中国の左利き・左手筆法の達人
[右乗りママチャリスト]として<鏡の自転車>(左右反転した構造の右側から乗り降りするのに便利な自転車)の実現を目指し、[左右の話][両使いのたわごと]といった記事を書き続けている、
ガボちゃんさんの11.7のブログ「書道するなら」で“中国の左利き筆法の達人”を紹介していました。
公園の地面に習字?@北京の景山公園
ご覧になればおわかり頂けるように、箒のような筆を左手に持ち、真横から書いています。
ちょうど『左利き書道教本』(正確には、ガボちゃんの書いておられるように『“左手”書道教本』と呼ぶべきでしょうね!)の横書き法の要領です。[注1]
字は右手で書くもの、といったこだわりから抜けきれない習字・書道の先生方が日本には多いのですが、
それに比べ、漢字の本場・中国のこの“達人”のかろやかな筆さばきには感動させられます。
要は、「形式ではなく、物事の本質をいかにとらえるか」ではないか、という気がします。
何のために字を書くのか、という点です。
言葉に託して思いを伝えること、これが肝心の本質。
そして、いかに分かりやすく伝えるか、が二次的な要素です。
誰にも読める分かりやすい文字、しかも(人間は感情の動物ですので)美的センスを満足させられれば、最高です!
ではどうすれば、上手く(わかりやすく、かつきれいな)字を書けるのか。
これは技術の問題です。
書道では、「目習い」と「手習い」が大事だ、と言います。
よいお手本を見て目を慣らす―頭の中にゴールを設定する(目習い)。
次に、実際に筆をもって字を書き、身体で覚える―ゴール目指して訓練する(手習い)。
身体を動かすとき、人により得意のパターンが異なります。
人間の身体には左右がありますので、歩く・走るといった左右をまったく同じレベルで使う場合は別として、右構え左構えどちらか一方の型、もしくは片側を優先的に使います。
これがいわゆる「利き」= ラテラリティ laterality(側性/一側優位性/偏側性)と呼ばれるものです。
文字を書く場合も、その前段階のお絵描きの時から子供はどちらか一方の手を使う傾向を示しているものです。
そういう持って生まれた性質(「才能」と言い換えてもいいと思います)が、おのずから筆使いの巧みさにも出て来ます。
当然その才能を活かす方がより早く上達するものです。
その証拠がこの“達人”だと言えるでしょう。
ところで、この“達人”は、インクやペンキで書いているのではなく、水で書いていますので、落書きには当たらないでしょう。
こういう書き方練習も面白いかもしれません。
そういえば、現実に日本でも、水で書く文字練習帳も売っていますから。[注2]
[注1]
・「左きき友の会書道教本」フェリシモ左ききカタログ
精神科医として左利きで悩む患者との出会いから「左利き友の会」を主宰された箱崎総一先生が、昭和46年に出版された、左利き(左手書き)書道の書き方の教本。
・第277号(No.277) 2011/9/10
「左利きの教本について考える(5)「まとめ」編-1-『左きき書道教本』」
・『レフティやすおの左組通信』「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
[注2]
・『NEW お習字ボード』 くもん出版
・『武田双雲 水で書けるはじめてのお習字』 幻冬舎 (2011/4/28)
・水書きお習字練習帳 MS-100P パイロット
・水でお習字・セット 呉竹
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※本稿は、レフティやすおの他のブログに転載しています。
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