最初の一冊の選び方(3)なぜ翻訳ものの古典なのか?
私の読書論-24-初心者のための読書の仕方を考える(6)
―第63号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記
★ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ★
2011(平成23)年8月15日号(No.63)-110815-
私の読書論-24-初心者のための読書の仕方を考える(6)
本誌では「最初の一冊の選び方」について引き続き書いています。
今月末の古典紹介編で扱う予定のホメロスの英雄叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』も例に挙げて書いています。
その部分で現代日本の例として挙げています、万城目学著『鴨川ホルモー』もなかなかのものです。
あまりこういう現代ものは読んでこなかったのですが、機会があり、ちょっと読んでみました。
やはりそれなりに面白いものがあります。
何といっても奇想天外なお話で、私に合う部分があったのでしょう。
私の好みでは、スピンオフ作品集『ホルモー六景』の最後の一編「長持ちの恋」が、最高!
時の壁を超えるちょっと悲しくて楽しい泣き笑いの恋物語、ロマンチックSFの秀作といったところです。
何でもかんでも日本の現代ものがいけない、というのではありません。
ただ安易に流れる癖をつけない、ということを念頭において欲しい、ということです。
日本人作家の現代ものは、とっつきやすさ、親しみやすさがあり、それゆえに読みやすさがあります。
何しろ今私たちが生きている時代・場所を、作品の舞台として扱っているのですから。
読みやすさに流されて、それだけに終始すると、その時その時の楽しさを味わうだけの刹那的な人生になってしまいかねません。
読書には、食事と同じで、二つの側面があります。
栄養をつける部分と味を楽しむ部分と。
現実には、二つを同時に、というのは贅沢です。
不可能ではありませんが…。
場面により、どうしてもどちらかを優先しなければなりません。
しかも、どちらか一方に偏ってもいけません。
それでは、偏食になります。
心の健康によくありません。
何事もバランスが大切です。
また、時期によっても異なります。
学ぶときは学ぶ、遊ぶときは遊ぶ。
メリハリも大事です。
今、あなたはどちらの時期ですか?
あるいは、どちらの気分ですか?
そして本は、先生でもあり、友達でもあります。
今、どちらを選びますか?
●ホメロス
オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)
イリアス〈上〉 (岩波文庫)
●万城目 学
鴨川ホルモー (角川文庫)
ホルモー六景 (角川文庫)
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※本稿は、『レフティやすおの作文工房』より
2011.8.15「最初の一冊の選び方(3)なぜ翻訳ものの古典なのか?」を転載したものです。
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