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2007.01.24

『AERA』2007年1月29日号の左利き記事

1月22日発売の週刊誌、『AERA』2007年1月29日号に、左利きの記事「アエラネット/レフティー(1)-子どもの左利き、直す?直さない?」が掲載されています。

左利きメルマガ「週刊ヒッキイ」の読者氏からの情報を得て、ひとっ走りしてきました。
でも結局買いませんでした。
パラパラッと見ましたが、360円出すほどの目新しいことも書かれていない様子でした。

見開き2ページで、今後何回か連載されるようです。

左利きの問題を取り上げようという意欲は買いますが、取り上げ方や全体の方向としては、私には懸念すべき点があるような気がします。
その辺が残念です。

アンケートは、アエラ・ネットで紹介されていました。

*アエラ総研 月刊テーマ(2007-01-11 更新)「左利きは得か損か?」
(こちらについては、後日ブログなり、メルマガなりで紹介します。)

記事のほうですが、このアンケートを元にコメント記入者の意見を紹介している模様です。

最後に、利き手より利き目に注目しているという学者の意見をそえて、目の付け所が違うというようなオチにしています。

記事詳細については、現時点ではなんともいえませんが、先ほども少し書きましたように、気になる点があります。


それは、タイトルやアンケートに使われている言葉です。

記事を書いた人は、「矯正」を「変える」の漢語表現のように理解しているのか、たとえば、松井やイチローが打撃を左に矯正した、といったような使い方をしています。

この言葉の使い方がどうも気に入りません。

私は、サイト『左組通信』やブログ『お茶でっせ』で、「アピール:左利き」と題して、
「利き手(左利き)の矯正」という言葉の使用について
「矯正」という言葉の不使用のお願いアピールについてのアンケート

などという運動を展開しています。


この筆者は、「矯正」の意味が分かっていないのか、左利きの人の中にはこういう使い方に拒絶反応を示す人もいるということを知らないのか、とにかく、こういうふうに使って平気な感覚は明らかに偏向している、と私は感じました。

(少なくとも、言葉の力を知っているはずの朝日新聞系列の雑誌で記事を書く人とは思えません。プンプン!)


表題の「子どもの左利き、直す?直さない?」もそうです。

「直す?直さない?」という表現には、前提として、二つのことがあります。

ひとつ目の前提は、対象は「直せるもの」だ、もしくは「直せる可能性がある」、あるいは「直せるという可能性があると考えられるもの」だ、ということです。

直せないと判断したものを指して「直せますか」と尋ねる人はいません。

もう一つの前提は、対象は「都合の悪いもの」だという認識です。

都合のいいもの、正常と思われるものを直そうとは誰も考えません。
(まあ、大阪では「しまう/整理する」ことを「直す」ともいいますが。)

「矯正」(欠点を正す―左利きにおいては、右手使いを正しい作法と考えて、右手使いに変えさせること)や「直す」(誤りを正す/悪くなったものをよい状態に戻す)という言葉を使う限り、左利きは悪いものだという烙印を押すことになり、考え方として偏向している、といわれても致し方ないということです。

これは左利きに対する偏見や差別を助長する行為です。
マスコミが率先してすることではありません。
(ましてや、大朝日ともあろうものが…。)

―と、私は思うのですが…。

※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。

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[追記]続編記事:
2007.1.26 『AERA』左利き記事(2)―右利き偏向について
お茶でっせ版新生活版

2007.1.30『AERA』左利き記事(3)―「利き手は変えられる」の発想?
お茶でっせ版新生活版

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