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2022.01.31

私の読書論153-私の年間ベスト3・2021年フィクション系(後)-楽しい読書311号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書 別冊編集後記

2022(令和4)年1月31日号(No.311)「私の読書論153-
私の年間ベスト3・2021年フィクション系(後編)」
 

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年1月31日号(No.311)「私の読書論153-
私の年間ベスト3・2021年フィクション系(後編)」
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 年末年始恒例の「私の年間ベスト3」――
 昨2021年に私が読んだ本のなかから
 オススメの「私の年間ベスト3」を選ぶという企画です。

 今回は、フィクション系の後編です。

 前回の全編では、フィクションへの候補作品と
 「ベスト3」から(その1)を紹介しました。

2022(令和4)年1月15日号(No.310)「私の読書論152-
私の年間ベスト3・2021年フィクション系(前編)」

2022.1.15
私の読書論152-私の年間ベスト3・2021年フィクション系(前)
-楽しい読書310号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/01/post-96e3b9.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/c5c432318b110b539f37ca56d5cb67c8

 

 ●私の年間ベスト3・2021フィクション系(その1)

~ 私の年間ベスト3・2021フィクション系 ~
(その1)小森収編『短編ミステリの二百年』2~5巻 
      創元推理文庫2020,2021

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 今回は残りの二つの紹介です。

 

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 - 時を超え、異界を超えて、人の思いは続く -
  ~ 私の年間ベスト3・2021フィクション系(後編) ~
  (その2)梶尾真治『クロノス・ジョウンターの伝説』
        ソノラマ文庫 2003
  (その3)蒲松齢『聊斎志異』光文社古典新訳文庫 2021
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ●私の年間ベスト3・2021フィクション系(後編)

~ 私の年間ベスト3・2021フィクション系 ~

(その2)梶尾真治『クロノス・ジョウンターの伝説』
      ソノラマ文庫 2003/6/1

 

(その3)蒲松齢『聊斎志異』黒田真美子/訳
      光文社古典新訳文庫 2021/2/9

 

 ●(その2)梶尾真治『クロノス・ジョウンターの伝説』

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(2)は、前回の全作紹介の時に書きましたように、
デビュー作以来、時間恋愛SFの名手、梶尾真治の同系列の作品で、
<クロノス・ジョウンター>というタイムマシンでの冒険譚4話収録。

時間の壁を超える冒険の成否が、よく考えられた展開で進行する、
恋愛青春物語が感動的です。

古本屋さんで見つけた、今は亡き「ソノラマ文庫」の一冊。

「吹原和彦の軌跡」
――最初のお話。通勤の途上の花屋でやっとこ見つけた恋人候補の女性。
  しかしある朝、目撃した事故に巻き込まれて死んでしまう。
  主人公の男性の勤め先では、過去に物質を移動させる装置
  <クロノス・ジョウンター>を開発中。
  ただし問題があり、一旦過去に戻れるものの
  その“反動”で未来に飛ばされてしまうのです。
  彼女を助けるために彼は極秘にこれを使用します。
  しかし、彼女を説得できず、助けることができません。
  それからも何度も試みるのですが、その度に失敗し、
  次第次第に遠未来へと飛ばされ続けます。
  そして56年後の4度目、遂に助けることができるのですが……。
  最初の一編らしく、最も切ない恋物語でしょうか。

 《「一人じゃ逃げられない。私、和彦さんを信じる。
  和彦さんを待ってる。私を救ってくれる和彦さんを」》p.100

 《四千年後の世界に跳ばされることになっても、
  彼はあえて立ち向かうのだ。
  愛するもののために、信じるもののために。》p.105

 

「布川輝良の軌跡」
――第二話。写真でしか知らない建築家の建物に強い憧憬を抱く彼は、
  <クロノス・ジョウンター>の実験に志願する。
  壊される前に憧れの建築家の最後の建築物を目にするために。
  そこで出会ったのは憧れの建築物と一人の女性だった……。

 《クロノス・ジョウンターを使ったといっても、
  これは奇跡だと思った。輝良は圭の笑顔を見て、愛のためには、
  まだ起こりうる奇跡が存在するのだと確信した。/
  「愛する人のためには、どんな無茶なこともできるって、
  わかったわ。ごめんなさい。驚いた?(略)」》p.217

 

「<外伝>朋恵の夢想時間」
――<クロノス・ジョウンター>とは異なる
  「心」だけが過去に戻れる機械
  <C・C>(クロノス・コンディショナー)での冒険。

 

「鈴谷樹里の軌跡」
――少女時代好きだったヒー兄ちゃんを不治の病から救うため、
  未来から薬を持って過去に飛ぶ。
  一番ヒロイックでハッピーエンドなお話。
  映画『この胸いっぱいの愛を』(2005年10月)の原作。

 《奇跡とは、愛し合う者たちのまわりへ集まってくる……。
  樹里は比呂志の腕の中で、
  そんな真理があるのではないかと考えていた。
  それを司るのは……時の神(クロノス)。》

 

現在は、これらソノラマ文庫版の4篇に、のちに書かれた3編を追加し、
全7編のシリーズ中・短篇を収録した決定版が徳間文庫から出ています。

『クロノス・ジョウンターの伝説』梶尾真治 徳間文庫 2015/2/6

 ・・・

デビュー作「美亜へ贈る真珠」他、
時間&恋愛SFの原点たる八篇を収録した新版の

『美亜へ贈る真珠 〔新版〕』 ハヤカワ文庫JA 2016/12/20

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 ●(その3)蒲松齢『聊斎志異』

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(3)は、中国の清代に書かれた怪異譚集。
短いストーリーの中に、人間の様々な感情などが、
怪異譚の中に散りばめられていて、読みどころがいっぱいです。

子供の頃に『雨月物語』のお子様版を読んで以来、
元々こういう怪異譚の類いを好む私です。

前回も書きましたように、
高校生時代に柴田天馬訳の角川文庫版を読んでいたように、
この作品集にはなじみがあります。

 ・・・

『聊斎志異』蒲松齢/著 黒田真美子/訳 光文社古典新訳文庫 2021/2/9

訳者が選び出し、〈怪〉〈妖〉〈恋〉〈夢〉〈仙〉〈幽〉の6部に
分類した43編収録の選集。

著者・蒲松齢は、かつては神童といわれながら、
役人登用試験である科挙に落第し続けたという。
そのコンプレックスから生み出された、
古来の民間伝承などを元にした
人間と異界・異能のものとの交わりを描いた物語。

巻頭の「聊斎自誌」に「好きこそ物が集まる」と書いていますように、
自分で集めるだけでなく、
同好の士から知らされたお話などを収めています。

 《時には杯に酒を浮かべて筆を取り、
  ようやくこの「孤憤」の書を書き上げたのである。
  かようにわが胸の内を本書に託したが、あわれなことこの上ない。》
   「聊斎自誌」p.14

 ・・・

〈怪〉の巻
――「瞳人語」「画壁」「偸桃」「野狗」「夜叉国」「小猟犬」「酒虫」
  「周克昌」「阿英」「促織」
〈妖〉の巻
――「王成」「画皮」「嬰寧」「双灯」「醜狐」「阿繊」「黄英」
〈恋〉の巻
――「連城」「封三娘」「緑衣女」「瑞雲」「白秋練」「香玉」
〈夢〉の巻
――「鳳陽士人」「続黄粱」「蓮花公主」「江城」「夢狼」「竹青」
〈仙〉の巻
――「労山道士」「西湖主」「蕙芳」「青娥」「雲蘿公主」「丐仙」
〈幽〉の巻
――「王六郎」「陸判」「聶小倩」「連瑣」「李司鑑」「伍秋月」
  「小謝」「席方平」

各篇の多くに末尾、著者の教訓のようなものが書かれており、
そこがまた興味深いものです。

この選集のなかでは、「〈幽〉の巻」の諸編が私の好みでしょうか。

 

 ●ベスト3以外の本

司馬遼太郎『項羽と劉邦(上中下)』は、没後も人気の歴史小説家の
秦帝国崩壊後、漢帝国のできるまでを描いた、
古代中国を舞台にしためずらしい一編。

戦略とか戦術とか、天下を取る人の資格なり人間的な魅力などが
リーダー論として、ストーリーの中に説かれています。

 

ギヨーム・ミュッソ『作家の秘められた人生』は、
別荘地の小島で起きた殺人事件と過去の事件の物語。

登場人物の作家志望の青年と筆を折った人気作家の対話を通して、
作家論や小説論・創作論が語られ、読みどころになっています。

 

 ●私の年間ベスト3・2021年〈フィクション系〉ベスト1――

今年のベスト1は、海外ミステリのオールド・ファン――
特に『ミステリマガジン』のオールド・ファンは必読――
の「思い出がいっぱい」詰まった作品集であり、長編評論である
『短編ミステリの二百年』を挙げましょう。

各巻の前半の各短編も新訳で紹介されています。
後半の小森収さんの「解説」も、ご自身の過去の読書歴とともに
紹介されているところが、
リアルタイムで当時を経験して知っている人には、共感できる部分も多く、
楽しいミステリ談になっていて、懐かしくも嬉しいところがあります。

 

 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡 ★彡 ☆彡
 
 (1)小森収編『短編ミステリの二百年』2~5巻 
     創元推理文庫2020,2021

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 ★創刊300号への道のり(11) 2018(平成30)年(11年目)

215.
2018(平成30)年1月15日号(No.215)-180115-
「私の読書論101-私の年間ベスト2017(前編)リアル系」
~ 人生は実に旅である ~
『人生論ノート』三木清 新潮文庫 改版 1978/9
216.
2018(平成30)年1月31日号(No.216)-180131-
「私の読書論102-私の年間ベスト2017(後編)フィクション系」
~ 身分(階級)違いの恋愛と結婚 ~
『高慢と偏見(上下)』オースティン 小尾芙佐訳 光文社古典新訳文庫
217.
2018(平成30)年2月15日号(No.217)-180215-
「私の読書論103-産経新聞・朝刊コラム【明治の50冊】」
218.
2018(平成30)年2月28日号(No.218)「古代中国編―
 中国の古代思想を読んでみよう(19) 『老子』後編」
219.
2018(平成30)年3月15日号(No.219)
「私の読書論104-大学生の読書時間0分のニュースについて」
220.
2018(平成30)年3月31日号(No.220)「古代中国編―
 中国の古代思想を読んでみよう(20) 『荘子』前編」
221.
2018(平成30)年4月15日号(No.221)
「私の読書論105-私をつくった本・かえた本(4) 中3三学期編」
222.
2018(平成30)年4月30日号(No.222)「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(21)『荘子』後編」
223.
2018(平成30)年5月15日号(No.223)
「私の読書論106-私をつくった本・かえた本(5)
高校時代前半・冒険探検編」
224.
2018(平成30)年5月31日号(No.224)「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(22)『列子』前編」
225.
2018(平成30)年6月15日号(No.225)
「私の読書論107-私をつくった本・かえた本(6)
高校時代後半・ミステリマガジン編」
226.
2018(平成30)年6月30日号(No.226)「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(23)『列子』後編」
227.
2018(平成30)年7月15日号(No.227)
「私の読書論108-〈私の読書論〉ベスト集の試み」
228.
2018(平成30)年7月31日号(No.228)
「新潮社・角川書店・集英社―3社<夏の文庫>フェア2018から
川端康成『雪国』(新潮文庫)『山の音』(角川文庫)」
229.
2018(平成30)年8月15日号(No.229)
「私の読書論109-本好きと読書好き ~ものとしての本が好き~」
230.
2018(平成30)年8月31日号(No.230)「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(24)『列子』から 楊朱編」
231.
2018(平成30)年9月15日号(No.231)
「私の読書論110-紙の本と電子書籍について ふたたび」
232.
2018(平成30)年9月30日号(No.232)「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(25)『墨子』前編 兼愛・非攻」
233.
2018(平成30)年10月15日号(No.233)
「私の読書論111-古本市と古本のこと~四天王寺大古本祭から~」
234.
2018(平成30)年10月31日号(No.234)「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(26)『墨子』後編 墨守・墨経」
235.
2018(平成30)年11月15日号(No.235)
「私の読書論112-書物の多さ~『墨子』から~」
236.
2018(平成30)年11月30日号(No.236)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(8)
『昔なつかしいクリスマス』ワシントン・アーヴィング」
237.
2018(平成30)年12月15日号(No.237)
「私の読書論113-言葉のちからの鍛え方」
238.
2018(平成30)年12月31日号(No.238)-181231-
「私の読書論114-私の年間ベスト2018(前編)リアル系」
- 好きじゃないけど、やっぱり凄い! -
『ツァラトゥストラ(上下)』ニーチェ 丘沢静也訳
    光文社古典新訳文庫 2010.11、2011.1

 ・・・

この年の月末「古典紹介編」は、引き続き古代中国の思想・哲学編で、
諸子百家を読みし進めています。
なかでも『墨子』の「兼愛・非攻」の考えには惹かれました。

月半ばの発行号の「私の読書論」では、
「私をつくった本・かえた本」について高校時代まで書いています。
そこからのちのお話は、またいずれ書いてみたいものです。

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本誌では、「私の読書論153-私の年間ベスト3・2021年フィクション系(後編)」をお届けしています。

今回も、全編公開しました。

今回は「後編」で、「ベスト3」から(その2)(その3)を、および「ベスト1」を紹介しています。

 ・・・

〔梶尾真治さんの作品について〕

「ベスト3」の(その2)に選んだ『クロノス・ジョウンターの伝説』の作家・梶尾真治さんの他の作品について書いておこうと思います。

一番好きな作品はやはり<エマノン>シリーズですね。

最初の一冊『おもいでエマノン』収録の表題作でシリーズ第一作の「おもいでエマノン」は衝撃的でした。

地球に生命が誕生してからの30億年の記憶を持つという謎の少女エマノンがにまつわる様々なお話です。
基本短編で始まった作品群ですが、日本に来る前の新聞記者時代のラフカディオ・ハーン、画家のゴーギャンが登場する『うたかたエマノン』という長編もあります。

図書館で新作を見つけるとポツポツと借りて読んでいます。

私が今持っているのは、ずっと昔に古本屋さんで見つけた、徳間デュアル文庫版の『おもいでエマノン』『かりそめエマノン』のニ冊だけです。

他には、本文でも紹介している、デビュー作「美亜へ贈る真珠」他、時間&恋愛SFの原点たる八篇を収録した新版の『美亜へ贈る真珠 〔新版〕』ですね。
デビュー作はやはりまだ硬い感じがしますが、結構が『クロノス・ジョウンターの伝説』の第一作につながるような作品です。

他の作品に目を移しますと、長編では『サラマンダー殲滅』(日本SF大賞)、映画化された『黄泉がえり』があります。
短編も面白いですが、これらの長編もなかなかです。

*<エマノン>シリーズ
『おもいでエマノン』梶尾 真治 徳間文庫〈新装版〉 2013/12/6

『うたかたエマノン』梶尾 真治 徳間文庫 2016/11/2

短編で言いますと、弊誌

2017(平成29)年11月30日号(No.212)-171130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(7)
「クリスマス・プレゼント」梶尾真治」

クリスマス・ストーリーをあなたに~(7) 「クリスマス・プレゼント」梶尾真治 ―第212号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

で紹介しました一編を含むショートショート集のような、
ユーモアSFの短篇集もあります。

*「クリスマス・プレゼント」収録
『有機戦士バイオム』梶尾真治 ハヤカワ文庫JA 1989.10
 

 ・・・

では、弊誌を面白いと思われた方は、購読のお申し込みを!

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2022.01.15

私の読書論152-私の年間ベスト3・2021年フィクション系(前)-楽しい読書310号

古典から始める レフティやすおの楽しい読書 別冊編集後記

2022(令和4)年1月15日号(No.310)「私の読書論152-
私の年間ベスト3・2021年フィクション系(前編)」

 

例年のことですが、
遅くなりましたが、
明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

レフティやすお <(_ _)>

 

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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2022(令和4)年1月15日号(No.310)「私の読書論152-
私の年間ベスト3・2021年フィクション系(前編)」
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 年末年始恒例の「私の年間ベスト3」――
 昨2021年に私が読んだ本のなかから
 オススメの「私の年間ベスト3」を選ぶという企画です。

 今回は、フィクション系の前編です。

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 - 『ミステリマガジン』オールド・ファン必読 -
  ~ 私の年間ベスト3・2021フィクション系(前編) ~
  (その1)小森収編『短編ミステリの二百年』2~5巻
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 ●傾向と分類

昨年も一時期図書館が休館になったこともあり、
コロナ不安症(?)的な精神面もあり、
また、私自身のケガに伴う行動の制約もあり、
フィクション系もあまり読めませんでした。

そんななかで、手持ちの積ん読本や再読本も多く、
新規に読んだ本はかなり減っています。

 

例年のように簡単に分類してみましょう。

(1)メルマガ用のお勉強の本
(2)それ以外の古典の名作
(3)小説や左利き本等著作のための勉強本
(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

 

 ●(1)メルマガ用のお勉強の本

<中国の古典編―漢詩を読んでみよう>
1.司馬遼太郎『項羽と劉邦(上中下)』新潮文庫1984
2.[一部再読]中島敦『李陵 山月記』文春文庫2013

<新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から>
3.[再読]山本 周五郎『さぶ』新潮文庫1965
4.[再読]太宰治『斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス』文春文庫
5.ギヨーム・ミュッソ『作家の秘められた人生』集英社文庫2020(原2019)

2021(令和3)年4月30日号(No.293)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(9)漢代(1)項羽と劉邦」
2021.4.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(9)漢代(1)項羽と劉邦
-楽しい読書293号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/04/post-4b639f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/6dfa35eb01ce468d12a1b6e80ba0e6c7

2021(令和3)年9月30日号(No.303)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(12)
特別編-中島敦「山月記」より」
2021.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(12)特別編-中島敦「山月記」より
-楽しい読書303号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-0666dc.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/01e422e6e9e18417a82bd6713f662e3f

2021(令和3)年7月31日号(No.299)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(1)準古典」
2021.7.31
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(1)
-「楽しい読書」第299号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/07/post-38536e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/872fb55a4a5a78d989b58cf7878bc188

2021(令和3)年8月31日号(No.301)
「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家」
2021.8.31
新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2021から(2)新顔作家-「楽しい読書」第301号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/08/post-709d62.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/76ed255eb712153d96e6ef9ca568633c

 

 ●(2)それ以外の古典の名作

6.蒲松齢『聊斎志異』光文社古典新訳文庫2021
7.大岡玲訳『今昔物語集』光文社古典新訳文庫2021

――今年もあんまり読んでませんね。

『聊斎志異』は高校生の時に角川文庫で読んでました。
柴田天馬訳で全4巻だったと思います。
芥川龍之介が『今昔物語集』の中の話をネタに小説を書いていたように、
高3の時に、この中の一編を元ネタに小説を書いてみたものでした。

『今昔物語集』は、20代初めぐらいに現代語訳の本――
福永武彦訳の『今昔物語』(ちくま文庫)を買って読んでいました。
龍之介の短編「羅生門」「鼻」「芋粥」などは
高校1年の時に好んで読んでいました。
そんな関係で好きでしたね。
夢枕獏さんの安倍晴明が活躍する作品集『陰陽師』で、
元ネタとして使っているのを知り、また一層好きになりましたね。

 

 ●(3)小説や左利き本等著作のための勉強本

<左利きミステリ入門>
8.ヒュー・ペンティコースト『シャーロック伯父さん』論創海外ミステリ
2020(原1970)
9.アガサ・クリスティー『黄色いアイリス』早川書房クリスティー文庫
2004(原1932,34,35,36,37,39)

ともに短編集で、『シャーロック伯父さん』には
ズバリ左利きの容疑者と犯人が登場する「左腕投手の殺人」、
『黄色いアイリス』には、「仄暗い鏡の中に」という
“鏡”ものの<左右ミステリ>が収録されています。

 

 ●(4)個人的な趣味で、好きな作家、
 ミステリ(推理小説)やSF、冒険小説など

(海外ミステリ)
10-12.G・K・チェスタトン(短編集)
『奇商クラブ』創元推理文庫2018(原1905)
『知りすぎた男』創元推理文庫2020(原1922)
『ポンド氏の逆説』創元推理文庫2017(原1936)

13.ディクスン・カー『カー短編全集1 不可能犯罪課』
創元推理文庫1970(原1940)
14.ディクスン・カー『カー短編集2』創元推理文庫1970
15.フレドリック・ブラウン『シカゴ・ブルース』
創元推理文庫2020(原1947)

[再読(新訳)]
16.エラリー・クイーン『エジプト十字架の謎』
創元推理文庫2016(原1932)
17.エラリー・クイーン『エラリー・クイーンの新冒険』(短)
創元推理文庫2020(原1940)

[一部再読]
18.19.江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集4』『世界推理短編傑作集5』
 創元推理文庫2019
20-24.小森収編『短編ミステリの二百年』2~5巻 
創元推理文庫2020,2021

[再読](海外ミステリ)
25.トニー・ケンリック『殺人はリビエラで』角川文庫1976(原1970)
26.トニー・ケンリック『スカイジャック』角川文庫1974(原1972)

海外ミステリの短編集の多くは、
<左利きミステリ>の調査のために読んだもの。
長編もそうですけれど。

(国内ミステリ)
27.島田荘司『改訂完全版 占星術殺人事件』講談社文庫2013
28.今村昌弘『屍人荘の殺人』創元推理文庫2019
29.辻真先『仮題・中学殺人事件』創元推理文庫2004
30.連城三紀彦『宵待草夜情』ハルキ文庫1998
31.北村薫『空飛ぶ馬』創元推理文庫1994
32.天城一『天城一の密室犯罪学教程』日下三蔵編 宝島社文庫2020

16.の『エジプト十字架の謎』と上記の32.をのぞく国内ミステリは、
前号の

 2021(令和3)年12月31日号(No.309)「私の読書論151-
 私の年間ベスト3・2021年リアル系(後編)岡本太郎他」
2021.12.31
私の読書論151-私の年間ベスト3・2021年リアル系(後)
-楽しい読書309号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/12/post-ceb6fd.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/b171098bc2132d4d4f7e6cd2a77c3dcd

の「ベスト3以外のオススメ」の一冊
『書きたい人のためのミステリ入門』(新井 久幸 新潮新書)
に紹介されていた作品および作品集です。

国内ミステリはほとんど未読でしたので、この際読んでみました。
確かに名作揃いです。
一番はやはり27.の『占星術殺人事件』でしょう。
トリックは単純ですが、それだけにスゴイ。

(SF)
33.梶尾真治『クロノス・ジョウンターの伝説』ソノラマ文庫2003
34.広瀬正『マイナス・ゼロ』集英社文庫1982

SF系はこの2冊、他に
『復刻 S-Fマガジン NO.1-3』(早川書房1995)がありますが、
まだ途中まで。

『クロノス・ジョウンターの伝説』は、
時間恋愛SFの名手、梶尾真治の同系列の作品で、
<クロノス・ジョウンター>というタイムマシンでの冒険(?)のお話集。
泣ける話もあります。
思わずよかったね、という結末のお話もあります。

『マイナス・ゼロ』も同系統のお話で、時間恋愛SFの長編です。
終戦前から戦後のお話。

(好きな作家:北杜夫)
35.北杜夫『静謐 北杜夫自薦短篇集』中公文庫2021

(その他)
36.池井戸潤『下町ロケット』小学館文庫2013

35.は、北さんの没後10年記念の一冊で、生前の自薦短篇集の文庫版。
初期短編から北さんの自薦の短編を集めています。
私は、北さんの初期短編が好きで、
全集の初期短篇集2巻を買ったときに、
文庫版の短編集は処分してしまったのですが、
こうしてまた買い直しました。
2編程度未読(らしきもの、記憶がないもの)がありました。
既読作品でもやっぱりいいなあと思うものがあります。
ピュアな繊細な作品と、時に狂的なパッショネートな作品があり、
こういうものにいいものがあります。

36.『下町ロケット』は、池井戸さんが直木賞を受賞した作品だそうで、
私が初めて読んだ『陸王』と同じ中小企業の若社長と従業員が一致団結、
新規プロジェクトに賭けて危機を乗り越える企業奮闘もの。
(こちらが先に書かれたもので、続編も出ています。)

 

 ●小森収編『短編ミステリの二百年』

小森収編『短編ミステリの二百年』(全6巻、うち2~5巻) 
は、過去200年の短編ミステリの歴史をたどり、
江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』全5巻 に収録されている
名作中の名作を補完するその代表的な短編を紹介しながら、
その解説を兼ねて、短編ミステリの進化の歴史を描く評論との
二本立て企画です。

(出版社紹介文)
・江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』と収録作品の重複なし
・「短編ミステリ読みかえ史」を改稿した、
 作品解説としても読める評論を各巻に収録

前半が作品集で、後半がその解説を兼ねた評論、という仕掛け。
リアル系で扱うか、フィクション系かで迷った一連の本でした。
内容的には、小説の歴史を扱うという意味で、
フィクション系で扱うことにしました。

こういう一連の本を扱うのは、不公平な感じですが。
今年の一番に選びたいですね。

なぜなら、作品も含めて、解説である評論のなかでも再三、
私の高校生時代以降の若い頃の思い出の一つである、
1970年代の『ミステリマガジン(HMM)』のお話がよく出てくるのです。

『HMM』のオールドファンには楽しい話題が出てきて、
これは最高に嬉しい企画でした。

先に挙げた『シャーロック伯父さん』を読むことになったのも、
この本の「解説」で紹介されていたからでした。

 

 ●私の年間ベスト3・2021フィクション系(その1)

oooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo
~ 私の年間ベスト3・2021フィクション系 ~
(その1)小森収編『短編ミステリの二百年』2~5巻 
      創元推理文庫2020,2021
oooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo

今回、これを「ベスト3」の一つに挙げています。

 

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最終巻『短編ミステリの二百年6』
は、2021年年末に出たばかりで未読。
今年のお楽しみというところです。

改めて全巻通して「解説」(評論)の部分を読み直したいものです。

もちろん、小森さんの見方(価値観・ミステリ観)で書かれていますが、
小森さんと同時期に読んでいる作品も多いので、
そういう共通の読書歴から来る共感できる部分も多く、
読んでいて楽しい作品でした。

1はもう大分前に読み、その後、
2巻からは新刊を買うだけ買って未読のまま積ん読状態でしたが、
昨年の3月にもまたコロナで図書館が休館になり、
それから7月頃まで次々と読むようになりました。

2、3、4、5巻と読んできますと「解説」が、
途中からちょっと駆け足になったような気もしないではありません。

早く全6巻をおわらせたい、
という出版社の思惑が入ってしまったような気がしないでもありません。

〈Webミステリーズ!〉で現在進行形で連載されているなかで
出版が進んでいったため、駆け足になったのでは、という疑いです。

もうちょっと引っ張ってもよかったのでは、という気がします。

 ・・・

最後に、<フィクション系>の「ベスト3」の一冊ですので、
各巻の収録短編作品と<私のお好み>をそれぞれ紹介しておきましょう。

[★:お好み ☆:次点]

 

『短編ミステリの二百年1』2019年10月発行

「霧の中」リチャード・ハーディング・デイヴィス/猪俣美江子訳
「クリームタルトを持った若者の話」
 ロバート・ルイス・スティーヴンスン/直良和美訳
「セルノグラツの狼」サキ/藤村裕美訳
「四角い卵」サキ/藤村裕美訳
「スウィドラー氏のとんぼ返り」アンブローズ・ビアス/猪俣美江子訳
「創作衝動」サマセット・モーム/白須清美訳
「アザニア島事件」イーヴリン・ウォー/門野集訳
「エミリーへの薔薇」ウィリアム・フォークナー/深町眞理子訳
「さらばニューヨーク」コーネル・ウールリッチ/門野集訳
★「ブッチの子守歌」デイモン・ラニアン/直良和美訳
☆「笑顔がいっぱい」リング・ラードナー/直良和美訳
「ナツメグの味」ジョン・コリア/藤村裕美訳
  *
「短編ミステリの二百年」小森収

 

『短編ミステリの二百年2』2020年3月

★「挑戦」バッド・シュールバーグ/門野集訳
「プライドの問題」クリストファー・ラ・ファージ/門野集訳
「チャーリー」ラッセル・マロニー/直良和美訳
「クッフィニャル島の略奪」ダシール・ハメット/門野集訳
「ミストラル」ラウール・ホイットフィールド/白須清美訳
「待っている」レイモンド・チャンドラー/深町眞理子訳
「死のストライキ」フランク・グルーバー/白須清美訳
☆「探偵が多すぎる」レックス・スタウト/直良和美訳
「真紅の文字」マージェリー・アリンガム/猪俣美江子訳
「闇の一撃」エドマンド・クリスピン/藤村裕美訳
「二重像」ロイ・ヴィカーズ/藤村裕美訳

 

『短編ミステリの二百年3』2020年8月

★「ナボテの葡萄園(ぶどうえん)」
 メルヴィル・デイヴィスン・ポースト/門野集訳
「良心の問題」トマス・フラナガン/藤村裕美訳
「ふたつの影」ヘレン・マクロイ/直良和美訳
「姿を消した少年」Q・パトリック/白須清美訳
「女たらし」ウィルバー・ダニエル・スティール/門野集訳
「敵」シャーロット・アームストロング/藤村裕美訳
「決断の時」スタンリイ・エリン/深町眞理子訳
「わが家のホープ」A・H・Z・カー/藤村裕美訳
「ひとり歩き」ミリアム・アレン・ディフォード/猪俣美江子訳
「最終列車」フレドリック・ブラウン/安原和見訳
☆「子供たちが消えた日」ヒュー・ペンティコースト/白須清美訳

 

『短編ミステリの二百年4』2020年12月

「争いの夜」ロバート・ターナー/門野集訳
「獲物(ルート)のL」ローレンス・トリート/門野集訳
☆「高速道路の殺人者」ウィリアム・P・マッギヴァーン/白須清美訳
「正義の人」ヘンリイ・スレッサー/藤村裕美訳
「トニーのために歌おう」ジャック・リッチー/藤村裕美訳
「戦争ごっこ」レイ・ブラッドベリ/直良和美訳
「淋しい場所」オーガスト・ダーレス/藤村裕美訳
「獲物」リチャード・マシスン/白須清美訳
★「家じゅうが流感にかかった夜」
 シャーリイ・ジャクスン/深町眞理子訳
「五時四十八分発」ジョン・チーヴァー/門野集訳
「その向こうは――闇」ウィリアム・オファレル/直良和美訳
「服従」レスリー・アン・ブラウンリッグ/猪俣美江子訳 *本邦初訳
「リガの森では、けものはひときわ荒々しい」
 マージェリー・フィン・ブラウン/深町眞理子訳 ☆

 

『短編ミステリの二百年5』2021年6月

「ある囚人の回想」スティーヴン・バー 門野集訳
「隣人たち」デイヴィッド・イーリイ 藤村裕美訳
「さよなら、フランシー」ロバート・トゥーイ 藤村裕美訳
「臣民の自由」アヴラム・デイヴィッドスン 門野集訳
「破壊者たち」グレアム・グリーン 門野集訳
「いつまでも美しく」シーリア・フレムリン 直良和美訳
「フクシアのキャサリン、絶体絶命」リース・デイヴィス 猪俣美江子訳
「不可視配給株式会社」ブライアン・W・オールディス 深町眞理子訳
★「九マイルは遠すぎる」ハリイ・ケメルマン 白須清美訳
「ママは願いごとをする」ジェームズ・ヤッフェ 藤村裕美訳
☆「ここ掘れドーヴァー」ジョイス・ポーター 直良和美訳
「青い死体」ランドル・ギャレット 白須清美訳

 

――本格ミステリ(本格謎解きミステリ/本格推理小説)系のもの
(「探偵が多すぎる」「ナボテの葡萄園」「子供たちが消えた日」
「九マイルは遠すぎる」「ここ掘れドーヴァー」)、
もしくは、広義のミステリ系の作品(「ブッチの子守歌」「挑戦」
「笑顔がいっぱい」「家じゅうが流感にかかった夜」)がお好み、
という感じです。

収録作の大半は、既読(別の人の翻訳で)。
なかでも「『ミステリマガジン』で」というものがいくつかあります。
また、創元ではなく「早川の本で」というものも。
そういう意味では、この選集は、
「創元の穴を埋める」という内容かも知れませんね。

 ・・・

――次回は、<ベスト3>の残りの二つについてをお送りします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ★創刊300号への道のり(10) 2017(平成29)年(10年目)

191.
2017(平成29)年1月15日号(No.191)-170115-
「私の読書論89-私の年間ベスト2016(後編)フィクション系」
192.
2017(平成29)年1月31日号(No.192)-170131-「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(11)『論語』を読む (後編)」
193.
2017(平成29)年2月15日号(No.193)-170215-
「私の読書論90-私をつくった本・かえた本(1)幼少期編」
194.
2017(平成29)年2月28日号(No.194)-170228-「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(12)『孟子』を読む (前編)」
195.
2017(平成29)年3月15日号(No.195)-170315-
「私の読書論91-私をつくった本・かえた本(2)小説への目覚め編」
196.
2017(平成29)年3月31日号(No.196)「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(13)『孟子』を読む (後編1)」
197.
2017(平成29)年4月15日号(No.197)
「私の読書論92-近況から―本屋ロス ~永遠に続くものはない~」
198.
2017(平成29)年4月30日号(No.198)「古代中国編―
 中国の古代思想を読んでみよう(14)『孟子』を読む (後編2)」
199.
2017(平成29)年5月15日号(No.199)
「私の読書論93-本との出会いは偶然か必然か」
200.
2017(平成29)年5月31日号(No.200)
「創刊200号記念―特別編 私の大好きな一冊(名作編)」
◆ 『トム・ソーヤーの冒険』マーク・トウェイン ◆
  \/\ 完璧なエンターテイメント小説 /\/
201.
2017(平成29)年6月15日号(No.201)
「創刊200号突破記念―特別編 私の大好きな一冊(名著編)」
◆ 私の名著ベスト3 ◆
 ★ 海外編 ― ソロー『ウォールデン 森の生活』
☆ 国内編 ― 内村鑑三『後世への最大遺物』
★ 古代編 ― 『スッタニパータ』(ブッダのことば)
202.
2017(平成29)年6月30日号(No.202)「古代中国編―
 中国の古代思想を読んでみよう(15)『大学』を読む 」
203.
2017(平成29)年7月15日号(No.203)
「私の読書論94-ソロー生誕200年を迎えて 」
◆わが心のソロー:シンプルに! シンプルに生きよう!◆
(市民的不服従)『市民の反抗』飯田実/訳岩波文庫
『森の生活 ―ウォールデン―』佐渡谷重信訳 講談社学術文庫

Thoreau-walden


204.
2017(平成29)年7月31日号(No.204)-170731-
「新潮社・角川書店・集英社―3社<夏の文庫>フェア2017から
人の心の不思議、人生の重さ」
205.
2017(平成29)年8月15日号(No.205)
「私の読書論95-ソロー生誕200年を迎えて 2-読書について」
『森の生活 ―ウォールデン―』佐渡谷重信訳 講談社学術文庫
「第3章 読書」から
206.
2017(平成29)年8月31日号(No.206)「古代中国編―
 中国の古代思想を読んでみよう(16)『中庸』を読む 」
207.
2017(平成29)年9月15日号(No.207)-170915-
「私の読書論96-私をつくった本・かえた本(3) 中学生時代編」
208.
2017(平成29)年9月30日号(No.208)「古代中国編―
 中国の古代思想を読んでみよう(17) 諸子百家」
209.
2017(平成29)年10月15日号(No.209)「私の読書論97
-長田弘『読書からはじまる』前編」
210.
2017(平成29)年10月31日号(No.210)「古代中国編―
 中国の古代思想を読んでみよう(18) 『老子』前編」
211.
2017(平成29)年11月15日号(No.211)「私の読書論98
-長田弘『読書からはじまる』後編
本はもう一つの世界へのドア―心の旅」
212.
2017(平成29)年11月30日号(No.212)-171130-
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(7)
「クリスマス・プレゼント」梶尾真治」
213.
2017(平成29)年12月15日号(No.213)「私の読書論99
-図書館が読書の入口になる
 図書館と出版社・書店業界について(前編)」
214.
2017(平成29)年12月31日号(No.214)-171231-
「私の読書論100-自ら改善すべき点がある-
 図書館と出版社・書店業界について(後編)」

 ・・・

この年の月末「古典紹介編」は、古代中国の思想・哲学編で、
「四書五経」からその他の諸子百家に進みました。

200号に到達したのを記念して、
私のお気に入りの名作・名著について書いています。
その名著の一つにも選んでいるアメリカの思想家・著述家、
ソローの生誕200年に当たる年でもあり、
彼の著作についても書いています。
彼の著作「市民的不服従」は、
のちにインドのガンディー首相やアメリカのキング牧師に影響を与え、
孔子、プラトンからアインシュタイン、ケインズまで、
人類の歴史に多大な影響を与えた古今東西の偉人の名著から選んだ
『世界を変えた100冊の本』マーティン・セイモア=スミス/著
BEC, 別宮 貞徳/訳 共同通信社 2003/11/1
にも選ばれています。

月半ばの発行号の「私の読書論」では、
「私をつくった本・かえた本」について書いています。
途中で終わっていますが、いずれ続きを!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論152-私の年間ベスト3・2021年フィクション系(前編)」をお届けしています。

今回も、全編公開しました。

今回は「前編」で、「ベスト3」から(その1)を紹介しています。

 ・・・

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2022年新春左利き放談2―左右平等理想型社会と楽器-週刊ヒッキイ第611号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第611号 別冊編集後記

第611号(No.611) 2022/1/15
「2022年新春左利き放談2――左右平等理想型社会と楽器」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第611号(No.611) 2022/1/15
「2022年新春左利き放談2――左右平等理想型社会と楽器」
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 前号に引き続き<新春放談>です。

 同日に発行のもう一つのメルマガ

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https://www.mag2.com/m/0000257388.html

2022(令和4)年1月15日号(No.310)「私の読書論152-
私の年間ベスト3・2021年フィクション系(前編)」

 の原稿書きに追われ、こちらの方の原稿書きが遅れて、
 という勝手な事情もあり、放談の第二弾になりました。

 ご容赦ください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ――2022年新春左利き放談 2――
  左右平等理想社会の指標としての楽器
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利きの人のための道具類の普及度

前号で、《左右平等社会の指標は楽器》と書きました。
これは、次のような言葉を受けての考えです。

1970年代「左利き友の会」を主宰された
左利き解放運動の活動家でもあった、精神科医の箱崎総一先生の著書

『左利きの秘密』(立風書房マンボウブックス 1979)に

 

160612hidarikikinohimitu

 《左利きに対する偏見と差別が真になくなるのは、
  左利きの人たちがなんら苦痛を強いられることなく
  生活していけるときである。
  それをはかる物指しは、結局、
  左利きのための道具・器具の普及度である、と私は考える。》

というのです。
私も同感です。

箱崎先生は続けてこう説明されています。

 《たとえ人々の頭の中から
  左利きに対するあやまった考えがなくなったとしても、
  それだけでは左右同権の社会とはいえないのだ。
  左利きの人たちが
  右利きのための道具や器具に囲まれて暮らしているかぎり、
  真の解放はありえないのだ。/
  こうしたことを考えるとき、わが日本の左利きにとって
  まだけわしい前途が横たわっているといわねばならない。》

 

 ●40年以上たった現状では…

この時点から40年以上たった現状は、大きく変わりました。
左利き用品の普及はかなり進みました。

ハサミなどは、子供用に関しては、
一般のスーパーでも左右同価格で販売されています。
小学校学用品の販売でも右利き用と左利き用を選ぶこともできるといいます。

 

一般用でも様々な道具が販売されるようになってきました。
ハサミだけでなく、包丁等の刃物類や文具類等も各種出ています。

“探せば”本当にいろんな道具や器具があることが分かります。

 

前号でも書きましたように、
左手で字を書く人向けのきれいな字の書き方練習帳なども出ています。

確かにもうかなりの道具類が普及してきたように見えます。
しかし、生活必需品の類いが大半です。

生活必需品――必要最低限度の生活を営む上での道具類ではなく、
それ以外の、生活をより豊かにするための道具や、
楽しいものにする道具類では、どうでしょうか。

たとえばスポーツ用品であったり、楽器類であったり、では?

スポーツ用の道具類の左用はどうでしょうか。
野球用のグローブなどは、子供用も含めて、かなり売っているようです。

ところがゴルフ用品はどうでしょうか。
まだそんなに一般的ではないように思えます。

ましてや、バッティング・センターやゴルフの打ちっぱなし練習場での
左打席の比率はどうでしょうか。

ましては、楽器に関してはどうでしょうか。

 

 ●楽器の左右平等化作戦

箱崎先生の言にあるように、

 《左利きのための道具・器具の普及度》

が、左右平等・同権社会の物指しだという意味は、
ご理解いただけたでしょうか。

 

そこで、今年の私の左利き・左右平等作戦は、
「楽器の左右平等化」でやっていきたいと思います。

現状では、左右平等に、右利き用も左利き用もある楽器といえば、
ギター類ぐらいでしょう。

その他の楽器では、私の知るかぎりでは、
一部でバイオリンが販売されていました。

あとは、リコーダーに右手用左手用がある、と聞いたことがあります。

 

Yamaha-lrrecorder

(画像:手の不自由な方が演奏できるように工夫した左手用ソプラノ片手リコーダーヤマハYRS-900L(左手用)と同右手用YRA-900R(右手用))

他には、これというものがありません。

 

「鍵盤ハーモニカの左利き用はありませんか?」
という質問を受けたことがあり、
調べてみましたが、見つかりませんでした。

鍵盤ハーモニカの左利き用ができれば、
ピアノへと発展させていけると思います。
そうしますと、左利きの楽器、および楽器演奏の世界も
グッと広がってゆくと思うのですけれど、
どんなものでしょうか?

 

電子楽器ならアコースティック楽器よりも
簡単に左右を入れ替えることができるような気がするのですが、
その辺のところももう一度チェックしてみよう、と思います。

 

*参照:<左利き用バイオリン>
第512号(No.512) 2018/2/17「【左手・左利き用品を考える】
右用と左用の違い(19) 楽器編(1)バイオリン」
 ●楽器とカメラ
 ●利き手で行うべき心の作用
 ●楽器には左用がない
 ●左利き用バイオリン
・左利き用バイオリン,レフトハンド,レフティー販売通販
オータムバレー弦楽器
(普通製作されていない特注の左利きの方用バイオリンです。)
https://www.autumnvalley.net/product-list/59
・GCV-800EL 左利き用バイオリン ストラディバリ Soil III
バイオリン販売 チェロやビオラ、弦、弓、肩当など弦楽器なら
クライスラーミュージック通販ショップ
http://kreislermusic.ocnk.net/product/1334

 

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(画像:「左利きバイオリン」GCV-800EL 左利き用バイオリン◆ストラディバリ Soil III [GCV-VN-800EL-SOI] ネットより無断借用)

 ●純丘曜彰さんの左利きバイオリンに関する意見
 ●「RISAバイオリン教室」の瀧澤理紗さんの意見
 ●左利き用のバイオリンが普及しない理由
 ●利き手を無視して教えてきた楽器
 ●プロ野球の王選手も鳥谷選手も転向派
 ●自分の持って生まれた特質を活かす
 ●<楽器は心につながる利き手で演奏する>

『レフティやすおのお茶でっせ』2007.9.7
左利き用バイオリン
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2007/09/post_3896.html

<左利きと音楽>
第84号(No.84) 2007/6/2「<左利きQ&A>(8)左利きと音楽」
 左利き講座<左利きQ&A>(8)左利きと音楽―序の口
第89号(No.89) 2007/7/7「<左利きQ&A>(9)鍵盤ハーモニカ」
 左利き講座<左利きQ&A>
 (9)左利きと音楽・序二段―鍵盤ハーモニカ
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 「★600号までの道のり」 今回はお休みです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「2022年新春左利き放談2――左右平等理想型社会と楽器」と題して、今回も全紹介です。

前回の新春放談の続きという形です。

左右平等・同権社会の指標は、「左利き友の会」主宰者であった箱崎総一先生のお考えでは、弊誌本文にも引用しましたように、「左利き用品の普及度」だといいます。

私も同感で、それを考えたときに指標となるのは、生活必需品ではなく贅沢品的なものだろう、と思うのです。

贅沢品的なものの代表格にあげられるものが、楽器ではないか、ということです。

なかでもピアノを攻略できれば、大いに希望が出てくるのではないか、というのが私の考えなのですけれど……。

 ・・・

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2022.01.01

明けましておめでとうございます-2022(令和4)年

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明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨年は、4月からぎっくり腰になり、腰痛と左足痛となり、
一旦治ったと思うと、
10月にはまたまた加齢から来る体調不良となり、
お医者さんに通っています。

年末にはまたまた腰痛(および左足痛)が再発、
時折「ヒリッ」と来る感じ。
今回は比較的軽症で助かっています。

でも、ほんのちょっとしたことでダメになるので、
ガックリきていますね。

去年は自粛した初詣を今年は、と思っていたのですが、
体調不良で今年もパスしようかと思っています。

以前は、「もう若くはない」と加齢は感じていましたが、
自分が「年寄りになった」という自覚はありませんでした。

しかし、ケガをして病気になり、
もう自分の体が「年寄りの体になっている」
と認識するようになりました。


今年は、健康に留意して一年を過ごしたいと思います。

2022(令和4)年1月1日

レフティやすお <(_ _)>

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2022年新春左利き放談――左右平等の理想型とは-週刊ヒッキイ第610号

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第610号 別冊編集後記

第610号(No.610) 2022/1/1
「2022年新春左利き放談――左右平等の理想型とは」

 

明けましておめでとうございます

本年もよろしくご愛顧のほどお願いいたします。

昨年は、4月からぎっくり腰になり、腰痛と左足痛となり、
8月に治ったと思うと、
10月にはまたまた加齢から来る体調不良となり、
年末にはまたまた腰痛が再発、今回は比較的軽症で助かりましたが、
お医者さん通いは継続中。

さいわいメルマガに穴を開けることはなかったのですが、
内容的にはどうだったのか、なんともいえません。

今年は、健康に留意して一年を過ごし、
メルマガの内容も充実したものにしたいと思います。

2022(令和4)年 元旦

レフティやすお <(_ _)>

 

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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第610号(No.610) 2022/1/1
「2022年新春左利き放談――左右平等の理想型とは」
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 2022(令和4)年は、1月1日からのスタート。

 なかなかないことでしょう。
 幸先のよい一年になりますように!

 本年第一号は、例の如く、新春放談です。

 《右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざ》す
 弊誌ですが、
 今回は、私の考える理想の左右平等社会について考えてみました。

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 ――2022年新春左利き放談――
  左右平等の理想型とは~? 
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 ●右手書字例のみの教科書――左手・左利き差別の典型

昨年末発行の最終号

 第609号(No.609) 2021/12/18
 「2021(令和3)年書き残した左利きの話題」

で、教科書に左手書字例がほとんど掲載されていない
という現実について書きました。

世間一般では、
子供向けの民間の教育関係の会社のテキスト類には左手例が掲載され、
大人向けの文字練習帳にも左利き(左手書き)対応のものが
出版されているにもかかわらず、です。

左手・左利き差別の典型といえるのではないか、と考えています。

左右平等の社会を実現するのが、私の願いですが、
まだまだ遠い道のりのようです。

それでは、左右平等社会の指標となるのは、何でしょうか。

 

 ●左右平等社会の指標は楽器

私の思うところの、左右平等社会を表す指標は、楽器です。

現状、楽器類で左利き対応商品が発売されているのは、
ギターぐらいでしょう。

楽器というものは、一部の人をのぞけば、
あくまでも嗜好品、あるいは贅沢品といえるでしょう。

音楽という者は、一部宗教や政治(軍隊など)との絡みはありますが、
基本的には芸術であり、娯楽です。

楽器とはそういう芸術もしくは娯楽のための道具といえます。

と考えますと、
それは、生活必需品とは言いがたいもの、ではないでしょうか。

いわゆるエンゲル係数から外れたものといいますか、
エンゲル係数を引き下げる要素の一つといえるでしょう。

そういう嗜好品・贅沢品において、左右の商品が対等に作られ、
ごくふつうに自由に手に取れるようになれば、
それこそが、左右平等社会の証であるように思えるのです。

生活必需品――例えば、ハサミのような道具――が、
左右両方、同じように自由に手に入るという状況は、
社会における左右平等という観点においては、
必要最低限のレベルでしょう。

一方、そういう生活必需品ではない道具において、
左右の商品が同じように自由に手に入るという状況は、
かなり高いレベルの左右平等の状況といえるのではないでしょうか。

 

楽器の演奏というものは、心の表現である、と考えます。
芸術であり、心の表現でしょう。

そういう分野でこそ、左右平等の指標になるように思います。

 

 ●利き手演奏こそ心の表現

「利き手は心につながっている」というのが、私の持論です。

以前、AKB48・Team8の左利きの佐藤栞さんが、コンサートの動画で
エア・バイオリンの演奏で左弾きしていたのを見たことがあります。

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2018.5.13
左利きのAKB48Team8佐藤栞がエア・バイオリン演奏で左弾き
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2018/05/akb48team8-7166.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/6565f75f980e88d16ae21f70a9fc64e8

エア演奏というのは、
まさにその人の利き手・利き腕があらわになるのではないでしょうか。

左利きの人がエア演奏するときは、きっとそうなるものでしょう。

実際に楽器演奏が身についている人は別にして、
その楽器の演奏経験のない人なら、自然に左演奏になるものです。

私も、学校の音楽の授業でギターをやったことがありますが、
ほんの少しだけだったので、
エア演奏は、左手で弾く形になります。

心につながっている利き手で演奏するとき、
演奏者も気持ちが乗るでしょうし、
それが演奏にも表現されていくのではないでしょうか。

 

 ●心を表現する最善の方法――利き手演奏

音を楽しむと書くのが「音楽」です。

心につながっている利き手による演奏こそが、
心を表現する最善の方法でしょう。

そのためには、利き手に対応した楽器が必要になります。

現状で左右どちらの手でも演奏できる利き手対応した楽器といえば、
ギター類ぐらいでしょう。

ごく一部ですが、左利き対応のバイオリンが発売されているようです。

他には、これというものは見つけられません。

楽器のなかでいちばんの大物なのが、ピアノではないでしょう。
ここで左利き対応ピアノが誕生すれば、
たいていの楽器は実現しそうに思います。

 

昔海外で、左利き対応のピアノを作ったという人がいました。
それが標準化すれば、大いに時代は変わるように思います。

*参照:
(弊誌)
第512号(No.512) 2018/2/17「【左手・左利き用品を考える】
右用と左用の違い(19) 楽器編(1)バイオリン」
『レフティやすおのお茶でっせ』2018.3.1
左利きメルマガ2月発行分-左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第511,512号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2018/03/2--hikkii511512.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/5e757247592eed9318a7821b732c7fd8

第518号(No.518) 2018/5/19「【左手・左利き用品を考える】
右用と左用の違い(22) 楽器編(4)鍵盤ハーモニカ・前編」
2018.5.31
右用と左用の違い(22)楽器編(4)鍵盤ハーモニカ前編
-左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第518号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2018/05/224--hikkii518-.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ddecc3f95636678823caef199386f870

第520号(No.520) 2018/6/16「【左手・左利き用品を考える】
右用と左用の違い(23) 楽器編(5)鍵盤ハーモニカ・後編」
2018.7.3
右用と左用の違い(23)楽器編(5)鍵盤ハーモニカ後編-左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii第520号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2018/07/235--hikkii520-.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/22e3e19673402f8e9eabdf6a0e5e647e

2012.3.10
左利き用ピアノは実在した! | アンモナイトは傷つかない
https://plaza.rakuten.co.jp/shellless/diary/201203100000/

Christopher Seed - Left handed piano
http://www.anythingleft-handed.co.uk/christopher-seed.html
(YouTube)
The World's First Left-Handed Piano:
Christopher Seed plays Chopin
https://youtu.be/cowjrSTHKTw

 

 ●ピアノにおける利き手の演奏の違い

今は小学校では子供たちがみな演奏する楽器として、
鍵盤ハーモニカが多く使われています。

しかしこれは、
まさに右手・右利きの人に対応したものになっています。

これは、のちにピアノ演奏に発展できる
という理由で正当化されているように思います。

しかし、一般の人たちの理解として、
ピアノ演奏が基本的に右利き用だということを認識している人は、
少ないのではないか、と考えています。

 

「FUKUON 福田音楽教室」のピアノ講師、福田りえさんによりますと、

2011.4.11
右利き・左利き!ピアノを弾く上での利き手による影響と練習法♪
http://magic-piano.jugem.jp/?eid=34

「利き手によるピアノを弾く上での影響は?」の稿で、

 《利き手の方がそうではない方よりも自由に動かせるわけですから、
  得手・不得手が生じることは自然なことなんですね。》
で、
 《ピアノにおける右利きの利点は、
  メロディーラインを豊かに弾きこなせること。》
そして
 《左利きの利点は、伴奏部分を力強く弾けること。》
さらに、
 《それぞれその逆は苦手なこととなります。》
といいます。

しかし、いくら力強い伴奏でも、
それだけでは人を感動させるのは難しいでしょう。

逆に、伴奏がなくても、豊かなメロディーラインだけでも、
人を感動させられるのではないでしょうか。

少なくとも人の気を惹く力では、伴奏よりもメロディーでしょう。

ということは、右利きの方が圧倒的に有利だということでは?

 

で、
 《利き手じゃない方を利き手の倍練習する》
といい、
 《特に利き手の方の音が大きくなりがちなので、
  左右の音量には気をつけながら練習してみましょう。》

そして、
 《両手の音量バランスを取りながら弾けるようになったら、
  次なるステップは情感を込めてピアノを弾くことを目指してね♪》
という〆の言葉です。

「情感を込めて弾く」ということですが、
それには、やはり心につながっている利き手で
メロディーラインを弾く方がすんなりいくのではないか、
という気がします。

 

ということで、左利き用のピアノを作ってほしいものです。

アコースティック・ピアノの左利き版を作るのは、
難しいかもしれませんが、
電子版なら配線を変えるだけでできるという気がします。

ぜひ、どちらのメーカーさんで製作してほしいものです。
 

  ●今年は楽器の分野でも左右平等作戦を!

これだけ日用必需品では左利き対応が進んできた現状でも、
楽器に関してはまだまだ進んでいないように思います。

今年は、この分野でも左右平等計画を進めていきたい、
と考えています。

ご協力、よろしく!

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 「★600号までの道のり」 今回はお休みです。

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本誌では、「2022年新春左利き放談――左右平等の理想型とは」と題して、今回も全紹介です。

新年最初の発行が、1月1日になるのもめずらしいことですね。
今年も2022年第一号は新春放談ということで、左右平等社会について考えてみました。

左利きに対する理解が進むにつれて、左手・左利き用の道具類も増えてきました。
左右平等の社会に少しずつですが、近づく傾向にあります。
そんななかで、いちばん遅れているのでは、と思われる分野が楽器です。

そんな楽器について書いてみました。
やはり、いちばん実現させたい左利き対応楽器は、ピアノではないでしょうか。

 ・・・

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