女子高生の左利きの主張~を読む
最近、左利きの記事を書いていないので、たまにはちょっと書いてみましょう。
ネタ元はいつものこちら↓です。
久々に両使いと右乗りの両方目線で解説
紹介しますのは、「岡山県」のホームページ内の記事です。
2014年3月13日更新/くらし安全安心課
左利きの主張をきいてください!(山陽女子高校放送部)
■左利きの主張をきいてください!
山陽女子高校二年生の《文字を書くときも食事の箸も、はさみも左》という左ききの「ももこ」の主張です。
後半の全文を引用します。
《左で文字を書く自分を見て「かわいそう」と言われたことがあります。余計なお世話です!/かつては少数派であった左使いは「ぎっちょ」と呼ばれ、ある種差別の対象でした。左で鉛筆を持つと右に持つように「矯正」されました。/現在こそ、露骨な差別意識はなくなりましたが、私がひねくれているだけなのかもしれませんが、「右手使い中心」の社会が左利きを無意識に排除しているような気がします。/おかしいとおもいませんか?今まで声を潜めてきた左利きの主張をきいてください。》
■左利きの主張
全校アンケートの結果が示されていますが、この数字は、アンケートに答えなかった人も含めた全校生徒に占める割合なんでしょうか。
《アンケートに答えてくれた生徒455人のうち、右利きは400人、左利きは55人。左利きの率は4%。》
アンケートに答えた人の割合で言えば、12%になりますよね。
大体こんなものではないでしょうか。
私の最近の分類では、「中間の人」というのを考えています。
そういう面を入れれば、また少し違ったものになるのかな、という気はします。
■トークで気づいたこと
全文を引用します。
《右利き中心の社会の中で、少数派の左利きが感じている小さな悩みを気づいてくれない。/気づいてくれないから、「右利きがあたりまえ」な社会が作られてしまう。/ますます左利きは置いていかれる。たまに気づいてくれたら「かわいそう」/違う!私たちはかわいそうなんじゃない!/左利きの人も社会の中にはいるよってことを気づいてほしいだけなんだ。》
悩みに気づいてくれない、というのは問題ではありますが、それを言う前にもっと主張する必要があるでしょう。
悲しいかな、人は自分のことしか分からないものです。いや、ときには自分のことですら分からないこともあるのです。
残念ながら、声の大きい人の主張しか通らないものなのです。
声が小さかったり、声に出さない主張は通らない、人に知られないものなのです。
思いやりが重要だと言われるのは、そういう人間の性質を誰もが知っているからなのです。
教育が大事だというのも、同じ意味です。
人は教えてもらわなければ、理解できないものなのです。
■ノーマライゼーション
この言葉は、一般的には健常者と障碍者の間の考え方を指します。
しかし、もっと広く、他の少数派や弱者の場合にもあてはめることができます。
もちろん左利きにも。
《ノーマライゼーションの第一歩は相手に気づくこと/[...]/左利き、右利き、お互いがわかりあってノーマライゼーションな社会を実現させていきましょう!》
こういう一節があります。
《私たちが気づかない右利きの不便な点があればおしえてください。》
聞いた話ですが、「左利きは字を書くとき手が汚れる」という左利きの発言に対して、右利きの人から「縦書きの時は、右利きでも手が汚れる。自分たちだけが被害者のような発言はやめてくれ」と言われたとか。
●相互理解
こういう左利きの啓蒙記事が、「岡山県」という公のホームページで取り上げられている点を評価したいものです。
多くの人々に関心を持って見ていただけると嬉しいのですけれど。
社会の改善は、互いの立場を知り合うことから始まります。
相互理解のために「言うべきことは言う」という姿勢が大事でしょうね。
以前から言い続けていることですが、左利きはもっと自己主張しましょう。
現状を知ってもらうことが必要です。
主張とクレームは違います。
また、クレームと難癖は違います。
正しく自己主張し、理解を促しましょう。
★左利きの本 あれこれ★
*利き手と左利きの研究に関する本:
(日本)
『左ききの神経心理学』八田武志/著 医歯薬出版 1996.11
―左利き研究の専門書。20年余の左利き・利き手研究を研究をまとめたもの。
『左対右 きき手大研究』八田武志/著 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20
―『左ききの神経心理学』以降、世界で研究された成果を一般向けに読み物とした本。
(イギリス)
『非対称の起源 偶然か、必然か』クリス・マクマナス/著 大貫昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006.10
―20年にわたる利き手・左利き研究の成果をまとめた本。原著"Righthand Lefthand"から英語に関する部分等を省いたという抄訳。
(世界)
『「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎』デイヴィッド ウォルマン/著 梶山 あゆみ/訳 日本経済新聞社 2006.7
―自身左利きの科学ジャーナリストが、左利きの謎に挑み世界を駆けるサイエンス・ノンフィクション。日本での左利きゴルフ大会や日本人研究者も登場。
*左利きの研究+αの本:
『見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提言』大路直哉/著 三五館 (1998/10)
―左利きの著者による社会学的アプローチの本。明治以降の日本の社会での左利き受容、および現状と未来の考察。巻末に「左利き筆法」。
『左ききでいこう!!―愛すべき21世紀の個性のために』大路直哉・フェリシモ左きき友の会/編著 フェリシモ出版
―左利きの常識を身に付ける入門書。巻末に、実用的な左利き用品カタログや「左利き筆法」、ギター、編み物のページを収録。
*左利きの子供のための本:
『左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために』ローレン・ミルソム/著 笹山裕子/訳 東京書籍 2009.4
―左利きの子を持つ親で自身左利きの著者によるイギリスの有名左利き用品専門店オーナーによる、今までの日本になかった、左利きの子供を持つ親・先生へ向けた、左利きの子の生活支援のための手引書。
*左利き生活の本:
『左利きの人々』渡瀬 けん/著 中経の文庫 2009.1
―左利きの著者による、右利き偏重社会における左利きの人の不便「あるある!」エッセイ集。
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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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