利き手と左利きの科学の本『非対称の起源』
先にメルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』第53号(No.53) 2006/10/28「<左利きプチ・アンケート>第34回」で、新刊ニュースとして取り上げた、10月20日に講談社ブルーバックスより発売された『非対称の起源』を紹介しておきます。
450ページを越えるブルーバックスの中でも分厚い本ので、まだパラパラ読みしただけですので、簡単な紹介だけです。
『非対称の起源』クリス・マクマナス/著 大貫昌子/訳 講談社ブルーバックス
タイトルから、分子の非対称性に関する本か何かだろうと素通りした方もいらっしゃるかもしれませんが、この本は原題を"RIGHT HAND, LEFT HAND"という、2002年発行の比較的新しい利き手、および左利きに関する研究書です。
そうです、7月末に日本経済新聞社より出版された、デイヴィッド・ウォルマン『「左利き」は天才!』梶山あゆみ訳 の「第4章 左利きは遺伝するのか?」のなかで紹介されている、『右手、左手』のことです。
ここに、本書の著者クリス・マクマナスは、「利き手と左右差の研究をしている」ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジの心理学部の教授として登場しています。
本書に関しては、「手のことにとどまらず原子核からブラックホールまで、ありとあらゆるものの非対称性を取り上げた素晴らしい本」とあります。
著者マクマナスは、1970年代から30年以上に渡って「利き手」の傾向と大脳の側方性に関する研究を続け、分子の非対称性から宇宙物理学に至るまでの諸分野の進歩にも目を配って来た、という人物です。
本書は、その集大成です。
目次を見てもわかるように、第2章 右手は左手より優れているのか、第7章 右と左を決める遺伝子、第10章 利き手と社会、第11章 左利きの苦悩 …等、左利きの人には興味深い見出しが並んでいます。
利き手や左利きに興味のある方は必読です。
こういう研究書の類を読むときの楽しみの一つ、参考文献のリストがページ数の関係からか省かれている(ネット参照=ブルーバックスシリーズのサポートページ、となっています)のが少し残念です。
最後に、目次を紹介しておきます。
第1章 ワトソン博士の難問題
第2章 右手は左手より優れているのか
第3章 右と左の意味論
第4章 右と左の起源
第5章 心臓はなぜ左にあるのか
第6章 アミノ酸は左利き
第7章 右と左を決める遺伝子
第8章 脳の非対称性
第9章 言語に特化した左脳
第10章 利き手と社会
第11章 左利きの苦悩
第12章 人すべて対称なり
第13章 壮大にして微小なる我が宇宙
その他の詳細情報は、下の講談社ブルーバックスのページからどうぞ。
※ 参照:
講談社BOOK倶楽部TOP > 詳細検索
・『非対称の起源』クリス・マクマナス
『レフティやすおの本屋』
・「左利きの本棚/研究書・実用書」
※本稿は、gooブログ「レフティやすおの新しい生活を始めよう!」に転載しています。
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