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2007.11.14

左手仕様=左利き仕様か?―電子辞書から考えたこと

最近、富みにこういうことが気になります。

先日、電子辞書を買いました。
以前から手に入れたいと思い、あちこちのメーカーのパンフレットを見たり、電器屋さんで実物を触ってみたりしていました。

コンテンツがもちろん一番大事なのですが、使い勝手の良さというのも、やはり大きなポイントです。

で、使い勝手の問題となりますと、私の場合は左利きなので、そういう面でどうかということが気になります。

ものによってはこれは非常に大きな比重を占めてきます。


 ●使い勝手のよさと利き手の関係

例えば、ペン

文字の横画を書くとき、左から右に線を引くわけですが、左手で書く場合は、どうしても横に押すようになります。
このとき、ペン先が通常の右利き用のものですと、紙に引っ掛かってうまく書けません
どうしても左手書きにふさわしいものを選ぶ必要が出てきます。

あるいはケータイ電話でも、私は左手に持って操作します。

すると、向かって右側の側面に色々と操作ボタンのあるものは、握った際につい間違って押してしまうことがあります。
そこで右側にあまりボタンのないものを選ぶようにしています。
すると意外に選択肢がありません。

カッターナイフでもそうです。

カッターナイフも通常のものは、右手で持ったときに自由に操作できるようになっているものです。
左手で使うと、刃を出し入れするときにいちいち裏返さなければなりません。
しかも、握りの部分が右手に添うように作られていて、左手で持つとストッパーやネジ部分が手のひらに当たります


 ●電子辞書の使い勝手と利き手

電子辞書ではどうでしょうか。
私の買おうとしているものは、手書きで検索できるタイプのものです。

一般にキーボード部のカーソルや決定ボタン類は主に右側です。
両方に振り分けているメーカーもあります。

カシオは、両サイドにスピーカーを配置してボタン類も左右対称に近い配置になっています。
イヤフォン・ジャックの位置も右側です。

シャープはどちらかというと、操作ボタンも右寄りです。
特に主要なカーソルや決定・戻るといったボタン類はすべて右に寄せてあります。
左側には小ぶりの機能ボタンがあります。
イヤフォン・ジャックの位置は左側です。(左手で使うとき邪魔になります。)

手書き用のタッチペンは右側にセットされているものばかりです。
カシオのものは、後方の蝶番部分の右側です。
シャープは底部の右側。

こう見てきますと、右手で使いやすいのはシャープ、左手もある程度使えるのはカシオといった感じです。
すなわち、右利きに優しいのはシャープ、左利きにも優しいのはカシオという気がします。


しかし、本当のところはどうでしょうか。

よく考えてみると、右(あるいは左)手で使いやすいものが右(あるいは左)利きに優しいか、というと一概には言えないような気がしてきます。

片手で操作するものでは、比較的明確に「右(あるいは左)手仕様」は「右(あるいは左)利き仕様」といえるかもしれません。
先ほど例に投げた、ペンとかカッターナイフ、ケータイ電話など。


 ●両手使用時の利き手対応とは

しかし、両手で使う、あるいは両手を使う可能性のある場合はどうか
これは考え方によって違うような気がします。

例えば、があります。
かつての勉強机にしろ事務用のものにしろ、たいていは自分の右側に上から下まで段々に抽斗がついていました。そこで上板の中央より左寄りに座り、右手側にはスぺースが広がっていました。

右側に抽斗があるので右手でものを取り出しやすいこと、上板の右手側にスペースがあるのでものを置いても手を動かす邪魔になりにくく使いやすいこと、など右利きに便利な設計になっています。

しかし、左手で書きものをしながらでも、空いている右手でものを取り出したりできるので、これは左利きに便利な左利き仕様だ、と考える人もいたのです。


昔の固定電話器は、左手で受話器を取る用になっているので、左利きに便利な機械だという人がいます。

しかし、実際は左手で受話器を取り、右手でダイアルを回す、あるいはメモを取るといった、重要な動作を右手で行うために、より重要度の低い動作を左手で行っていただけのことです。

今普及しているケータイ電話のような、ダイアル?つきの受話器のタイプとは使用方法が根本的に異なっていました。


こういった両手で使う、(あるいは)両手を使うことを前提とした場合、どういう機能がどちらに配置されているか、その見極めが重要です。

ピアノは両手で弾きますが、右手で主旋律を引き、左手では伴奏を弾くのだと聞いています。
これは両手を平等に使っていることになるでしょうか。

私は違うと思います。
明らかに右手使用を重視した右利き用の道具でしょう。

パソコンも同じです。
左手も使うけれど、より右手に比重が掛かっています


 ●両手使用時―電子辞書の場合

で、電子辞書です。

電子辞書の正しい使い方というものがあるかどうかは知りませんが、自分なりに使い方を考えてみましょう。

まず辞書として単独で使うときは、これはやはり「右手仕様」=「右利き仕様」と考えられます。

どちらの手も空いている状況では、右手で使いやすくなっている「右手仕様」は当然「右利き仕様」でしょう。

では、両手で使用する、(あるいは)両手を使用する場合は?


その前に「両手で使用する/両手を使用する」ケースにはどういう場合があるか見ておきましょう。

一つは両手に持って、ゲーム機のコントローラーのように両手を使って操作する場合。
次に考えられるのは、書きものの途中で言葉を検索するときに横に置いた辞書を操作する場合。

始めのケースならパソコンのキーボードなどと同じ分類ができそうです。
二番目の場合には、パソコンのマウスを操作するときに似ているように思います。


このように「両手で使用する/両手を使用する」という前提で電子辞書を考えた場合、パソコンを使うときに似ているといっていいように感じます。

パソコンを使うときも、実は二通りの考え方があります。
すなわち、「右手マウス派」と「左手マウス派」です。

右利きの人の場合、利き手を空けておくためにマウスは左手で使え、という人がいます。
例えば、キーボードだけでなく他の入力機器を使う場合や、手書きのメモ等を取る必要のある場合など、この方が絶対便利でしょう。
(これが「左手マウス派」です。)

一方、マウスも利き手でないと使えない、という人もいます。
(右利きの人の場合なら「右手マウス派」です。)

私は、以前は後者でしたが、肩を痛めてからは、前者に変わりました。
痛みがなくなってからも右手マウスです。
やはり利き手を空けておくほうが絶対に有利だからです。


 ●片手使用時と両手使用時のねじれ現象

私はメモを利用しながらパソコンでものを書きます。
辞書を左手で繰りながら、引用する文献や抜書ノートを左手であれこれ探しながら、など。

すると、単に辞書を繰るのではなく、パソコンでものを書きながら、もしくは書くためにメモを取りながら辞書を繰る、という使い方が基本となるでしょう。

電子辞書を選ぶときも、そういう使い方を前提にしなければならない、ということになります。

そうしますと、当然両手使用のためのものよりは、片手で使いやすいもの、それも右手で使いやすいもの―がよい、ということになります。

すなわち私の場合は、「右手仕様」=「<左>利き仕様」ということになります。


片手で使用する際は、「左手仕様」=「左利き仕様」であるのに、
両手で使用するときは、「右手仕様」=「<左>利き仕様」です。

ねじれ現象が生まれて来ます。

こういうことも、これからは考えてゆかなければいけません。
単純な「右手仕様」=「右利き仕様」、「左手仕様」=「左利き仕様」思考では、割り切れないものがいっぱいあるように思います。

ユニバーサルデザインを考えるときにも大事なポイントになるのではないでしょうか。

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。

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