中国の古代思想を読んでみよう(9)『春秋左氏伝』を読む
―第184号「古典から始める
レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2016(平成28)年9月30日号(No.184)-160930-「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(9)『春秋左氏伝』を読む」
本誌では、「中国の古代思想を読んでみよう(9)『春秋左氏伝』を読む」と題して、『春秋左氏伝』を取り上げています。
なにしろ長大な著作で、全部は読み切れませんでした。
読めば、それなりに面白いお話も含まれています。
四大戦役など、それぞれに面白表現もあり、福沢諭吉さんがその自伝『福翁自伝』「幼少の時」で、15歳から漢籍を習い、中でも『左伝』が好きだった、と書いているのもわかるような気がします。
しかし、私も福沢さんの言う他の書生同様、三、四巻でおしまいになってしまいました。
《「私は左伝が得意で、大概の書生は左伝十五卷の内三四卷で仕舞ふのを、私は全部通読、凡そ十一度び読み返して、面白い処は暗記して居た」》安本博「福沢諭吉・夏目漱石・幸田露伴・宮城谷昌光」より引用(『春秋左氏伝 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』)
・・・
これで、「四書五経」のうち、後半の「五経」を一応見て来ました。
どれも「すべて通読した」とは言い切れませんでしたが、それなりに目を通し、どういうものであるか、その入口の雰囲気程度は味わえたか、と思っています。
次に「四書」に入っていこうと思います。
近年、『論語』を除けば、これら「四書五経」を読んでみようという人は、まずいないのではないか、という気がします。
一部の専門とする学生さんを除いて。
しかし、それらの中国古典を出典とする言葉は、数多く現代でも生きて残っていることが分かりました。
確かに、近年使われることの少ない、忘れられた表現も多数出てきています。
それは事実ですが、根本に置いて全く消えてしまったわけではありません。
また、過去の文物に置いて使用されていることも事実で、基礎教養の知識として必要になることもあります。
そして第一に、歴史というものは繰り返されるものであり、影響が長く尾を引くものでもあるという事実です。
忘れた頃に来るというのは、天災だけではありません。
人為的な災難――人災も、同じでしょう。
政治もそうです。
そういう意味では、過去の出来事を知ることも重要です。
そのためには、様々な言い回しにも触れておく必要があります。
理解できるに越したことはありませんが、知っておくという姿勢が第一です。
古典を読む効用の一つとして、こういう知識の習得というものがあります。
そうは言っても、本来の古典を読む意義としては、邪道という見方があることも事実です。
大切なことは、自分の人生に引き付けて読むことだ、という見方もありますので。
まあ、確かに古典(に限らず書物)を読む効用としては、それぞれ色んな意見があります。
唯一つ言えることは、知識は邪魔にはならない、知識の習得はムダにはならない、ということでしょう。
では、また次回。
・・・
詳細は本誌で!
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』
*本誌で取り上げた本:
●【春秋左氏伝】訳本・ダイジェスト本・概説書
『中国古典文学大系 (2) 春秋左氏伝』竹内照夫/訳 平凡社 1968/2
『春秋左氏伝』上中下 全3巻セット 小倉芳彦/訳(岩波文庫)
『春秋左氏伝 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』安本博 角川ソフィア文庫 2012/2/25
―「解説」と「読み下し・原文・現代語訳」ダイジェストで紹介。
『春秋左氏伝―その構成と基軸』野間文史 研文出版 研文選書105 2010/3/10
―『春秋左氏伝』の概要を大づかみに捉え、特徴を探る概説書。
『中国の思想 XI 左伝』松枝茂夫/訳 徳間書店 第3版 1997.2
● その他の引用文献
夏目漱石『文学論(上・下)』岩波文庫 2007
―(上)「序」、(下)「第4編 文学的内容の相互関係 間隔論」
福澤諭吉『福翁自伝』土橋俊一/校訂・校注 講談社学術文庫 2010
―「幼少の時」
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