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2025.10.31

私の読書論-わが友フランシス二代目(2)『虎口』フェリックス・フランシス-楽しい読書398号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書
(まぐまぐ!)

【別冊 編集後記】

2025(令和7)年10月31日号(vol.18 no.18/No.398)
「私の読書論-わが友フランシス二代目(2)
『虎口』フェリックス・フランシス 文春文庫」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2025(令和7)年10月31日号(vol.18 no.18/No.398)
「私の読書論-わが友フランシス二代目(2)
『虎口』フェリックス・フランシス 文春文庫」
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 月末は古典の紹介ですが、今回は、前号に引き続き、
 今月の新刊である、フェリックス・フランシスの文春文庫版
 <新・競馬シリーズ>――五月に発売された『覚悟』に続く、
 第二弾『虎口』を取り上げます。

 前号でも書きましたように、
 作者フェリックス・フランシスは、父親があの偉大なミステリ作家
 ディック・フランシスで、その次男に当たる二代目作家です。

 父親の晩年、父親との共著者として、その名を刻み、
 父親の死後は後継者として、同様の<競馬ミステリ>の作者として、
 10年を超えるキャリアを積み上げて今日に至っています。

 彼のX(twitter)によりますと、 "Author of the 'Dick Francis' novels"
 (<ディック・フランシス(長編)小説>の作家)とあり、
 「ディック・フランシス風小説」の書き手、というところです。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 - 私の読書論 -

  ~ わが友フランシス二代目フェリックス(2) ~

  <新・競馬シリーズ>第二弾
  『虎口』フェリックス・フランシス 加賀山卓朗訳 文春文庫
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

●<新・競馬シリーズ>第二弾『虎口』

『覚悟』は、お父さんの作りあげた人気キャラクターの
<シッド・ハレー>を主人公に据えた作品でした。
日本でも知られたこの人物の作品を第一弾にしたのは、
営業的な配慮だったのでしょうけれど、
今回は、オリジナルの主人公が登場します。
これは、お父さんの時代からのこのシリーズのお約束の一つでもある、
毎作異なる主人公を立てて、競馬にまつわる事件に巻き込まれていく
という、従来からの伝統的な設定を踏襲したものとなっています。

 

『虎口』フェリックス・フランシス/著 加賀山 卓朗/訳 文春文庫
2025/10/7 (CRISIS (c)2018)
(Amazonで見る)

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(出版社の紹介文)

《話題沸騰! 新・競馬シリーズ第2弾。
フェリックス・フランシスの清新な魅力が冴える傑作。/英国競馬の聖地、ニューマーケットで発生した厩舎火災。犠牲となった名馬の馬主の依頼で、危機管理コンサルタントの私が調査に派遣された。焼けた厩舎は高名な調教師一家のものだったが、カリスマ調教師だった父のもと、三人の息子たちがいがみあう地雷原のような一族であった。ほどなくして火災の焼け跡から人間の遺体が発見され、それは問題児として疎まれていた末の娘のものであると判明した。そしてさらなる死が。/なぜ厩舎は焼かれなければならなかったのか? 長年にわたって音信不通だった問題児ゾーイはなぜ帰郷し、遺体で発見されたのか? 殺人者は一族にの中にいるのか? 調査を進める私にも危険はふりかかった――。/競馬場、厩舎、牧場から競売場までが集まる「競馬の故郷」ニューマーケットを舞台に展開する「新・競馬シリーズ」第2弾。スリラーの緊迫のなかに英国ミステリの香気を漂わせ、父ディックの『名門』『黄金』を彷彿させる快作!》

 

前作『覚悟』の裏側の帯に、

 《『虎口(仮)』厩舎放火事件に挑む 危機管理専門の若き弁護士
   フォスター。(2025年秋予定)
  『勝機(仮)』シッド・ハレー再登場。 新・競馬シリーズ中、
   話題の傑作。(2026年春予定)》

とあったうちの上の一作です。

<危機管理専門の若き弁護士>ハリイ・フォスターが主人公。
従来の主人公と同様、三十代半ば(ここでは37歳)、独身の青年です。

七年近く勤めた、退屈な田舎の弁護士の定番の仕事に飽きていた彼は、
ある日、法律雑誌の求人広告のラテン語の一文と電話番号だけの記事を
目に留め、調べてみます。

 《もっとワクワクする存在になりたいですか?》

この意味深な広告に反応した彼は、今の仕事に辿り着きます。
それは、危機管理専門の弁護士業でした。

この求人にまつわる謎解き、これができた人が受験資格を得る、
というものだったのです。
このへんの推理と探偵の過程は思わず引きつけられます。

隊員第7号(《007(ダブル・オー・セブン)と考えたい》p.13)と
なったハリイは、多彩で刺激的な人生をスタートさせました。
それから7年後の事件――。

 

 ●複雑な関係の大家族

今回の彼の担当は、アラブの国の新しいリーダー、シーク・カリムが
馬主となっている、ダービーの優勝候補であった有力馬プリンス・オブ・
トロイと他の馬が、厩舎の火事で亡くなった、という事件の調査でした。
焼け跡から、厩舎の経営者である調教師の娘の死体が発見されたのです。
しかもこの娘は、今までにも何かと問題を抱えていた、というのです。

この調教師一家は複雑な家族関係で、厩舎<カッスルトン・ハウス>の
当主(カリスマ調教師だった)オリヴァー・チャドウィックと三番目の
若い妻マリア(子供を流産し、その後精神的に不調で酒浸り)、
オリヴァーの最初の妻(癌で早くに亡くなる)の子が、長男のライアン
(元競馬の騎手だったが、予定より早くケガで引退、その後この厩舎の
跡継ぎとなるが、成績は父の代よりも上がらず経営状況は良くない、
妻スーザンとの間に娘がいる)と次男デクラン(別の厩舎の調教師、妻
アラベラ、二人に子供はいない)、オリヴァーの二番目の妻イヴォンヌの
子が、三男で騎手のトニイと長女で末っ子のゾーイ(29歳、二女の母親で
精神的に不安定で、失踪したり、自傷癖があったり、妄想癖があると診断
され、精神科病院に入院していた経歴がある、夫は自称不動産業者)。

という複雑な大家族で、息子たちはそれぞれ調教師として、騎手としての
力量に差があるようすで、また、それぞれの妻との関係では子供がいる
夫婦といない夫婦で、それぞれの関係をより複雑に――。

 

 ●家族間の秘密を巡る謎

ハリイは、馬主の要請でこの事件の真相を解明することを指示されて
います。
このややこしい関係の家族のなかに、何かしら隠された秘密があることに
気付きます。
しかも、その秘密を守るために、この憎みあう家族は一枚岩のように
団結しています。

複雑な家族関係のなかで、ハリイは、有力一馬主の代理人として、事件の
解決に向かって“探偵”としての役割を果たしてゆくことになります。

長らく実家であるこの厩舎に顔出ししていなかった娘が、なぜ厩舎内で
死んでいたのか?
有力馬を殺した火事の放火は誰の仕業なのか?
その動機は?
娘の死とはどういう関わりがあるのか?

これらの謎を突き止めるためにハリイは、被害に遭った馬主の代理人と
して警察の担当者と関わってゆきます。
その後、娘に会った最後の人物として次男のデクランが逮捕され、
今度は彼の弁護士として警察と関わってゆきます。

詳しいストーリーの紹介は、ミステリでもあり、新刊でもありますので、
この程度にしておきましょう。

 

 ●<本格“探偵”もの>の傑作

これらのオリヴァーの大家族の人々やそれぞれの厩舎の秘書や厩務員ら
との会話を通して事件の鍵を探ってゆくのですが、
あるとき不覚にもハリイは厩舎におびき出され、暴れ馬の馬房に閉じ込め
られる、という失態を犯します。
しかし、その前に偶然出会い、互いに一目惚れで恋仲となった、
オリヴァーの厩舎の秘書の姉ケイトの機転で、窮地を脱します。

フランシスの小説には必ずある、主人公が追い込まれる肉体的な窮地の
一回目がこれでした。

そして、最後の窮地が解決の場となります。
「名探偵 みなを集めて さてと言い」という謎解きの場面ですね。

――というように、今回の“冒険”は、<本格“探偵”もの>と
いっていい内容でした。

ケイトから、ここで何をしてるの? と聞かれハリイは答えます。

 《「ほかの人たちを危機から救うというか、そうしようと努めている。
  とりわけ、実際に起きた危機にかならずともなう広報対応が被害を
  拡大しないように。だけど今週は、広報担当というより探偵になった
  気分だね」》p.180

馬主の代理人として馬主の要望である、なぜ彼の有力馬が火事で死んだ
のかを突き止めることだ、と。
のちにケイトから「シャーロック・ホームズ」などとからかわれます。
対して彼は、彼女の質問に答える際、「初歩的なことだよ、ワトソン君」
と返します。

このへんのやり取りなどは、エンタメにおけるラブ・ロマンスの要素を
十分に楽しませてくれます。
このへんのところも、「ディック・フランシスの小説」にあった要素の
一つを踏襲しています。
(蛇足ですが書いておきますと、事件解決後、ハリイは、社内でも
 「エルキュール・ポアロ」と呼ばれるようになります。(p.450))

 

十三作あるフェリックス・フランシスさんの単独作品から――
邦訳済みの最初の一冊をのぞくと、十二作あるなかから、お父さんの
時代からの名キャラクター<シッド・ハレー>ものに次いで、二作目に
邦訳された作品というだけあって、謎解きものの傑作(秀作?)でした。

 

 ●「ディック・フランシスの小説」の後継者

巻末の(編集部N)さんの「解説」にもあるように、
お父さんディック・フランシスの作品は、
《スリラーやサスペンスと呼ばれる小説のお手本》(p.467)でした。

冒頭の一文から、いきなり事件の渦中に読者を放り込んでゆくその手法。
この「解説」のなかにも、いくつもの書き出し部分が引用されています。

そしてこの作品『虎口』も、それらを踏襲した延長線上にある一作です。

冒頭からいきなり、主人公の紹介とともに、殺人事件であることも
明記されています。

 《名刺にはハリソン・フォスター、法務コンサルタントと書かれている
  が、私はハリイとして広く知られ、危機管理を専門としてる。/
  そして当初誰も知らなかったが、今回の危機には殺人がからんで
  いた。》p.9

スリラーのお手本である「ディック・フランシスの小説」の後継者として
十分な働きぶりです。

次回の翻訳は、またしても<シッド・ハレー>ものが予定に上がって
います。
今後の売れ行きにもよりますが、上手くいけば、今後も継続して翻訳が
進む可能性もありです。

読書には、二つの側面があります。
一つは、単純に情報を得ること。
もう一つは、人生における“楽しみの時間”としての読書です。

「ディック・フランシスの小説」は、この後者の読書に属するもの
としても最上級に匹敵するものの一つでしょう。

それでいて、競馬に関する情報はもちろん、普通の人が知らない
新たな職業について知る機会をも与えてくれ、
かつ人生をどう生きるかという問題にも答えてくれる優れた小説だ、
と私は思っています。

 

エンタメというものは、ハラハラとドキドキ(スリルとサスペンス)と、
それにワクワク(ラブ・ロマンスの要素)を人の心に与える芸術です。

さらにゾクゾク(怖さ)が加わりますと、ホラーとなり、
最強のエンタメ!? になるかも知れません。

 

*参照:
『レフティやすおの楽しい読書』
2025(令和7)年10月15日号(vol.18 no.17/No.397)
「私の読書論-わが友フランシス二代目
『覚悟』フェリックス・フランシス 文春文庫」

【別冊 編集後記】
『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフやすおのお茶でっせ』
2025.10.15
私の読書論-わが友フランシス二代目『覚悟』フェリックス・フランシス
-楽しい読書397号

 

・『覚悟』フェリックス・フランシス/著 加賀山 卓朗/訳
文春文庫 フ 37-1 2025/5/8
(Amazonで見る)

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『左利きライフ研究家(本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
2015.9.23
“わが友フランシス”息子フェリックス単独作『強襲』を読む

【フェリックス・フランシス作品】
・『強襲』(新・競馬シリーズ) フェリックス・フランシス/著
北野寿美枝/訳 イースト・プレス 2015/1/24
(Amazonで見る)

 

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(画像:フェリックス・フランシス/著、新・競馬シリーズ『強襲』『覚悟』『虎口』)

・『夜間飛行 ミステリについての独断と偏見』青木雨彦/著 早川書房
1976
(Amazonで見る)

 

(旧シリーズを概観するガイドブック)
・『ミステリマガジン 二〇一〇年六月号
 特集ディック・フランシスの弔祭』(早川書房刊)――追悼特集号

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(画像:『ミステリマガジン 二〇一〇年六月号 特集ディック・フランシスの弔祭』表紙、特集目次)

 

【ディック・フランシス作品から<シッド・ハレー>もの】
(筆者の所蔵する本)
『大穴』菊池光/訳 ハヤカワミステリ 1967
・ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-2 競馬シリーズ 1976/4/20
(Amazonで見る)

『利腕』菊池光/訳 早川書房 1981
・ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-18 競馬シリーズ 1985/8/1
(Amazonで見る)

・『敵手』ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-35 競馬シリーズ 2000/8/1
(Amazonで見る)

・『再起』北野 寿美枝 ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-41 2008/11/7
(Amazonで見る)

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(画像:<シッド・ハレー>もの(筆者所蔵本)=ディック・フランシス著『大穴』『利腕』『敵手』『再起』、フェリックス・フランシス著『覚悟』)

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本誌では、「私の読書論-わが友フランシス二代目(2)『虎口』フェリックス・フランシス 文春文庫」と題して、今回も全文転載紹介です。

10月の新刊をその月の内に取り上げるなどということは、まずありませんでした。
そういう非常に稀な回となりました。

それだけ、期待値が大、ということでしょうね。
これもひとえにお父さんの偉大さでもあったわけですが、本人の努力ももちろん大です。
実際に過去の単独作品に失望していたら手に取らないわけですし、ましてやここで取り上げるなどということもなかったわけです。

できれば、次作もいち早く手に入れたいところです。
編集者Nさん並びに翻訳者の加賀山卓朗さん、よろしく!

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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2025.10.18

『左組通信』復活計画(40)左利き自分史年表(6)1995.7-1996―紙の時代(3)『LL』-週刊ヒッキイ第696号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
(『まぐまぐ!』
【別冊 編集後記】

第696号(Vol.21 no.19/No.696) 2025/10/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [40]
レフティやすおの左利き自分史年表(6)1995(平成7)7.-1996(平成8)
―紙の時代(3)『LL(Lefties' life)』」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第696号(Vol.21 no.19/No.696) 2025/10/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [40]
レフティやすおの左利き自分史年表(6)1995(平成7)7.-1996(平成8)
―紙の時代(3)『LL(Lefties' life)』」
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 「左利き自分史年表」6回目です。

 年表といいながら、前回は、一年と半年分でした。
 活動量が増えてきたからか、実質月表のようになっています。
 今回は、どの程度書けるかわかりませんが、お付き合いください。

 過去の記録は、前回分のブログ記事から御覧頂けます。

 この年表は<左利きミステリ>を含む「左利き年表」になっています。
 こちらの記録も、過去のブログ記事から確認できます。

 

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [40]

  <レフティやすおの左利き自分史年表>(6)
 
  1995(平成7)7(夏)-1996(平成8)―紙の時代(3)
  『LL(Lefties' life レフティーズ・ライフ)』

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

 

 ●「1995(平成7)6(春)-1996(平成 )―紙の時代(3)『LL』
  【左利きライフ研究家】レフティやすおの左利き自分史年表-5」

*(参照)――<紙の時代>

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・
紙の時代1(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
 ◆ 左利き用品の総カタログ的『モノ・マガジン』左利き特集号 ◆
  『モノ・マガジン』「左利き生活向上委員会」編集部A・K氏
 ●第二期・紙の時代―左手用カメラとの出会いに始まる
 ●『モノ・マガジン』左利き特集号がスゴかった!
 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』創刊
 ●左利き関連本あれこれ
 ●「左利き生活向上委員会」のA・K氏

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第650号(No.649) 2023/10/7
「創刊19年に向けて―650号記念号―
 <左利きの人の自覚――意識の覚醒>が最も重要」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.7
<左利きの人の覚醒>左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
創刊19年記念号-第650号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-158a3d.html
 ●左利き活動の「初心」は?
 ●「来た、見た、買(こ)うた」
 ●左利き活動の始まりは、1990年末「世界初左手用カメラ」購入
 ●右手用のハンディカムの違和感
 ●『モノ・マガジン』左利き特集号との出会い
 ●存在を知らなければ、「存在しない」のと同じ
 ●最初はハガキサイズの「左組通信」という紙媒体
 ●左利き活動の「初心」について――もう一度
 ●始まりは左利きの人の覚醒にある

 

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「1995(平成7)6(春)-199 (平成 ) 
  ―紙の時代(3)『LL(Lefties' life レフティーズ・ライフ)』
 【左利きライフ研究家】レフティやすおの左利き自分史年表-6」
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*(注)科学書――特に脳・神経科学に関する本につきましては、
 最も発達が著しく、発行年代の古い本の場合、情報として
 古くなってしまっているものがありますので、ご注意ください。

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(太文字=西暦(元号)年齢) レフティやすおの出来事 (茶文字=社会の出来事)(青文字=左利き・利き手関連文献
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1995(平成7)41歳

7/1『「左と右」で自然界をきる』根平邦人/編著 三共出版
――素粒子の世界の対称・非対称から、生物界における左右性、人間の脳の
 非対称など、自然界を「左と右」のレベルから切り込む、左右学の本。
(Amazonで見る)

 

夏/『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ(LL)』第5号
LL5 1995(平成7)年 夏号
・前説The Compliments of the Summer Issue二年目に向けて
  Toward the second year
・From LHC (Left-handers Club/U.K.)
  レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―
  新たなる希望!THE NEW HOPE!
・From LHI (Lefthanders International/U.S.A)
 レフトハンダーズ・インターナショナル(アメリカ)より―
  左利きの人をガッカリさせるもの
  THINGS THAT ARE FRUSTRATING FOR LEFTIES!
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  こんな道具が不満です!
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その5―あなたは靴派? スリッパ派?―爪切りはさみセット
・知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その2
  Words & Phrase小学館『国語大辞典』より
・左利きの本だなぁ その2 激励編
  The Books on the Left-handedness―斎藤茂太著
  『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』
   KKベストセラーズ/ワニ文庫刊

 

7/31 斎藤茂太さんの著者『左ききの人はなぜ才能があるのか―
左ききの性格分析』を紹介したに『LL』第5号を送る
――まだまだ左利きには暮らしにくいが~、とお礼の葉書をいただく。

 

(1995.7)『左手のパズル』萩尾望都/文 東逸子/絵
[ファンタジー]
――チェロを弾く16歳の少年ジョシュアがたどった、数奇な運命。
 左と右を間違う左利きの少年の幼少時の秘密を解き明かす。
『左手のパズル』萩尾望都/文 東逸子/絵 新書館 1995/7/13
(Amazonで見る)

19957-hidarite-no-pazuru

(参照)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
第185号(No.185) 2009/6/20「名作の中の左利き(3)『左手のパズル』」

 

8/25 『ヒトはなぜ指を組むのか 脳とこころのメカニズム』
坂野登/著 青木書店 1995/8/25
――《指組み・腕組みが表す利き脳の働きと、脳に依存するこころの仕組み
 を探険。》
(Amazonで見る)

参考:
『かくれた左利きと右脳』坂野登/著 青木書店 1982/12/1
(Amazonで見る) ――単純に言いますと、腕を組む時どちらの腕が上になるか(腕組み)、
両手の指を交互に組み合わせるときにどちらの手の親指が上に来るか
(指組み)で、その人の「利き脳」がわかる、という研究。

220930kakuretahidarikiki-to-miginou

10/31『左右学への招待―自然・生命・文化』西山賢一/著 風濤社
1995/10/31
――自然界や文化の中に存在する左右の不思議を解明しようとする研究。
(Amazonで見る)

 

((2005)平成17 文庫化・新版『左右学への招待 世界は「左と右」で
あふれている』西山賢一/著 光文社文庫 2005/12/6)
(Amazonで見る)

 

秋/『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ(LL)』第6号
LL6 1995(平成7)年 秋号
・前説 The Compliments of the Fall Issue道を切り開こう!
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  私の簡単“左利き判別法”
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その6Left-handed tools & goods―左利き用万年筆の使い心地良さ!
・左利きの本だなぁ その3 お楽しみ編―
  『左利きの名画』ロジャー・オームロッド著 野中千恵子訳
    社会思想社 現代教養文庫〈ミステリ・ボックス〉
・<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)
  レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―
   ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果

 

11?/ (アメリカ)[犯]「待ちに待ったヒット」
(「キルディア物語」より)エドワード・D・ホック/著 中井 京子/訳
“The killdear Chronicle” (初出) EQMM midDecember 1995 
(邦訳)『EQ』1996年5月号
(収録短編集)『革服の男 英米短編ミステリ名人選集V』エドワード・D・
ホック/著 中井 京子ほか/訳 光文社文庫 1999/11/1
(Amazonで見る) ――ソフトボールの試合中に起きた事件。
《「(略)頭部の左側に打ちこまれていた。つまり、後ろから力一杯バット
 を振った犯人は左利きのバッターだったわけだ」》p.25

 

11/(テニス)伊達公子 WTAランキング4位(最高位)
――5/ フレンチオープン日本人女性初ベスト4。
7/ ウィンブルドン日本人女性初ベスト8。

 

(1995) (ドイツ)[参][傍]『朗読者』ベルンハルト・シュリンク
――たとえとして「左利き」を恥じる被告がいたら……
・『朗読者』ベルンハルト・シュリンク/著 松永美穂/訳 新潮文庫
2003/5/28
(Amazonで見る) 《... 考えてごらん、誰かが自分の意志で破滅しようとしている。
 そしてそれを救える手だてがあるとしたら、きみはやってみるかい?
... 裁判の場面を思い浮かべてごらんよ、左利きだということを告白
 しない限り、有罪になってしまう被告がいる。犯行は右手による
 もので、左利きならその犯行はあり得ない。しかし彼は左利きだという
ことを恥じている。君は裁判官に、何がどうなっているかを言うかい?
... 左利きやホモを恥じるべきかどうかという話じゃないんだ。
 被告が恥ずかしがっているということが問題なんだ。》p.159-160

*参照:第192号(No.192) 2009/8/8「名作の中の左利き ―その5―
 『朗読者』ベルンハルト・シュリンク/著」

 

冬/『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ(LL)』第7号
LL7 1995-96(平成7-8)年 冬号
・前説 The Compliments of the Winter Issue―出発点にもどって
  Get back to the starting point
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その7Left-handed tools & goods―世界初の左手用カメラ
  〈京セラSAMURAI Z2-L〉
・左利きの本だなぁ その4 雑誌/カタログ編―『モノ・マガジン』
  1991年4月2日号 No.188 ワールド・フォトプレス発行―
  特集/左を制するものは時代を制す/左利きの商品学
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  怒りをことばに―「このはさみは欠陥です!」
・左利きの本だなぁ その5 雑誌/コラム編―『モノ・マガジン』
  1994年11月2日号 モノ・インタレスティング「左利き生活向上委員会」
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats

241019-lh-7

 

(1996 平成8)42歳

1/1(音楽)globe「DEPARTURES」(作詞作曲小室哲哉)発売され
ヒットする~♪左利きも慣れたし 風邪も治った~

199611-globe-depatures

『DEPARTURES』globe (CD) エイベックス・トラックス
(Amazonで見る)

 

12/6『左ききの神経心理学』八田武志 医歯薬出版
左利きの研究専門書。1996年刊。20年余りにわたって収集した左利き・利き手研究に関する文献と自らの研究をまとめたもの。
(Amazonで見る)

220412hidarikiki-no-sinkeisinrigaku

 

春/『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ(LL)』第8号
LL8 1996(平成8)年 春号
・前説 The Compliments of the Spring Issue―
  見果てぬ夢を追い求めて “To dream the impossible dream,….
   This is my quest.”
・利き手差別をなくせ! Down with handism!
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その8 Left-handed tools & goods―てのひら≪掌中≫電卓/
  左利き用 ZELCO DOUBLE PLUS calculator No.10731
・左利きの本だなぁ その6 お楽しみ編―梅田香子『勝利投手』
  河出文庫/河出書房新社―≪日米プロ野球女性サウスポー対決その一≫
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats―
  右側の席から/左側の席から/左利き用品メーカーより

241116-ll8

5/ 『ひだりぐみ通信』「第10号―ウェンガー/
レフトハンダー・ポケット・ナイフ 紹介号―」発行

19965-hidarigumituusin-no10-wen_20250516171601

(1996.6)『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾 (被)▲ (容)▼
――加賀恭一郎シリーズ。一部右使い左利きの妹の自殺偽装の殺人事件。
 警察官の兄が割り出した容疑者は…。容疑者も犯人も左利き?
『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾 講談社ノベルス 1996/6/1
(Amazonで見る)

『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾 講談社文庫‎ 1999/5/14
(Amazonで見る)

2005-dotiraka-dsc06628-2

『どちらかが彼女を殺した 新装版』東野圭吾 講談社文庫 2023/6/15
(Amazonで見る)

 

夏/『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ(LL)』第9号
LL91996(平成8)年 夏号
・前説 The Compliments of the Summer Issue―
  工作から始めよう、豊かな体験! ≪ありがとう、手≫
夏休み<アイデア>紙工作特集―
その①ゴム動力紙パック外輪船/その②風力帆掛け段ボール・カー
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  あなたの刃はどっち向き? 左利き用ハサミ紹介
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その9 Left-handed tools & goods―サウスポー・カッターナイフ/
  田島製作所 LC504
・左利きの本だなぁ その7 お楽しみ編―ロスワイラー
  『赤毛のサウスポー』集英社文庫/集英社―
  ≪日米プロ野球女性サウスポー対決その二≫
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats―左利き用品メーカーより

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8/ 『ひだりぐみ通信』「第11号―愛妻専科 左きき調理用品
 紹介号―」発行

19968-hidarigumituusin-no11-aisaisenka

(参照)・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第686号(Vol.21 no.9/No.686) 2025/5/17
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)
LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2025.5.17
週刊ヒッキイ第686号-
『左組通信』復活計画[37]『LL』復刻(10)LL10 1996年秋号(後)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/05/post-e40654.html

 

8/ 朝日新聞記者から左利きの記事のための電話取材を受ける
――左利き用品のメーカーさんから新聞を出している人がいると聞いた、と
O記者から。一人で一匹狼的に手作りで小冊子を作っているだけ、と話すと
それきり二度と電話もなく、記事が出たのかも知らずにいたところ、後日、
関東在住の左利き仲間の人が「このような新聞記事が出ていた」とコピーを
送ってきてくださり、初めてこの記事のための取材だったのだと気付き、
これならもっと宣伝しておくのだった、と悔やむ。

9/10 朝日新聞朝刊〈生活〉面「左利きにもっと愛を」(大阪版)
――左利きの不便を取り上げた新聞記事。左利き調理用品も紹介。私も
 メーカーさんからの紹介で 電話取材を受けたのだが、忙しくなると
 困るのでお断りした。

 

(参照)・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第688号(Vol.21 no.11/No.688) 2025/6/21
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [38]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(11)
LL11 1997(平成9)年 夏号 終刊号」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2025.6.21
週刊ヒッキイ第688号
-『左組通信』復活計画[38]『LL』復刻(11)LL11 1996年秋号(後)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/06/post-0c787f.html

 

9/ ネット上の左利きの会Japan Southpaw club(JSC)発足。

 

(1996) (アメリカ)(探)『死因』パトリシア・コーンウェル
 [検屍官ケイ・スカーペッタ]
<左利きの探偵>(スカーペッタが左利きと分かるシーンがある作品)
――狭いことで有名だった超音速機コンコルドの機内でのシーン。
 原書名"Cause of Death"
『死因』パトリシア・コーンウェル 相原真理子/訳 講談社文庫
1996/12/1
(Amazonで見る)

《(コンコルド機内で)「それじゃ、その問題は解決したわけだな」
 アスパラをつっついている私のほうへ身を寄せながら、ウェズリーが
 話を再開した。/「その問題って?」私はフォークを置いた。
 左利きなので、彼が邪魔なのだ。/「わかってるだろう。私たちが
 すべきことと、してはいけないことだ」ウェズリーの腕が私の胸に
 ふれた。...》pp.394-395

(参考)『検屍官研究』和田 奈津子 (編集) ワニブックス (1999/12/1)
(Amazonで見る)

 

秋/『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ(LL)』第10号
LL10 1996(平成8)年 秋号
・前説 The Compliments of the Fall Issue―
  特集“左利きを科学する”① 
特集“左利きを科学する”①―あなたの<左利き度>をしらべてみよう
・左利きの本だなぁ その8 お勉強編―前原勝也
 『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・利き耳…』
  講談社ブルーバックス
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その10 いつもポケットにウェンガー―WENGERスイス・アーミー・
  ナイフ/レフトハンダー・シリーズ
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats―
  左利き用品メーカーより/右側の席から
・左利きについて知るための本

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(参照)・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第684号(Vol.21 no.7/No.684) 2025/4/19
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [36]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(9)
LL10 1996(平成8)年 秋号(前半)」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2025.4.19
週刊ヒッキイ第684号-告知-
『左組通信』復活計画[36]『LL』復刻(9)LL10 1996年秋号(前)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/04/post-ee5368.html

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第686号(Vol.21 no.9/No.686) 2025/5/17
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [37]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(10)
LL10 1996(平成8)年 秋号(後半)」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2025.5.17
週刊ヒッキイ第686号-
『左組通信』復活計画[37]『LL』復刻(10)LL10 1996年秋号(後)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/05/post-e40654.html

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [40]レフティやすおの左利き自分史年表(6)1995(平成7)7.-1996(平成8)―紙の時代(3)『LL(Lefties' life)』」と題して、今回は全紹介です。

今回は1995年の後半から1996年までの一年半となりました。
本文にも書いていますように、「年表」と言いながら、記入事項が多いこともあり「月表」のようになっています。

今後はどうなるのかわかりませんが、記入事項が増えるに付け、年表の進み方も遅々として進まないという事になりそうです。
しかしながら、後年のお役に立つように、できうる限りの事項について書き込んでおきたいという気持ちがあります。
そういう次第ですので、ご容赦を!

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

 

『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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2025.10.15

私の読書論-わが友フランシス二代目『覚悟』フェリックス・フランシス-楽しい読書397号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書
(まぐまぐ!) 

【別冊 編集後記】

 

2025(令和7)年10月15日号(vol.18 no.17/No.397)
「私の読書論-わが友フランシス二代目
『覚悟』フェリックス・フランシス 文春文庫」

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2025(令和7)年10月15日号(vol.18 no.17/No.397)
「私の読書論-わが友フランシス二代目
『覚悟』フェリックス・フランシス 文春文庫」
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 今回は、五月に発売されました文春文庫の海外ミステリ、
 フェリックス・フランシスの『覚悟』を紹介します。

 作者フェリックス・フランシスは、父親があの偉大なミステリ作家
 ディック・フランシスで、その次男に当たります。
 すなわち二代目です。

 父親の晩年、父親と共著者として、その名を刻んできました。
 父親の死後は、その後継者として、同様の<競馬ミステリ>の作者と
 して、10年を超えるキャリアを積み上げています。

 彼のX(twitter)によりますと、

 "Author of the 'Dick Francis' novels"
 (<ディック・フランシス(長編)小説>の作家)とあります。
 要するに「ディック・フランシス風の小説」の書き手、
 ということでしょうか。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 私の読書論 -

  ~ わが友フランシス二代目フェリックス ~

  <競馬ミステリ>『覚悟』フェリックス・フランシス 文春文庫

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

●<新・競馬シリーズ>

文春文庫5月の新刊として登場したこの作品は、帯に曰く――

《伝説の名シリーズ、復活。
 ミステリ史に残る『利腕』『大穴』を嗣ぐ、誇り高き不屈の物語。
 英国ヒーローの正統。》

『覚悟』フェリックス・フランシス/著 加賀山 卓朗/訳
文春文庫 フ 37-1 2025/5/8
(Amazonで見る) 

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がそれ。

 

(文藝春秋プレスリリース)息子・フェリックス・フランシス『覚悟』
 伝説のディック・フランシス〈競馬シリーズ〉が奇跡の再起動!
 息子・フェリックス・フランシス『覚悟』、
 緑の背表紙で5月8日文春文庫で刊行

(本の話)
2025.05.16 書評
 「英国ヒーローの正統、伝説の名シリーズ復活。」加賀山 卓朗

 

前説でも書きましたように、
英国推理作家協会(CWA)ゴールド・ダガー賞や
アメリカ探偵作家クラブ(MWA)最優秀長編賞を受賞した『利腕』、
アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞を受賞した『罰金』『敵手』、
またミステリ作家としての功績を称える、
CWAダイヤモンド・ダガー賞やMWA巨匠賞を受賞している
「あの偉大なミステリ作家ディック・フランシス」の息子さんです。

そして、協力者であった妻を亡くして以来、筆を折っていたディックの
晩年において父親の復活を助け、共著者の地位を得たのでした。
さらに父親の死後は、〈'Dick Francis' novels〉の後継者と
して、<新・競馬シリーズ>を継承し続けたのです。

彼の単独名義の著書『強襲』は、2011年の本国版に遅れること4年、
2015年に邦訳がなりました。
それまで彼らの邦訳作品を出版していた早川書房の装丁に似せた体裁で、
同じ翻訳者の手によって出版されたのでした。

それ以来、10年――。
ここでついに、この<新・競馬シリーズ>が日本でも翻訳され、
異なる版元である文春文庫でありながら、
かつてのハヤカワミステリ文庫の装丁にそっくりなカタチで、
読めるようになりました。

 

 ●名キャラクター、シッド・ハレー登場

次に、出版社の紹介文を掲げておきます。

 《落馬事故で左手を失った元騎手シッド・ハレー。
  その不屈の意志で競馬界最高の調査員として名を馳せた彼は、
  6年前に命がけの仕事から引退し、
  現在は妻子とともに平穏な生活を送っていた。
  だが競馬界の重鎮スチュアート卿から不正の疑惑のあるレースが
  頻発しているという相談を受ける。
  調査依頼を固辞したハレーだったが、翌朝、卿は変死を遂げた。
  自分は依頼を断るべきではなかったのか――?
  スチュワート卿の遺志を継ぎ、
  ハレーは卑劣な敵のひそむ闇に敢然と踏む込んでゆく。
  だが調査を阻止しようとする敵の魔手は彼の身辺に及ぶ……。
  名作『大穴』『利腕』『敵手』『再起』に登場した名キャラクター、
  シッド・ハレー登場。
  英国スリラーを代表する伝説の名作、〈競馬シリーズ〉。
  日本でも著名人や作家はじめ多くの読者に愛された
  ディック・フランシスの名シリーズが、
  長らく執筆の協力を務めてきたフェリックス・フランシスの手で
  よみがえる。〈新・競馬シリーズ〉、ここに始動。》

 

あの英雄<シッド・ハレー>が主人公、探偵役となる一編で、
フェリックス単独の第3作となります。

シッド・ハレーは、英国のテレビドラマの主人公としても知られます。
早川版のポケミス『大穴』(原著1965)で初登場しました。
落馬事故で左手に重症を負い引退した元騎手で、調査員となった男。

ディック・フランシスは、毎作異なる主人公を立てる人でしたが、
このシッドだけは、その後も『利腕』(先ほども紹介しましたように、
この作品で、イギリスとアメリカのミステリ大賞をダブル受賞。1979)、
『敵手』(1995)、そして復活作『再起』(2006、父子共著の始まり
ともいわれています)と続いています。

父ディックのお気に入りのキャラクターだったのでしょうか、
要所でこの人物を起用していました。

そのキャラクターが息子さんによって復活したのが、この作品です。

 

 ●良くも悪くもフランシス印!?

私もこの登場人物を起用した意欲作に大いに興味をそそられて、
買うことにしました。

以前『強襲』を、図書館で見つけて読んだときに感じたのは、
非情によく父親の諸作を研究して、『強襲』の場合は、
彼の単独作としての「処女作」でもありましたので、父親の処女作
『本命』を思い出させるような印象があった、と記憶しています。

そして、この印象的なヒーローの登場となる、彼自身の単独作としては、
三作目という本書『覚悟』です。

お父さんの一連の名作群と比べると、やはりもう一つ、という印象は
否めませんでした。
が、これは高望みというものかも知れません。

お父さんなら、もっと極度に困難な状況を設定し、
そこからの脱出劇を見せてくれたかも、というのは。

 

 ●二冊目の<新・競馬シリーズ>

47歳のなった元騎手で元調査員のシッドは、
英国競馬統括機構会長サー・リチャードから調査を依頼されます。

 《「できません」私が言った。「絶対に」/
  「だが、シッド、やるしかない」/「どうしてです?」/
  「健全なレースのために」/よく使われる戦術であった。》p.7

しかし、今の彼は再婚して一人の娘を持つ親として、
危険を伴う仕事から7年前に引退し、
デスクワークで金融取引を生業としています。
ところが、そのサー・リチャードが一見自殺に見える形で死亡します。
シッドが相談した、シッドの前妻の父親であるチャールズは、
彼が自殺するような人間ではないことを知っており、
サー・リチャードの疑惑が現実のことである可能性を否定できない、
と考え、彼に調査を進めることを進言します。

関係者に話を聞く内に、彼に調査を辞めるように、という脅迫の電話が
かかってきます。
警察に通報すると、主任警部が彼に言います。

 《「シッド・ハレーに何かしろと言えば言うほど、彼は反対のことを
  するとね」ニヤリとした。「脅して遠ざけようとすればするほど、
  執拗に迫ってくる」》p.69

こうしてシッドは事件に巻き込まれていきます。

 《チャールズが言ったことは正しかったのかもしれない。
  [一度探偵になった者は、ずっと探偵だ]([]内傍点)》p.205

よくできたストーリーです。
手慣れたという言葉がピッタリかも知れません。

 

 ●<新・競馬シリーズ>始動

この時点では三作目ですが、巻末のリストを見ますと、
コロナ禍の2020年をのぞいて、2011年の『強襲』から
2023年まで毎年、都合13作の新作を発表しています。

このうち、この『覚悟』を含めた三作が、今回文春文庫から
<新・競馬シリーズ>として刊行される予定となっています。

本書の帯の裏の方に、

 《競馬シリーズを心から愛する翻訳者と編集者が全力でお届けする
  「新・競馬シリーズ」。続々刊行!》

とあり、

 《『虎口(仮)』厩舎放火事件に挑む 危機管理専門の若き弁護士
   フォスター。(2025年秋予定)
  『勝機(仮)』シッド・ハレー再登場。 新・競馬シリーズ中、
   話題の傑作。(2026年春予定)》

と、二作が示されています。
これらの売上次第では、次の予定も上がってくるかも知れません。

 

まず、この新作に期待! です。

なんと、今調べてみますと、
2025年秋の予定だった、2018年作品の“Crisis”が、
『虎口』と仮題のまま、10月の新刊として出ていました。

 ・・・

『虎口』フェリックス・フランシス/著 加賀山 卓朗/訳
文春文庫 2025/10/7
(Amazonで見る) 

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 ●わが友フランシス二代目、フェリックス

「わが友フランシス二代目」についてふれておきましょう。
実は、これ「わが友フランシス」は、青木雨彦さん
(1932年11月17日‐1991年3月2日)という著述家・コラムニストの
『ミステリマガジン』に連載されていたミステリコラム「夜間飛行」の
ディック・フランシスについてのミステリ・エッセイの題名でした。

ダニエル・ロークという『興奮』(日本で最初に翻訳されたディック・
フランシス作品)の主人公に「魅かれた」といい、

 《おおげさにいえば、そこに、私の友人と呼ぶにふさわしい男を
  発見した。》

というのです。
(『敵手』のハヤカワミステリ文庫版の巻末にある、茶木則雄さんの
「解説」の冒頭に引用されています。)

私も主人公に似ているとはいいませんが、このフランシスの二代目、
1953年生まれのフェリックスさんとはほぼ同年代。

共著時代の訳書に掲載されている写真は、まだまだ若く、
それが今では孫に本書を捧げています、そういうお年頃なのです。

ということで、ちょっと似ているかも、と思いつつ、
長年、お父さんの作品を読んできた者として、
その息子さんも「わが友」といえそうな人物、という気になっています。

まあ、それだけのお話ですけれど、ね。

 

 ●復活を言祝ぐ

ちなみに書いておきますと、
私がディック・フランシスのファンになったのは、評判を聞いて
1972年に『興奮』、そして『大穴』を続けて読んだとき。
いっぺんにやられてしまいました。
それ以来、ずっと追いかけてきました。
39作目『勝利』(原著2000)で、途切れたときは、
年齢的にも致し方ないか、と思ったものの、非常に残念でした。
それだけに復活したときの喜びは、
言葉では言い表しがたいものがありました。

そして死後、日本では翻訳が途切れていた間も、
息子さんフェリックスは単独で書き続けていたことを知ったときの
驚きもまた、大きな驚きでした。

残念ながら、一作のみの紹介で終わってしましましたが、
このたび一部の作品が再度<新・競馬シリーズ>として登場したことは、
なにものにも代えがたい喜びです。

これからも「これは」という作品があれば、
ぜひ紹介していただきたいものです。

 

*参照:
『左利きライフ研究家(本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
2015.9.23
“わが友フランシス”息子フェリックス単独作『強襲』を読む

 

・『夜間飛行 ミステリについての独断と偏見』青木雨彦/著 早川書房
1976
(Amazonで見る) 

 

(旧シリーズを概観するガイドブック)
『ミステリマガジン 二〇一〇年六月号
 特集ディック・フランシスの弔祭』(早川書房刊)――追悼特集号

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(画像:『ミステリマガジン 二〇一〇年六月号 特集ディック・フランシスの弔祭』表紙、特集目次)

 

【ディック・フランシス作品から<シッド・ハレー>もの】
(筆者の所蔵する本)

『大穴』菊池光/訳 ハヤカワミステリ 1967
・ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-2 競馬シリーズ 1976/4/20
(Amazonで見る) 

『利腕』菊池光/訳 早川書房 1981
・ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-18 競馬シリーズ 1985/8/1
(Amazonで見る) 

『敵手』ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-35 競馬シリーズ 2000/8/1
(Amazonで見る) 

『再起』北野 寿美枝 ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-41) 文庫 – 2008/11/7
(Amazonで見る) 

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(画像:<シッド・ハレー>もの(筆者所蔵本)=ディック・フランシス著『大穴』『利腕』『敵手』『再起』、フェリックス・フランシス著『覚悟』)

 

【フェリックス・フランシス作品】
『強襲』(新・競馬シリーズ) フェリックス・フランシス/著
北野寿美枝/訳 イースト・プレス 2015/1/24
http://www.amazon.co.jp/dp/4781612784/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
(Amazonで見る) https://amzn.to/4nE9LT3

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(画像:フェリックス・フランシス/著、新・競馬シリーズ『強襲』『覚悟』『虎口』)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論-わが友フランシス二代目『覚悟』フェリックス・フランシス 文春文庫」と題して、今回も全文転載紹介です。

日本では、2015年の『強襲』以来の<新・競馬シリーズ>の翻訳本です。
ディック・フランシスの死後も、期間をおかず、二代目のフェリックス・フランシスさんが書き継いできたのが、「'Dick Francis' novels」でした。
「ディック・フランシス風の小説」とでもいうのでしょうか、それともそのものズバリの「ディック・フランシスの小説」なのでしょうか。
すでに十三作発表しています。
まだ二作しか読んでいませんが、安定の仕上がりです。
早くも、新刊が出ています。手に入れました。
次作の予定も上がっています。
今度はまた<シッド・ハレー>ものとのこと。
大いに期待しています。

装丁を似せているのが、違う版元ながらファンを思う気持ちが伝わってきます。
早川さんも<シッド・ハレー>ものだけでも重版してもらえないものでしょうか。
新しいファンのためにも。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
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2025.10.04

親御さんへ―特別編:モノ・マガジン(特集)左利き道具指南-週刊ヒッキイ第695号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)

【最新号】

第695号(Vol.21 no.16/No.695) 2025/10/4
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 特別編:モノ・マガジン (2025年8-16.9-2合併号)
【特集】右利きにはわからない !? 左利き道具指南」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第695号(Vol.21 no.16/No.695) 2025/10/4
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 特別編:モノ・マガジン (2025年8-16.9-2合併号)
【特集】右利きにはわからない !? 左利き道具指南」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回も、前号に引き続き、
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―」の特別編
 として、8月1日に発売されました、
 『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス)2025年8-16.9-2合併号
 の<左利き特集>を、遅ればせながら取り上げます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ
   ―特別編―

  ◆ 「右利きファシズム」に抗う! ◆

   モノ・マガジン (2025年8-16.9-2合併号)
   【特集】右利きにはわからない !? 左利き道具指南
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 ●『モノ・マガジン』左利き特集

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『モノ・マガジン: 恐竜大復活 (2025年8-16.9-2合併号)』
ワールド・フオト・プレス (2025/8/1)

【特集】右利きにはわからない !? 左利き道具指南

我々の生活空間は、ほとんどが「右利き仕様」。
一方、左利き用はというと……
時代とともに偏見はなくなってきているものの、
まだまだサイレントストレスを感じている人も多い。
そこでモノ・マガジンは身近なマイノリティーである左利きを応援する。
左利き用の便利グッズからユニバーサルデザインまで
たっぷりと集めたぞ。

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出版社 ‏ : ‎ ワールド・フオト・プレス (2025/8/1)
発売日 ‏ : ‎ 2025/8/1

 

――という内容で、カラーで全12ページ。
まず見開き2ページで
p.80-81「日本左利き協会 大路直哉さんインタビュー」。

次のページから左利き用品の紹介が始まります。

p.82「左利き用のミニ財布」、p.83「左利き文房具カタログ」、
p.84「左ききの道具店セレクション」、p.85「左利き料理道具カタログ」、
p.86「左利き雑学事典」、p.87「左利き生活雑貨スポーツカタログ」、
p.88「左利きミュージシャンの憂鬱」、p.89「左利きギターカタログ」、
pp.90-91「左利き・右利きを問わない ユニバーサルデザイン文房具」。

 ・・・

メインの特集は、「恐竜大復活」とありますように、
『ジュラシック・パーク』の新作映画に関するものです。

これは本屋さんでチラッと見て、そうか、と思い、題字の下にあった
左利きの特集の文字を見落としました。

で、まったく知らなかったのですね。

前号前々号で紹介しました、TBSラジオ「人権TODAY」のことを
日本左利き協会のサイトで見てみようと思い、のぞいてみると、
この特集号のことが紹介されていました。

ええ~っと思い、慌てて調べてみますと、もう発売期間を過ぎ、
次号が出ていました。
仕方なく、サイトに出ていたAmazonで購入。

お高くなりましたが、<左利きライフ研究家>という看板を上げている
手前、致し方ないところでしょう。

 

 ●p.80-81「日本左利き協会 大路直哉さんインタビュー」

今回の特集の冒頭、大路さんへの取材による記事が登場します。

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大路さんの記事に関していいますと、8月30日の放送されました、
TBSラジオ「人権TODAY」の日本左利き協会の大路直哉さんの回の、
サイト版の内容とほぼ同じ、といっていいものでした。

同じ時期に同じように取材を受けていれば、
当然ご自分の思いは同じなわけで、
その回答の内容も同じになるのは無理もないところです。

例の著書

『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路直哉
 PHP新書1367 2023/9/16 
――「第六章「右利き社会」から「左利きにやさしい社会」づくりへ」
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<右利きと左利きが共感する社会へ>という結論が語られています。

このへんは、過去二回のTBSラジオ「人権TODAY」の方を参照ください。

 

 ●左利き用の商品カタログ

以下のページからの商品カタログに関して軽く紹介しておきましょう。

p.82「左利き用のミニ財布」

革小物メーカー「ATELIER MOKU アトリエMOKU」
https://moku.info/

の左利きのための左利き仕様の財布――ファンからの左利き仕様の
リクエストが多く制作することになった、といいます。
「小さく薄い財布SAKU」の左利き仕様は、札入れとコインケースの
向きが反転していて、左手で取り出しやすい。
新作を出す度に「左利きはないのか?」という問い合わせがあり、
現在、定番品は、原則、左利き用が最初から用意されている、とのこと。

p.83「左利き文房具カタログ」

・書き心地を追求したドイツ生まれの万年筆――シュナイダー
 「TOMO」「RAY」
・定番カッターナイフのレフティモデル――オルファ
 「カッターナイフ レフティL型」
・左利きに嬉しい鉛筆削り――ブルネン「鉛筆削り「Office」左手用」
・利き手を問わずに軽い切れ味を実現!――コクヨ
 「ハサミ<サクサ>スリム・グルーレス刃」
・左利きのメモ書きとして使えるノート――ダイアログノート
 「左ききのダイアログノート(3冊セット)」
・左利きのためのファースト万年筆――ペリカン
 「万年筆ぺりカーノジュニア左利き用」

p.84「左ききの道具店 セレクション」――2018年8月13日にオープン
 したオンラインストア。不定期営業の「ときどきストア」も。
 左利き用のみならず「左右どちらでも使いやすい道具」「使い方によっ
 ては左利きに使いやすい道具」も。オリジナルブランド「HIDARI」も。
・分解して使える左手用キッチンハサミ
・カレースプーン「カレー賢人ヒダリー」
・財布「山藤(やまとう)マルチパーパス」
・左ききの扇子「Butterfly」・万年筆「Base」左手用
・左ききの道具店 左ききの手帳

p.85「左利き料理道具カタログ」
・調理が一層はかどる左右兼用アイテム――一藤金属
 「すくいやすく注ぎやすいレードル」
・至高の皮むき器の左手用モデル――飯田屋「エバーピーラー/左手用」
・スマートでコンフォータブルなバターナイフ――燕振興工業
 「バターナイフ」
・反時計回りに回すソムリエナイフ――プルテックス
 「ソムリエナイフ プルパロット/左手用」
・専用スプーンを使って毎日の習慣を盛り上げる――ミヨシ
 「ヨーグルトスプーンSNOPPO/左手用」
・切れ味と美しさを備えた左利き用の一本――貝印
 「旬Classic三徳 左利き用175mm」

p.86「左利き雑学事典」
・なぜ左利きは生まれるのか? いつ利き手は確立する?
・日本は10人にひとりが左利きその多くは「クロスドミナンス」
・「左利きの日」は、1年に2回ある!?
・天才肌が多い!? 左利きの偉人、才人たち
・日本の文献に書かれた最も古い左利きの人物とは?
・ホッキョクグマは、みんな左利き!?
・左利きだった坂本龍一のソロアルバムのタイトルは?
・左手を上げた招き猫は、人やお客を招く

「左利きの日」を取り上げ、
8月13日「国際左利きの日」の始まりについて、
 《8月13日は「国際左利きの日」として1976年にアメリカに存在した
  「Lefthanders International」が最初に制定した。》
と正しく記載しています。

そもそも私がこの「Lefthandaers International」について知ったのは、
↓の『モノマガジン』の左利き特集号だったのですから当然といえます。

『モノ・マガジン』1991年4月2日号(NO.188)
  <特集/左を制するモノは時代を制す!>「左利きの商品学」

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*参照:
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
『左利きライフ研究家(元本屋の兄ちゃん)レフティやすおのお茶でっせ』
2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html

・『左利きライフ研究家~レフティやすおのお茶でっせ』2025.8.13
2025年8月13日は50回目の<国際左利きの日>INTERNATIONAL LEFTHANDERS
DAY
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2025/08/post-7486e1.html

 

p.87「左利き生活雑貨スポーツカタログ」
・左利きがスマートにお茶を注げる急須――白山陶器「茶和急須/左手」
・ミズノ「Mizuno Pro S-3 アイアン/左用」
・ジャストフィットなグラブで気分もプレイも上がる――ミズノ
 「オーダーグラブ」
・左手用のハサミで快適な剪定を!――坂源「庭園用ハサミ/左手用」
・飛距離アップにレフティ御用達ドライバー――ミズノ
 「ST-Z 230 ドライバー/左用」
・葉っぱのカタチにはワケがある!?――Kikkerland
 「どちらの手でも見やすい葉っぱのトランプ」

p.88「左利きミュージシャンの憂鬱」
・粉砕か、共存か!?左利きと楽器の関係――「モノマガジン」で連載を
 持つ、左利き右弾きの髙木大地さんによる、左利きと楽器の話。
「右利きファシズム」として、ピアノは右利き用――
 《ピアノと同じ鍵盤を持つシンセサイザーでは、左右を逆にする設定も
  可能で、左利きのためにカスタマイズすることもできる。》
ギターは《レフティも充実》。故PANTAさんは「右利きファシズム」
に抗っていた。自分はどっぷり浸かっていたことに気付いた、と。

p.89「左利きギターカタログ」
・左利きの天才ギタリストのシグネチャーモデル――エピフォン
 「Jimi Hendrix Love Drops Flying V Left-Hand」
・グランロックの荒々しさを蘇らせるサウンドが魅力――フェンダー
 「Kurt Cobain Jaguar Left-Hand」
・オールマイティに使える定番アコギの左利きモデル――ヤマハ「FG820L」
・フェンダーの美学と日本の職人魂の融合させた一本――フェンダー
 「Made in Japan Traditional 60s Stratocaster Left-Hand」

pp.90-91「左利き・右利きを問わない ユニバーサルデザイン文房具」
「誰もが快適に使える優しい文房具を目指して」 
 《利き手に関係なく、誰もが使いやすく日常生活における効率性や
  快適性が向上する文房具を集めてみた。》
 《普段何気なく使っている文房具、しかしこれらは圧倒的に人口の多い
  “右利き”利用を基本として作られている。ただ世の中には当然、
  左利きの人もいる訳で、ストレスを抱きながら使用していることも
  多い。そこでユニバーサルデザイン文房具の登場となるワケである。》
 《左利き右利き共生の答えがここにある。文房具を新たに購入する際は
  一度、その使い心地を試してみて欲しい。》
・左利きも右利きも納得の便利な定規――HIDARI「15cm定規」
・利き手を問わず快適に使える――HIDARI「ユニバーサルメジャー」
・右手でも左手でも、スマートな使用感が○――左ききの道具店
 「ユニバーサルクリアファイル」
・安心、安全に配慮したカバー付きの優しいハサミ――HARAC「カスタ」
・落としても安心、抜くのも簡単な優しい画鋲――コクヨ
 「プニョプニョピン」
・使いやすくてエコな針なしステープラー――コクヨ「ハリナックス」
・切る、折る、交換する際に安心感をプラス――コクヨ「フレーヌ」
・切り抜きをきれいに楽しく実現!――HARAC「ライン」
・握っても、置いても使えるハンドルデザイン――HARAC「ネイルプラス」

 

 ●ちょっとした工夫で……

今回の<左利き特集>を見て思うところを書いてみます。

冒頭の大路さんのお話から始まり、財布、文房具、<左ききの道具店>の
セレクション、料理道具、左利き雑学事典をはさんで、生活雑貨、
左利きミュージシャンのお話、唯一ともいうべき左利き楽器のギターの
カタログ、ユニバーサルデザイン文房具まで。

左利き用品に関して、ハサミのようなある一部の商品などは、
100円ショップでも手に入る、ともいわれます。

しかし、実態はまだまだ。
日常的に気軽に買い物ができるはずのコンビニでの普及率を見てみれば、
よくわかると思います。
ゼロに等しいのでは?(最近はあまり行かないのでよく知りませんが。)

ユニバーサル・デザインに関しても、左右性に関連する商品についての
一般の人の理解は十分ではないようです。
ちょっとした工夫で左右両用できる用になる商品というものが、
いくらでもあると思われます。
例としては、<左ききの道具店>さんのクリアファイルがあります。
切り欠きを両面にずらして入れているだけのことです。

もちろん、これだけのことでも手間は倍になるのかも知れませんけれど。

そういうように、
ユニバーサルデザインの可能性はもっと追求されるべきでしょう。

 

 ●ユーザーの使い方も十人十色

左利き専用品に関しましても、実際に使う人は、人色々です。

ユーザーの数でいえば、圧倒的に右利きの人が多いわけですが、
右利きの人がみんな、右手使いするかといいますと、
必ずしもそうとは言い切れません。
状況により、右手で使う時もあれば、左手で使うときもある、
というのが本当のところです。

私が左利きおよび左利き用品の使用に目覚めたきっかけとなった、
左手用カメラ「京セラSAMURAI Z-L/Z2-L」でも、
右利きの人が記録用に買った
(右手で作業をしながらでも左手のカメラで記録できる)、
という話をネットで知ったものです。

また、あれは右手でこれは左手、といった。
いわゆるクロスドミナンス的な使い方をする人もいます。

左利きの人が「右利き社会」になじむ過程で、右手使いになる、
という話はよく聞きますが、
右利きの人でも左手使いを強いられる場面もあります。
ケガをした場合などその例です。

故長嶋茂雄さんもそうでしたが、右半身マヒになることもあります。

半身麻痺になった場合、左利きの人ならもし利き手が使えなくなっても、
右利き用の商品はいくらでもありますから、
不得意の手でもなんとかなるかも知れません。

一方、右利きの人の場合は、利き手が使えなくなると、
代わりに非利き手である左手を使うことになります。
その時、現状のような世界では、左手用を探す必要があります。

昔のエッセイになりますが、岩井礼子さんの「はさみ」がそれです。

《脳梗塞で右半身マヒになった母が使っている左利きのはさみから
 昔の器用だった母の思い出を語る。》

「お父さん」が必死になって探してきたのがこの左手用のハサミでした。
右手で使った娘さんがこんなに切れないハサミを使っているのか、
というと、それは左用よ、左手で使うのよ、とお母さん。
改めて母の不自由さを思う、というお話でした。

*参照:
『最高の贈り物―’98年版ベスト・エッセイ集』日本エッセイストクラブ
/編 文春文庫 2001/8/1

 

(Amazonで見る)

(「文と友だち」同人・主婦)『随筆春秋』第8号

 

「多様性」がいわれる世の中ですが、
人は一様ではないのですから、誰もが取り残されることのない、
そういう世界に変えていきたいものです。

左利きも忘れずにいて欲しいものです。

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本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 特別編:モノ・マガジン (2025年8-16.9-2合併号)【特集】右利きにはわからない !? 左利き道具指南」と題して、今回は全紹介です。

『モノ・マガジン』の<左利き特集号>は、私自身3度目の紹介? です。

最初の出会いは、本文にも書いていますように、あの衝撃の大特集号でした。
あれを見て「左利き(用品)に目覚めた」という人は多いと思います。
非常に優れた特集でした。
まさに<総力特集>!? という感がありました。
二度目は、私のブログ(『レフティやすおのお茶でっせ』:現『左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃんレフティやすおのお茶でっせ』)を紹介していただいたものでした。
そして、三度目がこれ。
ずっと気にしてときどきはこの雑誌を見ていたのですが、今回は見つけられませんでした。
最近は本屋さんもすっかり減ってしまい、駅向こうまで行かないと行けない状況です。
近くのわが市の図書館にも置いているのですが、この頃は、いたずらがあるのか、開架の棚に最新号は置いていなくて、気軽に見ることができません。
難儀な時代になりました。

『モノ・マガジン』さんがかわらず、左利きをひいきにしていただけるのは、嬉しいかぎりです。
これからも定期的によろしく!

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』

 

『レフティやすおのお茶でっせ』
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおブログ【左利きライフ研究家:元本屋の兄ちゃん】』に転載しています。
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