牧歌的恋愛小説の祖~『ダフニスとクロエー』ロンゴス
―第101号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
http://archive.mag2.com/0000257388/index.html
2013(平成25)年3月31日号(No.101)-130331-
牧歌的恋愛小説の祖~『ダフニスとクロエー』ロンゴス
本誌でも書いていますように、私はこの作品に触発されて書かれたという、北杜夫『神々の消えた土地』を愛好しています。
私も、岩波文庫版『ダフニスとクロエー』の「解説」に訳者の松平千秋氏(1915年9月13日-2006年6月21日/「松平千秋 - Wikipedia」による)が書いておられるように、『ダフニスとクロエー』といえばすぐに思い出すのが、サン=ピエールの『ポールとヴィルジニー』であり、三島由紀夫の『潮騒』です。
どこで覚えたのかは記憶にありません。
でも、私も三島の『潮騒』以外は、実際には読んでいませんでした。
(本誌でも書きましたように)北さんが作品の中で触れておられるように、この『ダフニスとクロエー』は現代では読まれていないらしい、とは思っていました。
しかし、今回改めて調べてみて、本家の『ダフニスとクロエー』はもちろん、(三島を除いて)これらの本がほとんど読まれていないという現状を知り、唖然としたものです。
(まあ、自分のことを棚に上げて言うのも変ですが。)
特に、サン=ピエールの『ポールとヴィルジニー』の本がまったくと言っていいほど見つかりません。
結局図書館で古い本を見つけ、読んでみました。
内容そのものは、(結末は悲しいものですが、それだけに余計に)非常に美しい物語で、『セカチュー』や『野菊の墓』が読まれるなら、これも読まれて不思議ではありません。
(新訳本が出れば、ある程度売れるのでは、という気がします。)
何が問題なのか?
結局、翻訳ものが売れない/若者が内向きになっている/若者が恋愛に―それだけではなく、根本的に人付き合いそのものに消極的になっている、といわれる現象と関係があるのかもしれません。
私としては、北さんの作品ともども、これらの作品がもっともっと読まれることを期待しています。
若者よ、もっと牧歌的恋愛小説を読め!
(年寄りも同じく、もっと純な物語を読め! と言いたい。)
*
ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1)/岩波書店
ダフニスとクロエー―牧人の恋がたり (1951年) (角川文庫〈第68〉)/角川書店
シャガール ダフニスとクロエー 普及版/岩波書店
神々の消えた土地 (新潮文庫)/新潮社
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