古代インドの大叙事詩『マハーバーラタ』
―第124号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2014(平成26)年3月31日号(No.124)-140331-
-古代インドの大叙事詩-『マハーバーラタ』
“ここに在るものすべては何処にもあり、ここに無いものはまた何処にもない”
(『マハーバーラタ 第1巻』<序の巻 集会の巻>「後記」山際素男 三一書房 1991/11 p.371)
という古代インドの大叙事詩『マハーバーラタ』を本誌で取り上げました。
私自身、一巻本のダイジェスト版を読んだだけで、本格的な翻訳作品は、全九巻中のまだ第二巻を読み始めたところです。
しかし、ダイジェストでもその面白さは十分感じられました。
原語からの完全訳は日本にはまだありません。
それに近いものとして、英訳からの重訳、山際素男編訳の三一書房版全9巻が唯一本格的な紹介となります。
本誌でもこの翻訳を出版された山際氏の言葉を引用していますが、これほど面白くてしかもインド文化を知る素材ともなる作品が今まで本格的に翻訳されていなかったというのは、不思議です。
東洋文庫に『ラーマーヤナ』があるのに、『マハーバーラタ』がないというのも、けったいな話と言えます。
岩波文庫でもギリシア神話の本は色々あるのに、『マハーバーラタ』からは一部の挿話しか出ていないというのも。
たいていの世界の文化史・文学史年表にも、インドの両叙事詩の名前が挙がっています。
ところが日本では、適当な翻訳がなかなか見つからないというのは、どういうことでしょうか。
西欧文化への偏向としか言えません。
昨今西欧文化が曲がり角に来ているなどと言われる状況を考えますと、このような日本の文化状況もその未来が危ぶまれます。
東洋思想、あるいは東洋と西洋の間にある世界の文化や思想、宗教にもう一度目を向けるべきでしょう。
今回、そんな感想を抱きました。
詳細は本誌で!
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』
*
【要約】
『マハーバーラタ戦記―賢者は呪い、神の子は戦う』マーガレット シンプソンPHP研究所 2002/12
【山際素男/編訳】三一書房 全9巻 1991-98
『マハーバーラタ 第1巻』<序の巻 集会の巻> 1991/11
【上村勝彦/訳】ちくま学芸文庫 [1-8巻(未完)] 2002-05
『原典訳マハーバーラタ〈1〉第1巻(1‐138章)』2002/01
【入門しやすい研究書】
『マハーバーラタの世界』前川輝光/著 めこん 2006.8.1
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