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2012.03.11

宮部みゆき『ステップファザー・ステップ』―C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作というけれど…

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今、TBSテレビでドラマ化されて放映中(パナソニック ドラマシアター ステップファザー・ステップ)の宮部みゆきの原作『ステップファザー・ステップ』の文庫版の裏表紙の紹介文に、

C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作
とあります。

宮部みゆき『ステップファザー・ステップ』(講談社文庫)

でも、正直なところ、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』を知っている人、ましてや読んでいる人がどれだけいるのか大いに疑問です。

だいたい「C・ライス」が「クレイグ・ライス」というアメリカの都会派ユーモアの女流ミステリ作家だ、ということさえ知らない人のほうが多いはず!
他の代表作としては、弁護士J・J・マローンのシリーズの『大あたり殺人事件』『大はずれ殺人事件』があります(ただし、絶版状況!)。
短編集『マローン殺し―マローン弁護士の事件簿〈1〉』山田順子/訳 創元推理文庫。

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ではこの『スイート・ホーム殺人事件』がどういうものか紹介しましょう。

大まかな内容は、新訳版の紹介文で分かるでしょう。

カーステアズ家の子どもたち、14歳のダイナ、12歳のエイプリル、10歳のアーチーは、勇んで探偵に乗り出した。お隣りのサンフォード家の奥さんが射殺されたのだ。でもおかしい。銃声は二発聞こえたのに、被害者が撃たれたのは一発だけ。そしてサンフォードさんの旦那さんも姿を消して…ミステリ作家のお母さんを有名にするために、子どもたちの大活躍が始まった!ほのぼのユーモアたっぷりの本格ミステリ、新訳で登場。

私が持っている/読んだのは、旧・長谷川修二訳版。

スイート・ホーム殺人事件〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)クレイグ・ライス
スイート・ホーム殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-1) クレイグ・ライス/著 長谷川 修二/訳


私が昔(22歳の時/掲載時は23歳)書いた文章(『ミステリマガジン』1977年5月号読者のお便り欄“響きと怒り”に掲載されたもの)を紹介しましょう。

スク・ゴコ・イキ! 新年年頭からすごいミステリを読むことができました。クレイグ・ライスの「スイート・ホーム殺人事件」です。タイトルどおりのスイートな登場人物たちのステキな楽しいミステリでした。巻末の小泉喜美子さんおおっしゃるとおりでした。ボクもバカの一つ覚えじゃないけど、女流作家はクリスティーとポーター(ドーヴァー物のみ)ぐらいしか読まないのですが、これを機会にライスの本がもっと出ますようにお願いします。(以下略)

冒頭の「スク・ゴコ・イキ!」は本を読んだことのある人なら、おわかりのはず!

とにかく子供たちの活躍が楽しいミステリです。

宮部さんも『ステップファザー・ステップ』では、そういうところを狙ったのでしょう。

宮部さんの本同様、ぜひ『スイート・ホーム殺人事件』も、外国のものは食わず嫌いなんて言わず、ぜひご賞味あれ!

これだけ世界が狭まってきているのに、それに反比例するように、今の人は海外のものが苦手だそうで、文化的に内向きになっていると聞きます。
それはやはり非常にもったいないことで、いいものは海外にもたくさんあります。

この本をきっかけにして、あなたの読書の世界を広げて欲しいものです。


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