古代中国思想編(5)書経を読む
―第172号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2016(平成28)年3月31日号(No.172)-160331-
「古代中国編―中国の古代思想を読んでみよう(5)書経を読む」
本誌では、四書五経の第二弾、『書経』を取り上げています。
『書経』は、現在では多分ほとんどの人が読んだことのない書物かもしれません。
私も名前のみ知っているだけで、こういう機会でもなければ、触れることのない書物でした。
今回読んでみて、現代の中国を知る意味でも政治的・思想的に重要な書物ではないか、という気がします。
こういう歴史の伝統の上に現在の中国政府もあるのではないでしょうか。
王とその臣下や一般人民との在り方として、天命や民のための明徳慎罰の政治といった理想の世界が描かれています。
後年、これらが支配者の基準となったというのもうなずけます。
中国の神話を人間の歴史に組み込んでいる虞夏書の部分などに神話の原型を探るといった試みも興味深いものがあります。
神話は、それぞれの国や民族の文学の原点でもあり、これを知ることは民族の文化や思想を知る上でも大きな手がかりになります。
そういう面でも一読の価値のあるものだと言えるでしょう。
と言いつつ、実はおよそ二か月近くかかりながら、A5版二段組みの全集本でわずか370ページが読み切れませんでした。
残り40ページほどを残した時点でこれを書いています。
古典の読み方として私が推奨しているのは、(1)現代語訳でも翻訳でもいいから、まずは原典となるものを一度読んで、自分なりの何かを手にしてから、(2)注釈書や解説書を読み、(3)もう一度全篇を読んでみる、という方法です。
そういいながらも今回は、本文だけなら総計で150~60ページぐらいなのに、各篇の後に注が付いていることもあり、そのまま読み進めました。
思いのほか苦戦し――本を持っているだけでも一キロあり重いというせいもありますが――、漢字が難しいという理由も大きく、時間内に読み切れませんでした。
注には、翻訳上の解釈に関する部分も多く、この辺は素人は読み流してもよかったのですが、本文解釈上の注もあり、一気に読んでしまうことにしたのが失敗でした。
まあ、その辺は自分で判断し、読み込むようにして欲しいものです。
ただ『書経』の場合、一般向けの初歩的な解説書・注釈書といったものがほとんどなく、色んな本を探しながらで、ちょっと勉強しにくい面があります。
その辺は学者の先生方にこれからガンバって欲しいものです。
出版界も、金儲け中心の当面の人気に媚びる偏ったやり方をやめて、もっと実質的で普遍的価値のあるもの、百年千年単位の命脈を保つ書物を出して欲しいものです。
初版だけでおしまいになるような、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる式のものでなく、少なくとも十年二十年単位で売れ続けるものを目指してください。
まずは出版点数を絞ることでしょう。
少数精鋭で、勝負を!
・・・
詳細は本誌で!
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』
*本誌で参照した本:
◎赤塚忠訳『書経・易経(抄)』(平凡社〈中国古典文学大系・1〉昭和47(1972).6.20)
○竹内照夫『四書五経入門 中国思想の形成と展開』(平凡社ライブラリー320 2000.1.24)
○野間文史『五経入門 中国古典の世界』(研文出版・研文選書119 2014.3.20)
○『中国哲学を学ぶ人のために』本田済/編(世界思想社 1975.1.20)
○白川静『中国の古代文学(一)神話から楚辞へ』(中公文庫BIBLIO 1980.9.10)
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