新潮文庫にデイモン・ラニアン(『ガイズ&ドールズ』)が帰ってきた!
新潮文庫にデイモン・ラニアンが帰ってきました!
2024年5月29日に発売されました新潮文庫の新刊、田口俊樹訳のデイモン・ラニアン著『ガイズ&ドールズ』がそれ。
私にとっては<なつかしい友との再会>というところです。
40年前、1984年夏(8月1日)に発売された、加島祥造訳のデイモン・ラニアンの選集『ブロードウェイの天使』が、新潮文庫での初登場でした。
(絶版になってからでは34年らしいですが。)
当時私は、人にプレゼントするために、自分用の他に何冊も買いました。
今も一冊残っています。
まあ、それほど私のお好みの作家だったということですね。
1970年の高校二年生の夏休みから読み始めた『ミステリマガジン』という、<海外文学の早川書房>から発行されていた海外ミステリの専門誌で、英米文学者で詩人、のちに『老子』の現代詩訳で<伊那谷の老子>と呼ばれた加島祥造さんが、ぽつりぽつりと訳しては掲載されていたのが、このラニアンの短編でした。
その前には、これも新潮文庫で何年か前に再登場したリング・ラードナーの長短編を訳しておられたものでした。
今回は、訳者を英米ミステリ翻訳のベテランの田口俊樹さんにかえて、ラニアンの第一短編集を新訳で紹介。
前回のラニアン作品集は、なんといっても当時ラニアン紹介の第一人者であった加島さんによる<ラニアン傑作集>といった趣のあるものでした。
それゆえに、傑作中の傑作といってもいい、人気作を集めたものだったといっていいでしょう。
少なくとも、私にとっては、ほぼそういう内容の作品集になっていました。
例えば、(1)「プリンセス・オハラ」(2)「ブロードウェイの天使」「レモン・ドロップ・キッド」「片目のジャニー」など((3)は、本書にも収録されている「マダム・ラ・ギンプ」)。
今回は、単にラニアンの「第一短編集」ということで、作品の選定は当時の編集の人たちの手になるものです。
それはそれで意味のあることでしょう。
なにしろ、このラニアンの短編集は、ミステリの分野では、ミステリ作家であり編集者でもあったエラリイ・クイーンのポー以降の価値あるミステリ短編集を集めた『クイーンの定員 Queen's Quorum』にも選ばれていますから。
*参照:
「Queen's Quorum:クイーンの定員」
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~katsurou/conerstone/quorum/main.htm
第二期近代
#084 野郎どもと女たち Guys and Dolls(1931)
『クイーンの定員 3 傑作短編で読むミステリー史』エラリー クイーン/著 各務 三郎/編 光文社文庫 1992/4/1
『クイーンの定員 3 傑作短編で読むミステリー史』(Amazonで見る) 収録作品「ドロレスと三人の野郎ども」
・・・
『ガイズ&ドールズ』デイモン・ラニアン/著、田口俊樹/訳 2024.5.29
『ガイズ&ドールズ』(Amazonで見る)
目次(・は、「前」短編集収録されていた作品)
序文
第一話 ブロードウェイのブラッドハウンド
第二話 社交場での大きな過ち
第三話 サン・ピエールの百合
・第四話 ブッチは赤子の世話をする
・第五話 リリアン
第六話 荒ぶる四十丁目界隈のロマンス
第七話 どこまでも律儀な男
・第八話 マダム・ラ・ギンプ
第九話 ダーク・ドロレス
・第十話 紳士のみなさん、国王に乾杯!
・第十一話 世界で一番ヤバい男
第十二話 ブレイン、わが家に帰る
・第十三話 血圧
・おまけの一話 ミス・サラ・ブラウンの恋の物語
解説 小森 収
この短編集に収録されている作品で私のお気に入りをいいますと――
(1)「マダム・ラ・ギンプ」――昔読んだときもおもしろいと思った作品、新喜劇なんかにあるパターンですよね。
(2)「サン・ピエールの百合」(3)「ミス・サラ・ブラウンのロマンス」といったところか。
子供や動物の登場する作品は、やはりいつの時代どこの国であって、人気は高いのでは、という気がします。
「ブロードウェイのブラッドハウンド」「ブッチは赤子の世話をする」「リリアン」「紳士のみなさん、陛下に乾杯」など。
私は演劇関係には疎いので、日本でのラニアン評価というものはよくわかりませんが、アメリカでは昔から非常に人気の高い作家だったようで、巻末資料にもあるように映画化・ドラマ化作品が多数あるようです。
日本では80年代に宝塚のレパートリーに入っているとのことです。
とにかく、今回の訳書が広く読まれ、デイモン・ラニアンの名が知られ、人気が高まることを願ってやみません。
*参考:
『ブロードウェイの天使』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 新潮文庫 赤 207-1 1984/8/1
『ブロードウェイの天使』(Amazonで見る)
<新書館・版>
1.『野郎どもと女たち』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1973.4
(新装版)『ブロードウェイ物語 1 野郎どもと女たち』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1987/11/1
『ブロードウェイ物語 1 野郎どもと女たち』(Amazonで見る)
2.『ブロードウェイの出来事』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1977
(新装版)『ブロードウェイの出来事 新装版 (ブロードウェイ物語 2) 』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1987/12/1
『ブロードウェイの出来事 新装版 (ブロードウェイ物語 2)』(Amazonで見る)
3.『ロンリー・ハート』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1983
(新装版)『ロンリー・ハート 新装版 (ブロードウェイ物語 3) 』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1987/12/1
『ロンリー・ハート 新装版 (ブロードウェイ物語 3) 』(Amazonで見る)
4.『街の雨の匂い ブロードウェイ物語 4』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 新書館 1987/11/1
『街の雨の匂い ブロードウェイ物語 4』(Amazonで見る)
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※本稿は、レフティやすおの他のブログ『レフティやすおの新しい生活を始めよう』に転載しています。
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