19対1の選択肢(右手右利き用対左手左利き用の比率)
気がつけば一月ほど更新をサボっていました。
いかんなあと思いつつ、メルマガで忙しいと言い訳してごまかしてしまう、そんな弱い私をお許しください。
下書きは色々とあるのですが、ついついそのまま…。
・・・
メルマガ「週刊ヒッキイ」読者からのメールに、こんなことが書かれていました。
なるほどなあ、私だけではないのだなあ、自分はやっぱり間違っていなかったなあ、と胸をなでおろしながらも、やっぱりこれはもっと訴えていかなけりゃあいけない、と改めて実感しました。
それはこんなお言葉でした。
<世の中に右用の物しか存在しないのは当然良くないですが、左用が一つでもあればいいとか、「これがあるから助かる」レベルの品ぞろえではいけないと思いました。>
また、こうもありました。
<一種類しかなければ他と比べることもできないし、必要な人は絶対使うはずだと甘く作られてしまうこともないとは言えないですよね。>
前者については、全くその通りだと思います。
たとえ使用者が少なくても、必要なものは供給されるべきでしょう。
少数派だから、といった理由だけで排除されるような行為は、これからの世の中では通用しないと思います。
後者に関しては、私も物作りの現場にいましたので、初めから甘く見て作るといった態度を取ることはないと思います。
とはいえ比較するものがなければ、製品としての成熟度がどこまで高められているかを知ることは難しいでしょう。
その結果、製品として未熟なものを市場に出してしまうという可能性はあるかもしれません。
そこで、思い出すのは、あるホームセンターの事務用品売場で見たハサミの陳列です。
そこには事務用品コーナーの一画にハサミが色々陳列されています。
壁面スペースはおよそ畳半畳分ぐらいはあると思うのです。
以前、一度、何種類置いてあるのか数えてみました。
大・中・小・特大・子供用、刃の部分のロング・穴あき・穴あきスライド・フッ素加工・剣先・丸先、グリップ(握り)部分の左右対称・非対称・色違い、リサイクルハサミ、握りバサミなど、メーカー別も入れますと、19種類ありました。
これらは全部、右手・右利き用の刃のかみ合わせ構造です。
右利きの人、右手でハサミを使う人は、どのような用途に用いるか等、使用状況や好みを考慮して色々なものの中から選ぶことができます。
場合によっては、用途別に数種類のハサミを買い揃えることも可能です。
これに対して、左手・左利き用の刃のかみ合わせ構造のものは、子供用一種類のみ。
19対1の割合です。
しかも左手・左利き用の大人用は置いていませんでした。
19対1の比率だけをいえば、だいたい日本における右利きの人と左利きの人の割合に近い数値です。
過去の調査によりますと、5~6%という数値がよく示されています。
(前原勝矢/著『右利き・左利きの科学』講談社ブルーバックス1989年刊「第2章左手利き」47pによりますと、男性3~5%、女性2~3%。
八田武志/著『左ききの神経心理学』医歯薬出版1996年刊「第1章右きき社会と左きき」10pによりますと、1975年:「左きき」男子4.3%、女子2.3%、「両手きき」を含む場合11.5%、女子6.0%/1993年:「左きき」6.2%、女子4.2%、「両手きき」を含む場合12.8%、女子7.8%。)
ただし、それはあくまでも人数の数量的な比率です。
選択できる種類の比率とは無関係です。
左利きの人でも、用途別の種類の選択範囲は右利きの人と変りません。
左利きの人や右手が不自由で左手を使わなければならない人は、どうすればよいのでしょうか。
子供用左手・左利き用ハサミを使える人は、それを選ぶことが可能です。
しかし、手の大きな人はどうすればいいのでしょうか。
あきらめるか、右手・右利き用でガマンするしかありません。
また、用途別に使い分けたいと思っても、左手用は一種類しかありません。
これが、一般的な左利きの人たちの置かれている状況です。
もちろん左利きの人がみんな左手でハサミを使うというわけではありません。
しかし、実際には左手で使う人の方が多いのです。
(逆に言えば、右利きの人であっても、右手で使う人ばかりとはいえないはずです。)
また、先ほども言いましたように、左手しか使えないという人も当然この世の中には存在するのです。
悲しいことですが、左手・左利き用のハサミがほとんどお店に置いてない、あるいは商品選択の余地がない、というのが現実です。
(もちろん、お店に取り寄せをお願いするという方法は、常に確保されています。
しかし、それをいえば何事にも通用することで、ここでの考慮の外の発言といえるでしょう。)
実際には探せば、複数の左手・左利き用ハサミを置いているお店もあります。
また、ほとんどのメーカーさんは、たいてい子供用と大人用の二種類ぐらいは製造販売しています。
販売店がその気になって仕入れていただければ、当然それぐらいは店頭に出ていても不思議ではありません。
ところが実体は必ずしもそうはなっていないということです。
この現実をいったいどれだけの人たちが認識されているでしょうか。
右利きであれ左利きであれ、一人でも多くの方に、この機会に事務用品売場などちょっと観察していただき、実態を見届け、その上でこういう状況について改めて考えていただきたいと思います。
よろしく!
※
左手・左利き用ハサミについて:
『レフティやすおの左組通信』
「左利きphoto gallery〈HPG3〉左手用(左利き/左きき用) はさみ・ハサミ・鋏 コレクション」
※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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