利き手と左利きの科学的研究書・八田武志『左対右 きき手大研究』加筆・文庫版発売
今年2022(令和4)年2月22日に↓で紹介しました
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.2.22
利き手と左利きの科学的研究書・八田武志『左対右 きき手大研究』増補版?文庫化4月22日発売 <新生活>版
当初の告知より遅れていました、八田武志さんの2008年刊『左対右 きき手大研究』に加筆された文庫版が発売されました。
八田 武志/著『左対右 きき手大研究』DOJIN文庫 2022/5/16
(前著)
『左対右 きき手大研究』八田武志 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20
(画像:八田 武志さんの左利き/利き手の本、前著『左対右 きき手大研究』・新著DOJIN文庫版)
(画像:八田 武志さんの左利き/利き手の本3冊『左ききの神経心理学』・『左対右 きき手大研究』・同書DOJIN文庫版)
前著は、四六判で240ページ、本書は文庫版で320ページ。
判型の違いがあり、図版の入れ方でもページ数が変わります。
単純な比較はできませんが、何割増しかにはなっているようです。
どの辺が変わっているのかチェックしてみました。
全巻通読する余裕はまだありませんので、目次でチェックしてみました。
「文庫版あとがき」によりますと、加筆のポイントは3つ。
要約しますと、
・2008年の前著刊行以降のご自身のきき手・きき足の研究の紹介
・前著で紹介できなかった邦文の研究の紹介
・以前はふれなかったが、その後、メディアの取材や問い合わせが多かった話題
で、目次でみますと、全9章のうち、第3章「きき手の諸相」で3項目、第7章「きき手はいつ現れ、いつ決まるのか」で3項目加筆されています。
逆に、今回削除されたものとして、第5章「なぜ右ききが多いのか――きき手成立のメカニズム」で1項目(<左ききと性犯罪――ゲシュヴィンド・モデルの妥当性>)と第9章「動物にもきき手はあるか」で1項目(<ヘビにもきき手!?>)がありました。
全巻通読はまだですので本当のところはまだ分かりません。
しかし、前著刊行から14年ということで、その間の変化が少しは実感できるような内容になっているか、と思います。
以下に、追加された項目を書いておきます。
第3章「きき手の諸相」
(3)きき足ときき手――大規模メタ分析
(6)きき手と実行系機能
(8)きき手と精神医学的特性との関係に文化の影響はあるか
第7章「きき手はいつ現れ、いつ決まるのか」
(5)旧石器時代人のきき手
(6)きき手の発現と言語の誕生
(7)きき手と言葉の誕生とをつなぐ
(画像:『左対右 きき手大研究』DOJIN文庫の目次から、追加項目の入っている第3章と第7章)
●最近の左利きの本のこと――
八田さんご自身もどこかで書いておられたと記憶しますが、左利きや利き手の知識は10年間隔ぐらいで新たに求められるそうです。
先に学習した世代が10年ぐらいで交代し、次の世代によってまた求められるという循環なのでしょうか。
八田さんの前著以来、今のところまとまった新たな利き手・左利きの科学的研究書は登場していません。
【利き手・左利きの科学研究書】は、加筆された本書が、一応現時点での最新版といえるでしょう。
【左利き応援本】では、脳内科医・加藤俊徳さんの本が昨年出版されそこそこ売れているようです。
・加藤俊徳/著『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』ダイヤモンド社 2021/9/29
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.16
久しぶり?の左利き本近刊『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』 「新生活」版
【左利き実用本】としましては、一昨年(2020年)、萩原季実子さんの左利きの人が練習しやすい構成のペン字練習帳が出ています。
・『左利き用 誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』萩原 季実子/著 アスコム 2020/7/23
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2020.9.1
萩原季実子著『左利き用 誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』アスコムより発売 「新生活」版
【左利きの子供用絵本】では、昨年(2021年)に、マイノリティの子どもを応援する絵本シリーズ第2作として、左利きの子供向けの絵本が出ています。
・『ヒミツのひだりききクラブ』キリーロバ・ナージャ/著 古谷萌, 五十嵐淳子/イラスト 文響社 レアキッズのための絵本 2021/10/7
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2021.10.23
日本初!ひだりききの子どものための絵本『ヒミツのひだりききクラブ』発売 「新生活」版
これからも、左利き・利き手に関する本が出てくることを期待してやみません。
八田さんも「文庫版あとがき」に書いておられたように、この手の本はかならずしもベストセラーにはならないかもしれません。
しかし、ロングセラーとしていつまでも求められる本にはなるのではないでしょうか。
それは左利きという人種?が、少数派であるにもかかわらず、太古の昔から変わることなく生存し続けてきたように、これからもかわらず生存し続けるだろうからです。
そこには、左利きの人が存在しなければならない、何かしらの理由があるのでしょう。
神様にしか分からないことではありますが……。
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