近代の匂い~ローマの悲劇詩人~セネカ 悲劇集から
―第107号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2013(平成25)年6月30日号(No.107)-130630-
ローマの悲劇詩人~セネカ 悲劇集から
http://archive.mag2.com/0000257388/20130630120000000.html
本誌では、ギリシア悲劇よりも近代の演劇に影響を与えたと言われるセネカの悲劇を取り上げました。
劇としての出来では、ギリシア悲劇の方が優れているように感じます。
少なくとも読んだ感じでは。
なぜかと言いますと、ストーリーの展開はもちろんですが、台詞の割り振りがギリシア悲劇の方がすっきりとして、掛け合いがスムーズに展開するように思うからです。
セネカの場合、一人のセリフが延々と続く場面があり、ストーリーによどみができるように感じます。
もちろん、内面の描写という点では、独白のようなセネカのセリフはなかなか力があります。
しかし、ストーリーの展開という点では、舞台上の演者が互いに掛け合いながら、進めていく方がスマートです。
ギリシア悲劇が人間関係の生みだす悲劇というよりは、運命の悲劇である点にもよるのかもしれません。
人間の自由意志を持て遊ぶ神々の悪戯とも言うべき悲劇、それがギリシア悲劇ではないでしょうか。
一方、セネカの悲劇では、個人の感情や意思、思惑というものが大きく関わって来る、ように感じます。
それの分だけ、より人間的な、個人的な近代的ともいうべき匂い―近代の匂いがすると言えるのかもしれません。
『セネカ 悲劇集 1 西洋古典叢書』小川正廣・高橋宏幸・大西英文・小林標/訳 京都大学学術出版会 1997.7
『セネカ 悲劇集 2 西洋古典叢書』岩崎務・大西英文・宮城徳也・竹中康雄・木村健治/訳 京都大学学術出版会 1997.9
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