『鬼警部アイアンサイド』 ジム・トンプソン
いやぁ、懐かしいですね。なんて言っても最近お若い人はご存知ないでしょうね。
40歳以上でしょうかね。
昔の人気テレビドラマです。もちろんアメリカのものです。本書巻末解説によると、日本では1969年4月より1975年9月まで6年にわたり放映されたそうです。
私が15歳から21歳までに当たります。(印象に残るわなぁ…。)
主役のレイモンド・バーとその声を担当した若山弦蔵のコンビは「ペリー・メイスン」でもおなじみです。(最高の組み合わせでしたねぇ。)
番組冒頭のテーマとナレーションといい、今も心に残っています。(再現しろと言われても困りますが…。雰囲気は覚えてますよ…。)
サンフランシスコ市警の嘱託警部というのでしょうか。下半身不随の車椅子の刑事。手足となる部下と助手、特別仕様のクルマを与えられて悪と戦う不屈の男ロバート・アイアンサイド―。
今のミステリで言えば、ディーヴァーのリンカーン・ライムの系統です。世代的にはお父さんに当たるといったところでしょうか。チーム構成もそっくりです。今回こうやって読んでみると。
イヴとアイアンサイドの感情などテレビではまったく印象に残っていませんが、このストーリーではまったくライムとアメリアです。
もちろんディーヴァーの作品では、プロファイリングや鑑識の方法など目新しい要素は取り入れていますが、基本的な構成は同じパターンを踏襲しています。
『鬼警部アイアンサイド』 ジム・トンプソン 尾之上浩司訳(ハヤカワ・ミステリ《ポケミス名作座》 2005年5月刊 原題Ironside 1967)
有力者のクズ息子が起こしたひき逃げ事件に関して、アイアンサイドに手加減を求める地方検事とその有力者を追い返した矢先、助手の黒人青年マークが傷害事件を起こす。しかもその相手が病院への搬送途中に死んでしまう。有力者が掘り出した情報では、彼は以前ボクシングの選手で彼のこぶしは凶器として扱われる。地方検事は正当防衛も認めず、マークを殺人犯として起訴すると留置所送りに。彼の無実を信じるアイアンサイドとその部下エドとイヴは昼夜を徹しての捜査を始める…。
誰よりも早く事故の現場に現れるという仕事熱心な民間の救急車会社の運転手、マークが殴り殺したとされる男の姉など、怪しげな人物が浮かび上がるが…。
ジム・トンプスンを読むのは初めてです。今やノワールの巨匠としてカリスマ的存在となった感のあるトンプスンですが、本書でもその片鱗が垣間見えるような気がします。(どこが? と聞かないでくださいね。)
彼の本領とは違うのでしょうが、テレビの設定を使ってのオリジナル・ストーリーとのこと、なかなくうまくまとめています。
それにしても、ラスト、アイアンサイドが犯人にタックルするところなんか、ディーヴァーの『ボーン・コレクター』のラストの部分を思い起こしました。(えっ、全然トンプスンと関係ない、ってなるほど。)
とにかく、昔懐かしいヒーローたちの活躍が読めるのはうれしいものです。
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