理にかなった?<筆を持った左手に右手を添える>両手書き
いつも興味深い左利き情報を紹介しているガボちゃんのブログで、こんな左手書きの実例を教えてもらいました。
2014.3.11 ホントの両手書き?
この記事でふれているのは、
高校講座 芸術(美術Ⅰ/書道Ⅰ)第18回 書道 生活に生きる書 ~手書きのぬくもり~
のなかの「職人一筆」のコーナーで紹介されていた、左利きの寿司職人(画像で確認したところ、握り方が左勝手です)の白幡泰三さんの毛筆書きです。
お店のお品書きを手書きされているのですが、その方法が一般的な筆の持ち方・書き方とは違っています。
左手で持った筆に右手を添えるように書いています。
お品書きですので、大筆ではなく、小さめの筆です。
NHKに断りを入れて、画像から切り取った写真を入れるのがいいのでしょうけれど、面倒なので下手くそですが自家製のイラスト画像で説明します。
(画像:左手で筆を持ち、右手で左手親指を持ち、両手を添えて書く)
私が見たところを描写しますと、左手で普通に小筆?を持ち、その左手に右手を拝むように添えて、左手の親指を右手の親指と人差し指で持って、右手のリードで左手に持つ筆を動かしています。
私なりに解釈しますと―
(1)筆を持つのは難しいので、利き手で分担する
(2)現行規範となっている横画を左から右へ等の運筆は、左手では書きにくく右手/腕が書きやすいので、右手/腕の動きで書く
ということでしょうか。
ただ左利きの場合、右手/腕の動きは頼りないので、それを左手/腕が補い、両者が協力し合っている、といったところでしょう。
右への横画や右払いなどは右手/腕がリードし、左手/腕が付いてゆく。
逆の左払いなどでは左手/腕がリードして右手/腕が付いてくる。
といった左右の役割分担が知らないうちにできているのかもしれません。
考えようによれば、理にかなった<左利き>毛筆書字法と言えます。
この方法を利用すれば、右利きの教師でも、左利きの子供への右手での指導が可能になるでしょう。
新しい書字教育法につながるかもしれません。
●手や腕の動きで字を書く人もいる
私の知っている範囲で、左利きで子供のころに右手を使うように指導を受けた人のなかに、字は右手になったが箸はダメだった、という方が少なくありません。
こういう人の場合、右手で字を書いている場合でも、主に手や腕の動きで書いているケースがあります。
「手や腕(の動き)で字を書く」とはどういうことかといいますと、筆記具―仮に鉛筆とすれば、鉛筆を右手の親指と人差し指の間に挟んで固定し、指の屈伸といった動きを利用しないで、手そのもの腕そのものの動きで書く、という書き方です。
たとえば、左利きの人が毛筆で書く場合、右手では大筆を使って大きな文字は書けるが、小文字を小筆を使って書くときは右手ではダメで、左手でないと書けない、という人がいます。
これは大きな動きで書く大きな字は、手や腕の動きで書けるけれど、小文字は手や腕の動きでは書きにくいからではないでしょうか。
小さな筆で小さな字を書く場合は、鉛筆で字を書くのと同じ要領ですので、より動きの小さな、指先の器用さで書く必要があります。
その点大きな文字は、大きな動きで書けるわけで、手や腕の動きだけで十分対処できます。
以前紹介しました(↓の記事)
『お茶でっせ』2012.2.8
左利きでも万年筆は使えます。『レフティ生活 万年筆編』―左手書字の研究
『レフティ生活 万年筆編』の管理人のMagさんも、ペンを動かすこと考えずに、右手で持つ角度「/」をそのまま左手で確保し、全体の動きとしては「手」で書くやり方を実践されています。
●右利き右手書きの人にも…
昨今、鉛筆(筆記具)の持ち方がおかしい人が増えていると言われます。
実際によく見かけるおかしな持ち方の例として、親指と人差し指の間に鉛筆を固定して、手/腕の動きで書いている人がいます。
鉛筆(筆記具)の正しい持ち方と言われるものは、親指・人差し指・中指の三本の指で鉛筆を保持し、これらの指の屈伸運動で書く、というものです。
もちろん、大きな文字を書くときは、手首を使い、肘や肩を使い、より大きな動きをカバーすることになります。
右利きで右手で字を書く人にも、こういう持ち方で書いている人が少なくありません。
書ければよい、とも言えますが、どうでしょうか。
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※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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