古代中国思想編(8)礼記を読む&抄訳
―第178号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2016(平成28)年6月30日号(No.178)-160630-「古代中国編―
中国の古代思想を読んでみよう(8)礼記を読む」
本誌は、中国古代思想<四書五経を読む>の8回目、「『礼記』を読む」でした。
●抄訳
私が読んだものは、抄訳でした。
抄訳だからダメということはないのですが、全容を知るという意味では全訳を読んでおきたいという気持ちはあります。
内容を理解できるかどうかは別にして、一度は見ておくことが大事だと思っています。
意外に、何かしら参考になる部分があったり、感じる部分があったりするかもしれません。
抄訳について書けば、“分かっている”訳者さんによる抄訳なら価値ありだと思います。
ただ自分と合う合わないという面もあります。
どうしても訳者による意図的な省略があるので、それが適したものなら、という条件があります。
そこで、全訳なら翻訳の問題だけですので、課題が一つということになります。
最近は「超訳」という本も増えています。
これは正直ちょっと……という気がします。
確かな人物のものなら抄訳でもいい、と書きましたが、超訳というのはどうしても信用できません。
意訳でもなければ抄訳でもなく、すべてが訳者の意にかかっているので、適当な感じがして、どうも信頼感に欠けてしまいます。
読んでもらえればよい、というものでもないでしょう。
最近の悪い傾向の一つだと考えています。
例えば、最近のもので集英社文庫で『ポケット・マスターピース』という海外の19世紀を中心とした作家の文学作品シリーズが出ています。
マスターピースという各作家の代表作を集めた入門書となっています。
ここでは、分量的に限度があり、長尺もの作品を抄訳で収録しているケースがあります。
トルストイ篇では『戦争と平和』、マーク・トウェイン篇では『ハックルベリー・フィンの冒険』が抄訳で収録されています。
それぞれ一流の編訳者が抄訳にチャレンジしています。
*ポケットマスターピース|集英社文庫ヘリテージシリーズ
『マーク・トウェイン』柴田元幸/編
その作品をよく分かった人が精力的にダイジェストしたものなら、それなりの価値が認められます。
まずは、抄訳を入り口にその作品に親しんでもらうという姿勢は有効です。
そういう意味では、抄訳も決して捨てたものではありません。
ただ余裕があれば、全訳を、と言いたいですね。
優れた作品と呼ばれるものには、理由があるのです。
その理由を知りたいと思いませんか。
私は思います。
だから一ページも逃さず読んでおきたいと思うのです。
・・・
詳細は本誌で!
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』
*本誌で参照した本:
◎『論語 孟子 荀子 礼記(抄)』平凡社〈中国古典文学大系・1〉1970.1
―礼記(抄) 竹内照夫/訳
○竹内照夫『四書五経入門 中国思想の形成と展開』(平凡社ライブラリー320 2000.1.24)
「第三章 礼、その形と心―『礼記』」
○野間文史『五経入門 中国古典の世界』研文出版・研文選書119 2014.3.20
「第五章 礼(儀禮・禮記・周禮)」
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