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2023.06.03

楽器における左利きの世界(13)キーボード演奏での指使い-週刊ヒッキイ第643号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第643号 【別冊 編集後記】

第643号(No.643) 2023/6/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(13)キーボード演奏での指使い」

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第643号(No.643) 2023/6/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(13)キーボード演奏での指使い」
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 前回は、最近始めた、初心者・独学者向けのピアノ練習や
 楽譜の読み方など音楽の基礎的なお勉強に関する
 YouTubeのピアノ演奏の動画鑑賞についての感想として、
 「やっぱり現状のピアノは右利き向けなんだ」と思ったことなど
 ダラダラと書いてみました。

 今回は、その続きになります。

 図書館で見つけた

 『初心者の為のキーボード講座 ゼロから始められるあんしん入門書』
 (自由現代社 2022.8.30)

230602keyboaud-kouza 

 を読んでちょっと試してみたこと、思ったことなど、
 つれづれなるままに書いてみましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―

 楽器における左利きの世界 (13)
  ◆ キーボード演奏での指使い ◆
   ~ 「ピアノってやっぱり右利き用なんだ!」の巻・続き ~  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●指使い

『初心者の為のキーボード講座』でもそうでしたが、
前回紹介しました『まり先生のかんたんピアノレッスン』でも、
指使いについて説明されています。

両手の指について、指番号というものが付されていて、
親指から順に小指まで、1番から5番まで。

右手も左手も同じで、親指が1番で小指が5番です。

 

――(左手)――― ―――(右手)――

5|4|3|2|1 1|2|3|4|5 

小|薬|中|人|親 親|人|中|薬|小
指|指|指|差|指 指|差|指|指|指
      指     指

 

 ●「ドレミファソラシド」を弾いてみる――右手

で、「ドレミファソラシド」を弾いてみる場合の指使いというのが、

右手の場合――「真ん中のド」から右側(高音部)へ。

ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド
1・2・3・▼1・2・3・4・5
親・人・中・▼親・人・中・薬・小

▼の時に、親指を中指の下をくぐらせるのだそうです。
そうして、ファ以下を親指以下の指で弾くとなめらかに弾ける、と。

<指くぐり>という技を使います。

 

逆に、「ドシラソファミレド」と上から降りてくるときは、

ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド
5・4・3・2・1・▲3・2・1
小・薬・中・人・親・▲中・薬・小

▲の部分で、<指くぐり>ならぬ<指ごえ>なる技を使うのです。

中指で親指を越えるのですね。
こうして滑らかに演奏するそうです。

230602righthand

(画像:『初心者の為のキーボード講座』「第2章 メロディを弾こう」から<指使い>右手の図)

 

 

 ●「ドレミファソラシド」を弾いてみる――左手

次は、左手の場合――「真ん中のド」より1オクターブ下の「ド」から
上に「真ん中のド」まで。

ド・レ・ミ・ファ・ソ・ ラ・シ・ド
5・4・3・2 ・1・▲3・2・1
小・薬・中・人 ・親・▲中・薬・小

右手の場合とは逆で、「ソ」のあと<指ごえ>で、
「ラ・シ・ド」は、「中・薬・小」と滑らかに続けて弾く。

 

「ドシラソファミレド」と上から降りてくるときは、

ド・シ・ラ・ ソ・ファ・ミ・レ・ド
1・2・3・▼1・2・3・4・5
親・人・中・▼親・人・中・薬・小

「ラ」のあと<指くぐり>で、「ソ・ファ・ミ・レ・ド」と親指から
滑らかに続けて弾きます。

230602lefthand

(画像:『初心者の為のキーボード講座』「第2章 メロディを弾こう」から<指使い>左手の図)

 

「真ん中のド」といいましても、実際には真ん中やや左寄りの「ド」で、
ここからの一オクターブ分の白鍵8つ分が
キーボード全体のほぼ真ん中の位置になっているようです。

そして、この真ん中の一オクターブからの展開が右手で、
ここから一オクターブ下のドからのポジションが、
左手の持ち場となっているのです。

右手と左手では、
「真ん中のド」をはさんで右側と左側に持ち場が分かれる、
ということのようです。

 

 ●大譜表

『初心者の為のキーボード講座』の「第2章 メロディを弾こう」に、
「大譜表」という項目があり、

 《鍵盤楽器は音域が広いため、
  ト音記号(右手)とヘ音記号(左手)が上下二段になった
  大譜表が通常用いられます。
  中央のドから右手は高い音へ、左手は低い音へ白鍵の音を並べると
  下のようになります。
  五線に収まらない高い音や低い音は加線が追加されていきます。》

(ここでは図を示すことができませんので、言葉で書いておきます。)

右手:上段:ト音記号の五線譜の下にある一つ目の加線が「真ん中のド」
左手:下段:ヘ音記号の五線譜の上にある一つ目の加線が「真ん中のド」

230602daifuhyou

(画像:『初心者の為のキーボード講座』「第2章 メロディを弾こう」から<大譜表>の図)

 

 ●鍵盤楽器の音階配置や演奏の指使いについて

今回の「指使い」は、知ってる人は「なんだ、こんなこと!」
という感じでしょうけれど、
私のようにまったくの素人――初心者には、
「なるほど、よく考えたものだ」と関心するばかりの内容でした。

「よく考えたものだ」とはいうものの、これはやはり右利きの人が――
左手よりも右手の方が使いやすい右利きの人が、
考えに考え抜いた上での標準としての、音階の鍵盤配置であったり、
演奏のための指使いであったり――するのですよ、やっぱり! これは。

もし「強度の左利き」の私が考えるなら、
当然音階の配置は、「左手側が高音部」で「右手側が低音部」で、
「真ん中のド」も「やや右寄り」に位置して、
左手がより動かしやすい音階の配置にして、
「メロディは左手で演奏」し、「伴奏は右手が担当」して付いてくる、
というスタイルになるでしょう。

 

 ●音楽の才能と左利き

以前から、音楽能力には利き手による違いがあり、左利きの方が優れる、
といわれているといいます。

八田武志さんの著書『左対右 きき手大研究』(DOJIN文庫 2022)の
「第1章 優れる左きき」に「音楽の才能と左利き」という項目があり、
プロの音楽家や音楽大学の学生を対称とした研究が紹介されています。

この研究では全体としては、左利きの人の割合は高くなかったそうです。
しかし、専門とする楽器との関係で特徴がある、といいます。

 《オルガンやピアノ、ハープなどのように
  左右の手が独立した運動供応を必要とする楽器の専門家には
  両手ききの傾向が強いが、
  ヴァイオリンやフルートなどのように、
  おもに左右の手が統合的な動作をする楽器の専門家は
  両手ききの傾向が弱かった。》pp.38-39

 

左右の手で別々の音を奏でるピアノやハープのような楽器では、
両手がある程度器用に動かせる<両手利き>傾向の人が多い。

一方、
左右の手が別々の動作(弦を押さえる、弦を弾く等)――を通して、
一つの音を演奏する、ギターやヴァイオリンのような楽器では、
両手が器用に使える両手利きの傾向の人は少なく、
一般的な片手利きの傾向の人が多い、というのでしょう。

ということは、
ギターやヴァイオリン、あるいはフルートなどの演奏者は、
片手利き傾向の強い人であればあるほど、
「自分の利き手を活かせる」楽器が必要になる、ということでは?

現実に、ギターでは、多くの左利きの演奏者がいます。
右用の楽器だけではなく、左用の楽器も製作販売されています。

他の楽器でもこれからはもっと多く、
左利き対応の楽器が求められるようになってゆくのではないか、
と思われます。

どうでしょうか。

*参照:
八田武志『左対右 きき手大研究』(DOJIN文庫 2022/5/16)

220518hattatakesi-hidarikiki-2

(画像:八田武志・著『左対右 きき手大研究』の増補文庫版と元版のDOUJIN選書版)

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本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(13)キーボード演奏での指使い」と題して、今回も全紹介です。

前回の「「ピアノってやっぱり右利き用なんだ!」の巻・続き」として、YouTubeの動画や『初心者の為のキーボード講座 ゼロから始められるあんしん入門書』(自由現代社 2022.8.30)で学んだ、キーボード演奏時の指使いについての紹介と、私なりに考えたことを書いてみました。

「よくできた楽器だ」と思う、反面やっぱり右利き用にこしらえられたものなんだなん、と実感してしまいます。

なんとしても「左右反転楽器」が欲しいものだ、と思ってしまいます。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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