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2007.06.30

横澤彪氏「国分太一くん、箸は右手で…」発言に思うこと

しばらく忙しくて自サイトのアクセス解析を見る機会がありませんでした。
本日(6/29)久しぶりにのぞいてみると、うちのサイトとしては非常に多くの閲覧を得ているページがありました。

『レフティやすおの左組通信』内
「<レフティやすおの左利き私論2>右手使いへの変更(左利き矯正)について」

というページです。

下に紹介する記事のコメントの一つにリンクを貼られていました。
(コメント・ページ)


横澤彪のチャンネルGメン69
2007/6/27「国分太一くん、箸は右手で持とうよ」


左手箸およびこのような考え方に対する私の意見に関しましては、リンク先の意見をご覧いただければよいかと思います。

ここでは、それ以前にこのような意見をお持ちになる人全般について、そういう考え方に対する私の意見を述べて見ます。

 ・・・

この記事の中で、タレント国分太一さんの左手箸を取り上げ、

「ただ一つ残念なのが、食べるときに左手で箸を使うことだ。箸は右手で持つもの。そういう躾をきっちり受けてきたオレのような世代の者には、左手で食べるのはすごく違和感があるんだよな。/... やっぱり左手で箸を使っているのはいただけない。今からでも遅くないから、箸は右手で持とうよ。/... /左手は ケツを拭く手だ 箸持つな」

とコメントされています。

ここに書かれた御意見は、きっと御自分の意見ではないのでしょう。


人は誰でも何事に対してもそれなりに自分の意見を持っている、と考えがちです。

しかし、自分の意見と思っているものもそのほとんどは、実は自分の内から出てきたものではなく、外から来たものだそうです。

『娘と話す哲学ってなに?』ロジェ=ポル・ドロワ/著 藤田真利子/訳 現代企画室/刊(2005)
にこんなことが書いてあります。長くなりますが、引用します。

「... よく見てしっかり考えないと、間違った考えを正しいと信じてしまうということなのさ。で、これがしょっちゅうあるんだね。じつにありふれた、よくあること、と言ってもいいくらいだ。いつも聞かされているからそれが正しいと信じる。小さいときに教えられて、ほかの人もみんな同じことを言ってる。わたしたちの頭の中に持っている考えというものは、ほとんど全部が頭の外から来ている。実際はどうやって入ってきたのか、知らないうちに入り込んでいる。それがどこから来るかと言えば、家族からのこともあれば、周囲の人たちや友達からのこともある。自分の考えと言ったって、それを作り上げたのは普通、自分自身じゃないんだ! ... /そういう考えがわたしたちのなかに入り込んで根を下ろす。それはほんとうに選んだわけでもないのに「自分の」考えになる。それが「いい」とか「悪い」とか判断することもほとんどない。正しいのか間違っているのかをほんとうに知ろうとすることもないんだ」
 <1章 正しい考えを探す>26-27p


この横澤氏の意見は、
<自分の五感を目いっぱい働かせて情報を集め、脳みそに汗をかくほど考え抜いて得た答えとしての自分の意見>ではないはずです。

「箸は右手で持つもの。そういう躾をきっちり受けてきたオレ」と記事の中にも書かれていますように、それは昔の人からの教えを、盲目的に何の疑いもなく、信じ込んで忠実に守っているだけなのです。

単に外から得た意見を自分の意見のように思い込んでオウム返しに伝えているだけなのです。


このように考える人は少なくありません。

以前、私のメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(レフティやすおの左組通信メールマガジン)』第42号(No.42) 2006.8.5 「左手で字を書くために(3)」

「左利き子育て一口メモ マナー本・作法本」で紹介しました、

『箸づかいに自信がつく本 美しい箸作法は和の心』小倉朋子・監修(リヨン社 2006年1月刊)

という本の「第一章 箸使いってそんなに大事?」の冒頭「こんなお箸の持ち方していませんか?」で、「直したいお箸の持ち方」として、平行型(スプーン型)、交差箸、つかみ箸とともに、左手箸をあげています。

著者は、昔習った正しい教えを忠実に現代に伝えよう、とされているのでしょう。

しかし、結果的にそれは、部分的には現代に通用しないものになっています…。


これがひとつの現実です。

非常に残念なことに、自分の頭で真剣にものごとを考えていない人というのは、結構いらっしゃるものなのです。


横沢氏も小倉氏も、利き手について左利きについて、真剣に何時間も何日も何ヶ月も何年も考え続けたことはないのではないでしょうか。
左利きについて、人を見、人に聞き、本を読み、自分で体験したこともないのではないでしょうか。

お恥ずかしいながら、私の左利きに関する意見は、物心ついた時から現在まで40年以上、時にブランクはあっても、自分自身の体感に基づき、自分自身の体験を通して、時に人の姿も見、人の意見も聞き、本も読み、サイトも閲覧し、その上で自分の頭で考えて考えて考え抜いて出した意見です。


私は、利き手・左利きの問題を取り上げるときに、教育というものを一つの柱に考えています。
それは、こういうところにその理由があるのです。

左利き系の有名なサイトの一つでは、<左利きの人がこんなにいっぱいいる、左利きって当たり前>なのを示すことで、左利きに対する考え方を変えてゆこうとしています。

私はそれではダメだ、と考えています。

なぜならば、人は自分の見たいものしか見ない、自分の聞きたいことしか聞かない、自分の解釈したいようにしか解釈しないもの、だからです。


だから、教育が必要なのです!

何事も一から教育することが重要になってくるのです。

きちんとした人権教育の一環としての利き手教育というものが。

私はそう考えています。

<横澤氏「太一くん…」左手箸発言>追加記事---(2007.7.16)
「お茶でっせ」記事第二弾
・2007.07.05 横澤氏「太一くん…」発言に見る左手、利き手差別の構造
お茶でっせ版新生活版
メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第90号(No.90) 2007/7/14「<特別篇>横澤氏「太一くん...」発言から考える」

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。

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Comments

ども、初めまして。

「左手は ケツを拭く手だ 箸持つな」という一文で終わっているサイトへと投げ文コメントを放り込んだ者です。
(写しを含む自前の記事(*1)→
http://mononoke-denpatou.txt-nifty.com/blog/2007/07/rightisright_jc_7291.html )

確かにねぇ、先達から躾として受けたんだからその通りに後進にも伝えるってのが伝統芸能の継承訓練とかだったらわかるのですが、「法律で人は右側通行と決まっているのだから未来永劫、全員習うこと」とばかりは行かない世界があるのも事実。(そもそも、武士が帯刀してた頃は、左側通行だものね)

左手の箸遣いの存在で本当に困る人たちが居るとしたら、右利き前提で碗や皿などに載った料理を取り回しやすく美しく見えるように膳へ配置する、旅館の仲居さんや料亭の料理人さんとかじゃないかしら?

ま、わたいは確かに、「あれ?ぎっちょなの!?」と一瞬戸惑うことはありますが、それ以上、「不浄な手で食するな」とかなんとか思うことはありません。

仏教の教えの中にも「食す手は右手で」という派があるらしいですが・・・やっぱ、清浄な手が統一できていないと、握手する時にも困るのかな?

(*1)J-CASTのサイト管理者等に「このコメントはサイト運営や記事展開上、不適である」と、公開を却下されるなどと言った自体が発生した場合に備えて、このような写し登録をしました。相手が追い詰められてた状態に陥っていた時の暴挙にも、念の為に備えておかないとね。

* こういう時は性格が悪くなる もののけ *

[profile:Lefty-Yasuo_20070630]

Posted by: westwind | 2007.07.02 11:22 AM

westwind様、はじめまして。
コメントありがとうございます。

当方の記事もあちらサンへ、トラックバックを送っているのですが…。

記事本文にも書いていますが、
まだまだ自分の頭でものを考えない人が多いようで、その辺が淋しく思います。
よく見てしっかり考えてから、ものを書いて欲しいものです。

茶の間でテレビを前に世間話しているわけじゃないのですから。

日本は、思想信条の自由が保障されている国です。
どのような考えを持とうと自由です。
また、報道・表現の自由も保障されています。
しかしそれは、法律や公序良俗に反さない限りにおいて、というものでしょう。

今でもこういう考えを持つ人は少なくありません。
しかし、それは自分の胸のうちに、あるいは身内・仲間内で収めておくものです。

まあ、視聴率をとるためなら何でもありの業界で名を上げた人だそうですから、キチンとそういう「躾」を受けてらっしゃるのでしょう。
騒がれた者勝ちなんて…ね。

御本人は、お笑いかブラックユーモアのつもりかもしれません。

それとも、わざと反面教師といいますか、故意に左利きの問題への世間の関心を高めるための話題作り、
というのならいいのですが…。

まあ、そんなうがった見方でもして心をなだめている今日この頃です。

Posted by: レフティやすお | 2007.07.02 11:56 PM

ども、真夜中まで作戦を続行していたもののけレス(そろそろ寝ます)

>ブラックユーモア

砲撃と周辺偵察を繰り返している内に、ある裏意味ストーリーが思い浮かんでしまいました。69さんの所では2つ書いた内の1つしか公開されていないかもしれないので、わたいのブログ記事に追記した文の最後辺りを読んでみてください。(ただ今、先方からの応答待ち)

なんとなく

・右利き→右利きであると推測される横澤教授(プロデューサー)を始めとする、芸事の演出陣
・左利き→左利きである国分はんを始めとする、芸人陣
・箸は右手でもつもの→箸は右手で操る物→右利きである横澤教授(プロデューサー)をシンボルとする演出陣が、芸事演出の主導権を操るのが芸の世界の作法。
・左手はケツを拭く手 箸持つな→左利きである国分はんを始めとする、芸人陣は、どんな汚れ役を割り当てられようと、文句を言わずに演じなければいけない(それが作法)。間違っても、芸人自身が箸(演出)を操ってはいけない

というお話が、箸は右手で持て発言の中に練りこまれているようにも・・・現在、先方に真意を確認中です。(例えが奥深すぎて誤認されると、大変な問題になるとの忠告付きで・・・かなりえげつない表現も混ざってます)

>トラックバック

わたいも送っていますが、公開可否の反応がありません。・・・ネタバレか騒ぎが大きくなるのをきらってるかな?

も遅いんだけどね。あそこのバックアップは取っちゃったから。わたいのPCがいつの間にか情報流出ウィルスにでも感染したら、収拾不能な形でネットを駆け巡ってしまうのだが・・・。

* 雨が‥涙雨か?>外 // もののけ *

[profile:Lefty-Yasuo_200707022356#Bomb]

Posted by: westwind | 2007.07.03 02:23 AM

[追記です]

>心をなだめている今日この頃

わたいは、別の稿として教授により立てられた『国分太一くん、オレも左利きなんだ』(http://www.j-cast.com/tv/2007/07/02008895.html )を介して、

『国分太一くん、箸は右手で持とうよ』(http://www.j-cast.com/tv/2007/06/27008769.html )のコメント群の末尾辺りに登録されるはずのわたいのコメントが、公開されないまま(or削除?)になっているのはなぜか?と問う発言(管理者宛の最後通牒含有)を登録いたしました。

登録内容は、トラバ掛けた記事内に記載してあります。(未公開になっている発言等の内容は、その一つ前の記事(長文))

* もののけ *

[profile:Lefty-Yasuo.200707022356.FA?]

Posted by: westwind | 2007.07.03 04:17 PM

westwindさん、またまた、コメントどうもです。

「国分太一くん、オレも左利きなんだ」を読みますと、
どうやら横澤氏は、なにゆえに自分が批判されているのかご理解できておられないご様子。
今回は語るに落ちるで、いよいよ利き手差別の考え方が本性を表しつつあるように感じます。

また私も一本記事を書く予定です。

きっと箸使いで考えておられるからお分かりになられないのでしょう。
例えば、左手箸を方言に右手箸を標準語・共通語に置き換えれば、一目瞭然でしょう。

アナウンサーは全国向けニュースで方言はご法度、役者も芝居の設定によっては方言はダメでしょう。
また、古典芸能などでも当然好き勝手とは行きません。

役者は役柄が設定されているときは従うべきでしょう。
しかし、フリートークの番組ならOKのはず。
自然体でいいのです。

お笑い芸人でもそうです。
全国向け放送でも関西弁バリバリの大物芸人さんがいます。

箸使いもいっしょ…。

Posted by: レフティやすお | 2007.07.03 10:36 PM

ども、もののけ時間のもののけドス。
 >レフティやすお さん (2007/07/03 22:36)

>フリートークの番組ならOKのはず

フリーに見えて、実はフリーでは無いのかもしれませんよ?>フリートーク番組

スポンサー(の特に営業&経営幹部)の趣味に合わない会話は不可。
芸人間の上下関係をひっくり返すような目立ち会話も不可。
その他、他と揃わない目立ちも不可。
もちろん、放送時間枠(CM枠を含む)からはみ出す会話も、当然不可。

「せっかく美味しそうに食べるキャラなんだから、右箸遣いになれば、料亭番組なんかにも出してもらえるかもよ?」

こんな意味合いもあったのかもしれません。何だか24時間が接待業務の営業社員みたいですが(苦笑)

ただ、「ケツ拭く手だ」は、明らかに失敗。

労働運動に参加して、社長を怒らせ、事実上の左遷(冷や飯食い)となった経歴があるとの情報も、ある場所から流れてきてはいるのですが、これとも関係するのかな?(まさか「この靴底をお舐め!」なんて体験は無いでしょうが)

「人と違うことすると、貰える仕事の範囲も地位も狭まる」ってのが、ちと過激に出すぎて、逆に出る杭となってしまった感があります。

地位を得て、冷や飯の味を忘れられてしまったか?それとも、うっかりorいたずら心が大火になって、「冷や飯回避の慌て繕い」となったか?

そのうちどこかのゴシップ誌が扱うかなー?「元プロデューサの大学教授、“ケツ拭く手”川柳で火ダルマに」

>箸使いもいっしょ…。

ただいま、この辺りも含めて発言作戦続行中。J-CAST管理者による介入をけん制しつつ・・・

舞台裏で何やってるかは、わたいの以下のブログ記事を参照(なぜかトラバが通らない)

http://mononoke-denpatou.txt-nifty.com/blog/2007/07/jcastleftjcast_af69.html (『国分太一くん、オレも左利きなんだ』と稿を変えてもまだ炎上してる>J-CAST)

http://mononoke-denpatou.txt-nifty.com/blog/2007/07/rightisright_jc_7291.html (「左手は ケツを拭く手だ 箸持つな」発言でJ-CASTが炎上してる)

* 寝なくちゃ... // もののけ *

[profile:Lefty-Yasuo_200707032236]

Posted by: westwind | 2007.07.05 02:07 AM

westwindさん、またまた、コメントありがとうございます。

横澤氏の第二弾を読んで、新たな記事を書きました。↓
7.5「横澤氏「太一くん…」発言に見る左手、利き手差別の構造」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2007/07/post_48b4.html

かなり長い文章ですが、4段構成になっています。
●差別とは(差別の本質観取―『哲学ってなんだ』竹田青嗣/著による)
★<「...オレも左利きなんだ」感想>
★<ブログの特性>
★<マナーや作法についての考え方>

現時点では、私としてすべて言いたいことは言い切ったという気がします。

よい機会ですので、世間の人たちも「左利き」について、および様々な「差別や差別的言動」等について、
真剣に考えていただければ、と思います。

Posted by: レフティやすお | 2007.07.05 11:04 PM

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