本選びは読書の第一歩:最初の一冊の選び方(7)本選び(選書)の方法II共通事項
私の読書論-26-初心者のための読書の仕方を考える(10)
―第71号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2011(平成23)年12月15日号(No.71)-111215-
私の読書論-26-初心者のための読書の仕方を考える(10)
最初の一冊の選び方(7) 本選び(選書)の方法 II
いよいよ本選びについてです。
正直、本を選ぶというのは、読書そのものと言っていいのです。
選ぶためには本を“下読み”しなければいけないからです。
書棚の本を見る。
手にとってパラパラッと見る。
―それは、実はもう読書の始まりなのです。
何も中身を一ページ目から最後のページまで残らず読むことだけが読書ではないのです。
まずは本を選ぶ。
その段階から読書は始まっています。
どのような本を選ぶかで、その人が評価されるといっても過言ではないでしょう。
阿刀田高氏のエッセイ「奥さまと本棚」(『日本語を書く作法・読む作法』角川文庫 平成23年4月 収録)にこんな文章で締めくくられています。
《そう言えば私的な本棚も人に見せないもの。これも読んでいる本をつぶさに知られて、/――こんなくだらんもん読んでいるのか。この間の意見、ねた本はこれか――/と見やぶれられる。奥さんと本棚は他人に見せないもの、そんな教訓もあるようだ。》p.166
実際に、作家や著名人が自分の書斎なり仕事場で、書棚をバックに写真を撮っているのをよく見かけます。
背景に映っている本の一冊一冊を点検することに楽しみを見出している人も少なくありません。
(かく申す私がその一人です。)
蔵書がその人を表すと信じられるからです。
今日のその人を作ってきた歴史がそこに滲みだしている。
人生そのものが垣間見える。
―そんなふうに感じられるものです。
だから、というのもなんですが、蔵書は重要です。
何を読み、何を手元に置くか、それでその人が決まる。
これは本に限りません。
さまざまもの、みなすべてです。
時には人もそのうちに含まれるでしょう。
どのような人が親交があるのか、ということです。
読書も実は親交です。
誰と交友関係を持つか、誰と親しんでいるか。
それはそのまま、どういう本を読み、どういう本と親しんでいるか、です。
私は本が友達です。
しかもある人は本を友とするだけではなく、“友と本をする”
―言い換えれば、友と本について語ることこそ、大切だと言います。
それほど本―読書というものは、重要なもの―大切な行為と考えられています。
とにかく、本を読みましょう!
今読んでいない人はもちろん、読んでいる人も。
ドンドン本を読んで、何かを自分のものにしてください。
これから年末年始のお休みがあります。
帰省の乗り物の中で、待ち時間に、おしゃべりやゲームもいいでしょうけれど、ちょこっと本を読んでみるのも楽しいものですよ。
いつもと違う自分になれるのも、本―読書の効用です。
クリスマス・プレゼントに本を贈るのも粋なものです。
以上、“元本屋の兄ちゃん”からのお願いでした。
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※本稿は、『レフティやすおの作文工房』より
2011.12.15「本選びは読書の第一歩:最初の一冊の選び方(7)本選び(選書)の方法II共通事項」を転載したものです。
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