パパイラス船長、ハードボイルド小説研究家・小鷹信光氏死去
昨夜(12月8日)、長らく『HMM(ハヤカワ・ミステリ・マガジン)』連載コラムで親しんだ小鷹氏の訃報を聞きました。
享年79。
『HMM』で現在3号連続の『KODAKA NOBUMITU'S MYSTERY MAGAZINE』が連載中(現在発売中の1月号に創刊第2号掲載)で、これの<創刊号>「編集後記」で、膵臓の腫瘍発症と書かれていて、病気療養中とは知っていましたが、残念なことです。
来年発売予定の3月号で3号の最終となる予定ですが、まさかそれが「追悼号」になる(?)とは。
<創刊号>(『HMM』2015年11月号)の冒頭の連載コラム「ペーパーバックを繰りながらあの頃の話をしよう」の冒頭に、《小鷹信光ミステリマガジン》のことを《おそらくこれが、私の最後の晴舞台となるだろう》と書かれています。
本当にそうなってしまったようで、非常に悲しい思いです。
同じこの号の「編集後記」で《人生最高のご褒美をいただいた思いでいっぱいです》と書かれているのが、せめてもの慰めです。
*【小鷹信光ミステリマガジン】連載:
創刊第1号『ミステリ・マガジン(HMM)』2015年11月号
第2号『ミステリ・マガジン(HMM)』2016年1月号
私にとっては、1970年の終わり、『HMM』連載のアーヴィング・ストーン「クラレンス・ダロウは弁護する」の翻訳が最初の出会いだったかと思います。
そして最も印象に残っているのが、「パパイラスの舟」の連載コラムでした。
『HMM』オールド・ファンとなってしまった私にとって、小鷹さんの連載コラムは、現在『HMM』を読む最大の楽しみ(昨今は海外ミステリの翻訳掲載が極端に減り、ある意味では唯一の楽しみかもしれない)だったのですけれど……。
訃報ニュースの見出しにもなっていた、松田優作主演の今や“伝説”のテレビドラマ『探偵物語』の原案の小鷹氏でもあったのですが、この“原作”小説もあまり顧みられませんが、なかなか優れたハードボイルド探偵小説です。
この機会に再刊されることを望みます。
*探偵【工藤俊作】シリーズ(幻冬舎文庫):
『探偵物語』1998/10
『探偵物語/赤き馬の使者』1999/2
『新・探偵物語』2001
『新・探偵物語/国境のコヨーテ』2001
*私のお気に入り小鷹氏の著作:
『“新パパイラスの舟”と21の短篇』論創社 (2008/11)
―「ミステリマガジン」連載“架空アンソロジー・エッセイ”+テーマ別短篇小説21編
*最近の訳書:
『チューリップ ダシール・ハメット中短篇集』草思社 (2015/11/12)
《ハードボイルド小説の日本での紹介者・小鷹信光個人訳に、評論・解説を付す。/ハードボイルド精神とは何か? 遺作と編者特選短篇を集めた愛蔵版。》
ご冥福をお祈り致します。
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