心が澄む、清らかになる教え―原始仏教(3)原始仏典(1)スッタニパータ(後編)
―第138号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2014(平成26)年10月31日号(No.138)-141031-
「原始仏教(3)原始仏典(1)スッタニパータ(後編)」
本誌では、前回に続き、『ブッダのことば―スッタニパータ―』中村元/訳 (岩波文庫)から、私の目にとまった気になる言葉を抜き書きしてコメントしています。
●本誌から
本誌で、
「仏教では清らかなこと、心の澄んだことを一つの理想の心の状態とするようです。/心の平穏と言いますか、安らぎを求めるのが、仏の教えなのでしょうか。」
と書いています。
--
第五 彼岸に至る道の章/一四、学生ウダヤの質問--
《一一〇七 平静な心がまえと念(おも)いの清らかさ、――それらは真理に関する思索にもとづいて起るものであるが、――これが、無明を破ること、正しい理解による解脱、であると、わたくしは説く。」》p.234第五 彼岸に至る道の章/一八、十六学生の質問の結語
《一一四七 (ピンギヤはいった)、「わたくしは聖者のおことばを聞いて、ますます心が澄む(=信ずる)ようになりました。さとった人は、煩悩の覆いを開き、心の荒(すさ)みなく、明察のあられる方です。》p.241
●心清らかに
原始仏典を読んでいますと、仏教というものは、心の穢れを取り除いて、心を清らかにせよ、という教えのように思います。
例えば、悪い言葉、荒い言葉を使うな、美しい言葉、正しい言葉を使え、とか、悪い考えを持つな、よい考えを持て、とか。
倫理的といいますか、道徳的なことばかりという気もします。
しかし常日頃からそういう態度を心掛けていれば、自然と悪い人間にはなれないのではないか、と納得もします。
とはいえ人間は弱いもので、常に誘惑されます。
「もっともっと」と際限なく色々な欲望が湧いて来るものです。
それらを煩悩として一刀両断に切り捨てられる人はまずいないでしょう。
では、どうするのか、といいますと、
煩悩は、欲望は人間の証として一旦認めてしまい、その上で、それを悪い方向に働かせないように制御せよ、というのです。
仏教では、四諦もしくは四聖諦(ししょうたい)という基本的な真理の教説があります。
苦集滅道(くじゅうめつどう)と呼ばれるものです。
人生は苦である、という真理(苦諦)
苦の原因は欲望である、という真理(集諦じったい)
欲望を滅すれば悟りに到る、という真理(滅諦)
悟りに到るための実践として八正道がある、という真理(道諦)
ここで、欲望を滅すれば、という条件が出て来ます。
しかし、先ほども書きましたように、これを完全に滅するということは難しい。
実際の方法としては、この欲望を制御して悪い働きをさせない、ということだ、と奈良康明さんの著作にありました。
*
『原始仏典の世界―仏典の教えを現代にどう生かしていくか』奈良康明/著 NHKライブラリー 1998.4.1
―原始仏典の教えを噛み砕いて示し、自分の身に置き換え、現代を生きる智慧として活かす道を明らかにする。
『ブッダ最後の旅をたどる』奈良康明/著 大法輪閣 2012.10.1
―原始経典『ブッダ最後の旅――大パリニッバーナ経――』(中村元/訳 岩波文庫)に拠りつつ、最晩年のブッダの死出の旅を偲んだ、この経典を読み解く講義を元にした著作。
人間ブッダの心の襞に寄り添って理解しようとする。
『ブッダのことば―スッタニパータ』中村元/訳 岩波文庫 1958/1/1
―最古の聖典。第4章、第5章が最も古い部分といわれる。《人間として正しく生きる道が対話の中で具体的に語られる》
・・・
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