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2017.01.23

『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』1月20日発売

先の記事↓で少し触れました、「ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション」及び、第1回配本、第II巻『地球から月へ 月を回って 上も下もなく(完訳ガンクラブ三部作)』について書いてみます。

 

2017.01.22 ヴェルヌ『名を捨てた家族 1837-38年ケベックの叛乱』を読む

 

「ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション」全5巻の刊行が始まりました。

インスクリプト ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション

第1回配本『地球から月へ 月を回って 上も下もなく(完訳ガンクラブ三部作)』石橋正孝訳・1月20日刊行

 

 

 

完訳ガンクラブ三部作世界初の合本。/石橋正孝訳・解説 月面に向けて打ち上げられた砲弾列車。巨大な大砲に取り憑かれた愛すべき紳士たちが活躍するガンクラブ三部作、世界初訳の補遺、挿画128葉を収録した特大巻として刊行!

このシリーズは、《21世紀ヴェルヌ研究の世界的権威、石橋正孝によるヴェルヌ原文の校訂、最終ヴァージョンを確定した上での底本・定本化と全巻解説》という、A5版二段組み平均500ページ超の大部な“ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉”の傑作選です。

〈全巻構成〉
第I巻(第4回配本)ハテラス船長の航海と冒険 荒原邦博・荒原由紀子訳(18年春刊) 予価:5,500円 [新訳]
第II巻(第1回配本)地球から月へ 月を回って 上も下もなく 石橋正孝訳(17年1月刊) 特大巻:5,800円 [完訳 世界初の合本]
第III巻(第5回配本)エクトール・セルヴァダック 石橋正孝訳(18年秋刊) 予価:5,000円 [本邦初の完訳]
第IV巻(第2回配本)蒸気で動く家 荒原邦博・三枝大修訳(17年5月刊) 予価:5,500円 [本邦初の完訳]
第V巻(第3回配本)カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密 新島進訳(17年11月刊) 予価4200円 [新訳、本邦初訳]

新訳(Iハテラス船長の航海と冒険、II地球から月へ、月を回って、上も下もなく、Vカルパチアの城)、初完訳(IIIエクトール・セルヴァダック(『彗星飛行』ジュニア版)、IV蒸気で動く家)、本邦初訳(Vヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密)という内容。
ほぼ初訳が後ろの三作。

私が今一番読みたいのは、「蒸気で動く家」です。
次に、宇宙ものらしい「エクトール・セルヴァダック」。

挿絵も豊富ということなので、その点も楽しみなコレクションです。

ただ、もう少し低価格になれば、ということと、もういくつか追加を期待したい、というところです。

今までに紹介された作品数は、〈驚異の旅〉全体の三分の二ぐらいではないでしょうか。
まだまだおもしろい作品があるのではないか、という気がするのですけれど。

ヴェルヌの作品ならなんでもいい、というつもりはありませんけれど、知らない作家の○○程度のできの作品よりは、という気持ちです。

 ・・・

第一回配本の『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション II 地球から月へ 月を回って 上も下もなく』の三作は、砲弾による月探検二部作とその後のプロジェクト。
旧訳題名『月世界旅行』集英社コンパクトブックス ヴェルヌ全集、『月世界探検』ヴェルヌ全集(『月世界へ行く』創元SF文庫)、『地軸変更計画』創元SF文庫 の新完訳の世界初の合本の特大巻だそうです。

正直迷ってしまいますね。

第一回なので、既訳のものよりは、という感じでいます。
本邦初訳から始まるほうが嬉しさは倍増する、と思えるのですが。

まあ、文句ばっかりではいけません。
素直に喜びましょう。

手に取るのが楽しみです。

そして、これからも企画が継続することを祈りましょう!

 

*『お茶でっせ』記事:
【文遊社<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・2014.7.19 文遊社ジュール・ヴェルヌ復刊第四弾『緑の光線』7月30日発売 ・2014.1.13 文遊社ヴェルヌ復刊シリーズ第3弾『黒いダイヤモンド』年末に発売 
・2013.10.17 ジュール・ヴェルヌ『ジャンガダ』を読む ・2013.8.6 ジュール・ヴェルヌ『永遠のアダム』を読む&『ジャンガダ』出版 【その他の<ヴェルヌ>の過去の記事】:
・2017.1.22 ヴェルヌ『名を捨てた家族 1837-38年ケベックの叛乱』を読む ・2016.7.25 角川文庫から新訳ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』(上下)7月23日発売 ・2015.8.10 ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』椎名誠、渡辺葉・父娘共訳31日発売 ・2013.6.2 ジュール・ヴェルヌの本2点『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』『永遠のアダム』 ・2012.10.25 テレビの威力か?HPジュール・ヴェルヌ・コレクションにアクセス急増! ・2007.8.24 ジュール・ヴェルヌ『海底二万里(上)』岩波文庫 ・2004.10.18 偕成社文庫版ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』と映画『80デイズ』
・2004.7.2 復刊された『グラント船長の子供たち』

 

 

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Comments

ご紹介ありがとうございます(また拙著や拙訳についても触れてくださって感謝します)。企画については十年前から進行していたものであること、また、コンタクトが取れた出版社との関係から現実的に決まったものであることをご考慮いただければ幸いです。可能であればすべて未訳作品にしたかったですが、現実的にはそれは難しいでしょうし、それを受け入れてくれる出版社だと訳者には一銭も入らない可能性が高いです。また、新訳を出す必要の高い重要作は外せないわけで、入手困難な『ハテラス』(これは本国ではヴェルヌの最高傑作のひとつに数えられています)はもちろんですが、ガンクラブ三部作については(あまり言いたくありませんが)既訳で入手可能なものは誤訳があまりにも多いのです(拙訳にも当然誤訳はありますが……ヴェルヌ研究会のブログをご参照ください)。ですが、とにかくまずは現物を店頭でご覧いただければ、と。

Posted by: ishibashi | 2017.01.24 03:05 PM

コメントありがとうございます。

一ヴェルヌ・ファンとして、第一回配本なので、目新しいものが欲しいなあ、という単純な願望です。
ガンクラブ三部作の合本という企画自体は、興味深いものではありますけれど。

文遊社の復刊企画を除けば、昨今出るものと言えば、地底・海底・八十日の三大名作の新訳ばかりといった様相です。(海底など何冊持っていることか!)
新訳・完訳によって、本来あるべき姿で紹介されること、誤訳が正されより正確な翻訳で読めること、今の時代に合った言葉に翻訳されることの意義は理解できます。
真のヴェルヌ作品を知る上でも、重要なことです。

また、現在の出版状況――特に翻訳ものに関する――も理解できます。

それらを超えて、少年時代からのヴェルヌのオールド・ファンとしては、まず目新しいものを、と願うのは贅沢でしょうか。(まあ、自然な感情でしょう。)

どちらにしろ、厳しい状況にあることは事実ですが、(われわれオールド・ファンのためにも)これからも日々研鑽を続けられ、その努力が報われますことを願ってやみません。

Posted by: レフティやすお | 2017.01.24 03:43 PM

早速のお返事、ありがとうございます。第一回配本をどれにするか、という戦略の問題でしたね。これは単純に訳ができた順番です、と言ってしまえばそれまでなんですが、やはり十年もかかってしまったので、その間の情勢の変化とのずれが大きいです。正直、一般の四六判で値段をもう少し下げる、ということは部数を増やす、というふうに当初は考えていたわけで、そうすると一般向けにマニアックな未訳作品を第一回配本にはできないので、一番有名な、一般受けしやすそうな作品を持ってくる、ということになります。ところが、結局、大判にしてコアなファン層狙いになったので、ずれができてしまった次第です。実は、ガン・クラブ三部作を個人的には入れたくなかったのですが、「三大名作」を外す、という選択を出版社に受け入れてもらうための「妥協」だったんですよ……実際に訳してみて考えは変わりましたし、この新訳の意義は確信していますが。いわゆる愛蔵版としては悪くない出来だと思いますので、繰り返しになりますが、ぜひ一度手に取っていただきたいと切に願っているところです。引き続きご支援ください。

Posted by: ishibashi | 2017.01.24 04:31 PM

一般の読者には、三大名作の地底・海底・地上の他に、宇宙(月世界)を扱っている(海上もですけれど)作家というイメージはいいと思います。
これが売れないと次に進みにくいという面から、営業サイドは初訳ものよりは売り込みやすいのでは…。
豪華な本は財布と置き場所の問題で悩みますね。でも、ファンとしては次のためにもぜひ売れて欲しいです。

Posted by: レフティやすお | 2017.01.24 11:33 PM

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