長谷川眞理子著『進化生物学への道』を読んで
たまには本の話でもしましょう、
というわけで、最近読んで面白いと思ったものの中でも一二を争う本を。
長谷川眞理子著『進化生物学への道―ドリトル先生から利己的遺伝子へ』岩波書店〈グーテンベルクの森〉2006
著者は、行動生態学、進化生物学を専門とする学者。
専門分野の著訳書のみならず、科学者と一般社会人との科学に対する認識のギャップを埋めるべく、科学についてのエッセイなどの著作もある。
岩波書店〈グーテンベルクの森〉は、各界の書物の森の案内人が《自らの人生と重ね合わせ、書物との関わりとその魅力を自由自在に語る読書エッセイ》。
・・・
《本を読むのは、新しい世界を発見することである。著者が提示してくれる、私がまだ知らない世界に踏み出す冒険だ。一ページ、一ページ、自分の速度で開いていく冒険である。…この冒険によって、人生の新しい展開を迎えることもある。》(本書「あとがき」より)2009年はダーウィン生誕200年>、『種の起源』出版150年ということで、ダーウィン及び『種の起源』関連の本がいくつか出版されました。 それらを読み、興味を持った私は、改めてダーウィンの伝記や進化論についての本を何冊か読んでみました。
それらの本の著者・翻訳者の一人が、この長谷川眞理子先生でした。
個人的にも親しみやすい話題を絡め、非常に歯切れのいい文章で、初心者にもわかりやすく、読みやすい本が多く(著書『ダーウィンの足跡を訪ねて』『進化とはなんだろうか』『現代によみがえるダーウィン―ダーウィン著作集・別巻』、訳書『ダーウィンの『種の起源』―名著誕生(2)』など)、この人の本をもっと読んでみたいと思いました。
そうして手に取ったのが、本書『進化生物学への道』でした。
長谷川先生の幼少期からの読書体験を語りながら、子供の本について、子供と読書について、それぞれの名作・名著についての考えが述べられていて、進化生物学者・長谷川眞理子の半生記であり、読書案内であり、進化生物学への誘いであり、人生案内ともなっています。
優れた科学者の手になる一般向けの著作には、科学とは何か、科学的思考とはいかなるものか、科学における研究とはどのように行うものであるか、ということが記されているように思います。
本書においても同様で、それは、科学者を目指す若者でなくとも役に立つ教えです。
人生においても、物事を判断する上での科学的思考の大切さを教えられました。
誤った理論に基づく前提からは、いかに優れた観察力をもってしても、真の理解は生まれない、のです。
《私が書いた本の中のどれかが、誰かにとって、何らかの新しい冒険を提供できるかもしれない。そういうことが本当にできれば、それは望外の喜びである。》(本書「あとがき」より)
若き冒険者でないのが申し訳ないことですが、50代半ばすぎ(長谷川さん先生は二歳違いぐらいです)の私ではありますが、先生の本によって新たな冒険の世界を発見した思いです。
残りの人生をさらに楽しい日々に変えてくれそうで、うれしい出会いとなりました。
ありがとうございます。感謝感謝! です。
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※本稿は、ameblo「レフティやすおの作文工房」に転載しています。
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