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2014.04.30

生き方の秘訣-古代インドの宗教詩編-『バガヴァッド・ギーター』

 ―第126号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

本誌では前回紹介しました、古代インドの長大な叙事詩『マハーバーラタ』の第六巻に一挿話として挿入されている「バガヴァッド・ギーター」という宗教的哲学的な詩文を紹介しています。
いつものことかもしれませんが、後半少し雑然とした紹介になっています。

色々書いておきたいことがあり、分量的にも長くなりました。
しかし、まあ、それほどに影響力のある一冊だったという事実を汲み取っていただければ、と思います。

この作品は、インドの人たち、特にヒンドゥー教徒の間では<聖典>と呼ばれています。
でも、それだけでなく、洋の東西を問わず、多くの人たちに影響を与えた書物でもあるのでした。


 ●『ギーター』解釈―3冊の入門書

西欧での紹介は、1785年イギリスでウィルキンスによる英訳、1823年ドイツでシュレーゲルがラテン語訳を出版し、広く知られるようになりました。
その後、本誌に掲げたソローやガンディー、ハクスレーのみならず、多くの文化人に影響を与えた、と言われています。

なかでもシュレーゲル、プロシアの宰相だったフンボルトやヘーゲル、そしてシモーヌ・ヴェーユに関しては、赤松明彦氏の著作、<書物誕生 新しい古典入門>シリーズの一冊『バガヴァッド・ギーター 神に人の苦悩は理解できるのか?』で詳しく語られています。
この本ではガンディーの『ギーター』解釈も紹介しています。
しかし、ガンディーもイギリス留学時に英訳から入ったそうで、そういう意味では、西欧的な解釈の一面もないとは言えないように感じます。
この本は、インドにおける口承詩として『ギーター』の原型を考える等、インド精神を表すものとしても取り上げていますが、どちらかのと言いますと、その後の展開から見て、西欧から見た『ギーター』論というところです。

それに比べて、僧侶の資格を持っていたという上村勝彦氏の『バガヴァッド・ギーターの世界 ヒンドゥー教の救済』(ちくま学芸文庫)は、日本人からの、仏教からのアプローチが感じられる入門書になっています。

もう一つ私が読んだ本、インド人哲学者で、日印文化交流を続けるアニル・ヴィディヤーランカール氏の『ギーター・サール バガヴァッドギーターの神髄』(東方出版)では、仏教徒が大半である日本人に通じるよりよき人生の手引としてのインド哲学、『ギーター』解釈を示しています。

私個人としては、やはり仏教的な視点から語られている上村勝彦氏の『バガヴァッド・ギーターの世界』が一番共感できそうに思います。
また、『ギーター・サール』はインドの哲学者アニル・ヴィディヤーランカール氏による解説が、心の問題として人の生き方を考えるための書という読み方を示しており、悩める凡人であるところの私たちに役に立ちそうな気がしました。

本誌でも書きましたように、生き方の秘訣を教える書として、騙されたつもりで読んでみるのもいいかと思います。


詳細は本誌で!

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』


【翻訳】
『バガヴァッド・ギーター』上村勝彦/訳 岩波文庫 1992/3/16
―学術的にも定本となっている感の一書。訳注・解説が豊富。『バガヴァッド・ギーターの世界』と併読すると理解しやすいか。
『マハーバーラタ 第3巻』<ヴィラータ王の巻 挙兵の巻 ビーシュマの合戦と死の巻> 山際素男/編訳 三一書房 1993/05
―古代インドの長大叙事詩。北方写本カルカッタ版のM・N・ダットによる英訳本からの重訳。神への賛美や決まり文句の繰り返し、重複する物語を省略。「第六巻ビーシュマの合戦と死の巻」中の挿話として「バガヴァッド・ギーター(神の歌)」がある。
 


【入門しやすい研究書】
『バガヴァッド・ギーターの世界 ヒンドゥー教の救済』上村勝彦/著 ちくま学芸文庫 2007.7.10
―NHKラジオ文化セミナーのテキストを基にした1998年NHKライブラリー版の文庫化。『マハーバーラタ』中の一巻である『バガヴァッド・ギーター』の解説書。仏教との比較で理解を誘う。
『ギーター・サール バガヴァッドギーターの神髄』アニル・ヴィディヤーランカール/著 長谷川澄夫/訳 東方出版 2005.7.11
―『ギーター』700詩編から150詩編を選び、サンスクリット語原文・カタカナ読み・和訳・解説・原語フレーズを添えて、『ギーター』のエッセンスを、心の問題として生き方の助言を解説する。
CD付き・改訂新版 2007/10/10
『バガヴァッド・ギーター 神に人の苦悩は理解できるのか?』赤松明彦/著 岩波書店 <書物誕生 あたらしい古典入門> 2008/12
―口承作品としての誕生。西洋からのアプローチによる読み解き。

  

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