私の読書論158-アリストテレス『ニコマコス倫理学』―<NHK100de名著>から-楽しい読書319号
―第319号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★ 2022(令和4)年5月31日号(No.319)
「私の読書論158-アリストテレス『ニコマコス倫理学』
―<NHK100de名著>から」
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― 読書で豊かな人生を! ―
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年5月31日号(No.319)
「私の読書論158-アリストテレス『ニコマコス倫理学』
―<NHK100de名著>から」
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本来ですと、月末は古典の紹介、
現在は「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」で、
その17回目なのですが、今回はお休みさせていただきます。
今回は特別編で、
私の読書論158-アリストテレス『ニコマコス倫理学』
―<NHK100de名著>から
をお届けします。
<NHK100de名著>に関しましては、
以前、ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』で
私のお気に入りの名著・名作を取り上げてきました。
『レフティやすおのお茶でっせ』カテゴリ:
NHK100分de名著
をご覧ください。
5月の放送が、私のお気に入りの名著の一つ
(内容を「理解」できているかどうかは別ですよ!?)
「アリストテレス『ニコマコス倫理学』」で、
久しぶりに取り上げようと思ったのですが、時間的に無理でした。
とはいえ、日にちがたってしまってもどうか、と思い、
あえてこちらで取り上げてみようと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- 私の読書論158 -
◆ 人生の究極目的を問う ◆
~ 幸福とは? 友愛とは? ~
アリストテレス『ニコマコス倫理学』
<NHK100de名著>2022年5月――から
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●<NHK100de名著>と私
<NHK100de名著>は、
月曜日の夜、10時台のEテレで放送されている番組です。
以前は結構見ていました。
気になる名著・名作を扱った分は、ブログで紹介してきました。
ところが、ここ何年かは、全くといっていいほど見ていませんでした。
気になるタイトルを扱っていないということもありました。
しかし、それだけではなく、
何となく視聴習慣がなくなってしまった、というのが理由でしょう。
結局今回も、私は放送をほとんど見ることができませんでした。
第4回の最後の10分程度だけ。
一度視聴習慣を失うと、そういうものでしょうね。
もちろん、録画して見るという便利な方法が
この世の中にはあるらしいのですが……。
そこでここでは、テキストの内容を中心に、
私が以前この本を読んだ時の印象などを交えて、
この名著を紹介してみようと思います。
●<NHK100de名著>2022年5月―アリストテレス『ニコマコス倫理学』
まずは、<NHK100分de名著>のサイトの情報から――
名著119「ニコマコス倫理学」アリストテレス 2022年4月28日 午前11:58 公開
プロデューサーAのおもわく。
《天文学、生物学、詩学、政治学、論理学、形而上学など
あらゆる分野の学問の基礎を確立し、「万学の祖」と呼ばれる
古代ギリシアの哲学者アリストテレス(前384- 前322)。
そんな彼が「倫理学」という学問を史上初めて体系化し、
その後の「倫理学」の「原点」となったともいえる名著が
「ニコマコス倫理学」です。新生活がスタートしてまもない五月。
「五月病」など職場や学校に適応できず人生に悩む人が多い
この時期に、「幸福」や「生き方」を深く考察する
この著作をわかりやすく読み解くことで、
現代に通じるメッセージを掘り起こします。
アリストテレスは、幸福が人間がもっている本来の固有の能力を
発揮することにあり、その能力を十全に発揮するためには、
外的な幸運を生かすための内的な力である「徳(アレテ―)」を
身につける必要があると考えました。
この「徳」は一定の行動を何度も繰り返し習慣化することで、
「性格」として身につけることができるといいます。
いわば、彼の倫理学は、
義務や禁止などの堅苦しいルールを学ぶ学問ではなく、
人間が幸福になるための知の体系なのです。
ただし、この書物は単に偉大な哲学者の豊かな思索の跡を
読者にたどらせてくれるだけではありません。
現代において私たち一人ひとりが
「よく生きる」「充実して生きる」ことを目指す際に活用できる
豊かな洞察が散りばめられた書物でもあります。
哲学研究者の山本芳久さんによれば、千年単位で受け継がれてきた
この名著のエッセンスを読み解いていくと、
単に倫理の知識を学ぶにととまらず、読者の一人ひとりが
それぞれの人生において活用していくことのできる
生きた知恵を学ぶことができるといいます。
番組では、山本芳久さんを指南役として招き、
ギリシア哲学の名著「ニコマコス倫理学」を分り易く解説。
アリストテレスの倫理学を現代につなげて解釈するとともに、
そこにこめられた【幸福論】や【生き方論】、
【友情論】などを学んでいく。》
【指南役】山本芳久(東京大学大学院教授)
…「トマス・アクィナス 理性と神秘」でサントリー学芸賞受賞。
【朗読】小林聡美(俳優)【語り】小坂由里子【声】羽室満
アリストテレス『ニコマコス倫理学』 2022年5月 (NHKテキスト)
NHK出版 2022/4/25
(画像:<NHK100de名著>テキストと私の持っている『ニコマコス倫理学』光文社古典新訳文庫版の訳本)
●テキスト――【はじめに】「いかによく生きるか」を考える学問
冒頭、山本さんは、
《哲学とは、言葉による思索を通じて
物事を根本から理解し直そうとする学問》
だとし、フランスの哲学史家ピエール・アドによると、
近代のそれは、専門家向けの難解なものになっているが、
古代のそれは、万人に対して開かれた仕方で、人々に生の技法、
「生き方」を教えてくれるものだといいます。
その「生の技法」を教えてくれる代表的な一冊が
この『ニコマコス倫理学』だというわけです。
私がこの『ニコマコス倫理学』がお気に入りの一冊というのも、
そういうところにあります。
私が哲学に期待するものは、「いかに生きるか」であり、
「いかにして幸福となるか」です。
古代ギリシアの哲学で私の識名ものは、
プラトンのソクラテス対話篇の初期の『ソクラテスの弁明』や
『クリトン』や『饗宴』に『メノン』など。
特に『クリトン』における「よく生きる」というくだりですね。
・・・
このあと、山本さんの哲学読書歴を紹介されています。
『ニコマコス倫理学』は三回に渡って出会っているといい、
一回目は大学生の時。
高校時代から哲学に興味を持ち、
《様々な入門書やプラトンの対話篇やニーチェの著作など、
比較的読みやすい作品を読んでいた》
そうで、この辺は、私の50代以降の哲学読書と共通の遍歴です。
そして、本格的な哲学の古典として初めて「通読」したのが、
これだったそうです。
「通読」したというのは、それまでにもカントやハイデガーなどで、
挫折を経験していたから。
しかし、この『ニコマコス倫理学』は、
途中で分からないところもありながらも、
最後まで読み通すことができた本だった、といい、
哲学研究者としての出発点といったものだったそうです。
それは、そこに書かれていた「幸福とは何か」「人生の目的とは何か」
といった内容が、自分自身の関心と重なり合っていたから。
この辺も少し私と似ていますね。
そういう意味でも『ニコマコス倫理学』は、
多くの人にとっても哲学への入口になる本といえそうです。
・・・
古代ギリシアのアリストテレス(前384-前322)が著わした全十巻からなる
『ニコマコス倫理学』は、史上初の体系的な倫理学の本で、
倫理学とは、哲学の一分野で、「いかによく生きるか」を考える学問。
《単に考えるだけでなく、
それを実践に応用することに力点を置く学問でもある》
といい、「実践哲学」と呼ばれることもある、というものです。
●第1回 倫理学とは何か
【放送時間】2022年5月2日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
《「ニコマコス倫理学」は、
哲学史上初めて「倫理学」を体系化した書物である。
「倫理学」と訳されているギリシア語は、語源的には、
「人柄に関わる事柄」という意味である。
どのような人柄を形成すれば幸福な人生、
充実した人生を送ることができるのかを考察するのが
アリストテレスの倫理学なのである。
第一回は、「倫理学」とはどのような学問なのか、
「倫理学」を学ぶことにはどのような意味があるのかを、
「理論的学」と「実践的学」の区別という
アリストテレスの学問論に基づいて明らかにする。》
アリストテレスの倫理学は、「幸福論的倫理学」と呼ばれるそうで、
「幸福と何か」「どうすればそれを実現できるか」を考える倫理学で、
違った角度から「徳倫理学」ともいわれる。
「徳」とはギリシア語で「アレテー」といい、
「卓越性」「力量」と訳される言葉。
《アリストテレスは、人は徳を身につけてこそ初めて
幸福を実現できると考えました。》
《アリストテレスの倫理学では、
人間としての力量である徳を身につけることが核となってきます。》
「幸福論的倫理学」は、「目的論的倫理学」ともいわれます。
それは、人間の存在や行為というものの究極的な目的は、
幸福にあると考え、どのように実現してゆくかを考える倫理学だ、
ということです。
そこでは「善」という言葉がキーワードとなります。
「幸福とは最高善である」という言い方がされ、
幸福という最高に善いものを探求してゆくという立場が
「幸福論的倫理学」です。
これと対比されるのが、「義務論的倫理学」で、
「○○すべきだ」といった義務や、
「○○してはいけない」といった禁止に基づいて考えるもので、
カントなどに代表される学問です。
倫理学に関するイメージとしてはこちらの方が強いかもしれません。
しかし、ここでは、人生を前向きに生きるための知恵を獲得しよう
というのが、このテキストでの狙いだそうです。
私もそういう方が好きです。
・・・
このあといよいよ本題に入り、
第一巻第一章の有名な冒頭の一節が引用され、
第二章の冒頭の引用へと続きます。
この回の結論的には、
《アリストテレスの倫理学は、「徳」を身につけることで、
「性格」をよりよい方向に変容させていき、
それによって「幸福」を実現するという基本構造を有しています。》
人間の「性格」や「人柄」は、
「習慣」の積み重ねによって形成される。
勇敢な行為を積み重ねることで、勇敢な人間になる、というように。
そして、「倫理学」とは、
《どのような人柄を形成すれば幸福な人生を送ることができるか、
を考察する学問。》
だといいます。
●第2回 幸福とは何か
【放送時間】2022年5月9日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
《アリストテレスの倫理学は、「幸福」という
古今東西の誰もが深く願うテーマを軸に展開している。
だからこそ、二千数百年の時を超えて
現代においても深く影響を与え続けているのだ。
「幸福になりたい」という願望は誰もが抱くものだが、
実際に「幸福」になるのは容易なことではない。
真に幸福になるための地道で手堅い道筋を示しているのが
『ニコマコス倫理学』なのである。
第二回は、「義務」や「禁止」といった概念を軸にした
堅苦しい倫理学(義務論的倫理学)ではなく、
幸福な人生の実現へと読者を導いてくれる実践的な指南の書として
『ニコマコス倫理学』の全体像に迫りつつ、
「社会的生活」と「観想的生活」という、
幸福な人生の二つの類型について明らかにしていく。》
第一巻第四章、第五章からの引用とともに、
ここでは「最高善」とされる「幸福」とはいかなるものかについて。
「善」という言葉が『ニコマコス倫理学』におけるキーワードの一つで、
「幸福とは何か」とは、「善とは何か」という意味でもあるのです。
「何らかの善を目指している」のが人間で、
それが究極目的としての「幸福」というものであり、
それは単にはるか遠くにあるのではなく、
「いま、ここ」の自分の行為に常によっている。
第二回の結論としては、
《人間が持っている可能性・能力を
可能なかぎり現実化していくことによって達成される
充実した在り方、そこにおいてこそ幸福が見いだされる》
《徳を身につけることが
幸福な人生を送るための不可欠な条件になる。》
「徳」はギリシア語で「アレテー」といい、
「卓越性」「力量」などと訳されます。
馬の「アレテー」は、速く走ること。
ナイフの「アレテー」はよく切れること。
優れた働きを為すことがでできるように高められていること、
それを「徳」と呼びます。
●第3回 「徳」と「悪徳」
【放送時間】2022年5月16日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
《アリストテレスの説く「幸福」は、
単なる「幸運」とは大きく異なっている。
幸運にも高額の宝くじに当選した人の中にも、
堅実な人生の軌道から逸れ、
「不幸」な人生を送ってしまう人もいる。「幸福」になるためには、
外的な幸運を真に生かすための内的な力が必要なのだ。
その力のことを、アリストテレスは「徳(アレテー)」と呼び、
それが一定の行動を何度も繰り返し習慣化することで、
「性格」として身についていくという。
第三回は、勇気、節制、正義、賢慮といった、
現代でもそのまま活用することができる様々な「徳」と、
それに対立する「悪徳」を分類しつつ、
「徳」を身につける方途を探っていく。》
第二巻第一章からの引用とともに、
知的な能力・可能性を育てることで身についてくる「力」を
「思考の徳」と呼び、私たちが一般的に思い浮かべる、
人柄の在り方に関わるものについては「性格の徳」と呼びます。
徳を身につけるのは、技術を身につけるとのと同じだといい、
一回の成功体験が二回目以降の上達につながりやすいといい、
素早くできることと喜びを感じることが、
その技術が身についた証拠だアリストテレスはいいます。
《一回一回善い選択肢を選び取り続けていくことによって、
どういう選択肢を選んで生きていきたいかという
基本的な心の在り方自体を成熟させていくことができるのです。》
人間には欲望がありますが、その欲望自体を変容させることができる。
当初は節制のない人でも、欲望の在り方を整え、選択を重ねることで、
コントロールすることができるようになるというのです。
《アリストテレスに従えば、徳を身につけることで
はじめて達成することができる充実があります。そうした仕方で
人間存在としての可能性を十全に実現した在り方こそ、
彼が言うところの幸福な人生なのです。》
●第4回 「友愛」とは何か
【放送時間】2022年5月23日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
《人間は「社会的動物」であり、
人間と人間との深いつながりなしには、幸福な人生は考えにくい。
そのような人間同士の相互的な絆のことを、
アリストテレスは「友愛(フィリア)」と呼んでいる。
「人柄のよさに基づいた友愛」「快楽に基づいた友愛」
「有用性に基づいた友愛」という友愛の三分類や、
「友愛は、愛されることよりも、愛することにその本質がある」
という愛の本質についての分析、自己愛と友愛の関係などなど、
『ニコマコス倫理学』の友愛論は、
「愛」について考察するための豊かな素材に満ちている。
第四回は、人類の思想史のなかで最も有名な友情論
と言っても過言でないアリストテレスの友愛論を紹介して、
人間にとって、真の「友情」とは何か、
真の「愛」とは何かに迫っていく。》
『ニコマコス倫理学』第八巻と第九巻で論じられる「友愛」について。
まず、友愛が成立する条件を挙げます。
(1)相手に好意を抱く
(2)その好意が相互的なものである
(3)互いに気づかれている
この三つがそろったときだといいます。
アリストテレスの言葉では、(1)は「相手に善を願う」となります。
これがアリストテレスの友愛の核となります。
善が人と人をつなぐ紐帯となる。
善には、「道徳的善」「有用的善」「快楽的善」の三つがあり、
それに従い、友愛にも三つある。
(1)人柄の善さに基づいた友愛
(2)有用性に基づいた友愛
(3)快楽に基づいた友愛
(2)や(3)の友愛は、
あくまでも「自分にとって」善いものが得られるから愛しているのだ、
という限定がある、条件付きの友愛だといいます。
自分にとって相手が快いものでなくなれば、有用なものでなくなれば、
その友愛は消えてしまう。
そういう自己中心的な観点があり、持続性・安定性がない。
ただ、快楽的友愛は、互いにいっしょにいたいと思い、
いっしょにいることに喜びがある点で、友愛らしい側面がある。
一方、(1)人柄の善さに基づいた友愛 は、相手を全体として愛する。
人柄に基づくものなので、持続的であり、安定性がある。
そして、人柄の善い人は、一緒にいても快い存在であり、
また困ったときにも無条件で助けてくれる有用な人でもある。
(2)も(3)も兼ね備えた存在で、完全な友愛だというのです。
しかし反面、そういう優れた関係はまれなものでもある、と。
では、アリストテレスは、
これらの友愛をどう評価しているのでしょうか。
山下さんは、アリストテレスは
(2)や(3)の有用性や快楽に基づく友愛を否定していない、
と考えているといいます。
真の友人は、(1)人柄の善さに基づいた友愛 のみで、
それ以外は本当の友人ではない、として排除するのではなく、
不十分な友愛ではあるが、それを自覚した上で、
人生にとって重要な人間関係として認め、
友愛の在り方のグラデーションをつけた上で、全体を友愛として認める。
そういう懐の広さがアリストテレスのテキストにはある、
と読み解きます。
・・・
さて、番組テキストには、他にも名著の名著たる所以ともいうべき、
有用性についても書かれています。
日常生活とは無縁に思われる古典の中に、
なにかしら人生についての「気づき」を与えられることがある、と。
理解できるできないにかかわらず、
自分に合った哲学書を見つける知の旅を続ける機会にして欲しい、
と結んでいます。
●読みやすい哲学書について
私の感想をひとこと。
第一回の山下さんの読みやすい哲学書の読書歴に、
プラトンのソクラテス対話篇やニーチェの本をあげていました。
私もそういうところを読んできました。
もちろん、理解云々はなんともいえませんが、
『クリトン』の「よく生きる」についてのソクラテスの対話とか、
ニーチェの『ツァラトゥストラ――』とか『善悪の彼岸』のような
アフォリズムのような本、『この人を見よ』のような小著などは、
とっつきやすい。
私は先の「よく生きる」というような、
幸福論的な生き方論を読むのが好きです。
そういうものが哲学書だと思い込んでいる部分があります。
そういうものこそ、真に役に立つ実用本位の本だと。
三大幸福論と呼ばれる――アランやラッセル、ヒルティの『幸福論』。
ショーペンハウエルの『幸福について』、
ヒルティ『幸福論 第一部』に紹介されている
エピクテトスの『語録』等の後期ストア派の本――セネカや
ローマ帝国の皇帝マルクス・アウレリウス『自省録』など。
そしてこのアリストテレス『ニコマコス倫理学』。
こういう本が好きで読んできました。
こういう本は目的がはっきりしていますので、読みやすいと思います。
アラン『幸福論』は短文集ですし、
エピクテトスや『自省録』は語録といったもの。
短い文読みや牛氏、すべてを理解できなくても、わかる部分もあります。
そして、機会があるたびにポチポチと読んだり、見たりしていると、
そういう読み方を続けるうちに、何となく理解が進むのかもしれません。
まあ、お試しを。
参考:
【山下芳久さんの本】
『トマス・アクィナス 理性と神秘』山下芳久/著 岩波新書 2017/12/21
―アリストテレスの思想とキリスト教学を統合したアクィナスの入門書
『ニコマコス倫理学』アリストテレス/著 朴 一功/訳
京都大学学術出版会 西洋古典叢書 2002/7/1
―<NHK100de名著>テキストで山下さんが引用している翻訳
【アリストテレスに関する入門書】
『90分でわかるアリストテレス』ポール・ストラザーン/著
浅見昇吾/訳 WAVE出版 2014/5/1
―こちらは<90分でわかる哲学者>シリーズの一冊。「生涯と作品」
「言葉」など小著ながらそれなりにポイントを抑えている。
【私の持っているアリストテレスの本】
『ニコマコス倫理学(上)』アリストテレス/著
渡辺 邦夫, 立花 幸司/訳 光文社古典新訳文庫 2015/12/8
『ニコマコス倫理学(下)』アリストテレス/著
渡辺 邦夫, 立花 幸司/訳 光文社古典新訳文庫 2016/1/8
『詩学』アリストテレス/著 三浦 洋/訳 光文社古典新訳文庫 2019/3/8
『アリストテレース詩学/ホラーティウス詩論』アリストテレース/著
F.Q. ホラーティウス/著 松本 仁助/訳 岩波文庫 1997/1/16
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★創刊300号への道のり は、お休みします。
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本誌では、「私の読書論157-読むのは「内容」か「文章」か―『ミステリマガジン』連載コラム[本の話]第4回から」をお届けしています。
今回は全文紹介です。
ブログの<NHK100de名著>の紹介記事に準じた形で、2022年5月分のアリストテレス『ニコマコス倫理学』についてテキストを中心に私なりに気になった部分を紹介しています。
・・・
アリストテレス『ニコマコス倫理学』にこんな言葉があります。
「平和な生活を求めて、戦争をする」(第十巻 1177b,5-6)
『90分でわかるアリストテレス』ポール・ストラザーン/著
浅見昇吾/訳 WAVE出版 2014/5/1 p.94)
ウクライナ側からいえば、まさに平和な生活のために戦う、という状況なのでしょう。
この後に続く部分に、こうあります。
《(なぜなら、だれ一人として、戦争をすることを目的として戦争をしたり、戦争を企てたりしないからである。
実際、もし人が戦闘と殺戮が起こるべく友人を敵にする、というようなことをするなら、その人こそまったくの「血の汚れがしみついた輩」であると思われるだろう)》
『ニコマコス倫理学(下)』アリストテレス/著
渡辺 邦夫, 立花 幸司/訳 光文社古典新訳文庫 2016/1/8 p.404
と。
ロシアによるウクライナ侵攻がはじまって三ヶ月。
どういう目的で始めた戦争なのか、私にはよくわかりません。
しかし、もう遅いかもしれませんが、少なくとも、上に書かれたような輩と思われたくなければ、プーチンさんには早急に戦闘をやめて欲しいものです。
・・・
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