読書とは自転車:私の読書論98-長田弘『読書からはじまる』後編
―第211号「レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2017(平成29)年11月15日号(No.211)「私の読書論98
-長田弘『読書からはじまる』後編」
本誌では、長田弘さんの読書に関するエッセイ『読書からはじまる』を読んで感じたことについて書く二回目です。
《読書の核をなすのは、努力です》という長田さんの言葉に共感してしまうところがあります。
それは、なぜかといいますと、やはり「自分は努力家だ」と思いたいからでしょうか。
「努力家」という言葉に日本人はグッとくる部分がありますよね。
その点、外国の人は「努力」より「才能」という言葉にグッとくるのではないでしょうか。
「努力家だ」と言われるより、「才能があるね」と言われるほうが嬉しいと感じるのでは?
「努力家」というのは、ただがんばってるだけで、能はないかもしれない人。
「才能のあるヒト」は文字通り、才能があるというわけで、上級の人間です。
「読書」に戻ります。
読書というのは、やはり自力で読み進めるしかないわけです。
テレビや映画なども、きちんと見ていなければ分からない部分もありますが、待っていればいい(あるいは、乗って行けばいい)という面もあり、その分は楽な気がします。
「情報」と「読書」の違いについては――長田さんは、「分ける」文化と「育てる」文化の違いと書いています。
「情報」は「享楽」で、「読書」は「努力」とも言っています。
私が思うのは、「情報」というものは、テレビと同じで待っていればいい(あるいは、乗って行けばいい)という面がある、すなわち「享楽」ですね。
考えなくても受け止めればいい、ということ。
それに引き換え「読書」は、自分で考えないといけない、という感じで、まさに「努力」です。
自動車と自転車といってもいいかもしれません。
自分でこがなくてもいい自動車と自分でこがなければ進まない自転車。
どちらが楽かと言えば、やはり自動車のほうが楽でしょう。
スピードも出るし、短時間で遠くまで行ける。
でも、移動した実感はどうでしょうか。
風の強さ弱さや路面の微妙な傾きまで伝わってくるのが、自転車ではないでしょうか。
「動いた感」といったものがあります。
「読書」もそういう面があるように思います。
「自力で動かした感」とでもいったものが。
「情報」は、自動車に乗っているときの「動かされた感」。
自発性といってもいいかもしれません。
自発性が感じられる。
それが、読書した時の充実感につながっているような気がします。
・・・
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*参考:
長田弘『読書からはじまる 人は読書する生き物である。』日本放送出版協会 NHKライブラリー 2006/10
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