「いい本」選び
私の読書論-34- 本選びの方法 直接法(5)目次
―第83号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2012(平成24)年6月15日号(No.83)-120615-
私の読書論-34- 本選びの方法 直接法(5)
本誌では、本の選び方として、実際に現物の本を手にしての「直接法」としてお話しています。
本を選ぶ際に何を基準にするか、というのは、あくまでも自分の読みたいことやものが書かれているかどうか、でしょう。
そんなことは分かり切っていることです。
ホントに言いたいことは、それを読んで自分の利益になるかどうか、という点です。
この“利益”というのが難しいところです。
利益には、直接的な利益と間接的な利益があります。
また、短期的利益と長期的利益といった考え方もできるでしょう。
それは、即効性の読書と遅効性の読書と言い換えることもできます。
さらにコストパフォーマンスの問題があります。
時間を掛けただけの成果があるかどうか。
そこを見極めるのが、本選びであり、本選びが必要となる所以です。
「いや、大人の読書は、そのような打算に満ちたものであってはいけない」
とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
それの一つの考え方です。
しかし、誰でも何かしらの“利益”を求めているものではないでしょうか。
口には出さなくても、心に秘めたものがあるのではないでしょうか。
それを下心や欲と呼ぶのは簡単です。
でも、自分の為す行為に何かしらの見返りを期待するのが人間というものです。
それは決して否定されるべきではないと思います。
読書も同じです。
高貴で気高い尊い行為である、と考えるのもいいでしょう。
気持ちの良いことです。
でももっと貪欲なものと考えるのも、まちがいではない。
人間というものは、もっと汚いところもいっぱい持っていて、抱え込んでいる存在だからです。
弘法大師空海は、人間というものは誰でも心の中に仏性を持っている、と言います。
しかし、一方で悪の心、悪いところもいっぱい持っている、それらも含めて人間なのだ、と言っていると聞きました。
そういう汚い存在であっても、内なる仏性に目覚めて精進すれば、成仏できるのだ、と。
・・・
読書ごときものに価値や理屈をあれこれつけることはありません。
「いい本を読めば自分は幸せになれる、そして人にも伝えられる」と、
ただ信じて読めばいいのだと思います。
問題は、大事なポイントは、その「いい本」です。
ここで再び、本論に戻り、「いい本」選びが重要になってくるのです。
―というお話でした。
*本稿は、アメブロ『レフティやすおの作文工房』より「「いい本」選び」を転載しています。
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