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2026.07.22

【最新号】<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫『坊っちゃん』夏目漱石-楽しい読書415号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)

【最新号】

 

2026(令和8)年7月15日号(vol.19 no.13/No.415)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫
『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」

 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2026(令和8)年7月15日号(vol.19 no.13/No.415)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫
『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」
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 今年も毎夏恒例の新潮・角川・集英社の
 <夏の文庫>フェア2026から――。

 今年も、一号ごと三回続けて、一社に一冊を選んで紹介します。

 今年のテーマは、“やわらかい古典”ということで、
 古典だけれど、読みやすい感じのソフトな、エンタメ系の古典を
 取り上げてみましょう。

 一本目は、集英社文庫から発表から120年となるという古典、
 夏目漱石さんの痛快青春小説といわれる、『坊っちゃん』を。

 

ナツイチ2026 きみの意外な1ページ。 - 集英社文庫

角川文庫夏フェア2026 | カドブン

新潮文庫の100冊 2026

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(画像:新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026の小冊子)

 

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 ◆ 2026年テーマ:“やわらかい古典” ◆

  新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2025から(1)

  集英社文庫『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」
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●ナツイチ2026 きみの意外な1ページ。 - 集英社文庫

260715-natuiti2026

サイトより――

--
この夏、乃木坂46の遠藤さくらさん・井上和さんと見つける
とびきりの一冊。

「きみの意外な1ページ。」
好きな人の好きな本。
そこにはきっと、
いつもは見せない一面がある。
驚きの趣味。隠れたセンス。秘密の本音。
ページをめくるたび、
相手のことをもっと詳しく
もっと好きになっていく。
さあ、よまにゃ。

ナツイチ対象ラインナップ
名作から話題作まで、夏にぴったりの本を厳選。
気になる一冊を見つけて、今だけもらえる限定グッズと一緒に、
夏の読書を楽しもう!
--

 

今年の「ナツイチ」メインキャラクターは、
乃木坂46の遠藤さくらさん・井上和さんのおふたり、

お二人の読書シーンが印象的なコンセプトムービーや、
読書について語る対談動画が公開中です。

 ・・・

今年のナツイチ対象ラインナップは、82点。

話題の本 よまにゃ (6)
・鈍色幻視行 上下(恩田陸)
・難問の多い料理店(結城真一郎)
・ハヤブサ消防団(池井戸潤)
・チンギス紀 一 火眼(北方謙三)
・どこよりも遠い場所に(阿部暁子)

心揺さぶる本 よまにゃ (21)
・二人キリ 上下(村山由佳)
・デグリネゾン(金原ひとみ)
・いい子のあくび(高瀬隼子)
・みどりいせき(大田ステファニー歓人)
・裸の華(桜木紫乃)
・あのこは貴族(山内マリコ)
■・白夜行(東野圭吾)
・N(道尾秀介)
・事故物件、いかがですか?(原田ひ香)
・桐島、やめるってよ(朝井リョウ)
・少女は卒業しない(朝井リョウ)
・二十億光年の孤独(谷川俊太郎)
・地図と拳 上下(小川哲)
・獅子吼(浅田次郎)
・何もかも憂鬱な夜に(中村文則)
・塞王の楯 上下(今村翔吾)
・地獄変(芥川龍之介)
◆・人間失格(太宰治)

ハラハラする本 よまにゃ (18)
・リバー 上下(奥田英朗)
・サラリーマンよ悪意を抱け(赤川次郎)
・マスカレード・ゲーム(東野圭吾)
・プレデター(あさのあつこ)
・白ゆき姫殺人事件(湊かなえ)
・栞と嘘の季節(米澤穂信)
・早朝始発の殺風景(青崎有吾)
・地面師たち(新庄耕)
・真夜中のマリオネット(知念実希人)
・フェイクフィクション(誉田哲也)
・朽ちゆく庭(伊岡瞬)
・医療Gメン(氷見亜佐子)
・流警(松嶋智左)
・赤い密約(今野敏)
・隣はシリアルキラー(中山七里)
・地下街の雨(宮部みゆき)
・夏の花火と私の死体(乙一)

ときめく本 よまにゃ (11)
・いつか君が運命の人 I II(宇山佳祐)
・君の地球が平らになりますように(斜線堂有紀)
・ペーパー・リリイ(佐原ひかり)
・空をこえて七星のかなた(加納朋子)
・棘公爵の花嫁 賭けをしましょう、旦那様(白川紺子)
・おしまいのデート(瀬尾まいこ)
・まだいない君に星の舟を(阿部暁子)
・京橋骨董かげろう堂(辻村七子)
・さるのこしかけ(さくらももこ)
◆・星の王子さま(サンテグジュペリ)

そっと寄り添う本 よまにゃ (13)
・よき時を思う(宮本輝)
・赤い月の香り(千早茜)
・掌に眠る舞台(小川洋子)
・ラブカは静かに弓を持つ(安壇美緒)
・銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に(ほしおさなえ)
■・光の帝国 常野物語(恩田陸)
・猫君(畠中恵)
・モノガタリは終わらない
・とりあえずウミガメのスープを仕込もう(宮下奈都)
・大人は泣かないと思っていた(寺地はるな)
・旅屋おかえり(原田マハ)
・金の角持つ子どもたち(藤岡陽子)
・2.43 清陰高校男子バレー部 next 4 years(1) (壁井ユカコ)

世界が広がる本 よまにゃ (13)
・パッキパキ北京(綿矢りさ)
・令和反逆六法(新川帆立)
・妻が口をきいてくれません(野原広子)
・デモクラシー(堂場瞬一)
・逆ソクラテス(伊坂幸太郎)
・芭蕉はがまんできない おくのほそ道随行紀(関口尚)
・父ではありませんが 第三者として考える(武田砂鉄)
・名画の中で働く人々 「仕事」で学ぶ西洋史(中野京子)
・マナーはいらない 小説の書きかた講座(三浦しをん)
・鈍感力(渡辺淳一)
・今日もごきげんよう(松浦弥太郎)
・ジジイの片づけ(沢野ひとし)
▼・坊っちゃん(夏目漱石)

 

前号、岩波文庫フェアの時にもやりました印付けをしておきましょう。

■:以前弊誌、もしくはブログで取り上げた作品
◆:同、他社の本による
▼:既読、本文庫・他社本等による
・:部分読み、本文庫・他社本等による

 

*参照:
2023(令和5)年8月31日号(No.349)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から(3)集英社文庫・
 東野圭吾『白夜行』青春の思い出も背景に散りばめられた一冊」
『お茶でっせ』2023.8.31
[新潮・角川・集英社]
<夏の文庫>フェア2023から(3)集英社文庫・東野圭吾『白夜行』-楽しい読書349号

・東野圭吾『白夜行』集英社文庫 2002/5/25
(Amazonで見る)

230823byakuyakou

 

2022(令和3)年8月31日号(No.325)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から
(3)集英社文庫『光の帝国 常野物語』恩田陸」
『お茶でっせ』2022.8.31
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から(3)集英社文庫『光の帝国 常野物語』恩田陸-「楽しい読書」第324号

・集英社文庫『光の帝国 常野物語』恩田陸 2000/9/20
(Amazonで見る)

220729hikari-no-teikoku

 

 ●夏目漱石『坊っちゃん』

今年は、そんな中から夏目漱石の『坊っちゃん』を紹介します。

どうしてこれを選んだかという理由は、フェアの小冊子に
“発表120年”とあったのが、決め手になりました。
そうなんだ、という感じですね。
こういう区切りというのは、べつにそれでどうだ、
ということもないのですが、何となく気になってしまうものです。

--
集英社文庫(日本)坊っちゃん
紙版
1991年2月20日発売473円(税込)文庫判/228ページISBN:4-08-752007-2
教師になって四国の松山へ赴任した江戸っ子の坊っちゃん。
持ち前の正義感で、赤シャツや野だいこ、マドンナやしたたかな生徒たち
を相手に、珍無類の大騒動! (解説・渡部直己/鑑賞・ねじめ正一)
【装画】津田青楓
--
『坊っちゃん』夏目漱石 集英社文庫 1991/2/20
(Amazonで見る)

260715-shuueisha-bocchan

(画像:右から集英社文庫2026年フェア小冊子と『坊っちゃん』と本屋さんでもらったフェア限定のよまにゃクリアしおり)

 

(目次)
口絵 4ページ/[本文]坊っちゃん 5-174/語注 175/
解説――不滅の国民作家 渡辺直己 185/
鑑賞――正義と愛 ねじめ正一 205/年譜 小田切進 212

260715-natuiti-bocchan

 ●坊っちゃんは左利き

『坊っちゃん』といえば、<左利きライフ研究家>としましては、
“坊っちゃんは左利き”という話題を避けては通れません。
冒頭、坊っちゃんの無鉄砲な性格を説明するくだりで、
もらったナイフを自慢するとホントに切れるのかと疑問を持たれ、
それでは論より証拠とナイフで自分の指を切るシーンがあります。

《親類のものから西洋製のナイフを貰って奇麗な刃を日に翳して、
 友達に見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。
 切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合った。
 そんなら君の指を切ってみろと注文したから、
 何だ指ぐらいこの通りだと右の手の親指の甲をはすに切り込んだ。
 幸いナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、
 いまだに親指は手に付いている。しかし創痕は死ぬまで消えぬ。》pp.7-8

 

ここで、「右の手の親指の甲をはすに切り込んだ」とあり、
右手の親指を右手に持ったナイフでは切れませんので、
これは坊っちゃんが左手でナイフを持って切ったと解釈でき、
結果、坊っちゃんは左利きだろう、というわけです。

まあ、それで「どうなんだ?」といわれても困るのですけれど……。

なにしろ、これ以降にこれといって左利きエピソードは出て来ないのです
から。

<紙の時代>の季刊誌『LL』11 1997(平成9)年 夏号 終刊号 で、
紹介しています。

*参照:
第688号(Vol.21 no.11/No.688) 2025/6/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」
『お茶でっせ』2025.6.21
週刊ヒッキイ第688号-『左組通信』復活計画[38]『LL』復刻(11)LL11 1996年秋号(後)

250621-ll11s

 

 ●“痛快”青春小説

ストーリーは、たいていの人は一度は本を読むか、映画やドラマなどで、
だいたいのところはご存知でしょう。

これは、漱石が四国の愛媛県の中学校に教師として赴任した経験を
もとにした青春小説といわれています。

まだ作家としては初期の作品で、後期のような人生の重さを描くような
長編小説ではなく、まさに典型的な“痛快”青春小説と呼ばれるような、
娯楽作といっていい、“柔らかい古典”の名作です。

漱石さんは、もともと『吾輩は猫である』のような風刺ものの
コメディっぽい作品からスタートした人で、その後本作や
『草枕』『三四郎』といった文芸作品を書くようになった人です。
後には、『こころ』のような“重い”作品を書くようになります。

それが作家としての成長というものなのかも知れないと思っています。

 

 ●ストーリー

坊っちゃんは、両親を若くして亡くし、兄は就職し、家を売って九州へ。
別れの時に600円を遺産としてもらった坊っちゃんは、その金を学資に
物理学校に進学、3年後卒業とともに、学校の勧めで月給40円の四国の
中学校の数学教師になります。
親からも兄弟からも嫌われていたという坊っちゃんですが、十年来召し
使われている起用という下女だけは彼を慕い、かわいがってくれます。
その清は前から声を掛けてくれていた甥の元へ。

四国の中学へ赴任した坊っちゃん、同じ数学教師の山嵐の世話で下宿が
決ますと、さっそく教師連にあだ名を付け、清に手紙を書きます――
校長は狸、教頭は赤シャツ、英語の教師はうらなり、数学は山嵐、画学は
のだいこ、というように。

初めての宿直の日の騒動、教頭の赤シャツとのだいこに誘われての釣り、
その後のうらなりの世話で下宿の引っ越し、さらに引っ越し先で、
うらなりと赤シャツのマドンナを巡る事件とうらなりの転任を知ります。
宿直での生徒たちの騒動に対する職員会議で、山嵐が坊っちゃんの味方と
なり、生徒たちへの厳重処分を要求します。こうして仲間となった二人。
うらなりの送別会で、校長と教頭の転任を残念がる送別の辞のあと、
山嵐は二人やマドンナを皮肉りながら転任を祝する演説をします。
まだまだ言い足りないと思う坊っちゃんでしたが、自分の送別会だから
と、最後まで馬鹿騒ぎにお付き合いしようとする人の良いうらなりを
連れて帰ります。

清からの長い手紙に返事を書こうとする坊っちゃん。
でも、文章を書くより、直接清に話す方がいい、それよりも遠くからでも
清の身を案じていれば、思いは通じるのでは、と考えるのでした。

後はもうひと騒動ありまして、いよいよ終章に突入します。

 

 ●三度目? の『坊っちゃん』

『坊っちゃん』を読むのは何回目でしょうか、よく覚えていません。
映画(*)があった20代ぐらいの若い頃に一度、
“坊っちゃんは左利き”という情報を得た40代に一度、
そして今70代で三度目でしょうか?
それぞれに印象は違うようです。
ストーリー的には単純なのですが、
各エピソードは案外覚えていなかったりします。

(*)本文庫本の口絵1ページ目にモノクロ写真が掲載されている、
1977年の中村雅俊主演の松竹映画がそれのようです。

直情径行の主人公坊っちゃんの行動と、彼を取り巻く田舎の人々を巡る
騒動の一部始終を描いた単純明快な痛快青春小説というのが、
標準的読み方でしょう。
それで十分だと筆者は感じています。

主人公の清を思う気持ちなども、読みどころの一つでもあります。

母親を亡くし、父とも兄ともケンカばかりでよい家族関係を持てず、
下女の清からだけはかわいがってくれたという、学校を出たての
23歳の社会経験も少ない青年が、主人公の坊っちゃんです。
いきなり右も左も分からない土地で、初めての教師生活という、
何から何まで初づくしのような生活を営むのですから、これは大変です。

世間知らずの、なんだかんだといっても下女の清のおかげで、
比較的恵まれた環境で生きてきた「坊っちゃん」育ちともいえそうな、
青年の初の人生の試練物語というところでしょうか。

思えば、学校の先生というのは不思議な職業です。
たいていの職業は、試用期間があったり、
先生役がついて研修する期間があったりしますが、筆者の経験でも、
学校の先生だけはほとんどぶっつけ本番という気がします。

これでは問題なくスタートできる方がめずらしい、
という気もしますけれど、どうなんでしょうね。

 

 ●何かにはなれる?

この作品を書いた時点で漱石さんは39歳で、
当時の平均寿命などを考えますともうすでにかなりの高齢といえます。
人生の酸いも甘いも噛み分けるいい歳で、23歳の青年を主人公にする
青春小説の書き手としては、不自然ともいえる高齢です。

解説の渡辺直己さんのいうような難しいことはよくわかりません。
渡辺さんの言わんとするところは、それなりに理解できますが、
そこまで読み取るほど、漱石さんのことも知りませんし、
それなりに読み取れば良いのでは、と思います。

《世の中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えて見ろ。》

とか、
正義感の塊のような青年らしさが全面に出てくる物語です。

それでも、坊っちゃんは最後には、東京に帰って行きます。
東京に帰って、清との暮らしを始めます。

ラストをバラしてしまいましたが、
それからの坊っちゃんの物語も読んでみたい気がしました。

 ・・・

《おれはその時から別段何になるという了見もなかった。
 しかし清がなるなると言うものだから、
 やっぱり何かにはなれるんだろうと思っていた。》p.13

多分な“何者”にもならなかったのでは、という気がします。

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本誌では、「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫『坊っちゃん』夏目漱石~発表120年~」と題して、今回も全文転載紹介です。

【最新号】編は、メルマガ本文の全文転載です。

【別冊 編集後記】は、【別冊 編集後記】編↓ で、

2026.7.15
[新潮・角川・集英社]
【編集後記】<夏の文庫>フェア2026から(1)集英社文庫『坊ちゃん』夏目漱石-楽しい読書415号

 

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

 

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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