実用書道家・谷口栄豊さんの左利きの生徒さんのお話
名古屋の実用書道家という、硬筆・小筆専門の美文字塾の先生・谷口栄豊(えいほう)さんのブログに、左利きの生徒さんの上達ぶりを報告する記事がアップされています。
谷口さんの教室は、芸術的な書道ではなく、「実用書道」――硬筆・小筆を主に、仕事や日常生活で実用的に書いている文字を「整って読みやすい文字」で書く――を指導するものだそうです。
画像にもありますように、左利きの生徒さんにはきちんと左手で書く方法を指導されています。
(考えてみれば、当然と言えば当然のことなのですけれど、当たり前が当たり前に行かないのが現実というものでして……。)
《正直に言うと、字は右手の方が書きやすい/と、私も思っているところがあります。/しかし、こちらの生徒さんの利き手は左。/利き手だからこそ、何の違和感もなく/すらすらと流れるように「ひらがな」を書いていかれます。》
《利き手だからこそ...すらすらと流れるように》とおっしゃっています。
私もそういうものだと思っています。
それが利き手というものでしょう。
当初は「子供の書いたようなひらがな」だったものが、個人レッスンを重ねて、「正しい文字の書き方」を習い、見違えるように「大人のひらがな」に変化しています。
これもやはり、利き手だからこそだと思うのです。
・・・
ただひとつ、ちょっと気になったのは、手の位置といいますか、文字と手(筆記具)の角度です。
肘を張るようにして横手の方から縦書きの文字を書いているのかな、という感じがします。
(腕・手)⇒┃(↓縦書きの文字)
(画像:当該ブログから無断転載、一部加工)
後方右サイドからの写真と思われますが、写し方問題でこういうふうに見えているのかもしれませんけれど。
私の構え方・書き方とは少し異なり――私は基本、腕は文字に対してまっすぐに、という構えです――少し気になりました。
・・・
谷口さんは、「字は大人になってから練習した方が確実に上達します!」とおっしゃっています。
その理由は、《字をきれいに書くためには、『正しい理論』と『正しい書き方』が必要》という言葉に現れています。
要するに、書き方を知れば書ける、というわけです。
私は書道の専門家ではありませんけれど、長年左手で文字を書いてきて思うに、多分これが正解でしょう。
これからもこういう“利き手の違いに優しい”先生が増えてくださることを願っています。
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