紺野まひる「笑っていいとも!」左利きの家族
3月19日(月)のお昼のテレビ「笑っていいとも!」、テレフォン・ショッキング出演の紺野まひるさんが、左利きの話をされていました。
字や箸、庖丁などは左だけれど、ボール投げとスポンジでの皿洗いは右手だ、と手振りを入れてお話されていました。
ちょっと不思議だ、と。
まあ、そういうことはあるかもしれません。
左手で字を書く左利きでもボール投げは右という人は、意外に多いようです。
クリス・マクマナス/著『非対称の起源』大貫昌子/訳(講談社ブルーバックス 2006年刊)の「第7章右と左を決める遺伝子」のなかで、オンタリオのグウェルフ大学マイケル・ピーターズの研究が紹介されています。
「左利きの人のほぼ三分の一が左手で字を書くのに、ボールを投げるのは右手で、しかも右手のほうが正確なのだ。」(241p)
さらに、右手で字を書く右利きの人の2パーセントから3パーセントは、ボールを投げるのに左手を好む、というのです。
そういえば日本のプロ野球でも、右投げの左利きの選手、右利きの左投げの選手はかなりいました。
そして、タモリさんのストラップがもらえるという1/100のアンケート・コーナーで、紺野さんの出したのは、ご自身が左利きでお父さんも左利きだそうで、家族にも左利きがいる左利きの人、というものでした。
結果は3人でした。
けっこういるんですね、という感想。
しかし、これは左利きについてもうちょっと考えてみると何とかなったのでは、と思われます。
一般に左利きの割合は一割程度といわれています。百人なら十人です。
そして、先の本『非対称の起源』によりますと(同章、マクマナスとフィル・ブライデンの研究 247p-248p)、両親とも右利きで子供が左利きになる可能性は9.5%、片方が右利きで片方が左利きの場合は19.5%、両親とも左利きのときは26.1%。
親のひとりが左利きだと左利きの子を持つ可能性は、両親とも右利きの場合の2.05倍、両親とも左利きの場合は、2.75倍だといいます。
家族に左利きがいる場合の可能性については、調査がないのか書かれていません。
( ※追記:2007.3.24―具体的な数値は出ていませんが、248pに「左利きの被験者の半数が、家族で左利きなのは自分だけだと答えている。」と記載されていました。)
が、これは範囲が広がりすぎて調査が不明確になるのではないでしょうか。
生物学的には親は必ず二人ですが、家族は兄弟の数が不定です。
兄弟の数が増えればそれだけ可能性は高くなるでしょう。
両親のどちらかが左利きの場合、倍の確率で左利きの子供が生まれる可能性があるとすると…、
まあ、家族に左利きがいる左利きの割合は、百分の一ということはまずない、それ以上だろうと推定できます。
ここでは、家族ではなく、親がもしくは父も、というふうに限定したほうが期待できたのではないか、と思えます。
残念でした。
左利きが遺伝であるかどうかは、まだ不明ではありますが、このように家族性の左利きがかなりあるという事実から見て、そういう可能性が高く、何らかの形で遺伝的な要素が関係していると見るのが有力と考えられています。
●参照:『レフティやすおの本屋』左利きの本棚/研究書
クリス・マクマナス/著『非対称の起源』大貫昌子/訳(講談社ブルーバックス 2006年刊)
※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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