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2018.10.29

おまたせ!ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションV 第三回配本10月31日発売

毎回出版まで待たされる、「ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション」の第三回配本がようやく発売されます。

 

『カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密 (ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション)』ジュール・ヴェルヌ 著 新島進 訳

インスクリプトのサイト

アマゾンにも出ています。

 

 

「カルパチアの城」「ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密」の2作収録。

「カルパチア――」は、吸血鬼「ドラキュラ」の里とも言うべき、トランシルヴァニアを舞台とした作品で、ブラム・ストーカーの名作『ドラキュラ』出版の5年前の作品だそうです。

「ヴェイルヘルム――」は、H・G・ウェルズ『透明人間』の向こうを張って書いたという作品で、息子のミシェルが書き替えた版が流布していた(未訳)そうで、今回ヴェルヌのオリジナル版が本邦初訳になるといいます。
しかも、参考としてミシェル版の最終章も併録とのこと。

「訳者あとがき」からの言葉によりますと、21世紀に通じるテーマを扱った両作品で、視覚と聴覚によるヴァーチャルな、仮想現実に囲まれている現代人の「戸惑い」を先取りしている、といいます。

なかなか楽しみな一冊です。

 ・・・

『カルパチアの城』は、私の子供のころに既訳があります。
アポロ計画で「人類ついに月に立つ」のころ、集英社からコンパクトブックス版〈ヴェルヌ全集〉全24巻のうちの一冊として出版されました。

その後、集英社文庫〈ジュール・ヴェルヌ・コレクション〉(14巻)の一冊として再刊されました。

今回は、新たな研究のもと、新訳決定版として、原著挿絵付きで登場。
さらに、未訳の「ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密」とのカップリングです。

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(画像:集英社文庫版『カルパチアの城』と「カルパチアの城」の一部を収録した吸血鬼小説アンソロジー『ドラキュラドラキュラ』種村季弘編、河出文庫、目次と解説)

 

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(サイトより)
元祖ヴァーチャルアイドルと見えない花嫁……。本巻では、東欧を舞台にしたゴシック小説的幻想味あふれる後期の傑作二篇を収録。「カルパチアの城」はブラム・ストーカーの「ドラキュラ」に先立つこと五年、吸血鬼伝説の本場トランシルヴァニアを舞台に、作家が推敲を重ねた自信作。ホフマン、ポーやルルーの「オペラ座の怪人」などを好む方々には特におすすめの完訳版。レオン・ブネットの挿画40枚収録。
「ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密」は、H・G・ウェルズ「透明人間」の向こうを張ってヴェルヌが書いた透明人間もの。本作は息子のミシェル・ヴェルヌが書き換えた版(未訳)が長く読まれてきたが、今回がジュール・ヴェルヌのオリジナル版本邦初訳となる。唖然呆然の最終章のみ、ミシェル・ヴェルヌ版を併録した。
二作ともに、不在の女性への狂恋が物語を貫いており、美しきヴォーカロイドとも言うべきラ・スティラを追い求める二人の男(「カルパチアの城」)、完璧な令嬢ミラへの倒錯的愛に身を捧げるヴィルヘルム・シュトーリッツの、身の毛もよだつ透明人間ストーカーなど、さまざまな意味での現在性を孕んだ「〈独身者機械〉小説」(新島進)であり、ヴェルヌの最も21世紀的な小説。面白さ抜群の二篇を練り上げられた訳文と詳細な註を付して贈る。

両篇が秘めるヴェルヌらしさは決して他に引けをとらず、そして、なにより作品がきわめて現代的な、それもまさに今、二一世紀に通じるテーマを扱っていることを強調しておかなければなりません。[…]見えない花嫁と元祖ヴァーチャル・アイドル。[…]この二篇に共通かつ中心的なモチーフはなにかと問われれば、それは「不在の女性への熱情」ないしは「男性の一方的な女性への情念」ということになるはずです。二作合わせて四人の独身者と、独身者機械となった二人の花嫁[…]。この究極の独身者性は、視覚と聴覚による仮想現実に囲まれているわれわれ現代人の「戸惑い」を先どりしているのではないでしょうか。(「訳者あとがき」より)

【目次】
カルパチアの城
ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密
ミシェル・ヴェルヌ版第一九章
訳註
解説 石橋正孝
訳者あとがき
細目次

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★2019.1.10 ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクションV(カルパチア)と(シュトーリッツ)を読む --

 

*『お茶でっせ』ジュール・ヴェルヌの記事: 【ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション】
・2017.11.21 ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション第2回配本『蒸気で動く家』を読む ・2017.4.7 『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』を読む ・2017.1.23 『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』1月20日発売

【文遊社<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・2014.7.19 文遊社ジュール・ヴェルヌ復刊第四弾『緑の光線』7月30日発売 ・2014.1.13 文遊社ヴェルヌ復刊シリーズ第3弾『黒いダイヤモンド』年末に発売 
・2013.10.17 ジュール・ヴェルヌ『ジャンガダ』を読む ・2013.8.6 ジュール・ヴェルヌ『永遠のアダム』を読む&『ジャンガダ』出版 【その他の<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・2017.1.22 ヴェルヌ『名を捨てた家族 1837-38年ケベックの叛乱』を読む ・2016.7.25 角川文庫から新訳ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』(上下)7月23日発売 ・2015.8.10 ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』椎名誠、渡辺葉・父娘共訳31日発売 ・2013.6.2 ジュール・ヴェルヌの本2点『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』『永遠のアダム』 ・2012.10.25 テレビの威力か?HPジュール・ヴェルヌ・コレクションにアクセス急増! ・2007.8.24 ジュール・ヴェルヌ『海底二万里(上)』岩波文庫 ・2004.10.18 偕成社文庫版ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』と映画『80デイズ』
・2004.7.2 復刊された『グラント船長の子供たち』

 

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