほどだった。》p.137「11 女海賊」

250215-dragon3

250215-dragon3-h

*参照:第251号(No.251) 2011/2/19「名作の中の左利き(12)
『ヒックとドラゴン<3>天牢の女海賊』と赤毛」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:<左利きミステリ>第6回 海外編(後編)再発掘作紹介」と題して、今回は全紹介です。

午前中発行の「週刊ヒッキイ」の(前編)では、新規に発見した外外作品の<左利きミステリ>を紹介しました。
弊誌『楽しい読書』のほうでは、以前に紹介していましたが、最近の[コラボ]でのリストに上げるのを忘れていた作品――中には参考作品も多いのですけれど――を紹介しています。

<左利きミステリ>自体、興味の無い人には、ただのゴミかもしれません。
でもね、一人でも楽しんで下さる方がいればいいか、と思ってやっています。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

 

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

| | Comments (0)

[コラボ]<左利きミステリ>第6回海外編(前)新規発見作-週刊ヒッキイ第680号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!) 【最新号・告知】

第680号(Vol.21 no.3/No.680) 2025/2/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(前編)新規発見作紹介」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第680号(Vol.21 no.3/No.680) 2025/2/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(前編)新規発見作紹介」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 × × × × × × × × × × × × × × × ×
------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2025(令和6)年2月15日号(vol.18 no.2/No.382)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
<左利きミステリ>第6回 海外編(後編)再発掘作」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*「後編」も見てね! 「後編」はこちらで↓
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』(12:00 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000257388.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回は、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その6回目です。

【過去のコラボ】

■1回目――

ツイッターで紹介した【左利きミステリ入門】のまとめでした。
そこでは、海外編として、19世紀以前の作品をツイッターで
 年代・国名・著者名・作品名・左利きの登場人物・
 左利きに関する記述の該当箇所
などの情報を紹介した、まとめ編でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第577号(No.577) 2020/8/15
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)
×レフティやすおの楽しい読書(No.276)

『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2020(令和2)年8月15日号(No.276)
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)
×左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(No.577)

【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2020.8.15
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)-週刊ヒッキイ第577号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ed8cea.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/612cd4bd3edfdbeb612069497aef79fa
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)-「楽しい読書」第276号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ec0ad2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/245bddeded4348e10aaa4a027a6fab18

 

■2回目――

「<左利きミステリ>その後」と題して、
過去の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』の
「小説の中の左利き・推理小説編」やブログ等で紹介したもの以外に、
それ以降に見つけた<左利きミステリ>(広義のミステリ)のあれこれを
 年代・作品名・著者名(短編の場合は、収録書籍名)
をリスト化して紹介しました。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」

『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2021(令和3)年5月15日号(No.294)
「週刊ヒッキイコラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」

【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2021.5.15
・私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a

 

■3回目――

【第一回】のツイッター版【左利きミステリ入門】の続きの
海外編「20世紀以降」版から
<ホームズのライヴァルたち>の作品の紹介でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第628号(No.628) 2022/10/15
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」

『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2022(令和3)年10月15日号(No.328)
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」

【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2022.10.15
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
左利きミステリ~-週刊ヒッキイ第628号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-39e67a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ad9796a23bf53cf6eb0e80182a9d7b6a

・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
私の自作左利きミステリ-「楽しい読書」第328号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-1a4b2b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/03236262a34a6ee2e03b42bff06e3267

 

■4回目――

<左利きミステリ>の国内編――国内ミステリのリスト紹介でした。

前半=『週刊ヒッキイ』版は、1948年「アンゴウ」坂口安吾 から、
(1997年)『三月は深き紅の淵を』「第二章 出雲夜想曲」恩田陸 まで。
後半=『楽しい読書』版は、2003年「書肆に潜むもの」井上雅彦 から、
(2019年3月)『レフトハンド・ブラザーフッド』知念実希人 までを紹介。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」

『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2023(令和5)年4月15日号(No.340)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後編)」

【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.4.15
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e

・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-5b4e1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d0e3f19af79760633cbcc87cac454f96

 

■5回目――

<左利きミステリ>の海外編――海外ミステリのリスト紹介でした。
(前編)「<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」
(後編)「<ホームズ以後>19世紀末以降」

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」

『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」

【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.15
・[コラボ]私の読書論185-<左利きミステリ>
第5回海外編(前)ホームズ以前-週刊ヒッキイ第666号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-d87703.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d7779b9ff44e6ebb34960bcf9883dd82

・[コラボ]私の読書論186-<左利きミステリ>
第5回海外編(後)ホームズ以後--楽しい読書368号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-47adad.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3f2d372ae2e8a3073e2e853317ca3c76
15:52 2024/06/20

 

 本来なら6回目は、<海外編>「1930年代<探偵小説黄金時代>以降」
 をお送りするところでしたが、今回は、(前編)で新規発見作を、
 (後編)では、再発掘作を紹介します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第6回 海外編
(前編)新規発見作紹介

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第6回 海外編
(後編)再発掘作紹介

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<海外編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等の広義の「ミステリ」の総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』

------------------------------------------------------------------
*(新たに表示記号の追加・変更があります)

 1843:新聞・雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 (フランス/中国):出版国/作品の舞台となる国―出版国と異なる場合
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編 
 エミール・ガボリオ:作者名 
 [シャーロック・ホームズ]:登場する「名探偵」(シリーズ探偵)の名
 ・特記事項
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [外]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [H]:ホラー [SF]:SF [F]ファンタジー
 [傍]:メインのストーリーとは無縁の傍系の話
 [参]:参考作品(一般小説・児童書、小説以外のノンフィクション等)
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

 (探):左利きの探偵/探偵役
 (被):左利きの被害者
 (犯):左利きの犯人
 (容):左利きの容疑者
 (他):左利きのその他の事件関係者
 (脇):脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物
    ([傍]メインのストーリーとは無縁の傍系の話に登場する人物)

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。

 

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<海外編> 新規発見作紹介

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
(新たに見つけた<左利きミステリ>)
━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

 

 ●「ヨアブ(失脚した将軍)によるアマサ将軍殺し」

不明 (イスラエル)[参](犯)
『旧訳聖書』「サムエル記 下 20章8-10」
「ヨアブ(失脚した将軍)によるアマサ将軍殺し」<左手に剣>
――右手で顎を持ち剣で刺した、という記述から左手に持った剣で、
という解釈。
(情報源)『左利きの歴史 ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
 ピエール=ミシェル・ベルトラン 久保田剛史/訳 白水社 2024
「第一部 正しい手と邪悪な手/第2章右手主導の規則/
 宗教的先入観」(p.29-30)による
・『文語訳 旧約聖書II 歴史』岩波文庫 2015/8/18
「サムエル記後書」20.8-10(p.253)
(Amazonで見る)

 

《9(略)右の手をもてアマサの鬚を将(とらへ)て彼に接吻せんとせしが
 10アマサはヨアブの手にある劒(かたな)に意(こころ)を留(とど)め
 ざりければヨアブ其(それ)をもてアマサの腹に刺して其腸(はらわた)
 を地に流しいだし重ねて撃つに及ばざらしめて之を殺せり》p.253

Lh-bungoyaku-kyuuyakuseisho-rekisi

 

 ●「バティニョールの老人」エミール・ガボリオ

1870 (フランス)(被)
「バティニョールの老人」エミール・ガボリオ
<左利きの被害者、左手のダイイング・メッセージ>
「ル・プチ・ジュルナル」(フランス四大日刊紙)1870年7月8日~19日連載
――自分の血で書いた犯人の名と思われるダイイング・メッセージ。
 左手の指に血が付いていたので、予審判事も警察署長も、犯人が誤って
 左手に血を付けて偽装したと判断し、犯人逮捕に辿り着くが……。
・『世界推理短編傑作集6』戸川安宣/編 太田浩一/訳 2022/2/19
(Amazonで見る)

《右手は汚れていない……べっとりと血にまみれていたのは、
 左手の人差指だった。/では、老人は左手で血の文字をかいたのか……
 そんなばかな……》p.36(太田浩一/訳)
《「...おまえが血に浸したのは、死体の左手だったんだよ……」》
《「ビゴローの親父はもともと左利きだったんだよ!」》p.99

250215-sekaisuiri-6

(参考) 1892(明治25)年「血の文字」黒岩涙香 (被)▲
――エミール・ガボリオ「バティニョールの老人」の翻案小説。
1892(明治25)年8月刊、小説集『綾にしき』収録
『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』
創元推理文庫 1984/12/22
(Amazonで見る)

《「...あの老人が左得手(えて)で、筆を持つのは左手だと云う事を
 御存じないと見えますな」》p.107

 

 

 ●「真っ暗な通気熟成所の謎」エドワード・D・ホック

1987 (アメリカ)(犯) 
「真っ暗な通気熟成所の謎」エドワード・D・ホック
[アメリカ東部の町ノースモントの田舎医者サム・ホーソーン]
<左利きの犯人、世の中に少数いる両手利きの男>
・『サム・ホーソーンの事件簿III』木村二郎/訳 創元推理文庫
2004/9/10
(Amazonで見る)

《「犯人はジェニングズの背後に立っていて、彼の左肩のうしろから手を
 前に出すと、刃を素早く右から左へ引いて、彼の喉を掻っ切ったんだ。
 ...つまり犯人は左利きだということだ」》p.306
《「世の中には両手利きの人間が少数いて、両手を同じように使える。
 ...その確かな証拠がある。...右手を切ったんだよ、保安官。つまり、
 左手で斧を振っていたわけだ――ジェニングズの喉を掻っ切ったのに
 使ったのと同じ手でね」》p.314

250215-sam-hawthorne3

 

 ●「鞠球奇案・撃鞠(ポロ)篇」遠寧

2010 (中国)(容)
「鞠球奇案・撃鞠(ポロ)篇」遠寧(ユェン ニン)[ディー判事]
<左利きの容疑者>―犯人の<左打ち>偽装
――罪を着せたい相手が有名な<左手杖(左打ち)>の競技者だった
・『ミステリマガジン』2024年3月号(763) 2024/1/25
 <特集:繚乱たる華文ミステリ> 山田俊/訳
(Amazonで見る)

《「傷は左後頭部にある。誰かに後ろから襲われたようだ。後頭部の
 傷口は三日月形で、左側の方が深く、右側が浅い。左手で殴打した
 ものだろう」/「犯人は左利きということですか? ...」》p.38
《「...王大人は有名な<左手杖(左打ち)>ですから、昨夜、閣下が
 左利きを口にされた時、学生(わたし)が最初に思い当たったのは
 彼でした。...」》p.45

250215-maridama

 

 ●「ジュピターの遺言」宇文 宙

2018 (中国)(外)
「ジュピターの遺言」宇文 宙
<ピアニストの左手のダイイング・メッセージ>
――右手のダイイング・メッセージは犯人に消されると思い、左手の
 ダイイング・メッセージを残した
・『ミステリマガジン』2023年9月号(760) 2023/7/25
 <華文招待席 第12席> 阿井幸作/訳
(Amazonで見る)

《「陳教授は最後の力を振り絞って、右手で鍵盤に犯人の目を欺く血痕を
 付着させるとともに、きれいな左手で棚板に透明なダイイング・
 メッセージを書いたんです。これこそ真犯人の名前です」》p.308

250215-j

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:<左利きミステリ>第6回 海外編(前編)新規発見作紹介」と題して、今回は全紹介です。

いつものことですが、長くなってしましました。
少しでも多くの情報を詰め込みたいという思いが、こういうことに……。

興味の無い人には、ただのゴミかもしれませんね。
一人でも楽しんで下さる方がいればいいか、と思っています。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

 

| | Comments (0)

2025.01.31

レフティやすおの楽しい読書381号-告知-私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編『ホビットの冒険』

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!) 【最新号・告知】

2025(令和6)年1月31日号(vol.18 no.1/No.381)
「私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編
『ホビットの冒険』」

 

------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2025(令和6)年1月31日号(vol.18 no.1/No.381)
「私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編
『ホビットの冒険』」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 遅ればせながら、昨年2024年の私の年間ベスト3を紹介する
 〈フィクション系〉です。

 〈フィクション系〉は、小説や詩などの創作ものです。

 昨年読んだ本は、全部で60冊まで届かず、
 フィクション系も、再読を含めてなんとか40冊程度。
 以前は、再読を含めても50冊以上は読んでいました。

 その点ではちょっと不本意なところもありますが、
 その中からのベスト3ですので、あしからず。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 今年も、昔の感覚に間違いはなかった!? -

  ~ 私の年間ベスト3・2024フィクション系(前編) ~

  2024年フィクション系ほぼ全書名紹介&<再読編ベスト3>

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●2024年の傾向と分類

2024年は、40冊程度。
うち再読が、凡そ半分18冊程度。

再読といいましても、新訳版・他社版・新装版等もあって、
限定しにくい面があります。

そこで今年も、<再読編ベスト3>と<初読編ベスト3>とに分けて
紹介してみましょう。

 ・・・

例年のように簡単に分類してみます。

(1)メルマガ用の本
(2)それ以外の古典の名作
(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

*(再):自分の蔵書の再読本、[再]:作品そのものは再読、本は新本

 

 ●(1)メルマガ用の本

・『日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎』」
創元推理文庫 1984/12/22
(Amazonで見る)

・『お人好しの放課後 御出学園帰宅部の冒険』阿藤玲
創元推理文庫 2017/8/31
(Amazonで見る)

――以上、<左利きミステリ>

 

・『陶淵明 全詩文集』林田慎之助/訳注 ちくま学芸文庫 2022/1/8
『陶淵明 全詩文集』(Amazonで見る)

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和6)年10月31日号(vol.17 no.19/No.376)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(31)陶淵明(8)村人たちと
「飲酒二十首」其の十四、其の九」

【最新号・告知】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.10.31
レフティやすおの楽しい読書376号-告知-中国の古典編―
漢詩を読んでみよう(31)陶淵明(8)村人たちと「飲酒二十首」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/10/post-dd55d8.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/28a764aef4d8bdd85e7c3f0bbf475ac5

 

・(再)『ホビットの冒険――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 1997.11.10/2002.3.20
(『新版 ホビット――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 2012/11/12)
(Amazonで見る)

・[再]『最新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

・[再]『最新版 指輪物語2 旅の仲間 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」

【別冊 編集後記】2024.4.15
私の読書論183-トールキン『指輪物語』70周年-楽しい読書364号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/04/post-f5aa70.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ec7e37f6a896cbc7db84584c1518634b

 

・『神を見た犬』ディーノ・ブッツァーティ 関口 英子/訳
光文社古典新訳文庫 2007/4/12
(Amazonで見る)

・『タタール人の砂漠』ブッツァーティ/作 脇 功/訳
岩波文庫 2013/4/17
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年6月30日号(vol.17 no.12/No.369)
「私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』」

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.30
私の読書論187-2024年岩波文庫フェアから『タタール人の砂漠』
-楽しい読書369号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-833bdb.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/1a2dfc9f51edb19c7b68c715e2fefd78

 

・『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾 角川文庫 2014/11/22
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年7月15日号(vol.17 no.13/No.370)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2024から(1)角川文庫・
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾」

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.15
[新潮・角川・集英社]<夏の文庫>フェア2024から(1)
角川文庫『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾-楽しい読書370号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-297be6.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/dec18f6edd8ec927530af1a28ba45de1

 

・『鉄道員(ぽっぽや)』浅田 次郎/著 集英社文庫 2000.3
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年7月31日号(vol.17 no.14/No.371)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2024から(2)集英社文庫・
浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』から「ラブ・レター」」

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.31
[新潮・角川・集英社]<夏の文庫>フェア2024から(2)
集英社文庫『鉄道員(ぽっぽや)』浅田次郎-楽しい読書371号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-001c65.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/f4ce521f8ecee71271203e74823b460f

 

・『博士の愛した数式』小川洋子 新潮文庫 2005/11/26
(Amazonで見る)

*参照:古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2024(令和6)年8月31日号(vol.17 no.15/No.372)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2024から(3)新潮文庫・
小川洋子『博士の愛した数式』」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.8.31
[新潮・角川・集英社]<夏の文庫>フェア2024から(3)新潮文庫・
小川洋子『博士の愛した数式』-楽しい読書372号
23:40 2024/08/25
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/08/post-d9f901.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/219efd8040d39871150fdab98bf44954

 

・[再]完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』ヴェルヌ/著
鈴木雅生/訳 光文社古典新訳文庫 2024/7/10 
『十五少年漂流記 二年間の休暇』(Amazonで見る)

・『少年船長の冒険』ジュール・ヴェルヌ 土居寛之・荒川浩充/訳
角川文庫 昭和56(1981)/10/1
『少年船長の冒険』(Amazonで見る)

*参照:『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
2024(令和6)年10月15日号(vol.17 no.18/No.375)
「私の読書論189-完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』
(ジュール・ヴェルヌ 光文社古典新訳文庫)を読む」

【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.10.15
レフティやすおの楽しい読書375号-完訳版ヴェルヌ
『十五少年漂流記 二年間の休暇』を読む【別冊 編集後記】
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/10/post-ce97b4.html

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.28
光文社古典新訳文庫から完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』
ヴェルヌ/鈴木雅生訳 が発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-579d65.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8655ac0ebc9b20c696b589d7d66e1b24

 

 ●(2)それ以外の古典の名作

・『ガイズ&ドールズ』デイモン・ラニアン/著、田口俊樹/訳
新潮文庫 2024.5.29
『ガイズ&ドールズ』(Amazonで見る)

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.21
新潮文庫にデイモン・ラニアン(『ガイズ&ドールズ』)が帰ってきた!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-957440.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/342752af4485ba7edf05148c30f1b7e6

 

【ジュール・ヴェルヌ】

・(再)『緑の光線』中村三郎、小高美保/訳 文遊社 2014/7/30
・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(上)』
三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(下)』
三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
・『エクトール・セルヴァダック』石橋正孝/訳 インスクリプト
ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション 2023/4/21
・『ハテラス船長の航海と冒険』荒原邦博/訳 インスクリプト
ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション 2021/6/30
――完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』を読んだことで、
「未読の作品があったなあ」と思い出し、図書館へ。

 

 ●(3)小説や左利き本等著作のための勉強本

・『クイーンの定員I 傑作短編で読むミステリー史』
エラリー・クイーン/著 各務 三郎/編 光文社 1984/5/1
・『クイーンの定員II 傑作短編で読むミステリー史』
エラリー・クイーン/著 各務 三郎/編 光文社 1984/6/1
・『クイーンの定員III 傑作短編で読むミステリー史』
エラリー・クイーン/著 各務 三郎/編 光文社 1984/9/1
――エラリー・クイーンの編んだ、ポー以降の傑作、あるいは歴史的に
希少価値のあるミステリ短編集を集めた評論『クイーンの定員』から、
代表的な短編を集めたアンソロジーで、海外の短編ミステリ史を改めて
お勉強。

 

 ●(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

【ディック・フランシス】

・(再)『障害』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1982/7/1
・(再)『配当』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1987/7/1
・(再)『奪回』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1989/11/1
・(再)『証拠』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1990/8/1
・(再)『侵入』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1991/8/1
・(再)『連闘』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1992/10/1
・(再)『直線』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1995/8/1
・(再)『標的』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1996/9/1
――フランシスの<競馬>シリーズの本を整理しようかと思い、
手持ちの文庫本を再読中。

 

【ジョー・R・ランズデール】

・(再)『ボトムズ』北野 寿美枝/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2005/3/24
・(再)『ダークライン』匝瑳 玲子/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2006/7/1
――ともに、南部の人種差別に関する歴史ミステリ+少年時代の思い出、
といった内容の読み応えがあるミステリです。

 

【エドワード・D・ホック】

・『怪盗ニック全仕事2』木村 二郎/訳 創元推理文庫 2015/8/29
・『怪盗ニック全仕事3』木村 二郎/訳 創元推理文庫 2016/6/22
――依頼によって2万ドルの料金で価値のないものを専門に盗む、
短編ミステリの巨匠ホックが産み出したユニークな<怪盗ニック>が、
今までに手がけたすべての仕事を順に収録する短編集、全6巻中の2冊。

 

【梶尾真治】

・『おもいでエマノン』梶尾 真治/著 鶴田 謙二/イラスト
徳間デュアル文庫 2000/9/1
・『かりそめエマノン』梶尾 真治/著 鶴田 謙二/イラスト
徳間デュアル文庫 2001/10/1

――地球に現れた最初の動物から現在の動物までの全記憶を持つという、
女の子<エマノン>のシリーズ。第一作からの短編集と初の中編。

 

・『九人の偽聖者の密室』H・H・ホームズ/著 白須清美/訳
山口雅也/監修, 企画・原案 国書刊行会 奇想天外の本棚 2022/9/24
――海外の密室ミステリのベスト10に選ばれている、歴史的な一編。

・『ガラスの橋 ロバート・アーサー自選傑作集』
ロバート・アーサー/著 小林 晋/訳 扶桑社 海外文庫 2023/7/2
――「51番目の密室」等で知られるエドガー賞を2度受賞した短編作家
の日本初のミステリ短編集。アンソロジーで読んだ作品も多く収録されている。

・『地上最後の刑事』ベン・H・ウィンタース/著 上野 元美/訳
ハヤカワ・ミステリ 2013/12/6
――半年後、小惑星の衝突で世界が終わる、という極限の状況の中でも
職務に励む新人刑事の真摯な姿を描く。

・『受験生は謎解きに向かない』ホリー・ジャクソン/著 服部 京子/訳
創元推理文庫 2024/1/11
――高校生ピップの『自由研究には向かない殺人』以下の三部作の前日譚!
架空の殺人事件の犯人当てゲーム。

・『歌うダイアモンド マクロイ傑作選』ヘレン・マクロイ/著
好野 理恵ほか/訳 創元推理文庫 2015/2/27
――別れた夫ブレッド・ハリデーによる序文、SF短編、後に長編
「暗い鏡の中に」となった原型短編「鏡もて見るごとく」も含む、
ヴァラエティ豊かなミステリ短編集。

・『黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル』 パスカル・
エングマン/著 清水 由貴子/訳 ハヤカワ・ミステリ 2023/11/7
――警察の捜査と謎の人々の行動を交互に描く警察小説。

・[再]『ポアロ登場』アガサ・クリスティー/著 真崎 義博/訳
 ハヤカワ文庫・クリスティー文庫 2004/7/15
――作家としての最初期の雑誌掲載のポアロもの短編集。

 

 ●<再読ベスト3>候補

・(再)『ホビットの冒険――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 1997.11.10/2002.3.20
(『新版 ホビット――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 2012/11/12)
(Amazonで見る)

・[再]『最新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

・[再]『最新版 指輪物語2 旅の仲間 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19
(Amazonで見る)

――改めて『ホビット』を読んでみて、やはり面白かったなあ、と。
この本は作品だけでなく、注釈版とあるように、その辺の情報が、
中でも各国語版のイラストが、収録されていて楽しめます。

この『指輪物語』の文庫版は、偶然、本屋さんで見つけたものでした。
従来の文庫版は、活字が小さくて、読みづらかったものでした。
これは、最近の文庫本とおなじで、大きめの活字になっていて、
老眼にもやさしいものになっています。

まだ第一部を読んだだけです。
おもしろいとは思うのですが、もう一つ次から次へと読もう、
と思うほどではないと感じました。
なぜでしょうか?

この作品は、もう50年近く前に、
私が『詩とメルヘン』という雑誌の読者欄に投書した文章を読んだ
女子大生からお手紙をもらい、そこにオススメとして紹介されていて、
読んだものでした。
その時は楽しく読んだような記憶がありました。
あれだけの長さの本を次々読んでいたのですから。

しかし今回は、全体に暗く、かつ少し冗長な印象を受けました。
ある程度ストーリーを知っているということもあるのかもしれません。

 

・[再]完訳版『十五少年漂流記 二年間の休暇』ヴェルヌ/著
鈴木雅生/訳 光文社古典新訳文庫 2024/7/10 
『十五少年漂流記 二年間の休暇』(Amazonで見る)

――過去に縮約版と完訳版を読んでいますが、
今回は違う出版社の新訳・完訳版での再読です。
けっこう忘れているのと、挿絵が全点収録されているので、
思った以上に楽しめました。

・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(上)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
(Amazonで見る)

・[再]『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(下)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
(Amazonで見る)

――これは、昔、高校生時代に、集英社から出ていた
コンパクト・ブックス版の<ヴェルヌ全集>で読んだものでした。
その後、集英社文庫で復刊されています。
(旧訳版・集英社文庫<ジュール・ヴェルヌ・コレクション>
『アドリア海の復讐(上)(下)』)
大デュマの『モンテクリスト伯』のヴェルヌ版といわれる冒険小説です。
今回新訳版の新本で読み直しても、おもしろいものでした。
この本は、ヴェルヌ作品ではお楽しみの一つである、
挿絵もすべて収録されていて、楽しめるものでした。
ただし、問題がひとつあり、新書版のハードカヴァーなのですが、
活字が小さく、老眼にはキツいものがありました。

 

・(再)『ダークライン』ジョー・R・ランズデール/著 匝瑳 玲子/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2006/7/1
(Amazonで見る)

――この作品は、アメリカ南部の黒人問題を取り上げている、
ミステリです。
前作『ボトムズ』もそうなのですが、ミステリ的にはそっちの方が上で、
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞も受賞しています。
でも、少年と黒人のおじいさんとの交流を描くこちらの方が、
小説として興味深く読めました。

 

・(再)『証拠』ディック・フランシス 菊池光/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 1990/8/1
(Amazonで見る)

・(再)『標的』菊池光/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1996/9/1
(Amazonで見る)

――フランシスの本の中では、『証拠』が一番いい感じでした。
最愛の妻を亡くした主人公が、偶然遭遇した事件に立ち向かいます。
『標的』は、定職を捨てて小説に挑んでいる新進作家が主人公で、
その辺のところを興味深く読みました。

 

 ●2024年フィクション系<再読編べスト3>

 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡

   【2024年フィクション系<再読編べスト3>】

  (1)『ホビットの冒険――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 1997.11.10/2002.3.20

250131-hobbit2002

  (2)『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(上)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18
   『シャーンドル・マーチャーシュ 地中海の冒険(下)』
ジュール・ヴェルヌ/著 三枝大修/訳 幻戯書房 ルリユール叢書 2023/5/18

250131-jv-ms

  (3)『ダークライン』ジョー・R・ランズデール/著 匝瑳 玲子/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2006/7/1

250131-dark

 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡

 

どれも、名作です。
ランズデールの作品がネームバリューで落ちるかもしれませんが、
私の心に残したものは、A級です。

機会があれば、ぜひ御一読を!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論193-私の年間ベスト3-2024年〈フィクション系〉再読編『ホビットの冒険』」と題して、今回は全文転載紹介です。

私の昨年一年の<フィクション系>の読書の記録です。

こんな本を読んでるのか、とちょっと恥ずかしい部分もありますが、毎年続けてきましたので、今年も恥を忍んで。

なにかの足しになれば、と思います。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

 

| | Comments (0)

2025.01.07

2025(令和7)年、明けましておめでとうございます。

遅くなりましたが、
明けましておめでとうございます。

旧年中はお世話になり、ありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。

 

Dsc070212025

(画像:今年の年賀状です。今年はオリジナルの作成年賀状ではなく、既製の年賀はがきでした。)

 

年末にインフルエンザに罹患し、体調不良の年末年始となりました。

十年ぶりぐらいでしょうか。
年末28日、近所のお医者さんに無事受診でき、やれやれでした。

実際は毎晩かなりのキツい夜でしたが……。

実はある病気と薬の関係だと思うのですが、まだ確認していませんので、その話はまた……。

 ・・・

今年も、左利きライフ研究家として、元本屋の兄ちゃんとして、
メルマガ、ブログ等で頑張ってゆこうと思います。

ではでは。

 

 

 ●2024年、<左利きライフ研究家>としてのオススメの本

2024年に関していいますと、やはりこれ↓

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27
(Amazonで見る)

 

240627-hidarikiki-no-rekisi

タイトル通り、主にフランスを中心にしたヨーロッパにおける左利きの迫害と解放への歴史を描いています。
著者も訳者も左利きの人による、左利きの本です。

左利きや利き手の問題に関心のある人は、ぜひ読んでいただきたい、と思います。

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.3
新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』発売される
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-e66fa0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ac7d7db2ecd5202dfc09793ee5d2d96e

 

 ●2024年、<元本屋の兄ちゃん>としてのオススメの本

私自身は、これ↓です。

『ガイズ&ドールズ』デイモン・ラニアン/著、田口俊樹/訳 新潮文庫<名作新訳コレクション> 2024.5.29
『ガイズ&ドールズ』(Amazonで見る)

240529-guys-and-dolls

240528-dr

 

エラリー クイーンが選んだ、傑作短編集で読むミステリー史『クイーンの定員』にも選ばれている、1930年代のニューヨーク、ブロードウェイをおもな舞台にしたギャングなどの犯罪者をおもな主人公とした作品集です。

O・ヘンリーなどとはまた違った人情話的な短編です。

1970年代、私の愛読誌だった、早川書房の海外ミステリ専門誌『ミステリマガジン』に、加島祥造さんの翻訳でポツポツと翻訳されていたものでした。

この本を選んだ理由はたぶんにノスタルジーも入っています。

最近の書き手の本はどうも気が進まず、どうしても再読中心になってしまいます。

新しいものに興味を持つべきなのですが、よっぽどのものしか受け付けない、という感じです。

そんななかで、たまに手に取る最近作といいましても、もちろん私にとっての新しいものなので、実際はもう10年も昔の作品だったりすることもありますけれど。

 

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.21
新潮文庫にデイモン・ラニアン(『ガイズ&ドールズ』)が帰ってきた!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/06/post-957440.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/342752af4485ba7edf05148c30f1b7e6

--
※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
--

 

 

| | Comments (0)

より以前の記事一覧