« レフティやすおの左組通信 一周年 | Main | 11回アンケート投票結果:「利き手(左利き)の矯正」という言葉をどう思いますか »

2005.01.11

『探偵学入門』マイクル・Z・リューイン

マイクル・Z・リューイン『探偵学入門』THE RELUCTANT DETECTIVE AND OTHER STORIES (2001) 田口俊樹・他訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ 2004年刊


私の好きな作家イギリス、バース在住のマイクル・Z・リューインの初の短編集。全21編収録。

リューインの本は、"問題解決犬"ローヴァーの連作短編集『のら犬ローヴァー町を行く』2004.03.25、やパウダー警部補シリーズ第3作『男たちの絆』 2004.09.24 を紹介してきました。

今回は、まだリューインをお読みでない方には、ちょうど良い入門書となるでしょう。
今好調の〈探偵家族〉ルンギ一家ものが6本、パウダーもの1本(日本人女性が登場します)、ローヴァーものの中から最もミステリっぽい作品1本、副大統領ダニーもの2本、さらに新キャラクター、ハードマンもの1本、などシリーズ・キャラクターも勢ぞろいで、それ以外にも単発のおもしろい作品が並んでいます。

シリーズ・キャラクターでもれているのは、デヴュー作の主人公やさしい知性派探偵といわれるアルバート・サムスン(私のもっとも好きなキャラクターです。)ぐらい。

インディアナポリスを舞台とするものより、イギリスに移ってイギリスを舞台にしたもの多いのですが、これがまた、従来のアメリカを舞台にした作品とは違ったユーモアに満ちたものになっています。
最初はちょっとついていけないか、とも感じたのですが、さほどのことはありません。これもまたおもしろいものです。別の一面を見るのもいいものです。

私のおすすめは、税金対策で「探偵をやってみたら」依頼客が現れて事件調査をやるはめになリ…、という一本目、テレビの特番にある警察もののドキュメントのような、パトカーに一般市民が同乗する二本(パウダーものの「夜勤」とノン・シリーズの「女が望むもの」)、ローヴァーもの「恩人の手」も優しくていい気持ちにさせる、「少女と老人のおはなし」なども軽くていいし、探偵家族ものはそれぞれ愉快な登場人物たちが読ませます。

ストーリー・ノートや巻頭の「はじめに物語ありき」という序文など自作解説があり、リューイン・ファンもお買い得の一冊でしょう。

できれば新しいサムスンものが読みたい気もしますが…。

|

« レフティやすおの左組通信 一周年 | Main | 11回アンケート投票結果:「利き手(左利き)の矯正」という言葉をどう思いますか »

趣味」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

海外ミステリ」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 『探偵学入門』マイクル・Z・リューイン:

« レフティやすおの左組通信 一周年 | Main | 11回アンケート投票結果:「利き手(左利き)の矯正」という言葉をどう思いますか »