たんぽぽ娘 (奇想コレクション)ロバート・F・ヤングを買う
昨日2013年5月26日、ついに河出書房<奇想コレクション>のロバート・F・ヤング短編集『たんぽぽ娘』を手にしました。
予告以来何年の歳月が過ぎたのでしょうか。
もう出ないのではないか、と何度あきらめかけたことか。
その昔、H書房等で予告のみ上がって出ないままに終わった本の企画というのが多々ありました。
本書もそんな運命の一冊になるのか、という危惧が抜けませんでした。
しかし、なんとかここに出版されました。
やれやれ。
・・・
そうしてやっと手に入れたと思いきや、「編者あとがき」の末尾にこう書いてあります。
《つぎに計画しているヤングの第三短編集では、こうした日本とかかわりのある作品をもう少し真剣に再読しなければと考えている。》
うーん! 第三短編集。
伊藤先生の訳本では、私が23歳時の1977年刊『ジョナサンと宇宙クジラ』、そして59歳の今年2013年刊の本書、その次ということになります。
おう、ぜひ生きているうちに、お願いいたします。
・・・
私が初めてロバート・F・ヤングを読んだのは、『SFマガジン』1973年6月号(早川書房)に掲載されていた「魔法の窓」(『ジョナサンと宇宙クジラ』収録)でした。
一読、虜になりました。
「たんぽぽ娘」同様、“時/次元”を越えた恋物語(だったはず)です。
その後、雑誌に掲載されるものを探しては楽しみに読みました。
そして、日本独自の短編集―。
他の訳者による二冊目の短編集『ピーナツバター作戦』。
もちろん、その間に例の集英社・コバルトシリーズのアンソロジー、風見潤編『海外ロマンチックSF傑作選』(三巻)なども。
こういう経験は、他にゼナ・ヘンダースン(ヘンダーソン)の「されば荒野に水わきいで…」(SFマガジン 1973年10月号)があります。
(これは、<ピープル>シリーズの一つ、1978年刊『果てしなき旅路』収録。この人の作品もぜひお読みください。私のおススメです!)
『ミステリマガジン』(早川書房)系では、ジャック・フィニイの作品がありますが…。
『ゲイルズバーグの春を愛す』福島正美訳 (ハヤカワ文庫 FT 26)
・・・
さて、本書です。
なにしろ楽しみにしていたものですから、今すぐにでも読みたい。
でも、ちょっと怖い気もします。
若いころに感動した作品を読み返して、もし…だったら―という恐怖もあります。
ボチボチ読んでみようと思います。
ですから、読後の感想はまだです。
・・・
ついでに書いておきますと、三上延著「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズで、この表題作「たんぽぽ娘」に興味を持たれた方、読んでみたいと思われた方は、同じ5月25日刊の角川文庫版『栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック』を手に取られる方がよいかもしれません。
こちらは、アスキー・メディアワークス刊、三上延著「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ作品中で紹介された長編(一部抜粋)・短編12本の名作を収録したアンソロジーで、ジュディス・メリル編『年刊SF傑作選2』から井上一夫訳「たんぽぽ娘」が収録されています。
・・・
『たんぽぽ娘』河出書房新社 奇想コレクション(2013/5/25)
ロバート・F・ヤング (著), 伊藤 典夫 (編集)
目次―
【収録作品】*印:本邦初訳
7「特別急行がおくれた日」(伊藤典夫訳)*
25「河を下る旅」(伊藤典夫訳)
47「エミリーと不滅の詩人たち」(山田順子訳) ・SFマガジン 1984年12月号
69「神風」(伊藤典夫訳)*
87「たんぽぽ娘」(伊藤典夫訳)
・風見潤編『たんぽぽ娘 海外ロマンチックSF傑作選2』(伊藤典夫訳)
・文藝春秋編『奇妙なはなし』(伊藤典夫訳)奇妙なはなし (文春文庫―アンソロジー人間の情景)
・SFマガジン 2000年2月号(伊藤典夫訳)
・ジュディス・メリル編『年刊SF傑作選2』(井上一夫訳)年刊SF傑作選〈第2〉 (1967年) (創元推理文庫)
・『栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック』角川文庫(井上一夫訳)
111「荒寥の地より」(伊藤典夫訳)*
147「主従問題」(伊藤典夫訳)*
191「第一次火星ミッション」(伊藤典夫訳)*
209「失われし時のかたみ」(深町眞理子訳) ・SFマガジン 1974年3月号
239「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」(伊藤典夫訳)*
261「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」(伊藤典夫訳) ・SFマガジン 2012年1月号
277「スターファインダー」(伊藤典夫訳)*
309「ジャンヌの弓」(山田順子訳) ・SFマガジン 1984年1月号(室住信子訳)
361「編者あとがき」(伊藤典夫)
370 収録作原題・初出一覧
371 ロバート・F・ヤング小史(河出書房新社編集部)
373 ロバート・F・ヤング著作リスト
374 著訳者略歴
・・・
私の手持ちのヤング本は、以下の通りです。(*新装版は除く)
【ロバート・F・ヤング】短編集既刊:
・『ジョナサンと宇宙クジラ』ハヤカワ文庫SF(1977/6) *(2006/10)―久美沙織による解説を追加
・『ピーナツバター作戦』桐山芳男/訳 青心社(1983) *新装版(2006)
【ロバート・F・ヤング】作品収録アンソロジー:(『たんぽぽ娘 海外ロマンチックSF傑作選2』をのぞく)
・『見えない友だち34人+1―海外ロマンチックSF傑作選3』風見 潤 編(集英社文庫―コバルトシリーズ 1980/9)
(「時を止めた少女」収録)
見えない友だち34人+1―海外ロマンチックSF傑作選3 (1980年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)
・『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』R・F・ヤング他 (創元SF文庫)
(「時が新しかったころ」収録)
*『お茶でっせ』記事
2013.3.25 ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』5月28日発売(予定)!
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