2021(令和3)年 新春放談 自分の力の及ぶものと及ばないもの-週刊ヒッキイhikkii第586号
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新年明けましておめでとうございます
新春を迎え読書の皆様のご多幸をお祈り申し上げます
旧年中はお世話になりました
本年もよろしくお願い申し上げます。
レフティやすお
(画像:2021(令和三)年年賀状)
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第586号(No.586) 2021/1/2
「2021(令和3)年 新春放談
自分の力の及ぶものと及ばないもの」
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○新春放談○ 自分の力の及ぶものと及ばないもの
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今回は、久しぶり?に、新春放談です。
(手抜きという見方もありますけれど……。)
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○新春放談○
自分の力の及ぶものと及ばないもの
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛
年末に、
古代ローマの奴隷出身の後期ストア派の哲学者
エピクテトスの哲学書(弟子のアリアノスが筆記した)
『人生談義(上)』の新訳版が出版されました。
・エピクテトス『人生談義(上)』國方栄二訳 岩波文庫
2020.12.15(2020/12/17)
彼の哲学は、人生哲学といった種類のもので、
その原点は奴隷時代の経験に立脚した哲学と言えるでしょう。
この『人生談義(上)』収録の『語録』の冒頭の
「第一巻第一章」の表題が今回の表題にした文の元ネタです。
《「われわれの力の及ぶものとわれわれの力の及ばないもの」》
《われわれの力の及ぶものは、
最も善いように処理しなければならないが、
力の及ばないものは
自然のままに扱うようにしなければならないということだ。/
「自然のままにとはどういうことだ」/
神が望むままにということだ。》p.23
《...何が自分の手元にあるのだろうか。
何が自分のものであり、何が自分のものでないのか、
何が自分に許されており、
何が自分に許されていないのかを知ること、
これ以外に何があるのだろうか。》p.24
《...私を縛るのか。君は私の足を縛るだろう。
だが、私の意志はゼウスだって支配することはできない。》
p.25
この『語録』とは別に『要録』という著作があり、
こちらは、『語録』の抜粋版飛べもいうべき、
もっと端的にその思想を言い表したものです。
これは、この岩波文庫版では、下巻に収録されます。
(来月にでも出るのでしょう。)
その『要録』を翻訳紹介しているのが、
スイスの哲学者ヒルティの著作『幸福論 第一部』です。
この中の一章「エピクテトス」がそれ。
・ヒルティ『幸福論 第一部』草間平作訳 岩波文庫
「エピクテトス」
―エピクテトス「提要」を翻訳紹介している章
次に、その第一節を引用してみましょう。
《世にはわれわれの力の及ぶものと、及ばないものとがある。/
われわれの力の及ぶものは、判断、努力、欲望、嫌悪など、
ひと言でいえば、われわれの意志の所産の一切である。
われわれの力の及ばないものは、われわれの肉体、財産、
名誉、官職など、われわれの所為(せい)でない
一切のものである。われわれの力の及ぶものは、その性質上、
自由であり、禁止されることもなく、妨害されることもない。
が、われわれの力の及ばないものは、無力で、隷属的で、
妨害されやすく、他人の力の中にあるものである。》pp.43-44
自分の力の及ぶ範囲と及ばない範囲、
及ぶものと及ばないもの、とをしかり把握せよ! といいます。
いかにも奴隷の身にあった人らしいと思いませんか。
奴隷は自分の意志で働くのをやめたり、休憩したりはできません。
しかし、どのように働き方を工夫するかは、
可能なのではないでしょうか。
自分の判断できることは自分が判断し、
自分の手の届かないものは「自然に任せる」。
奴隷の身であれ、自暴自棄になって、諦めてしまえば
おしまいです。
必ず自分の力にできることがあるはずです。
そこに専念し注力する、そうすれば何かしら変化が生まれる。
奴隷の子に生まれ、奴隷であったエピクテトスも
のちに解放され、
哲学者として生きて、弟子を育てました。
私たちも
コロナの感染状況そのものをどうこうすることはできません。
しかし、コロナ感染を避けるべく、
ある程度の手段を講じることはできるでしょう。
人の集まるところにはなるべく近づかないとか、
やむなくそういう場所に行くときは、マスクをするとか、
人との距離をとるように心掛ける、
消毒や手洗いなどなど……。
それと同じで、何事も自分でコントロールできることと、
できないことを分けて考える。
それは一つの知恵です。
(画像:エピクテトス『人生談義(上)』國方栄二訳 岩波文庫他、ストア派哲学者哲学書・入門書
●「長いものには巻かれろ」ではない
(略)
●松井秀喜『不動心』にも
(略)
●今、私の力の及ぶもの――『左組通信』【復活版】
(略)
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本誌では、「2021(令和3)年 新春放談 自分の力の及ぶものと及ばないもの」と題して、昨年末出版されたエピクテトス『人生談義(上)』國方栄二訳 岩波文庫からの引用とともに私なりの今自分の力の及ぶものとしての今年の抱負的なものを語っています。
いつものことですが、詳しい内容は本誌でご覧いただきたいと思います。
もし、気になるという方がいらっしゃれば、ぜひご購読をお願い申し上げます。
・・・
詳細は、本誌で。
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