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2022.08.15

2022(令和4)年版夏休み特別編・読書感想文を書く-「楽しい読書」第324号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書-322号【別冊 編集後記】

2022(令和3)年8月15日号(No.323)
「夏休み特別編・読書感想文を書く
―2008(平成20)年8月15日号(No.8)―加筆再録」


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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和3)年8月15日号(No.323)
「夏休み特別編・読書感想文を書く
―2008(平成20)年8月15日号(No.8)―加筆再録」
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 今年も本来ですと、毎夏恒例の新潮・角川・集英社の
 <夏の文庫>フェア2022―
 第三回集英社文庫編をお送りするところですが、
 予定を変更して、昔配信しました第8号の、
 夏休み特別編の読書感想文の書き方に関する文章を再録します。

 夏休みと言えば、読書感想文の宿題が定番です。
 簡単なようで難しいのがこの宿題。

 私も小中高と苦労しました。
 その後左利きの活動を通して文章の書き方も少しは学びました。
 ブログやメルマガを書くことで実践も続けてきました。
 今では“それなりの書き方”は理解しているつもりです。

 再掲載に当たり、いくらか手を入れました。
 例文なども考えて、工夫してみました。

 元の文章は14年前のものですので、
 どこまでお役に立つか分かりませんが……。

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 「2008(平成20)年8月15日号(No.8)-080815-
  夏休み特別編2・読書感想文を書く」 より加筆再録

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 夏休み特別編・読書感想文を書く
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 夏休み特別編集でお送りしています。
 今回は感想文の書き方について書いてみます。

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 夏休み特別編・読書感想文を書く 2022(令和4)年版
 『レフティやすおの楽しい読書』流
  「読書報告書」的読書感想文の書き方
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かつてこの「楽しい読書」の別冊編集後記を掲載していた
『作文工房』では、
過去に読書感想文の書き方といった記事を書いています。

・2005年02月16日(水) 読書感想文を書く(テーマ:作文と読書)
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10000797778.html
・2005年08月24日(水)
読書感想文の書き方―レフティやすおのアドバイス
(テーマ:作文と読書)
http://ameblo.jp/lefty-yasuo/entry-10003729088.html

毎年かなりのアクセスを記録していました。

そこで、今回は、この夏休みのど真ん中の時期に、
私なりの読書感想文の書き方といったものを紹介してみましょう。


 ●「読書報告書」的な読書感想文の書き方

夏休みといえば、読書感想文―。

そんな決まりがあるかのように、読書感想文の宿題が出ます。
で、この感想文を書くと言うのが、結構苦痛だったものです。

普段から日常の授業のなかで
きちんとした読書指導と作文指導を受けている子供たちならば、
読書感想文の宿題など全く気にならないはずです。

それどころか大喜びしてもおかしくないでしょう。
なぜなら得意なことだからです。

そうではなく、読書感想文が苦手だ、苦になるというのは、
そういう適切な指導を受けていないからです。

ところがそういう学校や先生ほど、
この長期休暇中に読書感想文の宿題を出すようです。

せめてこんなときぐらい本を読まそう
という考えなのでしょうが、
それではかえって本嫌いを作りかねないように思うのですが…。

で、ここでは
本格的な正道の読書感想文の書き方というより、
邪道かもしれませんが、いってみれば、
本を読んだという事実を証明するための
「読書報告書」的なものの書き方を考えて見ましょう。


 ●基本的な設計図

本を読んで読書感想文を書きなさい、
自由に自分の好きなように書いていいのですよ、

といわれても、

普段から書きなれていない人、
初心者にはなかなか書けないものです。

でも、読書感想文には、実は一定の形式があるものなのです。
それを知っていれば、特に書くことに困ることはありません。

パターンはいくつかあると思います。
幸い昨今では「感想文のお手本」のような本も売っています。
パラパラッとそういう本を見てみるのもいいでしょう。


さて、実践―。

ではどうすればいいか、
まず一定の設計図を描いてみればよい、といいます。


【基本的な設計図】とは、

第一段階:導入部
・その本を選んだ理由―なぜこの本を読もうと思ったか、を書く。
・あらすじを書く―どんなお話か、何が書いてあるのか、
 大体のところを紹介する。

第二段階:内容
・具体的な例を挙げる―引用と感想。自分がどういう点に、
 何をどういうふうに感動したか、感心したか、興味を持ったか、
 面白いと思ったか、などを示す。

第三段階:まとめ
・著者の狙いは何か―著者は何を言いたかったのか、
 何を伝えようとしているのか。
・自分はどう感じたか、どう考えたか―本を読む前と比べて、
 読み終えて何がどう変ったか。

これで形はわかりました。


 ●報告者(あなた)の反応を記す

次に内容です。

簡潔な報告書を書くときの方法の一つに、
問いを設定し、それに答える、という方法があります。

適切な問いを発見できれば、それに答えるだけで、
必要なこと・重要なことが何であるかを導き出せるものです。


対象に対する具体的な質問を問い掛けてみる。

報告を受ける人が求めていること・知りたいと思うことは何か、
を考えながら、
その答えを導き出せるような問いを用意して、
それに答える形で、何を書けばよいかを見極めてゆくのです。


本の場合、何を読んだか、どんなお話だったか、これは基本です。
しかし、あらすじをだらだら書くのは無駄です。

報告を受ける人(先生)が本当に知りたい―伝えて欲しいのは、
報告者(あなた)の反応です。

この本を「なぜ選んだのか」であり、
この本の「どの点にどう反応したか」―「どう解釈したか」です。


 ●読むときにメモを取る

そこで、読むときはメモを取る準備をしておきます。
感想文を書くための「材料集め」です。

自分の本なら、鉛筆で線を引くなりしてもかまいません。
借りた本なら、短冊(付箋)をたくさん用意しておきます。

気になるところにはすべてマークします。

初心者は、線を引いて読むと、本が真っ黒になります。
付箋をつけて読むと、本が付箋だらけになります。

なぜなら、初めはどこが重要かの判断がつかないからです。

でも、それらのなかから、さらに絞ってゆけばいいのです。

そして、最終的には、あるポイントに絞って書くのです。
せいぜい二三点に絞って書くのです。

自分で「どうしてもこのことを伝えたい」、
と思うことだけに絞るのです。


長さに規定がある場合はそれにあわせなければなりません。

それでも、大体はそれで十分です。

では、始めてみましょう!


 ●例――森鴎外「最後の一句」

ここでは、弊誌

2022(令和3)年7月31日号(No.323)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2022から
(2)角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外」

で読みました『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』から
「最後の一句」を例に書いてみます。

角川文庫『山椒大夫・高瀬舟・阿部一族』森鴎外

220729sanshoudayuu-kadokawa

 ・・・

本編では、孝行娘が自分の命をなげうって
父を助けようとする行動が描かれています。

しかしその「献身」的行動ではなく、お白洲での取調で、
彼女が最後につけ加えた「最後の一句」――

 《「お上(かみ)の事には間違(まちがい)はございますまいから」》p.76

が、奉行所の役人たちに与えた影響が問題となっています。

 《白洲を下がる子供等を見送って、佐佐は太田と稲垣とに向いて、
  「生先(おいさき)の恐ろしいものでござりますな」と云った。
  心の中には、哀な孝行娘の影も残らず、
  人に教唆(きょうさ)せられた、おろかな子供の影も残らず、
  只(ただ)氷のように冷かに、刃のように鋭い、
  いちの最後の詞(ことば)の最後の一句が反響しているのである。》p.76

役人として、世の秩序を守ることを心掛けているはずの人々であっても、
現実の世では、実際には色々とお定め通りに事を行うことは難しいもの。

それを十分知っているからこその、
この一句に対しての反応だったでしょう。


 《献身の中に潜む反抗の鋒(ほこさき)は、
  いちと語(ことば)を交えた佐佐のみではなく、
  書院にいた役人一同の胸をも刺した。》p.76

というのも無理はないのです。


鴎外がこの小説に
「最後の一句」という作品名を与えた理由もそこにあるのでしょう。

娘いちの思い定めたような厳しい決意が感じられる一句で、
それを痛切に思い知らされた役人たちの物語でもあります。

私もこういう場で、確固たる一句を発言できるような
心の強さと自分への厳しさを持ちたいものですね。

 ・・・

――以上、感想文の例文として成り立っているかどうか、
  怪しいところもありますが、
  何かしらヒントにはなったのではないか、という気がします。

 ・・・

昨今では、
ネットで「読書感想文 書き方」といったキーワードで検索しますと、
いくつものレベルに合わせた参考書が見つかります。
それらを参考にするのもいいでしょう。


*(例)

・『ちびまる子ちゃんの読書感想文教室』貝田 桃子、さくら ももこ (著)
(ちびまる子ちゃん/満点ゲットシリーズ) 集英社 2017/7/14

・『ドラえもんの国語おもしろ攻略 読書感想文が書ける』藤子 F不二雄
(著), 宮川 俊彦 (監修)
(ドラえもんの学習シリーズ) 小学館 2013/7/11

・『小学1・2年生 スラスラ書ける読書感想文』永岡書店 2021/6/18
上條 晴夫 (監修)

・『脚本家が教える読書感想文教室』主婦の友社 2020/7/2
篠原明夫 (著)

 などなど……

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 ★創刊300号への道のり は、お休みします。
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本誌では、「夏休み特別編・読書感想文を書く―2008(平成20)年8月15日号(No.8)―加筆再録」と題して、全文紹介です。

以前からこの時期には、季節柄一度は書いておきたいと思っていたのが、「読書感想文の書き方」でした。

昔、書いたものがあり、結構アクセス数があったという記憶があり、またこちらのブログでも書いておきたいという気持ちがありました。

今回、もう一つの方のメルマガの8月13日の「国際左利きの日」の特別編のメルマガ原稿書きに追われてしまったこともあり、この際、昔の文章に一部手を入れてごまかしてやれという気になりました。

加筆もしているので、全くの再録ではなゐので、と言い訳しておきます。

本誌がおもしろいと思われた方は、ぜひこの機会に購読登録をよろしくお願いいたします。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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