2024.11.16

週刊ヒッキイ第675号-告知-『左組通信』復活計画[34]『LL』復刻(7)LL81996年春号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号の告知】

第675号(Vol.20 no.20/No.675) 2024/11/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [34]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(7)
LL8 1996(平成8)年 春号」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第675号(Vol.20 no.20/No.675) 2024/11/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [34]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(7)
LL8 1996(平成8)年 春号」
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 今回も、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻です。
といいましても、前回書きましたように、ホームページ公開分は
 すべて終了し、ここ3回は改めて入力しています。

 今回も新規入力分で、
 すなわち「ネット初公開!」――ということになりますね。

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┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [34]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (7)
 
   (内容紹介)LL8 1996(平成8)年 春号

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL8 概要

LL8 1996(平成8)年 春号(A5版8ページ)

・ 前説 The Compliments of the Spring Issue―
 見果てぬ夢を追い求めて
“To dream the impossible dream,…. This is my quest.”

・ 利き手差別をなくせ! Down with handism!

『ローラ&ローズ~大草原の小さな家・母と娘の物語』NHK取材班
 ウィリアム・T・アンダーソン 谷口由美子
 翻訳/谷口由美子 発行/日本放送出版協会 平成5年(1993/6/1)
(Amazonで見る)

 

・ 左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その8 Left-handed tools & goods―てのひら≪掌中≫電卓/
 左利き用 ZELCO DOUBLE PLUS calculator No.10731

241116zelco-lh

・ 左利きの本だなぁ その6 お楽しみ編―
 梅田香子『勝利投手』河出文庫/河出書房新社―
≪日米プロ野球女性サウスポー対決その一≫

*参照:『勝利投手』梅田 香子 河出文庫 225A 1989/4/1
(Amazonで見る)

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・ 右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
 Letters from the right/left side seats―
 右側の席から/左側の席から/左利き用品メーカーより

*参照:「レイメイ RAYMAY 左手用こどもはさみ KHH350」

241116-raymay-lh-kodomo-khh350

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 LL8 1996(平成8)年 春号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

(以下、略)

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最新号の告知でした。
冒頭と見出し(と参照記事と文献資料)の紹介です。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.11.02

週刊ヒッキイ第674号-告知-楽器における左利きの世界(26)まつのじん(1)

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!) 【別冊 編集後記】改め【最新号・告知】

第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」

 

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  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第674号(Vol.20 no.19/No.674) 2024/11/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(26)
左利きのヴァイオリニストまつのじん(1)」
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 今回は、昔拾い集めていた左利きと音楽のウェブ情報から、
 左利きのヴァイオリニスト・まつのじん さんのサイト

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(画像:まつのじんさんの“横顔”――写真は正面ですが) 

 

 <まつのじんWebsite> 平和ねがいて 弦なりやまず
http://mjin.m1001.coreserver.jp/

 の中のレフティのページ

 「左ききは、アカン⁉️ WHO is LEFTY¿」(2019年8月13日)
http://mjin.m1001.coreserver.jp/%e3%83%92%e3%83%80%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/

 から、色々と考えてみたいと思います。

 まずはその一回目として、「まつのじん」さんについて知る意味で、
 「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日
 を取り上げ、紹介します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きと楽器演奏について考える

   左利きのヴァイオリニスト・まつのじん(松野迅)さん(1)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利きのヴァイオリニスト「まつのじん」さんについて

まつのじんのエッセイ&書評 Essays(Japanese)
「ゴーシュからの左右考」2019年7月27日
http://mjin.m1001.coreserver.jp/2019/07/27/%e3%82%b4%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%ae%e5%b7%a6%e5%8f%b3%e8%80%83/

 

 ●「左(手)利き」=「強度の左利き」

 ●「不便益」という考え方

*参照:
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.20
大路直哉『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』
(PHP新書)買いました
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-78206b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/740dbc4d5bdd790556aaaefed4dba6d4

『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著
PHP新書 2023/9/16
(Amazonで見る)

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 ●日本は漢字文化の影響で書き方が二通りある

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2004.2.17
『横書き登場』屋内池誠
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2004/02/post_5.html

『横書き登場―日本語表記の近代』屋内池誠 岩波新書 新赤版 863
2003/11/20
(Amazonで見る)

 

 ●左利きの「矯正」(=右使いへの転換)行為について

 ●「ヴァイオリン弾きのゴーシュ」として

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.3
新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
発売される
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-e66fa0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ac7d7db2ecd5202dfc09793ee5d2d96e

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』ピエール=
ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27
(Amazonで見る)

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最新号の告知でした。
冒頭と見出し(と参照記事と文献資料)の紹介です。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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2024.10.19

週刊ヒッキイ第673号-告知-『左組通信』復活計画[33]『LL』復刻(6)LL71995-96年冬号

10月15日発行のもう一つのメルマガ、
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』(https://www.mag2.com/m/0000257388.html)

【最新号の別冊編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.10.15
レフティやすおの楽しい読書375号-完訳版ヴェルヌ
『十五少年漂流記 二年間の休暇』を読む【別冊 編集後記】
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/10/post-ce97b4.html

冒頭に書きましたように――
従来の全文紹介をやめ、メルマガの紹介は、冒頭の部分と、それ以降は「見出し」のみの紹介とします。

今回の場合は、「LL71995-96年冬号」の概要のみの紹介とし、以下は詳細は省略とします。

 

一生懸命書いた文章なので、一人でも多くの人に読んでいただきたい、との思いからの全文紹介でした。

以前は「まぐまぐ!」の方で、バックナンバーの閲覧ができるようになっていました。
それがなくなって久しいのですが、何らかの形で残せたらと思うのです。

あるときの他の方のブログで、メルマガを転載紹介しているのを知り、やってみようかと思って始めたのが最初でした。
当初は「これは」という、どうしても多くの多くの方に知っていただきたい情報のみを紹介していました。

それもやっぱりどうかという気がして、今の形になっています。

 

ただそれをしていますと、せっかく購読していただいている方の楽しみが減る?ような気がします。
いつでも読めるのなら、購読せずともいいのでは? という疑問を抱かせるのではないでしょうか。

そのせいかどうかはわかりませんが、購読者数の減少傾向が続いています。

そこで、今回から時差を設けて発表するように変更しようと考えています。

とにかく色々やってみようと思います。

では、よろしく!

 ・・・

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

第673号(Vol.20 no.18/No.673) 2024/10/19
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [33]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(6)
LL7 1995(平成7)-96(平成8)年 冬号」

 

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第673号(Vol.20 no.18/No.673) 2024/10/19
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [33]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(6)
LL7 1995(平成7)-96(平成8)年 冬号」
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 今回も、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻です。
従来は、
 ホームページに公開していたページのコピーをお届けしていましたが、
 実は、公開されていたのは4号までで、
 それ以後は、公開用にデジタルに入力してあった分を一部手を入れて
 紹介してきました。
 今回はいよいよそのストックも尽きてきて、改めて入力しています。

 改めて入力してきて、以前紹介したエピソードで記憶違いが見つかり、
 今回書き改めねばならず、ちょっと落ち込んでいます。

 では、その辺も含めてお読みください。

 

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┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [33]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (6)
 
   (内容紹介)LL7 1995(平成7)-96(平成8)年 冬号
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL7 概要

(A5版8ページ)

LL7 1995-96(平成7-8)年 冬号
・ 前説 The Compliments of the Winter Issue―
 出発点にもどって Get back to the starting point
・ 左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その7Left-handed tools & goods―世界初の左手用カメラ
 〈京セラSAMURAI Z2-L〉

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・ 左利きの本だなぁ その4 雑誌/カタログ編―
『モノ・マガジン』1991年4月2日号 No.188
 ワールド・フォトプレス発行―特集/左を制するものは時代を制す/
 左利きの商品学

Mono-magazine199142

Mono-magazine199142-cot

・ 左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
怒りをことばに―「このはさみは欠陥です!」

(*【2024.10.21追記】誤解を避けるために書いておきます。――
 悪評ではありません。写真の製品は、確かに当初の製品では若干持ち手に問題がありましたが、のちに改良され、優れた製品になっています。
 私が苦情を投書したところ、担当者による丁寧な製造に関する説明と共に改良品が送られてきました。その誠実な“物作りスト”としての姿勢が素晴らしい、と感心させられました。
 写真は送られてきた改良品。)

Ets5ne6u4aahjrb

・ 左利きの本だなぁ その5 雑誌/コラム編―
『モノ・マガジン』1994年11月2日号 モノ・インタレスティング

「左利き生活向上委員会」

Mono-magazine1991112

・ 右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
 Letters from the right/left side seats

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 LL7
 1995-96(平成7-8)年 冬号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

(以下、略)

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上にも書きましたように今回は、最新号発行の告知のみです。

 ・・・

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2024.10.05

楽器における左利きの世界(25)左利き用楽器の可能性は?-週刊ヒッキイ第672号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

第672号(Vol.20 no.17/No.672) 2024/10/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(25)
 なぜ左利き用楽器はギターぐらいなのか?」

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  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第672号(Vol.20 no.17/No.672) 2024/10/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(25)
 なぜ左利き用楽器はギターぐらいなのか?」
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 このシリーズ「楽器における左利きの世界」も25回目になります。
 早いものです。
 目標は高く、ということでやって来ましたが、
 まったく近づいている感じがありません。

 どこを糸口にすればいいのかわからないままに、続けてきました。
 まあ、そのうち何かぼんやりとでも光が見えてくればいいなあ、
 というところです。

 で今回は、どうして左利き用の楽器があるのはギターぐらいなのか、
 ということで……。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きと楽器演奏について考える

   なぜ左利き用楽器はギターぐらいなのか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利き用楽器はギターぐらい?

前回までは、ヴァイオリンについて左弾き用がないのはなぜか、
について考えてきました。

結論として、ヨーロッパ社会は左利きを認めない社会であり、
楽器の演奏においても左利きは否定されてきたため、
左利き用の楽器は存在しなかった、ということになります。

 

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27
『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』(Amazonで見る)

240627-hidarikiki-no-rekisi

という本によりますと――

ヨーロッパ社会においても、
昔は左利きに対して特別な意識はありませんでした。
ごく自然に右手も左手も使う、右手を使う人も左手を使う人もいる、
という状況でした。

社会の進歩発展の過程で、様々な道具が用いられるようになるとともに、
上流社会を中心に食事の際にフォークを右手で使う、
書字に際しても右手を用いる、といった右利きを想定した規範が生まれ、
学校制度の普及とともに、中流以下の階層にも広まってゆきました。
それとともに、左利きが否定され、反社会的な存在、
悪者扱いとされるようになりました。

 

ヨーロッパの芸術音楽の世界は、
上流社会で親しまれ発展したものでした。
その社会は右利きを規範とする社会で、
左利きは社会的に認められない存在だったので、
楽器の演奏においても、左弾きなどは邪道であり、
社会的に認められなかったわけです。

そういう上流社会の芸術音楽が、
しだいに中流以下の階層にも影響を及ぼし、
それまでは存在していたであろう一般庶民のあいだでも、
左利きの演奏が否定されるようになってゆき、
楽器類も右利きのみになっていった、と考えられます。

現在、左利き用の楽器として知られているものといいますと、
ギターの類いぐらいですね。

左利き用ギターの販売で有名な
「谷口楽器」https://taniguchi-gakki.jp/
には、
<レフティギター/ベース、アコーディオン、ハーモニカ専門店>
とあります。
もちろん鍵盤ハーモニカも取り扱い品目に入っています。

この企画では鍵盤ハーモニカについても書いてきました。
まさにこの企画にはピッタリなお店だといえそうです。

人見知りを捨てて、改めて連絡を取り、助言をいただくべきでしょうね。

241005tanigutigakki-lefty-guitar

(画像:谷口楽器のサイトより、レフティギターのタイトル・バナー) 

 

 ●左利き演奏が許される楽器の条件

今回は、先に書きました<なぜ左利き用楽器はギターぐらいなのか?>
について考えてみましょう。

 

簡単に結論を書いてしまいますと――

前回も書きましたように、

--
左利きが否定される社会にあって、
「左利きですから左弾きで」
などという発言は認められるはずがありません。

「左利きは悪」だったのです。
左利きは直すべき悪習、悪癖だったのです!

ヴァイオリンの生まれたヨーロッパに於いても、です。

ヨーロッパ社会での
ヴァイオリン演奏で右弾きしか認められなかったのは、
ヨーロッパ社会では、古くから左利きは否定されていたから、です。
--

ヨーロッパのオーケストラのような芸術音楽においては、
左利きですから左利き演奏で、という考えは認められなかったわけです。

オーケストラなどで演奏される楽器はみな、
右利き演奏しか認められなかった、というのが本当のところでしょう。

もし左利き演奏が許される楽器があるとすれば、

 (1)オーケストラでは利用されない楽器

で、かつ

 (2)構造的に左右対称形であること

これが条件と考えられます。

 

 ●オーケストラで使われる楽器

この条件を満たす楽器にどういうものがあるのか。

私は音楽の知識がほぼゼロなので、
オーケストラで使われる楽器にどんなものがあるのか、
改めて調べてみましょう。

 

【オーケストラで使われる楽器は何?】楽器の特徴とステージ上の配置
2024年9月14日 ガクオンBlog 特集記事
https://blog.gakuon.jp/orchestra-instrument/#st-toc-h-3

によりますと――

・弦楽器
高い順から、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

・木管楽器
フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット

・金管楽器
ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ

・打楽器
ティンパニ、シロフォン・マリンバ、スネアドラム

・編入楽器
《演奏する曲目によって、必要な時のみ登場する楽器》
《その楽器にしか出せない音色や特徴がある》
サクソフォン、ハープ、ピアノ

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(画像:オーケストラの楽器とその配置――ネット記事「【オーケストラで使われる楽器は何?】楽器の特徴とステージ上の配置/2024年9月14日 ガクオンBlog 特集記事」より) 

 

これらの楽器は、やはり左利き用を期待するのは、難しいようです。
現状ではそもそもの発想の中に左利き用の楽器というものがありません。

そのなかで打楽器は、両手にバチを持って叩くので、
利き手の違いはあまり気にならないように思われます。
実際はどうか存じませんが、これは左利き用といいますか、
左利きにもチャンス(?)がある楽器なのかも知れません。

木管楽器は、このシリーズの初期に紹介しました、
フルートを吹く少年の絵にもありましたように、
昔は木管でどっち構えでも吹けるものだったようです。
今ではそうともいえないようですけれど。

 

 ●左利き用が期待できる楽器

というわけで、左利き用が期待できる楽器は、
オーケストラ的な芸術音楽のメインになる楽器ではなく、
民族楽器的なものになってきそうです。
一般庶民が気軽に手にして、日々の生活の中で演奏するような楽器。

ギターがそういう楽器なのかどうかは、
私は楽器にくわしくありませんので、よくわかりません。

雰囲気的にはそんな感じがします。

まあ、その辺は改めて調べ直すとして、
先に挙げました条件から、その(2)構造的に左右対称形であること
という点では、ギターは満たしているように思います。

ヴァイオリンのように複雑な構造を持たず、
わりにフラットな作りになっているように見受けられます。

単純に弦を張り替えれば、左用になる、ような。

作りやすい、可能性のある楽器――それがギターであり、
一般に広く親しまれている楽器でもあり、そういう点からも、
左利き用が生まれる余地のある楽器だったのかも知れません。

 ・・・

今回は簡単ですが、この辺で。

次回からは、また個別に色々な楽器について、
その左利き用の可能性を調べていこうか、と思います。

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本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(25)なぜ左利き用楽器はギターぐらいなのか?」と題して、今回も全紹介です。

今回は、正直どうしようかという迷いの中で書いてきました。
本来なら、一直線に左利き用の楽器作りのためにがむしゃらに突き進む、
という方法が一番なのですが、
具体的にどこからスタートするのがいいのか、わかりません。

もちろんメーカーさんに問い合わせるのが一番でしょう。

でも、もう一つよくわからない、というのが本当のところです。
もうちょっと色々調べて、具体的な話を進められるだけの知識を
身につけておく必要があるように感じています。

――というところでしょうか。

 ・・・

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.09.21

『左組通信』復活計画[32]『LL』復刻(5)LL6 1995年秋号-週刊ヒッキイ第671号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

第671号(Vol.20 no.16/No.671) 2024/9/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(5)LL6 1995(平成7)年 秋号」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第671号(Vol.20 no.16/No.671) 2024/9/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(5)LL6 1995(平成7)年 秋号」
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 今回はまた、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』
 の復刻で、ホームページに公開していたページのコピーです。
240316-hgll01

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (5)
 
   (内容紹介)LL6 1995(平成7)年 秋号

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL6 概要

(A5版8ページ)

前説 The Compliments of the Fall Issue道を切り開こう!
左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―私の簡単“左利き判別法”
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その6Left-handed tools & goods
―左利き用万年筆の使い心地良さ!
左利きの本だなぁ その3 お楽しみ編
―『左利きの名画』ロジャー・オームロッド著 野中千恵子訳
 社会思想社 現代教養文庫〈ミステリ・ボックス〉
<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)
レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より
―ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果

240921-lh-007

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
LL6 1995(平成7)年 秋号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

A5版8ページ

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前説 The Compliments of the Summer Issue
道を切り開こう!
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今年の始めに関西を襲った阪神淡路大震災の直後に、痛切に感じたのは、
一本の鉄道の、一本の道路の持つ役割の重要さ、大切さということ。
一本の鉄道が、一本の道路がいかに多くの人を、物を運んでいるか。
そして、そのつながりが人の心をも繋いでいる。
ただ単に生物的レベルで生きる糧を与えているだけでなく、
人に勇気を、希望を、夢を、愛を与えている。
道がつながっている! 通れる道がある! ということが、
人の気持ちにゆとりを与えることができるのだ。
今私は、その“道”を作ろうとしている。
左利きの人々に、愛と勇気と希望と夢を与えてくれる、
そういう“道”を!
いつの日にか、この道も立派な大道になるだろう!
その日を夢見て、Keep on working!

 

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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
―私の簡単“左利き判別法”
------------------------------------------------------------------

「あっ、あの人左利きや」とわかるのは、まず一番は、字を書くとき、
次に食事のとき――といったところでしょう。
しかし、これでは小さいときに“矯正”を受けた人は見抜けない。
字を書いたり、箸を使ったりするときに右手を使う左利きの人は
少なくない。
やはり刃物を使う、あるいはその他のいろいろな道具を使うときの様子を
見ないとわからない。
もしくは、スポーツをするとき――たとえば野球で言えば、
キャッチボールやバッティング、サッカーのボールを蹴る足、
テニスのラケットを持つ手、ゴルフのクラブを構えるときなど…。

今回ご紹介するのは、町を歩いているときに使える、
私の発見した“左利き判別法”で、
それは、〈自転車に乗っている人〉の見分け方である。
前回の「左利きの生活/こんな道具が不満です!」で書いたように、
自転車というものも右利き用に設計された道具である。
 左側から乗るときに邪魔にならないように右側にチェーンがある。
 右利きの人は手だけでなく、利き足も右の場合が多く、
 そういう人は左足で体重を支え、右足で作業をする。
 すなわち、左足はペダルにかけて、右足で地を蹴るか、
 ペダルをこいでスタートする。
 左手は常にハンドルに置き、
 いつでも主ブレーキである後輪ブレーキがかけられる。
 右手は状況により、ベルを鳴らしたり、前輪ブレーキをかけたりする。

――では、その乗り方による判別法とは:
① 物を持っている場合は、たいてい利き手で持っている。
左利きの人は、左手に。
② 惰力で走るときは、体重を支える軸足を伸ばして、
利き足の膝を曲げ、次の動きに備えている人が多い。
左利きの人なら、左足を曲げ、右足を伸ばす。

あなたはどんなときに、
「あっ、この人は左利きやぁ」と気付きましたか? 
あなたの発見した“左利き判別法”を教えてください。

 

------------------------------------------------------------------
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか? その6
Left-handed tools & goods―左利き用万年筆の使い心地良さ!
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 いつごろだったか学校で、ペン習字の時間というのがあった。
鉄製のペン先をペン軸にさして、インクをつけて書くのだが、
このときはとにかくたいへんな目にあった記憶がある。
なにしろ、ペン先が紙にひっかかって書けたものじゃない!
 右利きの人は、ペン先を引いて書くので問題はないようだが、
左利きの場合はペン先を押していくので、
紙にペン先を突き刺すような形になる。
しかし、気軽に人に相談できるタイプではなかったし、
先生にどうすればいいのか訊けるような積極的なほうではなかったので、
左利きの私のためにいい方法を教えてくれる人はいなかった。

 左で書く生徒のために、個別に書き方を指導する先生はいなかった。

 初めて手にした万年筆は、安物ではあったが、
やはり本物の万年筆だけあって、鉄製のペン先とは違って、
書き味には格段の差があり、さほど引っ掛かることもなく、書けた
と記憶している。
 残念ながら、これはいつのまにかなくしてしまった。
 二本目は、日記を書くなら万年筆、と考えて二十代に手に入れた物で、
今も使っている“パイロット”の14金のペン先のもの。
 しかし、これもはじめはうまく書けず、力を入れて
ペン先をつぶすようにして、やっと書けるようになった。
ところが、いつしかボールペンやフェルトペンに変わってしまった。
というのも、インクの乾くのを待たなければならない、水に弱い、
等の理由もあるが、やはり書きにくさ、というのが底にはあったようだ。

 今回、左利き用の万年筆を購入してみた。
 ペン先が左下がりにカットされていて、
左手で構えると紙面にピタッと沿い、いかにも書きやすい。
スムーズな滑りで、縦線が太目のやわらかな文字が書け、
予想以上に気持ち良く、ついつい使いたくなってしまう!
 まるで、新しいおもちゃを手にした子供のように、
楽しくて仕方がない毎日である。

パーカー・フライター45CT 万年筆(左利き用)
 左利き用のニブ(ペン先が左下がりにカットされている)なので、
ひっかからずにスムーズに書ける。
Parker Flighter 45 CT fountain pen/ANYTHING LEFT-HANDED
240921-parker-lh-fp

 

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左利きの本だなぁ その3 お楽しみ編
―『左利きの名画』ロジャー・オームロッド著 野中千恵子訳
 社会思想社 現代教養文庫〈ミステリ・ボックス〉
 1993年3月30日初版第一刷発行(1993/3/1) 原著©1988
(Amazonで見る)

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240921-hidarikiki-no-meigall6

 この作品は、アガサ・クリスティ・ファン・クラブの会長、
数藤康雄氏よりご紹介いただいたものです。
左利きが重要なポイントとなっています。

 左利きと右利きの人が共存している理想的な世界――
それはどんなものか想像してみてください。たとえば、こんな風景――。

 左利きと右利きの恋人たち――後に夫婦となる――は
ひとつのパレットをはさんでキャンバスを並べ、絵を描いている…。
 もし彼らが右利き同士だったら、
それぞれに別々のパレットを置いて描くことになる。
しかし、彼らはそれぞれ右利きと左利き。
パレットを挟んで、右側に左利き、左側に右利きの人がすわり、
ひとつのパレットから、同じ絵の具で、ひとつの風景を描く…。
 
 この本のなかで重要な役割を持っているのが、
そのような彼らが描いたそれぞれの絵。
仲のよい彼らは同じ手法をマスターし、描いたそれぞれの絵は、
微妙な視点のずれ――角度の異なった一組の絵をうみだした。
 彼らが手放した数枚の絵は、のちに名画として高く評価され、
財産としても一角のものであった。
 ところが、お金に困った主人公が
お祖母さんの絵を鑑定家に見せたところ、
なんとその絵は世界に数枚しかないという、
その高名な画家の手になるものだという。
離婚の危機に陥っている主人公は、
この鑑定家の女性とともにお祖母さんを訪ねるが…。

 その画家の数少ない実物を持つギャングのボスとの間で、
お祖母さんの絵をめぐってのコンゲーム…。
お祖母さんの絵は、本物か否か? 
お祖母さんを殺した犯人は誰か? というミステリ小説。

 

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<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)
レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―
ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果
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THE LEFT-HANDERS’ CLUB SURVEY 1994(翻訳:レフティやすお)

 イギリスのロンドンにある左利き用品専門店、
エニシング・レフトハンデッドの顧客と店を結ぶべく、
1990年にスタートしたザ・レフトハンターズ・クラブは、
現在千五百人を超える会員を持ち、年に四回の会報を出している。
 1994年6月に行われた会員に対する詳細な調査は、
会員自身の個人的、あるいは家族の歴史、
それぞれの特質・考え方にまで及び、左利きの人にとって重要なこと、
なやみの原因となる事柄を明らかにさせる、というねらいがあった。
 現在までに回答を寄せた263名の人たちは、全国的に見て、
年齢・性別・家族の状況など、典型的な左利きの人々である。
調査の結果は、左利きの人とその家族の体験に基づく主観的な意見と、
左利きに対する実際にある言外の意味とを教えてくれる。
 私たちは、この調査結果に啓発的なものと、魅惑的なものを発見した。
そして、私たちの継続的な活動において、
左利きの人に対する良き認識と考察のために、
それらを正しく用いるつもりである。

 調査の結果と結論は、下に示すとおりである。

 

◎ どちらの手を使いますか? Which hand do left-handers use?

(左手/左側の割合 %)
・字を書く、絵を描く           100%
・ハサミで切る               82%
・髪の毛をブラッシングする、とかす 98%
・歯を磨くとき、歯ブラシを持つ       97% 
・フォークなしで、ナイフを使う       92%
・フォークとともに、ナイフを使う      27%
・スプーンだけを使う           100%
・片手でボールを投げる           90%
・テニスのラケットを握る          92%
・ふたを回して開ける            88%
・ボールを蹴る               82%
・片目で見る(望遠鏡など)         76%
・(よく聞き取るために)耳に手をかざす   78%
________________________________________

「左利き」で食べる人のパーセンテージが低いのは、
以前の調査と一致する。
 左利きの人は、スプーンであろうとフォークであろうと、
常に首尾一貫して同じ手で食事をしている。
右利きの人は一致しない。
彼らはどの道具を使うかによって、手を使い分けている。

 

◎ 会員は書字(手書き)の際にどのような問題を持っているのか?
 Did members have problems with handwriting?

・カギ状の記号を書くとき、ペンの頭を中心に手をねじる
  ページを横切ってペンを引く           13%
・机に対して、斜め右に傾ける            63%
・自分のからだを斜め右に向ける           40%
・書いているうちに、時々書いたものが汚れてしまう  69%
・自分の書く姿勢が窮屈なことに気付く        29%
・あなたの書き方や姿勢が、書くスピードを鈍らせる
  たとえば、ノートを取るとき           38%
________________________________________

左利きの人の最大の問題は、書くことだが、
それはインクがスムーズに流れる左利き用の万年筆を使うことで、
書くのに適した姿勢と用紙を置く位置を工夫することで、解決できる。
もし、先生たちがこのことに気付いていたら、
左利きの子供たちの生活は、もっと楽になるに違いない。

 

◎ 左利きの人は学校でどんな問題を持っていますか?
Did left-handers have any problems at school?

60%の人―広い年代にわたって。全体的に見ると、
 サポートのないこと、あるいは少ないことに集約される。

代表的な意見は
・訴えた後で、父親が先生と話し合った。
・違いやむずかしさを感じた。
・誰もが、頭が悪いと思った。
・左利きの先生からだけ。

64%―書き方を習うときの困難さ
・悪夢! 汚れる/覆い隠す、書くことはいつも問題になる。
・先生は右利きに変えるように試みさせる。
・ペンとインクを使わなければならなくなるまでは、楽しんだ。
・左手を使うのと、汚すのとで、定規が耳に。
・校長が言うことには、私のペットのクモの方がきれいに書ける。

17%―いつかは左利きであることをやめさせようとした。
15%―左利きとは直接関係ないけれど、
多少話すことに問題を持っていた。

 

◎ 左利きの人が左利きに結び付けて考える特質
Attributes that left-handers think relate to their handedness

44%の回答―右利きの人より有利だと考えていること:
 適応性/順応性、論理的思考、創造性/独創性、
 (数字・文字を)逆から数えたり、読んだりできる、絵を描く、
 ドライブ(ギアが左側)、空間認識に優れている、計算に優れている、
 なにごとにも向いていて偏見がない、記憶がよい。

スポーツで有利といわれているもの:
  ボクシング、クリケット、テニス、バドミントン、フェンシング、
射撃、ラウンダーズ、野球。

 

◎ 右利きの人は左利きの家族をどのように考えているか?
 What do right-handers think of their left-handed family?

54%の回答――彼らが見た左利きの人たちの困難さ:
・缶切り、小切手帳、切ること、台所用品、書くこと、電話、カメラ、
  裁縫、ビンを開ける。
・礼儀正しく食べない。
・さまざまな運動の技法を教えてもらえない。
・彼らの書いたものは読めない。

30%の回答――左利きは、日常の仕事において、行いが不器用で、
  動きがぎこちない。
・不器用だ、しかしそれはまちがった道具を使っているから。
・ほとんどの仕事でへたくそ、すべてのことに自信のなさと
  内気さが現れている。
・少し変わった意見:「彼女が引っ越すとき、損をする」
・         「彼女の左足が内側に向くと、時々倒れる」

6%の回答――左利きは有利だ:
・いくつかのスポーツで。
・彼らは順応性が高い。
・空間的作業や創造性に優れている。

 

◎ 左利きの人は自分自身のことをどのように見ているか?
 What do left-handers see themselves?

56%の回答――左利きは平均より知能が高い。
39%の回答――平均より不器用で動作がぎこちない。
51%の回答――平均より創造力があり、芸術的である。
________________________________________

左利きは知能が高い、と示す調査があった。
しかしそれは一般的に受け入れられていない。
七人(三%)の人たちは、MENSAのメンバーだという。
これは、MENSAに加入できる率、人口の二%よりわずかに高い。
しかし、彼らのメンバーの間では、左利きの記録を取っていない。
(*MENSA/知能テスト上位二%の人々のクラブ)

 

◎ 左利きに関係がある事故 Accidents related to left-handedness

19%の回答――明確に左利きに起因すると考えられる事故の詳細:
・メータースタンプ器に左前腕をとられた。
・パンをスライスするときに指を切った。
・体育教師を投げ槍で危うく殺しかけた。
・(右側に注ぎ口のある)シチュー鍋から熱い液体を注ぐときに
 やけどをした。
・学校の木工作業でノコギリで事故を起こした。

 

◎ 仕事での左利き Left-handers at work

・回答者は、例外的ではない集団をして、広い分野の職業に存在する。
  八%は教師。
・左利きの人が仕事において好きなこと:
  ひとびととふれあうこと、創造的思考、問題を解くこと、
  計画を立てること、実用的な仕事、数字に関する見積もり・予測。
・彼らが嫌う仕事:事務処理、繰り返しの多い仕事、訓練、
  型にはまった仕事、役所仕事、書類整理。

 

◎ 左利きの人が期待している改良点
Improvements that left-handers would like to see

・右利きの人からの思いやりをもう少し。
・もっと教師に左利きに関する認識と教育を。
・世間一般の人が、左利きは不器用だ、と考えないこと。
・少数意見「おやまあ、あなたは左利きですか、お気の毒に」

左利きバージョンが欲しいもの、具体的に:
 小切手帳、カメラ、ビデオカメラ、自転車のベル、絵のパレット、
 ライフル銃、コンピューターのキーボード・マウス、アイロン、
 計量カップ、会議机、調理器(左手で開くオーブン)、
 クロスワード(ヒントが右側に書かれている)、手すり(両側に)、
 ガスストーブの調節つまみ、芝刈り機、ワードプロセッサー、
 ペッパー/ソルト・ミル、ミシン、キャッシュマシン、
 充分な長さの紐がついたカウンターのペン、
 セガ・メガドライブのコントロール・パッド、スーツケースの引き手。
________________________________________

これらのうちのいくつかは、実現が難しい。
しかし、わがクラブでは左利きのニーズをよく考慮するように、
デザイナーや製作者に対してキャンペーンを続けていく。
財政的に実行可能な限り、
特別に製作した各種の左利きバージョンの道具を確保する。
クラブの会報”The left-hander”を通して、左利き並びに、
潜在的な問題を軽減させることができるものに対する認識を
引き続き高めていく。

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――次回は、

 「LL7 1995-96(平成7-8)年 冬号」

を紹介する予定です。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [32]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(5)LL6 1995(平成7)年 秋号」と題して、今回も全紹介です。

「<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果」は、私自身の翻訳という素人の仕事ですので、誤訳も多々あるかと思われます。
それでも、それなりに言わんとする意味はご理解いただけるかと思います。

30年前の調査ではありますが、それぞれに貴重な内容の情報で、現代にも通じる部分があります。
多くの方に知ってほしい情報でした。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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2024.09.07

楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)-週刊ヒッキイ第670号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

第670号(Vol.20 no.15/No.670) 2024/9/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)」

 

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【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第670号(Vol.20 no.15/No.670) 2024/9/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)」
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 前号は、「左利きでもヴァイオリンは右弾きで」という
 左利きヴァイオリニストの意見に
 「なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか」
 その理由を述べ、反論する第2回目でした。

 今回はその続きといいますか、最終的な結論――
 根本的な理由に基づく反論です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆
 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}
- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか(3)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利きでも右弾きを薦める人たちの理由(再々載)

ネットで調べた「左利きとヴァイオリン演奏」についての発言で、
左利きのヴァイオリニストの人も含めて、ほぼ全員が
「左利きの人でもヴァイオリンは右弾きで」と発言されていました。

今回も改めて、それらのご意見――
「左利きでも右弾きを薦める人たちの理由」
についてまとめたものを書いておきましょう。

 ・・・

【左利きでも右利き用で右弾きを薦める理由】

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?

 

 ●「左利きでも右弾き」に対するそもそもの理由

最後に、総合的な反論です。
といいますか、左弾きが認められない理由ですね。

これを説明しておきましょう。

以前少し書いていますが、簡単に言えば、左利き差別といいますか、
左利き否定の思想によるものです。

 ・・・

前回、前々回とそれぞれの反論を書いてきました。
それぞれ理屈は合っていると思います。

ただ「そもそもの理由」というものがあったのですね。

そして、実はそれ自体が大いなる誤りなのだ、という事実が、
実は最も重要なポイントなのです。

「左利きでも右弾き」を推奨するそもそもの理由とは?

それは、左利きそのものが否定されるべき事だった、という事実です。

左利きが否定される社会にあって、
「左利きですから左弾きで」
などという発言は認められるはずがありません。

「左利きは悪」だったのです。
左利きは直すべき悪習、悪癖だったのです!

ヴァイオリンの生まれたヨーロッパに於いても、です。

ヨーロッパ社会での
ヴァイオリン演奏で右弾きしか認められなかったのは、
ヨーロッパ社会では、古くから左利きは否定されていたから、です。

 

 ●十六世紀のヨーロッパ社会

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第661号(Vol.20 no.6/No.661) 2024/4/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(19)
 梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史』からヴァイオリンの歴史」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.4.6
楽器における左利きの世界(19)梶野絵奈『日本のヴァイオリン史』から
-週刊ヒッキイ第661号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/04/post-4c5b1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a8bf813a7ec9e953053fb9ef3067c3df

でも紹介しましたように、

梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史――楽器の誕生から明治維新まで』
(青弓社 2022/9/26)
『日本のヴァイオリン史――楽器の誕生から明治維新まで』(Amazonで見る)

240406nippon-v

によりますと、

 《ヴァイオリンの起源については諸説あるが、
  イタリアでヴァイオリンの原形が十六世紀に生み出されたというのが
  定説になっている。》「はじめに」p.21

また、

 《...一五〇〇年頃前後にはヴァイオリンの原型[傍点]が世に現れ、
  現在の形のヴァイオリンが誕生したのは
  十六世紀中頃と考えていい。》p.26

ともあります。

「十六世紀に生み出された」ヴァイオリンですが、
この十六世紀という時代は、
「左利きに対する抑圧が始まった」時期でもあったのです。

第667号の別冊編集後記で書いていますように、

第667号(Vol.20 no.12/No.667) 2024/7/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで(1)」
【別冊編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.6
楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで(1)
-週刊ヒッキイ第667号
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6月末に出版されました左利きの本の新刊、
ヨーロッパ(主にフランス)での左利き差別(と賞賛)の歴史を描いた
左利きの著者と訳者による左利き本

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27
『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』(Amazonで見る)

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この本は、
左利きでもヴァイオリンを右弾きすることが当然とされる根拠の一つ
といいますか、
そもそもの最大原因は、「左利きを認めない社会であった」
ということを証明する本、といっていいものです。

「第二部/第8章 虐げられた左利き」に、

 《左利きに対する抑圧が近代に始まったのは、ほぼ確かなようである。
  日常生活のおもな行動に左手を用いることがタブーとなったのは、
  十六世紀後半からである。》p.110

とあります。続けて、

 《やがてこのタブーは、より広い社会階層にも少しずつ適用され、
  ほとんどすべての人に共通した礼儀作法の規則と化していった。
  こうして左利きは、罰せられるべき違反者となったのである。》
pp.110-111

というのです。

こういう社会情勢の中で、
ヴァイオリンの演奏に於いて、左手で弓を持ち、左弾きする
というような行為が許される訳がありません。

なにしろ、このヴァイオリンという楽器は、
西洋の芸術音楽で中心的な役割を果たしている楽器でもあるのですから。

左利き自体が否定される状況で、主に上流階級で演奏される
芸術音楽の主役であるヴァイオリンを習う時に、
左利きですから左弾きで、という要望が認められるはずがありません。

そもそも日常生活でも左手使いが認められないのですから、
楽器の演奏が認められるとは考えられません。

もちろん、一般庶民の趣味的な演奏なら別でしょうが、
学校であったり、教会であったりといった場では不可能でしょう。

 

 ●公教育による右利きの規範化

これらについては、

第665号(Vol.20 no.10/No.665) 2024/6/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.6.1
楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から-週刊ヒッキイ第665号
23:45 2024/05/29
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https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7b6f52c7e9db04cfc74b96d89909df32

でも、

--
ヨーロッパでも、日本と同じように左利きは差別されてきました。
認められるようになったのは、日本と同じように第二次大戦後のこと。

昔から左利きの子供たちは、親や学校の先生など大人たちから
「矯正」の名の下に、字を書く等の“人間的”な行為に関しては、
右使いに転換させられてきたのです。
--

と書いています。

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』の
「第二部/第7章 不寛容のはじまり」には、

 《学校はつねに左利きに対抗するためのもっとも有効な手段の
  ひとつであった。というのも学校は、利き手のいかんにかかわらず、
  右手で書くことを子供たちに義務づけていたからである。
  こうして何世紀にもわたり、文盲――
  これはとくに農村社会に見られ、下層階級に特徴的な弊害である
  ――は、いわば左利きのもっとも安全な隠れ所となっていた。》
 p.106

といい、十八世紀の証言によりますと、
田舎には左利きの農民が何人もいて、それは、教育の乱用によって、
生まれつきの性質が歪められていなかったからだ、と。

 《ところが、十九世紀を通して公教育が大幅に進展すると、
  やがてあらゆる改装の人々が、
  学校の文明化と徹底した規範化の動きに巻き込まれることになる。
  一八八二年、フランスで初等教育が義務化されると、
  すべての左利きの子供たちが、社会階層や家柄にかかわりなく、
  いっさい例外なしに右利きの支配下に置かれ、平等という
  名のもとに、生まれつきの性行を放棄するように命じられる。
  当時のある証言は、
  こうした「右利きの規範化」を国民に推し進めるうえで、
  公教育が果たした重要な役割を明らかにしている。》p.107

といいます。

 《したがって十九世紀後半には、公教育の大衆化によって
  右利きが圧倒的な覇権を握る。》p.107

 《一世紀も経たないうちに、(略)一九一九年に、
  左利きが生まれつきの性質を運よくそのまま保ち続けることは
  「きわめて珍しい例外」だと、述べている。その間に、
  ブルジョワ的道徳観の支配や初等教育の強制力が、
  左利きを制圧してしまったのである。》p.109

とあります。

 

 ●刷り込まれた規範

こういう社会に於いて、単なるお遊びや下層階級の慰みとしての
楽器演奏なら左弾きも許されたかも知れません。

しかし、上流階級のたしなみや教育の一巻としての、
あるいは中流以下においても、同様な意味での器楽演奏となりますと、
左利きだからといっても左弾きが許されることはなかったでしょう。

ゆえに、ヴァイオリンの左弾きは、
こういうふうに左利きが差別される状況下では、
あり得ないことだったでしょう。

その規範が現代でも生き残っているのではないでしょうか。
すくなくとも、クラシックの音楽を勉強してきたような人たちには、
「右弾きが正しい演奏法である」と刷り込まれているのでしょう。

 

 ●左利きの権利として、左利きに対応した楽器を!

第二次大戦後、すでに80年が過ぎようとしています。

アメリカでは、1920年代に左利きの右利きへの強制的な「転換」は、
多くの弊害があるという研究が発表され、徐々に改善されてきた、
といいます。

ヨーロッパ社会は、もう少し閉鎖的で新しい考えがなかなか浸透せず、
アメリカの影響を強く受けるようになる戦後になって
ようやくその方向に進み出した、という状況だったようです。

その辺はまたいずれ検討してみたいと思います。

 

とにかく、現代においては左利きは生来の一つの性質であり、
否定されるものではないという考えが、確定しています。

左利きの権利として、左利きに対応した道具類の必要性は
認められてきています。

音楽の世界においても、楽器においても、
一日も早くこの常識が通用する世界に変わって欲しいものです。

ギター類だけでなく、その他のあらゆる楽器において、
左利き対応の楽器が製作販売され、
初心者に左弾きを教育できる世界になってほしいものです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(24)左利きは左弾きヴァイオリンで(3)」と題して、今回も全紹介です。

現代においてもヴァイオリンの左弾きが薦められていないのは、要するに、他の左利きの場合と同じで、単純に昔から「左利きが否定され、抑圧されてきた」というだけの話です。

しかし、今はもうそういう時代ではないのです。
素直に左利きの人の思いを受け止めて、左用を準備する社会になってほしいものです。

難しい話ではなく、意識の変革だけの問題です。

古くさい常識は捨てて、新しい時代にふさわしい考え方を持つようにしたいものです。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.08.13

8月13日は49回目の「国際左利きの日」INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY――始まりは1976年アメリカ

毎年書いていることなのですが、日本語で「国際左利きの日」を検索しますと、日本語版ウィキペディアも含めて上位10件中9件で、

《1992年8月13日、イギリスにある「Left-Handers Club」により》云々

と出てきます。

202485-ilhd

202485-ilhd2

(画像(1)(2):Googleでの日本語「国際左利きの日」の検索結果上位10件)

 

一方、英語で「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」を検索しますと、2件目に英語版 WikipediaのInternational Lefthanders Dayが登場し、

《The day was first observed in 1976 by Dean R. Campbell founder of the Left-handers Club.
 (翻訳)この日は、左利きクラブの創設者であるディーン R. キャンベルによって 1976 年に初めて祝われました。》

と出ています。
他の英語サイトでも、この「1976年起源説」の情報を紹介しています。

2024811wikipediainternational-lefthander

(画像:Googleでの英語「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」の検索結果2件目の英語版 WikipediaのInternational Lefthanders Dayの該当部分-2024.8.11)

 

日本語での検索結果とは大違いです。

誤りの諸悪の根源が日本語版ウィキペディアにあるのかどうかは存じませんが、困った状況が続いています。

ただし、日本語版ウィキペディアの「左利きの日」の項目(最終更新 2022年1月11日 (火) 01:35)には、

 《この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
  出典検索?: "左利きの日" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2021年8月)》

との注意書が出ています。
どなたかご協力してやってください。

 

 ●「LEFTHANDERS INTERNATIONAL」と「LEFTHANDER MAGAZIN」

英語版Wikipedia等の「1976年キャンベル起源説」に関して――

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第624号(No.624) 2022/8/13
「2022年8月合併号―「8月13日は国際左利きの日」―」
ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2022.8.13
2022年8月13日左利きの日INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY合併号-週刊ヒッキイ第624号
「新生活」版

から転記します。

--
 私自身、昔購読していたのが、
 このキャンベルさんがチェアマンをしていた
 「LEFTHANDERS INTERNATIONAL」という組織が発行する
 「LEFTHANDER MAGAZIN」という左利きの人のための雑誌でした。

 これは、1991(平成3)年3月発行の
 『モノ・マガジン』1991年4月2日号 No.188
 「特集/左を制するものは時代を制す/左利きの商品学」
 (ワールド・フォトプレス)に掲載されていたもので、
 1993(平成5)年に、英語を勉強して連絡を取り、
 定期購読していたものでした(1993年11・12月号~1996年3・4月号)。

 そこには、アメリカでのイベントのリポートなども掲載されていました。

 ちなみに、雑誌で知ったイギリスの左利き用品専門店
 「Anything Left-Handed」の顧客が参加できる、
 前述の「Left-handers Club」の会員になり、
 機関誌「The Left-hander」も定期購読していました
 (1994(平成6)年No.16~1997年10月No.27)。

 もちろん現在、世界的に唯一かもしれない、活動中の
 「lefthandersday」サイト「https://www.lefthandersday.com/」では、
 自身が始めた1992年を起源としています。

 これはあくまでも、先週の<号外>でも書きましたように、
 そちら側の「主張」です。

 本当の歴史的事実は、違います。
--

 

昨年は、このことをメルマガで「メディアに注文」として書いています。

メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第647号(No.647) 2023/8/12
「8月13日<国際左利きの日>を前に~メディアに注文」

ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2023.8.12
8月13日国際左利きの日を前に~メディアに注文-週刊ヒッキイ第647号
「新生活」版

--
 英語の「International Lefthanders Day」
 「International Lefthander's Day」等で検索しますと現れます、
 英語版のWikipediaやその他の左利き系サイトには、

 (私の英語読解力に誤りなければ)
 1976年、アメリカ・カンザス州の州都トピカに開店した
 左利き用品店のオーナー、ご自身左利きである、
 ディーン・キャンベル(Dean R. Campbell)さんが、
 開店一周年を機に左利きの人の会(Lefthanders International)を始め、
 左利きの人の生活向上のために左利き用品の普及を目指し、
 開店記念日にあたる<8月13日>を
 「国際左利きの日」(INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY)という
 記念日に制定したのです。
--

210813international-lefthanders-daywikip

(画像:英語版ウィキペディアの「INTERNATIONAL LEFTHANDERS DAY」の項目冒頭――下線部分:「国際左利きの日」は「レフトハンダー・インターナショナル」の創設者ディーン・R・キャンベルによって1976年に最初の祝祭が行われた-2021.8.13)

200813dean-r-campbell-2

(画像:1993年11・12月号~1996年3・4月号 定期購読していた、アメリカ・カンザス州トピカのディーン R. キャンベルによって設立された「Lefthanders International」発行の隔月刊の雑誌「Lefthander Magazine」から、チェアマンのキャンベルさん) 

 

 ●「左利きの日」は単なるトピック?

マスメディアでこの日のことを取り上げてもらえることは、よいことですし、嬉しくは思います。
しかし、その取り上げ方は単なるトピック「今日は何の日?」という物珍しさの話題のみに終始しています。

「左利き」をきっかけに、真剣に多様性についてとか、社会的包摂(しゃかいてきほうせつ ソーシャル・インクルージョン social inclusion――大路直哉著『左利きの言い分』で知った言葉。「社会的排除」に対する言葉)について考察するというような、中身のある報道とはいいにくいものです。

せいぜい左利き用品を二、三点紹介して終わりという感じです。
本気で左利きの問題を正面切って取り上げるという姿勢は見られません。

今私が遅れている左利き用品の分野として、楽器についてメルマガで考えていますが、これに匹敵するような話題が紹介されたという記憶はありません。

本当に左利きの人、それも“覚醒した”左利きの人に取材しているのか、疑問に感じる内容ばかりです。

 

 ●最近の左利きの本

閑話休題――。

最近、またポツポツと左利きに関する本が出版されるようになっています。

十年一昔という言葉がありますが、十年ごとぐらいに左利きの本が求められるともいわれます。

2020年代に入ってからですと――

 

【左利き応援本】

(2021年)
◎脳科学・精神医学系
(1)(2021年)
(1)『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』加藤俊徳/著 ダイヤモンド社 2021/9/29
(Amazonで見る)

――左利き・利き側の科学解説書というより、<左利きの脳内科医>による“左利き応援本”というのが本当のところでしょうか。

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『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.16
久しぶり?の左利き本近刊『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』

「新生活」版

 

◎自然科学系
(2,3)マーティン・ガードナー『新版 自然界における左と右』(上下) 坪井 忠二, 藤井 昭彦, 小島 弘/訳 ちくま学芸文庫 2021/1/9
上(Amazonで見る)
下(Amazonで見る)

――1992年、紀伊國屋書店版の文庫化再刊。
 上巻(2)の「第9章 人のからだ/第10章 少数派の左利き」では、左利きについて。左利き友の会を主宰された箱崎総一さんや麻丘めぐみさんのヒット曲「わたしの彼は左きき」について等日本の左利き事情についてもふれている。

210916sizenkai-hidarimigi

 

(2022年)
◎脳科学・精神医学系
(4)『左対右 きき手大研究』八田 武志/著 DOJIN文庫 2022/5/16
――日本の利き手研究の第一人者による、2008年発行のDOJIN選書版の増補文庫版
(Amazonで見る)

(旧著)『左対右 きき手大研究』八田武志 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20
(Amazonで見る)

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『レフティやすおのお茶でっせ』2022.2.22
利き手と左利きの科学的研究書・八田武志『左対右 きき手大研究』増補版?文庫化4月22日発売
「新生活」版
2022.5.19

利き手と左利きの科学的研究書・八田武志『左対右 きき手大研究』加筆・文庫版発売
「新生活」版

 

◎脳科学・精神医学系
(5)『眠れなくなるほど面白い 図解 左利きの話:特別な感性と選ばれし才能の秘密とを大解明!』八田 武志/監修 日本文芸社 2022/7/29
――八田 武志/著『左対右 きき手大研究』を参考にし、より一般的な疑問等を一項目見開き2ページで簡単に図解・説明した120ページほどの小著。
 「国際左利き日」を、1992年イギリスの「Left-Handers Club」によると説明しているのは、残念!
(Amazonで見る) 

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(2023)
◎社会科学・人文科学系
(6)『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著 PHP新書 2023/9/16
(Amazonで見る)

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――旧著『見えざる左手』から二十数年、新たに「日本左利き協会」を設立された発起人の一人として、左利きの問題に取り組んだ著作。
 「国際左利き日」については、イギリス「Left-Handers Club」による活動を紹介する箇所の注に、始まりは1976年アメリカのキャンベルさんによると明記している。

『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.20
大路直哉『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』(PHP新書)買いました
「新生活」版

 

(2024)
◎社会科学・人文科学系
(7)『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27
(Amazonで見る)
――――前半では、ヨーロッパ社会における左利き差別と迫害の歴史を綴る。後半では、時折現れた左利きに好意的な対応を示した時代をも語る。左利きの歴史は、ヨーロッパ社会においても、迫害と解放との狭間で揺れ動きながら徐々に良い方向に変化してきた歴史であった。原著は2008年の第二版。

240627-hidarikiki-no-rekisi

――前半では、ヨーロッパ社会における左利き差別と迫害の歴史を綴る。後半では、時折現れた左利きに好意的な対応を示した時代をも語る。左利きの歴史は、ヨーロッパ社会においても、迫害と解放との狭間で揺れ動きながら徐々に良い方向に変化してきた歴史であった。

『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.3
新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』発売される
「新生活」版

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【児童書】
(2021年)
『ヒミツのひだりききクラブ』キリーロバ・ナージャ/著 古谷萌, 五十嵐淳子/イラスト 文響社 レアキッズのための絵本 2021/10/7
(Amazonで見る)

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――《親子で多様性について学べる、レアキッズ応援絵本 ちょっとユニークな子どもたちを応援する絵本シリーズ第2弾!》

『レフティやすおのお茶でっせ』2021.10.23
日本初!ひだりききの子どものための絵本『ヒミツのひだりききクラブ』発売
「新生活」版

 

【実用書】

(1)(2020年)
『左利き用 誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』萩原 季実子/著 アスコム 2020/7/23
(Amazonで見る)

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――18万部を突破したベストセラー『誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』という右手書き・右利き用のものを左手書き・左利き用に作り直したもの。
 左利きの人向けアドバイスと左手書きに適した右から左への縦書きで段階練習できる「左利き用」の練習帳になっている。 

(2021年)
(2)『左利きギター専用! ギターコードブック』ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス 2021/3/14
(Amazonで見る)

――筆者未見。《左利きギターをお使いのギタリスト専用コードブック!
 実用的な頻出コードを含め、1080パターンのコードダイアグラムを見やすい大きさで収載!
 ギター初心者はもちろん、お使いのコードブックが見づらく困っていた方にもオススメの一冊です。》 

210314guitar-chord-book

(2023年)
(3)『左利きさんのためのはじめてのかぎ針編み』佐野 純子/著 日東書院本社 2023/7/19
(Amazonで見る)
――《手芸好きの左利きさん必携の一冊ができました!
 【左利き専用】かぎ針編み入門書
 編み物を諦めていた左利きの担当編集者が、どうしても編めるようになりたくて作った一冊》

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(4)『左利きさんのためのはじめての棒針編み』佐野 純子 日東書院本社 (2023/10/24)
(Amazonで見る) 
――<左利きさんのためのはじめて編み物>シリーズ第二弾。

20231024boubari-ami

『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.11
佐野純子さんの左利き編み物本の第二弾『左利きさんのためのはじめての棒針編み』10月24日発売
「新生活」版

 ・・・

「国際左利きの日」は「左利きの人だけの日」ではありません。
どちらかといいいますと、「左利き以外の人たちの意識を変えて貰うために、左利きの人たちがアピールする日」だと私は思っています。

何事に於いても同じ事ですが、ますは当事者が問題点を世間にアピールし、世間の当事者以外の人たちがそれらについて真剣に考察する、そういうきっかけの記念日であってほしいものです。

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.08.03

楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)-週刊ヒッキイ第669号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

第669号(Vol.20 no.14/No.669) 2024/8/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第669号(Vol.20 no.14/No.669) 2024/8/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前々号では、「左利きでもヴァイオリンは右弾きで」という
 左利きヴァイオリニストの意見を紹介しました。
 前回は、
 「なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか」
 その理由を述べ、反論する第一回目でした。

 今回はその続きです。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか(2)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利きでも右弾きを薦める人たちの理由

ネットで調べた「左利きとヴァイオリン演奏」についての発言で、
左利きのヴァイオリニストの人も含めて、ほぼ全員が
「左利きの人でもヴァイオリンは右弾きで」と発言されていました。

改めて、それらのご意見――「左利きでも右弾きを薦める人たちの理由」
についてまとめたものを書いておきましょう。

 ・・・

【左利きでも右利き用で右弾きを薦める理由】

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?

 

前回は、これらの理由のうち、「1.」と「2.」について反論しました。
今回は、「3.」と「4.」についての反論と、
知られていないかも知れない利き手と足の身体的適性に関する反論、
根本的な反論について書いてみます。

では、次にそれぞれの意見に反論してゆくことにしましょう。

 

 ●理由3.への反論=十分な間隔を取ればいい

理由3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、
   左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

 

『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973
には、ヴァイオリンに関する記述があり、

「十九 音楽におけるきき手」p.223に、

 《四重奏団なら、右ききの団員に混じって役割を果たすことができる
  であろう。(略)
  視的感覚からいうと調和の取れた姿に見えるというのである。》

右弾きのヴァイオリニストと左弾きのヴァイオリニストがちょうど、
鳥や蝶々が翼を左右に開くように配置されれば、
その左右対称形を「美しい」と感じる人もいるのではないでしょうか。

ヴァイオリニストたちの集団の中に一人だけ逆弾きの人が混じるから、
悪目立ちするのであって、右弾きヴァイオリニストの並びの端に、
左弾きヴァイオリニストが対面するかのように立てば、
違和感は少なくなるのではないでしょうか。

あるいは、同数の左右のヴァイオリニストがいれば、もっと象徴的です。

 

また「隣の人と弓や腕が当たる」という問題は、
私たち左利きの人のあいだでは昔からいわれてきた問題の一つ、
右手箸と左手箸の問題を想起させます。

食事の際、左手箸の人が混じると、
隣の人(多くは右利きで右手箸)と肘がぶつかるので嫌がられる、
という問題です。

狭い店やカウンターに並んで食事するような場面では、
よく問題となります。

左利きの人たちのあいだでは、こういう事態に陥らないように、
事前に隣の人と肘がぶつかることのない、「左端」の席を確保する、
という人が少なくありません。

しかし、これはあくまでも便宜的なことです。

本来は、「十分な間隔を取ればいい」だけの話ですよね。

楽器演奏の場合、ステージの広さの問題があるかも知れませんが、
よほどの大人数や変則的に狭い舞台で演奏する、
といったケースでない限り、ある程度の余裕はあると思います。

十分な間隔を取るようにすれば解消できる問題でしょう。

また、譜面を共有する際に困るといった意見もありました。
これもそういう演奏家がいると分かれば、「お互いに工夫しあう」、
というのが「人間的な対応」という礼儀作法ではないでしょうか。

 

*参考文献:
・左利きイギリス人の左利き研究家の著作
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973

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 ●理由4.への反論=幼児には利き手がある、胎児にも!?

理由4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?

 

確かに小さい子供の場合、手の神経もまだ未発達で、
利き手も定かではない、と思われるかもしれません。

しかし、日本における左利きの科学研究の第一人者・八田武志さんの
『左対右 きき手大研究』(DOJIN文庫 2022)
「第7章 きき手はいつ現れ、いつ決まるのか」によりますと、

胎児にも利き手があるという研究者もいるようですが、
まだ胎児の利き手に関しては、信頼できる証拠はない、といいます。

しかし、乳幼児には何らかの利き手がある、と考えられているようです。

 《(略)発達初期に左右機能はないとは考えず、
  若干の左右差の存在を想定する。
  しかし、成熟、つまり生物学的な要因だけでなく、
  それらに加えて個人の環境との関わり方を重視する。》

すなわち

 《(略)ミッチェルらの考えに基づけば、
  (1)7ヶ月の月齢でも把握動作や操作動作に使用手の偏りがあること、
  (2)7ヶ月の時点で見られた手の偏好的な使用は発達につれて
  不変ではなく、強められることになる。(略)》

幼少時すでに利き手という偏りが存在すること、
そして、それらは成長とともに徐々に強められていくのだ、
ということのようです。

おとなが勝手に「利き手はない」と決め付けているだけで、
子供にも利き手という、使用する手の偏りがある、ということです。

 ・・・

育児の本によりますと、古い本ではありますが、
小児科医・松田道夫『定本育児の百科 中 5カ月から1歳6カ月まで』
(岩波文庫 2008/1/16)
「10カ月から11カ月まで/かわったこと:302 左きき」には、

 《人間の右きき、左ききは、うまれつきにきまっているもので、
  左手をよけいに使わせたから左ききになるというものではない。
  この月齢の子が左ききらしいというので、
  左手を使わせないようにすることには、賛成しかねる。
  左手がきき手であろうが、右手がきき手であろうが、
  その所有者の自由である。(略)》p.397

とあります。

おとなであろうと子供であろうと、自分の手は自分のものであり、
自分の思うように使っていいのです。

右手であろうと左手であろうと、
自分の使いよい方の手(利き手)を使っていいのです。

正論だと思います。

 ・・・

「利き手」という性質を考えるとき、大切なポイントは、
「無意識に使う手はどちらか?」というところです。

意識的に使うケースとはどういうときかといいますと、
要するに「教えられて使う」場合などはまさにそうです。

左利きの人でも、食事の際の箸やスプーンなどは左で、
字を書くのは右、という人がいます。

字を書くのは、ある程度の年齢からですが、
食事を取るのは生まれたときからです。

そこでまずは自然な利き手が先行して、食事の関係は左で、
教えられた字を書く行為は右、となるのでしょう。

箸などは右で字は左といった、逆の人はいないようです。
少なくとも私が今までに出会った人の中にはいませんでしたね。

 ・・・

そういった教えられた行為のケースではなく、
知らず知らずに使っているどちらか一方の手が、
「利き手」と考えられるのです。

本来は、その子の利き手・非利き手に応じた道具を使うのが、
一番良いのです。

それが、その子の能力を最大限に発揮させる方法だからです。

道具がなければ作ってもらう、それが最適解です。

楽器の演奏でも、当然同じことです。

 ・・・

小さい子供を相手にする場合、おとなが右手でやって見せたり、
まわりに右手使いの子供しかいない状況であったり、
そういう環境では、左利きの子でも、
右手使いになってしまうケースが多々あります。

例としましては、元プロ・テニスプレーヤーの伊達公子さんは、
左利きですが右手打ちのプレーヤーでした。

テニスを始めたときにまわりの子供たちが、
みな右手にラケットを持っていたので、
そのまま自分も右手にラケットを持つようになった、と聞いています。

特に日本の子供は、空気を読む、といいますか、
まわりのおとなのようすをよく見ていて、
それに従う、おとなの期待に応えようとする傾向が強い、といいます。

楽器の演奏においても同じことがいえます。
小さい頃からそういう環境におかれますと、
知らず知らずにおとなの教えるままに従う、ということになります。

以前書きました坂本龍一さんの場合も、
幼稚園時代にピアノに触れる機会があった、といいます。

一応これぐらいの年齢なら、彼が左利きだという事実は、
まわりのおとなにも分かっていただろうとは思いますが、
だからといって現状では、ピアノは右利き用しかないので、
当然のごとく、右弾きになったのでしょう。

ヴァイオリンの場合も、現状では基本的には左用の楽器がない、
という状況でしょうから、
よほどのことがない限り、右弾きにならざるを得ない、といえましょう。

左利きの子供の能力と利き手を使うという権利を守って、
その能力を活かすように指導する、という意識がない環境では、
左利きの子供の左弾きは実現しないことになります。

これは、
本人にとってはもちろん、あえて言えば日本の音楽界にとっても、
あたら才能を埋もれさせることになりかねないわけで、
非常にもったいないことであり、残念至極です。

 

*参考文献:
『左対右 きき手大研究』八田武志 DOJIN文庫 2022
(Amazonで見る)

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『定本育児の百科 中 5カ月から1歳6カ月まで』松田道夫 岩波文庫
2008/1/16
(Amazonで見る)

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 ●利き手と軸足の関係

これは私が思いついたことなのですが、
楽器の演奏――特にヴァイオリンの場合では、
「演奏の際の利き手と軸足の関係」という問題があるのでは
ないでしょうか。

案外気付かない人もいるかと思いますので、説明しておきます。

実は、

 左手でヴァイオリン本体を保持するということが、
 右利きの人には重要なポイントになる

と思うのです。

これは、
「利き手」と「利き足/軸足」の関係が重要になってくるからです。

利き手と利き足には相関関係がある、といわれています。

先に挙げた、八田武志『左対右 きき手大研究』(DOJIN文庫 2022)の
「第3章 きき手の諸相」<きき足ときき手――大規模メタ分析>
によりますと、

14万5135人を対象にした調査で、
利き足を「右か左か」の選択肢での分類で、左足利きは12.1%。
「右、左、両方」の三選択肢による分類で、「左、両方の足」を
「非右足利き」と定義した場合は、23.7%。

左手利きの人の60.1%が、左足利き。
右手利きの人の3.2%が、左足利き。

左手利きの割合を一般にいわれている10%程度としますと、
利き手と利き足が一致しない人は、三人に一人ぐらい。

ところが、右手利きの人は、ほとんどが右足利きだ、というのです。
右手でボールを投げる人は、ほとんど右足でボールを蹴る、と。

右足利きの場合、ボールを蹴るシーンを思い浮かべてもらえれば
わかりやすいと思いますが、
右足はボールを蹴る「利き足」=「作用足」で、
反対の左足は体重を支える「軸足」です。

同書の<きき手と軸足の関係は?>には、

 《右手ききの人は左足に重心をかけ、身体運動の軸にしている》p.81

とあります。

 

 ●ヴァイオリンの演奏と軸足の関係

同書p.78には、自転車に乗るとき、
多くの右利きの人たちは左側から乗る、というように、

 《日常生活ではきき足よりも、
  むしろ軸足の役割を重要視する場合がある》

といいます。

ヴァイオリンの演奏も、右弾きの場合は、
左手でヴァイオリン本体を持ち、弦を押さえる等の作業をこなし、
右手に弓を持ち、これを動かします。

左足に重心をかけて体重を支えていれば、
右手に持つ弓を最大限に動かすことができます。

左手に持つヴァイオリン本体は、安定した左の軸足の側にあり、
左手指のポジショニングもしっかり取れます。

右手・右腕をどれほど大きく動かしても、
体重は左足でしっかり支えられているので、演奏が安定します。

右利きの人は多くは左足が軸足ですので、これは難しくありません。

弓は軽いので、重心をかける足の側で持つ必要はありません。
それよりも右手・右腕を自由に動かせるかどうかの方が重要です。

重心のある側と反対の手に弓を持つと、重心のぶれが少なく、
大きな動作も可能になります。

 

これが逆ですと、どうなるでしょうか。

左利きの人では通常、多くの人が右足が軸足となり、体重を支えます。

このとき、右手に弓を持ち大きく動かそうとしますと、
重心の位置がぶれ、その身体を支えるのは非常に不安定になります。

弓を右に大きく弾こうと腕を大きく引くと、身体も同じように振れます。
逆に弓を左に押していけば、右足の重心も左に傾き、
左手に持つヴァイオリン本体も不安定になります。

身体が不安定ですと、安定した演奏も難しいでしょう。

 ・・・

右手利きの人の場合、軸足は左足ですので、
ヴァイオリン本体を持つ側に当たります。
大きく右手・右腕を動かしても、ふらつくことはありません。

ヴァイオリン本体を持つ左手は、重心のある左足の側にあり、
安定した演奏が期待できます。

重心という点でも、右利きの人には、右弾きが都合が良いのです。

逆に、

 左弾きのヴァイオリニストは、右足が軸足の人が都合がいい

と考えられます。

しかし左利きの人の中にも、三人に一人ぐらいは右足利きの人がいる、
といいますので、そういう人では重心という観点からいいますと、
左利きでも右弾きに向いているのかも知れません。

左利きの人でも名演奏家がいるというのは、本人の努力だけではなく、
そういう肉体的な適性がプラスに働いている、
という可能性も考えられます。

 

 ●左利きには基本、左弾きを勧めよう!

左利きの人の場合、右利きの人ほど一様ではありません。

その点が左利きの難しいところで、

 左利き=右利きの反対

と単純に割り切れない点です。

おおむね、左利き=右利きの反対 なのですが、
必ずしもそうではない、という非常にややこしい関係にあります。

成因が関係しているというのがポイントではないか、
と私は考えています。

遺伝性の左利きではなく、病理的左利きといわれる人の場合です。

本来は右利きなのだけれど、何らかの妨げがあって
現象として左利きになっている、というようなケースです。

その場合、単純な右利きの反対として左利きというのでなく、
複雑な経路を経て、左利きになっていると思われます。
そこで、対応がむずかしくなってくるのではないでしょうか。

本当のところは分かりませんけれど。

 ・・・

とにかく、現実のレベルで、現象として現れる左利きには、
様々なケースがあります。

単純には言い切れませんが、楽器の演奏でも、
左利きの人では、やはり左弾きが
本人の能力を最大限に引き出すことができる演奏法ではないか、
と考えられます。

過去の歴史的背景は別にして、これからは
左利きの人が素直に左弾きできる環境を整えてゆくべきだろう、
と考えます。

 ――次回は、「左利きの人でもヴァイオリンでは右弾きを!」
 という意見への反論として、根本的な理由として、
 ヨーロッパ社会での左利き差別に関して考えてみたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(23)左利きは左弾きヴァイオリンで(2)」と題して、今回も全紹介です。

左利きの人の楽器演奏――ヴァイオリンの左弾きについて書いてきています。

「左利きの人は左利きのままで」が当たり前になって来ている時代ではありますが、遅れている分野の一つが音楽、楽器の演奏の分野でしょう。

ヴァイオリンは西洋音楽においては、ピアノと並んで楽器の王様的な存在です。
この牙城を落とせば、勝利に大きく近づくのではないかと思います。

前にも言いましたように、最終的には、ピアノまでいければと考えています。
どうなるでしょうか?

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.07.20

『左組通信』復活計画(31)『LL』復刻(4)LL5 1995年夏号-週刊ヒッキイ第668号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!) 【別冊 編集後記】

第668号(Vol.20 no.13/No.668) 2024/7/20
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(4)LL5 1995(平成7)年 夏号」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第668号(Vol.20 no.13/No.668) 2024/7/20
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(4)LL5 1995(平成7)年 夏号」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 久しぶりですが、今回はまた、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』
 の復刻で、ホームページに公開していたページのコピーです。

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(画像:今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』の「レフティーズ・ライフ(LL)再録1・全号目次」のページ冒頭)

 

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (4)
 
   (内容紹介)LL5 1995(平成7)年 夏号
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL5 概要

LL5 1995(平成7)年 夏号
・ 前説The Compliments of the Summer Issue
 二年目に向けてToward the second year
・ From LHC (Left-handers Club/U.K.)レフトハンダーズ・クラブ
 (イギリス)より―新たなる希望!THE NEW HOPE!
・ From LHI (Lefthanders International/U.S.A)レフトハンダーズ・
 インターナショナル(アメリカ)より―左利きの人をガッカリさせる
 もの THINGS THAT ARE FRUSTRATING FOR LEFTIES!
・ 左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
 ―こんな道具が不満です!
・ 左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その5―あなたは靴派? スリッパ派?―爪切りはさみセット
・ 知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その2
 Words & Phrase小学館『国語大辞典』より
・ 左利きの本だなぁ その2 激励編The Books on the
  Left-handedness―斎藤茂太著『左ききの人はなぜ才能があるのか
 ―左ききの性格分析』KKベストセラーズ/ワニ文庫刊

 

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(画像:【左利きライフ研究家】レフティやすおの紙の時代の活動から・季刊誌『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL5 1995(平成7)年 夏号 1ページ目)

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
LL5 1995(平成7)年 夏号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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前説 The Compliments of the Summer Issue
二年目に向けてToward the second year
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LL5
 1995(平成7)年 夏号
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 世の中には、様々な難問があります。人が生きているかぎり、
尽きることなく、次々と新たな問題が生まれ、消えていく…。
 それらの問題を解決するためには、まず最初に、その問題のなんたるか
を認識しなければなりません。
 あなたの病気が何なのかを知らなければ、治療法は見つかりません。
運がよければ、対処療法で、いつしか直るかもしれません。
しかし、根本治療とはなりません。
 社会問題でも同様に、先ずその実態を知らなければなりません。
女性差別問題が、女性だけの問題ではないように、黒人差別問題が
黒人だけの問題でないように、それらは、それぞれの差別される側の
人だけに限られた問題ではないのです。
 左利きの問題もまた同じく、左利きの人だけの問題ではなく、
右利きの人も含めて、全人類の抱えている問題なのです。
 これを機会に、誰のためでもなく、自分自身の問題として、
もう一度考え直していただきたいものです。

 早いもので、二年目に入ります。最初は「自分の思い100%」で、
読者のことも考えず、内容も充分に練ることもなく、
とにかく何かやらなくては、という気持ちでスタートしました。
 しかし、そうして始めてみるとだんだんと欲が出て、ああもしたい、
こうもしたい。こうした方がいいのでは、ああした方がいいのでは、
といろいろ考えるようになりました。
 また、もっと読者に興味や関心を持ってもらう方法はないか、
とも考えるようになりました。
 少しずつ改良を加え、より読みやすく、中身のあるものにしていこう
と、努力しています。
 これからもなにとぞ暖かい目で見守り続けてください。
 そして、いつの日にかこのようなミニコミ誌が不要になる時が来る
ことを心から祈っています。
 輝ける明日のために…

 

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From LHC (Left-handers Club/U.K.)
レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より
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 素敵なレフトハンダーズ・デーと、クラブの幸運を祈る!
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新たなる希望!THE NEW HOPE!

 6月28日、イギリスのレフトハンダーズ・クラブから、
三ヶ月に一度の会報“The Left-Hander”No.20が届きました。
 なんと、第一面で私の手紙を紹介しています!
 
 “LL”3/冬号にかんたんな英語の説明をつけたものを同封し、
「日本における左利きの有利さ」として「日本の本は縦書きで、
ページは右から左にめくる」こと、そして「日本語はとても便利で、
縦でも横でも書ける」と指摘しておきました。

 この“LL”を日本版“The Left-Hander”としょうかいし、
私たちの『左組』を、LHC of JAPANとして認め、
声援を送ってくれています。
また、8月13日の“レフトハンダーズ・デー”に、
私とメンバーが参加するのを楽しみにしている、とも書いています。
(実際には、参加できればよいなぁ、と書いたつもりですが…。)

 彼らは、さらに、左利き用品専門店“エニシング・レフトハンデッド”
ALHは日本にフランチャイズ店をオープンしたい、新進の企業家は
連絡してくれ、といっています。
 はたして、日本に左利き用品専門店はできるのでしょうか?
(チャレンジしたいものですね!!)

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(画像:LL第5号より「From LHC (Left-handers Club/U.K.)レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―新たなる希望!THE NEW HOPE! 」の冒頭――“The Left-hader”に紹介された「LL」と左組についての記事と『LL』第5号の部分)

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(画像:『LL』と手紙を紹介している、1995年6月28日に届いたイギリスのレフトハンダーズ・クラブから三ヶ月に一度発行されている会報“The Left-Hander”No.20の第一面)

 

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From LHI (Lefthanders International/U.S.A)
レフトハンダーズ・インターナショナル(アメリカ)より
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 私たちは、“LL”はじめ、
あなたのあらゆる試みが成功を収めることを祈っています。
―Carol Riddle
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左利きの人をガッカリさせるもの
 THINGS THAT ARE FRUSTRATING FOR LEFTIES!

日常生活で不便なこと―
・ 自動車AUTOMOBILES:ダッシュボードの設計
(イグニッション・スイッチの配置)
・ キッチンのレイアウト:戸棚・冷蔵庫のドア、
 各種電気製品等の器具類の配置が作業の流れに影響を及ぼす。
・ オフィスのレイアウト:照明、電卓(0、トータルキー)、
 机の配列(ファイル用引き出し等の位置)、電話の位置
・ 組立/生産ラインのレイアウト

台所用品―
・ コルク抜き(コルクスクリュー/ワインオープナー)、缶切り、
 おたま、セレイテッドナイフ、皮むき、芯抜き器、ポットホルダー・ミット、
 計量カップ、ケーキサーバー、アイスクリームすくい、
 グレープフルーツ・ナイフ、へら

家庭用品―
・ アイロン、ドアのノブ、ダスト・ミット
スクール・サプライ(学用品)―
・ ハサミ、スパイラル・ノート、ボールペン、鉛筆、定規、
 カリグラフィー・ペン、机、鉛筆削り

スポーツ用品―
・ 釣竿のリール、ゴルフ・クラブ、スポーツ手袋、野球のグローブ、
 ブーメラン、照準器付の銃

ツール―
・ 動力ノコ、モンキーレンチ、弓ノコ、左官用こて、
 刈り込み用ハサミ、ねじ

その他―
・ 時計、飲用噴水、ベルトのバックル、財布、カメラ、オムツのピン、
 トランプ、楽器、ピンボール・マシン

―LEFTHANDERS INTERNATIONALのキャロル・リドルさんの手紙に
 添えられていたものを紹介させていただきました。
 レフトハンダーズ・インターナショナルは アメリカのカンサス州の
 トペカに本部があり、ディーン・R・キャンベルの元、
 世界で唯一の左利きの人のための雑誌“LEFTHANDERS MAGAZINE”
 (隔月刊、二十年目)を発行している。
 連絡先:P.O.BOX 8249, TOPEKA, KANSAS 66608, U.S.A.

 

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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
こんな道具が不満です!
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 〔レフトハンダーズ・インターナショナルより〕欄で、左利きの人が
 日常生活で不満に思うものについていろいろ紹介しました。
 また今までにも、この欄であれこれ書いてきましたが、
 他にもいくつか拾ってみましょう。

 

ヘッドホンステレオ(ウォークマンなど)、ヘッドホン―
 コードが左側の耳元からたれているタイプのもの。
 右手を動かすことの多い右利きの人にとっては、
 コードがじゃまにならず便利かもしれないが、
 左利きには不便この上ない。

ビデオカメラ―
 右側にホルダーが付いていて右手に持って、右目でファインダーを
 のぞきながら撮るように設計されているものが大半。ファインダーの
 問題はなんとかガマンできても、左手に持って操作できないのは、
 致命的。シャープの液晶ビューカムはファインダーの問題はないが、
 各操作は、やはり右手でおこなう。

ワープロ/パソコンのキーボード―
 文字キーなどは、両手で使うように配置されているが、
 それ以外のキー(テンキーその他)は、右側に寄せられていて、
 マウスの接続なども右側になっている。

自転車―
 大部分の左利きの人は、利き足も左足で、左足は作業をする足
 (例えば、ボールを蹴る)、右足は体重を支える軸足。
 そのため、先ず右足をペダルに置いて軸足を固定してから、
 左足をペダルに乗せるのが、左利きの人の乗り方だろう。
 ところが、スタンドが左側になっているため、左側から
 乗り降りしなければならないので不便。鍵も左側に付いている。
 ブレーキは左が後輪、右が前輪。右利きの人は左半身に重心を
 かけているので、左手は常にハンドルに置いており、ブレーキも
 後輪からかけられる。しかし、左利きは逆に前輪からになり、
 やや危険度が増す。自転車のブレーキの主な役割は、後輪ブレーキは
 スピード調整用、前輪ブレーキは緊急停止用であり、後輪からかけて
 前輪も合わせて使う、というのがブレーキの正しい使用法である。
 ベルも右側についている。

 職場にある機械類もまたその多くが、左手は大雑把な仕事、
 右手は微妙かつ重要な仕事を受け持つ傾向にあります。

ボール盤(ドリルで穴を開ける機械)
 ドリルを押し下げるハンドルが右側にあるので、
 微妙な調整も右手でしなければならない。左手は品物を押さえるだけ。

あなたも、身の回りをもう一度、見直してみませんか。

 

------------------------------------------------------------------
左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか? その5
 あなたは靴派? スリッパ派?
------------------------------------------------------------------

〔靴とスリッパ〕―あるいは、靴と靴下の問題―

 靴とスリッパと聞いて、あなたはなにを思い浮かべますか?
「靴には右と左があるが、スリッパには左右の区別はない」
と答えた方は、もうこの続きを読まないで結構です。
すでにもう充分ご理解いただいていると思います。
そのとおり、右用と左用の違いについて考えるときに、
非常にわかりやすい例になると思うのです。

靴―人それぞれの足に合わせたもの。右足用と左足用とで一組。
 機能的、活動的。足を保護し、足の機能を損なわず、
 時にはプラスアルファの能力を引き出す。

スリッパ―左右対称に作られていて、どちらの足にでも合う。
 おおざっぱな大きさで、誰の足にも合う。履いたり脱いだりが簡単。
 非活動的、勝手に脱げてしまったり、駆け足急ぎ足には不適当。

 靴・スリッパともに、長所短所、適材適所がある。それぞれの持つ
特徴を生かして用いれば、これほど便利なものはありません。

 誰でも靴を買うときは、デザインや色、機能だけでなく、
サイズを確かめる。実際に履いてみて自分の足に合うかどうか試してみる
はず。ところがスリッパを買うときは、そこまではしないもの。
 誰も自分の足を靴にあわそうとは考えない。どんな気に入った品でも
サイズが合わないとわかれば、諦めて他のものを探すのがふつう。
 また、靴は値段が高いから、スリッパで済まそう という人は
まずいないでしょう。靴は靴、スリッパはスリッパ!
 ところが、世の中には靴もスリッパも区別しないで、
ごっちゃに考える人がいるのです!
 もちろんこれは比喩です。
(実際に靴とスリッパをごっちゃに履く人はいない―はずです)
 靴とスリッパは使い分けている人でも、それ以外の道具に関しては
どうでしょうか?

 

〔爪を切るときは、右手で左手、左手で右手!〕

 例えば、爪を切るとき、右利きの人は左手の爪は右手で切れますが、
右手の爪は左手で切らなければなりません。
 最近はハサミで切る人は少ないかもしれませんが、
ハサミで切るときは特に問題になります。これがなかなか難しい。
単に利き手でないため不器用にしか動かないというだけではなく、もっと
ほかに理由があるのでは? と感じている人も少なくないでしょう。
 原因はハサミそのものにあるのです。
 ハサミには、右手用と左手用があるというのは、
今までのこのコーナーで紹介して来ました。
 右足用の靴が右足のために作られているように、
左足用の靴が左足のためにあるように、
右手用のハサミとは右手で使うためのもの、
左手用のハサミは左手で使うためのものなのです。

 残念ながら、この単純な事実を理解していない人が多いのです。
靴やハサミのみならず、多くの道具には、
実は、右(手)用・左(手)用の区別があるのです。
そして、また一部の道具には、スリッパのように、
左右の区別が必要でない品物もあるのです。

 

〔スリッパで我慢していてはダメ! 自分に合う靴を手に入れよう!〕

 少数派である私たち左利きは、
今まで、多数派を占める右利きの人たちのために作られた、
右用の道具を使うことに慣らされてきました。
それが右利き用の道具であると知って使っていた人は少なく、
大半の人は、何も知らずに不便だと思いつつも「これはこういうものだ」
と思い込んでいたのです。

 道具などとにかく使えればそれでいいじゃないか! という人もいる
でしょう。しかし、名人といわれる人ほど道具を選ぶと言います。
人間が他の動物と異なる点は道具を使うことだとも言います。
道具を作った人のためにも、道具は正しく使い分けてやるべきでしょう。
スリッパはスリッパとして、靴は靴として―。

 スリッパで間に合うときはそれでいい。しかし、靴が必要なときは、
スリッパで我慢せず、靴を手に入れるべきです。

 人は自分にあった靴を履き、活動的に生きる。
 くたびれたときは、スリッパでくつろぐ。

 そんなメリハリをつけた生活を送って行こうではありませんか!

 

爪切りはさみセット
Set of two nail scissors in leather case /
ANYTHING LEFT-HANDEDより

 右手用と左手用の爪切りハサミがセットになって
 皮のケースに入っている。
 左利きの人のみならず、右利きの人にも便利な一品。

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(画像:爪切りはさみセット Set of two nail scissors in leather case / ANYTHING LEFT-HANDEDより)

 

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知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その2
 Words & Phrases 小学館『国語大辞典』より
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ひだり―うちわ 左団扇=ひだり―おうぎ 左扇=扇を左手で使うこと。
 転じて、安楽に暮らすこと。また、得意になっているようす。
ひだり―がち 左勝=①左手ばかりを多く使うこと。また左利き。
 ②ひだりきき 左利②=好んで酒を飲むこと。酒に強いこと。
 また、その人。酒飲み。ひだり。
ひだり―がって 左勝手=①茶席で点前畳の左方に客畳があるもの。
 逆勝手。②左膝を立て、右膝をついたすわり方。③左手の方向。
 ④ひだりきき 左利①=右手よりも、左手のよくきくこと。
 また、その人。
ひだりきき 左利=(「ひだりぎき」とも)①右手よりも左手のよくきく
 こと。また、その人。左ぎっちょう。左ぎっちょ。ぎっちょ。ひだり。
 ②(大工や石工などが左手に「鑿(のみ)を持つ手」であるところから
 「飲み手」にかけたという)好んで酒を飲むこと。酒に強いこと。
 また、その人。酒飲み。ひだり。
ひだり―ぎっちょ 左ぎっちょ=(「ひだりぎっちょう」とも)
 ひだりきき 左利①=右手より左手がよくきくこと。また、その人。
ひだり―ざま 左様=正しい道にもとること。不正なこと。
 また、その様。左道(さとう)。
ひだり―とう 左党=左利の仲間。すなわち、酒の好きな人。酒飲み。
 さとう。
ひだり―なわ 左縄=①左よりにした縄。ふつう、縄は右よりにするが、
 注連縄など、吉兆の祭事に用いる縄に、左よりが多く見られる。
 ②物事が逆になること。物事が思うようにならないこと。

―特別に、悪い意味のことばを選んでいるのではないのですが、…。

 

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左利きの本だなぁ その2 激励編The Books on the Left-handedness
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 斎藤茂太著『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』
  KKベストセラーズ/ワニ文庫1993年4月刊 ¥480
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(画像:斎藤茂太著『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』KKベストセラーズ/ワニ文庫1993年4月刊)

 今回は、勉強はちょっと苦手だけど…、というあなたにも
読みやすくて、ためになる、元気の出る本を紹介します。
 
 1987年、MG出版より刊行された『左利きの人の本』を改題した、
文庫版です。

「この本で、少しでも多くの右ききの人たちが、あなたあの隣の、
愛すべき左ききの人たちを見つめ直してくれたらと思います。
そしてもちろん、左ききの人たちが、誇らしげに自分のきき腕を
さし上げてくれたら、私としては望外の喜びです。」

 とあるように、右利きの人たちに対しては左利き問題の啓蒙を促し、
左利きの人たちに対しては激励を与えている。さすが精神科の
お医者さんならではの、著者の体温を感じさせる、あたたかい本。

 右利きの人は気付かない―けれど、左利きの人なら、いつも気に
掛けている、生活のなかの様々な場面での、左利の苦労、不便さ。
その実例を挙げながら、左利きの問題を明らかにし、
また、少数派の左利きだからこそ有利になる場面(主にスポーツ)を、
多くの左利きの有名人の名を上げながら紹介していきます。
 さらに、このような状況のなかで育っていく、左利きの人の性格には、
特有のモノがみられるのでしょうか?
 著者は、利き手が性格を決定するのではなくても、左利きの人を社会が
どう扱うかによって、性格に悪影響を与える可能性のあることを、矯正を
例にとって述べています。
 また、左利きの子どもに対する接し方についても、役立つアドバイスを
与えています。
 左利きの人だけでなく、左利きのお子さんをお持ちの方
――身の回りに左利きの人がいる、という方は、ぜひお読みください。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [31]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(4)LL5 1995(平成7)年 夏号」と題して、今回も全紹介です。

前回の時も思い出話を書きました。
今回も少し書いておこうかと思います。

当時は今と違い、ネットも一般的ではなく(アメリカでは実用化されていたようで、国内でもパソコン通信というのでしょうか、そういうものはあったようです)、一般人が気軽に世界に向けて発信するということができにくい時代でした。

私はワープロで原稿を書き、作りあげた記事を切り貼りしてA4の紙面を作り、コンビニでコピーして、切ってたたんでホッチキスで留めるという作業をして小冊子を作り、封筒にワープロで印刷した宛名シールを貼って、友人知人、左利き用品メーカーさん等に送るという塩梅でした。

送り先のなかに、アメリカやイギリスの左利きの会もあり、簡単な英語でワンポイント解説のようなものを入れていました。

そのおかげで、本文中にもありますように、イギリスの会報で紹介されるという栄誉に預かりました。
英語が得意ではないので、それ以上の交流はできませんでしたが、紙の時代の一つの勲章だと思っています。

 ・・・

勲章に関していえば、もう一つエピソードを紹介しましょう。

この号で斎藤茂太先生の著作の文庫版『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』を紹介したことを、KKベストセラーズ/ワニ文庫気付で手紙を出しましたところ、斎藤茂太先生からお礼のお葉書をいただきました。

その前に、読書感想と私なりの左利き活動として『LL』を発行している報告の手紙を出し、お葉書をいただいていました。

著名人からこういうお返事をいただいたのは生まれて初めてのことでしたのは、光栄であり、嬉しいかぎりです。

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(画像:斎藤茂太先生からいただいたお葉書二点)

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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2024.07.06

楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで(1)-週刊ヒッキイ第667号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!) 【別冊 編集後記】

第667号(Vol.20 no.12/No.667) 2024/7/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで」

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◎左利きニュース◎

6月末に左利きの歴史本が出ました。

『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社 2024/6/27
『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』(Amazonで見る)

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フランス人の著者も、訳者さんも左利きだそうです。
「訳者あとがき」には、
日本で出版された左利き本についても簡単に紹介されています。

日本だけではなく、
諸外国――特に西洋諸国でも左利きが迫害されていた、
という歴史をご存じない人も多いのではないか、という気がします。

改めて、こういう左利きの歴史についても知ってほしいものです。

日本でも左利きに関して、
「迫害」という表現が許される時代になったのかな、
という気がしています。

昔は、私が「左利きの問題」などと周囲の右利きの人たちに訴えても、
「右手を使えば済む問題」と軽くあしらわれたものでしたから。

*参照:
『レフティやすおのお茶でっせ』2024.7.3
新しい左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』
発売される
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/07/post-e66fa0.html

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン
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  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第667号(Vol.20 no.12/No.667) 2024/7/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(22)左利きは左弾きヴァイオリンで(1)」
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 前号では、「左利きでもヴァイオリンは右弾きで」という
 左利きヴァイオリニストの意見を紹介しました。
 今回は、
 「なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか」
 その理由を述べ、反論していこう、と思います。

 

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 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   なぜ左利きは左弾きヴァイオリンでなければいけないのか(1)

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 ●左利きでも右弾きを薦める人たちの理由

前回は「左利きとヴァイオリン演奏」についての発言のあれこれを
見てきました。

左利きのヴァイオリニストの人も含めて、ほぼ全員が
「左利きの人でもヴァイオリンは右弾きで」と発言されていました。

今回は、それぞれのご意見に対して、
私なりの見地からおのおの反論してみよう、と思います。

まずは前回まとめた右弾きを薦める理由についてあげておきましょう。

 ・・・

【左利きでも右利き用で右弾きを薦める理由】

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?

 

では、次にそれぞれの意見に反論してゆくことにしましょう。

 

 ●理由1.への反論=なければ作ればいいだけ

理由1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

 

道具がないというのなら、単純に作ればいいのです。

それが人類の歴史でした。
より便利な生活のために人は色んな道具を作ってきました。

ない、というのなら、作ればいい。
他の左利き用の道具もそうでした。

そういう歴史を私たちは築いてきたのです。

現実に全くないわけではありません。
一部には存在します。

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「左用の名器はない」という意見に対しては、
「今はなくても、将来の名器につながるものを作ればいい」
といいましょう。

 

昔左用(左利き用)のハサミというのは、特注品しかありませんでした。
一部の専門家の人がどうしても必要で、特注で作ってもらっていました。

しかし、そのうち「左用も必要ではないか」と考える人たちが増え、
特に子供用の左用ハサミは必要ではないかと考えるメーカーの人たちが、
これを開発し販売しようと活動し、実用化しました。

今では子供用ハサミにおいては、右用と左用が同一価格で併存するのが、
当たり前のこととなりました。
右用と左用を利き手によって選択する時代となっているのです。

 

 ●理由2.への反論=利き手と非利き手は役割が違う

理由2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

 

利き手と非利き手では役割に違いがあります。

『手と脳 増補新装版』久保田競 紀伊国屋書店 2010/12/24
によりますと、

「第7章 利き手と脳」<言語脳と空間認知脳>

p.187《右脳の方が空間関係の認知に優れているだけでなく、
    認知された情報に基づいて手で処理する機能も、
    右脳の方が優れている》

といいます。
右利きの人は右脳-左手で、左利きの人ではその逆が。

ゆえに、利き手でない方の手(非利き手)の方が、
空間情報の処理に優れているのですから、
右弾きヴァイオリンでは、音程や音の調節をするといった、
弦を押さえる「位置」に関する動きに対しては、
「非利き手である左手」を用いる方が有利、と考えられます。

実際に右利きの人では左手で行っています。

 ・・・

左用のヴァイオリンの多くが、
左手の指が使えなくなった人のために作られた、といわれています。

左手の指が使えなくなった人が弓を持ち替えるというのは、
そういう理由からでしょう。

そういう意味で「左手が重要」という考えが生まれてくるのでしょう。

前回、ルドルフ・コーリッシュさんが、

《左手を負傷したため、止むをえず、右手でヴァイオリンを支え、
 左手で弦を動かさなければならなかった。》p.223
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973――「十九 音楽における左きき」
『左ききの本』(Amazonで見る)

というのも、そういうところでしょう。

以前、同様の理由から左弾きに変えたチェリストの話もありました。

 ・・・

しかし、弦を押さえる手は、基本は非利き手の役割です。
一方、弓を動かす手は、利き手の役割です。

 

 ●右手の役割と左手の役割

もう一度ヴァイオリンにおける右手と左手の役割を見ておきましょう。

 

【右手】の役割
[音を出す]要素
・ボウイング:弓を持って、上げ下げして、弦を弾く
・ピッチカート:弓を使わず指で弦を弾く

【左手】の役割
1.[音の調整]要素
・フィンガリング:指使い、運指(音程を作る)
・ポジションチェンジ
・ビブラート
2.ヴァイオリン本体の支持

これぐらいで間違いはないでしょう。

 

右手と左手、「利き手と非利き手の使い分け」という問題があります。

脳科学者・久保田競さんの『手と脳 増補新装版』
「第7章 利き手と脳」<手を使いわけよう>によりますと、

 《手を使うときには、右と左の特徴を使いわけるほうがいい。》p.197

 《利き手は言語を媒介する機能、言葉で考えたことを実現する機能、
  単純につかむ、つまむ、にぎることから書くことまでの機能に
  使われるべきで、非-利き手は手探り、空間認知、さらにそれを
  手がかりとして実現する機能に使われればよいのである。
  われわれの脳は左右に特殊化されているので、
  それに都合のよいように手を使わなければならない。》p.198

非利き手は《手探り、空間認知、それを手がかりとして実現する機能》と
あり、これはズバリ弦を押さえる手といっていいでしょう。

一方、利き手は《単純につかむ、つまむ、にぎること》=弓を持つ、
《言葉で考えたことを実現する機能》=どのような演奏をするか、
に使うべきだといいます。
これは、まさに弓を持つ手にふさわしい役割でしょう。

 《日本の古典楽器の琴、鼓、三味線などは片手で操作できない楽器で
  ある。利き手で弦をはねるが、非-利き手で音色と音域の調子を
  微妙に変え、調節をつづけねばならず、これをマスターするのは、
  言葉を司る利き手の側ではむずかしく、感覚を司る非-利き手の側に
  おぼえこませなければならない。
  このような楽器の練習に左右の手を使い分けることは、
  専門家にならなくても手の訓練として重要なことである。》pp.198-199

とあります。

手の訓練云々は別にして、演奏に関していいますと、
やはり利き手と非利き手の役割の認識が重要です。

右利きの人にとっての最適な方法=右手に弓、左手にヴァイオリン本体、
は裏返しますと、左利きの人にとっての最悪の選択といえるでしょう。

 

*参考文献:
『手と脳―脳の働きを高める手』久保田競 紀伊国屋書店 1982(昭和57)4/30
――利き手(作用の手)と非利き手(感覚の手)の役割の違いなど。
『手と脳―脳の働きを高める手』(Amazonで見る)

『手と脳 増補新装版』久保田競 紀伊国屋書店 2010/12/24
――《【旧版との違い】脳科学の新たな成果をアップデートするとともに、
読みやすいレイアウトに。/第2章、9章は全面的に書き下ろし》
『手と脳 増補新装版』(Amazonで見る)

 

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 ●身体に合った道具を!

身体に合った道具に関してもう少し書いてみます。

私にはこういう経験があります。
私は中学生の時から父の買ってきたカメラを使い、
大人になってからも「写るんです」のようなカメラを使ってきました。

また、ソニーの8ミリビデオも使っていました。
これも右手で保持して、カメラのズームや録画などの操作も
みな右手一本で行うものでした。

それらを使っていても、なかなか慣れるということはなく、
常になにかしら違和感を抱いていました。

「隔靴掻痒」という言葉があるように、
まさに靴の上から足をかくような、
「はがゆくもどかしいこと」「思うようにいかず、じれったいこと」
「物事の核心や急所に触れず、もどかしいこと」という状況です。

あるいは、ガラス越しにものを見るというか、
夾雑物越しにものに触るときのような、
しっくりこないものがありました。

ところが、
左手用カメラ「京セラ・サムライ左手用廉価版 SAMURAI Z2-L」
を買いに行ったとき、初めて触ったのに、
まるでずっと昔から使ってきたかのような、
身体にフィットする操作感がありました。

これだ! と思いました。

あのときの感動は、初めて近視の眼鏡をかけた時の感動と同じように、
忘れられないものがあります。

 

このカメラは、左手でカメラ本体を握るように保持し
(落とさないように指にかけるストラップが付いています)、
左手の人差し指で、ズーム・レバーの操作や、
シャッター・ボタンを押す操作をします。

自分の好みの構図とシャッター・チャンスを
利き手である左手で操作できるのです。

まさに“自分のために作られたのか!”という印象でした。

毎度お話ししていますように、
これがきっかけとなり、左利きは左利き用の道具を! という、
私の左利き活動が始まったのです。

 

*参照:京セラ・サムライ左手用廉価版 SAMURAI Z2-L
『レフティやすおのお茶でっせ』
・2004.8.5
今は昔 世界初左手用カメラ、京セラ サムライSAMURAI Z2-L
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2004/08/__samurai_z2l.html
・2020.3.7
2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(2)
その後の30年(1)左手用カメラ-週刊ヒッキイ第566号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/03/post-fe5897.html

200826kyousera-samurai-z2l

1

二本目の「その後の30年(1)左手用カメラ」にも書いていますように、

 《「慣れたら一緒」なんて嘘です。
  利き手に合わない道具を使うのは、
  靴を左右入れ替えて履くようなものです。》

まあ、靴の左右を入れ替えても「慣れたら一緒」
と言い張る人はいるんでしょうけれど……ね。

 

 ●<利き手は心につながっている>

このカメラの経験から、
私は利き手にあった道具を使うことを推薦するのです。

私の持論は<利き手は心につながっている>です。
《利き手では、反復練習で身につく作業より、心の作業を!》です。

ヴァイオリンの演奏でいえば、音を発する弓を持つ手こそ主役であり、
心の発現だからです。

音の調整は二義的なことです。
運指が巧みでも、肝心の音を出さないければ、音楽にはなりません。

カメラでいえば、まずはシャッターを押すこと。
ピントの調整ができるだけでは写真にはなりません。
写真を撮れるのは、シャッターを押したときだけです。

 ・・・

以上、ここでいったん区切ります。

次回また、理由3.と4.を取り上げ、
さらにもう一点つけ加えておきたい事柄について説明しましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」と題して、今回も全紹介です。

本来ですと、四つの理由をすべて書くつもりでしたが、思いのほか長くなってしまったので、二階に分割することにしました。

また、冒頭欄外に左利きニュース(左利きの著者と訳者による左利き本『左利きの歴史:ヨーロッパ世界における迫害と称賛』ピエール=ミシェル・ベルトラン/著 久保田 剛史/訳 白水社)を入れています。

実は、この本はヨーロッパ社会でのは左利き迫害の歴史を語るもので、左利きでもヴァイオリンを右弾きすることが当然とされる根拠の一つといいますか、そもそもの最大原因でもある左利きを認めない社会であったことを証明する本、といっていいものです。

ヴァイオリンを左弾きしている例として語られるケースの多くがアメリカでのカントリー・ミュージックの演者であり、ヨーロッパでのオーケストラや正規の楽団などではその例がないという事実は、要するにこのヨーロッパ社会での左利きの認知度によるものだ、ということなのです。

左利きの存在を邪悪視する社会において、その上流社会の趣味である音楽演奏の場で、左弾きの演奏家が認められるはずがありませんからね。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

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