<親御さんへ>特別編―左右共存お箸持ち方絵本『おはしをじょうずにもてるかな』-週刊ヒッキイ第689号
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!) 【最新号の告知】
第689号(Vol.21 no.12/No.689) 2025/7/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―特別編―
右利きも左利きも共存のお箸持ち方絵本
『おはしを じょうずに もてるかな』」
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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン
右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第689号(Vol.21 no.12/No.689) 2025/7/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―特別編―
右利きも左利きも共存のお箸持ち方絵本
『おはしを じょうずに もてるかな』」
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今回は、<左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
楽器における左利きの世界>をお休みして、「特別編」として、
お箸の持ち方絵本を紹介しましょう。
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左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―特別編―
◆ 右利きも左利きも共存のお箸持ち方絵本 ◆
『おはしを じょうずに もてるかな』深見春夫/作・絵 岩崎書店
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●お箸の持ち方を教える絵本
タイトル通り、お箸の持ち方を教える絵本です。
うまくお箸が使えない<みぎてちゃん>に、
<ひだりてちゃん>が、お箸の持ち方を教える、という内容の絵本です。
昨年の11月に出版された本でした。
まったく知らなかったのですが、最近ちょっと左利きの検索をしていて、
たまたま見つけました。
最近はあまりこういう検索をやってませんでした。
「必要な情報は必要とするときに手に入る」といった信念があり、
実際にけっこううまくいくのですね。
でもやっぱりそれは、絶え間ない努力の結果であって、
偶然手に入る、という生やさしいものでありません。
・・・
「できるかな絵本」シリーズ
『おはしを じょうずに もてるかな』深見春夫 作・絵 岩崎書店
2024/11/18
(Amazonで見る)
おはしを じょうずに もてるかな
https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b10092368.html
《左ききも大丈夫!箸の持ち方がわかる絵本》
《おはしの正しい持ち方をわかりやすく、ていねいに伝えます。/
右きき、左きき、どちらでもおはしをじょうずに持てるようになる、
画期的な絵本!》
動画で見る
https://youtu.be/oBtAd5Z80nQ?list=TLGGGhiOhBF6smsyMDA2MjAyNQ
中面を見る
https://www.iwasakishoten.co.jp/news/n106633.html
絵本ですので、内容に関しましてはそのまま画像を出すのは、
著作権的にどうかよくわかりませんので、書影はともかく、
ブログにもサイトからの画像のみを勝手に転載紹介しよう、と思います。
・・・
本文の引用ではなく、
私流に言葉を換えて内容をおさらいしますと――
お箸の使い方がわからない<みぎてちゃん>が、
自己流でご飯を食べようとします。
お箸を突き立てようとしたり、色々挑戦します。
そのたびに食べられる方のご飯やおかずのハンバーグたちが、
意地悪をします。
そんな持ち方で食べられたくはない、というわけです。
そこへ(お姉さんふう?の)<ひだりてちゃん>があらわれて、
意地悪しないでと、正しいお箸の持ち方を教えてあげるのです。
まずは、上のお箸を動かす練習です。
親指・人差し指・中指の三本指でつまむように一本のお箸を持ち、
お箸の先を上下に動かします。
次に、下のお箸を動かす練習です。
下の方に当たるお箸を一本、薬指の先の方にある、
第一関節と指先の間の横の方にのせるようにします。
薬指には、下から支えるように小指を添えます。
お箸の上の方を親指と人差し指の間で固定します。
こうして、上の一本目のお箸は三本指で、
下の二本目のお箸は薬指で動かします。
というように、お箸の持ち方を教える、という内容の絵本です。
●【絵本レビュー】から
3歳男の子と6歳女の子のママが読み聞かせてきた絵本を紹介する
「はむはむ絵本 ~2児のママがおすすめする絵本のご紹介~」
の
2025-01-15
【絵本レビュー】おはしをじょうずにもてるかな / 深見春夫
https://mama-ehon.hateblo.jp/entry/4265831311_1
によりますと、
《右利き、左利き両対応の配慮と、箸の持ち方の丁寧な解説/
この絵本の一番の特徴は、右利きと左利きの子ども、
両方に対応している点です。
多くの箸の持ち方に関する解説書は、
右利きを前提としたものが多い中、
この絵本は、左利きの子どもにも同じように分かりやすく、
正しい持ち方を教えてくれます。
これは、子どもたちの個性と可能性を尊重する姿勢の表れであり、
非常に重要な点だと考えます。
左利きの子どもが、箸の持ち方に苦労する場面を何度も
目撃してきた私にとって、この配慮は、感動的でさえありました。》
とありました。
その通りで、右利き・左利きの両対応の配慮がうれしい絵本です。
見る人の左側と右側にそれぞれのお箸を持つ手を配置して、
まったく対等の大きさで扱っています。
●従来の教本では
従来、こういった教本では、
右手例だけをのせてあることがほとんどでした。
()にくくって「右利きの場合」と注意書きがあればいい方でした。
例えば、岩波ジュニア新書の
『行儀作法の教科書』横山 験也/著 2010/08/21
(Amazonで見る)
「5章 食事 <(2)箸の扱い方>」において、
右利き用のお作法が示され、そのような表記がなされています。
そして、それは、「じゃあ、左利きの場合はどうすればいいの?」
に対する回答がないものでした。
左利きの場合は自分で考えるしかない、ということでしょう。
そのような場合、
たいていの左利きの人は「左右を入れ換えて解釈」したものです。
「右手」を「左手」に、「左手」を「右手」に、と。
たぶんこのような著書の場合、著者には適切な「解答」がない――
なぜなら左利きのための決まったルールが確立されていないので、
“現時点”でこれが「正解」といえる「答え」がないからでしょう。
●「左手箸」は「直したいお箸の持ち方」?
そして、かつては、ズバリ「左手箸」は「間違った持ち方の例」として
表現されることも多々ありました。
20年前に出版された、お箸の持ち方に関するお作法の教本
↓
『箸づかいに自信がつく本 美しい箸作法は和の心』
小倉朋子・監修(リヨン社 2005/12/1)
(Amazonで見る)
「第1章 箸づかいってそんなに大事?」の
<こんなお箸の持ち方していませんか?> で、
「直したいお箸の持ち方」として、
「平行型(スプーン型)」「交差箸」「つかみ箸」と並べて、
「左手箸」が紹介されています。
その説明は
《食卓のマナーや配置などは、
右手でお箸を持つことを前提に決められています。
お箸は右手で持てるように練習しましょう。》
というものです。
(画像:左手箸を「直したい持ち方」と紹介する 2005年刊
『箸づかいに自信がつく本 美しい箸作法は和の心』小倉朋子・監修)
*参照:『箸づかいに自信がつく本 美しい箸作法は和の心』の
「左手箸」についての筆者の意見
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
(レフティやすおの左組通信メールマガジン)』
・第42号(No.42) 2006.8.5 「左手で字を書くために(3)」
「左利き子育て一口メモ マナー本・作法本」
《悲しいけれど、これがひとつの現実です。
正しい箸使いは、必ず身に付けるべき技術です。
美しい箸使いもまた、身に付けておきたいものです。
しかし、正しい美しいという価値判断に、右手使いか左手使いかが
含まれるとは、私は考えていません。
左利きの何たるかを知らないがゆえの偏見にとらわれて、伝統を守
らんがために、人間としての本質を見落としてしまっている、とい
うところでしょう。》
・第555号(No.555) 2019/11/2
「GO!GO!GO!号―15年目の左利き事情[左手箸について]」
『レフティやすおのお茶でっせ』2019.11.2
GO!GO!GO!号―15年目の左利き事情[左手箸について]
左利きで生きるには週刊ヒッキイ555号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2019/11/post-af53c0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/1c41fb11890585350d2278a6599b451c
――日本左利き協会のリツイート
https://twitter.com/japan_lefthand/status/1187710343109201920
を紹介しながら、上記の筆者の意見を引用紹介し、日本左利き協会発起人
大路直哉さんの著書
『見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提言』大路直哉/著
三五館 1998/10
(Amazonで見る)
の意見や、
小笠原敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)氏のサイトにおける挨拶
http://www.ogasawararyu-reihou.com/message/index.html
筆者のブログ記事↓の一部など紹介しています。
『レフティやすおのお茶でっせ』2007.6.30
「横澤彪氏「国分太一くん、箸は右手で…」発言に思うこと」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2007/06/post_dade.html
●右利きにこだわる人は「伝統、伝統」というけれど……
伝統に関していいますと、
日本語表記の伝統は縦書きで、文章は右から左へ改行してゆくものです。
私の子供の頃は、ほとんどの教科書は縦書きでした。
横書きは、算数や理科、音楽の楽譜面ぐらいでした。
中学になって英語が横書きでした。
ところが、昨今の学校教科書は、国語以外はみな、
“西洋伝来”の横書きになっています。
国語の教科書だけは、伝統に則って縦書きです。
しかし、漢字の練習帳ではどうでしょうか?
大半の練習帳は縦書きで、ページは右から左へ進みます。
国語の伝統に則っています。
一方、ページ内では左から右へ展開する、
右手書きに都合のいい形にアレンジされています。
右手で書くときに、常にお手本の文字が見えるように左端にあり、
そこから順に左から右へ、なぞる枡、位置関係が分かる罫線の入った枡、
まったくの白紙の枡というように並んでいます。
日本語の伝統などどこへ行ったのやら……。
都合のいいときだけ「伝統、伝統」といいながら、
自分に都合の悪いときは、勝手に変えてしまう
「右利き偏重社会」の悪いところです。
●「同じ大きさ」という現実
絵本に戻りましょう。
左利きが少数派ではあるけれど、
ごく「普通の存在」となってきた時代ですので、
こういう本が出てきても不思議ではないのです。
しかし、長年左利きの問題と取り組んできたものとしましては、
非常にうれしいものがあります。
筆者の年上の知り合いに、
ご飯を食べるときになると一人で隠れて食べる人がいました。
「字は右になったけれど、箸は直らなかった」というのです。
食は、本能でもあり、生まれてすぐに必要になる技術です。
当然、利き手が優先的に使われ、発達するでしょう。
書字は、もう少し後に必要となる技術です。
まわりの大人たちの教えに左右される可能性が高くなります。
それゆえ、このふたつの技術の間には、
実際に使う手に違いが生まれても不思議ではないでしょう。
筆者も子供の頃は左手で箸を持って食べていると、
まわりの大人の人から色々と言われたものでした。
親戚の家でも、日常的に親しくしている人たちはいいのですけれど、
お正月など普段から付き合いの少ない方々も寄り合う場合は、
けっこうキツいものがありました。
今でも外食をほとんどしないのも、
一つにはそういうことが理由としてありました。
・・・
先のママさんのご意見にもありますように、
左右平等に行われる持ち方の説明は、
《子どもたちの個性と可能性を尊重する姿勢の表れであり、
非常に重要な点だと考えます。
左利きの子どもが、箸の持ち方に苦労する場面を何度も
目撃してきた私にとって、この配慮は、感動的でさえありました。》
ほんとうのその通りで、始めにルールありきではなく、
子供ファースト、子供本位の扱い方であり、
こういう本が「当たり前」のこととなったという現実が、
筆者には未だに嘘のように思われます。
もちろん、本当のことです。
2005年出版の『箸づかいに自信がつく本』から、19年――。
感慨無量!
●6年前の教科書の左手書字例と比べてみると
令和2年用の東京書籍から出版された、小学生一年生用の書写教科書で、
鉛筆の持ち方の説明図に、左手の図が初めて入りました。
ただそれは、右手よりも一回り小さいものでした。
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2020.2.9
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書
「新しい書写 2年度用」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-0fbe38.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/dd08c16d81a211f5c60266bf57191f20
『あたらしいしょしゃ 1 [令和2年度]
(小学校国語科書写用 文部科学省検定済教科書)』東京書籍 2019/3/1
(Amazonで見る)
(画像:東京書籍 2年度用小学一年「あたらしい しょしゃ」表紙)
(画像:上記サイトより無断拝借 ●1年P4-5、下は黄色枠「左手例」の拡大図)
それを思いますと、まったく同じ大きさで示されている、
本書のお箸の絵は、本当に画期的といっていいように思います。
これが6年の変化でしょうか?
「左利きは少数派だから(=多くの人にとっては不要なものだから)
小さな図でもいいだろう」ではなく、
左利きであろうと右利きであろうと同じ「人間」で、
それぞれの手なのですから、同じ大きさでいい、のです。
この絵本の登場は、大げさに聞こえるかも知れませんが、
筆者の願いである、
「右利きだけでなく、左利きにも優しい、左右平等・左右共存の社会」
への大きな一歩だ、と感じました。
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本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―特別編―右利きも左利きも共存のお箸持ち方絵本『おはしを じょうずに もてるかな』」と題して、今回は全紹介です。
元々は、見つけたときブログですぐに紹介しようかと思っていました。
でもその時点で半年が過ぎていましたので、今さら「すぐに」といっても、すでに半年が過ぎているので、即時性という点はどうにもなりません。
じゃあ、メルマガで紹介すればいいじゃないか、ということで。
最初は図書館で探してみたのですが、結構閲覧・貸出されているようでした。
やっぱり支持されているようだ、と思い、本屋さんで買うことにしました。
いつもの本屋さんに行くと、ありました。
児童書は今まで持っていませんでした。
こういう本も資料の一つとして持っていてもいいのかな、と思いました。
実を言いますと、改めて自分の持ち方を確認しました。
この本のような持ち方をしていました。
私自身、玉子の黄身をつまめるほど、じょうずな持ち方ではありませんが、割といい方だと思います。
・・・
弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。
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(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
『レフティやすおのお茶でっせ』
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