« 開ける不便さブログ | Main | ただいま充電中! »

2006.02.26

クリストファー・プリースト『魔法』

爆弾テロに巻き込まれ負傷した報道写真家リチャード・グレイは、リハビリ中。記憶喪失に陥り、事故以前数週間の記憶がない。そこへスーザンという元ガールフレンドという人物が現れる。
彼は恋におち、彼女との会話と催眠療法のおかげで、徐々に記憶を取り戻すのだが…。

スーザンをめぐる奇妙な三角関係の物語の行く末は…?

クリストファー・プリースト『魔法』古沢嘉通訳 ハヤカワ文庫FT(FT378) 2004(平成16)
1995年刊早川書房<夢の文学館>の文庫化(訳文改稿) 原著1984,85年刊(85年再版による訳書)


まさに魔法の物語。
一転二転する物語における真実とは…。

とにかく読んでください。としか言えない。
ストーリイを紹介することはたやすいのだが、それでは多分何も伝わらないと思う。

第一部から第六部まで記述の視点となる人称を変え、この不思議な物語は語られる。
リチャードの視点から見た物語、スーザンの視点からの物語、三人称で語られる章…。
どれが真実の姿を映しているのか、まさに魔法の雲に包まれたようなストーリイである。

書名である「glamour(グラマー)」という言葉に多くの意味が込められている、という訳者と解説の法月綸太郎各氏のお話の通りであろう。

ジャンル的には、SFともファンタジーともメタ・フィクションとも言えそうで、記憶喪失を扱ったミステリとも言える。まあ、無難にいえば奇想小説と呼ぶのが一番ふさわしいのかもしれない。

とにかく、おもしろかった。

次はいよいよ、評判になった『奇術師』を読んでみよう!


|

« 開ける不便さブログ | Main | ただいま充電中! »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

海外ミステリ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference クリストファー・プリースト『魔法』:

« 開ける不便さブログ | Main | ただいま充電中! »